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【完全版】3社間ファクタリングとは?どこよりも詳しく解説
ファクタリングの方式には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングに比べて利用しにくい方法です。しかし、色々なメリットがあるため、会社によっては積極的に活用すべきといえます。そのためにも、本稿で3社間ファクタリングの仕組みについて詳しく学んでいきましょう。
3社間ファクタリングとは?
一口にファクタリングといっても、色々な種類に分けられます。その中で、最も普及しているのは買取ファクタリングです。買取ファクタリングは、支払い期日前の売掛金をファクタリング会社に売却し、早期資金化する方法です。
皆さんがイメージするファクタリングも、ほとんどは買取ファクタリングでしょう。しかし、買取ファクタリングにも「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。
ファクタリング方式による違い
2社間ファクタリングとは、文字通り2社間で取引するファクタリングのことです。売掛金を売却する自社と、売掛金を買い取るファクタリング会社の2社間で取引します。
一方、3社間ファクタリングは3社間で取引します。取引の当事者となるのは、
- 売掛金の譲渡人である自社
- 売掛金の債務者である売掛先
- 売掛金の譲受人であるファクタリング会社
の3社です。
このことからわかる通り、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで異なるのは、「売掛先が関与するかどうか」です。
取引の当事者が変わることにより、契約内容も変化します。特に、ファクタリングでは権利関係が大きく変わるため、ファクタリングの全体的な流れにも大きく影響します。
取り扱うファクタリング会社
一般的なファクタリング会社では、2社間ファクタリングの取り扱いをメインとしています。2社間ファクタリングだけを提供している会社も多いです。
3社間ファクタリングを提供しているのは、優良ファクタリング会社や銀行系ファクタリング会社に限られます。銀行系ファクタリング会社の場合、3社間ファクタリングしか取り扱っていないのが普通です。
ファクタリング業務の複雑さ
このような違いも、売掛先が関与するかどうかによるものです。
3社間ファクタリングは、売掛先が関与するため権利関係が複雑になります。ファクタリング会社は、売掛金の譲渡人(依頼企業)と債務者(売掛先)の2社を相手に手続きを進め、公平かつ透明性のある取引をしなければなりません。
特に、銀行系ファクタリング会社は銀行の傘下であるだけにコンプライアンスや信用を重視します。ファクタリング実務もきわめて正確です。一般的なファクタリング会社は、ノウハウや人材の不足によって、3社間ファクタリングの提供が難しいのです。
2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングに比べて仕組みが単純であり、権利関係も複雑ではありません。ファクタリング会社は、依頼企業だけを相手に手続きをすれば良く、ファクタリング実務に特別なノウハウや専門的な人材は不要です。一般的なファクタリング会社でも取り扱いが容易です。
このことは、新規参入のファクタリング会社をみるとよく分かります。新規参入のファクタリング会社はノウハウと人材が不足するため、できるだけ負担の少ない、小さな事業から始める必要があります。つまり、負担の大きい3社間ファクタリングを避け、負担の少ない2社間ファクタリングに注力するのです。
2社間ファクタリングについての詳しい説明はこちら
3社間ファクタリングの法的根拠
「ファクタリング」と聞くと、違法性を疑う人もいることでしょう。
近年、違法なファクタリング(厳密には「ファクタリングを装った違法な取引」)によって摘発される業者も出ているため、ファクタリングに悪いイメージを抱く人が少なくありません。
銀行が取り扱っている安心感
ファクタリングは方式に関係なく合法であり、3社間ファクタリングも違法性は皆無です。
3社間ファクタリングは銀行系ファクタリング会社が取り扱っています。
ご存じの通り、銀行はコンプライアンスに厳しく、金融庁の監督のもとで営業しています。
違法性のあるファクタリングに関して金融庁は注意を喚起しているため、その監督下で営業する銀行が違法行為に手を出せるはずがありません。
まずは、この事実によって「3社間ファクタリングは合法」と考えるのが分かりやすいでしょう。
3社間ファクタリングは債権譲渡取引
もちろん、3社間ファクタリングは法的にみても違法性はありません。
そもそもファクタリングは、債権譲渡取引の一種です。
自社が所有している売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に譲渡し、その対価を受け取ります。
仮に、債権譲渡が違法な取引であれば、3社間ファクタリングも違法といえるでしょう。
しかしながら、債権譲渡取引は民法で認められた取引です。
民法第466条「債権の譲渡性」には、以下のように明記されています。
第466条
1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:出典:WIKIBOOKS「民法第466条」
民法として「債権は譲渡可能」と認められているのですから、売掛金の譲渡によって資金を調達する3社間ファクタリングも合法です。
3社間ファクタリングのメリット・デメリット
3社間ファクタリング特有のメリット・デメリットについてみていきます。
3社間ファクタリングのメリット
3社間ファクタリングの代表的なメリットは、以下の3つです。
ファクタリング手数料が安い
何と言っても、3社間ファクタリングは手数料が非常に安いです。これは、2社間ファクタリングと比較するとよく分かります。
ファクタリング手数料の大まかな相場は、2社間ファクタリングが10~20%、3社間ファクタリングが1~10%といったイメージです。同じ3社間ファクタリングでも、ファクタリング会社によって異なります。例えば、民間のファクタリング会社は手数料が高く、銀行系ファクタリング会社は手数料が低い傾向があります。
No.1の3社間ファクタリングは、1~5%の設定です。平均的な2社間ファクタリングの相場に比べて大幅に安く、資金繰りへの負担を軽減できます。
業務負担が少ない
3社間ファクタリングは、ノウハウや専門性に長けたファクタリング会社に依頼します。銀行系でなくとも、No.1のようにコンサルタントなどの専門家が在籍しているため、フォローも丁寧です。債権譲渡に伴う負担も小さく、売掛金回収にあたっても自社には一切負担がありません。
2社間ファクタリングは、債権譲渡通知が不要であるものの、自社が売掛金を回収しなければなりません。サービサーならば報酬が発生する債権回収業務を、無償で請け負うことになるのです。
この負担を避けられるのは、3社間ファクタリングの大きなメリットです。
悪質業者を回避できる
このほか、悪質業者のリスクを避けられます。
ファクタリング業界では悪質業者が問題視されており、金融庁や警視庁も取り締まりを強化しています。金融庁は、貸金業務と同じように、ファクタリング業務も登録制にすることを検討しているほどです。
悪質業者のほとんどは、ファクタリングを装った闇金業者です。そのような業者を利用すると違法金利の借金を背負う危険があります。実際に、年利換算すると数千%の金利設定になっていた事例もあります。自社の資金繰りが圧迫され、経営が破綻する可能性も十分にあるでしょう。
3社間ファクタリングを利用する場合、悪質業者のリスクはほぼゼロです。上記の通り、3社間ファクタリングは優良ファクタリング会社や銀行系ファクタリング会社が手掛けており、ノウハウや専門性、業務負担から考えても悪質業者の手に負えません。また、騙す相手は少ないほど都合がよく、悪質業者がわざわざ3社間ファクタリングを選ぶ理由がないのです。
悪質業者のリスクがないことも、3社間ファクタリングのメリットです。
債権譲渡登記が不要
債権譲渡登記が不要であることも、3社間ファクタリングの大きなメリットといえます。
債権譲渡登記とは、売掛金の譲渡によって生じた債権(支払期日に代金を受け取る権利)の変動を登記によって公示する(誰でも閲覧できる状態にする)ことです。
2社間ファクタリングの場合、原則的に債権譲渡登記が必要です。
2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社だけで取引するため、ほかに債権譲渡の事実を知る者がいません。
このため、自社が「譲渡していない」と主張したり、第三者が「私が本当の債権者です」と主張したりした場合、ファクタリング会社は権利の主張が困難になります。
債権譲渡登記によって、真の権利関係を誰でも閲覧できるようにしておけば、不当な主張があった場合に「登記によれば、それは事実ではない」と分かります。
つまり、2社間ファクタリングで起こりうるトラブルを未然に防ぐために、債権譲渡登記が必要となるのです。
債権譲渡登記に伴い、登録免許税や司法書士報酬として数万円のコストがかかるほか、公示によって売掛先からファクタリングの利用を知られるリスクが生じます。
3社間ファクタリングでは、債権譲渡登記が不要です。
なぜならば、売掛先への債権譲渡通知を必ず行い、譲渡承諾書を取りつけるからです
ファクタリング会社は、売掛先が債権譲渡通知を受け取り、譲渡に承諾した事実を以て、売掛金の譲渡を法的に裏付けることができます。
3社間ファクタリングのデメリット
上記のメリットは魅力的ですが、同時に以下のデメリットにもつながります。メリットとデメリットをよく比較することが大切です。
資金調達に時間がかかる
まず、資金調達に時間がかかることが大きなデメリットです。
多くの人が、ファクタリングならばスピーディに調達できる、うまくいけば即日調達できると考えていますが、それは2社間ファクタリングの場合に限られます。
3社間ファクタリングでは売掛先が絡みます。それだけに、手続きの流れも複雑であり、多くのやり取りをこなさなければなりません。債権譲渡通知だけでも、内容証明郵便の郵送にかかる日数、売掛先の承諾を得るまでにかかる日数などを考慮すると、少なくとも数日を要します。もちろん、その後のファクタリング契約の進捗も、売掛先の対応によってスピードが変わります。
したがって、3社間ファクタリングでの即日ファクタリングは不可能です。また、「だいたい〇日程度で調達できる」といった見通しをつけることも難しいため、計画的な資金調達には不向きです。
利用できない可能性がある
さらに深刻なデメリットは、そもそも3社間ファクタリングを利用できない可能性があることです。
債権譲渡まではうまくいっても、債権譲渡通知を受けた売掛先が承諾しなければ、売掛先とファクタリング会社の契約は不可能です。これでは、自社・売掛先・ファクタリング会社の3社間ファクタリングは成り立ちません。
自社と売掛先は、ビジネスパートナーとして持ちつ持たれつの関係ですから、何の理由もなく売掛先が拒否することは考えにくいです。しかし、売掛先との売買基本契約に債権譲渡禁止特約が設定されている場合には、それを理由に承諾を拒否することが考えられます。
法的には、特約に関係なく債権譲渡は認められています。しかし、債権譲渡は認められても、その後のファクタリング契約について法的拘束力はありません。
このように、売掛先の対応次第で3社間ファクタリングは利用できない可能性があるのです。
個人事業主は利用できない
個人事業主は、別の意味で利用できない可能性が高いです。
もともと、ファクタリングは法人向けを基本とするサービスであるため、個人事業主には不向きでした。
しかし最近では、個人事業主からの需要が高まったことにより、個人事業主のファクタリング環境も整っています。
ただし、個人事業主のファクタリングは基本的に2社間ファクタリングです。
これは、個人事業主にとって、3社間ファクタリングの利用が現実的ではないからです。
個人事業主のほとんどは事業規模が小さく、資金需要も少額となります。
数万円の資金調達が必要、といったシーンも多いです。
3社間ファクタリングによって売掛先を巻き込み、数万円の資金調達に協力してもらうのは現実的ではありません。
少なくとも現時点では、個人事業主は3社間ファクタリングを利用できないと考えた方が良いでしょう。
オンラインファクタリングを活用できない
コロナ禍の影響もあって、ファクタリング業界ではオンラインファクタリングの普及が進んでいます。
オンラインファクタリングとは、申し込みから契約まで全てオンラインで完結するファクタリングサービスです。
従来のファクタリングは、基本的に対面取引が必要でした。
現在、多くのファクタリング会社がオンラインファクタリングを導入しておらず、特に契約の際に対面するのが一般的です。
自社とファクタリング会社が地理的に遠い位置関係にある場合、対面取引に時間とコストがかかります。
オンラインファクタリングならば、対面取引が一切不要ですから、このような問題に悩まされることがありません。
しかし、オンラインファクタリングは2社間ファクタリングを前提とした仕組みであり、3社間ファクタリングでは利用できない可能性が高いです。
実際に、オンラインファクタリング専業のOLTA、anew、labolなどは、2社間ファクタリングしか取り扱っていません。
利便性の高さや条件の良さから、オンラインファクタリングを選ぶ人が増えています。
オンラインと相性が悪いことも、3社間ファクタリングのデメリットです。
売掛先の信用を損なうリスクがある
このほか、売掛先の信用を損なうリスクがあります。
売掛先によっては、自社が3社間ファクタリングを利用したところで、特に悪い印象は抱かないでしょう。しかし実際には、何らかの悪印象を抱く会社が少なくありません。
ほとんどの会社にとって、資金調達の基本は銀行融資です。このため、ファクタリングを利用する会社に対して、「銀行融資を受けられず、資金繰りに苦労しているのではないか」「経営が悪化しているのではないか」といった疑いを抱くことが多いのです。
その結果、売掛先が取引の分散を図り、自社との取引が縮小して売上の減少につながることも考えられます。手数料の安い3社間ファクタリングで調達コストを抑えても、売上が減少するならば、デメリットの方がはるかに大きいです。
このリスクを避けるために、ほとんどの中小企業が2社間ファクタリングを選びます。3社間ファクタリングの利用は、メリットが大きいとはいえ慎重に検討すべきです。
3社間ファクタリングの流れ
3社間ファクタリングの流れを知ると、3社間ファクタリングの特徴や仕組みがよくわかります。
細かい流れはファクタリング会社によって異なりますが、大まかな流れは共通です。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで異なる手続きは、
- 売掛金の譲渡に伴って売掛先の承諾を受けること
- 3社間でファクタリング契約を結ぶこと
の2点です。この2点を意識して、以下の流れを読んでください。
1.売掛金の発生
ファクタリングは売掛金を早期資金化するものであり、まずは自社と売掛先の取引によって売掛金が発生することが前提です。この点では、3社間ファクタリングも2社間ファクタリングも全く同じです。
自社から売掛先へ商品やサービスを提供し、納品書や請求書を送付すると売掛金が発生します。自社は債権者、売掛先は債務者の関係が成立します。
2.3社間ファクタリングの依頼
ファクタリングは自社の資金繰りに活用するものです。当然、3社間ファクタリングを申し込むのも自社です。
銀行系ファクタリング会社に依頼したい場合、まずは普段から取引している銀行を当たってみるのが良いでしょう。銀行や、その系列のファクタリング会社が3社間ファクタリングを提供しているならば、普段から付き合いがあるだけに申し込みがスムーズです。
中小のファクタリング会社に依頼する場合、3社間ファクタリングを取り扱っていることを確認し、ホームページの申込フォームから申し込みます。
3.ファクタリング審査の実施
申し込み後、ファクタリング会社から基本的な説明を受け、審査に必要な書類などを提出します。
ファクタリングで審査対象となるのは、主に売掛先です。自社も簡単な審査を受けますが、あくまでも申込内容や会社の健全性を調べるための審査に過ぎません。ファクタリングは融資ではなく、返済能力を測る必要がないため、自社の業績・財務上の問題によって3社間ファクタリングを拒否されることは基本的にありません。
しかし、売掛先に対する審査は厳しく行います。3社間ファクタリングはノンリコース(償還請求権なし)の取引であるため、売掛先が支払い不能に陥った場合、損失は全てファクタリング会社が負うこととなります。それを避けるためにも、ファクタリング会社はデータベースや信用調査会社への照会などを通して厳しく審査するのです。
4.自社とファクタリング会社で契約
この時点では、まだ売掛先への通知を行いません。
ファクタリング審査の結果、買取可能と判断し、ファクタリングの条件も含めて合意に達すると、まず自社とファクタリング会社でファクタリング契約を結びます。
ファクタリング契約は、債権譲渡契約を兼ねています。ファクタリングの条件面などを取り決めると同時に、譲渡・売却する売掛金を特定し、対象となる売掛金の譲渡に関する細かな取り決めを行うものです。
したがって、自社とファクタリング会社が契約を結ぶと、その時点で売却する売掛金の債権は、自社からファクタリング会社に移ります。債権とは「債務の履行を受ける権利(売掛先から支払いを受ける権利)」です。これによって「自社ではなくファクタリング会社が代金を受け取る」という権利関係も明確になります。
5.債権譲渡通知・承諾
債権譲渡通知とは、4の債権譲渡の事実を以て、債務者に「支払う相手がA(自社・元の債権者)からB(ファクタリング会社・新たな債権者)に変わりました」と通知するものです。
自社から売掛先に対し、事前にファクタリングについて相談していない場合、売掛先はこの通知によって債権譲渡の事実を知ります。
注意すべきは、自社と売掛先の売買基本契約です。契約によっては、特約として債権譲渡を禁止していることがあります(債権譲渡禁止特約)。その場合、おそらく売掛先は債権譲渡を認めないでしょう。
法的には、債権譲渡禁止特約がある場合にも、債権譲渡は法的に有効です。しかし、売掛先が債権譲渡を拒否すれば、売掛先とファクタリング会社での契約が成り立たないため、3社間ファクタリングが成立しなくなります。
もっとも、実際の債権譲渡通知・承諾の手続きでは、ファクタリング会社が自社と売掛先の間に入ってフォローしてくれるため、トラブルなく承諾に至るケースが多いです。
6.売掛先とファクタリング会社で契約
債権譲渡の承諾に至れば、売掛先も3社間ファクタリングに理解を示しているため、ファクタリング契約に応じるでしょう。
この時、売掛先は売掛金に関する資料の提供や、支払先の変更などに応じ、ファクタリング契約に至ります。これを以て、自社・売掛先・ファクタリング会社の3社間ファクタリングが成立します。
7.入金
3社間でのファクタリング契約を締結した後、自社に買取代金が支払われます。
8.売掛金の回収
支払い期日になると、売掛先は譲渡後の新たな債権者であるファクタリング会社に対して売掛金を支払います。自社が売掛金の回収に関与することはありません。
2社間ファクタリングの場合、売掛先から自社に振り込まれた代金を、そのままファクタリング会社に支払います。自社が売掛金の回収業務を行う形となるため、ファクタリング契約の際には売掛金回収業務委託契約も結びます。
売掛金回収の流れも、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは大きく異なるのです。
3社間ファクタリングの審査基準
3社間ファクタリングの流れの3に「ファクタリング審査の実施」とあります。
ここでは、審査基準をより詳しく解説します。
売掛先の信用力
上記でも簡単に触れましたが、ファクタリングの審査対象は基本的に売掛先です。
2社間ファクタリングでも、3社間ファクタリングでもこの点は共通しています。
ファクタリング会社は、売掛金を買い取った後、売掛先から代金を回収することで初めて利益を確保できます。
売掛先に支払い能力がなければ、回収不能リスクが高いため買い取りは不可能です。
したがって、売掛先の信用力(支払い能力)の審査が不可欠です。
基本的には、自社から提出する契約書・入出金明細・請求書などの資料によって審査します。
ただし、3社間ファクタリングでは売掛先を含めて契約するため、ファクタリング会社と売掛先の間で連絡を取り合うことも可能です。
ファクタリング会社によっては、売掛先からも情報を求めることがあります。
例えば、ファクタリング会社から売掛先に対して、請求内容の確認を行うケースが多いです。
詐欺行為への警戒
3社間ファクタリングの手数料が安い理由は、2社間ファクタリングに比べてリスクが低いからです。
例えば、3社間ファクタリングには架空債権のリスクがほぼありません。
架空債権とは、実在しない売掛金のことです。
ファクタリング会社に対して、架空債権の買い取りを求める詐欺行為は実際が起こっており、逮捕された例もあります。
架空である以上、ファクタリング会社は買い取った売掛金を回収することはできず、買取金額分の損失を被ります。
このため、ファクタリング会社は架空債権詐欺に遭わないよう、売掛先の実在を確実にチェックします。
3社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社と売掛先との間でも契約を交わすのですから、売掛先の実在は明らかです。
したがって、架空債権詐欺のリスクはほとんどないといえます。
しかし、3社間ファクタリングでも計画倒産などの詐欺が起こる可能性があり、その事例もあるため安心はできません。
計画倒産とは、ファクタリングの利用会社と売掛先が共謀し、売掛金をファクタリング会社に買い取らせた後、売掛先を倒産させる手口です。
ファクタリングはノンリコースですから、売掛先が倒産すればファクタリング会社は損失を被ります。
このような危険を避けるためにも、自社と売掛先の取引に不自然さがないか、入念な審査を受けることとなります。
請求内容
支払期日や額面金額などの請求内容も、重要な審査基準です。
一般的に、ファクタリングには以下の傾向があります。
- 支払期日が遠い売掛金ほど審査が厳しくなる
- 額面金額が小さすぎる売掛金は審査が厳しくなる
支払期日の影響
支払期日が遠いほど、ファクタリング契約を結んでから回収するまでの期間中に、売掛先の経営が悪化するリスクが高まります。
ただし、3社間ファクタリングにおける支払期日の影響は、2社間ファクタリングほど深刻ではありません。
2社間ファクタリングの場合、自社が提供する情報だけが頼りであり、売掛先の経営悪化を把握するのが遅れるかもしれません。
それだけに、支払期日が遠い売掛金のリスクを高く見積もります。
3社間ファクタリングならば、ファクタリング会社と売掛先が契約を結んでいるため、直接連絡を取ることができます。
回収不能リスクが高まった場合には、売掛先に対して様々な手段を講じ、積極的に回収を図ることも可能です。
額面金額の影響
額面金額の影響は、2社間ファクタリング以上に大きいです。
基本的に、ファクタリング方式に関係なく、少額のファクタリングは敬遠されます。
なぜならば、額面金額が小さいほどファクタリング会社の利益も小さくなるため、相対的に事務負担が大きくなり、採算が低下するからです。
事務負担に着目した場合、3社間ファクタリングの負担は2社間ファクタリングに比べてかなり大きいといえます。
単純に考えて、2社間ファクタリングの手続きは「自社⇔ファクタリング会社」ですが、3社間ファクタリングの手続きは「自社⇔ファクタリング会社⇔売掛先」です。
ファクタリング会社から見て、取引の相手が「利用会社(自社)のみ」から「利用会社と売掛先」に増えるのですから、負担は単純計算で2倍になります。
利益をあげるには、少なくとも負担を上回る収益を確保する必要があるため、少額のファクタリングにはシビアにならざるを得ません。
3社間ファクタリングでは、売掛金の額面金額が大きく影響すると考えましょう。
3社間ファクタリングはどんな時に使うべき?
3社間ファクタリングの特徴、メリット・デメリットについてお伝えしてきました。
これらを踏まえて、3社間ファクタリングが役立つのはどんな時か、いくつか具体例を紹介します。
信用悪化のリスクがない場合
3社間ファクタリングは、「使うべきでない場合」と「使うべき場合」がはっきりしています。
「使うべきでない場合」とは、ファクタリングの利用を売掛先に知られると問題が生じる場合です。
売掛先から信用を損なうと、ファクタリングのメリットより大きなデメリットを被ります。
したがって、3社間ファクタリングではなく2社間ファクタリングを選ぶべきでしょう。
それ以外の場合、例えば、
- 売掛先もファクタリングを利用しているため、ファクタリングに理解がある
- 売掛先との付き合いが長く、信頼関係が強固なため、信用を損なう危険がない
といった場合には、3社間ファクタリングを使うべきです。
3社間ファクタリングの最大の問題は売掛先の信用悪化です。
それをクリアできるならば、手数料が安く、悪質業者の危険もない3社間ファクタリングの利用をおすすめします。
資金調達を急いでいない場合
信用悪化のリスクがないことが前提ですが、資金調達を急いでいない場合にも3社間ファクタリングがおすすめです。
3社間ファクタリングでは、売掛先への債権譲渡通知、売掛先とファクタリング会社での契約などが必要です。
このため、即日での資金調達はできません。
自社とファクタリング会社のやり取りがスムーズに進んでも、売掛先への債権譲渡通知の送付、売掛先からの譲渡承諾書の返送には必ず数日を要します。
その後、売掛先とファクタリング会社のやり取りにも数日が必要です。
買取代金を受け取るのは、あくまでも3社間での契約が成立した後になるため、売掛先の対応が遅ければ予想以上に時間がかかります。
ある程度の時間をかけても問題ない場合には、条件の良い3社間ファクタリングを活用しましょう。
手数料を抑えたい場合
信用悪化のリスクがなく、資金調達に時間をかけても問題ない場合、3社間ファクタリングで手数料を抑えましょう。
3社間ファクタリングの手数料相場は、売掛金の額面金額に対して1~10%です。
2社間ファクタリングよりも大幅に安いため、調達コストの負担を軽減できます。
ただし、2社間ファクタリングであっても、オンラインファクタリングの手数料率はかなり低い設定です。
No.1の場合、手数料率は以下の通りです。
- 3社間ファクタリング:1~5%
- オンラインファクタリング:2~8%
基本的には、3社間ファクタリングの方が安い設定ですが、場合によってはオンラインファクタリングの方が安い、あるいはほとんど同じになる、といったケースも考えられます。
ほとんど同じ手数料であれば、スピーディで利便性が高く、売掛先にも知られないオンラインファクタリングのほうが好都合です。
どちらを選ぶべきかわからなければ、ファクタリング会社に相談してみるのが良いでしょう。
このとき、コンサルタントが在籍しているファクタリング会社に相談するのがポイントです。
No.1でも、資金繰り専門のコンサルタントが最適なファクタリングプランを提案しています。
ファクタリング会社を選ぶポイント
3社間ファクタリングを利用する際、ファクタリング会社はどのように選べばよいのでしょうか。
ポイントは以下の3つです。
あまりこだわらなくて大丈夫
結論から言えば、3社間ファクタリングの会社選びは、あまりこだわる必要はありません。
2社間ファクタリングであれば、会社選びが非常に重要となります。
その大きな理由の一つが、悪質業者の存在です。
2社間ファクタリングを提供しているファクタリング会社の中には、「ファクタリングを装ったヤミ金業者」が紛れ込んでいるのです。
しかし、3社間ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社であれば、悪質業者の可能性はほぼゼロです。
したがって、「悪質業者を避けるために」という視点でファクタリング会社を選ぶ必要がありません。
手数料を比較しよう
手数料にこだわりたい人も多いと思います。
しかし、3社間ファクタリングの場合、手数料もファクタリング会社ごとに差が出にくいです。
2社間ファクタリングの相場は10~20%あるいは10~30%と言われ、大きな開きがあります。
相場の範囲内であっても、手数料が10%と30%では大違いです。
これに対し、3社間ファクタリングの手数料は基本的に安いです。
例えば、1~5%の範囲で3社間ファクタリングをする場合、下限(1%)と上限(5%)の差はわずかに4%に過ぎません。
1%でも安いに越したことはありませんが、「時間をかけた割には大して安くならなかった」といったことも多いです。
3社間ファクタリングのまとめ
本稿では、3社間ファクタリングについて、法的側面や売掛先との関係、メリット・デメリットなども含めて詳しく解説しました。本稿の内容を知っていれば、3社間ファクタリングの利用で困ることはないでしょう。
調達コストが安いことは大きなメリットですから、売掛先との関係に問題がなければ、3社間ファクタリングを積極的に利用すべきです。逆に、信用悪化のリスクがあるならば、ひとまず2社間ファクタリングを利用するのが無難でしょう。
ファクタリング方式でお悩みの方は、まずはNo.1にご相談ください。弊社のコンサルタントがヒアリングを行い、最適なファクタリングをご提案します。
ファクタリングについての詳しい説明はこちら
2社間・3社間ファクタリングについての詳しい説明はこちら
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