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ファクタリングにかかわる法改正の現状は?将来債権と譲渡禁止特約付債権譲渡が可能になったのが大きい

ファクタリングは民法上の契約行為なので、法改正と無縁だと思われていましたが、大元の民法改正が行われたため、その制度について大きく前進しました。

通常法改正が行われると、規制が強化され、自由にできなくなるのですが、ファクタリングをめぐる法改正はその逆で、よりファクタリングを契約しやすく、資金調達しやすくするものになっています。

ファクタリングをめぐり、道路を舗装し通行しやすくなるような法改正であり、その動きの背景には融資に代わる資金調達メニューを用意させたい国の思惑もあるようです。

今回はファクタリングと法改正の流れについて解説していきます。

法改正の前にファクタリングの法的根拠を確認しよう

まず法改正を論じる前に、ファクタリングの法的根拠を簡単に確認しておきましょう。

ファクタリングの根拠は民法466条です。

ファクタリングは、売掛債権(売掛金)を第3者に譲渡する債権譲渡契約になります。これは民法に規定されている法律行為です。

財産権は自由に譲渡できるのが民法の規定です。ファクタリングする売掛債権(売掛金)は「動産」であり、財産権に含まれます。したがって、民法の契約行為として、当事者間の自由な意思表示があれば、問題なく譲渡できます。

その譲渡の対価として金銭を受け取ることも合法です。

ファクタリングについては

      

  • 民法の契約自由の原則が適用される
  •   

  • ファクタリングについて定めた特別法がない(ファクタリング規制法のようなものがない)

この2点が大原則になります。

しかし、当事者が合意すれば100%合法だということもありません。民法上問題となる契約行為をした場合、そのファクタリング契約は無効や取消になる可能性があります。

民法の一般原則をもとにファクタリングを無効、取消にできるのは以下のケースです。

  • 公序良俗違反
  • 信義則違反
  • 心裡留保
  • 錯誤
  • 詐欺
  • 脅迫
  • 契約能力がない人による契約(未成年者、被後見人など)

これら限定されたケースになります。民法の一般条項で無効や取消になるのは、100万円の売掛債権(売掛金)を10万円でファクタリングした場合など著しく不当なケースに限られます。

100万円の売掛債権(売掛金)を70万円でファクタリングした場合などは、手数料率が高く(30%)、明らかに悪徳業者によるファクタリングですが、公序良俗に反する契約とまではいかないのです。

この辺りは法改正後も同じです。当事者間の自由な意思による契約が優先するというのはこういうことを言うので、ファクタリング契約にあたっては慎重になってください。

2020年以前のファクタリングをめぐる法改正について

現状、ファクタリングをめぐる法改正で最も大きく重要なのは、2020年の民法改正ですが、それ以前にも重要な法改正、法整備が行われファクタリングしやすい環境になりました。

もともと手形取引が多く、期日到来前の資金化は「手形割引」が主流であった日本で、別の選択肢としてファクタリングが一般化したのはここ20年くらいになります。その過程での法改正を紹介します。

法改正1 債権譲渡登記法

債権譲渡登記法は1998年に施行された法律です、法改正ではなく、新規制定ですが法改正の文脈で取り上げます。

上述のように、手形取引、手形割引に特化していた日本の資金化、資金調達が大きく変わる契機になりました。

債権譲渡登記法ができる前も、ファクタリングは民法の一般条項を根拠に可能でしたが、売掛債権(売掛金)譲渡について、法務局に登記ができず、第3者に対する対抗要件になりませんでした。

第3者が「債権譲渡について知らなかった」といえば、ファクタリングを行っても、売掛債権(売掛金)がファクタリング会社に移行している証明ができず、もともとの債権者が債務を負うことがありました。

債権譲渡登記によって売掛債権(売掛金)の権利がファクタリング会社に移っていること公的に確認できます。

このことで、「回収不能リスクの移転」を目的としたファクタリングがしやすくなりました。

ファクタリング会社にとっても、「自分が有効な債権者なのだから売掛金は自社に支払ってください」という法的な主張が可能になりました。

さらに2005年には本法の法改正で債権譲渡登記制度が改定され、より簡便、簡潔な債権譲渡が可能になりました。ファクタリングしやすく国が法改正などで環境整備しました。

法改正2 会社法改正

2006年の会社法改正、「新会社法」は、有限会社がなくなり、新たに合同会社が申請されるなど、それまでの企業文化を大きく変える契機になります。

新しい合同会社を立ち上げた起業家たちは、これまでの日本の旧習であった手形取引や手形割引を使わず、迅速な資金調達方法としてファクタリングも選択肢に入れるようになりました。

それが多くの事業者へ拡散し、ファクタリングが資金調達の一般的な選択肢になりました。

法改正3 下請法中小企業振興法改正

下請中小企業振興法は、1970年に制定された法律ですが、幾度かの改正を経て、以下のことについて親事業者(発注者)と下請け業者(受注者)の間で努力義務を定めています。

      

  • 売掛債権(売掛金)譲渡を円滑にできるようにする
  •   

  • 債権譲渡禁止特約の解除の申し出があった場合、その申し出を十分に尊重する
  •   

  • 下請事業者からの要請に応じて、債権譲渡の承諾に適切に努める

下請け業者(債権者)が売掛債権(売掛金)譲渡をするときに、親事業者(債務者)はそれを尊重すべきという内容であり、暗に3社間ファクタリングについて申し出があれば積極的に同意するように、それで不利な取り扱いをしないようにと促しています。

法改正4 中小企業信用保険法改正

2001年の中小企業信用保険法の改正により「売掛債権(売掛金)担保融資保証制度」が創設されました。売掛債権(売掛金)担保融資保証制度は「動産担保融資」であり、中小企業が金融機関に対して、売掛債権(売掛金)(動産)を担保とした融資を進める際、信用保証協会の保証を付けることができます。

従来の信用保証協会保証付き融資に動産担保融資も加わった法改正です。動産担保融資はファクタリングとは異なり「融資」ですが、この法改正でより売掛債権(売掛金)を資金調達の手段に使おうという機運が醸成され、ファクタリングが広がる下地を作りました、

その意味では、非常に意味のある法改正となりました。

2020年の民法改正(債権法改正)で変更されたこと

ファクタリングに影響する一番大きな法改正は、2020年の民法改正です。明治期以来の民法の内容が、ファクタリング部分に限らず大きく変わることになりました。

民法改正によって、明治期の契約の常識が21世紀の契約の常識に改められました。このことで、戦後判例や慣習によって運営されてきたものも、民法条文に落とし込まれ、新しい時代にマッチした新民法典が作られました。

2009年から10年以上かけて審議されてきたものですが、ようやく「民法の現代化」が果たされることになります。

民法改正(債権法改正)の概要

民法改正によって、新条項が適用されたのが2020年4月1日になります。

民法改正(債権法改正)におけるファクタリング関係、つまり債権譲渡に関するものは以下になります。

  • 債権譲渡禁止特約の債権の譲渡が可能になった
  • 将来債権の譲渡が規定された

この2つの改正はそれまでのファクタリングをめぐる情景を一変させることになりそうです。

それではこの2点についてみていきましょう。

法改正によって債権譲渡禁止特約付きの債権譲渡が可能になった

従来の民法では、売掛債権(売掛金)契約の中で、債権の譲渡を禁止する「譲渡禁止特約」が付いている場合、債権譲渡できない=ファクタリングもできないという解釈がありました。

しかし民法改正(債権法改正)でそれが変わる可能性があります。

改正民法466条2項では、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」という規定が盛り込まれました。

譲渡の効力を妨げないということ、ファクタリング契約が有効になる可能性があります。

それならば、譲渡禁止特約自体が無意味になってしまうのでは?という危惧もあります。ファクタリング業界の解釈として、この規定とファクタリング実務が齟齬をきたさないように以下のような運用としています。

  • 2社間ファクタリングで債務者(売掛先)にバレないようにファクタリングする
  • 3社間ファクタリングで債務者(売掛先)に丁寧に説明して了解を取る

法改正によって従来の確定債権(請求書)のファクタリングだけでなく、譲渡禁止特約が付いた売掛債権(売掛金)も新たにファクタリングできるようになる「かもしれない」、ファクタリング会社の譲渡禁止特約付売掛債権(売掛金)の扱いが変わる「かも」しれないとご認識ください。

譲渡禁止特約付の売掛債権(売掛金)をお持ちで、それをファクタリングしたい場合、ぜひファクタリング会社に相談してみてください。以前よりも買い取りしやすくなっているはずです。

法改正によって将来債権の譲渡が規定された

2020年の民法改正、債権法改正によって、譲渡禁止特約に関する規定以上に重要な法改正として「将来債権」の譲渡について明文化されたことが挙げられます。

これによって、請求書を出している「確定債権」だけでなく、将来発生する「将来債権」についてもファクタリングできるようになりました。

将来債権とは以下のような売掛債権(売掛金)のことです。

  • 債権譲渡時に、その債権が発生していなくてもよい
  • 債権譲渡時に、まだそれが発生していない場合、発生時には譲受人が債権を得る

確定債権とは日時や金額が確定している債権、つまり、請求書を出せる段階の売掛債権(売掛金)です。

「10月31日に9月分50万円振込してください」という請求書です。

将来債権は、それが決まっておらず、クライアントから「今月は30万円の仕事をお願いします」と発注書や注文書が来て同意している段階です。

この将来債権のファクタリングについては、従来の請求書ファクタリング(一括ファクタリング)と対比する形で、「注文書ファクタリング」や「発注書ファクタリング」と呼び、2020年の法改正後、ファクタリングできることが増えました。

注文書や発注書を出した発注元(売掛先)が、有名企業や官公庁や行政機関などであれば、契約通り仕事を完了すれば支払われる可能性が高いので、将来債権の段階でも買い取るファクタリング会社が出てきています。

まだ将来債権のファクタリング(ここで言う「発注書ファクタリング」や「注文書ファクタリング」)に対応しているファクタリング会社は少ないのですが、徐々に増えつつあり、法改正によって、事業主様の資金調達に新しい選択肢ができた事例として注目されます。

売掛先の検品、検収前に資金化できる「注文書ファクタリング」および「発注書ファクタリング」は将来債権の譲渡を可能にした法改正の果実です。

ぜひ選択肢として積極的に検討してみましょう。

ファクタリングと2020年民法改正(債権法改正)のまとめ

ファクタリングそのものを規制する法律や法改正は2020年以降も行われていません。それよりも政府が売掛債権(売掛金)を用いた資金調達、つまりファクタリングや動産担保融資を推奨しています。

民法改正によって、これまで明文化されていなかった

  • 債権譲渡禁止特約付きの債権譲渡が可能になった
  • 将来債権の譲渡が規定された

この2つについて規定されました。

事業主様の選択肢が広がり、よりファクタリングを利用しやすい環境が整備されました。法改正によって規制ではなく、利用しやすい環境を後押しすることになっています。

ファクタリングを用いた迅速な資金調達によって、事業主様の経営改善やキャッシュフロー改善につながります。

信用情報に影響しないファクタリングによる資金調達の有用性がよりはっきりしてきましたので、ぜひ積極的な利用をご検討ください。

法改正の動きも迅速に対応!情報提供します!ファクタリングならば株式会社No.1にお任せ

2020年の民法の法改正によって、将来債権や譲渡禁止特約付債権の譲渡などが明文化され、さらに事業主様とファクタリング会社にとって、ファクタリングできる余地が大きくなりました。

国の方でファクタリングを行う「会場整備」をしてくれるのはとてもありがたく、各ファクタリング会社もそれに沿って積極的に「注文書ファクタリング」など新しいメニューの提供を始めました。

ファクタリングは法規制が緩いので、新しい制度の創設が容易です。将来債権や債権譲渡禁止特約付債権に対応したメニューもすぐにできました。

ファクタリングは迅速な資金化、臨機応変にすぐ対応できるため、動きの速いファクタリング会社をぜひ探してください。

「株式会社No.1」は業界でもとても評価が高いファクタリング会社です。口コミ評価もよく、全国各地の事業主様の迅速な資金調達のため、オンラインファクタリングのシステムも用意しています。最短即日、数時間での資金化も可能です。

当然各種法改正が行われれば、それに対応して新規メニューを作ります。また、事業主様へは、ファクタリングをめぐる法改正の現状や見通しについても随時情報提供いたします。

何か不安なことがあればぜひ株式会社No.1まで聞いてください。丁寧にアドバイス、サポートいたします。

ファクタリングは当事者間の自由な意思が優先される契約行為です。事業主様とファクタリング会社、お互いに信頼しながら良いファクタリング契約をしましょう。

何卒よろしくお願い申し上げます。

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