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民法改正によってファクタリングの利便性が向上!2020年に大きく進化したファクタリング!

ファクタリングは手形取引(手形割引)や銀行融資のように、専門の法律で規定されていない資金調達方法です。手形取引ならば「手形法」、銀行融資ならば「銀行法」や「利息制限法」によって規制されます。

しかし、ファクタリングはよくも悪くも「ファクタリング法」のような特別法がなく、一般法である民法の規定が適用されるのみです。

したがって、かなり高い手数料も、公序良俗に反するような尋常ではないもの以外は、当事者間で合意すれば有効になるなど、当事者間の自由な契約行為、意思表示が有効になります。

細かな規定がないので、自由な契約行為の中で迅速な資金化、資金調達が可能になりますが、利用者に不利な条項があっても、民法上無効、取消にできるもの(詐欺、脅迫、虚偽表示、錯誤、公序良俗違反など)以外の契約は有効です。

利用者の使い方次第、という点が大きいのですが、2020年の民法(債権法)改正に合わせて、ファクタリングに関してできることが増えました。民法の中に条文として書かれたことで、さらにファクタリングの利便性についてお墨付きを得た状態です。

今回は2020年の民法改正がファクタリングに及ぼした影響について説明していきます。

ファクタリングの法的根拠は民法466条

まず大前提として、ファクタリングの根拠になる法律を確認しておきましょう。ファクタリングも当然法的根拠がある法律行為です。

ファクタリングの根拠は民法466条になります。

ファクタリングは、売掛金(売掛債権(売掛金))を第三者(この場合ファクタリング会社)に有料で譲渡する(買い取ってもらう)法律行為です。

売掛金や給与を受け取る権利について民法第466条で「財産権」と規定されています。

財産権は原則として自由に譲渡できます。つまり、財産権である売掛債権(売掛金)の譲渡であるファクタリングは合法です。

民法における契約自由の原則、私的自治の原則をもとに当事者間で合意できれば、ファクタリングによる資金化は合法な行為になります。

その際、「言った」「言わない」を防ぐためにも契約書を作成するのが原則です。民法上、契約は書面ではなく口頭(口約束)でも成立しますが、後々のトラブルを避けるためにも確実に書面を作成しましょう。

債権譲渡前に債務者(クライアントや売掛先)に対して、譲受人(ファクタリング会社)が事前に了解を取ることで、対抗要件を備えられます。売掛債権(売掛金)が債権者からファクタリング会社に移ったことを他人に主張できるので、法的な主張ができます。

そのためには、「3社間ファクタリング」を行うか、債権譲渡登記をして、法的な関係を安定させる必要があります。

債権譲渡可能な売掛債権(売掛金)かどうかが、後で取り上げる債権譲渡禁止特約と改正民法のトピックスになります。

ファクタリングが法的に無効なケース

上記のようにファクタリングは民法466条で定められた合法な法律行為です。

  • ファクタリングについて定めた特別法がない(ファクタリング法のようなものがない)
  • 民法の契約自由の原則が適用される

というものであり、当事者間の合意が優先する使い勝手の良い資金調達方法になります。

ファクタリングが無効、取消になるのは限られたケースです。

民法の一般原則によってファクタリングを無効、取消にできるのは

  • 公序良俗違反
  • 信義則違反
  • 心裡留保
  • 錯誤
  • 詐欺
  • 脅迫
  • 契約能力がない人による契約(未成年者、後見人がついている人など)

など限られたケースになります。未成年者などが行ったファクタリング契約は取消にできますが、それ以外はよほどのケース以外は民法上有効な契約になります。

手数料が相場よりも高い、買取率が低い、程度ではファクタリング契約は有効です。

無効になるのは、100万円の売掛債権(売掛金)を50万円で買い取ったというような、誰がどう見てもおかしいケースです。

そうした契約以外は、請求書さえあれば、債権者(事業主様)とファクタリングが合意すれば有効な契約になるのがファクタリング、それを覚えておきましょう。

2020年民法(債権法)改正について

それでは本題に移ります。特別法がなく、民法の一般条項で規定されるファクタリングですが、民法(債権法)改正に合わせて、より現代的な内容にアップデートされました。ファクタリングについて新しく規定されたのではなく、他の条文と合わせて債権譲渡などについて内容が現代にマッチしたものに変わり、それに伴いファクタリングに関係する部分も変わったという流れになります。

民法(債権法)改正の経緯

明治期に制定されていた民法は、戦後、「家父長的家制度」を排するため、家族法の部分は改正されましたが、それ以外の部分については改正されず残っていました。

つまり「〇〇スベキ」「〇〇トシテ△△デアル」など明治期のカタカナ表記の民法は、家族法以外、2000年代(2005年)、21世紀になるまでずっと残っていたのです。

それを2005年に口語訳(現代語、ひらがな表記)にしましたが、明治期の民法の内容は時代に合わなくなっていました。そのため、現代の契約、商慣習、価値観にアップデートする必要があります。

2009年に「民法(債権関係)部会」は法務省内で始まります。実は筆者は委員に随行して、その会議に出ていたことがあります。

その際にわかったのは、あらかじめ根回しされていて、民法改正の内容はほぼ固まっていたということです。

各団体の「有識者」の意見を聞いたうえで改正案を政府に提出するという立て付けになっていますが、実際には、司法試験に合格している法務官僚と民法学者(大学教授)、有力な弁護士で話はついていたようです。

そのあたりの経緯はこれくらいにしますが、法制審議会の議論を経て政府に答申が出され、それをもとに明治期以来の債権部分の民法大改正がなされました、

その改正法が施行されたのが2020年4月1日です。

民法(債権法)改正のポイントは多岐にわたりますが、ファクタリング関係、つまり債権譲渡に関するものでいえば、以下の2点になります。

  • 債権譲渡禁止特約の債権の譲渡が可能になった
  • 将来債権の譲渡が規定された

この2つの改正はそれまでのファクタリングをめぐる情勢を大きく変えることになります。

それではこの2点についてみていきましょう。

実際の改正民法の条文をチェック!

まず、実際に2020年に改正された民法のファクタリングにかかわる個所を抜粋しました。
これをもとにファクタリングについて運用が変わりました。

2020年に改正した民法(債権法)で譲渡禁止債権について関係する部分が以下になります。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

(将来債権の譲渡性)
第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
3 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。
民法(法令検索)

ファクタリングに関係するのは「第四百六十六条」と「第四百六十六条の六」の2つの項になります。それを以下で解説していきます。

債権譲渡禁止特約の債権の譲渡が可能になった(改正民法第四百六十六条)

従来の民法では、売掛債権(売掛金)契約の中で、債権の譲渡を禁止する「譲渡禁止特約」が付いている場合、債権譲渡できない、つまりファクタリングもできないと解されていました。

譲渡禁止特約付きのものはファクタリングできませんし、ファクタリング会社も譲渡禁止債権の買い取りは拒否していました。

しかし、民法(債権法)改正によって譲渡禁止特約付きの債権についても譲渡(ファクタリング)できる可能性があります。

改正民法466条2項では、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」となっています。

譲渡の効力を妨げない=有効な契約になる可能性がある、というわけです。

当事者が譲渡禁止の意思表示(譲渡禁止特約)をしても、その債権譲渡は妨げられない→可能であると読めます。

しかし、どのような場合も債権譲渡=ファクタリングが有効であるとも言えません。

同民法466条3項では「譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ」と書かれています。

この場合の「譲受人」はファクタリング会社、債務者は「売掛先」になります。

この条文から「ファクタリング会社が譲渡禁止特約について知っていた、あるいは重大な過失(すぐに調べればわかる)があった場合」、売掛先はファクタリング会社への債権譲渡を拒めるように読めます。

そうなると

「譲渡禁止債権のファクタリングも効力を妨げられない」(ファクタリングできる)のに「売掛先はファクタリング会社への売掛債権(売掛金)譲渡(譲渡禁止債権)を拒める」という一見矛盾した状態になってしまいます。

ファクタリング会社がまったく過失なく譲渡禁止特約があったことを知らない場合のみファクタリングが有効になるのでしょうか?

改正民法の譲渡禁止債権についてのこの規定に反しないようにするには、以下の2つの方法があります。

  • 2社間ファクタリングで債務者(売掛先)にバレないようにファクタリングする
  • 3社間ファクタリングで債務者(売掛先)に丁寧に説明して了解を取る

どちらかになります。

実は、民法466条3項の規定をよく見てみましょう。

「譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ…」とあります。債務者(売掛先)が債務の履行(売掛金の支払い)を拒否できるのは、「譲受人」(ファクタリング会社)と関係ない第三者のみなのです。

つまり、元々の債務履行先(売掛金支払先)である債権者(事業主様)に対しては支払い義務が残ります。

つまり、2社間ファクタリングの場合、ファクタリングで売掛債権(売掛金)買い取り→資金化→支払期日到来→債務者は債権者に支払い→債権者がファクタリング会社に支払うという流れになります。

譲渡禁止特約付債権であっても、ファクタリング会社に譲渡した後、債務者が債権者に支払うのは拒否できません。

2社間ファクタリングの場合、バレてもバレなくても、債務者が支払いを拒否できない流れなので、合法です。むしろ2社間ファクタリングのためにできた規定にすら読めてしまいます。

一方、3社間ファクタリングの場合、支払期日が到来すると元の債権者ではなく、譲受人であるファクタリング会社に債務者が支払います。この場合、譲渡禁止特約が活きます。譲渡禁止特約があり、ファクタリング会社が悪意がある(譲渡禁止特約について知っていた)or重過失の場合、債務者がファクタリング会社に支払うのを拒否できます。

したがって、3社間ファクタリングで「譲渡禁止特約がありますがファクタリングしました」と債務者(売掛先)の了解を得ないと、民法466条3項を主張され、ファクタリング会社が資金を回収できなくなります。償還請求権のないノンリコース契約なら、ファクタリング会社は債権者(依頼主様)への請求もできません。

将来債権の譲渡が規定された(改正民法第四百六十六条の六)

2020年の民法(債権法)改正によって、譲渡禁止特約に関する規定のほかに、従来の確定債権だけではなく、将来発生する「将来債権」についてもファクタリングできるようになりました。

将来債権とは以下のような債権(売掛債権(売掛金))を指します。

  • 債権譲渡時に、その債権が発生していなくてもよい
  • 債権譲渡時に、まだそれが発生していない場合、発生時には譲受人が債権を得る

というものです。

従来のファクタリングについては確定債権、つまり、売掛金が支払われることが確定しているもの、しかも金額も確定し、請求書を発行した売掛債権(売掛金)に限定されていました。

しかし、改正民法第四百六十六条の六によって「その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない」債権、つまり、将来発生するであろう債権の譲渡をファクタリングについてもできると明文化されました。

これにより、従来の請求書の買い取りだけでなく、発注書や注文書の段階でのファクタリングもできるようになりました。

日時金額等が未確定でも、将来的に一定の債権が発生すると予想されるもので、その可能性が高いものについては、売掛先(支払元)が信用できることが条件ですが、注文書や発注書の段階でファクタリングできるようになります。

この将来債権のファクタリングを「注文書ファクタリング」や「発注書ファクタリング」と呼びます。注文書や発注書を出した発注元(売掛先)が、官公庁や行政機関などであれば、支払われる可能性が非常に高いので、ファクタリングできます。

ただし、今回の民法改正で可能になった将来債権のファクタリングは、すべてのファクタリング会社が行っているわけではありません。

対応しているのはまだ一部のファクタリング会社に限ります。また、確定債権と比べて、実際に仕事が完了しない、できない、金額が変わる(減額される)リスクも否定できません。

そのため、従来の確定債権のファクタリングと比べて、手数料が高く、掛け目(買取率)が下がる傾向にあります。しかし、支払いサイトが非常に長い建設業やIT業の場合、請求書(確定債権)まで待っていては資金調達が間に合わない可能性もあります。

その場合、検品、検収前に資金化できる将来債権のファクタリングである「注文書ファクタリング」や「発注書ファクタリング」は新しい選択肢として検討に値します。

ファクタリングと2020年民法(債権法)改正のまとめ

ファクタリングそのものを規制する法律は2020年以降も制定されていません。

2020年の民法(債権法)改正によって、これまで明文化さえていなかった

  • 債権譲渡禁止特約の債権の譲渡が可能になった
  • 将来債権の譲渡が規定された

の2点について記載されました。

これにより、これまでファクタリング会社が躊躇っていた「譲渡禁止特約付き売掛債権(売掛金)のファクタリング」「将来債権のファクタリング(「注文書ファクタリング」や「発注書ファクタリング」)」について前向きになり、ファクタリングメニューに加えるファクタリング会社も増えてきました。

事業者様におかれましても、さらに選択肢が増えることとなり、迅速で臨機応変な資金調達、資金化が可能になりました。

より適時適切な資金調達によって、会社の経営改善、キャッシュフロー改善につながります。つなぎ資金の調達方法として、よりファクタリングの有効性が増しました。このチャンスをぜひ活かしてください。

改正民法によるファクタリングの多様化にも対応します!ぜひNo.1のファクタリングで

2020年の民法(債権法)改正によって、多様なファクタリングメニューに法的お墨付きが与えられた部分があります。

ファクタリングは迅速な資金化、臨機応変に対応できるのがメリットですので、各ファクタリング会社も積極的に動いています。

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