カテゴリー: ファクタリング
手形割引とファクタリングの違いを徹底比較
企業が資金調達を行おうとするときに、比較的審査が優しくなっているので選択しやすいのが手形割引とファクタリングです。
手形割引については受取手形を利用して資金調達を行います。ファクタリングは売掛金を利用して資金調達を行います。
そこで気になるのが手形割引とファクタリングのどちらを利用したら良いのか、ということです。こちらでは手形割引とファクタリングの違いを明らかにします。
そもそも手形割引とは?
自社が商品を売ったり役務の提供に対して、その代金として現金の代わりに手形を受け取ったとします。
その受け取った手形を金融機関または手形割引業者が支払期日前に買い取って現金化することをいいます。
手形の支払期日前に現金化するわけですから、手形の支払期日までの金利を割引料として支払うことになります。
割引された手形は、支払期日に支払地の金融機関へ取立により決済され資金が回収されるのです。
また、ほとんどのケースで割引された手形の不渡りが発生した場合、該当手形の金額を割引依頼人が弁済しなくてはなりません。
ファクタリングと手形割引の比較
ファクタリングと手形割引はどう違うのか、コストなど違いを具体的に解説していきます。
コストの違い
手形割引のコストはどれくらいかかるのか?
手形割引は銀行とノンバンクで行われており、どちらを選ぶのかによっても手数料が大きく異なっています。
- 銀行の手形割引の手数料率・・・1%台から5%程度
- ノンバンクの手形割引の手数料率・・・3%から15%程度
銀行のほうが圧倒的に手数料率は抑えられています。だからといって銀行がおすすめとは限りません。
そもそも手数料率の高低によって審査難易度が大きく異なっているわけです。手数料率が低いということはそれだけ審査が厳しいということになります。
では実際にどれだけの手数料が取られるのでしょうか?
ある受取手形の額面が300万円であるとします。
手数料率が10%であるとすると、手数料は300万円×10%ということになり「30万円」となります。
よって実際の受取額は270万円です(300万円-30万円)。
ファクタリングの手数料はどれくらいかかるのか?
ファクタリングについては取引方法によって相場が異なっています。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによっても異なってくるのです。
- 2社間ファクタリングの手数料率・・・10%から20%程度
- 3社間ファクタリングの手数料率・・・1%から5%程度
少し手数料率の幅が広くなってしまいましたが、基本的に3社間ファクタリングのほうが有利に設定されています。
3社間ファクタリングについては、取引に取引先も絡んできます。
ファクタリング業者自体に売掛金が振り込まれる事になるので、ファクタリング業者としてはリスクが低いのです。
よって手数料率が低く設定されることになるのです。
一方の2社間ファクタリングは、契約にはファクタリング業者と申し込み企業しか関わりません。
売掛金の受け取りも通常通りに申し込み企業が行い、申し込み企業からファクタリング業者へ振り込まれます。
よって2社間取引はファクタリング業者からみるとリスクが高いということになり、結果として手数料が高くなってしまうのです。
手形割引とファクタリングのコストの比較まとめ
問題はどちらのほうが有利なのか、ということですよね。手数料率について考えてみると、手形割引のほうが有利となります。
手数料率自体が手形割引のほうを有利に設定していますが、期間的なものも考えなければなりません。
ファクタリングの場合は先のものであったとしても1ヶ月先から2ヶ月先に入金予定のものを現金化します。
一方で受取手形の入金は3ヶ月先や6ヶ月先というものもあります。
より先のものを早期に現金化できるわけです。
手数料を年利で考えてみるとわかりやすいかもしれません。
たとえば手数料率を10%だとして、1ヶ月先に入金予定の売掛金を現金化するとします。
年利に直すと(10%×12ヶ月)となるので120%にもなってしまいます。
一方で同じく手数料率10%で6ヶ月先に入金予定の手形を現金化するとします。
このケースの年利は20%(10%×12カ月÷6カ月)です。
手形割引のほうが期間的に先にある入金予定のものを現金化することになるので、手数料率については有利、と判断できるわけです。
しかしながら、手形割引には割引された手形の不渡りが発生した場合、該当手形の金額を割引依頼人が弁済しなくてはならないなどのデメリットもあるのでその点は十分に注意して下さい。
貸し倒れリスクの違い
手形割引の貸し倒れリスクについて
手形割引には貸し倒れリスクがつきまといます。
そもそも手形割引は法律的には「手形の売買」と考えられていますが、実質的には手形を担保にした「融資」と位置づけされています。
よって手形を担保に入れることによってお金を借りる、ということになるわけです。
仮に手形を業者側に売却するタイプの資金調達法であれば、「売却後に債権がどうなっても知らない」となりますが、融資であり担保なのでどうしようもありません。
仮に手形割引を利用している最中に対象の手形が貸倒れるような形になってしまうと、自社が対応しなければならないわけです。
一般的に「買戻請求権」と呼ばれるものです。
たとえば500万円の手形を手数料率10%で手形割引を行ったとします。
入金される額は450万円ですが、貸し倒れが発生したら業者側に対して500万円を自社が支払わなければなりません。
そして取引先に対して回収業務も行わなければならないことになるのです。
手形の買戻請求権とは
割引手形が不渡りとなってしまった場合、その手形の金額を割引依頼人が弁済を行うことになります。
割引手形の仕組みとしては通常、金融機関が手形の支払期日に支払人から取立を行うことで回収されるようになっています。
この段階で不渡りが起きてしまうと、割引手形は事故扱い(延滞融資)として扱われることになってしまいます。
割引手形は性質として「手形の売買」とする見解が法律上ではあります。
しかし、「手形の売買」の時点で取引が終了したとはならずに、手形を買戻す権利が留保されている状態にあるのです。
そのため、金融機関は割引依頼人に買戻しを要求することができるのです。
手形の買戻請求権を主張できるケース
この権利を主張できるケースとしては
- 手形に不渡りが生じた時
- 手形の信用性に問題がある時
- 割引依頼人の信用性に問題がある時
などがあります。
問題は手形の貸し倒れ率は高いのか、という部分でしょう。実はそれほど高いわけではありません。
企業の業績が悪くなったとしても手形の支払いができなくなるのは、本当に最後の最後です。
その理由として、手形の支払いができなくなることを「不渡り」と呼ぶわけですが、仮に6カ月以内に2回以上の不渡りが出ると銀行から取引停止の処分を受け、要は事実上の倒産になってしまうわけです。
よってよほどの場合でなければ貸し倒れにはならないのです。
ファクタリングの貸し倒れリスクについて
ファクタリングには貸し倒れリスクは一切ありません。
手形割引とは異なっており、ファクタリングの場合は債権の売却です。
自社の売掛金をファクタリング業者に売却してしまうので融資ではありません。
だからこそ、仮に売掛先が倒産をしたとしてもそのリスクはファクタリング業者が背負うことになります。
「償還請求権なし」とされます。
「ノンリコース」とも呼ばれていますが、取引先の状況に影響を受けることなく資金調達ができるので、「不安定な資金調達はしたくない」といった企業に向いています。
「2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2つの取引方法があるけど、どちらにも貸し倒れリスクはないの?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。
どちらにも貸し倒れリスクはありません。
2社間ファクタリングであろうと3社間ファクタリングであろうと「償還請求権なし」に設定されています。
手形割引とファクタリングの貸し倒れリスク比較まとめ
貸し倒れリスクだけをみると、圧倒的にファクタリングが有利となります。
そもそもファクタリングの場合は取引先が倒産しようと関係ありません。
倒産したとしてもファクタリング業者に請求されることはないのです。
実際に売掛金の貸し倒れリスクを引き下げるためにファクタリングを利用している企業もあるほどです。
怪しい取引先の売掛金はファクタリングで対応するのもおすすめです。
業者の安全性の違い
手形割引業者の安全性とは?
手形割引業者は比較的安全といわれています。手形割引業者の安全性が高い理由として、貸金業法があります。
貸金業法は銀行はもちろんノンバンク、消費者金融などが守らなければならない法律です。様々な取り決めがあり、お金を貸す、ということについては厳しく規制されることになります。
手形割引に関しては、手形を担保に入れた融資です。
※貸金業法第1章総則
第2条(定義)
この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。
出典:貸金業法 – Japanese Law Translation
とあります。
融資であるからこそ貸金業法を守らなければなりません。
法律を守らなければ業務停止や最悪の場合、貸金業の登録取消をされますので、安全性は比較的高い、と判断できます。
しかし、貸金業法による規制があるからといって、すべての手形割引業者が安全とは言えません。
前述したように消費者金融業者も貸金業法によって規制を受けていますが、ヤミ金は存在しているわけですよね。
注目してほしいのが貸金業登録です。
- 貸金業登録をしている業者・・・貸金業法を守っている
- 貸金業登録をしていない業者・・・貸金業法を守っていない
貸金業登録をせずに手形割引を含めた融資を実施している業者はヤミ金となります。
よって手形割引を利用する場合には、必ず業者の貸金業登録を確認してください。
貸金業登録に関しては金融庁のホームページから簡単に確認できます。
業者名からでも検索できるので、利用を検討している業者が既にある場合にはチェックしておきましょう。
ファクタリング業者の安全性とは?
本来ファクタリングは、売掛金を売却することによって現金を得る資金調達法です。今まで多くの企業を救ってきました。
しかし、残念なことにファクタリング業界については、ファクタリングの名を語った単なる担保融資のケースが多く報告されているのです。
たとえば100万円の売掛金を担保として受け取り、50万円を渡します。そして期日になったら売掛金額の100万円を請求してくるのです。
このケースでは手数料率はなんと100%にもなります。このように法外な手数料率を平気で設定してくるヤミ金も紛れ込んでいるので注意してください。
そのほかにも
- 担保や保証人を要求される
- 契約書がない、契約書の控えをもらえない
- 連絡は固定回線ではなく携帯電話を使用
- 公正証書の作成を要求される
- 事務所の所在が不明
- 自社の株式譲渡を要求される
例えをあげるときりがありませんが、上記は典型的なヤミ金の手口といえるでしょう。
では、なぜファクタリング業界には危ない業者が紛れ込んでくるのか?それは、手形割引のところでお伝えした「貸金業法」の対象外であるからです。
貸金業法の対象外であることを逆手に取り、ヤミ金のような法外な手数料を徴収してこようとする業者も紛れ込んでくるので気をつけましょう。
手形割引とファクタリングの安全性の比較まとめ
安全性は手形割引業者のほうが高いです。だからといって手形割引業者のすべてが安全とは限りません。
銀行であればまっとうな対応をしてくれますが、ノンバンクの中にはヤミ金のようなところが紛れ込んでいるのも確かです。利用前には必ず手数料などを確認し、その上で契約書に怪しいところがないかを確認しましょう。
審査難易度の違い
手形割引の審査難易度とは?
手形割引の審査難易度はファクタリングよりも高いです
ファクタリングよりも審査難易度が高い理由として「自社の返済能力が審査で問われる」というものがあります。手形割引はあくまで手形を担保に入れた実質的な「融資」なので、返済能力が求められるのです。
「割引手形が資金化されれば、それで良いんでしょ?」
と思われるかもしれませんが、確かに手形が確実に資金化されるのであれば、問題ないかもしれません。
しかし手形が100%資金化されることになるでしょうか?
手形が貸し倒れ状態になってしまった経験はありませんか?
仮に手形割引に利用した手形が貸し倒れてしまったらどうなるのでしょうか?
実は自社で対応しなければなりません。
手形割引業者としては、手形が資金化されようがされなかろうが関係ありません。
事故(不渡り)が起これば、返済はしっかりとしてもらう、といった考え方なのです。
貸し倒れであるからといって返済を猶予してくれることもありません。
仮に手形割引に利用した手形が事故(不渡り)になってしまえば、経営が一気に悪化する可能性もあるのです。
実際に手形割引に利用した手形が事故(不渡り)になってしまったことで倒産に至ってしまって例もあるほどです。
手形割引で審査が通りにくい例
手形割引の審査は、振出人の会社の信用だけで100%決まるわけではありません。
手形割引業者はあらゆる要素を多角的に判断して可否を決めるのです。
基本は、振出人の会社の信用状況をみます。
大手企業であれば、その企業のホームページに掲載されているIR情報や決算情報その他、重要な情報がないかのチェックを行います。
大手企業以外であれば、東京商工リサーチや帝国データバンクなどの企業情報などを参考にします。
また、手形割引業者が利用できる信用情報機関に照会して振出人の手形の振出状況や決済状況を確認し、売上規模に見合った手形振出し残高なのかもチェックを行うのです。
手形の裏書人がいる場合には、裏書人とのつながりや、裏書人の信用度も見る場合があるのです。
場合によっては、振出人の信用よりも裏書人の信用で可否を審査することもあるのです。
また、銀行などの大手金融機関で手形割引を考えている場合、自社が以下のような状態であると審査は難しくなります。
- 創業したばかりである
- 税金未納状態である
- 債務超過状態である
- 赤字決算が続いている
基本的に自社の返済能力が低いと判断されるような状況の時には審査のハードルは高くなります。
創業したばかりであると、取引先が確立されていないかもしれません。
売上も不透明ですよね。
税金未納ということはすでに資金がショートしていると考えられます。
経営が行き詰まっているかもしれないので、金融機関も警戒します。
債務超過の場合は月々の返済がかなりのものになっているかもしれません。
やはり返済能力を疑われてしまうのです。
赤字決算については直前の1期だけであれば問題ありません。
しかし2期以上続いて赤字決算になっている場合には、審査でかなり不利になってしまいます。
ファクタリングの審査難易度とは?
実は手形割引とファクタリングの審査対象は異なっています。
- 手形割引の審査対象・・・振出人+手形持込会社(自社)
- ファクタリングの審査対象・・・売掛先
ファクタリングの場合は自社も一定の審査を受けることになりますが、そもそも売掛金を支払うのは売掛先ですよね。
よって審査対象のメインは売掛先となるのです。
ファクタリングについては、自社が創業間もなかったとしても税金未納であったとしても、赤字が2期以上続いていたとしても利用できたケースは枚挙に暇がありません。
債務超過でもファクタリングなら利用できるチャンスがあるのです。
手形割引とファクタリングの審査難易度比較まとめ
ファクタリングのほうが審査難易度は低めであり、利用できる確率が高い、ということになります。
そもそも資金調達をするということは、会社経営に何かしらの問題がでている、ということになりますよね。
債務超過しているのかもしれませんし、税金が未納になっているかもしれません。
しかしファクタリングは自社の経営状態がほとんど審査には反映されません。
売掛金が入金されればファクタリング業者としてはOKなので、審査対象は売掛先なのです。
自社の経営状態が悪かったとしても利用可能なのです。
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