ファクタリングの不正利用により裁判まで発展した例

訴状

平成28年7月12日

東京地方裁判所民事部 御中

原告 東京都豊島区東池袋3丁目5番7号 ユニオンビルヂング501号室
   株式会社No.1

被告 福島県喜多方市豊川町米室字二条川原1862番地99
   株式会社アメニティホールディングス

被告 福島県喜多方市豊川町米室字二条川原1862番地99
   杉原吉朝

売買代金返還等請求事件

訴訟物の価格 170万0000円
貼用印紙額  1万4000円

第1 請求の趣旨

1.被告らは、原告に対し、各自金170万円及びこれに対する平成28年3月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

2.訴訟費用は被告らの負担とするとの判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因

1.概要

本件は、①原告が被告アメニティホールディングス(以下「被告会社」という。)から訴外人(株式会社一条工務店)に対する債権を譲り受けたところ、被告会社と同訴外人との間に取引は存在せず、したがって当該債権はそもそも存在しなかったことから、被告会社の詐欺に基づき債権譲渡契約に係る原告の意思表示を取消して、代金の返還を請求するとともに、②同契約締結に際し、被告会社代表取締役として原告を詐罔した被告杉原吉朝(以下「被告杉原」という。)に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求するものである。

なお、併合請求管轄の関係で、両請求に係る権利は同一の事実上の原因に基づくものというべきである(民訴法7条ただし書きの準用する同法38条前段該当)。

また、訴額の関係で、後述第3、2記載のとおり、訴えで主張する利益は、両請求について共通であるというべきである(民訴法9条1項ただし書き該当)。

2.当事者

原告はファクタリング業(債権買取業)等を目的とする株式会社、被告会社は建設工事の設計、施工、請負及び監理等を目的とする株式会社、被告杉原は、次述の詐罔行為当時以降現在に至るまで被告会社の代表取締役を務める者である。

3.詐罔行為

(1)債権譲渡契約の締結

原告と被告会社は、平成28年3月7日、以下の債権譲渡契約を締結した(甲1。以下「本件契約」という)。

譲渡人 被告会社
譲受人 原告
第三債務者 株式会社一条工務店

債権及び債権額 売掛金債権(加藤〇司様邸新築工事代金261万3600円のうち100万円、及び、角田〇治様宅新築工事 大工工事代金307万8000円のうち100万。合計200万円)。

代金額 170万円

(2)債権の存在の偽装

ア 被告杉原は、原告に対し、被告会社の代表取締役として、本件契約締結に至る過程において、被告会社の株式会社一条工務店に対する請求書や(甲2。甲1の2、甲1の3と同じ文書)、同社から被告会社に対して入金があったかのような通帳記録を示し(甲3)、あたかも被告会社が株式会社一条工務店との間で平常取引を有し、かつ本件契約の目的たる債権が存在するかのように説明し、原告にその旨を誤信させた。

イ さらに、被告杉原は、原告に対し、被告会社の代表取締役として、本件契約締結後の平成28年3月9日、株式会社一条工務店から被告会社に対する発注書を偽造したものや、被告会社が株式会社一条工務店に未収入の売掛金を有するかのような記載をした帳簿の写しを送付し(甲4)、上記の誤信を増強した。

ウ しかし、実際には、被告会社は株式会社一条工務店との間に取引を有したことはなく(甲5)、したがって、本件契約の目的たる債権は不存在であり、かつ上記の請求書等は、いずれも同債権があたかも存在するかのように見せかけるために、被告会社ないし被告杉原において偽装し、あるいは偽造したものであった。

4.代金の支払

原告は、被告会社に対し、平成28年3月8日、本件契約に基づき、金170万円を支払った(甲6)。

この支払は、3(2)ア記載の誤信に基づいたものであり、もしこの誤信に陥っていなければ、原告が被告会社に170万円を支払うことはなかった。

また、3(2)イ記載の偽装行為によって原告の誤信は増強され、被告会社に支払った代金を回収する時機を失した。

5.意思表示の取消

原告は、被告会社に対し、平成28年5月5日、被告会社の詐欺に基づき本件契約に係る原告の意思表示を取り消す旨を通知した(甲7)。

6.損害の発生

原告の認識としては、被告会社に対し、本件契約に基づいて4記載の代金を支払ったのであるが、3(2)ウに述べた通り、同契約の定める債権はそもそも存在しなかったから、これを譲り受けることは原始的に不能であった。

そのため、原告による上記170万の支払いは、当然に全額が損害となる。

7.まとめ

以上を要するに、原告は、被告杉原による3(2)ア記載の偽造・偽装行為によって「本件契約の目的たる債権が現に存在する」との誤信に陥った結果、被告会社との間で本件契約を締結し、被告会社に対し、4記載の代金支払を行った。

原告は本件契約に係る意思表示を被告会社の詐欺に基づき取り消したから、被告会社による同代金の保持は不当利得であり、かつ被告会社は民法704条所定の悪意の受益者であるから、被告会社は、原告に対し、受益の日すなわち原告による代金支払の日である平成28年3月8日以降の利息を付して原告にこれを返還する義務を負う(利息発生の始期につき、参考大判昭和2年12月26日・法律新聞2806号15貢。)

また、被告杉原の行為は原告との関係で不法行為となるから(代表取締役による不法行為について、参考最一小判昭和47年9月21日・集民106号721貢)、被告杉原は、原告に対し、損害発生の日である平成28年3月8日以降の遅延損害金を添えて損害賠償金を支払う義務を負う。

よって、原告は、①被告会社に対しては、被告会社の不当利得に基づき、利得金170万円及びこれに対する平成28年3月8日以降支払済みまで商事法定利率年6分の割合による民法704条所定の利息の支払を求めるとともに、②被告杉原に対しては、被告杉原の不法行為に基づき、損害賠償金170万円及びこれに対する平成28年3月8日以降支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第3 事情その他

1.事態発覚の経緯について

原告はファクタリング業を行う者であるが、顧客にしてみれば、債権を現金化することで、喫緊の資金需要を満たすことに取引の基礎がある。

そして、一般に、債権の譲渡は、資金繰りの悪化を取引相手(すなわち譲渡対象とされた債権の債務者。第三債務者)に感じさせる。

そのため、顧客からは、第三債務者に債権譲渡の事実をなるべく知られたくないという要望が出てくる。

そこで、原告は、債権譲渡をしても、直ちに第三債務者に対して譲渡通知を行うのではなく、債権譲渡登記に譲渡の事実を登記した上で、債権譲渡人に債権の取り立てを行わせ、それを原告に納付する方式を採用している。

原告が、本件債権譲渡契約締結前後の段階で同契約の目的とする債権が不存在であることに気づかなかったのは、いうまでもなく被告杉原による周到な詐罔行為の結果であるが、そのほかに以上の事情が関係している。

2.被告らに対する請求間の関係について

被告らに対する請求は、実質的には、一方が満足すれば他方が消滅する関係に立つ。

なぜなら、被告会社に対する請求は、代金返還請求であり、被告杉原に対する請求は、当該代金の支払をもって損害とする内容の損害賠償請求であるからであり、かつこれらに付するべき遅延損害金は、金銭債務の不履行によって生じる法定利息だからである。

そのため、第1に、訴えで主張する利益(民訴法9条1項ただし書き)は、両請求について共通であるというべきである。

また、第2に、両請求に係る債務は不真正連帯の関係にあるといって差し支えない。

証拠方法

甲1号証の1 債券売買等契約書、原告及び被告作成、平成28年3月7日付、原本

甲1号証の2 請求書(工事名 角田〇治様邸新築工事とあるもの)、被告会社作成、平成28年2月29日付け、原本

甲1号証の3 請求書(工事名 加藤〇司・〇子様邸新築工事とあるもの)、被告会社作成、平成28年2月29日付け、原本

甲2号証 ファックス送信書(平成28年3月7日付)、被告会社作成、平成28年3月7日付け、写し

甲3号証 被告会社名義の預金通帳(大東銀行 店番63(喜多方支店)普通預金口座1367127)、被告会社名義、写し

甲4号証 ファックス送信書(平成28年3月9日付)、被告会社作成、平成28年3月9日付け、写し

甲5号証の1 「御通知」、株式会社一条工務店作成、平成28年4月7日付け、原本

甲5号証の2 株式会社一条工務店の封筒(甲5号証の1を封入して原告に郵送してきたもの)、同社作成、平成28年4月7日付け、原本

甲6号証 原告名義の預金通帳(八千代銀行 店番18(東池袋支店)、普通預金口座0644984、債権譲渡代金170万円の支払に関する部分の抜粋)原告会社名義写し

甲7号証の1 「詐欺取消、支払催促のご通知」、原告代理人弁護士作成、平成28年5月2日付け、原本

甲7号証の2 「郵便物等配達証明書」、日本郵便株式会社作成、平成28年5月5日付け、原本

付属書類

1.訴状副本 2通
2.甲号証の写し 各3通
3.訴訟委任状 1通
4.資格証明書(原告及び被告会社の会社登記事項証明)2通

判決について

当然といえば当然の結果ですが、弊社が全面勝訴となりました。

今回のケースは被告会社、株式会社アメニティホールディングス 代表取締役杉原吉朝が事実関係を認め返金の支払をする事を約束したので刑事告訴までは発展しませんでしたが、ファクタリングの不正利用は犯罪です。

また、返金の支払を約束しておいて支払期日に支払がない場合には刑事告訴に発展しますのでご注意ください。

虚偽の報告、偽造・偽装書類によるファクタリングの不正利用は絶対にやめてください。

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