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ファクタリングは適法な契約行為!しかし違法になるケースが判例で積み重なっていることを確認しよう

ファクタリングは融資とは異なる資金化手法として近年注目されています。
融資の場合、銀行法、貸金業法、利息制限法などさまざまな法律によって規制されています。

しかしファクタリングはそうした「〇〇法」の適用がなく、当事者間の自由な意思によって契約できることが大きな強みになっています。

そのためファクタリングは民法の一般原則のみが適用される、という認識が広まっています。
しかし、法律がない場合、裁判所の判決=判例がその代わりになることも知っておきましょう。

法律がない部分を埋めるのが判例であり、判例を知らなくても法律の現場では判例によってさまざまなことが決まります。

今回はファクタリングにまつわる判例について紹介します。
判例を知ることで、すべて「当事者間の自由な意思、契約」によってファクタリングが決まるわけではないことをご理解いただけるはずです。

判例についての基本知識

まず「判例」というものについて簡単に理解しておきましょう。

判例は、裁判において具体的事件に対して、裁判所が示した法律的判断を指します。
日本の法律体系の中では「判例」は特に最高裁判所が示した判断であり、下級審(地方裁判所、高等裁判所)の判決は実務上「裁判例」と呼ばれ区別されています。

ただし、最高裁が「〇〇だ!」と判決を下す前の下級裁判所の判決(△△だ!)についても、法的な意味合いがあるため、今回の記事については、最高裁の「判例」と地方裁判所、高等裁判所の「裁判例」を合わせて『判例』として取り扱います。

下級裁判所で「△△だ!」という判決が出て、最高裁で「〇〇だ!」とそれを覆す判決が出ない限り「△△だ!」という判例は、制定法と同様に実務の場面で拘束力を持ちます。

最高裁判決が最終決定ですが、それまでの裁判所の判決が最新のものである限り法的に有効であるというイメージを持ってください。

ちなみに、判例の拘束力については国によって異なります。
日本の法律は、私法(民法や商法)は英米法、公法(憲法や刑法)は大陸法(フランスやドイツ)を参考にしていると言われています。
ファクタリングは民法によって規定されるので英米法がベースになります。

英米法は判例主義(判例が第一次的法源で、裁判所によって作られた判例に先例的法的拘束力が認められている)なので、やはり判例を知ることは大きいのです。
英米法の源であるイギリスでは、憲法すら「不文憲法」で慣習や判例の積み重ねで構成されています。

裁判所による判例は、時に議会で制定される法律と同じ重みをもつことを知ってください。
それを踏まえると、民法だけではなく、各判例によってファクタリングは規定されます。

以下では有名なファクタリングをめぐる判例について紹介していきます。

ファクタリングをめぐる有名な判例5選

ファクタリングは民法だけではなく、裁判所の「判例」(広義の判例)によっても規定されることがわかりました。

判例によって大きく方向性が変わったものもありますので、ぜひ押さえておきましょう。
この判例によって、各ファクタリング会社の契約内容やメニューも変わります。

2020年の民法(債権法)改正によって「将来債権」が民法に明文化されたのち、ファクタリング会社では「注文書ファクタリング」や「発注書ファクタリング」といった将来債権に適応したメニューが登場しました。

何年も時間をかけている法律改正でこれだけ変わりますが、判例は裁判所が下すまでどうなるかわかりません。
いきなりファクタリングの根幹が変わる可能性もあるため注意して判例の様子を見ていきましょう。
それでは有名なファクタリングについての判例を紹介します。

判例1 給料ファクタリングが「融資」とみなされた最高裁判決

ファクタリングをめぐる判例で最も大きなものは、最高裁令和5年2月20日の判決です。
それまで下級審でも、いわゆる「給料ファクタリング」「給与ファクタリング」について、ファクタリング(売掛債権(売掛金)の買い取り)ではなく、給与債権(給料を毎月〇日にもらう権利)を担保にした融資であるという判決が出ていました。

最高裁判決によって、

  • 給料は労働の対価として本人が会社からもらうもの
  • 使用者(会社)は労働者(ファクタリング申請者)に直接給料を支払わなければならない
  • したがって3社間ファクタリングはあり得ない
  • 給料を担保にした融資とみなされる
  • ファクタリング会社とファクタリング申請者で返済合意がある融資

ということが確定しました。

通常のファクタリングの場合、債権の譲受人(ファクタリング会社)は、対抗要件を具備することで、債務者(売掛先)に対して債務の支払いを求めることができます(民法467条)。
直接回収=3社間ファクタリングになります。

しかし、賃金債権(会社からの給料)は、労働基準法24条1項により、使用者(会社)が労働者(社員)に直接支払うことを義務付けています。

そのため、ファクタリングによって債権譲渡が行われ、「給料をもらう権利」がファクタリング会社に移っても、会社は労働基準法の規定により会社員に給与を支払います。
このことから3社間ファクタリングは違法になります。

したがって、ファクタリング業者は、どのようなファクタリング契約をしても、会社員(ファクタリング申請者)から取立てることになります。

お金を取り立てるということは借金の取り立てと同じ構図です。
つまり、給料ファクタリングは、融資の貸付と同様の構造とみなされます。

融資ということになると

  • 給料債権の買い取りは、貸金業法及び出資法の貸付けに該当する
  • ファクタリングは銀行か貸金業許可が必要
  • 手数料は「利息」であり、手数料を年利換算した場合利息制限法の範囲内にしないと違法

一瞬でこれらが法的効力を持ちます。

  • そもそも銀行業や貸金業許可を持つファクタリング会社はほとんどない
  • 年利換算して利息制限法の範囲内になるのは、3社間ファクタリングでも手数料率がかなり少ないものに限られる
  • 労働基準法によって3社間ファクタリングはできない

このことから、2社間ファクタリングの仕組みで、手数料を年利換算して利息制限法の範囲におさめることはできない(実際に2社間ファクタリングの場合、手数料を年利換算すると100%超えがほとんどで、判例によると利息制限法違反で違法)ので、給料ファクタリングの仕組みは破綻します。

「年利換算して利息制限法の範囲内におさめる2社間ファクタリング」をファクタリング会社は提供できません。
そもそも銀行や貸金業の許可がなければできないという判決になってしまったので、給料ファクタリングからはほとんどのファクタリング会社が撤退を余儀なくされました。

このように判例によって、それまでのファクタリングが大きく変わる可能性があります。
いくら「ファクタリング法」のようなものがなく、民法の一般原則が適用されるのみとはいえ、裁判所の判決(判例)がファクタリングにダイレクトに影響を与えることがあります。

一番大きな判例は給料ファクタリング(給与ファクタリング)についてのものですがそれ以外にもいくつかあるので紹介します。

判例2 償還請求権ありのファクタリングは融資とみなされるかもしれない判例

ファクタリングは売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡して、「期日に売掛債権(売掛金)を回収できないリスク」も移転します。
これにより、回収漏れになっても、債権者は被害をこうむりません。
償還請求権がないノンリコース契約がファクタリングの大きなメリットになります。

しかし、中には償還請求権があるファクタリングを提供しているファクタリング会社もいます。
償還請求権があると、売掛先から回収できない場合、その請求が債権者に渡ります。
債権を譲渡して、「受け取れないリスク」もファクタリング会社に移したはずなのにこれではおかしいです。

令和2年9月18日東京地方裁判所の判決(判例)では、償還請求権があるファクタリング契約は実質融資と同等であるという内容になりました。

償還請求権があるファクタリングは、売掛債権(売掛金)を担保に融資をしているのと同様であり、当然、銀行業か貸金業の許可を得ている業者が年利換算して利息制限法の範囲内で行わなければなりません。

売掛債権(売掛金)など動産を担保にした融資は最近増えています。
償還請求権を付けたいならば、ファクタリング会社は融資業の許可をとり動産担保融資を行うべきです。

判例3 売掛債権(売掛金)の一部買い取りはファクタリングではなく融資であるという判例

ファクタリングとして手続きしているが実質的に融資であるというものは、上記以外にも判例として示されています。

平成29年3月3日大阪地方裁判所判決は、売掛債権(売掛金)の一部を買い取るファクタリング契約については融資であるとしました。

理由として、ファクタリング会社は、債権の買い取りであることから、金銭消費貸借の場合を超えるリスクを負っていなければいけないからです。
しかし、高額のファクタリング手数料に見合った債権回収リスクを負っていません。

当該判例となった事件では、ファクタリング会社は、対象売掛債権(売掛金)の一部のみを買い取るなど、売掛債権(売掛金)の額面金額とは無関係に、資金の供与を行っていました。
売掛債権(売掛金)の全額が回収されてはじめてファクタリング会社が全額買い取ることになっていました。

これでは、ファクタリング会社がリスクを負いません。
まるで売掛債権(売掛金)を担保にして、その必要がなくなってようやく買い取り全額を実行するもので、これについても実質融資(消費貸借契約)であると判断されました。

融資なので利息制限法の上限までしか手数料をとれません。
そのため、利息制限法の上限を超えた分については「過払い金」としてファクタリング会社に返還が命じられました。これが判例となりました。

ファクタリング手数料が年利換算して利息制限法の上限を大きく超えても問題ないのは、ファクタリング会社が売掛債権(売掛金)の回収リスク(回収できないリスク)を背負っているからです。
それを行わず、高額な手数料を請求するのは不当であり、売掛債権(売掛金)の一部しか買い取らない行為が拍車をかけています。

売掛債権(売掛金)の全部を買い取って、回収不能リスクも引き受けるのがファクタリングの本旨であり、そうでないなら融資として対応すべきとの判例です。

判例4 ファクタリング会社が勝訴した裁判の判例もある

ここまでの判例を見ると、ファクタリング会社が弱い立場の利用者をだまして、高額の手数料をかすめ取っている、それを裁判所によって成敗されたというイメージを持たれるかもしれません。
しかし、ファクタリング会社が勝訴した判例も存在します。

平成29年5月23日東京地方裁判所判決では、都内の運送会社が行ったファクタリングが、実際には融資にあたるため利息制限法の上限を超える、したがって過払い金(上限金利を超えた部分)を返してほしいというものに対して、原告の主張を棄却しています。

本件では、ファクタリング会社が売掛債権(売掛債権)を買い取るにあたり

  • 売掛債権(売掛金)の売買契約書の取り交わし
  • 売掛債権(売掛金)の存在確認
  • 債務者(売掛先)の信用情報調査を実施
  • ファクタリング会社の債権者への債権譲渡通知

など、できることをすべて行っていて、落ち度はないと認定しました。
融資とはいえない、売掛債権(売掛金)の譲渡だとこれではっきりしました。

逆に、ファクタリングの判例の中で内容によっては合法性が補強されることにもつながります。

判例5 反社会的勢力のファクタリング偽装を見抜く

反社会的勢力が融資を行うことは認められていません。
しかし、ファクタリングは中古売買であり、そこまで反社会的勢力を規制できる根拠がありません。

しかし反社会的勢力が行う「ヤミ金融」までは規制できません。ヤミなので真相は闇の中なのです。

過去に、反社会的勢力がファクタリングで(高額の手数料で)買い取りを行い、資金化できなかった(手数料相当)ものについては、同じ反社会的勢力のグループが営業するヤミ金融で借りさせる事例がありました。

判例では当然そのようなことは違法とされました。
反社会的勢力が巧妙なのは、金策に困っている事業者を最初からヤミ金融に誘導せず、(高額な手数料の)ファクタリングに誘導することです。
売掛債権(売掛金)があれば、期日に回収できるわけで、返済能力がない事業者を最初からヤミ金融へ案内するよりも油断を与えることができます。

売掛債権(売掛金)の買い取り額と手数料の差額くらいは融資を受けても返せそう、というところから落とし穴にはまってしまいます。

反社会的勢力のファクタリングについては、判例でも明確に否定されているのでご注意ください。

判例でも現行の買い取り型ファクタリングは問題なし!資金調達はNo.1のファクタリングへご相談ください

判例によって「ファクタリング法」のようなものがなくても、「魑魅魍魎」の世界だったファクタリングについて、裁判所のイニシアティブで交通整理が進んでいます。

少しでも利用者(事業主様)保護になり、かつ迅速な資金化というファクタリングのメリットを潰さないような方向で進んでいます。

ファクタリング会社は玉石混交ですので、しっかり法律と判例を守っているところを選び、適法な契約をしてください。
そのことが、事業主様の身を守ることにもつながります。

「株式会社No.1」は経験と実績があり、他社と比較しても安心してご利用いただけるファクタリング会社になります。もちろん信頼できます。
法律や判例を順守して適法なファクタリングメニューのみを提供します。

No.1のファクタリングは遠隔地の方でもご利用いただける「オンラインファクタリング」を提供します。
店舗にお越しいただかなくても、オンライン上のデータのやり取りで完結します。
もちろん、法律も判例も何の問題もありません。

ぜひ、資金化の1つの選択肢として、No.1のファクタリングを検討していただければ幸甚です。

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