カテゴリー: ファクタリング

ファクタリングの帳簿はどのようにつけたらいい?消費税の扱いなども一緒に考えよう

ファクタリングによって売掛金を売却することも自社の営業行為、事業行為になります。当然、簿記のルールに則り、記帳、帳簿付けをしなければなりません。

ファクタリングの帳簿付けの際にはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

今回はさまざまなファクタリングに共通する帳簿付けの原則やルールについて解説していきます。

ぜひ覚えていただき、積極的にファクタリングを資金調達の選択肢にしていただければと存じます。

ファクタリングと融資の帳簿の違い

ファクタリングも通常の銀行融資も資金調達という面では同じですが、帳簿がかなり違ったものになります。まず、資本金1,000,000円の法人が1,000,000円の資金調達をしたケースを比較してみましょう・

融資による資金調達と帳簿

融資によって1,000,000円を資金調達した場合、複式簿記の帳簿と貸借対照表はこのようになります。

<複式簿記帳簿仕訳>

借方 貸方
現金預金 1,000,000円 借入金 1,000,000円

現金預金と借入金双方が1,000,000円ずつ増加します。シンプルな帳簿付けになります。

<貸借対照表>

資産 負債
現金預金 1,000,000円 借入金 1,000,000円
その他資産(資本金相当) 1,000,000円 資本(準資産)
資本金 1,000,000円
合計 2,000,000円 合計 2,000,000円

借入によって資産(現金預金)が1,000,000円増えますが、同時に返済義務のある負債も1,000,000円増えます。

ファクタリングによる資金調達と帳簿

売掛金1,000,000円をファクタリングによって現金化した場合、複式簿記の帳簿と貸借契約書はこのようになります。手数料は5%の3社間ファクタリングとします。

<複式簿記帳簿仕訳>

借方 貸方
現金預金 950,000円 売掛金 1,000,000円
売上債権売却損(or「支払い手数料」) 50,000円

<貸借対照表>

資産 負債
現金預金 950,000円 なし(0円)
資本(純資産)
資本金 1,000,000円
繰越利益剰余金 ▲50,000円
合計 950,000円 合計 950,000円

ファクタリングの場合、貸借対照表左右の数字は帳簿上増えません。融資は左右の数字が倍になるのにファクタリングは増えない、むしろ手数料分が減るというのが大きな違いです。

帳簿をしっかり審査する銀行融資の場合、負債がなく、貸借対照表の左右の数字が少ない会社は「機動的な経営」をしているとみなされ、評価が高くなります。

ここでは触れませんが。ファクタリングによる「オフバランス化」に関係します。

ファクタリング仕訳の注意点!ファクタリングは原則的に非課税取引である

ファクタリングの帳簿で非常に重要になるのが、ファクタリング取引と消費税の関係です。

さまざまな経済活動に消費税が発生しますが、ファクタリングの際には、消費税が発生しません。非課税取引になります。

債権譲渡というファクタリングには「消費行為」がないからです。

200万円の売掛債権を手数料20万円、手取り180万円でファクタリングした場合、債権の買い取り代金(手取り)、ファクタリング手数料どちらも非課税(消費者が発生しない)です。

会計ソフトなどで税区分を入力する際は「課税仕入(10%)」ではなく「非課税」となります。

ファクタリングが非課税であることについて国税庁の見解

ファクタリングは何も消費しないので消費税非課税ですが、その根拠として国税庁が出している規定があります。

非課税取引はファクタリング以外にもありますが(利子など)ファクタリングに該当するのは以下から導かれます。

(2) 有価証券等の譲渡

国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡

ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

ファクタリングはこの「金銭債権の譲渡」となり、根拠を持って非課税取引として規定されます。

もしファクタリング会社から手数料に消費税をかけて請求された場合、それは違法であり消費税を支払う必要はありません。

そもそもファクタリング会社がこの国税庁の規定を知らないわけがないので、あえて請求してきていることになります。つまり、必要のないお金を請求している「悪徳業者」なので、そうしたファクタリング会社と取引してはいけません。

上の例でいうと、200万円のファクタリングで手数料10%の場合、掛け目(買取率)を考えないとして、「手取り180万円、手数料20万円」が正しく、もし「手数料20万円+消費税10%=22万円、手取り178万円」などの契約を提案してきたケースは違法です。絶対に取引してはいけません。

例外 ファクタリングをさらにファクタリングした場合は特別な帳簿作成が必要になるかも

ファクタリングを依頼する債権者にはそれほど関係しませんが、ファクタリング会社が買い取った売上債権をさらに別のファクタリング会社に売却する場合、「再ファクタリング」となり特別な仕訳、帳簿付けが必要になります。

売掛債権売却額の「課税売上割合」というものを計算する必要があります。

<課税売上割合の計算公式>
課税売上割合={課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高+免税売上高)}×100%

再ファクタリングを行った時には、その取引が「資産の譲渡等を行った者が当該資産の譲渡等の対価として取得したもの」(国税庁消費税の非課税取引の指針)に該当しなくなるので、特別な帳簿付けが必要になります。

・再ファクタリングについても売買や手数料も非課税取引
・しかし売った代金の5%を「課税売上割合」の分母を「非課税売上」に計上する

課税売上高=(課税売上高)÷(課税売上高+非課税売上高)

この非課税売上高に再ファクタリングして売った代金の5%を計上します。

ファクタリングの仕訳、帳簿付けは、債権者が行うものは非課税、ファクタリング会社の場合は再ファクタリング時に注意すべきケースがある、ということです。基本的にファクタリングは非課税、と覚えていただければ問題ありません。

ファクタリングを行った時の仕訳と帳簿の付け方

上述のようにファクタリングをする際には、消費税が発生しない非課税取引になります。しかし、もともとの債務者との取引によって生じた売掛債権(請求書を出すもととなる販売行為)については当然課税対象となります。

10,000円のものを売れば1,000円(軽率減税対象の場合は8%)の消費税が発生します。

下記の取引のような仕訳によって帳簿付けをしてください。

<A社がB社に10,000円の商品を掛売した場合>

借方 貸方
売掛金 11,000円 売上 10,000円
仮受消費税 1,000円

10,000円(商品の価格)+1,000円(消費税10%)合計11,000円が売掛金として計上されます。ここまでは消費税が発生する取引となります。

ファクタリングの仕訳について順を追ってチェック

ファクタリング利用時の消費税の仕訳、帳簿付けについて順を追って解説していきます。

単純化するために下記の事例を示します。実際にはもっと売掛金が発生することがほとんどのはずですが、あくまで事例としてわかりやすくします。

    「A社がB社に10,000円の部品を販売した。売掛金入金日前に急な資金需要が発生したため資金調達の必要がありファクタリングによって現金化した」という事例を考えます。

    ・6月末日締め
    ・翌々月末日(8月31日)払い(売掛金入金)
    ・サイト60日(2か月)

この売掛債権の仕訳、帳簿の付け方を考えていきましょう。

実際にはこのように帳簿付けを行います。

A社がB社に商品を掛け売りする(売掛金が発生)

(6月30日)

借方 貸方
売掛金 11,000円 売上 10,000円
仮受消費税 1,000円

なお、仮受消費税を勘定科目とせず、税込みの形で帳簿付けしていただいても構いません。

借方 貸方
売掛金 11,000円 売上 11,000円
8月2日にファクタリング会社とファクタリング契約をした

(8月2日)

借方 貸方
未収入金 11,000円 売掛金 11,000円

ここで「売掛金」が帳簿から消え、未収入金(振込待ち)の勘定科目に変わります。

8月3日に実際に債権譲渡が完了し手数料10%を支払い現金化した

手数料は11,000円の10%=1,100円になります。

(8月3日)

借方 貸方
普通預金 9,900円 未収入金 11,000円
売上債権売却損 1,100円

「売上債権売却損」はファクタリング手数料の勘定科目になります。この勘定科目ではなく、「支払手数料」などでも構いません。

注意していただきたいのは、ファクタリング取引は非課税取引ですので、この手数料「売掛債権売却損」「支払手数料」は税込みでも税抜きでもありません。

会計ソフトへ入力するときや、帳簿付けの際には、課税仕入れではなく「非課税取引」になります。10%の消費税込みにしてしまうと、消費税の計算がおかしくなります。

3社間ファクタリングの場合は、帳簿付けはこれで終了です。売掛金支払日(8月31日
)にファクタリング会社が売掛先から直接売掛金を回収してくれます。

つまり、「売上債権売却損」を経費で落として、売掛金を現金、預金に換えたという仕訳、帳簿になります。

2社間ファクタリングの場合は、もう少し帳簿付けが続きます。

8月31日に売掛金を債務者から回収した

(8月31日)

借方 貸方
普通預金 11,000円 預り金 11,000円

本来は自分の売上でしたが、すでに売上はファクタリング会社が権利を持っていますので、帳簿上は「預り金」になります。

同日、ファクタリング会社に売掛金の振り込みをした

(8月31日)

借方 貸方
預り金 11,000円 普通預金 11,000円

振り込み手数料は発生しなかったものとします。振込手数料も経費になるので、もし発生した場合は帳簿に「支払い手数料」「振込手数料」のような勘定科目を使ってください。

これで、B社からの預り金と売掛金11,000円が相殺されました。

さらに「再ファクタリング」というものがありますが、債権者が1回目のファクタリングをした時点で、すでに「売掛金を受け取る権利」はファクタリング会社に移行しています。

ここからは、ファクタリング会社が別のファクタリング会社から受け取った売掛債権をファクタリングするというアクロバティックな手法で、非常にレアですので「そういう制度もあるのか」くらいに覚えておいてください。

(参考)再ファクタリングの仕訳、帳簿の付け方

1.ファクタリング会社に債権譲渡し手数料10%を支払い現金化した

借方 貸方
普通預金 9,900円 未収入金 11,000円
売上債権売却損 1,100円

2.手数料10%で再ファクタリングした

2-1 再ファクタリングする際の債権譲渡の帳簿

借方 貸方
売掛金 9,900円 未収入金 9,900円

2-2 別のファクタリング会社に再ファクタリングした

借方 貸方
未収入金 8,910円(*) 売掛金 9,900円
売上債権売却損(★) 990円

★:非課税取引

2-3 再ファクタリングによって現金化した

借方 貸方
普通預金 8,910円 未収入金 8,910円

*に該当する8,910円の5% 8,910×5%=446円が「課税売上割合の計算上の分母(総売上高)」に算入されることになりますが非常に難しいので、参考程度に覚えておいてください。

「再ファクタリングの場合仕訳や会計処理が厄介」ですが、その帳簿付けは普通では行わないので大丈夫です。

ファクタリングの際はしっかり仕訳をして帳簿をつけよう

ファクタリングによる資金調達は比較的新しい方法であり、その帳簿の付け方についても独特なものがあります。

今回紹介したように、ファクタリング取引は「非課税取引」であり、その事務手数料である「売上債権売却損」「支払手数料」も課税仕入れではなく非課税です。ここで課税仕入れにしてしまうと消費税の計算がおかしくなってしまいます。

比較的新しい形の資金調達方法であるファクタリングは、税理士も慣れていない可能性があり、税務署がチェックしやすいともいわれています、

しっかり帳簿を付けて、そうした粗をなくしてください。

また、ファクタリング手数料に消費税を上乗せして請求してくるファクタリング会社があれば、それは違法行為であり、そのファクタリング会社はブラック、悪徳企業である可能性が極めて高く、取引してはいけません。

帳簿はファクタリングの大切な記録になります。以後の取引のためにもきちんとした記帳が必要になります。

帳簿付けのアドバイスもします!ファクタリング利用ならばNo.1のファクタリングにお任せ

一連のファクタリング取引についての帳簿付けには慣れが必要です。とはいえ、みなさん最初は慣れていません。その中では、信頼できるファクタリング会社と取引して、その会社から帳簿についてもアドバイスが受けられるとよいです。

「株式会社No.1」は歴史と実績があるファクタリング会社です。ファクタリング初心者の方の記帳、帳簿の付け方についても適宜アドバイスします。

税務調査を受けても問題ないような帳簿があれば何も心配いりません。もちろん、No.1のファクタリングではファクタリング手数料に消費税を上乗せするようなことはありません。

ファクタリング手数料は当然非課税取引です。

仕訳や帳簿についても可能な限りアドバイスします。ぜひ一度当社までお問い合わせください。

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