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輸出業にファクタリングが欠かせない理由とは…国際ファクタリングの基本と活用のコツ

会社が生き残っていくためには、新規顧客の開拓が必要です。
しかし、日本の人口はすでに減少傾向に突入しており、経済的にも頭打ちの状況が続いています。
顧客の絶対数が減少を続けているため、新規顧客の開拓は容易ではありません。
そこで、海外市場に活路を見出し、輸出業へ進出する会社が増えています。
海外に目を向けると、人口の増加率や経済成長率が高い水準で推移している国はまだまだ多く、東南アジアがその好例です。
多くの会社にとって、輸出業への展開は時代にマッチした選択と言えるでしょう。
しかしながら、輸出業には国内業務とは異なるリスクや困難があり、特に資金繰りでの苦労が絶えません。
そこで、輸出業に取り組む会社にぜひおすすめしたいのがファクタリングです。
この記事では、輸出業が活用すべきファクタリングの基礎知識や、具体的な活用のコツを紹介します。

輸出業の基礎知識

近年、輸出業に取り組む中小企業が増えています。
開業の時点から輸出業に専念するケース(貿易業)もありますが、最近では国内取引から国際取引へと進出拡大するケースが目立ちます。
これは、将来的な展開を考えると非常に合理的な選択です。
アジアだけで見ても、新興国の成長には著しいものがあります。
それに対し、先進国の経済成長率は低く、頭打ちに悩む国も多いです。
日本も例外ではなく、2011年以降は人口が減少傾向に転じ、国内での需要減少や産業構造の変化に悩む会社が少なくありません。
そんな中、新たな市場を海外に求めて輸出業に取り組む会社が増えているのです。

輸出業で資金繰りが悪化する?

しかしながら、輸出業には国内にはないリスクや困難が多く、失敗する会社も少なくありません。
中小企業庁の調査によれば、輸出業の成功と失敗を分ける要因として、特に大きいのが資金繰りです。
輸出業に進出することにより、5割以上の会社が「良い影響が出た」と回答しています。
中でも、「売上高」「企業の将来性」「利益」などで良い影響が目立ちます。
その反面、資金繰りに問題を抱えている会社が多く、全体の1割超の会社が「資金繰りに悪影響が出た」と回答しているのです。

売上増加の功罪

なぜ資金繰りが悪化するのでしょうか?
それは、売上の増加からひも解くと良く分かります。
売上が増加することは、基本的にはポジティブに捉えるのですが、資金繰り的にはマイナスになります。
これは、売上の増加に伴って必要運転資金も増加するからです。
運転資金とは、資金繰りを回すために経常的に必要となる資金のことで、具体的には「売掛金と棚卸資産」と「買掛金」のギャップを指します。
まず、売上が増加すれば売掛金も必ず増加します。
輸出業で海外企業と取引する際、現金での取引はあり得ないからです。
売上を伸ばすためには、商品も販売量も多くなりますから、棚卸資産も増加します。
在庫の仕入れは掛買いで行うため、買掛金も同じく増加です。
仮に、輸出業に取り組む前の売上が100だったとしましょう。
全て信用取引であれば「売上=売掛金」ですから、売掛金も100となります。
利益率50%であれば、100の売上を得るために必要な棚卸資産は50。
この棚卸資産を全て掛買いしたとすると、買掛金も同じく50。
売掛金と棚卸資産の合計150から、買掛金50を差し引くと、必要な運転資金は100となります。
さて、輸出業に取り組んだ結果、売上が倍の200に増加しました。
簡単に考えるために、ここでも売掛金は売上とイコールの200、棚卸資産は100としましょう。
棚卸資産の仕入れにより、買掛金100が発生します。
この時の運転資金は「売掛金200+棚卸資産100-買掛金100=200」です。
輸出業を始める前後で、資金繰りを回すために経常的に必要となる運転資金が100も増加(100→200)していることが分かります。
このように、売上が増加すれば運転資金も増加するのが普通です。
資金繰りを回すために必要なお金が増えるのですから、これは「資金繰りが苦しくなった」ということにほかなりません。

回収サイトが長い輸出業

売上拡大によって資金繰りが悪化することは、輸出業でも、それ以外の業種でも同じです。
重要なのは、輸出業は他の業種に比べて資金繰り悪化が深刻ということです。
その理由は、「輸出業では海外に向けて輸出を行う」という点にあります。
海外に商品を輸送する際、基本的には輸送料の安い貨物船で送ることになるでしょう。
この時、商品の船積みの手続きには時間がかかりますし、海を渡るにも時間がかかります。
時間をかけて商品が現地に到着した後、取引先が商品を受領して初めて売掛金が発生するのです。
このため、輸出業の回収サイトは他の業種に比べて非常に長くなります。
全業種の回収サイトの平均は1ヶ月程度ですが、輸出業は3~4ヶ月、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。
回収サイトが長期化するほど資金繰りは悪化する、これは資金繰りの鉄則です。
このことは、必要運転資金を考えてみても良く分かります。
具体的に計算してみましょう。

  • 月商:1000万円
  • 信用取引の比率:100%
  • 月あたりの棚卸資産額:500万円
  • 月あたりの買掛金額:500万円

この会社の回収サイトが1ヶ月(当月の売掛金を翌月に回収する)であれば、手元の平均的な売掛金の残高は1000万円、棚卸資産は500万円、買掛金は500万円ですから、経常運転資金は1000万円です。
この会社が輸出業を始めた結果、以下の変化が起こりました。

  • 月商:1500万円(輸出業によって売上が500万円増加)
  • 信用取引の比率:100%
  • 月あたりの棚卸資産額:1000万円
  • 月あたりの買掛金額:1000万円

輸出業によって発生した売掛金500万円については、回収サイトが4ヶ月であるとします。
さて、資金繰りはどのようになるでしょうか?
この場合、手元の平均的な売掛金残高は3000万円に増加します。
(あまり現実的ではありませんが…)毎月仕入れた棚卸資産をきっちり売り切り、買掛金の支払サイトも変化しなかったとすれば、経常的に必要となる運転資金は3000万円です。
輸出業に取り組んだことで、売上の増加は500万円であるにも関わらず、運転資金は2000万円も増加するのですから、回収サイトの長期化が資金繰りにもたらす悪影響がよく分かるでしょう。
簡単に説明するためにやや極端な例になっていますが、輸出業は様々な業種がある中でも、特に資金繰りの悪化が顕著なのです。

輸出業とファクタリング

上記の通り、輸出業は資金繰りが難しい業種です。
その理由は、売上の拡大と回収サイトの長期化による、運転資金の増加にあります。
運転資金は、資金繰りを回し続けるために欠かせない資金です。
もし、資金調達がうまくいかず、運転資金が不足したらどうなるでしょうか?
ずばり、資金繰りがショートします。
輸出業によって売上や利益が増加しているのですから、業績としては黒字です。
しかし倒産してしまう、これを「黒字倒産」といいます。
黒字倒産を避けるためには、運転資金が小さくなるように工夫する必要があります。
輸出業で運転資金を圧縮するには、回収サイトの短縮が最も効果的です。
そこで、輸出業の資金繰り改善にファクタリングが役立ちます。

ファクタリングとは?

ファクタリングには色々な種類がありますが、現在最も普及しているのは、会社の所有している売掛金を買い取るファクタリングです。
支払期日を数週間後、あるいは数ヶ月後に控えた売掛金を、ファクタリング専門業者や銀行に売却することによって早期に回収できます。
輸出業の場合、売掛金の回収サイトは3~4ヶ月が一般的ですが、ファクタリングによって早期資金化すれば、実質的な回収サイトを大幅に短縮できるのです。

輸出業の資金繰りはどう変わる?

ファクタリングを利用することによって、輸出業の資金繰りはどのように変わるのでしょうか。
具体例で考えてみましょう。
上記の例では、輸出業に取り組んだことによって、回収サイト4ヶ月の売掛金が毎月500万円増加したことで、運転資金が従来の1000万円から3000万円に膨れ上がりました。
輸出業による売掛金をファクタリングで早期回収し、実質的な回収サイトを4ヶ月から2ヶ月に短縮するとどうでしょうか。
これにより、経常的に必要となる運転資金を2000万円まで減らすことができます。
どちらも同じように輸出業に取り組みながら、ファクタリングを利用するかどうかの違いだけで、運転資金の増加を半分に抑えることができるのです。
輸出業の資金繰りにとって、ファクタリングがどれほど効果的か良く分かるでしょう。

国際(輸出業向け)ファクタリングとは

ファクタリングの基本的な仕組みについては、既に知っている人も多いと思います。
注意したいのは、輸出業向けのファクタリングと、一般的に知られている買取ファクタリングは異なるということです。
一般的な買取ファクタリングは、あくまでも国内取引を対象としています。
No.1をはじめ、ほとんどのファクタリング会社は「国内の売り手企業」と「国内の買い手企業」が信用取引を行い、それによって生じた売掛金のみを買取対象としているのです。
輸出業の場合、「国内の売り手企業」と「海外の買い手企業」における信用取引ですから、国内向けの買取ファクタリングでは対応できません。
そこで、輸出業には輸出業向けのファクタリング、すなわち「国際ファクタリング」という仕組みがあります。

国際ファクタリングのしくみ

国際ファクタリングは、その名の通り国際間取引を対象とするファクタリングです。
国内の輸出業者と、海外の輸入業者が取引した場合に発生する「海外の輸入業者に対する売掛金」を対象としています。
この仕組みを理解する上で重要なのが、以下のように国際ファクタリングのキーパーソンが4社ということです。

  • ファクタリングの利用会社(輸出業を行う自社。以下、利用会社)
  • 売掛先(輸入業を行う海外企業)
  • 国内のファクタリング会社
  • 海外の(現地の)ファクタリング会社

国内向けの買取ファクタリングは、利用会社とファクタリング会社の2社間で取引するか、もしくは利用会社・売掛先・ファクタリング会社の3社間で取引します。
もちろん、ここでは国内取引の売掛金を取り扱うため、関与するのはいずれも国内のファクタリング会社です。
一方、輸出業の売掛金を取り扱う場合には、国内のファクタリング会社だけでは対応できません。
国内のファクタリング会社は、国内の輸出業者と取引するには問題ありませんが、海外の輸入業者との手続きが困難だからです。
ファクタリングの審査で重視されるのは、あくまでも売掛先の支払能力であって、利用会社の支払能力ではありません。
ファクタリング会社としては、買い取った売掛金が無事に回収できるかどうかが重要ですから、売掛先の支払能力を把握できなければファクタリングできないのです。
輸出業の売掛金は、海外の売掛先が審査対象となるわけですが、現地の事情に精通していなければ売掛先の審査は不可能です。
そこで、国際ファクタリングを行うためには、現地の事情に精通しており、国際的なファクタリングに対応できる業者の協力が必要となります。
このような理由により、国際ファクタリングは利用会社・売掛先・国内のファクタリング会社に加えて、現地のファクタリング会社の関与が欠かせないのです。
現地のファクタリング会社が協力し、4社間で取引することによって、以下の仕組みが成り立ちます。

  • 国内の輸出業者から、国内のファクタリング会社に国際ファクタリングを依頼する
  • 国内のファクタリング会社から、現地のファクタリング会社に協力を依頼する
  • 現地のファクタリング会社が、現地の売掛先に調査を行う
  • 調査結果をもとにファクタリング条件を設定し、ファクタリングを行う

国際ファクタリングの流れ

理解を深めるに、輸出業で実際に国際ファクタリングを利用する場合を想定して、流れをみていきましょう。

  • まず、輸出業者(自社)と輸入業者(売掛先)の間で契約を結び、売買を行います。一般的な国内取引の場合、契約後は実際の売買までスムーズに流れるのが普通ですが、輸出業はまず契約を結び、商品の輸送に取り掛かるのはまだ先です。
  • 契約段階、あるいは契約後の必要に応じて、輸出業者が国際ファクタリングを利用したいと考えます。このとき、事前に輸出業者から輸入業者に対して、国際ファクタリングの利用を申し入れる必要があります。
  • 輸入業者の同意を得た後、輸出業者から国内のファクタリング会社に対して国際ファクタリングを依頼します。
  • 国際ファクタリングは、国内のファクタリング会社の一存では引き受けることができません。上記の通り、現地(海外)のファクタリング会社の協力が必要です。したがって、国内のファクタリング会社から現地のファクタリング会社に対し、国際ファクタリングへの協力を打診します。
  • 現地のファクタリング会社は、売掛先である輸入業者に対して信用調査を行います。この調査結果は、国際ファクタリングの引き受けの可否に関係なく、国内のファクタリング会社に通知されます。輸入業者の経営に問題がなければ、国際ファクタリングの引き受けが可能であることも通知します。
  • 通知を受けて、国内のファクタリング会社から輸出業者に対し、国際ファクタリングの受領を通知します。国際ファクタリングの契約が成立するのもこのタイミングです。
  • 国際ファクタリングを依頼できたことで、輸出業者は安心して輸出に取り掛かることができます。契約に沿って商品を船積みし、船積み完了後、輸出業者は国内のファクタリング会社に対し、B/L(船積みしたことを証明する書類)を提出します。
  • 支払期日になると「輸入業者→現地のファクタリング会社→国内のファクタリング会社→輸出業者」の流れで代金が支払われます。

買取ファクタリングと国際ファクタリングの違い

国際ファクタリングは、国内取引向けの買取ファクタリングとは大きな違いがあります。

ファクタリング契約のタイミングが違う

まず、ファクタリング契約のタイミングが異なります。
上記の流れの通り、国際ファクタリングで契約を結ぶのは、現地のファクタリング会社が「引受可能」と通知した後です。
この時点では、輸出業者はまだ船積みに取り掛かっておらず、商品も納入していません。
つまり国際ファクタリングは、取引完了前の段階でファクタリング契約を結びます。
これに対し、国内向けの買取ファクタリングは、あくまでも「取引完了後」にファクタリング契約を結びます。
No.1もそうですが、ファクタリング対象となる売掛金は「確定債権」、つまり「売掛先との取引が完了し、請求内容が確定した売掛金」が基本なのです。
これは、買取ファクタリングと国際ファクタリングの顕著な違いといえます。

二つの機能を併せ持つ国際ファクタリング

また、国際ファクタリングには二つの機能があります。
国内向けの買取ファクタリングが持つ機能は、売掛金の早期資金化だけです。
このほか「保証ファクタリング」というサービスがあります。
保証ファクタリングは、代金の支払いを保証するサービスであり、売掛金の支払い不能に備えるためのものです。
買取ファクタリングと保証ファクタリングは、それぞれ独立したサービスです。
ところが、国際ファクタリングは買取ファクタリング・保証ファクタリングの二つの機能を兼ね備えています。
具体的には、以下の通りです。

  • 売掛金の回収までに資金調達が必要になったら、輸出業者の判断で早期資金化できる(買取ファクタリングの機能)
  • 万が一、輸入業者の経営悪化などによって回収不能に陥った場合には、現地のファクタリング会社と国内のファクタリング会社が共同して代金を支払う(保証ファクタリングの機能)

国際ファクタリングのメリット

ファクタリングには色々なメリットがありますが、特に輸出業で国際ファクタリングを利用した場合のメリットを見ていきましょう。

※ファクタリング全般のメリットについては、以下の記事をご覧ください。

【完全版】ファクタリングのメリットを徹底解説

売掛金の保証を受けられる

国際ファクタリングには、保証ファクタリングの機能があります。
このため、回収不能リスクを回避できるのが大きなメリットです。
全ての資産には「保有するリスク」があり、流動資産である売掛金も例外ではありません。
売掛先の経営悪化や倒産によって、売掛金が回収できなくなるリスクが常にあるのです。
輸出業の場合、国内取引だけの会社に比べて回収不能リスクが大きくなります。
何といっても、取引先となる輸入業者は海外の企業ですから、与信管理(売掛先の情報を把握し、取引に反映すること)が容易ではありません。
取引先の支払能力に見合わない取引をしてしまい、大きなリスクを抱え込む危険があります。
また、輸出業の回収サイトは長く、代金の回収は数ヶ月先です。
取引開始の時点では経営に問題がなくとも、支払期日までの数ヶ月間に経営が悪化し、回収不能リスクが高まるかもしれません。
さらに、輸出業では1回あたりの取引が大きくなる傾向があります。
輸送にコストがかかるため、取引あたりのコストを抑えるためにも、できるだけ大きな取引をした方が好ましいのです。
与信管理が困難で、回収サイトも長く、回収不能リスクが高くなりやすいことに加えて、回収不能時の損失は大きくなりやすい。
このように、輸出業は三重苦を強いられるのです。
国際ファクタリングを利用し、売掛金に保証を付けることによって、この三重苦から解放されます。

資金調達に役立つ

国際ファクタリングには買取ファクタリングの機能もありますから、資金調達に役立ちます。
輸出業によって売上が増加すれば、それに伴って運転資金の増加は避けられません。
運転資金の増加分は、銀行から増加運転資金を調達するのが一般的です。
この増加運転資金は、「輸出業に進出したことによる売上の増加」が原因ですから、基本的には前向きな資金です。
経営に大きな問題がなければ、銀行は融資に応じてくれるでしょう。
しかし、輸出業の実績が不十分である、経営に何らかの問題がある、担保や保証が不足するなど、様々な理由によって融資を断られてしまう輸出業者も少なくありません。
そんなときには、国際ファクタリングで売掛金を早期資金化しましょう。
利益率50%、輸出先に対して1000万円の売掛金を所有しているならば、その取引に要する先行コストは500万円です。
この先行コストを支払うための資金調達であれば、ファクタリングによって十分対応できるでしょう。
輸出業に取り組んだ結果、資金繰りが苦しくて困る…という事態を防ぐことができます。

資金繰りがラクになる

輸出業で資金繰りが苦しくなる原因のほとんどは、売上の拡大と回収サイトの長期化に伴う運転資金の増加です。
これまでにも述べてきた通り、国際ファクタリングを利用して輸出業の売掛金を早期資金化すれば、資金繰りがラクになります。
もちろん、このほかにも色々な意味で資金繰りの負担が減少します。
例えば、国際ファクタリングで早期資金化した売掛金は、万が一回収不能になっても、利用会社は一切責任を負いません。
回収不能に陥った売掛金に対しては、国内のファクタリング会社と現地のファクタリング会社が共同して、現地の売掛先に対して何らかの形で回収を図ります。
売掛先が倒産した場合、債権者である自社は法的措置などを通じて売掛金の回収を図るのが普通です。
もし、国際ファクタリングを利用していなかったとすれば、回収実務は全て自社の負担となります。
輸出業では取引先が海外であるだけに、言語や商習慣の壁はもちろん、法律の違いも厄介です。
現地に精通している専門家の協力がなければ、回収は困難でしょう。
つまり、輸出業の売掛金が回収不能になった場合、国内取引とは比べ物にならない手間とコストがかかるのです。
輸出業は取引単位が大きいだけに、回収不能になった際の損失は大きく、資金繰りが急激に悪化する可能性が高いです。
回収を図ることも大きな負担となり、あきらめざるを得ないケースもしばしば。
これを防ぐために役立つのですから、国際ファクタリングは「資金繰りがラクになる」だけではなく、「資金繰りを維持する」のにも役立ちます。

L/Cよりも手軽に使える

売掛金の回収に備えて、輸出業にとってポピュラーな仕組みに「L/C」があります。
L/Cは信用状とも呼ばれる仕組みで、輸出業者の取引銀行が代金の支払いを保証してくれる証書のことです。
L/Cも「輸出業者⇔輸出業者の取引銀行⇔輸入業者の取引銀行⇔輸入業者」という4社の関係によって成り立ちます。
輸出業者と輸入業者の取引を、国内の銀行と現地の銀行が仲介し、商品代金の支払いを確約する仕組みです。
代金の支払いを保証してくれるのですから、国際ファクタリングの保証機能と同じです。
また、L/Cを利用している輸出業者は、取引先の銀行から、この売掛金を担保にして融資を受けることもできます。
したがって、資金調達に役立つ点でも国際ファクタリングと似ています。
ただし、L/Cは国際ファクタリングに比べて利用のハードルが高いです。
L/Cの場合、輸出業者に対して厳しく審査を行い、経営に問題がない場合に限って信用状の開設を認めます。
また、手続きに際して取り扱う書類も煩雑で、利用に時間がかかるのも難点です。
国際ファクタリングにはL/Cのようなハードルがなく、手軽に利用できることが大きなメリットといえます。

信用調査をアウトソーシングできる

国際ファクタリングの流れでも解説した通り、国際ファクタリングは現地のファクタリング会社の協力を得て取引します。
このとき、現地のファクタリング会社が売掛先(現地の輸入業者)に対して信用調査を行うわけですが、これは輸出業者にとって大きなメリットです。
輸出業を展開するにあたって、多くの会社がつまずくのが現地調査です。
初めて輸出業に取り組む会社はもちろんのこと、海外での事業拡大にあたっても、信用調査がネックとなります。
国内取引ならば、帝国データバンクのような信用調査会社から資料を取り寄せたり、信用調査を依頼したりすることで調査できますが、輸出業はそのように簡単ではありません。
調査が不十分なまま取引を開始し、大きなリスクを抱えてしまうことも。
このリスクは、国際ファクタリングを利用することによって回避できます。
売掛先に対する信用調査の結果は輸出業者にも通知され、結果が悪ければ国際ファクタリングの引き受けは拒否されます。
簡単に言えば、売掛先の支払能力に問題があると分かった場合には、引き受けることができません。
一見、「国際ファクタリングが利用できない=輸出業にとって不都合・デメリット」に見えますが、実際には大きなメリットです。
なぜならば、現地のファクタリング会社がしっかりと調査した結果「引受不可」ということは、「危険な輸入業者との取引を回避できる」ということだからです。
国際ファクタリングを利用しながら取引を開始した後、売掛先の経営が徐々に悪化して支払能力に問題が生じた場合にも、ファクタリング会社はその後の取引について、国際ファクタリングの引き受けを拒否します。
これも、売掛先の経営悪化を確実に把握し、その後の取引を縮小したり、停止したりできるのですから、やはり大きなメリットです。
国際ファクタリングは、輸出業に取り組む会社にとって非常に頼もしい仕組みです。

国際ファクタリングのデメリット

ただし、国際ファクタリングにはいくつかのデメリットがあります。
輸出業が特に注意すべきデメリットについて解説します。

手数料が高い

基本的に、ファクタリングは手数料が割高な資金調達方法です。
国際ファクタリングも、類似の仕組みであるL/Cに比べて手数料が高くなります。

国際ファクタリングの手数料

JETRO(日本貿易振興機構)によると、国際ファクタリングの手数料相場は以下の通りです。

2.国際ファクタリング利用に際しての一般的な費用概算
a.信用調査費:1万円~3万円程度。調査内容変更の場合は追加費用がかかります。
b.保証料:インボイス金額に対し1カ月あたり数%、またはフラットレート(個別交渉となります)が適用され、月次ベースで支払うのが一般的です。
c.その他:通信費など個別料金が請求される場合があります。

出典:出典:JETRO「貿易・投資相談Q&A」
保証料の相場については「1ヶ月あたり数%」とあり、これは実際に依頼してみるまで分かりません。
国際ファクタリングは、メガバンク系のファクタリング会社が取り扱っていますが、どのファクタリング会社も保証料率を公表していないからです。
ただし、一般的に手数料が安い銀行系ファクタリングであることから、0.7~2.0%が目安とされています。
例えば、回収サイト4ヶ月の売掛金1000万円について、保証料率(月率)1.5%で保証を受ける場合、保証料は「1000万円×1.5%×4ヶ月=60万円」となります。
信用調査費用その他に5万円を要したとすれば、国際ファクタリングの手数料は合計65万円です。

L/Cの手数料

L/Cの手数料相場は以下のようになります。

  • 保証料:インボイス価格に対し、年あたり0.5~1.0%
  • 電信料:1万円程度
  • その他:為替手数料など

国際ファクタリングとの大きな違いは、L/Cの保証料率が「年率」で適用されることです。
例えば、回収サイト4ヶ月の売掛金1000万円について、保証料率(年率)1.0%で保証を受ける場合、保証料は「1000万円×1.0%×4ヶ月÷12ヶ月≒3.3万円」となります。
電信料その他として2万円を要したとしても、全体での費用は5万円程度です。

手数料は問題になりにくい

上記の手数料を比較すると、国際ファクタリングはL/Cに比べて手数料が高いことが分かります。
手数料によって利益が目減りするため注意が必要です。
もっとも、輸出業のファクタリングでは、手数料はそれほど問題になりません。
なぜならば、輸出業に取り組むことによって、利益率が高まる傾向があるからです。
国際ファクタリングの手数料は、利益率を高めることによって吸収できるため、手数料削減を工夫するよりも事業に注力したほうが賢明です。

保証を受けられない場合がある

国際ファクタリングには保証機能があり、売掛先の倒産などによって売掛金が回収できなくなった場合にも代金の支払いを受けることができます。
しかし、ファクタリング会社が保証を履行するのは、あくまでも「輸入業者の不払いなどの信用事故」に限られ、それ以外の場合には対応していません。
分かりやすいのがカントリーリスクです。
カントリーリスクとは、現地の事情によって、売掛先そのものが持っているリスクとは無関係に発生するリスクのことです。
政治・経済・社会環境の変化などがこれにあたります。
例えば、輸出先で戦争が起きて大きな混乱が発生した場合、売掛先が混乱に巻き込まれて売掛金を回収できなくなる可能性があります。
このようなカントリーリスクは、国際ファクタリングの保証対象外です。
このほかにも、

  • 輸出業者と輸入業者の契約に欠陥があり、輸入業者が支払いを拒否している
  • 輸出業者の納入した商品の不良品率が高く、輸入業者が支払いを拒否している

など、いわゆる「マーケットクレーム」による不払いも、国際ファクタリングでは保証の対象外となります。
ただし、このようなリスクは、国際ファクタリングを利用するかどうかに関係なく、輸出業ならば常につきまとうリスクです。
国際ファクタリングのデメリットというよりは、輸出業特有のリスクと考えるべきでしょう。

利用できるファクタリング会社が少ない

最後に、国際ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社が少ないこともデメリットです。
現在、国際ファクタリングを提供しているファクタリング会社はメガバンク系列のファクタリング会社に限られます。
金融機関やその系列の会社は、基本的に方針が似ています。
金融庁の監督を受けながら経営するため、他の金融機関と大きく異なる方針を打ち出すことが難しいのです。
したがって、メガバンク系列のファクタリング会社もおおむね方針が似ており、国際ファクタリングのサービス内容にもあまり差がありません。
ファクタリング会社選びが簡単という点ではむしろメリットなのですが、最適なファクタリング会社を探しにくいという点ではやはりデメリットです。

輸出業でファクタリングを活用するコツ

輸出業と国際ファクタリングについて書いてきました。
最後に、ファクタリングを活用するコツをいくつか紹介します。

1.あらかじめ国際ファクタリングで備えを

ここまでの内容から、輸出業にとって国際ファクタリングが役立つことは理解できたと思います。
輸出業ならではのリスクに対応するためにも、ぜひ国際ファクタリングを活用しましょう。
特に、輸出業に伴う売上拡大・回収サイト長期化による資金繰りの悪化には要注意です。
初めて輸出業に取り組む会社の多くは、国内取引の経験しかないだけに、輸出業の資金繰りに対してあまり実感がないはずです。
資金繰りが悪化することはなんとなくイメージできても、必要運転資金が予想以上に増加し、資金繰りに悩まされるケースが少なくありません。
もちろん、現地調査や回収実務の難しさなど、輸出業特有のリスクも想定しておくべきです。
だからこそ、輸出業に取り組む際には、必ず国際ファクタリングを利用しましょう。
国際ファクタリングを利用することによって、輸出業で成功できる可能性が格段に高まります。

2.増加運転資金の融資を受けるコツ

輸出業に進出する以上、売上や利益を伸ばしたいと考えるのが普通ですから、売上の増加は基本的に好ましいことであり、回収サイトが長期化することもある程度は仕方のないことです。
運転資金の増加はほぼ確実ですから、輸出業に取り組む際には、国際ファクタリングを利用すると同時に、銀行に増加運転資金の融資を申し入れましょう。
増加運転資金は前向きな資金需要であり、普段から付き合っている銀行が積極的に支援してくれることも多いです。
もし、融資交渉が難しいと感じる場合には、以下の2つのアプローチが効果的です。

①為替取引を交渉カードに

まず、為替取引が強力な交渉カードになります。
銀行が融資を判断する基準は、第一に返済能力、第二に保全(担保や保証など)、第三にその他の諸要素です。
第三の要素の中でも、かなり強力な交渉カードになるのが「取引振り」。
取引振りとは、融資以外の様々な取引の総称です。
銀行にとって、収益の柱は融資に伴う利息収入ですが、手数料収入も重要な収益源となります。
特に近年、多くの銀行で事業の多角化を図っており、以前に比べて手数料収入を重く見る銀行が増えてきました。
銀行は、以下のような融資先を「取引振りが充実している」とみなし、積極支援の対象と考えます。

  • 従業員の給与振込口座を集約し、従業員の口座利用によって手数料が発生している
  • 売掛先からの入金、買掛先への支払い、その他の決済を集約し、振込手数料が発生している
  • マイホームを建てる従業員を積極的に紹介し、貸付高と利息収入の増加に貢献している
  • 輸出業に進出するにあたり、為替取引を依頼することで為替手数料が発生している

銀行融資をうまく引き出すには、色々なアプローチによって取引振りの充実を図ることが大切です。
せっかく輸出業を始めるのですから、輸出に伴う増加運転資金の融資を引き出す際には、「為替取引による取引振りの充実」を交渉カードにしましょう。
これにより、銀行は「前向き資金の融資による利息収入」に加えて「為替取引による手数料収入」が同時に期待できるため、より積極的な姿勢で融資できます。
実際、為替取引を交渉材料にした場合、融資担当者の稟議書には以下のように記載されるのが一般的です。
「当社は〇年前より、東南アジア向けに輸出業を展開。今回現地法人を設立し、本格的に海外進出を行う予定。海外進出に伴い外為取引が期待できる。今回の融資は積極的に対応し、取引メリットの拡大を図りたい」
銀行融資の審査では、行内で稟議書を回覧し、最終的に支店長決済(場合によっては本部決済)によって決定されますが、「為替取引」という要素があることにより、決済がおりやすくなります。

②国際ファクタリングも交渉カードになる

加えて、国際ファクタリングも有力な交渉カードです。
そもそも、銀行が増加運転資金の融資に慎重になる原因は、「輸出業はうまく行くのか?」という不安があるからです。
輸出業がうまく行かなければ、売上や利益は得られず、返済原資も確保できないため、貸し倒れリスクが高まります。
特に、これから初めて輸出業に取り組む会社であれば、輸出業の実績が乏しいのですから、銀行としても慎重にならざるを得ません。
逆に言えば、この不安さえ払拭できれば、増加運転資金の融資を受けられる可能性が高いです。
そこで国際ファクタリングが役立ちます。
国際ファクタリングを利用すれば、売掛金が回収できなくなる心配は基本的になく、早期資金化によって資金繰りの問題も解消できます。
輸出業がうまく行く可能性が大きく高まるわけですが、銀行から見ても不安材料がなくなり、融資を検討しやすくなるのです。
増加運転資金の融資を申し入れる際には、「今回、輸出業進出にあたって、国際ファクタリングの利用を取り付けています」などと伝えることで、融資のハードルは大きく下がるでしょう。
このように、国際ファクタリングは銀行融資にもプラスになるのです。

3.国内取引でもファクタリングを

輸出業者の中には、初めから輸出業に専念する業者もあれば、国内取引から国際取引へと進出拡大していく業者もあります。
後者の場合、輸出業を始めたからといって、すぐに国内取引から撤退することは考えにくく、基本的には「国内取引+輸出業」の二本柱になります。
その後の展開によっては、国内取引の比率が次第に縮小し、大部分を輸出業が占めることもあるかもしれません。
とはいえ、ある程度は国内取引も継続するため、手元には常にいくらかの「国内取引の売掛金」を保有しています。
国内取引の売掛金であれば、国内の多くのファクタリング会社が対応しているため、積極的にファクタリングを活用しましょう。
これによって、さらに柔軟な資金繰りが可能となり、輸出業に伴う変化をフォローするのに役立ちます。
国内向けのファクタリングについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

「ファクタリング」という新しい資金調達制度の概要とメリット・デメリットを紹介します!

まとめ:輸出業の不安はファクタリングで解決!

輸出業は、国内取引とは全く異なるリスクがあり、資金繰りも特に難しい業種です。
国内経済が頭打ちになっている今、リスクを承知の上で輸出業へと展開する中小企業が増えています。
これから初めて輸出業に取り組む会社、あるいは既に海外展開しており今後業務を拡大していく会社は、ぜひファクタリングを活用しましょう。
海外企業の売掛金は国際ファクタリングを、国内企業の売掛金は一般的な買取ファクタリングを活用することで、輸出業のリスクを大きく軽減し、会社の成長を加速することができます。
国際ファクタリングを取り扱っているのは、メガバンク系列のファクタリング会社に限られますが、一般的な買取ファクタリングは多くの会社が提供しています。
買取ファクタリングをご希望の会社は、ぜひNo.1にご相談ください。
輸出業の資金繰りを踏まえて、弊社のコンサルタントが最適なファクタリングプランを提案いたします。

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