カテゴリー: ファクタリング

資金繰りを改善できるリバースファクタリングを徹底解説


皆さんは、ファクタリングの一種である「リバースファクタリング」をご存じでしょうか。まだまだ取り扱うファクタリング会社が少ないため、知らない人も多いことでしょう。本稿では、会社の資金繰り改善や営業活動に役立つリバースファクタリングを解説します。

リバースファクタリングとは?

皆さんは、「ファクタリング」と聞くとどのような資金調達をイメージするでしょうか。
中小企業の経営者にとって馴染み深いのは、売掛金を買い取ってもらうファクタリングです。売掛先に対する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことから、正式には「買取ファクタリング」といいます。
買取ファクタリングは、ファクタリングの形態の中で最も普及しており、単に「ファクタリング」と表現する場合には買取ファクタリングを指すのが普通です。
 
しかし、一口にファクタリングといっても、色々なファクタリングがあります。No.1でも、買取ファクタリング以外に診療報酬ファクタリング、介護報酬ファクタリングなどを取り扱っています。
それ以外にも色々なファクタリングがありますが、本稿で取り上げるのはあまり知られていない「リバースファクタリング」です。
 
簡単に言えば、リバースファクタリングは買掛金の支払いに利用するファクタリングであり、資金繰り改善に役立ちます。表面的には資金調達ではありませんが、実質的には資金調達と同等の効果があります。

買取ファクタリングとの違い

リバースファクタリングの基本的なイメージをつかむには、一般的な買取ファクタリングとの違いを考えるのが分かりやすいでしょう。
買取ファクタリングは、自社の保有する売掛金をファクタリング会社に売却するものです。売掛金を早期資金化することで資金を調達でき、銀行融資のように手間がかからないのが魅力です。
 
一方、リバースファクタリングは、買取ファクタリングとはかなり異なるサービスです。まず、ファクタリングの対象が真逆です。買取ファクタリングでは自社の保有する売掛金(支払い期日に代金を受け取る権利)が対象ですが、リバースファクタリングでは自社の保有する買掛金(支払い期日に代金を支払う義務)を対象とします。
 
詳しい仕組みや流れは後述しますが、リバースファクタリングの目的は、買掛債務を負っている会社がファクタリング会社に申し込むことで、買掛金の支払い期日を延長することです。例えば、買掛金の支払サイトを30日から60日に延長するならば、支払いを30日先延ばしした分だけ資金繰りに余裕が生まれるのです。

なぜ資金繰りが改善する?

リバースファクタリングで買掛金の支払サイトを延長することで、資金繰りの改善につながります。このようにいわれても、いまひとつピンと来ない人もいるはずです。リバースファクタリングの資金繰り改善効果は、資金繰りの原則を考えるとよく分かります。
 
そもそも買掛金とは、「買掛先に対する自社の支払いを、買掛先が一時的に(後日の支払い期日まで)立て替えている状態」を意味します。
スーパーで買い物をし、レジで現金払いするように、売り手と買い手の取引は現金で行われるのが基本です。しかし、買い手の手元資金に余裕がない場合、支払いを先延ばししたいと考えます。「支払いを先延ばししてくれるなら買いたい、現金即時払いなら買えないので取引を見送る」という会社も多いです。
 
そこで、売り手は支払いの先延ばしを認め、商品やサービスを支払いに先立って提供します。これは、支払いまでの期間、売り手が代金を立て替えていることにほかなりません。
買い手としては、一時的にせよ代金を立て替えてもらうことで、お金のやりくりがラクになります。支払いの先延ばしは、立て替え期間の延長に相当するため、資金繰りはさらにラクになります。

リバースファクタリングで手軽に資金繰り改善できる

しかし、支払いの先延ばしは売り手に悪影響をもたらします。代金の立て替え期間が延びると資金繰りが悪化するのです。したがって、自社の都合だけで「支払サイトを伸ばしてほしい」などと交渉しても、断られたり関係が悪化したりする可能性が高いです。
そこで、リバースファクタリングが役立ちます。リバースファクタリングは、売り手と買い手の双方にメリットがあるからです。
 
リバースファクタリングは、ファクタリング会社が代金を立て替えるサービスです。売掛金の回収サイトが短縮する、つまり代金の立て替え期間が短くなることにより、売り手の資金繰りが改善します。また、売掛金の回収不能リスクも避けることができ、リスクマネジメントにも好都合です。同時に、買い手は買掛金の支払いを先延ばしすることで、資金繰りの改善が可能です。
 
このような条件ならば、売り手も納得してくれるでしょう。交渉が難航すること可能性は低く、自社の支払サイト延長・資金繰り改善も容易なのです。

リバースファクタリングの仕組み

次に、リバースファクタリングの仕組みを知り、理解を深めていきましょう。

リバースファクタリングの流れ

リバースファクタリングの大まかな流れは以下の通りです。

    1. 1.買掛先から自社に商品・サービスの提供が完了し、請求書が発行される。買掛金が発生する
    2. 2.自社からファクタリング会社に対し、リバースファクタリングを依頼する
    3. 3.ファクタリング会社が代金を立て替え、買掛先へ先払いする
    4. 4.後日、自社はファクタリング会社に対して、立て替えた金額を支払う。このとき、立て替え期間に応じてファクタリング手数料を上乗せする

リバースファクタリングに応じるファクタリング会社によって、あるいは下記の通りパターンの違いによって細かい流れは変わってきます。しかし、大体の流れは変わらないと考えて構いません。

リバースファクタリングは2パターン

上記の流れを基本として、リバースファクタリングには2パターンあります。すなわち、

  • 買掛先の回収サイトを短縮するパターン(本来の支払い期日は変えず、支払いを前倒しするパターン)
  • 自社の支払サイトを延長するパターン(買掛先への支払いを立て替えてもらい、同時に支払い期日を先延ばしするパターン)

の2パターンです。

買掛先の回収サイトを短縮するパターン

まず、買掛先の回収サイトを短縮するリバースファクタリングですが、これは主に買掛先の資金繰り改善に効果があります。買い手である自社は、支払い期日が変わらないため、目立った資金繰りメリットはありません。
ならば、あえてリバースファクタリングを利用するメリットはないように思えますが、そうとも言い切れません。買掛先との交渉時に、リバースファクタリングが役立つこともあるのです。
 
近年、自社の業務をアウトソーシングする会社が増えています。外注先に対して、後日支払いの契約で仕事を外注すれば買掛金が発生します。
 
もし外注先から、これまで60日サイトで支払っていた代金を30日サイトに短縮してほしいと依頼されたとき、皆さんならばどう対応するでしょうか。優秀な外注先を逃さないためにも、時にはこのような要求を受け入れる必要があります。しかし、それでは自社の資金繰りが苦しくなります。
 
そこで、リバースファクタリングを活用するのです。契約上は60日サイトに据え置き、リバースファクタリングによって30日で支払われる形を作れば、自社は資金繰りを悪化させることなく、外注先の要求に応じることができます。
買掛先の回収サイトを短縮するリバースファクタリングは、このように利用します。

自社の支払サイトを延長するパターン

自社にとってメリットが大きいのは、自社の支払サイトを延長するリバースファクタリングです。
リバースファクタリングでは、単に買掛先への支払いを立て替えてもらうだけではなく、同時に支払いの先延ばしも可能です。この方法であれば、買掛金の支払いを先延ばしした分だけ、資金繰りを改善できます。
 
例えば、これまで60日サイトで取引していた外注先があったとします。自社の資金繰りが一時的に苦しくなり、60日後の支払いができない可能性が出てきました。このとき、リバースファクタリングを利用することで60日後の支払いを立て替えてもらい、同時にファクタリング会社への支払いを90日後や120日後などに設定するのです。これにより、支払いに遅れずに資金繰りもラクになるというわけです。
 
もちろん、買掛先の希望に応じて、支払いの前倒しと延長を同時に行うことも可能です。
ただし、単に支払いを前倒しした場合に比べて立て替え期間が長くなるため、ファクタリング手数料が膨らみます。却って資金繰りの負担になることもあるため注意が必要です。

リバースファクタリングのメリット

具体的に、リバースファクタリングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。上記で触れた内容も含め、まとめてみていきましょう。

支払いを先延ばしできる

リバースファクタリングの仕組みでもみたとおり、支払いの先延ばしによって資金繰りを改善できるメリットがあります。
一般的な買取ファクタリングは、買掛金ではなく売掛金が対象です。自社が売掛先に対して立て替えている代金を減らすことで、資金調達と同時に資金繰り改善も期待できます。
この逆パターンであるリバースファクタリングは、買掛金を対象にファクタリングし、立て替え期間を延長することで資金繰りを改善するものです。
 
買取ファクタリングによる売掛金の早期回収と、リバースファクタリングによる買掛金の支払延長を同時に行うことで、資金繰りの大幅な改善も可能です。買取ファクタリングだけではなかなか資金繰りが改善しない会社では、リバースファクタリングとの併用も検討してみてください。
 
検討のポイントは、自社のお金の流れをよく分析してみることです。リバースファクタリングの資金繰り改善効果が高いのは、買掛金による資金繰りの負担が大きい会社です。例えば、

  • 買掛金の支払サイトが短い
  • 買掛金と売掛金のサイトのギャップ(支払サイト<回収サイトの関係)が大きい
  • 買掛金のうち、前払金の割合が大きい

といった場合に資金繰り負担が高まります。このような会社は、リバースファクタリングによって、資金繰りを大幅に改善できる可能性があります。

営業活動にも役立つ

リバースファクタリングは、買掛先の資金繰り改善にもつながります。買掛先の資金繰りに配慮することで、自社の営業活動にも活用できます。
例えば、買掛先から支払い期日の短縮を求められた場合、リバースファクタリングによって支払いを前倒しするのです。これにより、契約上の支払い期日を変更せず、実質的には支払い期日を短縮することができます。
 
買掛先としても、早期の支払いは好都合です。リバースファクタリングを活用して早期支払いに取り組めば、買掛先と良好な関係を築けることでしょう。優秀な外注先との関係強化にも活用したいものです。
また、リバースファクタリングは新規の取引にも使えます。具体的には、新規事業展開や既存事業のアウトソーシングに伴い、新たな仕入先や外注先と交渉する際に役立ちます。
 
新規取引にあたっては、与信管理を厳しく行うのが普通です。取引実績がなく信用が十分ではないため、与信限度額や回収サイトをシビアに設定します。自社としては、少額・短期支払いの掛け買いを繰り返すよりも、まとまった額で支払サイトの長い取引をすることで、資金繰りをラクにしたいところです。
 
そこで、リバースファクタリングを活用します。新規の買掛先は、ファクタリング会社が早期支払いを保証してくれるため、まとまった単位でも安心して取引できます。これにより、自社の新規事業展開や既存事業の効率化も円滑になるでしょう。

支払いの一本化によるコスト削減効果

リバースファクタリングは、買掛金の支払い延長だけではなく、コスト削減による資金繰り改善も期待できます。
リバースファクタリングを利用すると、支払いの流れが大きく変わります。これまで、支払い期日に自社から買掛先に支払っていた流れが、

    1. ファクタリング会社から買掛先へ早期支払い
    2. 後日、自社からファクタリング会社へ支払い

という流れに変わるのです。つまり、自社の支払先は買掛先ではなく、ファクタリング会社に変わります。自社が、多数の仕入先や外注先を抱えている場合、それぞれの買掛金を管理するだけでも多くの手間がかかります。万が一、支払いの遅れなどが生じてしまうと、信用を大きく損なうことになるでしょう。
 
そのような会社では、できるだけ多くの買掛先に対してリバースファクタリングを行い、支払先をファクタリング会社にまとめるのがおすすめです。支払先と支払い期日をまとめることによって、買掛金管理に必要なコストを大幅に削減できるのです。

リバースファクタリングの注意点

ただし、リバースファクタリングにはいくつかの注意点があります。しっかりと活用するためにも、以下の注意点を押さえておきましょう。

必ず3社間取引を行う

買取ファクタリングの取引方式には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。
取引先が関与するかどうかによってファクタリング会社のリスクが大きく変わるため、2社間ファクタリングは手数料が高くなります。しかし取引先への配慮から、あえて2社間ファクタリングを選ぶ会社が多いです。
 
一方、リバースファクタリングでは3社間ファクタリングしか選べません。なぜならば、買掛先がファクタリング会社から支払いを受けることで、はじめてリバースファクタリングが成り立つからです。このため、リバースファクタリングでは、自社・買掛先・ファクタリング会社の3社間で契約する必要があります。
 
したがって、自社がリバースファクタリングを利用したいと思っても、買掛先が拒否すれば契約が成り立たないため利用もできません。
 
もっとも、リバースファクタリングは買掛先にとっても資金繰り改善になり、手数料も全て自社が負担します。買掛先には一切のデメリットがないため、拒否されることは少ないはずです。
 
例外的に、ファクタリング会社の方針によっては、電子記録債権の導入が必要になります。この場合、買掛先の負担が大きくなるため、リバースファクタリングの利用を拒否されることも考えられます。

ファクタリング手数料がかかる

買取ファクタリングと同様に、リバースファクタリングでもファクタリング手数料がかかります。ファクタリング会社に立て替えてもらった買掛金に、ファクタリング手数料を上乗せしたものを支払います。
リバースファクタリングの手数料の相場は買掛金額面の5~10%です。例えば、100万円の買掛金を、手数料率10%でリバースファクタリングする場合、支払い期日には110万円の支払いが必要です。
 
ファクタリング手数料は、自社の信用状況、買掛金の額面金額、支払サイトの長さによって変わります。
ファクタリング会社は、後日、自社がきちんと清算することで初めて利益を得られます。支払い前に自社の経営が悪化し、倒産などすればファクタリング会社は損失を被るのです。
 
このようなリスクに備えるために、リターンとしての手数料が設定されます。立て替え金額が大きい、立て替え期間が長いなどの場合には、ファクタリング手数料を高く設定してリスクに備えるのが普通です。

自社が審査を受ける

また、リバースファクタリングでは自社が審査対象になります。
買取ファクタリングの場合、ファクタリング会社は売掛先を審査します。自社に対する審査は、ごく簡単に行われるだけです。これは、ファクタリング会社の回収対象が、自社ではなく売掛先であるためです。
 
一方、リバースファクタリングでは、ファクタリング会社に立て替えてもらった買掛金を、いずれ自社が決済しなければなりません。ファクタリング会社の回収対象は買掛先ではなく自社であるため、支払い能力が十分であるかどうか、自社に対して審査を行います。
 
したがって、自社に十分な信用がなければ、ファクタリング会社はリバースファクタリングの利用を拒否します。例えば、資金繰りが極めて厳しい会社が、単なる延命措置のためにリバースファクタリングを申し込んでも、ファクタリング会社は回収不能リスクが高いと考えて拒否するのです。
 
買取ファクタリングでは、自社が連続赤字や債務超過などの場合にも利用できることが多いです。リバースファクタリングは、買取ファクタリングと同じ感覚では利用できない点に注意してください。

選べるファクタリング会社が少ない

最後に、選べるファクタリング会社が少ないことも難点です。
現在、リバースファクタリングを取り扱っているファクタリング会社は非常に少なく、大手ファクタリング会社ではビートレーディングやみずほファクターなどに限られます。No.1でもリバースファクタリングは提供していません
 
選べるファクタリング会社が少ないことは、利用先を簡単に選べる点ではメリットです。しかし、多くのファクタリング会社を比較し、自社に最適なファクタリング会社を選べないことから、メリットよりもデメリットが大きいといえます。

まとめ

本稿では、あまり知られていないリバースファクタリングについて詳しく解説しました。一般的な買取ファクタリングと比べると多くの点で異なるため、戸惑った人もいると思います。分かりにくいと感じた人は「買掛金の支払いを先延ばしして、資金繰りを改善するファクタリング」といった捉え方でも問題ありません。
 
現在、リバースファクタリングを提供しているファクタリング会社は限られています。強いてリバースファクタリングを利用せずとも、一般的な買取ファクタリングでも資金繰り改善は可能です。買掛金に大きな問題を抱えているのでなければ、まずは買取ファクタリングの利用をおすすめします。

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