カテゴリー: ファクタリング
ファクタリングの手数料の割引率の計算方法と割引率の相場
ファクタリングを活用する際には、割引率が重要です。しかし、割引率の意味を知らない、割引率がどのように決められるか理解していない、といった人が少なくありません。
割引率の仕組み、相場や計算方法などを学ぶことで、優良ファクタリング会社を選びやすくなり、適正な割引率でファクタリングできる可能性が高まります。
ファクタリングをフル活用するためにも、本稿で割引率について学んでいきましょう。
ファクタリングの割引率とは?
ファクタリングの利用にあたって、最低限知っておくべき知識に「割引率」があります。
割引率といえば、手形割引をイメージする人も多いかもしれません。手形割引では、手形の買取価格を「額面×割引率×支払いまでの日数」で計算します。ファクタリングにおける割引率も、これとほとんど同じものであると考えて問題ありません。
ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に売却することで早期資金化します。このとき、売掛金の買取価格は、
以下の計算式で算出されます。
ただし、No.1のように諸費用を不要とし、割引率だけで買取価格を決めるファクタリング会社も多いです。
ファクタリング手数料というキーワードもよく耳にすると思いますが、割引率はファクタリング手数料を決めるためのパーセンテージともいえます。
上記の計算式からもわかる通り、ファクタリングの割引率は買取価格を左右する重要な項目です。割引率が高ければ、売掛金の額面金額は大きく目減りするため、調達できる資金は少なくなります。
逆に、割引率が低ければ低いほど、資金繰りへのプラスの効果は高まります。
割引率はファクタリング審査で決まる
ファクタリングの割引率は、ファクタリング審査によって決められます。
ファクタリング会社は、買い取った売掛金が支払い期日にしっかり支払われることで、はじめて利益を確保できます。支払いが遅れるとファクタリング会社の資金繰りは悪化し、また売掛先が支払い不能に陥った場合には、買取金額として支払ったコストが全て損失になってしまうのです。
このため、ファクタリング会社は売掛金の債務者(=売掛先)に対して信用調査を行い、売掛金のリスクを審査します。
審査の結果、売掛先の財務や業績から貸し倒れリスクを測り、売掛金の支払い期日までの日数なども考慮した上で割引率を設定します。
ファクタリング審査が割引率を左右する理由は、売掛先の信用力が貸し倒れリスクに与える影響を考えると分かりやすいです。
審査の結果、売掛先の信用力が高ければ、売掛金が焦げ付くリスクは低いため、割引率は低く設定されます。
反対に、売掛先の信用力が低く、貸し倒れリスクが高いと判断すれば、ファクタリング会社は買い取りを拒否するか、割引率を高く設定した上で買い取りに応じます。
割引率が低くなる例
ここからは、どのような考え方によって割引率が決まるのかを具体的に見ていきましょう。まずは、割引率が低くなる場合を考えます。
リスクが低い
割引率が低くなるための最大の要因は、売掛先の信用力が高く、売掛金の貸し倒れリスクが低いことです。
リスクが低いと判断できる例は複数考えられます。代表的なものを見てみましょう。
売掛先の財務が良好である
売掛先の財務状態が良ければ、資金繰りはうまく回ります。例えば、手元資金が潤沢である、売掛金の回収が早いため手元資金が枯渇しにくいなど、色々なことが考えられます。
資金繰りが健全であればあるほど、資金繰りショートの危険性は低いです。したがって、ファクタリング会社が買い取った売掛金は、貸し倒れリスクが低い「優良債権」であると判断でき、割引率を低く設定しても採算が合います。
売掛先の業績が安定している
売掛先の業績が安定している場合にも、割引率が低くなる傾向があります。業績が横ばいで安定している、または安定して成長している場合には、売掛金は金融機関から融資を受けやすく、資金繰りが行き詰る可能性が低いためです。
ファクタリング会社は買い取った売掛金をしっかり回収できる可能性が高いと判断し、割引率を低めに設定できるようになります。
売掛金の支払い期日までの日数が短い
売掛金の支払い期日までの日数も重要です。
極端な例ですが、明日が支払い期日の売掛金であれば、安全性は高いと考えられます。
今日の時点で資金繰りがショートしていない売掛先が、24時間以内(明日まで)に経営破綻し、売掛金が支払い不能になる可能性は極めて低いためです。
しかし、売掛金の支払い期日が1週間後、半月後、1ヶ月後、2ヶ月後と遠くなるにつれて、支払いを待っている間に売掛先の経営が悪化し、資金繰りが行き詰り、支払い不能に陥るリスクは高まっていきます。
ファクタリング会社は、このリスクを割引率に反映します。すなわち、支払いまでの日数が短い売掛金ほど割引率を低く設定するのです。
ただし、売掛金の支払い期日は、手形などに比べてそれほど長くありません。下請法の対象企業であれば、支払い猶予は最長60日が上限となります。
したがって、業績・財務などに比べて、支払い期日が割引率を大きく左右することは少ないと考えてください。
三社間ファクタリングである
売掛先の経営状況・信用力以外にも、リスクを左右する重要な要素があります。それは、二社間ファクタリングか、それとも三社間ファクタリングかということです。
二社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社の二社だけでファクタリング契約を結びます。
一方、三社間ファクタリングでは、自社・売掛先・ファクタリング会社の三社でファクタリング契約を結びます。
二社間ファクタリングは、売掛金の譲渡を売掛先に伝える必要がありません。ファクタリング契約の際には、自社がファクタリング会社の売掛金回収業務を請け負います。支払い期日に、売掛先から自社に支払われた売掛金を、自社からファクタリング会社に振り込む流れとなるのです。
この流れにより、ファクタリング会社は、「回収した売掛金が支払われない」、「売掛金を二重譲渡されてしまう」
といったリスクが生じるため、割引率を高めに設定することでリスクをカバーします。
三社間ファクタリングでは売掛先も巻き込んだ取引であり、売掛先は売掛金譲渡を承諾します。このため、ファクタリング会社が売掛先に対して直接回収することができ、二社間ファクタリングのように、売掛金の回収でトラブルが起きる可能性が低いです。
したがって、三社間ファクタリングは割引率が低く設定されます。
利用方法でも変化する
これまでに述べた通り、ファクタリングの割引率を大きく左右するのは、売掛金の貸し倒れリスクです。しかし、ファクタリング会社の利用方法によっても割引率は変化します。
代表的な例をふたつ紹介します。
乗り換えでの利用
ファクタリング会社の公式ホームページで、「乗り換えキャンペーン」を目にしたことがある人はいると思います。
これは、ファクタリングの依頼先を乗り換えることによって、それまでのファクタリング会社より低い割引率へ引き下げるというキャンペーンです。このようなキャンペーンを利用すれば、割引率を引き下げられる可能性があります。
気を付けるべきポイントは、新興のファクタリング会社ほど、このようなキャンペーンを実施している傾向があるということです。老舗のファクタリング会社から乗り換えてもらうことで、新規の顧客を獲得することが目的です。
No.1をはじめ、業歴の長い優良ファクタリング会社では、このようなキャンペーンを実施していない会社も多いです。
これは、そもそもの割引率を低め設定していること、また審査能力やスピード感、付帯サービスなどに強みがあるため、あえてキャンペーンを実施する必要がないためです。
割引率やキャンペーンだけを基準に業者選びをすれば、誇大広告に引っ掛かってしまうリスクもあるため、慎重に検討することを心がけましょう。
継続利用
このほか、継続利用でも割引率が下がる傾向があります。これは、リピーターとの関係強化や、貸し倒れリスクの低減が理由です。
ファクタリング会社の採算性から考えると、貸し倒れリスクの低い優良債権の買い取りを多く依頼してくる顧客は、今後も関係を続けるべき優良顧客です。そのような顧客に対しては、割引率を優遇することで関係強化を図るケースがあります。
他の業種でも、発注単位が大きい、回収サイトが短いなど、自社にとって好ましい取引ができる顧客に対しては、売値をディスカウントするなどの優遇を行います。ファクタリング会社の割引率も同じことです。
また、信用力の高い売掛先の売掛金を繰り返しファクタリングする場合には、割引率が下がることが多いです。ファクタリング会社は、リスクが低いことを事前に把握しているため、低い割引率でも採算がとれるためです。
また、これによって今後も繰り返し優良債権のファクタリングを請け負う流れを作り、売上につなげていく目的もあります。
乗り換えに伴うキャンペーンを狙い、多くのファクタリング会社を切り替えていくよりも、優良ファクタリング会社を一つ選んで継続利用したほうが、割引率が低くなる傾向があります。
割引率が高くなる場合
一方、割引率が高くなるのはどのような場合でしょうか。
これは簡単です。上記で解説した「割引率が低くなる場合」と逆の場合に、割引率が高くなります。
したがって、こちらは簡単に見ていきましょう。
売掛先の信用力が低い
売掛先の信用力が低く、売掛金の貸し倒れリスクが高い場合には割引率が高くなります。
- 売掛先の財務状況が悪い:資金繰りがショートし、支払い不能に陥る危険性が高い
- 売掛先の業績が低迷している:銀行融資などの資金調達が難しい。資金繰りが危なく、業績も悪ければ資金繰りショートの危険がある
- 売掛金の支払い期日までの日数が長い:支払いを待っている期間中に経営が悪化する可能性が高まる
といった場合です。
売掛金の貸し倒れリスクが高ければ、額面に近い金額で買い取ることはできません。ファクタリング手数料を多めに取ることでリスクの軽減を図るために、割引率を高く設定するのが普通です。
二社間ファクタリングである
このほか、二社間ファクタリングを利用する場合には、三社間ファクタリングに比べて割引率が高くなります。この理由は、すでに解説した通りです。
ファクタリングの割引率の相場は?
最後に、ファクタリングの割引率の相場や、実際のファクタリング手数料について解説します。
平均的な相場は?
ファクタリングの割引率は、ファクタリング会社によってかなり異なります。このため、割引率の相場は幅を持たせて考え、
三社間ファクタリング:1~10%
といった感覚で見ておくのがポイントです。
公式ホームページなどの表示が、この相場から大きく外れる場合には要注意です。表示されている割引率は単なる見せかけであり、実際に適用される可能性は低く、また諸費用として多額の料金を請求される可能性も考えられます。
実際に、
- 割引率が低すぎる→諸費用が複雑に、細かく設定されている
- 割引率の幅が広すぎる→「5~30%」などの表示。下限で低くみせ、実際には上限近い割引率を適用する
といったケースがあります。
割引率の具体的な設定をいくつか紹介しておきます。
No.1 | A社 | B社 | ||
割引率 | 二社間ファクタリング | 5~15% | 5~10% | 8~30% |
三社間ファクタリング | 1~5% | 1~5% | 3~8% | |
諸費用 | なし | あり | あり |
もちろん、割引率だけではなく資金調達までのスピード感や手続きの方法など、総合的に比較することを心がけてください。
割引率と計算方法
割引率を適用し、ファクタリング手数料を計算する方法も知っておくことが大切です。
例えば、二社間ファクタリングを利用し、額面300万円の売掛金を、10%の割引率でファクタリングする場合、
がファクタリング手数料となります。ファクタリング契約を結んだ後、売掛金の額面からファクタリング手数料を差し引いた270万円が振り込まれ、資金調達は完了となります。
適正な割引率でファクタリングするには?
割引率の相場や計算方法を知ると、効率的な資金調達のために、割引率を低く抑える重要性が分かったと思います。
確かに、割引率は低いに越したことはありませんが、それよりも大切なことは「適正な割引率でサービスを受けられること」です。
割引率が低すぎる場合、ファクタリング会社はどこかでリスクをカバーする必要があるため、諸費用を請求する、償還請求権をつけるなど、自社が不利になる条件を出してくる可能性が高いです。
逆に、割引率が高めに設定されるケースも多いため、注意してください。
ファクタリング会社によって、審査能力やノウハウ、データの蓄積などに大きな差があります。このため、売掛先の信用力をどこまで詳しく審査し、割引率に反映していくか、会社によってかなり異なります。
審査能力の高く、ノウハウやデータに強みのあるファクタリング会社であれば、短時間で売掛先の信用力を正確に把握し、適正な割引率を設定することが可能です。
しかし、審査能力が低く、ノウハウ・データも乏しいファクタリング会社では、ごく簡単な審査をスピーディに進めるケースが多いです。この場合、把握しきれなかったリスクを、割引率を高めに設定することでカバーする必要があります。
後者のようなファクタリング会社を利用すれば、自社に不利な割引率になる可能性が高く、資金調達の効率は悪くなります。また、そもそも適正な割引率を設定する能力に欠けるため、継続利用によって有利な条件を引き出していくことも難しいでしょう。
したがって、割引率の設定に疑問を感じるようであれば、より良いファクタリング会社への乗り換えを検討すべきです。
まとめ
本稿では、ファクタリングの割引率について詳しく解説しました。割引率の仕組み、相場や計算方法など、基礎知識は全て網羅できたはずです。
ファクタリングを活用するためには、適正な割引率でファクタリングできるよう、審査能力の高いファクタリング会社を選ぶことが大切です。
ファクタリング会社ごとの審査能力は、スタッフの専門知識や経験に左右されるため、専門家の在籍の有無などを確認することが大切です。もちろん、ノウハウとデータの蓄積も重要ですから、業歴の長さも欠かせません。
No.1は、日本でファクタリングが急速に普及し始めた2016年から営業しており、ファクタリング業界では長い業績を有します。また、資金繰りコンサルタントを複数抱えていることから、審査能力が高いのはもちろんのこと、ファクタリングの活用のアドバイスなどを含めた総合サポートに強みがあります。
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