カテゴリー: ファクタリング

債務者側へのファクタリングのメリットは?資金繰りを解決する方法も

ファクタリングは売掛金を受け取る側の債権者にとって、負債にならずにすぐ資金調達が可能で、利用メリットのあるサービスで知られています。

では、買掛金を払う側の債務者にとってはどんなメリットまたはデメリットがあるのか、見ていきましょう。

また債務者の方も資金繰りが厳しい、取引先への支払いを遅らせたいと思うことがあるのではないでしょうか。そんなときに債務者側にメリットがあるファクタリングも存在します。

本記事では、ファクタリングにおいての債務者側のメリットや資金繰りを解決する方法をご紹介するので参考にしてみてください。

債権者、債務者の関係についておさらい

まず初めに、債権者と債務者の関係を改めて確認しましょう。

実際の取引を想定します。

A社はB社に自動車の部品を卸しています。今回の卸総額は150万円です。
B社はA社に1月31日に支払う契約をしました。
つまり
A社→債権者:売掛金(自動車の部品代150万円)を受け取る
B社→債務者:買掛金(自動車の部品代150万円)を1月31日までに支払う
という関係になります。

この設定の上でA社が緊急で資金が必要になり1月31日まで待てないとなったとします。

ファクタリング会社を利用する場合、150万円の売掛金から手数料を引いた金額で売却し資金を期日前に手に入れます。

A社が2社間ファクタリングを選んだ場合、債務者はA社が売掛債権を譲渡したことは分かりません。したがってB社は期日になったら、A社に支払います。

A社が3社間ファクタリングを選んだ場合は、契約前に債務者に相談があるため、同意をして売掛債権が譲渡されます。したがってB社からの支払い先はファクタリング会社に変わります。

債務者が売掛金を支払うことに変わりはありませんが、債務者にとっても通常の取引と比べてメリット・デメリットがあるのです。

ファクタリングにおける債務者側のメリット

債権者がファクタリングを行った際の、債務者側に考えられるメリットをお伝えします。

メリットとして考えられるのは、債権者がキャッシュフローの改善や経営状況の改良を計画している期待ができることです。

債権者が資金調達に困っている場合は、債務者に伝えない2社間ファクタリングを利用する可能性もありますが、3社間ファクタリングの相談を受けることもあります。

3社間を利用するケースは、債権者側の経営状態が悪くなく、債務者側においても買掛金の未払いリスクが低いことが条件です。

つまり、両者ともに経営状態が比較的良く前向きな支払方法として選択され、取引関係もさらに良くなる手段と考えられるでしょう。

ファクタリングにおける債務者側のデメリット

2社間ファクタリングが選択された場合は、債務者側の経営状態の悪化や資金繰りに困ったときと考えられますが、債務者側がその事実を知らないまま行われます。

もし知られた場合、債務者に不安を与え、取引継続の危機に陥るからです。

その一方で3社間ファクタリングについては、債務者側の経営状況などに関して調査が入ります。もしも審査によって、債務不履行や貸し倒れのリスクが高いとされた場合はファクタリングを契約することができません。

よって債権者は債務者への信用度が下がり、取引停止の検討や支払い期間を短縮する可能性もあります。そうなれば債務者側の仕事の減少や資金繰りの悪化に繋がるでしょう。

債権者が債務者との取引継続にリスクがあると判断し、未回収を防ぐ売掛保証の契約を決めたとしたら、債務者側により厳格な審査がかけられることになります。債務者は要注意の企業と認定されてしまうでしょう。

債務者側にメリットがあるファクタリング

債務者が主体で利用できるファクタリングはないのか?と考える方もいるでしょう。

債務者側にメリットがあるファクタリングは、「一括ファクタリング」もしくは「リバースファクタリング」です。

それぞれの仕組みやメリット・デメリットを解説していきます。

一括ファクタリング

「一括ファクタリング」とは、従来の”手形”による支払いではなく、”売掛債権”を金融機関に一括で買い取ってもらうものです。

債務者側の決済に関わる事務負担を軽減し、手形の印紙代も不要になります。

債務者・債権者・ファクタリング会社(金融機関)の3者で取引するため、3社間ファクタリングと似ています。

ただし大きな違いは、債務者側が申し込み、債権者が承諾をするという点です。

一括ファクタリングの仕組み

1. 債務者(売掛先)がファクタリング会社(金融機関)によるシステムに登録する
2. ファクタリング会社が債務者への審査を行い、問題なければ契約完了
3. 債権者(買掛金)から債務者(売掛先)に商品やサービスが提供され、売掛金が発生
4. 債権者が売掛金の早期受け取りを希望し、一括ファクタリングに同意。売掛債権をファクタリング会社に譲渡する
5. 債務者が売掛金の譲渡を承認し、支払いの明細データをファクタリング会社に送信
6. ファクタリング会社から債権者に手数料を引いた買取金額が支払われる
7. 支払期日に債務者はファクタリング会社に売掛金を支払う

一括ファクタリングのメリット

債権者主体で利用される買取型ファクタリングは、買掛先(納入企業)のみがメリットを得られます。

しかし一括ファクタリングでは、債務者側にもメリットがあると言えます。

それでは、どんなメリットがあるのかを見ていきましょう。

信用度が高い企業だと証明できる

一括ファクタリングを利用する際、金融機関によるハードルの高い審査を通過する必要があります。

つまり、審査に通れば経営状況が良く支払い能力が高い会社だと証明されるのです。

取引先に安心感を与え、さらなる事業拡大も見込めるでしょう。

手形発行や事務作業の負担を軽減

手形で取引をするには、債務者は印紙代や事務作業のコストがかかります。

特に手形の印紙代は額面金額の0.01~0.1%ほど発生します。1000万円の手形だとしたら2万円のコストです。

また手形を発行する際の、手形帳への印字、印紙の貼り付け作業は結構な負担になります。

印紙代のコストは全体の取引額から見れば少額ですが、情報の誤りがあれば無効になり再発行もあり得ますし、長期的に見れば負担になるでしょう。
しかし、一括ファクタリングの利用で手形が不要になりコスト削減、合わせて事務作業の負担も軽減されるのです。

不渡りのリスクを回避

手形を期日通りに決済できない状態を「不渡り」といいます。もし債務者が不渡りを起こした場合、手形交換所の規則に基づいて処分を受けることになります。

全ての金融機関に知らされる上、さらに6カ月以内に2回起こした際には取引停止が実行され、融資を受けられなくなります。

また借入金を抱えている場合、残債の一括返済が必要になるなど、経営破綻の危機もあり得るでしょう。

一括ファクタリングを利用して、手形取引をなくせば不渡りのリスクはなくなります。

一括ファクタリングのデメリット

続いて一括ファクタリングを利用するデメリットもあります。

支払い期限のサイトが手形取引よりも短いことです。

通常、手形による支払い期限は120日以内とされていますが、一括ファクタリングは60日で半分も短くなります。これは下請代金支払遅延等防止法で定められています。

したがって、支払い期日を延長したいという会社には向いていないでしょう。

しかし現在、手形の支払期限も60日以内にするべきだと動きが強まっているため、今後はデメリットではなくなるかもしれません。

ただし、何にせよ厳しい審査の通過が必要というデメリットもあります。

リバースファクタリング

続いてもう1つの債務者にもメリットがあるファクタリング、「リバースファクタリング」をご紹介します。

リバースファクタリングとは、債権者が売掛金に対して行う買取型ファクタリングとは逆で、債務者が買掛金をファクタリング会社に売却します。

したがって、ファクタリング会社を通して支払日よりも前に債権者へ買掛金を支払うことができます。

3社間ファクタリングとなりますが、債務者側から申し込むのがリバースファクタリングです。

リバースファクタリングの仕組み

1. 買掛先が売掛先に商品やサービスを提供し、代金を請求
2. 売掛先がリバースファクタリングを申し込む
3. ファクタリング会社が両社への審査を実施
4. 審査通過後、3社間の契約が成立
5. ファクタリング会社が買掛金を立て替えて支払う(手数料あり、負担は買掛先)
6. 売掛先からファクタリング会社へ立て替えてもらった買掛金を支払う

リバースファクタリングのメリット

リバースファクタリングにおいて、債務者にどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

資金繰りの改善

リバースファクタリングとは、ファクタリング会社が買掛金の支払いを代行してくれます。

したがって、支払先はファクタリング会社になり、債務者は支払日を延長してもらうことも可能になるのです。

たとえば1月31日だった支払日をファクタリング会社に相談して2月10日まで待ってもらえることがあります。債権者にはすでに売掛金は渡っているので、迷惑をかける心配もありません。

支払日を遅らせることで買掛債務を多数抱えている場合でも、資金繰りの改善が実現し、負債を増やすことなく解決することができます。

コスト削減

リバースファクタリングにかかる手数料は債務者ではなく、債権者が負担することになります。

ファクタリング利用無しの通常の取引の場合は、振込手数料や事務コストがかかります。

しかし、複数の買掛金の支払いを一括してリバースファクタリングにまとめることができれば、コスト削減につながります。

優秀な買掛先の確保

債権者からすれば、代金を請求してからすぐに支払いをしてもらえる仕事と支払いが数十日かかる仕事を比べた場合、短い方を優先するでしょう。

そのため、厚遇したい取引先にとって早期に買掛金を支払えることは有効な手法です。

ただし、手数料は債権者負担で手取りが減ってしまうため、その分の上乗せをするなど工夫をすることが大切でしょう。

リバースファクタリングのデメリット

続いてリバースファクタリングを利用するデメリットもあります。

提供会社の少なさ

リバースファクタリングを利用したい会社が買い取ってもらいたい買掛金の金額は、数千万円を超えることも多いです。

また、全体的な需要としてはそこまで高くありません。

よって応えられる資金力を持ったファクタリング会社が少なく、一部の金融機関系ファクタリング会社のみというのが現状です。

”でんさい”の導入が必須

リバースファクタリング利用するには、”でんさいネット”(電子記録債権)の導入が債権者、債務者ともに必須条件となります。

でんさいネットを導入するには、両者ともに審査を通過しなければなりません。

審査のハードルは融資の審査よりも高いと言われ、双方の経営状態の良さが重要となります。

しかし逆に言えば、両者が審査を通過できれば双方ともに優良企業ということです。

債権者が手数料を負担

リバースファクタリング利用時の手数料は、お願いする債務者ではなく、債権者の負担になる仕組みです。

3社間なので手数料はそれほど高くありませんが、手取りが減ることには変わりありません。債権者の中には納得できず、発注額を高く請求してくるなどの可能性もあります。

債務者側も誠意をもって相談し、双方の落としどころを見つけましょう。

債務者側からみたファクタリングのメリットまとめ

債権者側にしかメリットがないのではと思われるファクタリング。

本記事を通して、債務者側にもメリットが存在することを分かっていただけたのではないでしょうか。

また、一括ファクタリングやリバースファクタリングを利用することで、債務者主体の財務戦略も行うことができます。

資金繰りの改善を行うことは、債務者の経営発展にとっても大変重要です。

もちろんメリットの反面、デメリットも存在しますが、自社の状況と照らし合わせて検討してみるといいかもしれません。

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