カテゴリー: 雑記
【永久保存版】資金繰り改善方法 返済猶予(リスケジュール)
中小企業金融円滑化法ってなんだ?
※返済猶予=リスケジュール
2009年11月30日、前金融担当大臣であった亀井静香氏が提案した「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(いわゆる中小企業金融円滑化法)が成立しました。
この法律は、金融機関が貸出先である中小企業から返済猶予の相談を受けた際、柔軟に対応するよう努力義務を課すという内容です。
この成立により、当時、資金繰りの悪化に直面していた中小企業経営者の中には「これでしばらくは支払いに追われずに済む」と安堵した方も多かったのではないでしょうか。
しかし現実には、すべての金融機関が積極的に返済猶予に応じたわけではありません。
同じ銀行であっても、本部と支店、あるいは担当者によって対応に差があるケースも見られました。
つまり、法律が施行されたとはいえ、銀行に対して強制力を持つものではなかったのです。
実際に、金融機関に課された義務は、中小企業からの相談件数を金融庁に表形式で報告することのみ。
これだけでは、資金繰りに困る企業が抱える問題や倒産の原因に対して、直接的な解決にはなりません。
資金繰りの改善やキャッシュフローの立て直しは、あくまで企業自身の努力に委ねられているのが実情です。
返済猶予を銀行に認めさせるのは経営者次第
この法律は、経営者が返済猶予を申し出る「きっかけ」を与えてくれるものでした。
ここでは、銀行と交渉するための心構えと準備について紹介します。
まず認識しておきたいのは、銀行側から積極的に「返済猶予を提案してくれる」ことは基本的にないということです。
そのため、経営者自身が金融機関に対し、なぜ猶予が必要なのか、どのような方法で立て直すつもりなのかを、しっかりと説明しなければなりません。
交渉経験がない方や、初めて返済の相談をする方にとってはハードルが高く感じられるかもしれませんが、恐れる必要はありません。
決算の状況や支払計画、キャッシュフローの見通しなどを整理し、可能であれば資金繰り表や簡易ソフトなどを活用して説明資料を作成すると、銀行側の信頼も得やすくなります。
大切なのは、ただ「返済が厳しい」と伝えるのではなく、将来的にどのように再建していくか、どのように金融機関と信頼関係を築いていくかを話し合う姿勢を見せることです。
銀行と経営者が、互いに納得できる現実的な解決策を探ることで、倒産の回避や事業の継続が見えてくるはずです。
返済計画のプランを練る
借入金の返済が厳しい企業に対して銀行は債権の保全及び回収ができるのか?
という点に重点をおきます。
そのため、銀行と交渉をする前に今後会社をどうするのか?
ということについて経営者としての腹を決めておく必要があります。
元本は据え置きにするのか、いくらかは返済するのか、不動産があれば処分するのか、返済はいつから開始できるのか、後継者がいる場合はいつごろ事業を継がせたいのかなどなど。
前述したことを考えておくとよいでしょう。
銀行との交渉前に
銀行は返済猶予を申し出る会社に対して格付けの見直しを行うのです。
・いつまで返済を猶予し、返済はいつから開始できるのか?
・元本は据え置きにするのか、いくらかは返済するのか?
・返済猶予期間の終了後は、どれ位返済できそうか?
などの事が知りたいのです。
銀行との交渉に際し、このようなことに対して明確に答えられるようにしておきましょう。
銀行が知りたいことを先に提供すれば、交渉を有利に進めることができます。
銀行に質問されてから答えると、主導権は銀行に握られてしまいます。
先に発する事、これが大事です。
そのために、まず返済計画を作ります。
たとえば、今は平成30年11月です。
返済を来年の4月からするとしましょう。
これまでの返済額は60万円であったとします。
この返済額を継続して支払うのが苦しいのであれば、最初は現在の利益の状況から必ず返済できる金額を返済額とします。
3万円でも5万円でも構いません。
ここでは5万円を返済額とします。
しかし、月5万円のままでは返済が長期間になってしまいますので、一定期間が過ぎたあとは月8万円、10万円とできる範囲で返済額を少しづつ上げていきます。
ここで大事なのは、必ず返済できる範囲で返済額を上げることです。
絶対に無理をしてはいけません。
そして、なぜそのような返済額を算出したのかについてわかりやすい資料を作りましょう。
口頭で説明をしても、すべてがうまく伝わるものではありません。
銀行の支店長や支店担当者も本店や本部に様々な書類を提出しなければならないわけですから、わかりやすい資料があれば支店長や支店担当者も本店や本部に書類を提出する時に説明がしやすいわけなのです。
さらに、「債務償還年数」「債務超過解消年数」も計算しておくと良いでしょう。
この2つを説明することで、あなたがその場凌ぎで返済猶予を申し出ているのではなく中長期的な見通しを持っているということを示すことができます。
このように具体的な数字を出して正直に説明します。
このとき、銀行が求める債務超過の解消年数が3年であったとしても会社の立て直し、事業の成長など具体的なプランがあれば3年の返済は短かすぎるということで銀行に納得してもらうことも十分可能なのです。
大切なことは、こちらから提案するということなのです。
銀行にはこれだけ返済するという青写真を持つことです。
そうすれば銀行主導の返済計画ではなく、あなたの青写真をもとに対策が作られていくのです。
銀行は融資のプロではありますが、あなたの会社の事業についてはそれほど詳しいわけではありません。
銀行主導で返済計画を考えると、銀行の都合が反映された返済計画になってしまう可能性が非常に高くなります。
逆に言えば実現が難しい計画になってしまうのです。
無理な返済計画は立てるな!!
返済計画は、これから確実に上げられる利益の水準をもとに設定します。
無理な返済計画を立てると、後々必ず問題が生じてきます。
途中で再度、返済猶予を申し出なければならない状態に陥る可能性が高くなるということです。
借入金を完済するのに、10年かかるという状態にもかかわらず無理に7年から8年で返済しようとすると結果、もう1年、2年助けてください。
ということにもなりかねません。
もう1つは約束した計画通りに返済が実行されていないことに対して、銀行から信用を失ってしまうことです。
借入金の多いメインバンクから交渉すべし!!
一般的にはメインバンクとは、取引のある銀行の中で最も親密度の高い銀行という意味ですが、返済猶予の場合は最も借入金の多い銀行のことを指します。
返済猶予の申し出をするときには、最初にこのメインバンクから交渉しましょう。
メインバンクから交渉することで、2番手以降の銀行もメインバンクが協力するのであれば、当行としても協力せざるを得ません。
ということになり、他の銀行も協力体制に巻き込んで交渉を進めていくことができます。
交渉はメインバンクからが重要なのです。
債権者平等の原則
債権者平等の原則ってなんだ?
と思われる方も多いと思いますので、ここでは債権者平等の原則を用いた2つの返済方法をお伝えします。
1つは全ての銀行に5万円、あるいはゼロといったように、同じ金額を返済するという方法です。
メインバンクには5万円返済して、2番手以降の銀行には1万円しか返済しないということは適切ではありません。
1万円しか返済されない銀行は、間違いなくあなたの調整力や返済計画を疑い信用を失ってしまいます。
もう1つは、残高比例配分(Pro Rata)という方法です。
どういうことかと言いますと、借入残高に比例して返済するという方法です。
たとえば、A銀行からの借入残高は6000万円、B銀行からの借入残高は3000万円、C銀行からの借入残高は1000万あったとします。
総額で100万円を返済するとした場合、残高比例配分で返済するならばA銀行には60万円、B銀行には30万円、C銀行には10万円となります。
債権者である銀行を平等に扱うことが必要なのです。
これは債権者である銀行にだけ都合の良いことではありません。
極端な例ですが返済するあなたから見た場合、うちは融資残高があと100万しかないのですから、先に全額返済してもらえませんか?
とか他行への返済額は5万円でもうちだけ10万になりませんか?
などと言われたときに、断る理由にできるのです。
債権者平等の原則なのであなたの銀行も他行と同じでお願いします。
といった具合に。
債権者平等の原則は、返済を始めるタイミングについても活用します。
元本や利息の支払いは銀行によって、あるいは借入ごとに毎月20日支払い、末日支払いといったように返済日が異なっています。
しかし返済猶予を申し出てそれを実行するにあたっては、すべての銀行に同じ月の返済から返済猶予を開始してもらいましょう。
もし返済猶予を実行する月が銀行によって異なる場合は、返済猶予の期間が同一になるように依頼しましょう。
同じ月から返済猶予を実行するか、月はズレても返済猶予期間を同一にするか、どちらの方法であっても同じだけの返済猶予をあなたは受けることができるのです。
ここで注意しておくことがあります。
この債権者平等の原則は、提出する書類においても平等に取り扱うことを指しているということです。
銀行間では、返済猶予を申し出た会社の情報交換をすることがありますので、A銀行には資金繰り表を提出したが別の銀行には提出しなかったということが、提出しなかった銀行の耳にでも入ってしまえば、あとで信頼を失いその後の交渉に不利となってしまいます。
このような事情をあまり知らない税理士や中小企業診断士に相談して、返済猶予の交渉をすでに始めている方が少なくありません。
債権者平等の原則を無視して、返済額を減らすということだけで交渉を行い、とりあえず返済の猶予はしてもらったという方が大変多いのです。
このような場合でも、やむを得ず返済猶予に応じてくれる銀行はありますが経営者の調整が不十分なため、後になって銀行が協力的でなくなることも多々あるのです。
また債権者平等の原則を考えずに返済猶予の話を進めていくと、1つの銀行だけが他の銀行と異なった態度を示す場合があるので注意が必要です。
こうなると調整はさらに難航します。
調整に時間がかかることで、返済猶予を実行できる日が遅れてしまうのです。
借入金が最も多いメインバンクがバンクミーティングを開く以外、銀行が積極的に銀行間の調整をすることはほとんどありませんから、状況が混乱したまま収拾がつかないということも十分あり得るのです。
したがって返済猶予を申し出た当初から、債権者平等の原則に則って交渉を進めていくのが最も望ましいのです。
バックデートで返済猶予できる
銀行はバックデートで返済猶予を認めることがあるのです。
どういうことかと言いますと、たとえば今月11月に返済猶予を申し出たとしましょう。
だからといって11月から返済猶予を開始できない場合もあります。
返済日が末日となっている借入金について、その5日前の25日に返済猶予を申し出たとしても、銀行からは今月は手続きが間に合わないので、来月の12月末日の返済分からスタートにしましょう。
と言われてしまうでしょう。
しかし銀行の言われたとおりに、11月分を返済する必要はありません。
バックデートを使えば、11月分から返済猶予を実行したことにできるのです。
それには誠意もって、今月からお願いします。
今月分を返済に充ててしまうと会社の資金繰りがもちません。
手続きは来月でもいいですから、返済猶予は今月からでお願いします。
手続きはバックデートでできると思います。
とお願いしてみましょう。
意味のないプライドは捨てて、あなたの誠意を示すために頭をさげましょう。
守るべきものは、あなたのプライドではありません。
大事な家族、従業員、顧客、取引先なのです。
誠心誠意交渉すれば、あなたの思いは通じるはずです。
元本は返済ゼロ、金利は据え置きにしろ!!
返済猶予中の返済額は、銀行や借入の状況によって異なりますがあえて言うならば、元本返済はゼロが望ましいと思います。
なぜなら、元本を1万円でも返済するとなれば、その1万円を生み出すための売上げが必要になるからです。
1万円位なら返済できるから大丈夫、と思う経営者の方もいるかと思います。
しかし、1万円の返済をするために必要な売上げは会社によってさまざまです。
10万円の売上げで1万円の利益を生み出すことができる会社もあれば、50万円、あるいは100万円の売上げが必要な会社もあります。
いずれにしろ1万円という返済のためには、相応の売上げが必要になってくるのです。
資金繰りが厳しくて会社を立て直す猶予を作るために返済猶予を申し出るのですから、支出(キャッシュアウト)は少ない方が望ましいのです。
どんぶり勘定では、会社の再建はできません。
また、元本の返済猶予を申し出ると金利を引き上げさせてくださいという銀行があります。
原則として返済猶予実行時は、金利はそのまま据え置いてもらうように交渉しましょう。
ある銀行だけ金利の引き上げを許してしまうと、債権者平等の原則が崩れてしまうことにもなります。
資金繰りが厳しいから元本の返済猶予をしたのに、金利を少しでも引き上げられるのはつらいですよね。
銀行の保全には応じるな!!
銀行は返済猶予を申し出ると既存の借入金に対して、連帯保証人の追加や何か担保にできるものはありませんか?
などと言うことがあります。
これらはすべて銀行の債権保全のための要求です。
前述した債権者平等の原則を考えた場合、ある特定の銀行にだけ連帯保証人や担保を差し入れたらどうなるでしょうか?
おそらく、他の銀行からも連帯保証人や担保の差し入れを求められることになるでしょう。
そして経営者自らが債権者平等の原則を崩し、それ以降の交渉を難しくすることになるでしょう。
返済猶予を申し出た時点では、銀行からの保全の要求に応じる必要はありません。
借入金を返済するために必要なのは、会社を立て直すことです。
連帯保証人や担保を要求されても応じる必要はないのです。
返済猶予を申し出たとしても、自分の資産を守ることを考えるのは正しいことなのです。
銀行の保全要求に巻き込まれないようにしましょう。
経営者自らが交渉にあたり、将来を語れ!!
会社の規模が大きくなると、銀行との交渉は管理部長や経理部長などが担うことが多くなりますが重要な交渉は経営者自らが行わなければなりません。
銀行は経営者を見て貸出を決定しています。
ですから、返済猶予についても経営者の考えを聞きたいのは当然です。
返済猶予の交渉は経営者自らが行うべきなのです。
資金繰りが厳しくなっている会社が再建に向けて舵を切るときは、経営者の資質が問われるそのときです。
あるいは、経営者の腹が決まるときとも言えるでしょう。
何としてでも、従業員とその家族の生活を守る!
自分の家族を守る!
という思いを銀行に対し経営者の言葉で語ることは最も重要なことかもしれません。
そして今後、事業を継続するにあたり経営者として何を大切に思い、何を守るべきなのかよく自分の頭で考えて銀行に説明する必要があります。
「人は宝」であり銀行は経営者が会社再建に向けて、どれだけ覚悟ができているのかを見ているからです。
交渉の着地点を定める
元本返済ゼロが望ましいと前述しました。
しかし元本返済ゼロを銀行に承諾してもらうには、時間と労力が必要です。
銀行によっては、元本の支払いゼロに応じることはどうしてもできないという場合もあります。
したがって元本の支払いゼロにこだわるよりは、スムーズに交渉を着地させることを優先すべき場合もあります。
元本の返済を止めることを主張し続けるのが得策でないと判断すれば、月5千円でも月1万円でもといった少額返済で妥協することも必要かもしれません。
返済猶予における銀行との交渉は、損得や駆け引きなどのゲームではありません。
借入金返済に悩む会社の経営状態が1日も早く改善され、利益を上げる会社として生まれ変わることです。
それは銀行にとっても同じことです。
銀行が受け入れることのできる着地点をあらかじめ持っておくことで、スムーズな交渉を進めることができるのです。
返済猶予中の資金調達方法
返済猶予中に、今まで以上の売上を上げるのは簡単なことではありません。
なぜなら、売上を増やすにはまず仕入や人件費など、先に支出が発生するのが一般的だからです。
つまり、売上が立つまでには一定の資金繰りの負担が生じるため、資金調達の方法が限られてしまうのです。
さらに問題なのは、返済猶予中という状況においては、ほとんどの金融機関が新規の貸付を避ける傾向にあるという点です。
信用格付けが下がっている状態の企業には、銀行は追加融資を出しにくくなってしまいます。
しかし現場では、取引先から新規の発注を受ける場面もあるでしょう。
せっかくのビジネスチャンスにもかかわらず、資金不足によって受注を断念するというのは非常にもったいない話です。
そんなときに検討したいのが、「ファクタリング」という資金調達方法です。
ファクタリングについての詳しい説明はこちら
ファクタリングのメリットについての詳しい説明はこちら
ファクタリングのデメリットについての詳しい説明はこちら
まとめ:返済猶予は企業再建の第一歩
返済猶予とは、金融機関との交渉によって一時的に借入金の返済を停止または減額する制度であり、単なる延命措置ではなく、企業再建のための時間を確保するための戦略的な選択肢です。
その定義を正しく理解し、制度をシンプルに捉えることが、再起のスタートラインになります。
本記事で紹介したように、以下のような視点と準備が、今後の資金繰りや再建計画を進めるうえで非常に重要です。
中小企業金融円滑化法の背景と限界を正しく把握する
返済猶予の条件を理解し、交渉のための資料を準備する
債権者平等の原則に基づいた調整と説明ができるようにする
赤字状態を脱却するための現金ベースの返済計画を立てる
銀行融資に依存せず、ファクタリングの導入など代替の入金手段を検討する
資金繰りが厳しくなる原因の多くは、「在庫の過剰」「先行投資の回収遅れ」「経費の肥大化」など、現場で見落としがちな経営判断にあります。
まずは経営者自身が数値を把握し、何が赤字要因なのか、資金繰りにどんな影響を及ぼしているのかを丁寧に見つめ直しましょう。
また、再建中の企業にとっては、新しい売上づくりよりも「経費削減」や既存顧客の囲い込みなど、販売活動の効率化のほうが即効性のある打ち手になる場合もあります。
銀行も、会社の立て直しに向けて真剣に取り組む経営者には、信頼をもって応えたいと考えています。
自社の再建に向けた明確なビジョンと誠意をもって臨むことが、交渉を前向きに進めるカギとなるのです。
「再建を諦めない」——その強い意志こそが、未来への扉を開く最初の一歩です。
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