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ABL(動産・債権担保融資)とファクタリングの違いを10項目で比較。使い分けも徹底解説!

「ABL(動産・債権担保融資)」と「ファクタリング」はどちらも企業の資金調達方法として有効な手段ですが、本質的には全くの別物です。

そこで本記事では、混同されがちなABLとファクタリングの違いについて解説します。

ABL(動産・債権担保融資)とファクタリングは別物。
取引先からまだ入金されていない請求書や売掛債権(売掛金)を資金化する手法は、近年企業の資金調達として注目を集めている方法です。

このように請求書や売掛債権(売掛金)を資金化して資金調達を行うという意味では、売掛債権担保融資を含むABL(動産・債権担保融資)もファクタリングも確かに同じかもしれません。

しかしながら、それらは債権の「買取り」なのか、「融資」なのかで本質的に全く異なるものなのです。

ファクタリングとABLの違い

では、ABLとファクタリングとでは具体的に何が異なるのか、ABLについては売掛債権担保融資を中心に見ていきましょう。

ファクタリングは売掛債権(売掛金)そのものを売却する売買取引

ファクタリングとは、取引先からまだ入金されていない請求書などの売掛債権(売掛金)を、ファクタリング業者に手数料を支払って売却する「売買取引」です。

借入負債に計上する必要がない、最短即日で資金調達が可能という強みから「今すぐ資金調達したいが信用情報への悪影響は避けたい」という方に選ばれています。

特筆すべきは、経済産業省などの行政も企業の新しい資金調達方法としてファクタリングに対する支持を表明している、という点でしょう。

つまり、ファクタリングは今後ますます利用が増加する資金調達方法なのです。

なお、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットについては「ファクタリングとは?」にて詳しく解説しております。

売掛債権担保融資(ABL)は債権を担保にした融資

ファクタリングはファクタリング業者に売掛債権(売掛金)を売却するものですが、売掛債権担保融資(ABL)は、請求書などの売掛債権(売掛金)を担保に銀行などの金融機関から融資を受けるものです。

したがって、①会計上は利息が発生する借入金(負債)扱いになる、②審査が厳しく融資を受けるまでの待ち時間が長い、という弱点を許容できる場合は、安い利息で受けられる売掛債権担保融資(ABL)の方が有利になります。

ただし、売掛債権担保融資(ABL)は「自分の手元にあっても他人の財産」と例えられる通り、担保とした段階でこの売掛債権(売掛金)の所有権は金融機関などに移るため、勝手にファクタリングなどで資金化することはできません。

ちなみに、売掛債権(売掛金)の特徴やリスクについては「 売掛債権(売掛金)とは?」を参照して下さい。

会計処理の違い:ファクタリングなら「負債」にならない!

結論から言うと、ファクタリングは融資ではありませんので、会計上も借入金(負債)として計上する必要がありません。

あくまで請求書などの売掛債権(売掛金)を売り渡す行為であり、手数料が発生する「売買契約」または「譲渡契約」として扱います。

一方、売掛債権担保融資(ABL)は融資契約として扱われるため、会計上は利息が発生する借入金(負債)として計上する必要があり、定期的に残高を金融機関に報告する義務も発生します。

審査の厳しさ:売掛債権担保融資(ABL)の方が厳しい

ファクタリングの審査では、売掛債権(売掛金)そのものが重視されます。

つまり売掛債権(売掛金)に問題さえなければ、たとえ創業1年目の企業であろうと赤字決算の企業であろうと、かなりの確率で審査が通るのです。

一方、売掛債権担保融資(ABL)はファクタリング取引とは異なり、売掛債権(売掛金)が担保になっているだけで審査の難易度は通常の銀行融資と変わりません。

ちなみに、信用保証協会も売掛債権担保融資(ABL)に対する保証業務を行なっています。

こちらも審査に時間はかかりますが、銀行などの金融機関のプロパー融資と比べると金融機関側のリスクが低いため、比較的融資が実行されやすいようです。

資金調達スピードの違い:ファクタリングなら最短即日!

ファクタリングは、資金化できるまでの期間が数日程度とかなり短いのが特徴です。

最近では即日資金化することをアピールするファクタリング会社も複数あり、訪問や電話での対応が不要な「Web完結型ファクタリング」も登場しています。

これに対し、売掛債権担保融資(ABL)は審査が厳しい分だけ待ち時間が長く、資金調達まで2週間~2ヵ月ほどかかるのが一般的です。

手数料や融資の返済期間にもよりますが、早期に資金調達を行いたい場合はファクタリングの方が有利と考えて良いでしょう。

売掛債権担保融資(ABL)とファクタリングの違いが一目で分かる早見表

最後に、売掛債権担保融資(ABL)とファクタリングの違いを10項目で比較してみました。

 

スクロールできます→
      売掛債権担保融資(ABL)        ファクタリング
契約形態 融資契約 売買契約または譲渡契約
会計処理 借入金(負債)として計上 借入金(負債)として計上する必要なし
諸経費 利息 手数料
審査の厳しさ 通常の銀行融資と同レベル 売掛債権担保融資(ABL)より緩い
審査のポイント 会社の経営状態 売掛債権(売掛金)そのもの
与信への悪影響 影響あり 影響なし
資金調達スピード 2週間~2ヵ月 最短即日
担保の必要性 必須 不要
保証人の必要性 基本的に必要 不要
貸し倒れリスク あり なし(ノンリコースの場合)

ファクタリングとABLの使い分けを徹底解説!

ファクタリングとABLについて、様々な角度から比較してきました。
ここからは、以上の比較を踏まえて、ファクタリングとABLの使い分けを詳しくみていきましょう。

利用のハードルから考える

ファクタリングとABLの使い分けを考える上で、特に重要なのが利用のハードルです。
資金調達の目的は、必要資金を確実に調達し、資金繰りを回すことにあります。
条件が良いに越したことはありませんが、調達できなければ元も子もありません。
利用のハードルが高く、実際の調達が困難となれば、その資金調達方法は無価値といってよいでしょう。
ファクタリングとABLは、利用のハードルが大きく異なります。

ABLはハードルが高い

ABLは、利用のハードルが非常に高いです。
世界的にはポピュラーなABLも、日本ではあまり普及していません。
ABLに対応している金融機関が少なく、またABLの担保の評価会社も数えるほどです。
したがって、ABLで調達したいと思っても、適切な金融機関や評価会社が見つからず、利用できないことが少なくありません。
特に、業容が小さい会社にABLは不向きと考えてください。
ABLに対応しているのは、メガバンクをはじめとする一部の金融機関に限られます。
担保資産の価値は常に変動しており、国や地域の景気・需給の影響も大きいです。
高い換価価値を出すには、グローバルなネットワークが欠かせません。
そのようなネットワークを持っているのはメガバンクだけです。
地銀や信金がABLに弱い原因のひとつは、ここにあります。
融資形態に限らず、メガバンクは中小企業への融資に消極的です。
年商10億円未満の中小企業は、メガバンクにABLを依頼しても拒否されるでしょう。
もちろん、ABLはメガバンクに限ったものではありませんが、その他のABLは利用条件が厳しい(対象資産が限定的、金利が高いなど)のが一般的です。
業種によって所有している担保資産は様々です。
製造業者ならば機械、運送業者が車両、食品加工業者ならば食品などがABLの対象となります。
評価会社ごとに得意分野が異なるため、ABLの際には、自社が希望する担保資産に強い評価会社とのマッチングが重要です。
しかしながら、日本にはABLのための評価会社が少なく、換価価値をが低くなることが珍しくありません。
このことからも、ABLのハードルは高いといえます。

ABL(売掛債権担保融資)の問題点

ABLの中でも、比較的利用しやすいのは売掛債権担保融資です。
売掛債権担保融資は、会社が所有する資産のうち売掛債権を対象としています。
また、売掛債権担保融資に対応している金融機関は増加傾向にあり、在庫などを対象とするABLよりも利用のハードルは低いです。
売掛債権の担保評価についても、あまり問題にはなりません。
在庫の評価が難しい金融機関も、売掛債権の評価は可能というケースが多いです。
信用取引を行っている会社は、必ず売掛債権を所有しているため、売掛債権担保融資で調達できる可能性があります。
ただし、売掛債権担保融資もABLの一種であり、やはり融資には違いありません。
融資であれば返済義務があり、返済力が低い会社ほど調達のハードルは高くなります。
たとえ多額の売掛債権を持っていても、経営に大きな問題があれば審査に落ちるでしょう。
そもそも、多額の売掛債権を抱えている状況は、決して好ましいものではありません。
極端な売上主義に走ったり、回収サイトが長期化したりすれば、手元の売掛債権は増えるのです。
その結果、売掛債権の負担によって資金繰りがショートし、黒字倒産に至ることも。
いくら売掛債権担保融資でも、このような会社には融資できません。
ほかにも、リスケ中の会社、債務超過の会社、連続赤字の会社、借入金を滞納している会社、税金を支払っていない会社などは、通常のABLはもちろんのこと、売掛債権担保融資では調達できません。
このように、売掛債権があっても利用できるとは限らないのが、売掛債権担保融資の問題点です。

ファクタリングはハードルが低い

ファクタリングは、ABLよりも圧倒的にハードルが低いです。
ファクタリング市場が拡大を続けている昨今、ファクタリング会社の数は増え続けています。
銀行や大手企業の参入も相次いでおり、ファクタリングの依頼先には事欠きません。
また、ABLのように様々な資産を対象とするのではなく、ファクタリングは売掛金だけを対象とするものです。
売掛金の評価が苦手なファクタリング会社は存在しません。
売掛金や依頼内容が特殊でなければ、大抵のファクタリング会社が対応してくれます。
業種や業容の対応も幅広いです。
特定の業種に特化したファクタリング会社もあれば、あらゆる業種に平均的に対応するファクタリング会社もあります。
業容・業者区分が問題になることもほとんどありません。
小規模な会社は、少額のファクタリングに強い業者を選ぶことができます。
法人向けファクタリングの多くは、数千万円~数億円のファクタリングに対応しているため、大規模な資金調達にも利用できます。
近年は個人事業主向けのファクタリングも増えており、個人事業主にとってもハードルの低い資金調達方法です。
このほか、利用会社の経営状況が重視されないことから、売掛金さえあれば確実に資金を調達できます。
連続赤字、債務超過、リスケ中、税金未払いなどの問題を抱えている会社も、売掛金次第で審査に通ることが多いです。

結論:基本的にはファクタリングがおすすめ

ファクタリングとABLは、利用のハードルが顕著に異なります。
ABLはハードルが非常に高く、ファクタリングはハードルが非常に低いのです。
メガバンクと取引している、外資系の評価会社を選定できる、換価価値が出やすい資産を豊富に持っている、といった場合には、ABLでも調達できる可能性があります。
返済力に信用が十分であれば、売掛債権担保融資のハードルはさほど高くないはずです。
逆にいえば、これらの点で問題を抱えている会社は、ABLよりもファクタリングをおすすめします。
個人事業主の場合、そもそもABLの対象外ですから、ファクタリング一択となります。
ABLに労力を費やすよりも、ファクタリングでスムーズに調達した方が賢明です。

調達効率から考える

担保を用いた資金調達では、調達効率が重要です。
担保評価や掛け目によっては、担保価値に対する調達可能額が低くなり、調達の効率が低下します。
せっかく資産を活用するのですから、効率の良い方を選びたいところです。
ファクタリングとABLの調達効率から、使い分けを考えてみます。

ABLの調達効率

ABLの調達効率は、掛け目に大きく左右されます。
掛け目とは、融資限度額を評価価値よりも低く見積もり、貸倒れリスクに備えるための仕組みです。
ABLの対象資産は色々ですが、掛け目には目安があります。
時価に対する中間値(実行ベース)は、有価証券が90%、売掛債権が85%、機械が70%となっています。
在庫は品質によって振れ幅が大きく、25~50%です。
ちなみに、ABLの対象外である不動産は実行ベースで55%、上限で70%が目安となります。
資産によってはそれなりに掛け目が高く、ABLの調達効率は高いといえるでしょう。
しかし、ABLは在庫を担保にできるのが大きな特徴です。
在庫の担保掛目は非常に低く、調達効率は期待できません。
例えば、担保評価1億円の在庫を、担保掛目40%でABLに利用する場合、調達上限額は4000万円。
6000万円の掛目部分は担保にできないcのです。
ABLの中でも、売掛債権担保融資はそれなりに効率的といえます。
評価額1億円の売掛債権を担保掛目85%で活用するならば、8500万円の調達が可能です。
とはいえ、この場合も1500万円の部分は全く活用できないため、効率が高いとはいえません。

ファクタリングの調達効率

ファクタリングは、ABLよりも効率的に調達できます。
というのも、ファクタリングには掛け目がないためです。
業者の方針や、一部の特殊なファクタリングサービスでは、「掛け目あり」が基本になることもあります。
しかし、掛け目なしのファクタリングも多いのです。
掛け目がなければ、額面金額の全てを資金調達に活用できます。
額面金額1億円の売掛金を「掛け目なし」でファクタリングする場合、1億円の全体がファクタリングの対象です。
手数料率15%でファクタリングすると、支払手数料は1500万円、調達金額は8500万円。
調達可能額は掛け目85%のABLと変わりません。
掛け目が低い在庫よりも、はるかに効率的といえるでしょう。
また、ファクタリング会社を正しく選んだり、優良債権を選んだりすることで、手数料率は下がります。
手数料率を一桁台に抑えることも十分に可能です。
手数料率5%の場合、調達効率は掛け目95%のABLと同等になります。
実際には、ABLで担保掛目が95%になることはほぼあり得ません。
このように考えると、ファクタリングの調達効率が高いことは明らかです。

結論:ファクタリングで効率的に調達を

ファクタリングとABLは、調達効率に差があります。
在庫を用いたABLの調達効率は、ファクタリングの足元にも及びません。
それなりに効率が高い売掛債権担保融資でさえ、手数料を抑えたファクタリングに比べるとはるかに劣るのです。
もちろん、手数料が高すぎる場合、ファクタリングも非効率といえます。
売掛債権担保融資のほうが効率的に調達できることもあるでしょう。
基本的には、調達効率が高いファクタリングを優先し、次善策としてABL(売掛債権担保融資)を検討するのが上手な使い分けです。

財務的な影響から考える

ファクタリングとABLの使い分けは、財務的な影響からも考えることができます。
ここでポイントとなるのが、ファクタリングとABLの法的区分の違いです。

法的区分の違い

ABLは融資の一種ですから、法的に消費貸借にあたります。
当然ながら、ABLで調達した資金は返済しなければなりません。
返済できなければ、ABLに利用した担保を処分し、弁済します。
つまり、ABLで調達した資金は、財務的には「借入金」です。
一方、ファクタリングは法的に債権譲渡にあたります。
このことは、金融庁も指定している通りです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
債権譲渡で調達した資金には返済義務がありません。
財務的な影響も、「借入金の増加」ではなく、「売掛金の減少・現預金の増加」です。
借入金にならないファクタリングと、借入金になるABLでは、財務的な影響がまるで異なります。

ABLは財務が悪化

ABLを利用した場合、財務は悪化すると考えてください、
ABLに限らず、借入金の増加は財務の悪化に直結します。
これは、自己資本比率が低下するためです。
会社の資産は自己資本と他人資本によって構成され、総資産に対する自己資本の割合のことを自己資本比率といいます。
自己資本比率は、重要な財務指標のひとつです。
自己資本比率の上昇は財務改善、自己資本比率の低下は財務悪化につながります。
ABLで資金を調達すれば、他人資本である借入金が増加します。
自己資本は変わらずとも、他人資本が増加すれば、自己資本比率は相対的に低下するのです。
「ABLの利用→他人資本(借入金)の増加→自己資本比率の低下」という流れで、財務が悪化します。
ABLが融資である以上、いかなる場合にも財務悪化は避けられません。

ファクタリングは財務の維持・改善に役立つ

ファクタリングは、財務の維持・改善に役立ちます。
ファクタリングで調達した資金は借入金にならず、他人資本が増加しません。
自己資本比率に変化はなく、財務の悪化を避けることができます。
使い方次第では、ファクタリングで財務を改善することも可能です。
例えば、ファクタリングで調達した資金を借入金の返済に回せば、他人資本が減り、相対的に自己資本比率が高まります。
このような財務改善は、ABLには不可能です。
ABLで調達した資金で他人資本を減らそうとしても、「借入金の増加→借入金の減少」というだけで、調達前の状態に戻るだけです。

結論:財務悪化を防ぐためにもファクタリングを

財務悪化を避けたい会社には、ABLよりもファクタリングをおすすめします。
財務の改善を図る場合も同様です。
ABLは必ず財務悪化し、財務改善にはつながりません。
ただし、現状の財務が良好な会社は、ABLでの調達も検討してみてください。
自己資本比率は20%以上が理想といわれます。
これを大幅に上回る会社は、ABLによって自己資本比率が少々下がっても、あまり問題ないでしょう。

担保・保証から考える

ファクタリングとABLの顕著な違いとして、担保・保証の有無が挙げられます。
この点から使い分けを考えてみましょう。

ABLは担保付き融資

ABLは、動産や売掛債権の担保融資です。
ABLの仕組みそのものが担保を必要としており、無担保融資とは無縁です。
担保があることによって、銀行融資の難易度が下がることは間違いありません。
在庫や機械などの動産、あるいは売掛債権によって保全が充足すれば、銀行の貸倒れリスクは大幅に軽減され、融資を実行しやすくなります。
この意味において、「ABLは担保ありき」であり、なおかつ「担保の内容次第」といえるでしょう。
担保の内容次第では融資を受けやすくなったり、受けにくくなったりするのがABLの特徴です。
ここまでの解説にもある通り、評価が容易な資産、あるいは高い評価が出やすい資産を担保にすれば、ABLで調達できる可能性があります。
ABLのうち、売掛債権担保融資がその最たるものです。
逆に、評価が難しい資産や、評価が低い資産を担保とする場合、例えば在庫を担保とするABLは、融資を受けにくいのが現状です。
せっかく担保がありながら融資に苦労するのですから、担保の本来的な意義(担保の提供により融資のハードルを下げる)を損ないます。
一般的な担保付融資(不動産担保融資など)に比べると、ABLは活用しにくいといえるでしょう。

ABLで保証が問題に?

また、担保に問題がなくとも、保証はまた別問題です。
実際に、保証上の問題でABLが利用できないケースが少なくありません。
調達額が大きい場合、複数の融資を組み合わせることがあります。
借入総額のうち、「半分をプロパー融資で、半分を保証付融資で」「半分をABLで、半分を保証付融資で」といったケースです。
このような抱き合わせで調達するには、それぞれの審査に通らなければなりません。
例えば、ABLと保証付融資を半々で組み合わせる場合、ABLの審査に通っても、信用保証協会の保証審査に落ちることがあります。
この場合、審査に通ったABLの部分だけを借り入れることは不可能です。
保証付融資が出ない以上、ABLの部分も融資不可となります。
そもそも、銀行に融資を依頼する際には、資金使途の説明を求められます。
その際、「必要資金は1億円、資金使途は設備投資、調達の内訳は5000万円をABLで、5000万円を保証付融資で」などと説明し、詳細な投資計画も提示しているわけです。
当然、1億円全額を調達できなければ投資計画は破綻し、資金使途も成り立ちません。
銀行は「1億円の融資案件」として稟議しているわけですから、融資するなら1億円、そうでなければ融資不可と考えます。
以上のように、ABLでも保証が問題になることがあるのです。
このほか、ABLの中には、信用保証協会による保証を不要としながらも、代表者個人の連帯保証を求めるケースがあります。
このようなABLは、代表者個人が保証審査の対象です。
代表者の個人信用情報に瑕がある場合、保証審査に落ちる可能性が高いです。

ファクタリングは原則無担保・無保証

ファクタリングは、原則として無担保・無保証です。
ABLは担保ありきの仕組みですが、ファクタリングは不動産・動産・売掛債権など、あらゆる担保を必要としません。
またファクタリングは、いかなる意味においても無保証で利用できます。
信用保証協会や保証会社による機関保証、第三者や代表者による保証は一切不要です。
なぜABLと違って、ファクタリングは無担保・無保証なのでしょうか。
それは、ファクタリングが法的に債権譲渡であり、返済義務がないためです。
担保・保証は、返済義務のある融資において、返済不能に備えることを目的としています。
返済義務がなければ、担保・保証を求める理由もありません。
仮に担保・保証を求めた業者は、表面的にはファクタリングを謳っていても、実質的には貸付けとみなされます。
貸金業者として規制された場合、ファクタリング会社は規制違反によって摘発される恐れがあります。
そのリスクを避けるためにも、正規のファクタリング会社は必ず「無担保・無保証」です。

結論:無担保・無保証のファクタリングがおすすめ

ABLは担保・保証を重視します。
担保の内容や保証力に問題があれば、ABLでの調達は難しいでしょう。
その点、ファクタリングは原則無担保・無保証ですから、担保・保証に問題がある会社でも審査に通ります。
担保資産が不足している会社、信用保証協会の保証枠に余裕がない会社、代表者の保証力に問題がある会社などは、ファクタリングがおすすめです。
ABLを利用する場合も、審査落ちに備えてファクタリングと併用するのがよいでしょう。

利便性から考える

資金調達方法を選ぶ際、利便性も重要なポイントです。
利便性が低い方法は、あまりおすすめできません。
必要書類が多い、手続きが複雑などの理由から柔軟性を欠き、資金を調達できないことが多々あります。
そのような方法にこだわったために、資金ショートを招くことも。
利便性が高ければ、必要なタイミングで柔軟に資金を調達でき、資金繰りをつなぐのに役立ちます。
ファクタリングとABLの利便性から、使い分けを考えてみましょう。

ABLは利便性が低い

利便性が低い資金調達方法として、代表的なのが銀行融資です。
もちろん、銀行融資も種類によって利便性が変わります。
ABLは、銀行融資の中でも特に利便性が低いといえるでしょう。
日本ではABLがあまり普及しておらず、銀行融資のうちABLが占める割合はごくわずかです。
これは、ABLで調達する会社が少なく、銀行側の実務経験も乏しいことを意味します。
ノウハウやデータの蓄積がなく、審査や手続きは最適化されていません。
したがって、ABLは提出書類が多く、手続きも煩雑です。
例えば、ABLに利用する担保の存在や価値について、裏付けとなる資料を求められます。
担保評価のために、銀行員が融資先を訪問し、現物を確認することも多いです。
通常の銀行融資にはない負担が生じ、利便性を大きく損ないます。

ファクタリングは利便性が高い

ファクタリングは、ABLに比べてはるかに利便性が高いです。
ABL以外の資金調達方法と比較しても、ファクタリングの利便性は突出しています。
何といっても、ファクタリングは必要書類が少なく、手続きも非常に簡単です。
ファクタリングで求められる書類は、簡単なものばかりです。
例えば、No.1のファクタリングサービスでは、以下の4点をご提出いただきます。

  • 直近3ヶ月の取引入金が確認できる書類(入金通帳・当座通帳・当座照合表)
  • 決算書直近2期分(勘定科目明細付で税務申告済みの捺印のあるもの)
  • 成因資料(請求書・発注書・納品書など)
  • 取引先企業との基本契約書

このように、手元にある書類だけで申し込めるため、必要書類を改めて作成・取得する必要がなく、必要なタイミングですぐに申し込むことができます。
また、ファクタリングはオンラインに対応しています。
全ての手続きをオンラインで完結する「オンラインファクタリング」も、徐々に普及してきました。
オンラインでファクタリングすれば、申し込みから契約までオンラインで簡単に手続きできるため、非常に便利です。

結論:利便性を求めるならファクタリングを

ABLは利便性が低く、柔軟な資金調達にはほとんど役に立ちません。
手間をいとわない会社であれば、ABLを検討してみるとよいでしょう。
しかしながら、ほとんどの会社は利便性を重視するはずです。
利便性を重視するならば、選択の余地はありません。
初めからABLは考えず、迷わずファクタリングを選んでください。

信用リスクから考える

それぞれの資金調達方法には、多かれ少なかれ信用リスクがあります。
その方法を選んだことで、取引先の会社や借入先の銀行の信用が悪化することがあるのです。
ファクタリングとABLは信用リスクが異なるため、うまく使い分ける必要があります。

ABLは信用が悪化しにくい

ABLは、信用リスクが低いです。
ABLを利用したからといって、取引先や銀行の信用が大きく悪化することはありません。
ABLは銀行融資の一種ですが、他の融資と比較しても、信用リスクは低いといえるでしょう。
通常の銀行融資は、審査落ちが悪材料になることがあります。
審査に落ちたということは、その銀行から「信用に問題あり」「返済力に問題あり」などと判断されたわけです。
銀行は金融庁の監督を受けており、審査の内容や方針に極端な差はありません。
そのため、A銀行で審査に落ちたという事実は、B銀行やC信金にとっても無視できないのです。
特に深刻なのが、メインバンクの審査落ち。
最も積極的に支援すべき立場にあるメインバンクが融資を拒否した場合、さほど支援に積極的でないサブバンクは手を引くのが普通です。
実際に、メインバンクの審査落ちをきっかけに、銀行融資そのものが不可能になるケースが珍しくありません。
その点、ABLは審査落ちの影響が軽微です。
そもそもABLを取り扱っている銀行は少なく、銀行業界としても「ABLの利用環境は悪い」という認識があります。
利用しにくいABLの審査に落ちても、別の融資では審査に通ることがしばしばです。
銀行員によっては、「多様な方法で資金を調達し、資金繰りの安定を図っている」と、好意的に捉えることもあります。

ファクタリングは方式で異なる

ファクタリングは、信用リスクに注意が必要です。
銀行の信用が悪化することはありませんが、売掛先の信用が悪化する恐れがあります。
ファクタリングの普及率は低く、正しい知識が浸透していません。
悪質業者が存在することから、ファクタリングを危険・違法と考える人もいます。
もちろん、ファクタリングは100%合法です。
しかし、売掛先がそれを知らずに「違法」と考えるならば、ファクタリングで調達する会社に良い印象は持たないでしょう。
したがって、ファクタリングの利用を売掛先に知られた場合に限り、信用悪化のリスクがあります。
逆にいえば、売掛先に知られない形でファクタリングすれば、信用リスクはありません。
ファクタリングは、方式によって売掛先の関与が変わり、信用リスクも変化します。
簡単にまとめると以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する方式。売掛先に知られないため、信用リスクは低い。
  • オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う方式。売掛先に知られないため、信用リスクは低い。
  • 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式。売掛先に知られるため、信用リスクは高い。

結論:ファクタリングで信用リスクの回避を

ファクタリングとABLは、どちらも信用リスクが低いといえます。
ABLは銀行融資のため信用が悪化しにくく、ファクタリングも方式次第で信用リスクを回避できます。
強いていえば、よりリスクが低いのはファクタリングです。
ABLの審査時、銀行は担保だけではなく、融資先の経営全般を厳しくチェックします。
審査落ちの原因が「担保」だけならば良いのですが、経営そのものに問題があれば、銀行の評価が悪化する恐れがあります。
ファクタリングにはそのような心配がありません。
信用リスクを徹底的に避けるならば、ファクタリングがおすすめです。

資金繰りの緊急度から考える

資金繰りの現場では、緊急の資金調達が必要になることも多いです。
緊急度に応じて資金調達方法を選ばなければ、資金ショートに陥ります。
資金繰りの緊急度から考えることで、ファクタリングとABLの使い分けが見えてきます。

ABLは調達に時間がかかる

ABLは、緊急の資金繰りには全く役に立ちません。
これはABLに限らず、銀行融資全般にいえることです。
銀行融資は、融資実行までに早くて数週間、多くは1ヶ月程度を要します。
「数日以内に」「今週中に」といった場合、間に合わせることは不可能です。
ABLは、銀行側の対応力の低さや、担保評価の難しさから、通常の銀行融資よりもさらに時間を要します。

ファクタリングは最短即日

ファクタリングは、緊急時に最適の資金調達方法です。
あらゆる資金調達方法の中で、ファクタリングが最もスピーディといっても過言ではありません。
ファクタリングの資金調達スピードは方式によって異なります。
方式別の目安は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:最短即日
  • 3社間ファクタリング: 最短1週間程度
  • オンラインファクタリング:最短数時間

2社間ファクタリングは、多くの業者が最短即日対応を謳っています。
手続きに問題がなければ、申し込みの当日中に資金を調達できます。
オンラインファクタリングは、さらにスピーディな調達が可能です。
ただし、3社間ファクタリングは即日で調達できません。
手続き上、どうしても数日を要する仕組みなのです。
とはいえ、早ければ1週間程度で調達できるため、ABLよりもスピーディといえるでしょう。

結論:緊急時にはファクタリングを

緊急の場合、ABLは全く役に立たず、ファクタリングは非常に役立ちます。
すでにABLを利用しており、極度額の範囲内で自由に借り入れができるならば、ABLでもスピーディに調達できるでしょう。
そうでなければ、緊急時にはファクタリング一択と考えてください。

調達コストから考える

資金調達の際にかかるコストを、一般的に「調達コスト」といいます。
調達コストが高いほど資金繰りの負担になるため注意すべきです。
ファクタリングとABLを使い分ける際も、調達コストをよく考える必要があります。

銀行のABLは調達コストが安い

ABLの多くは銀行が取り扱っています。
銀行のABLは、他の融資と同じく低金利です。
通常の貸付金利(年2~3%程度)を大幅に超えることはありません。
このような金利でABLを利用できれば、調達コストは安くなります。
銀行のABLで1000万円を調達するとき、年利2.5%・5年返済の条件であれば、返済期間中に支払う利息の総額(調達コスト)は約65万円です。
借入総額に対して6.5%の負担ですから、資金繰りへの影響も軽微です。

ノンバンクのABLは調達コストが高い

ただし、ABLだからといって、調達コストが安いとは限りません。
分かりやすいのが売掛債権担保融資です。
売掛債権担保融資もABLの一種ですが、担保評価が簡単なため、銀行以外の金融業者も取り扱っています。
信販会社やリース会社のABL、消費者金融のABLなどは、むしろ売掛債権担保融資がメインといってよいでしょう。
この場合、ノンバンクが借入先となり、借入金利・調達コストは跳ね上がります。
ノンバンクのABL(売掛債権担保融資)の金利は、安くても一桁台後半、多くは10%以上の条件が一般的です。
特に消費者金融のABL(売掛債権担保融資)は、法定上限ギリギリのラインで設定することも多く、年15%の高金利も覚悟しなければなりません。
動産を担保とするABLは利用のハードルが高いため、ノンバンクのABL(売掛債権担保融資)を検討している人も多いことと思います。
実際、どの程度のコストがかかるのでしょうか。
ノンバンクのABL(売掛債権担保融資)を利用し、年利15%・5年返済の条件で1000万円を調達する場合、完済までに支払う利息の総額(調達コスト)は約427万円です。
借入額に対して43%もの調達コストがかかるのですから、決して安いとはいえません。

ファクタリングの調達コスト

ファクタリングの調達コストは、手数料です。
ファクタリングの手数料率に上限規制はなく、業者の裁量で自由に決めることができます。
手数料率が高い業者を選んでしまうと、調達コストがABLよりも高くなる恐れがあります。
逆にいえば、手数料率を抑えることによって、ABLよりも低コストで調達することも可能です。
ファクタリングの手数料率は、業者の設定やファクタリング方式によって大きく異なります。
正しく利用することで、相場よりも安くなるのが魅力といえます。
一例として、No.1の手数料設定は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の5~15%(相場は10~30%)
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~5%(相場は1~10%)
  • オンラインファクタリング:額面金額の2~8%(相場は10%以下)

この手数料率を参考に、調達コストを試算してみましょう。
利用するのはNo.1の2社間ファクタリング、手数料率は中間値の10%と仮定します。
手数料率10%で1000万円を調達するには、1111万円の売掛金が必要です。
この場合、ファクタリング会社は額面金額(1111万円)から10%相当の手数料(111万円)を差し引き、利用会社に買取代金1000万円を支払います。
ファクタリングの手数料は必ず一括払いですから、これ以降に追加料金が発生することはありません(違約金などを除く)。
したがって、1000万円の調達に要したコストの総額は111万円です。
銀行のABLに比べるとやや高いものの、ノンバンクのABLに比べるとはるかに安いことが分かります。

結論:銀行のABLもしくはファクタリングを

ファクタリングとABLの調達コストは、どちらが安いと決まったものではありません。
同じABLでも、銀行のABLは安く、ノンバンクのABLは高いです。
同じファクタリングでも、業者・方式・売掛金などによって手数料率が変動します。
調達コストを抑えるには、銀行のABLを選ぶか、手数料率が安いファクタリングを選んでください。
例えば、優良業者のオンラインファクタリングは手数料率が安く、銀行のABLと同水準になることも珍しくありません。

資金繰りへの影響から考える

ファクタリングとABLの調達コストを比較しました。
これに続いて、資金繰りへの影響を具体的に考えてみましょう。

ABLの影響は軽微

ABLは、資金繰りにあまり影響しません。
銀行のABLは金利が安いため、月々の支払利息も少額です。
返済計画を長期で組めば、資金繰りへの影響は軽微でしょう。
ノンバンクのABLも同様です。
銀行のABLに比べると金利が高く、調達コストの総額はかなり大きいといえます。
それでも、返済期間を長くすることで、月当たりの資金繰り負担は軽くなります。
元利均等返済であれば支払利息を平準化でき、計画的な資金繰りも可能です。

ファクタリングで資金繰りを改善できる

ファクタリングは、手数料の振れ幅が大きく、一括払いのため注意が必要です。
あまり良くない売掛金をファクタリングすれば、高い手数料を一括で支払うこととなり、一時的に大きな負担となります。
また、手数料率を事前に予測できず、無計画な利用に陥りやすいことも難点です。
ただし、好条件でファクタリングできれば、一括払いでもさほど負担にはなりません。
手数料の基本設定が安い業者を選ぶことで、計画的な利用も可能です。
この場合、ABLよりもファクタリングのほうが、好影響が期待できます。
というのも、ファクタリングには資金繰り改善効果があるためです。
売掛金の増加は資金繰りの悪化につながり、売掛金の減少は資金繰りの改善につながります。
これが資金繰りの原則です。
ファクタリングは債権譲渡取引であり、売掛金の債権者は利用会社からファクタリング会社に変わります。
ファクタリングした分だけ売掛金が減少し、買取代金分の現預金が増加するのです。
つまり、ファクタリングには「売掛金の減少→資金繰りの改善」という効果があります。
ただし、手数料があまりにも高ければ、「売掛金の減少による好影響」よりも「支払手数料による悪影響」のほうが大きくなり、資金繰りはむしろ悪化します。
ファクタリングが資金繰りに与える影響は、条件次第と考えてください。

結論:資金繰り改善にはファクタリングを

基本的には、ABLの方が資金繰りへの影響は軽微です。
しかし、これはあくまでも「悪影響が小さい」ということで、好影響は期待できません。
ABLも、借り入れた以上は利息が発生し、資金繰りを圧迫するのです。
その点、ファクタリングは使い方次第で資金繰りを改善できるため、ABLよりもメリットが大きいといえるでしょう。
資金繰り改善を目指すならば、ABLよりもファクタリングがおすすめです。

回収不能リスクから考える

ABLのうち、売掛債権担保融資で調達する際には、借入先に売掛債権を譲渡しなければなりません。
ファクタリングも、ファクタリング会社に売掛金を譲渡します。
どちらも債権譲渡であり、償還請求権が関わってきます。
ファクタリングとABL(売掛債権担保融資)を使い分けるには、回収不能リスクを考えることが重要です。

債権譲渡と償還請求権

償還請求権とは、譲渡した売掛債権が回収できなくなった場合、譲受人が譲渡人に買い戻しを求める権利のことです。
「償還請求権あり」の債権譲渡は、回収不能時に買い戻しを求められます。
譲渡人は、調達した資金を返還することで、償還請求に応じる義務があります。
一方、「償還請求権なし」の債権譲渡は、回収不能になっても買い戻しを求められることはありません。
調達した資金を返還する必要はなく、回収不能による損失は全て譲受人の負担となります。
つまり、償還請求権の有無によって、回収不能リスクは以下のように変化します。

  • 償還請求権あり→譲渡後も回収不能リスクが残存する。
  • 償還請求権なし→譲渡後は回収不能リスクがゼロになる。

ABL(売掛債権担保融資)は「償還請求権あり」

ABL(売掛債権担保融資)は、「償還請求権あり」の条件で譲渡します。
担保にした売掛債権が回収不能になれば、利用会社は買い戻さなければなりません。
例えば、額面金額1000万円の売掛金を担保として、資金を調達したとしましょう。
審査の結果、掛け目85%となれば、ABL(売掛債権担保融資)で850万円を調達できます。
しかしその後、売掛先の倒産により売掛金が回収できなくなりました。
回収できなければ、額面金額に関係なく、実質的な価値はゼロに等しいです。
したがって、既に借り入れた850万円は無担保になってしまいます。
おそらく、銀行は償還請求権を行使するでしょう。
その場合、借入金の返還する、新たに850万円相当の担保を差し入れる、といった対応を迫られます。
このように、調達後も回収不能リスクが残り、決して安心できないのがABL(売掛債権担保融資)の大きなデメリットです。

ファクタリングは「償還請求権なし」

ファクタリングは、原則として「償還請求権なし」で契約します。
金融庁は、「純粋なファクタリング」と「実質的な貸付け」を区別する上で、「業者側が負うリスク」を判断基準としています。
業者がほとんどリスクを負わない形であれば、表面的にファクタリングを謳っていても、実質的には貸付けとみなされるのです。
「償還請求権あり」は、業者側が回収不能リスクを負わない契約であり、実質的な貸付けとみなされます。
当然ながら、貸金業の規制が適用され、ほとんどのファクタリング会社で違法リスクが生じます。
それを避けるためにも、正規のファクタリング会社はほぼ例外なく「償還請求権なし」なのです。
ファクタリングした売掛金が回収不能になった場合、損失は全てファクタリング会社が負担します。
調達後に回収不能リスクが残らないため、安心して利用できるのがファクタリングです。

結論:ファクタリングで回収不能リスクの回避を

ABL(売掛債権担保融資)は回収不能リスクが残ります。
回収不能によって多額の損失が発生すれば、資金繰りが悪化するだけではなく、連鎖倒産の危険もあるでしょう。
その点、ファクタリングは回収不能リスクが残りません。
回収不能時に損失が発生することはなく、リスクの回避に役立ちます。
回収不能リスクが高い売掛金を優先的にファクタリングすれば、与信管理の負担軽減にも効果的です。
回収不能リスクにお悩みの方は、ABLよりもファクタリングをおすすめします。

悪質業者のリスクから考える

資金調達方法によっては悪質業者が紛れ込んでいます。
悪質業者を選んでしまうと、まともな条件では利用できません。
経営に役立てるには、悪質業者を避けることが大前提です。
最後に、ファクタリングとABLの悪質業者のリスクを考えてみます。

ABLはノーリスク

ABLは、ほぼノーリスクといってよいでしょう。
銀行のABLを利用する場合、悪質業者のリスクはゼロです。
ノンバンクのABLも、悪質業者のリスクはほぼゼロといえます。
ABLは融資の一種ですから、ABLを取り扱う業者は必ず貸金業登録を受けています。
つまり、金融庁が認定した健全な業者であり、悪質性・違法性は皆無です。
通常の融資ならば、ヤミ金が企業を狙うケースもあるのですが、ABLはその心配がありません。
ABLは普及率が低く、業者は高い能力を求められます。
ヤミ金にはABLを手掛けるだけのノウハウもなければ、能力もありません。
そんなややこしいことをせず、ごく当たり前に融資を装い、違法な貸付けを行うのがヤミ金というものです。
悪質業者に関しては、ABLはノーリスクといっても過言ではないでしょう。

ファクタリングはリスクあり

一方、ファクタリングにはリスクがあります。
現在、ファクタリングに関する法整備が不十分であり、目立った規制もありません。
例えば、新規にファクタリング業を開業する場合、免許や登録は一切不要です。
悪質業者も含め、だれでも簡単に開業できます。
このため、現在のファクタリング業界は悪質業者が紛れ込みやすい環境です。
このことについて、金融庁は以下のように注意を喚起しています。

中小企業の経営者などを狙い、貸金業登録を受けていない者が、ファクタリングを装って、業として、貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が確認されています。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
ここにある通り、ファクタリングの悪質業者は「貸金業登録を受けずに貸し付ける業者」です。
無登録営業のヤミ金と何ら変わりません。
実際に被害の事例をみても、法外な手数料を請求する、違法な取りたてを行うなど、手口はヤミ金そのものです。
ファクタリングを利用するならば、悪質業者に注意が必要です。

結論:実際のリスクは同程度

ABLには、悪質業者のリスクがほとんどありません。
悪質業者が紛れ込む余地がないのです。
これに対し、ファクタリング業界には悪質業者が紛れ込んでいます。
とはいえ、悪質業者を避けるのは非常に簡単です。
ファクタリング会社の系列には銀行系・ノンバンク系・独立系があります。
銀行系・ノンバンク系のファクタリングは、運営元が金融庁の監督下にあるため、悪質業者のリスクはありません。
また独立系であっても、優良ファクタリング会社を選べば、悪質業者のリスクは避けられます。
このように考えると、実際のリスクはABLもファクタリングもあまり変わらないといえるでしょう。

まとめ:ABL?ファクタリング?お悩みの方はNo.1におまかせ

ファクタリングとABLの違いと使い分けを、詳しく解説しました。
ABL(売掛債権担保融資)はファクタリングと似ています。
ファクタリングも売掛債権担保融資(ABL)も、請求書などの売掛債権(売掛金)を活用して行う資金調達であることに違いはありません。
しかしながら、ABLは様々な動産を対象としており、ファクタリングと単純に比較することはできません。
ABLの一種である売掛債権担保融資も、「売掛債権の活用」ということを除けば多くの点で異なります。

この両者の違いをしっかりと理解して、正しい資金調達を行うことをおすすめします。
ファクタリングとABLの使い分けでお悩みの方は、No.1までお気軽にご相談ください。
資金調達・資金繰りに精通したスタッフがヒアリングを行い、お客様に最適なファクタリングをご提案します。

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