カテゴリー: 資金調達情報

クレジットカードの仕組み「債権譲渡」と「立替払い」を解説!加盟店にとって有利なのはどっち?

クレジットカードの仕組みについて普段それほど考えませんが、それぞれの「信用」に依拠して成り立っている重要な仕組みです。

クレジットカードの建付けとして「債権譲渡」方式と「立替払い」方式があります。この2つの考え方をもとに、みなさまはクレジットカードで買い物して、支払いは後日、1か月ごとか2か月後の決まった日(月末日など)に行います。

その仕組みについて今回は詳しく解説します。

またクレジットカードと似たような仕組みで、クレジットカードのように信用情報に影響しない資金調達についても考えます。

クレジットカードを上手に使い、かつ債権譲渡や立替払いについてぜひ知ってください。

クレジットカード払いについて債権譲渡と立替払い2つの法的考え方がある

Aさんが10万円の買い物をB社で行い、C社のクレジットカードで支払う事例をここでは考えます。Aさんが購入者、B社がCクレジットカードの加盟店、C社がクレジットカード会社です。AさんのB社への10万円の支払いは、一定期間(30日~60日)後、口座から引き落としになりC社へ支払われます。

なぜこのようなことができるのか、法的な建付けとして「債権譲渡」と「立替払い」という2つの考え方があり、それぞれ理論を構成しています。どちらかが正しい、というわけではなく、債権譲渡と立替払いの2つの考え方で、クレジットカード払いが説明できるということになります。

債権譲渡方式

債権譲渡方式とは、カード会社が加盟店から代金支払い請求権を譲り受け、カード保有者から期日に弁済を受けるという法的構成です。

事例で考えると、C社がB社から「Aさんに対して10万円請求する権利」を譲り受け、支払い期日にC社がAさんに対して10万円を請求します。Aさんは「B社に対して10万円支払う義務」があり、その債務がC社に移譲されたので、C社に対して10万円支払う義務が発生し、それをクレジットカード支払日に履行しなければならなくなります。

立替払い方式

立替払方式とは、利用者の支払い債務について、クレジットカード会社が加盟店に対して第三者弁済を行い、立替払いします。その後クレジットカード保有者に対して期日に求償するという構成です。

事例で考えると、AさんがB社に10万円支払う債務があります。それをクレジットカード決済時にC社がAさんに代わりB社に10万円立替払いを行います。その後、C社はクレジットカード支払日にAさんへ10万円を請求します。

債権譲渡、立替払い、どちらの場合も購入者の支払い方法は同じ

クレジットカード会社(C社)、クレジットカード加盟店(B社)、クレジットカード保有者(Aさん)の間で行われる決済は、債権譲渡、立替払い、いずれの考えにおいてもクレジットカード保有者(Aさん)の支払いは銀行預金からの引き落としによって行われます。

そのため、クレジットカードによる決済手段は、銀行振込と同様に「預金債権」に分類されます。この預金債権とは、金銭や物を消費し、後に同種・同等・同量の物を返還することを約束する契約であり、「消費寄託契約」(民法第666条)の一種とされています。

また、預金契約に基づく消費寄託契約については、消費貸借の規定が適用されるため(民法第666条第3項)、借主は返還時期の有無にかかわらず、いつでも返還可能とされています。

これらを踏まえると、クレジットカード決済の仕組みは一見すると単純であるように見えます。

しかし、実際にはカード会社の役割が分業化され、複数の事業者によって運営されています。以下にその主要な役割を説明します。

イシュアー(Issuer)

クレジットカード保有者にカードを発行し、弁済受領や求償を行うカード会社です。例として、三井住友カード、三菱UFJニコス、クレディセゾン、楽天カードなどがあります。

アクワイアラー(Acquirer)

クレジットカード加盟店候補への営業です。クレジットカード加盟店を開拓し、債権の買取や立替払いを行う加盟店管理会社を指します。同様に、三井住友カード、三菱UFJニコス、ユーシーカード、楽天カードなどが含まれます。

国際ブランドカード会社

イシュアーとアクワイアラーを結び付ける決済ネットワークを運営する企業で、Visa、Mastercard、JCBなどがこれに該当します。

昨今では、安定した顧客(「太客」)を拡大するため、クレジットカード事業を取り入れる企業が増加しています。例えば、航空会社やデパートなどがカード会員を獲得し、カードの発行および弁済業務をイシュアーに委託する「提携カード」形式も一般的です。

また、イシュアーとアクワイアラー間の決済方法は、利用された取引形態によって異なります。国内での利用の場合、イシュアーはアクワイアラーに対し、国内銀行間の決済システムを通じて資金移動を行い、決済を完了させます。一方、海外でカードが使用された場合は、外国為替決済を伴う国際間の資金移動が必要です。この際、国際ブランドカード会社が運営するデータセンターがデータ処理を行い、一定期間後にネッティングを実施し、差額のみが各国の金融機関間で決済されます。

債権譲渡と立替払いは似ているが異なる部分もある

クレジットカードの仕組みについて、債権譲渡と立替払い、どちらの考えも前項で記したように、似ていますが異なることもあります。

クレジットカード加盟店はクレジットカード保有者に請求できる?

立替払いの場合、「B社へ支払う債務」はAさんのところに最後まであります。しかし、債権譲渡の場合、「B社へ支払う債務」はAさんからC社へ移行しています。

Aさんに何かあり、B社が「10万円受け取る権利」を享受できない(10万円受け取れない)場合、債権譲渡方式の場合「10万円請求する権利」はC社に移っているのでB社がAさんに対して法的請求ができない可能性があります。

一方、立替払い方式の場合C社がAさんの支払いを立て替えただけなので、Aさんへ法的に10万円請求ができる可能性があります。

その辺りは法的な問題になるので、弁護士に相談することとなります。

クレジットカード決済における金銭債務消滅時期が異なる

クレジットカード決済の場合、いつ購入者が支払う債務、販売者が受け取る債権が消滅するかについても、債権譲渡と立替払いで異なるという見解があります。

クレジットカードによる決済の法的な建付けについては、いくつかの考え方が存在し、これによって債務が消滅するタイミングが異なります。

具体的には、債務(販売者からすると債権)が消滅する時期は、クレジットカード会社が加盟店に一定の金額を支払った時点、またはクレジットカードの利用時点のいずれかに分類されます。

まず、立替払いの立場をとる場合、クレジットカード会社が実際に加盟店へ代金相当額を支払った時点で債務が消滅します。

一方で、債権譲渡の立場をとる場合には、債権譲渡や債務引受の効力が発生した時点、つまり、カード会社に売上データが通知された段階で債務が消滅すると解釈されます。

このケースでは、購入者がクレジットカードを利用した時点が債務消滅のタイミングとなることが一般的です。購入した時点でクレジットカード会社にデータが行きます。

不正利用の場合、ほどなくクレジットカード会社から「利用しましたか?」と連絡があるのは、ほぼリアルタイムにクレジットカードで購入したデータが渡っているからなのです。

債務消滅の時期が問題となるのは、通常の決済プロセスが何らかの理由で正常に機能しなかった場合や、仮想通貨などの新たな決済手段における法的取扱いを検討する際などです。

ほぼリアルタイムでクレジットカードを使ったデータがクレジットカード会社に行きます。そのため、みなさんがクレジットカード加盟店と仮定した場合、いつ売掛債権(売掛金)がクレジットカード会社に渡るのかが資金調達において重要なポイントになります。

売掛債権(売掛金)が消滅すると売掛債権(売掛金)を利用した資金調達ができない

クレジットカードの仕組みについては以上になります。一般的な利用者の方はここまでお読みになっていただければ大丈夫です。

ここからは特にクレジットカード加盟店の方向けに売掛債権(売掛金)の証明時期も踏まえて解説します。

クレジットカード決済において、大きく分けると「債権譲渡」と「立替払い」があると説明しました。

それぞれ、加盟店(事例の場合B社)にとっては、クレジットカード払いした利用者(自レではAさん)に商品を掛売したことになります。

「Aさんがクレジットカード払いした10万円を受け取る権利」(売掛債権(売掛金))を加盟店B社は有しています。

この売掛債権(売掛金)について、「債権譲渡」説をとる場合、クレジットカード会社にカード決済したという情報が渡った時点で消滅します。ここからは売掛債権(売掛金)はクレジットカード会社C社のものになります。

一方「立替払い」説をとると、毎月クレジットカード会社C社から加盟店B社に支払いが行われるかでは、売掛債権(売掛金)はB社のものになります。

ここで重要になるのが、売掛債権(売掛金)を用いた資金調達方法です。

売掛債権(売掛金)を担保にする「動産担保融資(ABL)」は主に銀行が行っていて、クレジットカードの未収入金(クレジットカード債権)については担保にできません。

しかし、事業者が請求書などを発行して成立した売掛債権(売掛金)を買い取るファクタリングの場合、クレジットカードの未収金を売掛債権(売掛金)にできることがあります。

しかし、債権譲渡説に立つと、Aさんがクレジットカード払いでB社に10万円支払いした場合、すぐにクレジットカード会社C社に連絡が行き、その時点で「Aさんから10万円を受け取る権利」クレジットカード加盟店B社ではなくクレジットカード会社C社のものになります。

クレジットカード払いの未収金も売掛債権(売掛金)にできるという話で、BtoCの小売店もファクタリングを利用できると言われていました。

しかし、クレジットカードをめぐる法的な解釈次第、つまり債権譲渡説を採用すると、クレジットカードで販売したものを売掛債権(売掛金)として資金調達に利用することが難しくなってしまいます。請求書払いのBtoBしか売掛債権(売掛金)を活用した資金調達に利用できないという、当初の触れ込みとは違う結果になってしまいます。

もちろん、支払い期日になればクレジットカード会社から購入者(Aさん)が払った金額(-手数料)を受け取ることができ、クレジットカード会社の倒産はまずありませんので、通常の請求書を出す掛売よりは安心できます。

しかし、何らかの事情で即時資金調達が必要になった場合、債権譲渡説だと動産担保融資は当然、ファクタリングもできないので少々困ったことになります。

債権譲渡説をとるファクタリング会社では、クレジットカードの未収入金(クレジットカード債権)についてはファクタリングの対象外となります。

逆にクレジットカードについて、立替払い説をとるならば、債権が消滅するのがクレジットカード会社(C社)からクレジットカード加盟店(B社)に入金があった場合になります。

その場合、クレジットカード会社からクレジットカード加盟店への入金日までなら、個人が利用したクレジットカード払いのお金をファクタリングによって前倒しで資金化できます。

      

  • 7月1日  Aさんがクレジットカード加盟店B社へ購入代金をクレジットカードで支払い 50万円
  •   

  • 7月10日 B社が50万円のクレジットカード債権をファクタリング(45万円+手数料)
  •   

  • 7月15日 クレジットカード会社C社からAさんの購入代金立て替え分50万円(-手数料)B社へ入金
  •   

  • 7月15日 B社からファクタリング会社D社へ50万円返済

このスケジュールは、クレジットカードが立替払い説ならば成立します。急な資金調達が必要になった場合、クレジットカード債権もファクタリングによって資金化できる可能性があります。

まず、クレジットカード立替払い説をとるファクタリング会社を探してください。「クレジットカード債権も買い取りします」と謳っているところであれば大丈夫です。

クレジットカードが「債権譲渡」か「立替払い」かで、主にファクタリングによる資金調達の可否が大きく変わります。クレジットカード加盟店にとってよりありがたいのは、クレジットカード「立替払い」説になります。

細かいことですが、法的に諸説ある隙間をファクタリングが資金調達の可能性を広げていることになります。ぜひ、注目してみてください。

クレジットカードは債権譲渡か立替払いかで売掛債権(売掛金)の利用法が異なる!立替払い説をとる会社で資金調達をしよう!

クレジットカードの法的建付けが債権譲渡の場合、すぐに「〇万円受け取る権利」はクレジットカード会社のものになってしまいます。

クレジットカード会社から入金が期日にないことはまず考えられませんが、入金を「前倒し」するようなファクタリングの利用ができません。

クレジットカードが債権譲渡説をとるのか、立替払い説をとるのかは、正式な判決がないため各事業者次第になります。

ファクタリングで資金調達するために、クレジットカードの未収金を売掛債権(売掛金)にしたい場合、立替払い説をとっているファクタリング会社を選ぶようにしましょう立替払い説をとるファクタリング会社ならば、BtoCのクレジットカード未収入金についても、買い取りの対象にできることがあります。

動産担保融資はクレジットカード債権不可ですが、ファクタリングならばファクタリング会社次第で資金調達に使えます。

まず、ファクタリング会社にクレジットカードの未収金も買い取り対象になるのか聞いてみましょう。そして問題ないならば、いざというときの資金調達方法として考えてください。

繰り返しになるかもしれませんが、クレジットカード会社から入金がないことは考えにくいです。したがって、迅速な資金調達以外のファクタリングの目的である「回収不能リスクの削減」にはクレジットカード債権は意味がないので注意してください。もとよりクレジットカード債権を回収できない可能性は低いのです。

BtoCでクレジットカード払いOKのビジネスをしている場合、いざというときにクレジットカード債権をファクタリングして資金調達できる可能性があります。

1つの選択肢としてぜひ準備だけでもしておくと、さまざまなリスクヘッジになるかもしれません。

その場合、株式会社No.1をファクタリング会社の候補にしてください。株式会社No.1はクレジットカード立替払い説をとるので、クレジットカード債権も問題なく買い取りいたします。

よろしくお願いいたします。

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