カテゴリー: ファクタリング
約束手形廃止はファクタリングに資金調達方法を切り替える大きなチャンス!
手形取引は長年日本で行われていた商慣習です。掛売を保証するため約束手形を発行して、期日に支払います。これにより手元に現金がなくても仕入れなどができるようになりました。
しかし、約束手形については2026年に廃止する方向で政府が動いています。その中で、従来のように掛売の権利を売却する「手形割引」が難しくなりました。
約束手形廃止によって、手形割引のような資金調達ができなくなるのでしょうか?約束手形の割引に代わるものとして有望なのがファクタリングです。ファクタリングによって約束手形の割引以上に迅速かつ簡易な資金調達が可能になります。
この記事では、約束手形廃止とファクタリングの関係について説明していきます!
約束手形廃止を知る前に「約束手形」とは何か知っておこう
まず、受取手形について簡単に説明しておきましょう。
受取手形とは、企業や事業者の事業活動の際、すぐにキャッシュ(現金)による支払いではなく、取引先から振り出される(発行される)手形によって、「一定期日までに支払います」という証明を受け取り、その日までに(リアルタイムではなく)売掛金などを受け取る古くからある日本の商慣習、ビジネスにおける決済方法です。
手形には「約束手形」「為替手形」がありますが、多くの場合用いられてきたのは「約束手形」なので、手形≒約束手形と考えていただいても今回は構いません。
約束手形の取引についてはこのような事例を考えてみましょう。
A社がB社に商品を販売し、その代金を約束手形の形で受け取るケースを考えます。
約束手形の保有者であるA社は、手形の満期日になると、B社から受け取った手形を金融機関に提出し、手形に記載された金額(販売代金)を自社の口座で受け取ることができます。
この約束手形は、商品を販売した側(A社)の資産勘定になります。A社には、B社が指定した期日に手形の額面金額を受け取る権利があります。この権利は、手形が発行された日から支払期日までの間に行使可能となります。
もし、手形の満期日前に資金が必要になった場合、手形割引を利用することができます。この方法では、A社が銀行に手形を持ち込み、手形の額面金額から手数料を引かれた金額を満期日前に受け取ることで、迅速に資金調達を行えます。
さらに、手形を別の目的で利用することも可能です。A社が受け取った手形を裏書して他社(C社)に譲渡することで、仕入先への支払い手段として活用できます。郵便局の「定額小為替」(受取期限付き)のようなイメージです。この場合、裏書された手形はC社に所有権が移り、満期日にB社から代金を受け取る権利を持つことになります。
なお、手形の取り扱いには商法や手形法の規定が適用されます。手形割引や裏書譲渡といった手続きは、これらの法律に基づいて行われます。これが昭和7年に制定された法律であり、100年近く前の「遺物」であることは注意したいです。この時代の商慣習と今の商慣習は全然違います。
約束手形廃止は、100年近く前の法律の運用を現代に合わせるために必要不可欠ともいえるアップデートであることに留意してください。
約束手形廃止の背景とそれに代わる手段の検討
2026年をめどに政府は紙の手形や小切手の取引を廃止することを進めています。約束手形廃止もその流れに沿っています。
なぜ約束手形廃止も含め、紙の信用決済手段を廃止したいのか、それは信用取引自体を否定するものではなく、むしろ時代に合った信用取引のシステムに変えたいという政府の意向が背景にあります。
約束手形廃止になる背景には、効率向上、コスト削減、安全性向上といった要素があります。
約束手形の取り扱いは、処理に手間と時間がかかるため非効率です。紙に印刷すること、手形割引の際の「裏書き」の手間など今の時代に見合わない労力です。
銀行や企業が手形を受け取った場合、確認作業や処理が手作業で行われることが多く、これは電子決済と比較して大幅に時間と労力がかかります。また、紙媒体の手形は印刷費や配送費が必要となり、これらが積み重なることで経済的な負担が増加します。一方、オンラインバンキングなどの電子的な取引手段は、迅速でデータや履歴の把握が簡単なため、従来の手形取引と比べて遥かに効率的です。
さらに、安全性の観点でも、約束手形には偽造や不正使用のリスクが付きまといます。特に、署名、裏書きの偽造や情報の漏洩が問題視され、それを防ぐための対策には多大なコストがかかります。一方、電子決済では高度な暗号化技術が採用され、リアルタイムでの監視が可能なため、より高い安全性を実現しています。
これらの理由から、政府や金融機関は約束手形廃止など紙の証書による信用取引を変えようとしています。
結果的に金融システム全体の効率が向上し、より安全で迅速な取引の実現に寄与したいという意向があります。
なお、紙の約束手形廃止のスケジュールは以下のようになっています。
2021年6月
政府が「成長戦略実行計画」を公表。その中で以下の方針を示しました。
• 約束手形廃止に向けた取り組みを推進
• 小切手を全面的に電子化
2021年7月
全国銀行協会が「手形・小切手機能の全面電子化に向けた自主行動計画」を発表。この計画には以下の目標が含まれています。
• 2026年度末までに電子交換所での手形・小切手交換をゼロにする(約束手形廃止)
2021年7月以降
政府や全国銀行協会の方針を受け、金融業界では紙の約束手形廃止(小切手も)に向けた動きが本格化しました。
• 三井住友銀行:「手形・小切手の全面電子化に向けた対応についての発表」
• 三菱UFJ銀行:「手形・小切手電子化に関する取り組み」
• みずほ銀行:「手形・小切手電子化に向けた対応のお知らせ」
~2026年度末
紙の手形・小切手の利用廃止が目標として掲げられています。
ただし、2026年度末以降も紙の手形や小切手の使用が完全に禁止されるわけではなく、罰則も設けられていません(2024年7月時点)。努力目標に近いのですが、主要銀行が約束手形廃止に踏み切っていますので、実質的に約束手形廃止によって紙の手形取引が加速度的になくなっていくものと思われます。
手形取引の廃止ではなく「紙の約束手形廃止」です。その後は電子記録債権(でんさい)など手形の特徴を取り入れた電子商取引がメインになります。
約束手形と売掛金の違い
約束手形と売掛債権(売掛金)はどちらも売上債権であり、企業間の信用取引で用いられるため、似たような性質を持っています。しかし、両者には明確な違いがあります。
約束手形は、すでに成立した取引の代金を特定の日に受け取ることを約束したもので、確定債権として扱われます。売掛債権(売掛金)も同様に「特定の日に代金を受け取る権利」ですが、約束手形は銀行が関与する点が大きな特徴です。
約束手形では、銀行が取引の仲介役となり、手形の発行を通じて「B社がA社に指定日に金額を支払う」という約束を形にします。この仕組みによって、銀行の信用を背景にした法的保護が得られ、社会的な信頼性が高まります。
また、手形法に基づく手形割引を利用することで、満期日を待たずに現金化することも可能です。この場合も手形法に基づく保護が適用され、安心して利用できる仕組みになっています。
一方、売掛債権(売掛金)の回収は銀行を介さず、当事者間の契約に基づく債権です。これは民法に基づく取引となるため、法的保護が約束手形ほど強固ではありません。契約自由の原則に基づくため、トラブル時には債権者と債務者間で解決することが求められます。
この違いにより、売掛債権(売掛金)を対象とするファクタリングも手形割引と比べて法的保護が弱い傾向にあります。
ただし、約束手形も完全にリスクがないわけではありません。不渡りと呼ばれる支払い不能状態が発生する可能性があり、特に2回目の不渡りが発生すると、手形を振り出した企業(例:B社)は銀行との取引停止措置を受け、事実上の倒産に至ることがあります。この厳格な仕組みは、手形法のメリットでもあります。
一方で、売掛債権(売掛金)にはこうした市場からの強制退場といった規定がなく、当事者間の合意による柔軟な対応が可能です。仮に債務者(B社)が支払いを遅延しても、債権者(A社)が納得すれば契約関係は存続します。これが売掛債権(売掛金)の持つ自由度の高さです。
このように、法的な厳格性と信用度を重視する約束手形と、当事者間の柔軟な契約に基づく売掛金は、それぞれ異なる特徴を持つ仕組みとして利用されています。
約束手形と手形割引
約束手形は「手形割引」という方法で、本来の期日到来前に資金化できます。これは売掛債権(売掛金)を支払日前に資金化するファクタリングとイメージが似ています。
手形割引とファクタリングは同じなのか、同じならば約束手形廃止でもあまり大事にはならないかもしれません。約束手形廃止を前に、従来の手形割引についても知っておいてください。では手形割引について説明します。
手形割引とは?
手形割引とは、受取手形に記載された支払期日を待たずに、その手形を現金化する方法です。本来、手形の代金は期日が到来して初めて支払われますが、手形割引を活用することで、決済日より前に現金を手に入れることが可能です。この仕組みはファクタリングと似た性質を持っています。
手形割引:手形の支払期日前に現金化する仕組み
ファクタリング:売掛債権(売掛金)を期日前に譲渡して現金を調達する方法
このように、手形割引とファクタリングの違いを理解しておきましょう。
「割引」の意味
「割引」とは手形の額面金額から、期日までの金利を日割りで値引きすることになります。
「手形割引」という名称から、手形を所持していることで何かしらの特典が得られると考えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。また、手形を割引価格で売却するという意味でもありません。
手形割引とは、受取手形を支払期日よりも前に現金化する際、期日までの利息と手数料を差し引かれた金額で手形を買い取ってもらう仕組みです。この際、実質的には手形の価値を基に利息を計算し、それが割引料として引かれます。
以下の例で、手形割引の計算を見てみましょう。
例:支払手形 100万円 / 支払期日 60日後 / 割引率 年利9%の場合
• 手形の発行日:9月1日
• 通常の支払期日:10月30日(60日後)
• 割引の適用日:10月20日(支払期日の10日前)
計算:
1. 割引料=100万円 × 年利9% × 日数(10日) ÷ 365
2. 割引料=100万円 × 0.09 × (10 ÷ 365)
3. 割引料=100万円 × 0.00246 =24,600円
現金化できる金額:
100万円 − 24,600円 =975,400円
さらに、取立手数料が別途引かれる場合もあります。
期日より早く現金化できる利便性はありますが、割引料が発生するため、その分のコストを考慮する必要があります。この例では、割引料が約2.5%となり、ファクタリングの手数料と近い結果になっています。しかし、手形発行直後に割引を行う場合、計算日数が長くなるため割引料も高額になりがちです。
このように、手形割引は融資によらない迅速な資金調達の選択肢の一つとして活用できますが、利率やタイミングによってコストが大きく異なる点を理解しておくことが重要です。
手形割引したい場合、約束手形を買い取ってくれるのは原則金融機関であり、例外的に許可(貸金業等)を受けた「民間手形割引業者」というものが存在し、そちらで換金も可能です。
ファクタリングは開業自由の業種で、さまざまなファクタリング会社があり、迅速な資金調達につながりますが、手形割引はそのような気軽さがありません。
約束手形廃止でも、これまで手形取引をしていない事業主様にとってそこまで大きな影響にはなりません。
ファクタリングと手形割引の違い
約束手形廃止でも大きな影響はないのかもしれませんが、これまで手形取引をして必要に応じて手形割引をしてきた事業主様にとっては、ファクタリングにするのか、「でんさい」など電子決済をもとにした資金調達にすべきなのか、考えていかなければなりません。ここで、ファクタリングと手形割引の違いについても理解しておきましょう。
手形割引 | ファクタリング | |
---|---|---|
償還請求権 | あり | ないものが増えている |
手数料 | 年利1.5%~20%(利息制限法範囲内) | 買い取り金額の2%~20% |
審査の厳しさ | やや厳しい | 緩い |
入金までの時間 | 銀行は長い | 短い、最短即日も可能 |
手続きの難しさ | 裏書等やや難しい | やさしい、簡単 |
法的な保護、規制 | 手形法により厳格に規制 | 法的な保護、規制が緩い、契約自由の原則 |
できるところ | 原則銀行、一部それ以外の許可業者 | ファクタリング会社 |
この表のようにファクタリングと手形割引は大きく違います。明治期からある手形割引とせいぜい30年のファクタリングではまったくバックグラウンドが異なることを知ってください。
約束手形廃止以降は、どのように資金調達すべきなのか、ぜひ2026年までの期間に考えておきましょう。
約束手形廃止で押さえておきたいファクタリングのメリット
ファクタリングは約束手形の割引のように100年以上の歴史はなく、ここ20年ほどで浸透した新しい資金調達方法です。しかし、だからこそ時宜に合った手形割引にはない大きなメリットがあります。
約束手形廃止でも、以下に挙げるファクタリングのメリットがあれば、大きな混乱に至りません。しっかり現在の手形取引をしている相手と、新しく売掛契約を結んでください。
それではファクタリングが手形取引とは異なる大きなメリットを紹介します。
<h4>償還請求権がないことが多い
手形割引では、万が一取引先が倒産するなどして支払い不能になった場合、「不渡り」を起こさないために、その金額を利用者自身が返済しなければならない仕組みになっています(償還請求権あり)。
一方で、ファクタリングでは、取引後のリスクを利用者が負担しない「ノンリコース型(償還請求権なし)」が一般的です。ノンリコース契約は、資金化した後に取引先が支払い不能となっても、債権者が返済を求められることはありません。
そのため、取引先の財務状況に関わらず現金を確保する手段として活用でき、リスクを回避することが可能です。
手形割引よりも手続きが完結で早くできる
手形割引は、手形の裏面に必要事項を記入する「裏書」や金融機関との手続きが複雑で、完了までに数日かかることもあります。ただし、金融機関以外の(許可を得た)専門業者を利用すれば、即日で現金化が可能な場合もあります(ただし手数料が高い)。
一方、ファクタリングは手続きが簡単で、請求書(のコピーやデータ)があれば迅速に対応できるため、資金化までの時間が非常に短いです。急いで資金を確保しなければならない場合には、スピードと手軽さが魅力のファクタリングを選ぶ方が有利と言えるでしょう。
ファクタリングは手形取引の「上位互換」とも言えそうで、約束手形廃止後も、融資によらない迅速で臨機応変な資金調達は問題ないはずです。
約束手形廃止で注目されるファクタリング!信頼できるファクタリング会社を選ぼう
約束手形廃止が2026年に迫る中で、「でんさい」など新時代の手形取引を導入するのか、売上債権(請求書)を発行して、売掛契約によって支払いをするのか、時代の要請に翻弄されることとなります。
「でんさい」は手続きや条件が複雑なので、多くの事業者は約束手形廃止によって、請求書を発行して期日を置いた支払いを受けることになるはずです。
その請求書払いと相性が良いのがファクタリングです。ファクタリングならば、請求書と数個の書類があれば手形割引よりも迅速に資金調達が可能になります。約束手形廃止で需要が高くなるのがファクタリングです。
手形取引から請求書払いに代わった場合、ぜひファクタリングによる資金調達を検討してください。
「株式会社No.1」は歴史と実績があるファクタリング会社で、約束手形廃止の際の資金調達手段としてご利用を検討ください。
手形割引による資金調達は複雑ですが、株式会社No.1のファクタリングは、すべてオンラインで完結し、請求書や通帳コピーのデータ提出だけで完結します。
約束手形廃止でも、まったく問題なく資金調達可能なファクタリングをこの機会にぜひ知っていただき、貴社の経営改善に役立ててください。
株式会社No.1をぜひ覚えてください。
何卒宜しくお願い致します。
ファクタリングなら株式会社No.1 詳細情報
株式会社No.1の各サービスの紹介は下記からご覧ください。
ご不明点やご質問はお気軽にお問い合わせください。
よく見られているファクタリング記事