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ベンチャー企業におすすめの有効な資金調達方法は?活用のポイントも徹底解説
元来、日本人は起業家精神に乏しいといわれてきましたが、最近では起業する若者が増えています。ベンチャー企業が躍進し、株式市場を盛り上げることもしばしばです。
しかし、ベンチャー企業の経営はラクではありません。特に、資金調達が難しく、短期間で倒産するケースも多いものです。
ベンチャー企業に有効な資金調達方法は何なのでしょうか。資金調達のプロであるNo.1スタッフが詳しく解説します。
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業とは、平たくいえば「新興企業」であり、独自のアイデアや技術によって新しいサービスや商品などを展開する企業のことです。単に「起業したばかりの会社」を意味するものではなく、
- 独自性をもって起業していること
- 成長過程にあること
- 新しい価値の創造を目指していること
- 将来的に大きく成長する可能性があること
などが条件です。
このため、ベンチャー企業には、他の企業と大きく異なる特徴があります。すなわち、
- 業歴が短いこと
- 企業規模が小さいこと
- 技術やアイデア以外に武器がないこと
などの特徴です。
ベンチャー企業の問題点
これらの特徴により、ベンチャー企業にほとんどは基本的に大きな問題を抱えた状態にあります。それは、信用がないことです。
業歴が短い
上記の通り、ベンチャー企業は業歴が短いです。業歴が長ければ、長きにわたってビジネスを続けており、その背景には
- 取引先と深い関係を築いている
- 顧客から信用を得ている
- 金融事故を起こさず銀行と取引を継続している
など、信用の裏付けがあるのが普通です。つまり、業歴そのものが信用につながるといえます。
業歴が短いベンチャー企業には、このような裏付けと信用がありません。
企業規模が小さい
企業規模が小さいことも問題です。
業歴が長く、企業規模が小さい会社であれば、コンパクトな体制で安定した経営を続けており、今後も長期的に現状を維持できるとして信用されるケースもあります。
しかし、業歴が短く、企業規模が小さい会社であれば、単に取引先が少なく、取引の規模も小さく、財務基盤も脆弱であると見なすのが普通です。
業績が不安定であるうえ、資金繰りが続かなくなるリスクも大きいため、信用が乏しいのです。
技術やアイデアだけで勝負している
ビジネスにおいて、技術やアイデアは重要な要素ですが、それだけで成り立つものではありません。
経営の三大要素はヒト・モノ・カネです。技術やアイデアは、それによって商品やサービスといったモノを生み出す要素です。つまり、ベンチャー企業はモノが充実しているだけで、ヒト・カネが不足しています。
特に、カネが不足するベンチャー企業が多いです。カネがなければ、いくら技術やアイデアがあっても、資金繰りが回らないため経営は破綻します。
これが、ベンチャー企業が信用されない最大の理由といえます。
資金調達が難しい
信用が乏しい会社は、銀行から融資を受けることが困難です。
銀行は、「この会社ならばきちんと返済してくれる。利息が稼げる」という信用がある会社を選んで融資しています。信用のない相手に融資すれば、融資したお金の大部分が返済されず、回収不能になる可能性が高いです。
銀行は、わずか数%の金利で融資しているため、貸倒損失を取り戻すには多額の融資が必要となります。信用のない会社に融資しないのも、当然といえるでしょう。
会社にとって、資金調達の軸は銀行融資です。色々な資金調達方法の中でも、銀行融資は多額の資金を低コストで調達できるため、最も優れた方法なのです。
銀行融資が受けられないため、ベンチャー企業は資金調達に苦労します。
ベンチャー企業の資金調達方法
資金調達に苦労するとはいえ、ベンチャー企業も経営していく上で必ず資金需要が発生します。このため、何らかの方法によって資金を調達することが欠かせません。
銀行融資が受けられない特殊な事情を踏まえると、ベンチャー企業に役立つ資金調達方法は限られてきます。
出資
ベンチャー企業と相性の良い資金調達方法の筆頭に、出資が挙げられます。
出資のパターンは、主に3つあります。
ベンチャーキャピタル
出資者の中でもよく知られているのがベンチャーキャピタルです。ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資し、将来的に会社の価値が高まったタイミングで売却することで利益を得る投資機関です。
しかし、ベンチャーキャピタルからの出資はかなりハードルが高いです。そもそも、ベンチャーキャピタルと知り合う機会が少なく、
- 知人から紹介を受ける
- ベンチャーキャピタルのホームページの、問い合わせフォームから問い合わせる
といった方法しかありません。こちらから問い合わせても、同様に問い合わせている出資希望者が大勢いるため、自分に連絡がくる可能性は低いです。
実際、ベンチャーキャピタルが出資するのは、出資依頼のうち1~3%といわれています。
エンジェル投資家
出資者は、必ずしもベンチャーキャピタルである必要はありません。資金を調達できれば良いのですから、それが個人であっても問題ないのです。個人で出資してくれる出資者を「エンジェル投資家」といいます。
ただし、エンジェル投資家からの出資もハードルが高く、
- 知り合いから紹介してもらう
- 経営者や起業家の交流会に参加する
といった方法で知り合う必要があり、時間と労力がかかります。
エンジェル投資家と知り合う機会は常に探りつつ、期待しすぎないことが大切です。
クラウドファンディング
出資のうち、最もハードルが低いのはクラウドファンディングです。クラウドファンディングは、近年急速に普及しているサービスであり、インターネットなどを通じて不特定多数に出資を募る仕組みのことです。
クラウドファンディングにも色々なタイプがあり、
- 個人がアイデアを商品化するために資金を募るもの
- 殺処分されてしまう動物を救うために資金を募るもの
- ベンチャー企業が資金繰りのために資金を調達するもの
などがあり、プラットフォームによっても起案者と出資者の属性が大きく異なります。
ベンチャー企業の資金調達には、ベンチャー企業向けをメインとしたプラットフォームがおすすめです。そのようなプラットフォームでは、基本的に投資を募るのはベンチャー企業だけであり、プラットフォームを見ているのもベンチャー企業に理解があり、出資に前向きな人です。
このため、優れた技術やアイデアを持ち、うまくプレゼンできるベンチャー企業ならば出資を受けられる可能性が高いといえます。
融資
ベンチャー企業も融資を受けることは可能です。銀行が独自に融資する「プロパー融資」を受けることは困難であっても、その他の融資ならば資金を調達できます。
日本政策金融公庫の新創業融資
まず検討したいのが、日本政策金融公庫からの資金調達です。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する公的金融機関であり、民間金融機関が対応できない資金需要の補完を目的としています。このため、信用の低さから銀行融資が受けられないベンチャー企業でも、資金を調達できる可能性があります。
ベンチャー企業が特に苦労するのは、創業期の資金調達です。そこで役立つのが日本政策金融公庫の新創業融資制度です。
新創業融資制度は、創業時の資金調達(あるいは創業後2期未満の資金調達)であれば、無担保で3,000万円(運転資金は1,500万円まで)の融資を受けられる制度です。
「創業融資といえば日本政策金融公庫」といわれるほど、日本政策金融公庫は創業融資に強いため、優先的に検討してみてください。
制度融資
信用保証協会と自治体が資金調達を支援する「制度融資」もおすすめです。
銀行がプロパー融資を出さない理由は、ベンチャー企業は信用が乏しく、貸し倒れリスクが高いためです。もし、貸し倒れリスクがカバーできるならば、融資できない理由はなくなります。
制度融資では、信用保証協会の保証により、貸倒損失の8割以上を信用保証協会が弁済するため、銀行は貸し倒れリスクの大部分を回避でき、融資を出しやすくなります。
例えば、東京都と東京信用保証協会の制度融資では、創業期の会社に3,500万円まで融資しています。創業期の資金調達に活用しやすいでしょう。
助成金・補助金
ベンチャー企業は、助成金や補助金での調達もおすすめです。
簡単に言えば、国や自治体からお金をもらえる制度であり、返済の必要もありません。
資金繰りが厳しいベンチャー企業にとって、返済負担がない点は大きな魅力です。
助成金と補助金には明確な違いがあり、ベンチャー企業に適した活用が求められます。
助成金
助成金は、国や地方自治体が実施する制度です。
受給できる金額は数十万円~数百万円程度であり、返済は必要ありません。
基本的に定員や予算などはなく、要件さえ満たせば必ず受給できます。
もちろん、ベンチャー企業にも利用できます。
そもそも、助成金の目的は、主に雇用の安定や労働環境の改善です。
ベンチャー企業は、一般の起業に比べて成長が期待でき、将来的に多くの雇用を生み出すかもしれません。
したがって、国の雇用政策からみても、ベンチャー企業と助成金は相性が良いといえます。
助成金の内容は多岐にわたります。
中でも、従業員の新規雇用や教育、障害者雇用、育児休業の促進などは、ベンチャー企業にも利用しやすくおすすめです。
助成金の難点は、後払いになること、手続きが複雑なことです。
助成金は、ベンチャー企業の取り組みの成果に対して支払われます。
コストが先行するため、資金を確保した上で取り組まなければなりません。
また、様々な書類を提出し、審査に通らなければ受注できないため、社労士など専門家の協力が必要です。
先行コストと手続きの負担に比べてメリットが少ないと感じる人もいるでしょう。
しかし、助成金を得るための取り組みは、長期的にはベンチャー企業のプラスになります。
例えば、ベンチャー企業の成長とともに人材確保が欠かせません。
新規雇用で助成金を受給し、確保した人材の教育でも助成金を受給、さらに成長とともに複雑化する社内を整備することでも助成金を受給…と考えると、長期的なプラス効果は大きいです。
ベンチャー企業は、経営者自身が多忙であるため、必要な取り組みが後回しになることが多いです。
そのようなベンチャー企業には、助成金を強くおすすめします。
助成金の活用は、資金を調達すると同時に、後回しになっている課題に取り組むきっかけになるでしょう。
補助金
補助金も、国や地方自治体が実施しています。
ただし、助成金は厚生労働省が担当しているのに対し、補助金は経済産業省が担当しています。
また、助成金よりも受給額が大きいこと、審査が厳しいこと、定員・予算に上限があることも補助金の特徴です。
代表的な補助金のひとつに「創業補助金」がありますが、これは創業期のベンチャー企業を対象としています。
融資を受けられないベンチャー企業でも、まとまった資金を調達できるかもしれません。
このほか、補助金にはベンチャー企業と相性の良いものが色々あります。
既に述べた通り、ベンチャー企業の事業には革新性があり、ものづくりに取り組むベンチャー企業も多いです。
そのようなベンチャー企業は、「ものづくり補助金」の目的・趣旨に適うため、補助金を受給できる可能性があります。
補助金は、自治体ごとの違いが大きく、また制度自体も多数存在しているため、自社に適した制度を選ぶのは容易ではありません。
社労士に相談し、おすすめの補助金を提案してもらうのが良いでしょう。
ファクタリング
ベンチャー企業にとって、出資や融資はハードルの高い資金調達方法であり、これらに依存していると、資金繰りが行き詰る危険があります。
出資・融資だけに依存せず、少額をスピーディかつ柔軟に資金調達できる方法を取り入れることにより、資金繰りの安定性が高まります。
特におすすめの方法はファクタリングです。ファクタリングとは、売掛金を売却することで資金を調達する方法です。売掛金さえあれば利用でき、最短即日での資金調達も可能であるため、緊急的な資金需要にも対応できます。
ベンチャー企業も、一般の企業と同様に売掛金を保有しているものです。言い換えるならば、常にファクタリングによって資金調達できる状況なのですから、積極的に利用していくべきです。
ベンチャー企業におすすめの資金調達方法と具体的な活用法
会社の資金調達方法は色々あります。
資金調達の目的や会社の状況によっておすすめの資金調達方法は異なります。
当然、普通の企業におすすめの方法と、ベンチャー企業におすすめの方法は違ってくるわけです。
ここからは、ベンチャー企業の特徴を踏まえながら、おすすめの資金調達方法と活用方法について具体的にみていきましょう。
企業のライフサイクル
企業のライフサイクルを大まかに分けると以下の4つです。
- 導入期:ベンチャー企業が創業して間もない時期。ベンチャー企業と、その事業に対する認知は低く、需要も低い。売上の伸びは極めて緩やかで、赤字になることも多い。事業を軌道に乗せるために様々なコスト(研究開発費、広告費、販売促進費など)がかかるため、経営を維持するための資金調達が重要となる。
- 成長期: ベンチャー企業の認知・需要が高まる時期。売上が急増するため、管理体制の許可や運転資金の確保、シェア拡大などが重要となる。。
- 成熟期: 世間から広く認知され、もはやベンチャー企業ではなくなる。売上は安定または緩やかな下降に入る。競合他社との差別化や新規事業展開など、事業計画の見直しが重要となる。また、事業継承の準備を始める時期でもある。
- 衰退期:需要が落ち込み、売上が下降していく時期。赤字事業の撤退・売却、借入金の返済交渉(リスケ)、事業の抜本的な改革が必要になる。
以上が企業のライフサイクルであり、ベンチャー企業はこのうち導入期または成長期にあたります。
したがって、導入期のベンチャー企業は導入期におすすめの資金調達方法を、成長期のベンチャー企業は成長期におすすめの資金調達方法を適切に選び、活用することが重要です。
導入期のベンチャー企業におすすめの資金調達方法
導入期は、ベンチャー企業を立ち上げる直前~直後と考えてください。
創業資金の重要性
ベンチャー企業の起業に当たり、創業資金を全額自己資金でまかなう人はほとんどいません。
ある程度自己資金があっても、ベンチャー企業の導入期はたくさんのお金がかかり、売上も不安定なものです。
「創業前の資金調達」と「創業後の資金調達」では、創業前の資金調達がより重要です。
開業前の資金調達を怠り、自己資金だけで起業してしまうと、早々に資金が尽きてしまいます。
創業前にしっかり調達してこそ、創業後の資金繰り・資金調達も考えられるわけです。
では、ベンチャー企業を立ち上げる際、確保しておくべき創業資金は、「『売上がゼロでも経営を維持できる金額』の3~6ヶ月分」が目安です。
もちろん、できるだけ多く確保することをおすすめします。
ベンチャー企業の創業資金は創業融資がおすすめ
創業資金は融資によって調達するのがおすすめです。
しかし、銀行はあてになりません。
銀行は、融資先の決算書などから返済力を審査します。
創業前のベンチャー企業は経営実績がなく、返済能力も不明ですから、融資のしようがありません。
そこで、導入期のベンチャー企業におすすめの資金調達方法は、日本政策金融公庫の創業融資(新創業融資制度)です。
日本政策金融公庫については、上記でも簡単に説明しました。
政府系金融機関であり、信用に乏しいベンチャー企業におすすめの借入先です。
日本政策金融公庫は、「創業直後で実績がないベンチャー企業」だけではなく、「創業前で実績ゼロのベンチャー企業」にも対応しています。
以下の通り、日本政策金融公庫の創業資金がおすすめの理由はいくつかあります。
- 政府系金融機関のため、国の政策に則った固定金利で借り入れ可能
- 返済期間を長期に設定でき、返済負担を軽減できる(設備資金の返済期間は最長20年)
- 原則無担保・無保証で利用できる(代表者個人に責任が及ばない)
- 融資対象に「技術やサービスなどに工夫を加えて多様なニーズに対応する事業」が含まれ、ベンチャー企業は積極対応を受けやすい
- 自己資金は10分の1
以上のように、様々な理由からベンチャー企業におすすめです。
毎年2万社以上が創業融資を利用しており、このなかにはベンチャー企業も多く含まれます。
創業融資の流れ
ベンチャー企業におすすめの創業融資制度。
しかし、これも融資である以上、返済義務を伴います。
いくらベンチャー企業におすすめとはいっても、返済が疑わしいベンチャー企業には融資してくれません。
実績ゼロの状況で返済力を示すのは、なかなか難しいものです。
実際、日本政策金融公庫の創業融資を申請したベンチャー企業のうち、希望額の融資を受けられるのは全体の2割程度といわれます。
8割のベンチャー企業は、融資審査に落ちて全く調達できないか、審査に通っても希望額より低くなるのです。
起業前のベンチャー企業は、書類や面談によって審査を受けます。
申請の流れは以下の通りです。
- 日本政策金融公庫に創業融資を申し込む。日本政策金融公庫が定める形式の「借入申込書」と「創業計画書」に記入し、見積書その他の必要書類とともに提出する。必要書類のうち、創業計画書は書類審査に大きく影響するため、専門家への相談がおすすめ。
- 日本政策金融公庫の面談を受ける。審査担当者から事業計画について質問を受ける。面談をスムーズに進めるためにも、事業計画に関する説明資料を準備しておくのがおすすめ。
- 日本政策金融公庫が現地調査を行う。創業後であれば、実際の事業所を訪問・調査。
- 審査に問題がなければ融資が決定する。契約締結後、指定口座に創業資金が振り込まれる。
創業資金調達の要は事業計画書
導入期のベンチャー企業が創業資金するには、事業計画書(創業計画書)が重要です。
日本政策金融公庫にせよ、自治体の制度融資にせよ、創業融資では事業計画書を重視します。
事業計画書の審査のポイントは、事業の実現性と革新性です。
具体的には、以下の項目ついて、減点方式で審査します。
- 創業の動機
- 創業者の経歴
- 創業者の事業経験
- 事業内容、売上シェア(創業後の場合)
- セールスポイント
- 取引先のシェア、信用取引の割合、回収条件・支払条件(創業後の場合)
- 希望調達額
- 導入期~成長期の事業の見通し
- 売上、売上原価、経費などの根拠
以上の項目にそれぞれ点数が割り振られており、完璧な事業計画書ならば100点、問題に応じて減点という仕組みです。
ベンチャー企業の創業融資は、減点方式を意識しながら事業計画書を作成するのがポイントです。
熱意があれば、創業の動機や事業内容・セールスポイントは積極的にアピールできるでしょう。
加えて、創業者の経歴や事業経験に問題がなければ、五項目では高得点を取れるわけです。
しかし、熱意ばかりが先行して事業計画が粗い場合、希望調達額に過不足がある、事業の見通しが不透明、売上や経費に根拠がない、などの理由でどんどん減点されていきます。
つまり、事業計画書は全ての項目に納得のいく答えを用意し、減点を防ぐことを意識すべきです。
とはいえ、創業経験がない人にとって、そのような事業計画書を作成するのは容易ではありません。
したがって、事業計画書を作成する際には、創業融資に強いコンサルタントに相談するのがおすすめです。
面談と現地調査のポイント
ベンチャー企業の創業融資は、面談も非常に重要となります。
事業計画書は、あくまでも表面的なものです。
専門家の支援を受けることで、満点の計画書を作成することもできるでしょう。
事業計画をより深く知るには、面談が欠かせないのです。
つまり、面談は事業計画書の深掘りにほかなりません。
事業計画書に記載した内容と、面接での受け答えに矛盾があれば悪印象になります。
また、事業計画書の内容を表面的に暗記しておくだけで、具体的に理解していなければ審査員の深掘りに対応できません。
深掘りの結果、計画書の各項目の間で齟齬が生じ、計画のずさんさが露呈するケースもしばしばです。
専門家に任せきりで作成した事業計画書は、面談で必ず問題になります。
その場合、審査員は創業者の資質を疑うでしょう。
少なくとも、「この人ならばベンチャー企業をうまく切り盛りできるだろう」「事業を軌道に乗せ、利益を出し、返済できるだろう」といった信頼は生まれません。
面談では人柄も見ており、計画書さえしっかりしていればOKというものではありません。
面談を行うのは、公的金融機関の融資担当者なのです。
基本的に、審査員は保守的な人物が多いと考えるべきでしょう。
人柄が信用につながるよう、身だしなみを整えておくこと、説明資料を入念に準備しておくこと、堂々と受け答えすることなどが重要です。
つまり、事業計画書も面談も、事前準備が重要といえます。
導入期であり、創業後に資金調達するベンチャー企業は、日本政策金融公庫の現地調査を受けます。
現地調査の際、審査員が重視するのは活気です。
導入期のベンチャー企業は希望に満ちており、創業後は活気にあふれている会社が多いです。
しかし、ベンチャー企業でありながら活気がない会社もあります。
よくあるのは、活気にあふれているのは創業者だけで、従業員にやる気がないパターン。
このようなベンチャー企業は導入期で倒産する傾向があり、審査に大きくマイナスです。
もちろん、活気・雰囲気といった実体のない要素だけではなく、表札や看板、現場の整理整頓、従業員の身だしなみ(マナー)などもチェックされます。
導入期のベンチャー企業は、職場環境があまり整備されておらず、現地調査で減点されることも多いです。
現地調査の日程が決まれば、従業員にあらかじめ伝えておくことをおすすめします。
融資確定後の注意点
創業融資の審査に通れば、いよいよ事業計画が動き出します。
しかし、借りたお金は返済しなければならず、ここからが本番です。
ところが、ベンチャー企業を創業直後の経営者は、毎月の返済額と返済日さえ曖昧という人が少なくありません。
創業融資の調達に奔走した結果、融資が確定すると気が抜けてしまい、とたんに無関心になってしまうのです。
これは、ベンチャー企業にとって大きな問題です。
ベンチャー企業の経営を維持するには借金が必要であり、これは導入期に限ったことではありません。
導入期から成長期に移るにつれて、売上が伸びていき、利益も出るようになります。
しかし、市場で生き残っていくにはさらなる成長が必要です。
ベンチャー企業の成長力は旺盛ですが、成長のためには資金が必要であり、資金不足では成長力も発揮できません。
競合他社のベンチャー企業に追い抜かれ、市場で生き残ることも難しくなります。
つまり、ベンチャー企業を経営する以上、経営者は常に借金と向き合わなければなりません。
これは、ベンチャー企業の創業直前・直後で強く意識すべきことです。
創業融資の確定後は、毎月の返済額・返済日はしっかりチェックし、残高も常に把握しておくことをおすすめします。
それでこそ、創業資金を計画的に活用でき、返済の遅れによる信用悪化も防ぐことができます。
計画通りに返済できれば評価は高まり、次の融資は出やすくなるため、導入期→成長期の移行もスムーズです。
成長期のベンチャー企業におすすめの資金調達方法
導入期を経て、ベンチャー企業と事業の認知が高まるにつれて新規顧客が増え、売上は右肩上がりに伸びていきます。
苦しい導入期を乗り越え、ついに成長期を迎えたわけです。
成長期も資金調達は必要
成長期も資金調達は必要です。
導入期と成長期では資金調達の目的が違います。
導入期の資金調達は、事業を軌道に乗せることが目的です。
事業が不安定であり、資金調達も難しく、これが導入期の苦しさでもあります。
これに対し、成長期の資金調達は、有利な条件で多くの資金を確保することが目的です。
成長期のベンチャー企業は、導入期よりも資金繰りはラクになります。
ベンチャー企業は事業内容に革新性があるため、取引で優位に立ちやすく、例えば支払条件を有利に設定することで資金繰りが回りやすくなります。
現金取引の比率が高ければ、あまり資金調達の必要を感じないかもしれません。
しかし、できるだけ融資を受けることをおすすめします。
必要のない借金をすることに、抵抗がある人も多いことでしょう。
導入期、創業資金の返済に苦しんできたベンチャー企業としては、「やっと返済が終わったのに・・・」という気分になるのも無理はありません。
しかし、成長期のベンチャー企業は、「調子がいい時こそ借金しておく」と考えてください。
成長期は融資がおすすめ
銀行は、調子が悪い会社からいくら頼まれても融資しません。
逆に、調子が良い会社であれば、銀行は積極的に対応します。
成長期のベンチャー企業は経営が順調であり、貸倒れリスクは低いため、銀行にとって理想的な融資先です。
さらに、成長力が旺盛であれば、将来的に融資できる金額も増えていくでしょう。
銀行としては、早い段階で取引を強化し、融資額を伸ばして利息収入を増やしたり、融資外の取引を獲得したりすることを考えます。
実際、成長期のベンチャー企業は、銀行の営業担当者の訪問を受け、融資を提案されることも多いです。
銀行のほうから「借りてください」と頼んでくるのですから、融資条件はおおむね良好。
融資金額は大きく、金利や返済期間も有利に設定されます。
営業課と融資課の間で合意はできていますから、営業を受けた融資は審査に通る可能性が極めて高く、提示された条件が悪化することもないでしょう。
銀行を競争させる
ただし、営業を安易に受け入れるのはおすすめできません。
銀行がはじめからギリギリの条件を提示してくることはなく、交渉の余地があります。
そこで、銀行同士を競争させるのがおすすめです。
A銀行が「ぜひ借りてほしい」と営業するベンチャー企業は、B銀行でも、C信金でも「借りてほしい」と考えるものです。
複数の銀行が融資を提案すれば、そこに競争が生まれます。
「融資シェアを伸ばしたい」「メインバンクになりたい」といった希望が、好条件につながるのです。
例えば、最初にA銀行が信用保証協会の保証付融資を提案してきたとします。
A銀行の提案は一旦保留し、続いてB銀行が保証付融資とプロパー融資の抱き合わせを提案。
A銀行の提案を見送り、B銀行の提案を受け入れることによってプロパー融資を引き出すことができます。
さらにC銀行が全額プロパー融資を提案してくる、A銀行がB銀行よりも金利を下げて再度提案してくるなど、好循環が生まれることも多いです。
この好循環は、ひとえに「ベンチャー企業が成長期だから」にほかなりません。
せっかく成長期なのですから、条件が良いうちに、借りやすいうちに、借りられるだけ借りておくのがおすすめです。
積極的に資金を調達し、事業拡大を怠らなければ、成長期をできるだけ引き延ばすことも可能です。
やがて成長期から成熟期に移行するにつれて、徐々に売上の伸びは落ち着き、融資環境も安定していきます。
そうなると、成長期のようには融資を受けられません。
銀行からの融資提案は減り、好条件の提示は受けられなくなるでしょう。
成長期に多くの融資を受け、借入れと返済の実績を積んでおけば、成熟期に入ってからの融資環境も比較的良好に保てます。
ファクタリングの活用もおすすめ
創業期の資金調達は、出資が受けられるならば出資を、出資が不可能であれば日本政策金融公庫や制度融資の利用がおすすめです。
しかし、これらの方法はあくまでも創業期の資金調達に限られます。創業期から成長期になれば、資金需要は大きくなってくるはずです。
ベンチャー企業の多くは、事業を軌道に乗せるまでに時間がかかります。全く新しい技術やアイデアでビジネスを展開していくため、技術やアイデアそのものは優れていても、市場から受け入れられ、浸透するまでに長い期間を要するのです。
したがって、創業期の融資制度が利用できなくなってからも、業績や財務が不安定な状況が続き、資金繰りが行き詰ってしまうケースが少なくありません。
このとき、ファクタリングが役立ちます。ファクタリングは、融資ではなく資産(売掛金)の売却であるため、どのような状況でも利用できます。ファクタリングによって短期的な運転資金を確保して資金繰りを回し、その間に出資を募ったり、公的融資の可能性を探ったりするのもよいでしょう。
まとめ:ベンチャー企業の資金調達はNo.1におまかせください
ベンチャー企業は、基本的に生存率が低いとされます。これは、事業を軌道に乗せるまでに時間がかかる一方で、資金調達環境が悪いため、資金繰りショートを引き起こしやすいからです。
出資や融資に加えて、ファクタリングをうまく活用できるベンチャー企業は、そうでないベンチャー企業に比べて生存率が飛躍的に高まります。
また、ファクタリングで重要なのは売掛金・売掛先の信用力です。No.1では、ベンチャー企業からのファクタリングも受け付けており、ベンチャー企業であることを理由に条件が変わることもありません。
資金調達にお悩みのベンチャー企業は、ぜひNo.1にご相談ください。
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