カテゴリー: ファクタリング
ファクタリングとバランスシートの関係は?財務改善のポイントも徹底解説
売掛金を売却して資金を調達するファクタリング。
融資以外の資金調達方法として急速に普及しているほか、財務改善に役立つメリットも注目されています。
ファクタリングに限らず、資金調達はバランスシートに様々な影響を与えます。
もちろん、財務的に良い影響が生じる場合もあれば、財務悪化につながることも少なくありません。
ファクタリングで資金調達する際には、短期的な資金繰りだけではなく、中長期的な財務改善効果も期待したいところ。
そこで、この記事ではバランスシートによる財務体質の判断、ファクタリングとバランスシートの関係、そしてファクタリングで財務を改善するポイントについて詳しく解説します。
財務体質とは?
財務体質という言葉は、経営者にとってなじみのある言葉でしょう。
この「体質」という表現が面白いところで、企業の財務体質は人間の体質に照らして考えると良く分かります。
人間が生きていくためには、丈夫な体が必要です。
骨格や筋肉が健全に発達しており、臓器にも問題がなく、血液の循環もスムーズであれば、その人は健康と言えるでしょう。
体が丈夫であれば、環境の変化などによって健康を損なったとしても、生命活動を維持することができ、命を落とす危険性は低いです。
会社もこれと同じで、自己資本が豊かで資金のめぐりがスムーズであれば、その会社の財務は健全といえます。
加えて、財務体質が丈夫(財務健全性が高い)であれば、様々な変化がある中でもお金のやり繰りを続けることができます。
事業環境の変化などによって打撃を受けても容易に倒産することはありません。
財務体質が健全な会社ほど資金繰りが安定し、逆に財務体質が不健全な会社ほど資金繰りに苦労しやすいのです。
バランスシートで見る財務体質
財務体質が健全かどうかの判断は、バランスシート(貸借対照表)によって行います。
バランスシートの借方と貸方によって構成されますが、このうち借方は資金の運用状況を示しています。
借方は、流動資産と固定資産によって成り、流動資産は流動性の高い資産(活発資産)、固定資産は流動性が低い資産(停滞資産)です。
借方と貸方を簡単に見るだけでも、バランスシートから財務体質を判断できます。
例えば、バランスシートの借方(運用状況)を見たとき、活発資産が小さく停滞資産が大きいならば、その会社の財務体質はあまり良いとは言えません。
現金や売掛金などの活発資産は、流動性が高く事業への貢献度も高いです。
一方、停滞資産は流動性が低く、事業への貢献度も低いです。
特に、停滞資産の中には不良債権や不良在庫、遊休資産などが紛れ込んでいることが多く、その場合にはむしろ負の資産になることもあります。
停滞資産が多くなると、実際に資金の流れが悪化して事業に支障を来します。
このように、バランスシートから財務体質が悪いということが分かるのです。
他人資本と自己資本
バランスシートの貸方でも、財務体質を判断できます。
バランスシートの貸方は、資金の調達状況を示すものです。
流動負債と固定負債、そして純資産によって構成され、流動負債と固定負債は他人資本、純資産は自己資本に当たります。
他人資本は、外部(他人)から調達したものであり、返済義務を伴います。
一方、自己資本は資本金と利益の蓄積ですから、返済義務もありません。
バランスシートの貸方を見た時、他人資本が多く自己資本が少ない会社は財務体質が悪いといえます。
なぜ他人資本が悪いかと言えば、他人資本は近い将来返済しなければならず、なおかつ利息というコストがかかるからです。
バランスシートの負債、つまり他人資本が多すぎる会社は、買掛先への支払いや借入金の返済に忙しく、資金繰りに余裕がなくなります。
手元資金が不足しがちで、いつ資金ショートを起こしても不思議ではない状況です。
さらに、支払利息の負担が重く、利益の確保がままならない状況になると、自己資本を厚くすることも困難です。
このように、バランスシートの他人資本・自己資本の比率を見ることでも、財務体質の良し悪しを判断できます。
バランスシートの変化と財務悪化
ここで、バランスシートと財務体質の関係を、もう少し深掘りしていきましょう。
具体的に、バランスシートはどのような場合に、どのように変化するのでしょうか。
また、それは財務体質にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
停滞資産が多いほど財務は悪化する
上記の通り、活発資産に対して停滞資産が多いほど財務体質は悪化します。
停滞資産の悪影響は既に解説した通りですが、停滞資産の具体例は以下の通りです。
- 会社が所有している建物や土地のうち、稼働していないもの
- 過去に投資した有価証券やゴルフ会員権などのうち、値下がりしたもの
- 貸付金のうち、回収できない部分
- 保険積立金のうち、無駄な部分
これらは、資産は資産でも事業にほとんど貢献していない資産ですから、停滞資産であることが容易に分かります。
バランスシートで注意したいのは、活発資産の中に紛れ込んでいる停滞資産です。
活発資産は流動資産であり、短期間のうち(基本的には1年以内)に現金化できる資産を意味します。
現預金や売掛金、棚卸資産、立替金などが流動資産です。
しかしながら、流動資産の中に以下のような資産が含まれている場合には要注意です。
- 売掛金の中に、長期にわたって回収できていないものがある
- 棚卸資産の中に、長期にわたって売れない在庫がある
- 立替金や仮払金の中に、回収できていないものがある
このような資産は流動性が失われているため、もはや流動資産とは言えません。
むしろ流動性において停滞している、つまり停滞資産とみなすべきなのです。
資金繰りの原則のひとつに、「売掛金が増えると資金繰りが悪化する」というものがあります。
手元の売掛金が増える場合、単に売上の増加が原因ならば問題ありませんが、回収サイトの長期化や回収不能によって売掛金が増えることが少なくありません。
これは、売掛金の流動性の低下・停滞、つまりバランスシート上の停滞資産が増えることを意味します。
当然ながら財務体質は悪化し、結果的に資金繰りも悪化するというわけです。
銀行融資は財務悪化を招く
次に、バランスシートの自己資本・他人資本の観点から考えてみましょう。
バランスシートの貸方、つまり資金の調達の側で注意すべきは、他人資本である仕入債務と借入金です。
買掛先から仕入れた際の買掛金は、1~2ヶ月の内には支払う必要があります。
借入金のうち、短期借入金は1年以内に返済する借入金であり、返済方法は期日一括返済になることが多いです。
長期借入金は、数年~数十年の長期にわたって毎月一定の返済を行います。
また、借入金の返済には利息というコストもかかります。
つまり、他人資本は必ず資金の流出を伴い、バランスシートの他人資本が多いほど財務体質は悪化するのです。
これは、銀行やビジネスローンで融資を受けた場合、バランスシートの他人資本が増加し、財務が悪化することを意味します。
一方、自己資本は資本金と利益剰余金によって構成されており、これらは返済不要です。
資本金の部分では株主への配当金が発生するため、全くコストがかからないわけではありませんが、配当は強制ではありません(無配とすることも可能)。
利益剰余金は、これまでに得た利益の蓄積であり、返済の必要もなければ配当の必要もなく、利益剰余金が多いほど財務体質が良いといえます。
逆に、業績の悪化に苦しんでいる会社は注意すべきです。
業績が悪化して利益が少なくなれば、利益剰余金の蓄積が難しくなり、自己資本を増やすこともできません。
赤字が続けば、この赤字部分は手元資金から補填する必要があるため、利益剰余金の流出を招きます(自己資本の減少)。
さらに、利益剰余金で赤字を補填できなければ、銀行から赤字補填資金を借り入れるほかありません(他人資本の増加)。
このような状況が続くと、やがて債務超過に陥ります。
財務体質の悪化を防ぐためにも、バランスシートの他人資本・自己資本には注意を払うべきです。
資金調達が必要になった際には、銀行融資以外にも複数の資金調達方法を検討し、他人資本の増加を回避することが大切です。
バランスシートから問題点を探る5つの指標
バランスシートによって財務体質を判断するために、目安となる指標が欲しいところ。
そこで、バランスシートから問題点を探るための指標を5つご紹介します。
ぜひバランスシートを見ながら、実際に計算してみてください。
1.自己資本比率
自己資本比率は、総資産に占める自己資本の比率です。
バランスシートから自己資本と総資産を抽出し、「自己資本÷総資産×100」で計算します。
自己資本比率は高ければ高いほど良いのですが、50%以上ならば理想的、少なくとも30%は確保すべきと考えてください。
自己資本比率が高いということは、自己資本が多い(相対的に他人資本が少ない)ことが分かり、財務体質は良好といえます。
逆に、自己資本比率が低い場合には、自己資本が少ない(相対的に他人資本が多い)ため財務改善が必要です。
2.有利子負債比率
有利子負債比率は、総資産に占める借入金の比率を表します。
単に他人資本の比率ではなく、他人資本の中でも利息負担を伴う借入金の比率を表すのが特徴です。
したがって、バランスシートから長期借入金・短期借入金・総資産を抽出し、「長短借入金÷総資産×100」で計算します。
有利子負債比率は低いほど良く、中小企業であれば70~80%が理想的、100%以下が適正水準と考えてください。
自己資本比率は適正水準でも、有利子負債比率が高いほど利息負担が大きくなり、財務が悪化しやすくなります。
3.運転資金
運転資金は、収入と支出のギャップを埋めるための資金であり、営業の循環には欠かせない資金です。
運転資金は、バランスシートから売上債権・棚卸資産・仕入債務を抽出し、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」で計算します。
運転資金の規模は業容・業種によって大きく異なるため、適正水準はありません。
同業他社や自社の前年同月と比較し、運転資金が大きすぎる場合には問題です。
計算式からも分かる通り、売上債権と棚卸資産が多すぎる場合に運転資金が膨らみます。
売上債権が多い理由として考えられるのは、回収サイトが長期化していること、あるいは回収不能に陥っていることです。
棚卸資産が多い場合、仕入れが過剰になっており、多額の売れ残りや不良在庫を抱えている可能性が高いです。
つまり、流動資産の停滞化によって運転資金が増大しているのですから、これはバランスシート上の大きな問題と言えます。
4.流動比率
流動比率は、支払い余力を見るときに用いる指標です。
バランスシートから流動資産・流動負債を抽出し、「流動資産÷流動負債×100」で計算します。
目安は100~200で、流動比率は高すぎても低すぎてもいけません。
流動資産は1年以内に現金になる資産であり、流動負債は1年以内に支払予定の負債です。
「流動資産<流動負債」の場合、流動比率は100を下回ります。
入ってくるお金よりも出ていくお金の方が多くなるわけですから、資金が流出して財務が悪化します。
逆に、「流動資産>流動負債」であれば、流動比率は100以上となり、資金繰りはラクに回るでしょう。
しかし、流動比率が200を超える場合には高すぎるため問題です。
流動資産が流動負債に比べて大きすぎる場合に、このような現象が起こります。
その原因として考えられるのが、売上債権の回収サイトの長期化や回収不能、そして棚卸資産の過剰です。
運転資金の問題でも述べた通り、これはバランスシート上の大きな問題であり、財務の悪化を招きます。
5.総資産回転率
総資産回転率は、資産がどれだけ売上に貢献しているかを見る指標です。
「売上高(年商)÷総資産」で計算し、1.0以上を目安とします。
会社の資産には色々なものがありますが、財務体質を見る際には活発資産と停滞資産に分けて考えます。
停滞資産は事業への貢献度が低く、売上につながりにくい資産です。
停滞資産によって総資産が膨らんでいる会社は、「売上高<総資産」となりやすく、その場合には総資産回転率が1.0を下回ります。
逆に、総資産に占める停滞資産の割合が少なければ、売上への貢献度が高い資産が相対的に多くなり、「売上高>総資産」の関係になるはずです。
バランスシートの総資産のうち、停滞資産の割合や負担の程度を把握するためにも、総資産回転率が役立ちます。
財務体質を改善の方法は5つ
財務悪化に苦しんでいる会社は、バランスシートから問題点を探ることによって、財務改善の糸口も見えてきます。
財務体質を改善するにあたっても、バランスシートから考えるのがポイントです。
具体的な方策を5つ紹介します。
1.他人資本を増やさない
自己資本比率が低い会社は、まずは自己資本比率のさらなる低下を防ぐことを考えましょう。
自己資本比率は、他人資本の増加によって低下するため、他人資本を増やさないことが基本となります。
そのためには、返済義務を伴う方法で資金を調達しないこと、特に融資を受けないことが重要です。
借入金が増えなければ他人資本は増えず、自己資本比率の低下を防げます。
同時に、有利子負債比率の維持にもつながります。
2.自己資本を増やす
自己資本比率の悪化を防ぎつつ、自己資本比率を高めていくことも大切です。
そのためのアプローチは、自己資本を増やすこと、他人資本を減らすことです。
借り入れなどの資金調達は会社のために重要なことですから、減らすとしても限界があります。
それよりも、自己資本を増やすことで自己資本比率を高めるのが理想です。
自己資本を増やす方法の一つに「増資」がありますが、財務改善の段階で増資を考える必要は無いでしょう。
そもそも増資は、新規事業展開や設備投資など、会社の積極的な成長・投資のために出資を募る仕組みです。
財務悪化に苦しんでおり、「まずは自己資本比率の改善を…」と考えている会社が増資を行うのは現実的ではありません。
それよりも、コスト削減や生産性向上などによって利益の確保に集中し、利益の蓄積によって自己資本を増やすべきです。
3.借入金を減らす
借入金を減らすことは、自己資本比率と有利子負債比率の改善に役立ちます。
特に、バランスシート上で借入金が過剰になっている場合には、過剰部分の借入金を減らすことが急務です。
過剰な借入れを解消すれば、過剰な返済負担もなくなり資金繰りがラクになります。
借入金を減らす際、返済原資は主に内部留保です。
内部資産の売却によって得られた余裕資金、あるいは事業から得られた利益を蓄積せずに返済に回すことで、借入金を減らすことができます。
利益を蓄積するか、返済に回すかの判断基準は以下の通りです。
- バランスシートの借入金が過剰ではなく、自己資本が少ないことによって自己資本比率が低い場合には、利益の蓄積によって自己資本を増やす
- 自己資本が少ないわけではなく、バランスシートの借入金が過剰なために自己資本比率や有利子負債比率が悪化している場合には、利益を返済に回して借入金を減らす
4.運転資金の正常化
運転資金が大きくなっているならば、運転資金の正常化も財務改善に効果的です。
上記の通り、流動資産の停滞化、すなわち売上債権と棚卸資産の増大によって運転資金が膨らみます。
逆に言えば、運転資金が正常であれば、バランスシート上の売上債権・棚卸資産も正常になるはずです。
売上債権が大きくなっている場合、売掛先に交渉して回収サイトを短縮する必要があります。
後述の通り、ファクタリングによって売掛金を早期回収することも、売上債権を減らすのに役立ちます。
回収困難なものについては、不良債権として処理すべきでしょう。
棚卸資産が大きいならば、仕入れの適正化と在庫管理の徹底を図り、過剰在庫の防止が急務となります。
既に抱えている過剰在庫については、必要に応じてディスカウントしながらでも売り切ることを考えましょう。
これにより、バランスシートの売上債権と棚卸資産が適正水準になれば、運転資金も正常になります。
もちろん、流動比率の改善にも効果的です。
5.オフバランス化に取り組む
バランスシートの停滞資産が多く、総資産回転率に問題がある会社にはオフバランス化をおすすめします。
オフバランス化とは、バランスシートの資産を減らす(オフ化する)ことです。
主に、バランスシート上の停滞資産を処分することで資産を減らします。
停滞資産は事業への貢献度が低いのですから、処分しても大して問題になりません。
特に遊休資産などは、固定資産税などもかかるだけに所有しているだけマイナスです。
そのような停滞資産を処分すれば、売却によって資金を調達できるだけではなく、バランスシートの項目がスッキリします。
この「スッキリ」は、単に見栄えが良いのはもちろんのこと、資産効率が良いということです。
例えば、売上高が800、総資産が1000であれば、総資産回転率は0.8となります。
仮に、総資産のうち300が停滞資産であり、これを処分することで100の現金を得たとすれば、売上高は800、総資産も800となり、総資産回転率は1.0に改善します。
オフバランス化による停滞資産の処分は、どの会社にも取り組みやすく、短期間で財務改善効果が得られる方法です。
財務体質はファクタリングで改善できる!
財務体質が悪化する原因、財務改善の方法について解説してきました。
しかしながら、具体的な取り組みとなると中々手が出ない人も多いことでしょう。
財務改善は、コンサルタントなどの専門家でも時間をかけて取り組むのが普通です。
会社が独自に取り組む場合、大して効果が得られないことが多く、却って財務が悪化することも少なくありません。
そこで、財務改善を目指す会社に役立つのがファクタリング。
ファクタリングとは、会社の所有している売掛金を売却する資金調達方法です。
大抵の会社は、取引先と信用取引を行っており、バランスシートの流動資産には売掛金が計上されています。
これを売却することで簡単に資金調達できることが、ファクタリングの最大の特徴です。
ファクタリングを活用することで、財務改善のハードルが大きく下がります。
ファクタリングの財務改善効果を高めるポイントは、以下の5つです。
1.ファクタリングで借入れを避ける
バランスシートを分析した結果、自己資本比率や有利子負債比率に問題がある場合、できるだけ借入れを避けることが財務改善の基本となります。
しかし、資金繰りを回すためには資金を調達しなければなりません。
そこで、銀行や貸金業者から融資を受けるのではなく、ファクタリングによって資金を調達します。
借入金は他人資本ですから、融資を受けると自己資本比率と有利子負債比率が悪化します。
近年、中小企業の間で徐々に広がっている「少人数私募債」も他人資本の一種です。
社債の引受人に対して返済義務を負うため、やはり自己資本比率・有利子負債比率の悪化を招きます。
これに対し、ファクタリングは売掛金の売却によって資金を調達するため、他人資本が増加することはありません。
資金調達が必要になった際には、ファクタリングを積極的に活用しましょう。
ファクタリングよって、自己資本比率・有利子負債比率の悪化を防ぐことができます。
2.ファクタリングで自己資本の充実を図る
財務の健全性を高めるためには、他人資本を抑えると同時に、ファクタリングを通して自己資本の充実を図ることが重要です。
自己資本を増やすには、事業から利益を上げることに集中し、利益を蓄積していくのが確実です。
利益を上げる方法はいくつかありますが、利益率を高めること、そして売上を伸ばすことが基本となります。
利益率の改善には、経費削減や業務効率改善が効果的です。
売上を伸ばすには、新規顧客を開拓したり、収益機会を鋭く獲得していく必要があります。
とはいえ、経費削減や業務効率改善のために老朽化した設備を刷新したり、営業活動に資金を投入したりと、何かとコストがかかります。
また、利益を得るチャンスに恵まれても、手元資金が不足した状態では先行コストの負担に耐えられず、せっかくの収益機会をみすみす逃すことに。
借入れを避けつつ、コストを捻出するためにもファクタリングが役立ちます。
例えば、以下のようにファクタリングするのがおすすめです。
- 業務効率改善によって利益率の改善を図る。このとき、業務改善助成金を受給することでコスト負担を軽減する。先行コストは借入れではなくファクタリングによって調達する。
- 採算の良い案件を積極的に受注する。手元資金の不足によって受注が困難な場合、ファクタリングによって手元資金を確保する。
このような取り組みによって利益を上げていけば、徐々に自己資本が増えていくでしょう。
3.ファクタリングで借入金を減らす
自己資本比率や有利子負債比率を改善するには、ファクタリングで借入金を減らすのが効果的です。
まず、1のように借入れを避けておくと、その間にも借入金の返済は進むわけですから、時間とともに財務が改善します。
しかし、ただ借入れを避けるだけでは財務改善に時間がかかります。
そこで、ファクタリングによって借入金を減らすのがおすすめです。
具体的な方法は2つあります。
- ファクタリングを活用しながら利益を上げていき、得られた利益を返済に回すことで借入金を減らす
- ファクタリングによって得た資金を返済に充て、借入金を減らす
例えば、借入金が多く債務超過の危険がある場合には、利益を蓄積して自己資本を増やすよりも、借入金を減らすことを優先すべきでしょう。
また、ファクタリングで調達した資金を返済に充てるのも効果的です。
通常、ファクタリングは買掛金の決済や銀行への返済など、短期的な資金繰りに必要な分だけ売掛金を売却し、資金を調達するのが一般的です。
しかし、手元の売掛金が多い会社では、売掛金を多めに売却して返済資金を作り、借入金を減らしていくこともできます。
4.ファクタリングで運転資金を健全化
ファクタリングで調達した資金を返済に充てることは、運転資金の健全化にも役立ちます。
既に解説した通り、運転資金が異常に多い場合、売掛金の増加が原因になっていることが多いです。
よくあるのが回収サイトの長期化と、売掛金の不良債権化。
既に不良債権化した売掛金はファクタリングできませんが、単に回収サイトが長い売掛金はファクタリングできる可能性が高いです。
ファクタリングすれば、回収に時間がかかる売掛金もすぐに現金になります。
バランスシート上では、「売掛金の減少」と「現金の増加」が起こり、売上債権は確実に減少します。
例えば、売上債権が1000、棚卸資産が500、仕入債務が500の場合、この会社の運転資金は1000です。
この売上債権のうち、回収サイトが長い売掛金500をファクタリングすれば、運転資金は1000から500に減少します。
「運転資金が減る」ということは、「営業循環に経常的に必要な資金が減る」ということです。
当然ながら資金の流出も小さくなり、財務改善につながります。
さらに、ここでは資金調達ではなく運転資金の健全化のためにファクタリングしています。
調達した資金は余裕資金となり、いくらかを借入金の返済に回しても問題ないでしょう。
これにより、「運転資金の健全化」と「他人資本の圧縮」で大きな財務改善効果が期待できます。
5.ファクタリングでオフバランス化を進める
最後に、ファクタリングでオフバランス化を進めるのも効果的です。
オフバランス化では、バランスシートの停滞資産を処分します。
このとき、遊休資産を処分するだけではなく、停滞化している売掛金や在庫を処分することも重要です。
通常、売掛金は活発資産に分類されますが、回収サイトが長くなるにつれて、活発資産よりも停滞資産として性質が強くなります。
そのような売掛金は積極的にファクタリングし、オフバランス化を進めるべきです。
これによって、総資産回転率を改善できます。
例えば、売上高が800、総資産が1000の場合、総資産回転率は0.8です。
この会社がオフバランス化に取り組み、遊休資産300と、回収サイトが長い売掛金300をファクタリングしました。
遊休資産は時価で売却して50の現金に変わり、売掛金は手数料率10%で売却して270の現金に変わりました。
これにより、売上高は800、総資産は720となり、総資産回転率は約1.11まで改善します。
加えて、回収サイトの長い売掛金が減少すれば運転資金の健全化につながり、調達した資金で借入金を減らすことも可能です。
つまり、ファクタリングでオフバランス化することにより、「資産効率の改善」「運転資金の改善」「自己資本比率の改善」「有利子負債比率の改善」という4つの財務改善効果が期待できます。
まとめ:バランスシートに基づくファクタリングを
バランスシートには、財務改善のカギが隠されています。
しかし、年に一回の決算のために作成するだけで、バランスシートを経営に活用できていない会社が少なくありません。
財務を改善するには、バランスシートによって問題点を把握することが重要です。
自己資本が少ない、借入金が多い、運転資金が膨らんでいる、停滞資産が多い…会社によって問題は様々です。
問題点を特定すれば、より大きな問題に注力することで財務改善効果を高めることができます。
ファクタリングについても、問題に応じて柔軟に活用することで財務改善を加速できます。
No.1では、ファクタリングだけではなくコンサルティングも手掛けています。
財務改善を専門とするコンサルタントが複数在籍しており、資金調達だけではなく中長期的な財務改善のサポートも可能です。
財務改善をご希望の方は、ぜひNo.1にご相談ください。
ファクタリングなら株式会社No.1 詳細情報
株式会社No.1の各サービスの紹介は下記からご覧ください。
ご不明点やご質問はお気軽にお問い合わせください。
よく見られているファクタリング記事