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株式発行で資金調達する仕組みを解説!メリット・デメリット、銀行融資との比較・使い分けも解説

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「資金調達」に関する悩みを抱えている中小企業や個人事業主様は少なくありません。状況次第では資金繰りが上手くゆかないことが、経営に大きな影響を与えてしまうという可能性も考えられます。事業を継続し会社を発展させていくためには資金調達が重要であり、「株式発行」はその選択肢の1つとなります。
融資ほど一般的ではないことから利用を検討されていないかも知れませんが、会社の状況によっては資金繰りの助けになる可能性が大きいです。本稿では一度は検討してみるべき「株式発行」について、仕組みやメリット・デメリット、銀行融資との比較による使い分けなどを解説させていただきます。

「株式発行」とは?

まず「株式」とは、株式会社が発行する有価証券であり、企業の中での権利や地位を指すことにもなるものです。株式を有していると「株主」となることができ、その持ち株数に応じて配当金や経営権(株主総会においての議決権)などが得られるようになります。そして株式発行とは、株式を発行し投資家などからの出費を募る行為のことを呼びます。

株式発行はエクイティファイナンス

株式発行は「エクイティファイナンス」とも呼ばれます。エクイティ(Equity)には、返済に関する取り決めのない資金というような意味があり、株式資本や自己資本を現すこともあります。そしてファイナンス(Finance)には金融という意味のほか、資金の管理や供給という意味も含まれています。ちなみに銀行融資や社債による資金調達方法は、「デッドファイナンス(Debt finance)」と表現されることが多々あります。

株式発行の資金調達コスト(株主資本コスト)

 
資金調達の際、調達コストについてよく考えるべきです。
調達コストは資金繰り負担に直結するため、安いに越したことはありません。
株式発行で資金調達する場合に必要なコストを「株主資本コスト」といいます。
株式発行する会社からみると「資金調達コスト」であり、株主(出資者)からみると出資によって期待できる「収益率」といえます。
株式発行の際、出資者が期待する収益は、大きく分けて以下の2種類です。

  • キャピタルゲイン:株価の値上がりによって期待できる差益
  • インカムゲイン:配当(利益の還元)によって期待できる収益

上場企業の株主資本コスト(全業種平均)の中央値は3.5% となっており、これが株式発行の資金調達コストの目安となります。
これは、「出資額に対して3.5%程度の収益率が期待できる場合、株式発行に成功するケースが最も多い」ということです。
もちろん、会社によって株式発行の環境は大きく異なります。
将来性のある会社は、主にキャピタルゲインによる収益を期待されるため、配当ゼロでも株式発行できる可能性があります。
逆に、将来性があまりない会社が株式発行する場合、キャピタルゲインによる収益は期待できません。
期待収益は主にインカムゲインによるものですから、それなりの配当を設定する必要があるでしょう。
将来性が危ぶまれる会社が株式発行するならば、出資者は株価下落リスクを考えなければなりません。
値下がりをカバーできるだけの配当を出せば株式発行もあり得ますが、株主資本コストが膨らみます。
そもそも、配当金の原資は利益剰余金であり、分配できる配当金には限度があります。
株式発行を成功させたいからといって、配当金を自由に(高く)設定することはできません。
このように、株主資本コストの中央値が3.5%といっても、実際には中央値から上振れ・下振れする可能性があります。
ここで挙げた3.5%の数値は、あくまでも目安と考えてください。

株式発行による資金調達のメリット・デメリット

株式発行(エクイティファイナンス)は非常にメリットの多い資金調達方法ではあるのですが、やはり気をつけるべきデメリットも存在しています。この資金調達方法は融資などよりも複雑な面があることから、メリットだけに意識を向けるのではなく、どのような危険性が潜んでいるかも正しく理解しておくことが大切です。

株式発行による資金調達のメリット

株式発行による資金調達のメリットは以下が挙げられます

負債にならず返済義務がない

株式発行によって調達した資金は、「負債」として扱われることはありません。利益が発生した際には配当金を支払う必要はありますが、返済義務はもちろんなく、株価が下がったとしても補償を求められることもありません。さらに融資のように負債の額が増え債務超過に陥る恐れもなく、利息の支払いに追われる負担もないのは大きなメリットと言えます。

自己資本比率が高まる

企業の総資本に対して自己資本がどれほどの割合を占めているのかは、「自己資本比率」を見ればわかります。総資産が多くとも負債の割合が多くては安定した運営を行うことが難しくなりますが、自己資本比率が高ければ安定した経営が行いやすい企業と判断することができます。株式発行は負債を増加させずに資産を増やすことができますので、自己資本比率を高めることができるのです。

企業としての評価が向上する

株式を発行しても、出資する投資家の目に留まらなければ資金調達は失敗します。逆に言えば、株式発行を行い資金調達に成功しているということは、投資家から見て魅力を感じる企業であるという証拠です。つまり株式発行で資金調達に成功すれば、他社から見た企業としての評価も向上することが期待できます。

株式発行による資金調達のデメリット

株式発行による資金調達のデメリットは以下が挙げられます

経営権を失う可能性がある

株式とは企業内の地位を示すものでもあり、数多くの株を所持している株主は経営に対して影響力を持つことができます。これにより株主の意向を意識した運営を行う必要性が発生することになり、場合によっては企業の運営権そのものを奪い取られてしまう危険性も考慮しなくてはなりません。

新株発行で株主から反発を受けるリスク

株式を活用した資金調達では、追加で資金を得るために新株の発行を行うことが可能です。しかし新株発行を行うことで一株あたり価値が下がることになり得ることから、株主からの反発が起きる可能性があります。
新株の発行が企業の成長に必要であり、企業価値が高まる期待が高いと株主に納得してもらえないと、理解を得るのは容易ではないでしょう。

複雑な手続きや税務・法規制に対応する必要性

株式発行による資金調達は、法規制への対応や資金調達後の税務処理など、様々な手続きが必要です。そのため、弁護士や税理士などの専門家からサポートを受けて手続きを行わなくては、思わぬトラブルを引き起こすことになりかねません。
融資など資金調達には様々な選択肢がありますが、株式発行はその中でも手続きに大きな手間と労力が必要になる資金調達方法であることは確かです。それだけに大きなリターンも期待できますが、利用するかは慎重に判断するべきかも知れません。

株式発行の流れ

ここからは株式発行の流れを簡単に説明します。多くの場合は専門家による主導の元、順を追って様々な項目に関しての決断をくだし手続きを進めることになります。実際の株式発行の際には、これからご紹介する手続きの進め方や内容と違いが出ることが予想されますが、ある程度スケジュールを理解しておくことで対応もしやすくなるはずです。

「株式の設計」を行う

まずは「株式の種類・対象・募集数・一株あたりの金額・払込期日」などを決定します。新株発行に関する募集事項を決めることを「株式の設計」と呼び、内容を確定するためには株主総会での承認や取締役会での決議などが状況によって必要になります。株式の設計が完了すれば、株式の引受人の募集へと進みます。

出資者を募り割当を決定する

募集項目に対して納得した出資者は、必要な事項を記載した書類とともに株式の引受人としての申し込みを行います。企業側は申し込みを受けた出資者に対して割り当てる株式の数などを決定していきます。「割当自由の原則」により、誰に何株を割り当てるかは企業側の判断次第です。

出資者が払込を実行する

割り当てられた株式の数に応じて、出資者は期限内に出資の履行を行います。期限内に支払いを完了できない場合には権利は失効し、出資が完了した日から株主として認められることになります。

登記事項を変更

登記簿には資本金の額や発行している株式の総数などが記載されています。ですから新株の発行により資金調達を行った後には、登記の変更手続きを行わなくてはなりません。株式の出資の履行期日から2週間以内に、企業の本社を管轄する法務局で手続きを行いましょう。

「3種類」の株式発行による資金調達

株式の発行には「公募増資・第三者割当増資・株主割当増資」の3つの選択肢があります。外にも転換社債型新株予約権付社債も存在しますが、これはデッドファイナンスの側面もあることから今回は紹介を省いています。3つの選択肢はそれぞれにメリットもデメリットもあり、特徴をよく理解した上で選択しなくてはなりません。選択肢によって、資金調達が成功できる確率にも大きな違いが発生するかも知れませんので、専門家と相談しながら検討することが重要です。

公募増資

特に対象を指定すること無く、不特定多数を対象として新株を時価で発行するのが「公募増資」です。主に上場企業が行う資金調達方法であり、会社の評価や知名度次第では大きな額の資金調達が期待できます。

公募増資のメリットとしては、時価で発行するため、会社の評価が高ければ多額の資金調達が行える期待が高くなります。しかし逆に評価が低い場合には、株主が集まったとしても思ったように資金調達が行えない可能性もあります。主に上場企業が行う株式発行の選択肢であることもあり、株の売買が積極的に行われやすいことも株主から見たメリットとなります。

一方公募増資のデメリットとして、対象が不特定多数であることで株主の保有株数の比率が把握しにくく、経営権の維持に細心の注意を払う必要があることが挙げられます。

株主割当増資

既存の株主を対象に、各株主が保有している株数に応じた新株を割り当てるのが「株主割当増資」です。全ての株主が新株を引き受ければ保有株数の比率に変動はありませんが、
企業側は権利を与えるだけであり、割り当てられた新株をどれだけ引き受けるかは株主次第となります。

株主割当増資のメリットとして、対象が既存の株主であることから、理解を得ることができれば手続きは素早く進む可能性が高くなります。また各株主の保有株数に大きな変動が出ないことが期待され、経営権の維持が行いやすいのも特徴です。

株主割当増資のデメリットは、株主側からするとメリットを感じにくく、理解を得られず新株の引受を拒否された場合には資金調達が上手く行かないだけでなく、保有比率に想像以上の変動が現れる可能性も否定できません。

第三者割当増資

「第三者割当増資」では対象は既存の株主であるかは問わず、第三者に対して新株を引き受ける権利を与えます。しかし自社の役員や親族、取引先など縁の深い企業などを選ぶのが一般的であり、主に未上場企業が行う資金調達方法です。

新株の引受対象を自社と関係の強い人物・企業とすることで、お互いの関係性強化が期待できます。
ですが特定の株主の保有株数が増加することになることから、対象とならなかった株主から反発を受ける可能性も考えられます。

株式発行と銀行融資を徹底比較!

 
株式発行以外にも様々な資金調達方法があります。
資金調達を円滑に行い、資金繰りを安定させるためには、自社の状況に応じて最適な資金調達方法を選ぶことが大切です。
株式発行以外の資金調達方法のうち、最も利用されているのは銀行(民間金融機関)融資です。
銀行融資は調達コストが安く、多額の資金調達にも対応しています。
まさに資金調達の王道であり、株式発行よりもポピュラーな資金調達といえるでしょう。
したがって、株式発行を検討する際、真っ先に比較したいのが「株式発行と銀行融資」です。
複数の観点から株式発行と銀行融資の違いを比較すると、株式発行の使いどころ、銀行融資との使い分けなどもみえてきます。

資金調達の難易度

 
資金調達方法の比較検討において、非常に重要なのが資金調達の難易度です。
基本的に、資金調達は明確な目標を以て行います。
「経常的な運転資金を資金調達したい」「売上が増加したので運転資金の増加分を資金調達したい」「設備投資のために資金調達したい」「赤字補填のために資金調達が必要になった」などなど、会社の状況によって資金調達の目的は異なります。
その目的を達成できない資金調達方法は選ぶべきではありません。
また、資金調達方法としては適切でも、資金調達の難易度が高ければ不適切です。
株式会社にとって魅力的な株式発行と、資金調達の王道である銀行融資を比較する場合にも、資金調達の難易度は最優先事項といえます。
結論からいえば、株式発行と銀行融資はどちらも難易度が高いです。
ただし、難易度が高い理由は異なります。

株式発行の難易度

株式発行の難易度が高い理由は、出資者がいなければ株式発行が成り立たないためです。
未上場の企業は知名度が低く、特に将来性がない限り不特定多数から出資を募ることができません。
特定の出資希望者と協議して株式発行に至るわけですが、そもそも出資者がいなければ株式発行で資金調達できないのです。
その場合、株式発行では1円も資金調達できないのですから、「株式発行は銀行融資よりもはるかに難しい」といえます。

銀行融資の難易度

銀行融資の難易度は、資金調達する会社によって大きく変わります。
それなりに業歴があり、業績・財務が良好な会社は、比較的簡単に資金調達できるでしょう。
逆に、業歴が短い会社や、業績・財務が悪化している会社は資金調達できない可能性が高いです。

株式発行と銀行融資の難易度と使い分け

資金調達の難易度を比較すると、使い分けもおのずから見えてきます。
株式発行の難易度は、主に出資者の募集によるものであり、銀行融資の難易度は、自社の信用力と経営状況によるものです。
銀行から高い評価を受けられる状況であれば、株式発行よりも銀行融資のほうがスムーズに資金調達できるでしょう。
銀行融資での資金調達が難しい場合、特に「現状の経営は苦しいが、将来性には自信がある」という会社は、株式発行を検討してみてください。
銀行融資の審査では、あくまでも現状を重んじます。
現在の返済力に問題がなければ融資しますが、問題があれば融資しません。
いくら将来性があっても、返済力が低い会社は明るい未来が訪れる前に倒産してしまう可能性が高いです。
銀行はそのような貸倒れリスクを負いません。
その点、株式発行は現状よりも将来性を重視します。
出資者は、将来的に得られるリターンを目的として出資するため、将来性があれば株式発行は成り立つのです。
将来性がある会社にとって、株式発行は銀行融資よりも資金調達しやすいでしょう。

資金調達の手間

次に、株式発行と銀行融資の手間を比較します。

株式発行の手間

株式発行は、資金調達に多くの手間がかかります。
株式発行など「出資による資金調達」は、資金調達方法の中でも特に手間がかかる方法です。
株式発行のデメリットでも述べた通り、株式発行は法規制への対応、株式発行後の税務処理などが複雑です。
株式発行を専門とする弁護士・税理士・コンサルタントなど、専門家の支援がなければ株式発行はできません。

銀行融資の手間

銀行融資の手間は、自社と銀行との関係によって異なります。
既に複数の銀行と取引しており、それなりに関係を構築している会社であれば、さほど手間をかけずに資金調達できるでしょう。
逆に、取引がない銀行から新規融資を引き出す場合は手間がかかります。
よくあるのが、まず預金口座を開設して自社を認知してもらい、徐々に取引を深めていく流れです。
当然ながら、融資実行に至るまでに手間がかかります。
ただし、銀行融資の実務負担はさほど大きくありません。
融資担当者や支店長との面談、書類の提出などによる負担はありますが、株式発行のように煩雑ではなく、どの会社でも対応できるレベルです。

株式発行と銀行融資の手間と使い分け

株式発行と銀行融資の手間を比較すると、株式発行は銀行融資よりもはるかに手間がかかります。
株式発行に至るまでの手間と労力を考えると、調達金額や資金使途によっては「株式発行よりも銀行融資のほうがはるかに簡単」というケースが少なくありません。
新規融資と比較しても、株式発行のほうが実務負担は大きいでしょう。
新規融資を受けるために、専門家のサポートはさほど重要ではありません。
税理士と相談しながら、普段から新規融資に有利な決算書を作っておくくらいのものです。
しかし株式発行は、専門家のサポートがなくては不可能です。
これは、専門的な知識・経験がなければ株式発行の実務に耐えられないということであり、株式発行の手間をよく表しています。

資金調達コスト

 
すべての資金調達にはコストがかかります。
資金調達コストは確実に資金繰りの負担になるため、コストが安いほど好都合です。
株式発行と銀行融資の資金調達コストを比較してみましょう。

株式発行の資金調達コスト

株式発行の資金調達コストは、株式発行する会社によって異なるため一概には言えません。
仮に、上場企業の中央値である3.5%と考えた場合、1000万円の資金調達に伴うコストは35万円です。
株式発行総数が1000株であれば、1株当たりの株価は1万円ですから、配当金を350円として株式発行します。
株式発行の資金調達コストを考える際のポイントは、株式発行後は配当金を毎年支払うという点です。
これは、「過去の利益剰余金の累積+今期の総利益」が、配当金の分だけ目減りすることを意味します。
株式発行で資金調達したことで利益率が低下し、経営が悪化しては本末転倒です。

銀行融資の資金調達コスト

銀行融資の資金調達コストは、主に金利です。
信用保証協会の保証付融資であれば、保証料を支払う必要があります。
銀行融資の金利は、優良企業ならば1%台での融資もあり得ますが、ごく普通の会社が信用金庫や信用組合から融資を受ける場合には3%近い設定になることもしばしばです。
基本的には、金利は年率2%、信用保証協会の保証料率は1.5%を目安にするとよいでしょう。
ただし、利息は借入期間中にわたって支払うのに対し、保証料は借入れの際に一括で支払うのが基本です。
金利2%、保証料率1.5%の条件で1000万円の融資を受ける場合、資金調達時に信用保証協会に対して15万円の保証料を支払うほか、銀行に対して約20万円の利息が発生します。
長期融資であれば、初年度は保証料と利息で約35万円、2年目以降は残債に対して年率2%の利息だけを支払う流れです。

株式発行と銀行融資の資金調達コストと使い分け

株式発行と銀行融資の資金調達コストの関係は、「株式発行>銀行融資」と考えるのが無難です。
特に、未上場企業が株式発行する場合、上場企業の中央値3.5%での株式発行は困難でしょう。
未上場企業は上場企業に比べて、将来性・成長力・収益力など様々な点で劣ります。
出資者にとってはリスクが高まるため、それなりのリターン(配当)がなければ株式発行は成り立ちません。
銀行融資も、融資先によって金利や保証料が変動しますが、変動の幅は軽微です。
貸倒れリスクが高いと判断すれば、高い金利で融資するよりも融資謝絶を選びます。
基本的には、金利2%・保証料1.5%の水準で調達可能です。
さらに、株式発行は一定の条件で配当を続けるのに対し、銀行融資の支払利息は返済とともに減っていきます。
総合的な資金繰り負担であれば、返済義務がない株式発行の方が優れていますが、純粋に資金調達コストだけを比較した場合、「株式発行>銀行融資」と考えましょう。

資金繰りの負担

 
調達コストは資金繰りの負担になります。
株式発行と銀行融資の資金調達コストの違いから、実際の資金繰りへの影響を比較してみましょう。

株式発行の資金繰り負担

株式発行の主なコストは配当金です。
株式発行の時点では資金繰り負担はほとんどありませんが、次回の配当日から配当金を支払う必要があります。
実際の資金繰り負担は配当金の設定によって異なりますが、配当金の分だけ利益が減少することは避けられません。
会社経営の目的は「利益を出すこと」ですから、本業から得られる利益は会社にとって非常に重要なものです。
利益率が高いほど多くの現金が残り、手元資金は潤沢になり、資金繰りに余裕が生まれます。
逆に、利益率が低下すれば手元資金が不足しやすくなり、資金繰りが苦しくなります。
株式発行をすれば、配当金として利益を分配しなければならず、利益率の低下は避けられません。
したがって、株式発行の際には配当による資金繰り負担に注意が必要です。
ただし、株式発行には資金繰りに対するメリットもあります。
株式発行によって資金調達した資金には返済義務がありません。
株式発行後、出資者の期待に反して利益が出なかったり、倒産したりした場合にも、株式の買戻しや弁済などは不要です。

銀行融資の資金繰り負担

銀行融資の主な調達コストは利息です。
信用保証協会を利用する場合には保証料もかかります。
銀行融資では、融資実行時の保証料(保証付融資の場合)、そして借入期間中の支払利息が資金繰りの負担となります。
ただし、銀行融資の資金繰り負担はこれだけではありません。
銀行融資は返済義務を伴うため、銀行に支払うのは「利息だけ」ではなく「元金+利息」です。
借入期間によって元金の返済額が変わるため、借入条件次第で資金繰り負担が大きく変わってきます。
借入期間が短い場合、毎回の元金返済額が膨らみ、資金繰りの負担が大きくなるため注意が必要です。

資金調達スピード

 
最適な資金調達方法を考えるにあたり、特に重要なのは資金調達スピードです。
株式発行と銀行融資の資金調達スピードを比較すると、使い分けが明確にわかります。

株式発行の資金調達スピード

株式発行の資金調達スピードには、これといった目安がありません。
基本的には、「株式発行でスピーディな資金調達は不可能」と考えてください。
株式発行に至るまでには多くの手続きが必要です。
専門家のサポートを受け、出資者と協議を重ね、多くの手続きを踏んでようやく株式発行に至ります。
この手続きが難航するほど資金調達に時間がかかり、途中で頓挫して一からやり直しということもあり得ます。
株式上場の現場でも、予定日の直前で上場を中止するケースが珍しくありません。
上場中止の理由は様々ですが、内部管理体制や社内規程が問題となるケースが多いです。
上場を目指している会社でさえ手続きに失敗することがあるのですから、一般の会社が株式発行に失敗する、株式発行までに予想以上の期間を要するといったことは十分に考えられます。

銀行融資の資金調達スピード

銀行融資も資金調達スピードが遅いとされます。
銀行は時間をかけて審査するため、融資実行までに早くて数週間、一般的には1ヶ月程度を要するのです。
もちろん、融資の申し込みから数週間後に「融資不可」となり、他の銀行に融資を申し込んだ場合にはもっと時間がかかります。

株式発行と銀行融資の資金調達スピードと使い分け

株式発行と銀行融資の資金調達スピードは明らかに異なります。
株式発行で分かっているのは「資金調達に手間と時間がかかる」ということだけで、具体的な目安はありません。
もちろん、株式発行をサポートする専門家は「これくらい」という目安を教えてくれるでしょう。
しかし、あくまでも「株式発行での資金調達を決定→専門家に依頼→株式発行の時期が徐々に具体化」という流れですから、資金調達方法を検討している時点では不明です。
一方、銀行融資には「1ヶ月程度」という目安があり、銀行や会社によって極端にブレることはなく、2ヶ月、3ヶ月と長期化することはありません。
つまり、株式発行は計画的な資金調達には不向き、銀行融資は計画的な資金調達が可能、という違いがあるのです。
事前に立てた資金繰り計画に基づき、「〇日に〇万円の不足が発生、×日までに株式発行」といった資金調達はできません。
このようなリミットがある場合、銀行融資で計画的に資金調達するべきです。

財務への影響

 
資金調達を行った際には、財務に様々な影響が表れます。
株式発行と銀行融資の財務影響度を比較していきましょう。

株式発行の財務影響度

株式発行は、財務への好影響が期待できます。
この記事の冒頭でも述べた通り、株式発行はエクイティファイナンスに分類される資金調達方法です。
株式発行で調達した資金には返済義務がなく、返済義務がない資金のことを特に「自己資本」といいます。
総資本は、返済義務がある「他人資本」と返済義務がない「自己資本」によって構成されており、総資本に対する自己資本の比率を自己資本比率といいます(自己資本÷総資本=自己資本比率)。
様々な財務指標の中でも、自己資本比率は特に重要です。
株式発行で調達した資金は自己資本となるため、「自己資本の増加→自己資本比率アップ→財務改善」という影響が期待できます。
株式発行の財務改善効果を具体的にみてみましょう。
例えば、他人資本が8、自己資本が2であれば総資本は10、自己資本比率は20%です。
自己資本比率の目安は、50%以上を優良、30%以上を良と考えます。
業種にもよりますが、30%以下の場合には問題視されることが多く、20%は危険な水準です。
この会社が株式発行で2の資金を調達した場合、他人資本8、自己資本4、総資本12へと変化し、自己資本比率は約33%に上昇します。
つまり、株式発行によって自己資本が「20%→33%」へ、危険な水準から適正な水準に改善したのです。
このように、株式発行は財務に良い影響を与えます。

銀行融資の財務影響度

銀行融資は、株式発行とは真逆の影響を受けます。
銀行融資で資金調達すると、財務が悪化するのです。
これも、自己資本比率を考えるとよくわかります。
銀行融資には返済義務があるため、借入金は他人資本に分類されます。
自己資本が増えることはないため、総資本に占める他人資本の比率が上がり、自己資本の比率は相対的に下がるというわけです。
こちらも簡単に計算してみましょう。
他人資本が6.5、自己資本が3.5の場合、総資本は10、自己資本比率は35%となります。
自己資本比率35%は、特に良いとはいえないものの悪くない数値です。
この会社が銀行融資で3.5の資金を調達すると、他人資本10、自己資本3.5、総資本13.5に変化し、自己資本比率は約26%に低下します。
つまり、銀行融資で資金調達したことにより、自己資本比率が適正な水準の35%から危険な水準の26%に低下したのです。
このように、銀行融資は「他人資本の増加→自己資本比率の低下→財務悪化」という影響が生じます。

株式発行と銀行融資の財務影響度と使い分け

株式発行と銀行融資は、財務に真逆の影響が表れます。
株式発行は財務改善、銀行融資は財務悪化という影響です。
財務影響度だけを考えれば、銀行融資よりも株式発行の方が優れています。
ただし、株式発行と銀行融資の実際の影響は、会社によって異なります。
自己資本比率が低い会社にとって株式発行は財務改善に効果的ですが、すでに自己資本比率が高い会社であれば改善効果は限定的です。
このような会社は、銀行融資によって他人資本が少々増えたところで、深刻な財務悪化にはなりません。
その場合、あえて株式発行で資金調達するよりも、銀行融資で資金調達したほうが有利ということが十分にあり得るのです。
株式発行と銀行融資を使い分ける際には、同じ金額を資金調達した場合の財務への影響を比較し、総合的に判断しましょう。

企業価値への影響

 
資金調達することにより、企業価値に影響を与える場合があります。
株式発行と銀行融資は、企業価値に異なる影響を与えるため、それを比較してみましょう。

株式発行の企業価値への影響

株式発行のメリットでも述べた通り、株式発行は企業価値の向上につながります。
株式発行で資金調達できるのは、投資家の目に留まる会社だけです。
株式発行に応じる投資家がいなければ、いくら株式発行しても資金は集まりません。
つまり、「株式発行に成功した」という事実そのものが「投資家からの支持を得ている」ことの証拠であり、将来性に注目が集まっていることを意味します。
当然ながら、株式発行に成功すれば、投資家以外からの評価も高まるでしょう。
まず、銀行からの評価が高まります。
銀行の融資審査では返済力を重視し、基本的には本業からの利益を返済原資とみなします。
しかし、利益だけですべてを判断するわけではなく、利益以外からも収益力や返済力を判断するのが普通です。
分かりやすいのが不動産担保や信用保証協会の保証。
これらの担保・保証によって貸倒れリスクを回避できる場合、本業の収益力に多少問題があっても融資してくれます。
同様に、資金調達余力も返済力の源泉とみなすことが多いです。
例えば、融資検討先が多くの銀行から信用を得ており、銀行融資によって多額の資金を調達できる場合、銀行は資金調達余力を返済余力とみなして融資できます。
同様に、将来性がある会社は株式発行によって資金調達できるため、その資金調達余力を根拠に融資できるというわけです。
このように、株式発行は企業の価値・評価に良い影響を与えます。
もちろん、他の取引先も同じです。
株式発行で資金調達できる会社は、今後事業規模が拡大していく可能性が高く、取引先にとっての重要性も高まります。
だからこそ、「株式発行に成功→取引強化→仕入れ条件や販売条件の改善」といった影響も見込めます。
このほか、株式発行によって企業価値・評価が向上すれば、新規取引先との関係にも良い影響が期待できるでしょう。
株式発行ができない無名の会社と、株式発行ができる有名な会社であれば、新規取引先にとって取引しやすいのは間違いなく後者です。
このように、株式発行は企業価値の底上げ、経営環境の改善につながります。

銀行融資の企業価値への影響

銀行融資でも、企業価値が向上することがあります。
上記の通り、銀行は資金調達余力を返済力の一部とみなすため、「銀行融資によって資金調達できた」という実績によって、銀行評価が向上することがあるのです。
基本的に、各銀行の評価基準には大差ありません。
銀行は金融庁の監督を受けており、金融検査マニュアルの影響下にあるため、融資判断が似通っています。
当然ながら、審査基準・評価基準が類似していることを意味します。
例えば4行と取引しているとして、メインバンクが支援から手を引いた場合、その他の3行も一斉に手を引くのが普通です。
これは、サブバンク3行に「最も支援すべきメインバンクが手を引いた→補完的位置づけにあるサブバンクが積極支援すべき理由がない」という、共通の判断基準があるためです。
逆も然りで、複数行から積極支援を受けられる会社は、それ以外の銀行からの評価も高まります。
実際に、「他行が高く評価し、積極的に支援している→自行からもぜひ融資したい」といった判断につながり、新規の銀行から融資提案を受ける機会が増えるのです。
以上のように、銀行融資によって資金調達し、返済実績を積み重ね、資金調達余力を高めていくことによって、企業価値・評価は向上していきます。
もちろん、上記の通り借入金は他人資本であり、銀行融資は自己資本比率の低下につながります。
また、過度な借り入れには資金繰り負担の増加、返済力の低下、債務超過の危険など、様々なリスクがあるため、一概に「銀行融資→企業価値向上」とはいえません。

株式発行と銀行融資の使い分け

株式発行で資金調達すれば、企業価値は確実に向上します。
株式発行により社会的な知名度や信用が高まり、市場や金融機関、取引先など、多方面からの評価が高まるのです。
銀行融資も企業価値・評価の向上につながりますが、評価してくれるのは主に金融機関です。
銀行融資に成功したからといって、株式発行のように知名度が高くなったり、取引先からの評価が高まることはありません。
したがって、企業価値への影響を比較すると、銀行融資よりも株式発行の方が優れています。
資金調達を通じて企業価値の向上に取り組みたい場合には、株式発行を検討するとよいでしょう。
ただし、株式発行で資金調達できるのは、投資家の支持を得られる会社、すなわち「資金調達の時点で、企業価値をある程度評価されている会社」に限られます。
この点をクリアできない会社は株式発行が不可能となるため、銀行融資を選ぶべきです。

「融資に頼らない資金調達」にはファクタリングという選択肢も

上記で比較した通り、株式発行と銀行融資はどちらも一長一短です。
株式発行を銀行融資を比較すると、資金調達の難易度や資金調達スピードなどの問題点が浮き彫りになります。
また、株式発行で資金調達するには「出資者がいること」が前提となるため、現実的に株式発行を選べない中小企業も少なくありません。
中小企業が株式発行を検討する際、特に重視されるのは「融資ではない」ということであり、これは株式発行による資金調達の最大のメリットとなり得ます。
それは負債も増やさず貸借対照表への悪影響もないなど、融資に頼った資金調達の危険性をクリアすることが可能だからです。
しかし売掛債権を売却して資金へと変える「ファクタリング」も、株式発行同様に融資ではない資金調達方法の1つとなります。
ファクタリングは特に売掛債権によって資金繰りが圧迫されている企業にとっては、非常に頼りになる資金調達方法です。

ファクタリングを利用するメリット

売掛債権の売買契約であるファクタリングは融資ではなく、負債も増やさず担保も保証人も必要ありません。さらに最短即日での現金化も期待でき、売掛先の状況が審査で重要視され、利用者が赤字経営でも影響が小さいことから、融資の審査に通過できなかった企業も利用できる確率が充分にあります。
このような理由から、中小企業や個人事業主様にとって利用しやすい資金調達方法と言うことができるのです。

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ファクタリング手数料の相場は2社間ファクタリングで10%から30%、3社間ファクタリングでも1%から10%と言われています。しかし株式会社No.1は2社間ファクタリングで5%〜15%、3社間ファクタリングなら1%〜5%と、低い手数料での債権の現金化を行っていただけます。さらに全国対応可能であり、日本中のどこからでも申し込みをしていただくことができます。必要な書類をスムーズにご用意していただければ、お申込みから最短30分での振込も可能など、No.1は名前の通りの業界トップのサービスで、資金調達のお手伝いをさせていただきます。

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まとめ:融資に頼らない資金調達はNo.1におまかせ

資金調達には融資以外の選択肢を持つことが非常に重要です。会社経営において融資に頼り切ってしまうのは、債務超過や貸借対照表の肥大化など様々なリスクを背負うことになります。しかし株式発行やファクタリングなどの「融資に頼らない資金調達」を上手く活用することで、リスクを少なくし資金繰りの健全化の実現が可能となります。

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