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ファクタリングと下請法の関係。親事業者の売掛金も利用できる?

ファクタリングは、様々な業種で活用されている資金調達方法です。
とはいえ、ファクタリングの活用度や、活用のポイントは業種ごとに異なります。
例えば、下請取引が一般的な業種は、ファクタリングを活用できる余地が大きいです。
ただし、下請取引の売掛金をファクタリングする際には、下請法の影響をよく理解する必要があります。
ファクタリングと下請法の関係を理解してこそ、ファクタリングのメリットを最大限に高め、ファクタリングを抑えることができるのです。
この記事では、ファクタリングと下請法の関係について詳しく解説します。
資金繰りに困っている下請事業者は、下請法とファクタリングの関係を知り、親事業者の売掛金をうまくファクタリングしましょう。

ファクタリングとは?

 
ファクタリングは、近年人気が高まっている資金調達方法です。
政府もファクタリングの活用を推奨しており、法整備にも積極的に取り組んでいます。
ファクタリングと下請法の関係を理解する前提として、まずはファクタリングの基礎知識から学んでいきましょう。

ファクタリングは譲渡取引

 
簡単にいうと、ファクタリングは売掛金を売却する資金調達方法です。
売掛金は信用取引によって生じる債権であり、支払期日に売掛先から代金を受け取る権利を意味します。
決して負の資産ではないのですが、支払期日までは回収を待つ必要があるため、売掛金が資金繰りの負担になることは事実です。
特に、業種ごとの商習慣や、自社と売掛先の関係によっては、支払サイトが長期化することも少なくありません。
後述の通り、下請法その他の法整備によって、下請取引の支払い環境は徐々に改善されています。
とはいえ、まだまだ十分な状況とはいえず、多くの会社が売掛金の負担に苦しんでいます。
これが、近年、ファクタリングが急速に普及している理由のひとつです。
支払期日前の売掛金をファクタリング会社に売却し、支払期日を待たずに早期資金化すれば、資金繰りの負担を軽減できます。
これがファクタリングの大きな特徴であり、金融庁もファクタリングを以下のように定義しています。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
まずは、ファクタリングが売掛金の早期資金化サービスであり、法的には債権譲渡であることを理解しましょう。
それによって、ファクタリングの法的根拠や下請法との関係が理解しやすくなります。

ファクタリングの法的根拠

 
ファクタリングを初めて利用する会社は、ファクタリングの法的根拠が気になるかもしれません。
政府が推奨していることから、ファクタリングが合法であること、法的根拠が明確であることは容易に予想がつくでしょう。
また、政府はファクタリングに関する法整備に力を入れており、徐々にファクタリング環境は良くなっています。
後述の通り、下請法の改正によって、下請事業者のファクタリングも容易になりました。
とはいえ、現状ではファクタリング業に対する法整備が十分とはいえず、規制もほとんどありません。
例えば、新規にファクタリング業を開業する際、登録や免許は不要です。
手数料率の上限規制もなく、よく言えば自由度が高い、悪く言えば悪質業者が紛れ込みやすい環境となっています。
実際に悪質業者が摘発されるケースもしばしばです。
ファクタリングの普及が始まったばかりであること、法整備が不十分であること、悪質業者が紛れ込んでいることから、ファクタリングに対するネガティブなイメージもまだまだ根強いといえます。
とはいえ、ファクタリング自体は完全に合法であり、法的根拠もあります。
ファクタリングの法的根拠は、ファクタリングが債権譲渡であること、そして民法で債権譲渡を認めていることです。
以下の通り、民法第466条では債権譲渡を認めています。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
これをみれば、債権譲渡が合法であることは明らかです。
ファクタリングは債権譲渡の一種ですから、債権譲渡が合法であればファクタリングも合法といえます。

下請法とファクタリングの関係

 
民法第466条は、ファクタリングの直接的な法的根拠です。
また近年、債権譲渡に関する民法が改正されたことにより、ファクタリングの利用環境は大幅に改善されました。
この記事のテーマである下請法も、ファクタリングの後押しになる法律のひとつです。
ここからは、ファクタリングと下請法の関係を詳しくみていきましょう。

下請法とは?

 
下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といいます。
正式名称からも分かる通り、親事業者による優越的地位の乱用行為を取り締まり、下請事業者を保護するための法律です。
下請法の目的をみただけでも、下請事業者に有利な内容であることがわかります。
何をもって下請事業者を保護するのか、その内容は様々です。
例えば、下請法が定める「親事業者の禁止行為」のひとつに、下請代金の支払遅延に関するものがあります。
具体的には以下の通りです。

親事業者は物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,役務が提供された日)から起算して60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わないと下請法違反となります。

出典:出典:公正取引委員会「親事業者の禁止行為」
このように、下請法では親事業者に対し、最大でも60日以内に下請代金を支払うように求めています。
下請代金の支払サイトが60日を超過した場合、親事業者は公正取引委員会から様々なペナルティを課せられます。
例えば、公正取引委員会から勧告後に違反事実が公表されたり、50万円以下の罰金刑が科されたり、結果的に社会的信用を失うリスクも大きいです。
もちろん、下請法はこのほかにも親事業者を様々な形で規制しており、適正な下請取引を促しています。

下請法がファクタリングの後押しに

 
なぜ、下請法はファクタリングの後押しになるのでしょうか。
これを理解するには、ファクタリングと回収サイトの関係がポイントとなります。
ファクタリングは審査に通りやすい資金調達方法ですが、売掛金によっては審査に落ちます。
また、ファクタリング会社の定める条件に合わない売掛金は、そもそも受け付けてもらえません。
実際に、あるファクタリング会社では、支払期日までの残存日数が60日を超過する売掛金を対象外としています。
これは、回収サイトが長い売掛金ほど、回収不能リスクが高いためです。
例えば、1週間後に回収予定の売掛金Aと、1年後に回収予定の売掛金Bを比較した場合、回収不能リスクが高いのはどちらでしょうか。
言うまでもなく、売掛金Bのほうが回収不能リスクは高くなります。
売掛金Aは1週間後に回収できるため、審査時点で「問題なし」と判断できれば、回収不能リスクは極めて低いといえます。
審査から回収までの1週間で売掛先の経営が急変し、売掛金が回収不能になる可能性は低いでしょう。
しかし売掛金Bは、審査時点で「問題なし」と判断しても、今後の1年間で何が起こるか分かりません。
突発的な事故によって経営が悪化し、1年以内に倒産することも考えられます。
したがって、売掛金Bは回収不能リスクが高いといえます。
これは少し極端な比較ですが、回収サイトが短い売掛金ほどファクタリングしやすく、回収サイトが長い売掛金ほどファクタリングが難しくなるということです。
だからこそ、一部のファクタリング会社では、買取対象を「2ヶ月以内に回収予定のもの」などと定めているのです。
さて、上記の通り、下請法は親事業者の支払遅延を禁止しています。
下請法の規制により、下請事業者の売掛金の回収サイトは、どれだけ長くても60日です。
回収サイトが2ヶ月(60日)以内であれば、大抵のファクタリング会社が対応しています。
つまり、下請法の規制が、下請事業者のファクタリングの円滑化に役立つのです。
このほかにも、下請法は様々な形でファクタリングを後押ししています。
基本的に、下請法は、下請事業者が親事業者から不当な圧力を受けないように作られています。
当然、親事業者が下請事業者に対し、売掛金のファクタリングを妨げるような行為も禁止の対象です。
下請法があるからこそ、下請事業者は自由にファクタリングできるのです。

最新の下請法の改正

 
上記の通り、下請法は親事業者の支払条件を規制していますが、この規制はあくまでも売掛金に対するものです。
その他の取引は対象外であり、例えば約束手形は60日を超える支払条件が認められていました。
しかし、令和6年11月1日以降、下請法のルールが変更となり、約束手形・電子記録債権・一括決済方式の支払サイトも60日以内に制限されます。
具体的には以下の通りです。

中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイト(交付から満期日までの期間※1)の短縮を推進してきました。2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となります。

出典:出典:経済産業省「約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮を事業者団体に要請します」
ファクタリングは、売掛金を早期資金化するサービスであり、手形などの債権は対象外です。
しかし、下請法が規制の範囲を手形取引にまで広げたことは注目に値します。
このような下請法の改正は、売掛金や手形など形態を問わず、全面的な支払条件の改善を目指していることの現れです。
今後も、引き続き下請法が改正され、さらにファクタリングしやすくなることも十分に考えられます。
さらに注目したいのは、今回の改正では下請法の対象外の取引に対しても、支払サイトを短縮するように努力義務を求めている点です。

下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。

出典:出典:経済産業省「約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮を事業者団体に要請します」
従来の下請法は、あくまでも下請取引を規制するためのものであり、対象外の取引を規制するものではありませんでした。
後述の通り、下請法の対象となる取引は、当事者間の(下請事業者と親事業者の間での)資本金と取引の内容によって決められています。
実質的に下請取引とあまり変わらない場合も、下請法の対象外であれば規制されなかったのです。
しかし、今回の改正により、下請法の対象外の取引にまで規制の範囲が広がりました。
今回は「支払条件改善の努力義務」であり、明確な罰則などはありませんが、将来的には支払条件の改善そのものが義務化される可能性があります。
そうなれば、下請法の対象外の取引でも売掛金の回収サイトが短縮され、ファクタリングしやすくなるでしょう。

ファクタリングと下請法の関係。親事業者の売掛金も利用できる?
売掛債権を取引することで、売掛債権の期日前に現金化してしまう手法がファクタリングです。

このファクタリングですが、基本的には売掛先企業の経営状態や財務状態などが審査対象となるため、できる限り社会的信用性の高い企業の売掛債権を使いたいと考えるのが一般的でしょう。

このように考えたときに、気になるのが親事業者の売掛債権を利用できるのかどうかです。

※親事業者とは、業務の下請取引に関して、下請事業者(下請け企業)に業務の委託を行う事業者。

親事業者とは?

 
下請法(下請代金支払遅延等防止法)において、事業者の資本規模や取引の内容などに応じて親事業者が定義されている。

weblio辞書より引用

もっと解りやすく説明すると、取引当事者間の資本金と取引の内容によって決まるのです。

どういう事かと言いますと……

<製造委託と修理委託のケース>

製造委託や修理委託の契約を結んでおり、以下の条件に当てはまる場合は、親事業者に該当します。

A社:資本金3億円以上➡➡➡➡B社:資本金3億円以下
製造委託
修理委託
A社:親事業者        B社:下請事業者

資本金が3億円以上の会社が、資本金3億円以下の会社(個人事業主を含みます)に製造・修理を委託すると、資本金3億円以上の会社が「親事業者」、資本金3億円以下の会社が「下請事業者」になるのです。

A社:資本金1000万円以上3億円以下➡➡➡➡B社:資本金1000万円以下
製造委託
修理委託
A社:親事業者             B社:下請事業者

資本金が1000万円以上3億円以下の会社が、資本金1000万円以下の会社(個人事業主を含みます)に製造・修理を委託すると、資本金1000万円以上3億円以下の会社が「親事業者」、資本金1000万円以下の会社が「下請事業者」になるのです。

<情報成果物作成委託・役務提供委託のケース>

情報成果物作成委託や役務提供委託の契約を結んでおり、以下の条件に当てはまる場合も親事業者に該当します。

A社:資本金5000万円以上➡➡➡➡B社:資本金5000万円以下
情報成果物作成委託
役務提供委託
A社:親事業者         B社:下請事業者

資本金が5000万円以上の会社が、資本金5000万円以下の会社(個人事業主を含みます)に情報成果物作成・役務提供を委託すると、資本金5000万円以上の会社が「親事業者」、資本金5000万円以下の会社が「下請事業者」になるのです。

A社:資本金1000万円以上5000万円以下➡➡➡➡B社:資本金1000万円以下
情報成果物作成委託
役務提供委託
A社:親事業者               B社:下請事業者

資本金が1000万円以上5000万円以下の会社が、資本金1000万円以下の会社(個人事業主を含みます)に情報成果物作成・役務提供を委託すると、資本金1000万円以上5000万円以下の会社が「親事業者」、資本金1000万円以下の会社が「下請事業者」になるのです。

1.親事業者の売掛債権をファクタリングすることは可能なのか

 
これについては、実は政府から通達が出ています。

一般的に、親事業者の売掛債権をファクタリングすることは認められています。

しかし、2社間ファクタリングで親事業者に情報を全く与えない手法ではなく、3社間ファクタリングで親事業者に情報を与える場合に、経営状態が良くないのではないかと思われ契約を切られてしまう可能性について、頭をよぎるのではないでしょうか。

この点については、公正取引委員会が声明を発表しています。

平成11年7月1日事務総長通達第16号「一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の下請代金支払遅延等防止法及び独占禁止法の運用について」という形でまとめられていますので、確認してみましょう。

重要となる文章は3つです。

① 下請法第2条の2などに規定する下請代金の「支払日」は下請事業者がファクタリングの手法を用い、金融機関から支払いを受けることができる期日を以て「支払日」とすること。

② ファクタリングの手法を用いた支払いを拒むことは、下請法第4条第1項第2号の規定に違反すること。

③ ファクタリングの手法を用いた支払い方法を強制的に下請事業者に強いることや、ファクタリングを下請事業者が選択した際にその契約並びに他の契約を不当に不利な条件を付け加えることは独占禁止法第19条の規定に違反すること。

この3つからわかることは、ファクタリング自体は政府も何も問題ない資金調達手段として認めているということと同時に、政府もファクタリングなどの手法を使って親事業者と下請事業者との関係に何かしらの問題が発生する可能性について理解しているということです。

特に②・③のような形で、ファクタリングを行ったから、その後の契約に何かしらの不利益が発生することは完全に禁止となっています。

下請事業者の資金調達手段に対して、親事業者が何かしらの制限を加えることは出来ません。

他にも、決済期間の再設定や担保追徴の禁止、償還請求権の放棄についても公正取引委員会は目を光らせており、下請事業者を守るための仕組みが出来上がっているといえるでしょう。

2社間・3社間ファクタリングについての詳しい説明はこちら

下請法で高まるファクタリングのメリット

 
下請法が適用される場合、利用会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、下請法によって高まるファクタリングのメリットを紹介します。

資金調達のハードルが下がる

 
何と言っても、下請法があることによって資金調達のハードルが下がります。

下請法の保護でファクタリングしやすくなる

 
もし下請法がなければ、下請事業者は親事業者からの圧力によって、ファクタリングの利用を妨げられる恐れがあります。
民法第466条の第2項にある通り、たとえ売掛先が売掛金の譲渡を制限した場合でも、ファクタリングの効力を損なうものではありません。
下請取引の契約に譲渡禁止特約が盛り込まれていても、法的にはファクタリングできるのです。
とはいえ、いくら法的に認められていても、売掛先が認めるかどうかは別問題です。
親事業者が、譲渡禁止特約を理由にファクタリングを認めず、ファクタリング会社も売掛金の買い取りを断念することは十分にあり得ます。
しかし、下請法の規制によって、親事業者がファクタリングを制限し、下請事業者の資金調達を妨げることは禁止されています。
また、下請事業者に対する報復措置も禁止です。
下請事業者がファクタリングしたことに対して、親事業者が取引の削減や停止などの不利益な取り扱いをした場合、下請法違反に該当する可能性があります。
つまり、下請事業者は下請法の保護があるからこそ、親事業者を恐れずに自由にファクタリングできるのです。

下請取引の売掛金はファクタリングしやすい

 
これに加えて、下請取引の売掛金は好条件でファクタリングできることが多いです。
ファクタリング審査は、売掛金・売掛先を基準に審査します。
売掛金の内容と売掛先の支払い能力に問題がなければ、審査に通る可能性が高いです。
売掛金・売掛先の評価が高いほど条件は良くなり、ファクタリング手数料も安くなります。
下請取引の売掛金は、高く評価される傾向があります。
というのも、売掛先である親事業者は事業の規模が大きく、信用が高いためです。
特に、利用会社が一次下請けであれば、大手ゼネコンが売掛先ということも考えられます。
その場合、売掛先の社会的信用は高く、財務内容も健全であるため、審査に通りやすいというわけです。
銀行融資に苦労している下請事業者も、ファクタリングならば資金調達できる可能性があります。
実際に、連続赤字や債務超過、税金や社会保険料の滞納、リスケジュールなど、銀行融資が絶望的な場合でさえ、ファクタリングならば資金を調達できるのです。
下請法の規制が徐々に厳しくなっている昨今、親事業者は下請法を遵守し、クリーンな経営を求められるようになっています。
ある意味、下請法には親事業者の信頼を高める側面があり、ファクタリングの難易度を下げる結果にもなっているのです。
今後も、下請法のルールが見直されるたびに、ファクタリングは利用しやすくなるでしょう。

親事業者に知られず利用できる

 
下請法は、下請事業者にとって心強いものですが、過度に頼るべきではありません。
下請法が適用されるということは、親事業者と下請事業者の間に明確な力の差があるということです。
いくら下請法があるからといって、この差をゼロにすることは現実的に不可能でしょう。
下請事業者は親事業者から発注を受ける立場ですから、それなりに配慮は必要です。
下請法を盾に、親事業者の感情や事情を全く無視してファクタリングすれば、信用・心証の悪化は避けられません。
不要な波風はできるだけ立てないよう、親事業者に配慮しながらファクタリングすべきです。
そこで知っておきたいのが、ファクタリングの方式です。
ファクタリングの方式は、大きく分けて2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、2社間ファクタリングの派生形としてオンラインファクタリングがあります。
簡単にまとめると以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:下請事業者とファクタリング会社の2社間で取引する方式
  • オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う方式
  • 3社間ファクタリング:下請事業者、ファクタリング会社、親事業者の3社間で取引する方式

このうち、2社間ファクタリング(オンラインファクタリングを含む)は、すべての手続きを利用会社とファクタリング会社だけで行い、売掛先は一切関与しない方式です。
そのため、親事業者にファクタリングの利用を知られることはありません。
これにより、親事業者の干渉を受ける、親事業者の信用が悪化するといった心配はなく、下請法を持ち出すまでもなく安心してファクタリングできます。
万が一、親事業者がファクタリングの利用を把握し、干渉してきた場合に、はじめて下請法を持ち出せばよいのです。

安い手数料でファクタリングできる

 
下請法の規制により、親事業者はクリーンな取引を求められます。
また、総じて親事業者は信用が高く、ファクタリング条件に好影響をもたらします。
下請事業者にとって特に大きなメリットといえば、手数料の安さです。
一般的に、ファクタリングは他の資金調達方法よりもコストが高いといわれます。
確かに、ファクタリング会社の選び方に失敗した場合や、売掛金・売掛先に問題がある場合には、手数料が高くなることも少なくありません。
高すぎる手数料でファクタリングしたり、無計画なファクタリングを繰り返したりすると、資金繰りが悪化する恐れがあります。

手数料率の相場と活用のポイント

 
方式別の手数料率の相場は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
  • オンラインファクタリング:額面金額の10%以下

このように、方式によって大きな差があります。
できるだけ安い手数料でファクタリングするには、手数料が安い方式を選ぶのが効果的です。
下請法の保護により、下請事業者の資金調達に協力的な親事業者も増えています。
親事業者がファクタリングに理解を示してくれるならば、3社間ファクタリングを選ぶのがおすすめです。
これは、下請法を背景にしたファクタリングの活用といえるでしょう。
親事業者への配慮から3社間ファクタリングを選ぶない場合には、同じ2社間でもオンラインファクタリングを選ぶことで、手数料を抑えることができます。

下請法が手数料に与える影響

 
ファクタリング会社が手数料を決める基準は、リスクとリターンのバランスです。
ほとんどのビジネスにおいて、リスクとリターンは連動します。
ハイリスクな取引は、リターンが大きくなければ成り立ちません。
逆に、リスクが低い取引であれば、リターンを引き下げても成り立ちます。
下請取引の売掛金は、親事業者が下請法の規制を受けていること(支払遅延を禁止されていること)、親事業者の社会的信用や財務健全性が高いことが特徴です。
つまり、ファクタリング会社にとって、下請取引の売掛金は回収不能リスクが低い優良債権といえます。
回収不能リスクが低いため、ファクタリング会社は手数料を引き下げてでも買い取りたいと考えます。
実際に、下請取引の売掛金は、相場よりも大幅に安い手数料でファクタリングできることが多いです。
下請法は、ファクタリング条件の改善につながっているのです。

スピーディに調達できる

 
ファクタリング会社は、親事業者の売掛金を高く評価する傾向があります。
売掛金の評価が高いということは、審査に通りやすいだけではなく、資金調達スピードが早いことを意味します。
資金調達方法を選ぶ際、資金調達スピードは非常に重要です。
いくら条件が良くても、資金調達に時間がかかりすぎる場合、調達を待っている間に資金繰りがショートする恐れがあります。
例えば、銀行融資は融資実行までに数週間~1ヶ月程度を要するため、資金調達を急いでいる場合には利用できません。
即日融資を謳っているビジネスローンも、実際には数営業日を要するケースが大半です。
そこで、資金調達を急いでいる下請事業者には、ファクタリングが役立ちます。
方式別の資金調達スピードの目安は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:最短即日
  • 3社間ファクタリング: 最短1週間程度
  • オンラインファクタリング:最短数時間

このように、どの方式も資金調達スピードに優れています。
資金調達を急いでいる場合、最短即日で調達できる2社間ファクタリングがおすすめです。
もちろん、100%即日で調達できるとは限りませんが、多くのファクタリング会社は即日対応に力を入れています。
オンラインファクタリングならば、最短数時間での調達も可能です。
実際、No.1のオンラインファクタリングサービスでは、最短60分入金の実績が多数ございます。
ただし、下請法を背景に3社間ファクタリングを活用する場合、1週間程度を要するため注意が必要です。
3社間ファクタリングは、売掛先(親事業者)への債権譲渡通知を必ず行います。
債権譲渡通知書は内容証明郵便で送るため、即日中の調達は不可能です。
とはいえ、下請法の保護がある以上、親事業者が債権譲渡通知書の受け取りを拒否することは考えにくいです。
したがって、3社間ファクタリングの手続きがスムーズに進み、比較的スピーディに調達できます。
元来、資金調達スピードはファクタリングの大きなメリットですが、下請法によってさらにメリットが高まったといえるでしょう。

資金繰り改善に役立つ

 
ファクタリングは、資金調達だけではなく資金繰り改善にも役立ちます。
下請法によって、親事業者は下請代金を60日以内に支払うことを義務付けられています。
しかし、下請法の「60日」という規制は、下請事業者にとって十分なものではありません。
下請法の規制を逆にみれば、親事業者は「支払サイトを60日に設定することが認められている」ということでもあります。
2ヶ月という回収サイトは、かなり長い水準といってよいでしょう。
令和元年の中小企業実態基本調査によれば、全業種平均の回収サイトは1.23ヶ月となっています。
さらに、全業種の中で最も回収サイトが長いのは、製造業の2.09ヶ月です。
下請法の「60日以内」という規制は、製造業とほぼ同水準であり、決して好条件とはいえないのです。
親事業者の中には、下請法の規制ギリギリの支払条件を求める会社もあります。
親事業者が優越的地位を濫用していることは明らかですが、「60日以内」を守っている限り、下請法違反にはなりません。
力が弱い下請事業者としては、回収サイトの長期化を受け入れざるを得ないこともあるでしょう。
その場合、下請法を持ち出して親事業者と争うよりも、ファクタリングで対処するのが賢明です。
回収サイトの長期化による資金繰りの悪化は、ファクタリングで容易に解消できます。
ファクタリングは法的に債権譲渡であり、下請事業者の売掛金をファクタリング会社に譲渡し、支払期日を待たずに回収するものです。
下請取引の売掛金をファクタリングし、即座に資金化すれば、実質的な回収サイトを60日から0日に短縮できます。
その結果、下請事業者は資金繰りを改善できるというわけです。
下請事業者が下請法をうまく利用するには、「下請法によって下請事業者が保護されること」だけではなく、「下請法の範囲内で親事業者が認められる行為」をよく考えてください。
そうすることで、下請法の規制が及ばない部分(例えば60日サイトでの支払い)を、ファクタリングでうまく対処できるようになります。

まとめ:下請取引のファクタリングはNo.1におまかせください

ファクタリングを行うということは、そのまま経営状況の悪化を意味していません。

場合によっては、季節的な変動や大型契約のための投資資金の必要性など、今後さらに成長していくためのチャンスをつかむための動きとなっていることも少なくありません。

こうしたときに親事業者の売掛債権は、社会的信用性や金額の大きさなどから、ファクタリング利用には最適な売掛債権であるといえるでしょう。

こうしたときに、下請事業者に対して何かしらの苦言などを言ってしまうことは、他の下請事業者からの信頼をなくすことになるかもしれません。

そもそもファクタリングを下請事業者が行ったからといって、親事業者の経営状況などには一切の影響はありません。

むしろ、親事業者としての懐の広さを示すことによって、更に大きな社会的信用性を得られるチャンスといえるのではないでしょうか。

下請事業者も、政府のバックアップを信頼して、安心してファクタリングを進めていきましょう。

ファクタリングは政府推奨の資金調達法です。

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