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【完全保存版】調剤報酬ファクタリングとは?メリットやデメリットとおすすめのファクタリング会社を紹介!

ファクタリングと聞いて、皆さんはどのような資金調達をイメージするでしょうか。
多くの人は、取引先に掛け売りすることで得た売掛金を売却する流れをイメージするでしょう。
確かに、これがファクタリングの最も一般的な形ですが、ファクタリングの種類は様々です。
調剤報酬ファクタリングも、一般的なファクタリングとはやや異なるファクタリングです。
この記事では、調剤報酬ファクタリングの基礎知識、メリット・デメリット、おすすめのファクタリング会社などを徹底解説します。

調剤報酬ファクタリングとは

一般的によく知られているファクタリング(買取ファクタリング)といえば、会社同士で信用取引をした際に発生する売掛金を、ファクタリング会社に売却するものです。
この基本的な形を応用することで、ファクタリングにも複数のタイプがあります。
この記事のテーマである調剤報酬ファクタリングも、基本的には買取ファクタリングの仕組みと変わりません。
ただし、取り扱う売掛金は調剤報酬に限られます。
調剤報酬は、医療に関する売掛債権の一種であり、薬局などで薬剤師が行う調剤業務に対する報酬です。
皆さんもご存じの通り、日本には健康保険制度があるため、薬局で薬を処方してもらった際の自己負担割合は原則3割です。
残る7割の調剤報酬は、薬局で調剤報酬明細書(レセプト)を作成し、国に請求することで受け取ります。
調剤報酬、介護報酬、診療報酬など、医療に関する売掛債権は全てファクタリング可能であり、調剤報酬ファクタリング以外にも介護報酬ファクタリングや診療報酬ファクタリングが有名です。
薬局は毎月、前月分の調剤報酬明細書を作成し、実際に調剤報酬を受け取るのは調剤業務を提供した2ヶ月後となります。
つまり、薬局などの回収サイト※は2ヶ月間ということですから、他の業種に比べてかなり長く(全業種平均は1ヶ月程度)、資金繰りが苦しくなりやすいのが特徴です。

※代金を回収するまでの期間

調剤報酬ファクタリングは債権譲渡

 
ファクタリングに対する一般的なイメージは「売掛債権(売掛金)の売却」であり、調剤報酬をファクタリングする場合も同様です。
しかしながら、厳密にいえば調剤報酬ファクタリングは「調剤報酬の譲渡」であり、法的には債権譲渡に分類されます。
このことは、金融庁のファクタリングの定義からも明らかです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
この定義によって考えるならば、調剤報酬ファクタリングは「薬局などが保有している調剤報酬債権を支払期日前に買い取ること」であり、法的には債権譲渡契約(調剤報酬の譲渡取引)といえます。
実際に、調剤報酬をファクタリングする際には債権譲渡契約を結びます。
したがって、調剤報酬をファクタリングする場合も、一般的な売掛債権(売掛金)をファクタリングする場合も、基本的な仕組みは変わりません。
また、債権譲渡は法的に認められている取引ですから、調剤報酬のファクタリングも100%合法です。

調剤報酬ファクタリングの方式は?

 
売掛金を買い取るファクタリングには、大きく分けてふたつの方式があります。
売掛先が関与するかどうかによって、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分かれるのです。
また、最近では2社間ファクタリングの派生形として、オンラインファクタリングも徐々に普及しています。
方式別に簡単に説明すると以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)とファクタリング会社の2社間で取引する方式
  • 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式
  • オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う方式

普通の売掛債権(売掛金)をファクタリングする場合、利用会社のニーズに合わせて方式を選ぶことができます。
では、調剤報酬をファクタリングする場合はどうでしょうか。

調剤報酬は2社間ファクタリングに非対応

 
2社間ファクタリングには売掛先が関与しません。
このため、簡単な手続きでスピーディに、なおかつ売掛先にも知られず資金を調達できます。
多くの会社が2社間ファクタリングを選ぶのも、このメリットが大きいためです。
しかしながら、調剤報酬をファクタリングする場合、2社間ファクタリングは利用できません。
というよりも、ファクタリング会社にとって「2社間で調剤報酬を買い取るメリットがない」というのが正確でしょう。
2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社はスピーディに対応することによって顧客の資金繰りに貢献し、その代わりに高い手数料(額面金額の10~30%)を受け取ります。
これに対し、調剤報酬ファクタリングの手数料の相場は、額面金額の0.25~1.0%です。
利用会社は手数料を重視するため、相場を大きく超える手数料設定では顧客を獲得できません。
となると、ファクタリング会社は0.25~1.0%で調剤報酬を買い取ることが前提となります。
利益率が低いため、2社間ファクタリングでスピーディに対応したところで、ファクタリング会社にはメリットがないのです。
むしろ、手続きや審査の簡素化によってリスクが上昇するため、調剤報酬を2社間で買い取ることは、ファクタリング会社にとってデメリットしかありません。
したがって、調剤報酬のファクタリングは基本的に2社間ファクタリングに非対応です。

調剤報酬は3社間ファクタリングが基本

 
ファクタリングの方式は「2社間or3社間」ですから、調剤報酬をファクタリングする際には3社間ファクタリングが基本となります。
3社間ファクタリングには売掛先が関与しますが、調剤報酬の場合、売掛先は社保や国保です。
上記でも説明したように、調剤報酬を保有しているということは、すでに社保や国保にレセプトを提出していることを意味します。
2社間ファクタリングであれば、売掛先が関与しないため、利用会社が「レセプト提出済み」と虚偽申告することも可能です。
これに対し、調剤報酬のファクタリングは3社間ファクタリングであり、社保・国保に対する債権譲渡通知を必ず行います。
これにより、レセプトを提出済みであること、調剤報酬が実在していること、調剤報酬の債権内容が確定していることは明らかです。
だからこそ、ファクタリング会社はあまりリスクを負わずに調剤報酬を買い取ることができ、安い手数料でも成立します。
通常、3社間ファクタリングには「売掛先の協力が得られずファクタリングできない」「売掛先に資金繰り悪化を疑われる」といったデメリットがあります。
しかし、調剤報酬ファクタリングにはその心配がありません。
なぜならば、政府がファクタリングを推奨しているからです。
調剤報酬の売掛先は社保や国保などの公的機関であり、基本的には政府の方針に沿って運営されています。
政府がファクタリングを推奨している以上、社保や国保も調剤報酬ファクタリングに積極的に対応するというわけです。
もちろん、調剤報酬ファクタリングを利用している事業者に悪印象を持つこともありません。

「オンライン」の意味に注意

 
新しいファクタリング方式であるオンラインファクタリングは、2社間ファクタリングの一種です。
ここまでの内容から考えると、「調剤報酬は2社間ファクタリングに非対応→調剤報酬はオンラインファクタリングにも非対応」といえます。
しかしながら、調剤報酬を買い取るファクタリング会社の中には「オンライン対応」とする業者も珍しくありません。
そこで、調剤報酬ファクタリングにおける「オンライン」の意味をよく知っておく必要があります。
通常のファクタリングでは、「申し込みから契約まで全ての手続きをオンラインで完結する方式」をオンラインファクタリングといいます。
これに対し、調剤報酬のファクタリングでは、「一部オンライン対応(オンライン“完結”ではない)」を「オンライン対応」と表現していることが多いです。
例えば、以下のようなケースです。

     

  • 申し込みや必要書類のアップロードをオンラインで対応
  • 審査結果はメールで通知
  • ただし、調剤報酬の譲渡契約は郵送または対面で行う

確かに手続きの一部(審査まで)はオンライン対応といえますが、契約はオンラインに対応していません。
つまり、あくまでも「オンライン対応」であって「オンライン完結」ではないのです。
中には、「オンライン対応、面談不要」などの表記もありますが、これも正確には「(一部)オンライン対応、(郵送により)面談不要」という意味です。
通常のオンラインファクタリングのように「オンライン完結(契約まで全てオンライン)」と考えていると、イメージ通りにファクタリングできないため注意してください。

調剤報酬ファクタリングの流れを理解しよう

 
調剤報酬をファクタリングするイメージをつかむには、手続きの流れを知るのが一番です。
業者によって細かい流れは異なるものの、大まかな流れは共通しています。
ここでは、調剤報酬ファクタリングの一般的な流れを紹介します。

調剤報酬ファクタリングの一般的な流れ

 
調剤報酬ファクタリングの流れは以下の通りです。

1.調剤報酬の発生

 
当然ながら、調剤報酬をファクタリングするには、手元に調剤報酬がなければなりません。
社保や国保などにレセプトを提出し、請求することによってはじめて調剤報酬が発生します。
これによって、調剤報酬をファクタリングできる状況が整います。

2.調剤報酬ファクタリングの問い合わせ

 
資金調達が必要になったタイミングで、調剤報酬ファクタリングに問い合わせましょう。
問い合わせ方法はファクタリング会社によって異なりますが、公式HPのフォームや電話による問い合わせが一般的です。
問い合わせの内容に応じて、ファクタリング会社の担当者が電話または訪問によって利用案内を行います。
この時、利用会社は希望・要望を伝えますが、この時点で簡易的に見積もりを実施し、利用可能金額を提示してくれる業者も多いです。

3.調剤報酬ファクタリングの申し込み

 
問い合わせの結果、問題がなければ調剤報酬ファクタリングに正式に申し込みます。
書類の提出を求められるため、申込書に必要事項を記載し、必要書類とあわせて提出しましょう。

4.審査を実施

 
ファクタリング会社は提出書類をもとに審査を実施します。
この時、書類の不備によって再提出が必要になる、追加情報の提供を求められる、といったケースもあります。
調剤報酬は審査に落ちることが少ないものの、特に初回は審査に時間がかかることが多いです。
審査結果の回答までに1~2週間を要する業者も珍しくありません。

5.ファクタリング契約を締結

 
審査結果が通知されます。
ファクタリング条件(手数料や諸費用など)に問題がなければ、ファクタリング契約を締結します。
調剤報酬は3社間ファクタリングのため、契約締結後の債権譲渡通知が必須です。
業者によって、利用会社が債権譲渡通知を送付する場合と、ファクタリング会社が債権譲渡通知の送付を代行してくれる場合があります。

6.買取金額の入金

 
1~5の手続きが完了次第、指定口座に調剤報酬の買取代金が入金されます。

調剤報酬ファクタリングの必要書類

流れの3にあるように、調剤報酬ファクタリングを申し込む際には、色々な書類を提出する必要があります。
提出書類は、一般的なファクタリングとはかなり異なるため注意してください。
依頼先によって異なりますが、基本的な必要書類は以下の通りです。

  • 調剤報酬ファクタリングの申込書
  • 債権譲渡通知書
  • 薬局や医療機関の登記簿謄本
  • 預金通帳のコピー(個人名義人ページ、国保連・社保からの入金ページ)
  • 過去の請求書、支払決定額通知書、直近の明細書コピー
  • 印鑑証明書
  • 保険医療機関指定通知書
  • 病院開設許可証
  • 決算書
  • 納税証明書

必要書類はファクタリング会社によって異なり、決算書は何期分提出するか、報酬請求書や支払決定額通知書を何ヶ月分提出するか、といったことはファクタリング会社に直接尋ねるのが確実です。
なお、提出書類の中に決算書や納税証明書が含まれていますが、融資のように詳しく審査するわけではありません。
あくまでも参考資料としての位置づけであり、中には決算書を求めないファクタリング会社もあります。
赤字や債務超過、税金滞納といった問題がある場合にも利用できるケースが一般的です。
利用会社の経営に問題があっても、ファクタリング会社は国からほぼ確実に調剤報酬を回収できますから、利用会社の経営状況は関係ありません。
求められた書類の内容は深く考えず、不備のないように確実に提出することを意識しましょう。

調剤報酬ファクタリングと銀行融資を徹底比較!

 
調剤薬局などでは、通常業務により調剤報酬が発生するため、調剤報酬をファクタリングすることでいつでも資金を調達できます。
しかし、資金調達方法は調剤報酬ファクタリング以外にも色々あります。
あえて調剤報酬をファクタリングする意味はあるのでしょうか?
特に、銀行融資と調剤報酬のファクタリングの使い分けを知るためにも、様々な角度から比較してみましょう。

銀行融資の特徴

 
色々な資金調達方法がある中でも、基本となるのは銀行融資です。
銀行融資は調達コストが安く、多額の資金調達にも利用できます。
薬局でも、新規開業の際に日本政策金融公庫の創業融資で借り入れたり、増設の際に銀行から融資を受けたりするケースが多いです。
しかしながら、銀行融資は審査が厳しく、返済力に不安がある薬局には融資しません。
例えば、以下のような悪材料があれば融資を受けることは困難です。

  • 業績が悪化している(特に赤字決算に厳しく、連続赤字は即NG)
  • 財務に問題がある(自己資本比率が低い、債務超過に陥っているなど)
  • 業歴が短い(過去の業績による裏付けがなく、返済力に不安がある)
  • リスケジュール中である(リスケ中は融資不可)
  • 税金や社会保険料を滞納している(即NG)

薬局の利益率は低下傾向

 
以上のうち、薬局の銀行融資で問題視されやすいのは業績の悪化です。
近年、利益率の低下に苦しむ薬局が増えています。
厚生労働省の医療経済実態調査によると、2020年度の保険薬局の利益率はほぼ横ばい(微減)の6.5%となりました。
ただし、これは「薬局の利益率が軒並み安定している」という意味ではありません。
多くの薬局で利益率が低下する一方で、一部の薬局(大病院の門前薬局や診療所敷地内薬局)の利益率が大幅に上昇したことで、全体では「ほぼ横ばい」という結果になっただけです。
また、この「横ばい」という結果には、コロナ関連補助金が織り込まれています。
つまり、多くの薬局は「コロナ関連補助金を含めても横ばい(微減)が精一杯」という状況です。
今後、薬局の利益率はさらに低下することが懸念されています。
利益率の低下は、銀行融資の大きな悪材料となります。
というのも、銀行は本業から得られる利益のみを返済原資とみなすためです。
利益率が低下すると、売上が大幅に伸びている場合を除き、利益の減少は避けられません。
コロナ禍がある程度落ち着いた今、売上が大幅に伸びる(患者が急増する)ことは考えにくいです。
つまり、銀行にとって「利益率の低下」は「返済原資の減少」、延いては「返済力の低下」を意味します。
これが、薬局が銀行融資を受けにくい理由です。

調剤報酬ファクタリングは資金調達しやすい

 
調剤報酬ファクタリングは、銀行融資よりも簡単に資金を調達できます。
これは、銀行融資と調剤報酬ファクタリングの審査基準が異なるためです。
上記の通り、銀行融資では融資先の返済力を重視します。
一方、調剤報酬をファクタリングする場合、ファクタリング会社は利用会社(調剤報酬を保有している薬局)ではなく、調剤報酬そのものを重視します。
そもそも調剤報酬ファクタリングは、調剤報酬を額面金額よりも少しだけ安く買い取り、支払期日に満額回収することで、差額を儲けるビジネスです。
ファクタリング会社は、調剤報酬を回収できなければ損失を被り、調剤報酬を回収できれば利益を得ることができます。
もっとも、調剤報酬が回収不能に陥ることはほぼあり得ません。
売掛先である社保や国保は公的機関であり、国の保険制度が破綻しない限り、調剤報酬の支払いが滞ることはないのです。
したがって、調剤報酬のファクタリング審査に落ちることは基本的にありません。
すでに銀行の融資審査に落ちた薬局や、いつも銀行融資に苦労している薬局でも、調剤報酬をファクタリングすることで簡単に資金を調達できます。

資金調達スピードを比較

 
銀行融資の場合、融資実行までに最短でも数週間、基本的には1ヶ月程度かかります。
これに比べて、調剤報酬ファクタリングはスピーディな資金調達が可能です。
実際の資金調達スピードはファクタリング会社によって異なりますが、
「初回利用は申し込みから1~2週間程度」
「2回目以降は社保・国保に請求してから最短5営業日」
といったイメージです。
資金調達の目的は、不足資金を調達して資金繰りのショートを回避し、経営を継続することにあります。
いくら条件がよくても、必要なときに必要な金額を調達できなければ意味がないのです。
審査が厳しく、資金調達に時間がかかることは、銀行融資の大きな欠点といえます。
逆に、審査に落ちることがほとんどなく、スピーディに資金調達できる調剤報酬ファクタリングは、銀行融資よりも優れているといってよいでしょう。
ただし、即日で資金調達することは不可能です。
ファクタリングといえば「最短即日対応」をイメージする人もいるでしょうが、これは2社間ファクタリングに限られます。
一般的なファクタリングでも、3社間ファクタリングならば数日を要するのが一般的です。
調剤報酬ファクタリングも3社間ファクタリングが基本ですから、即日対応は不可能と考えてください。

調剤報酬債権担保ローンはどう?

 
調剤報酬を活用した資金調達方法は、調剤報酬ファクタリングだけではありません。
最近、売掛債権担保融資も徐々に普及してきました。
売掛債権担保融資は、売掛債権を担保とする融資であり、調剤報酬を担保にすることも可能です。
実際、一部の金融機関やノンバンクでは「調剤報酬担保ローン」「調剤報酬担保融資」といった商品を提供しています。
調剤報酬債権担保ローンも、調剤報酬を活用した資金調達方法であり、その点では調剤報酬ファクタリングと同じです。
では、調剤報酬ファクタリングと調剤報酬債権担保ローンはどのように違うのでしょうか?

調剤報酬債権担保ローンはあくまでも融資

 
調剤報酬債権担保ローンと調剤報酬ファクタリングの最大の違いは、「借入れか、債権譲渡か」ということです。
調剤報酬債権担保ローンが「調剤報酬を担保として借り入れる」のに対し、調剤報酬ファクタリングは「調剤報酬の譲渡によって買取資金を受け取る」のです。
したがって、調剤報酬債権担保ローンの際には金銭消費貸借契約を、調剤報酬ファクタリングでは債権譲渡契約を結びます。
借入れである以上、調剤報酬債権担保ローンで調達した資金は返済義務があり、返済負担によって資金繰りが悪化したり、自己資本比率の低下によって財務が悪化したり、様々な問題を引き起こします。
調剤報酬ファクタリングは債権譲渡ですから、借入れではありません。
当然ながら返済義務はなく、返済負担や財務悪化を避けることができます。

調剤報酬債権担保ローンは調達コストが高い

 
もうひとつ、調剤報酬債権担保ローンと調剤報酬ファクタリングの大きな違いは「調達コスト」です。
どのような資金調達方法にも調達コストがかかります。
資金繰りの負担を軽減するために、調達コストはできるだけ抑えたいところです。
この点において、調剤報酬債権担保ローンは金利が高くなることが多く、調達コストに問題があります。
これは、調剤報酬債権担保ローンの多くは銀行ではなく、リース会社や消費者金融業者など、いわゆるノンバンクが提供しているためです。
ノンバンクの金利が高いことは、皆さんもご存知でしょう。
ノンバンクの調剤報酬債権担保ローンの金利をみると、特に安い業者でも「年利2.5~9.0%」、その他の業者では「年利3.5~15.0%」などが一般的です。
これは、調剤報酬ファクタリングに比べると高い水準といえます。
調剤報酬ファクタリングの手数料率は0.25~1.0%が相場ですから、年利に換算しても3~12%程度で調達できます。
調剤報酬債権担保ローンで資金調達する場合、特に安い業者を選ばなければ、調剤報酬ファクタリングよりも高くなるでしょう。
調剤報酬債権担保ローンに限らず、融資における「金利が安い」は「審査が厳しい」とイコールですから、審査に落ちるリスクが高まります。
トータルで考えると、調剤報酬債権担保ローンよりも調剤報酬ファクタリングのほうが優れた資金調達方法といえるでしょう。

調剤報酬ファクタリングのメリット

調剤報酬ファクタリングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
代表的なメリットを紹介します。

負債にならない

調剤報酬ファクタリングに限ったことではありませんが、ファクタリングは負債になりません。
企業の資金調達は融資が基本です。
公的金融機関、民間金融機関、ノンバンクなどから借り入れた場合、それらは全て貸借対照表の「負債の部」に負債として計上されます。
「債務償還年数」や「自己資本比率」は、企業財務を判断する重要な指標です。
借入によって負債が計上されると、債務償還年数は長くなり、自己資本比率は低下するため、財務に対する評価はどうしても低くなってしまいます。
一般的に、企業は借金しながら経営するものであり、負債が悪いわけではありません。
しかし、後ろ向きの融資(赤字補填資金など、悪い事態に対処するための融資)であれば悪評価になりますし、負債が大きいほど返済負担は大きくなり、資金繰りが不安定になります。
これに対し、ファクタリングは売掛金という「流動資産」を売却する方法であり、借入ではないため、いくら利用しても負債が増えることはありません。
さらに、ファクタリングによって回収サイトを短縮すれば、それだけお金の巡りが良くなり、資金繰りが安定します。
ファクタリングを活用して財務状況を改善し、金融機関の評価を高め、今後の融資につなげていくことも可能です。

ビジネスローンよりも調達コストが安い

ファクタリングには手数料がかかります。
手数料はファクタリング審査によって決定され、その大部分は売掛先の信用によって決まります。
一般的な買取ファクタリングの場合、売掛先は一般企業であるため、売掛先の経営状況次第で回収不能になるリスクがあります。
ファクタリング会社としても、このリスクに備える必要があるため、

  • 2社間ファクタリング※1:売掛金額面に対して10~30%
  • 3社間ファクタリング※2:売掛金額面に対して1~10%

の手数料が請求されます。
これは、一般の銀行融資はもとより、ビジネスローンよりも高い設定です。
しかし、調剤報酬の請求先は国であり、売掛先の信用力が非常に優れています。
それだけにファクタリング手数料が安く、0.25~1.0%程度の手数料率で利用できるケースがほとんどです。
年利に換算すると3~12%ですから、年利15%程度で借り入れるビジネスローンに比べてかなり安いコストで調達できます。

※1利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する方式
※2利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式

融資より審査に通りやすい

調剤報酬の請求先は国であり、信用力に優れているため、ファクタリング審査にも通りやすいです。
調剤報酬ファクタリングを取り扱うファクタリング会社としては、調剤報酬の確実性に目を付け、手堅いビジネスとして取り扱っているのですから、調剤報酬の買い取りを拒否する理由はありません。
銀行融資は、借入希望者の業績や財務から返済能力を把握し、貸し倒れリスクの低い相手を選んで融資するため、審査は非常に厳しいです。
ノンバンクのビジネスローンは、銀行に比べていくらか審査が緩いですが、貸し倒れリスクの高い会社に融資するわけにはいきませんから、やはり返済能力を重視します。
調剤薬局などの医療機関でも、融資を断られることは少なくありません。
そんなときでも、調剤報酬ファクタリングならばほぼ確実に資金を調達できます。

導入月は2ヶ月分の売上を資金化できる

上記でも少し触れましたが、調剤報酬の回収サイトは2ヶ月です。
例えば、1月(調剤月)の調剤報酬を請求する場合、2月10日までに請求を完了し、支払いは3月末(20日以降)となります。
調剤業務の提供が完了している1月から数えると、常に2ヶ月分の売掛金を所有していることにほかなりません。
2月時点では、3月末に回収予定の1月分の調剤報酬と、4月末に回収予定の2月分の調剤報酬の2ヶ月分を所有しています。
このため調剤報酬ファクタリングを導入する際、導入月は手元の売掛金を2ヶ月分まとめて資金化できます。
その後は、1ヶ月分の売掛金をファクタリングする流れです。
まとめて2ヶ月分ファクタリングすれば、資金繰りが大いに助かるでしょう。

資金使途が自由

 
基本的に、調剤報酬ファクタリングでは資金使途を問われません。
このメリットは、銀行融資と比較するとよく分かるでしょう。
銀行融資の審査では資金使途を重視します。
融資希望額と資金使途に整合性がなければ、融資を受けることはできません。
資金使途に対して融資希望額が大きすぎる場合、資金繰り計画や投資計画がずさんであるか、他の用途(大抵はネガティブな用途)が隠れているかのどちらかです。
これでは、貸付金が十分に活用されない可能性が高く、銀行が「貸倒れリスクが高い」「融資不可」と考えるのも当然です。
資金使途に対して融資希望額が少なすぎる場合、計画よりも早い段階で資金不足に陥り、追加融資を依頼することになるでしょう。
審査に落ちやすくなるだけではなく、経営者としての資質を問われることにもなりかねません。
このように、資金使途に問題があれば、銀行から融資を受けるのは困難です。
調剤報酬ファクタリングが資金使途を問わないのは、「調剤報酬ファクタリング=調剤報酬の譲渡」であるためです。
借入れではないため返済義務もありません。
銀行のように、「資金使途は?」「資金使途と必要額の整合性は?」「貸付金の活用によって返済原資を生み出せるか?」といった視点は、調剤報酬ファクタリングでは不要です。
利用会社の資金使途に問題があったとしても、ファクタリング会社は社保や国保から回収すれば何ら問題ありません。
これは、調剤報酬ファクタリングの柔軟性にもつながります。
銀行融資の場合、申告した資金使途を忠実に守らなければなりません。
借入金を他の用途に流用した場合、銀行から虚偽申告とみなされ、全額一括返済を求められることがあります。
調剤報酬ファクタリングならば、そのような心配もありません。
調剤報酬を売却して調達した資金は、どのような用途にも活用できます。
その時々で最も効果的なところに資金を投入し、資金繰りの効率を高めることも可能です。

担保・保証は原則不要

 
調剤報酬ファクタリングは、原則として担保・保証が不要です。
これも、調剤報酬ファクタリングの大きなメリットといえるでしょう。
銀行から融資を受ける場合、不動産などの担保や、信用保証協会による保証が重視されます。
調剤報酬債権担保ローンであれば、調剤報酬そのものを担保としています。
無担保・無保証のビジネスローンでも、代表者の連帯保証を求められるケースが一般的です。
担保・保証の不足によって融資を受けられない薬局は、調剤報酬ファクタリングで資金を調達しましょう。
調剤報酬ファクタリングが無担保・無保証で利用できる理由は、主に2つあります。
ひとつは、調剤報酬ファクタリングが債権譲渡であり、借入れではないこと。
これまでの解説にもある通り、調剤報酬ファクタリングは借り入れではなく、返済義務もないため、そもそも「返済不能に備えて担保・保証で保全を図る」という論理が成立しません。
もうひとつはやや特殊な考え方ですが、業者によっては「調剤報酬には担保同様の効果があるから」としています。
調剤報酬の譲渡により、調剤報酬の債権者が利用会社からファクタリング会社に変わります。
さらに、調剤報酬ファクタリングは3社間取引ですから、調剤報酬の支払期日になると、売掛先(社保や国保)はファクタリング会社に直接支払います。
そのうえ、調剤報酬は回収不能リスクがほとんどなく、調剤報酬を買い取りさえすれば、ファクタリング会社が損失を被ることはありません。
つまり、損失を回避するという目的においては、銀行融資における担保・保証も、調剤報酬ファクタリングにおける調剤報酬も、同様の価値があるといえるでしょう。

業歴に関係なく利用できる

 
銀行融資と調剤報酬ファクタリングの違いでも述べたように、調剤報酬ファクタリングは利用会社の経営状況や業歴に関係なく利用できます。
特に、業歴に関係なく利用できるのは、調剤報酬ファクタリングの大きなメリットといえます。
起業したばかりで業歴が短い薬局が、銀行から融資を受けるのは困難です。
業歴は信用に直結します。
「業歴が長い」ということは、長期にわたって事業を継続してきたこと、その間には多くの顧客と取引してきたことを意味します。
少なくとも、「経営の継続が困難になるほどの信用不安を起こしたことがない」ということは確かです。
業歴が長いほど銀行の信用は高まり、銀行からの支援を受けやすい傾向があります。
逆に、業歴が短い会社は、業歴によって信用を裏付けることができません。
過去の長期の決算から業績・財務の推移を示し、信用を補完することも不可能です。
しかし、業歴が原因で融資を受けられない薬局でも、調剤報酬ファクタリングならば簡単に資金を調達できます。
実際、開業したばかり(業歴1年未満)の薬局に対して、「社保や国保に対して調剤報酬の請求があれば利用できる」と明言している業者も多いです。
業者によっては、「個別の状況をヒアリングした上で判断」などの対応もみられますが、それでも「業歴が短い場合は利用不可」といった対応は皆無です。
開業したばかりの薬局は売上が安定せず、資金調達・資金繰りにも苦労します。
だからこそ、調剤報酬のファクタリングをおすすめします。

銀行の借入枠を温存できる

 
調剤報酬ファクタリングは、薬局の資金調達の多様化にも効果的です。
銀行融資に依存している薬局は、調剤報酬ファクタリングを取り入れることで、資金調達方法を「銀行融資+調剤報酬ファクタリング」に増やすことができます。
資金調達方法が「銀行融資だけ」の場合に比べて、資金繰りの安定性が大きく高まります。
しかしながら、「銀行融資+調剤報酬ファクタリング」から「調剤報酬ファクタリングだけ」になっては意味がありません。
よくあるのが、「銀行融資を受けられなくなっても調剤報酬ファクタリングで調達できるから…」と考え、銀行融資の借入枠を使いすぎてしまうケースです。
銀行は、それぞれの融資先に対し、資産内容、不動産の担保余力、信用保証協会の保証枠などをもとに融資枠を決めています。
この枠を使い切ってしまうと、追加融資を受けることはできません。
だからこそ、銀行融資と調剤報酬ファクタリングをうまく使い分けることが大切です。
特に銀行融資で調達する必要がなければ、調剤報酬ファクタリングで調達することで借入枠を温存できます。
これにより、「本当に必要なときに融資を受けられない」といった事態を回避できます。

調剤報酬ファクタリングのデメリット

調剤報酬ファクタリングにはいくつかのデメリットがあります。
注意すべきデメリットは以下の7つです。

利益率が下がる

まず、利益率の低下に注意してください。
上記の通り、調剤報酬ファクタリングには0.25~1.0%のファクタリング手数料がかかります。
ノンバンクのビジネスローンや、一般的な買取ファクタリングに比べてかなり安い水準ですが、油断は禁物です。
手数料の分だけ利益が目減りするため、調剤報酬ファクタリングを利用すれば確実に利益率が低下することを意識しましょう。
また、調剤報酬ファクタリングを取り扱うファクタリング会社の中には、0.25~1.0%の相場を大きく超える手数料を設定する会社もあるため、そのようなファクタリング会社を避けることが重要です。
もっとも、調剤報酬ファクタリングによって資金を調達し、資金繰りが助かることは事実であり、それによって資金ショートを回避できることもあります。
調剤報酬ファクタリングの手数料は「必要経費」と割り切ることが大切です。

使いすぎに要注意

ファクタリング手数料によって利益率が低下することを考えると、調剤報酬ファクタリングの利用はできるだけ慎重に考える必要があります。
特に注意したいのが、ファクタリングに対する慣れです。
ファクタリングは非常に便利なサービスです。
便利であるからこそ、ファクタリングに依存してしまう会社も少なくありません。
ファクタリングに依存すると、ファクタリングの利用を前提に資金繰りを回すようになります。
これは、手数料の分だけ利益率が低い状態が当たり前になるのですから、好ましくありません。
会社にとって、本当に頼るべきものは利益によって生み出したお金です。
銀行から借り入れたお金や、調剤報酬をファクタリングして得たお金も同じ「現金」ですが、本業で継続的に生み出せるお金こそが最も重要です。
ファクタリングに慣れると、この基本を見失ってしまいます。
調剤報酬ファクタリングは、本当に必要な時に利用することを心掛けましょう。

資金調達スピードがやや遅い

このほか、資金調達スピードがやや遅いことも調剤報酬ファクタリングのデメリットです。
ファクタリングは、他の資金調達方法に比べて圧倒的に資金調達スピードが早い方法として知られます。
2社間ファクタリングならば最短即日、3社間ファクタリングでも最短数日で資金調達できます。
最近普及しつつあるオンラインファクタリング※では、最短数時間で入金するサービスも珍しくありません。
これに比べて、調剤報酬ファクタリングは資金調達に時間がかかります。
特に、初回利用の場合には入金までに2週間程度を要するため注意が必要です。
これは、調剤報酬ファクタリングの審査にあたり、利用会社が本当に国保・社保の適用業者であるかどうかなど、慎重に審査する必要があるからです。
2回目以降は5営業日程度で入金されるため、それなりにスピーディに資金調達できます。

※全ての手続きをオンラインで完結するファクタリング方式

諸費用がかかる

 
調剤報酬をファクタリングする場合、調剤報酬を買い取るための買取手数料のほかに諸費用がかかることが多いです。
一般的なファクタリングでは、No.1のように全ての費用をまとめて請求する(諸費用0円)業者もあれば、「買取手数料+諸費用」を請求する業者もあります。
優良ファクタリング会社の多くは前者を採用しており、業界全体でみても「ファクタリング手数料」などとして一括請求する業者が増えています。
このため、「買取手数料+諸費用」という請求に対し、ネガティブな印象を持つ人もいるかと思いますが、調剤報酬ファクタリングではこれが普通と考えてください。
調剤報酬ファクタリングで求められる諸費用は、いわゆる「実費」です。
調剤報酬ファクタリングの手続きの中で、業者があらかじめ負担した費用を「実費」として請求します。
諸費用の具体例は以下の通りです。

  • 内容証明・書留郵便代(売掛先に債権譲渡通知を送るための費用)
  • 振込手数料(調剤報酬の買取代金を振り込む際の手数料)
  • 事務手数料(新規契約・契約更新のための手数料)
  • 交通費(ファクタリング会社が利用会社を訪問するための費用)

このほか、ファクタリング会社によっては、諸費用の一例として「弁護士費用」などと記載している場合があります。
このようなイレギュラーな費用については、利用前によく確認すべきでしょう。

掛け目がある

 
調剤報酬ファクタリングでは、多くの業者が掛け目を設定しています。

掛け目とは?

 
掛け目とは、取引する資産の価値に対して一定率(掛け目率)を掛け、その額を上限として取引する仕組みのことです。
金融機関の担保融資で利用されることが多く、その場合には特に「担保掛目」などといいます。
掛け目によって、上限金額を資産価値よりも低く設定することにより、資産価値が急激に低下した場合にも損失を回避できます。
調剤報酬ファクタリングは担保融資ではありませんが、掛け目を設定するのが基本です。
これは、調剤報酬を買い取った後、返戻・査定等によって調剤報酬の額面金額(保険請求額)と入金額に差が生じる場合に備えるためです。
「掛け目=調剤報酬ファクタリングの手数料」と考える人もいますが、あくまでも保証金のような扱いであり、掛け目部分は後日清算・返金されます。
とはいえ、掛け目があることによって、調剤報酬の一部(掛け目部分)をファクタリングできなくなります。
これは、調剤報酬ファクタリングのデメリットといえるでしょう。

調剤報酬の掛け目はどれくらい?

 
掛け目率は資産によって異なります。
掛け目率の目安を資産別にいくつかみてみましょう。

  • 預金…100%
  • 有価証券(株式や債券など)…90%
  • 売掛債権…85%
  • 在庫…25~60%
  • 機械…70~80%
  • 不動産…55~70%

もちろん、資産によって価値が大きく異なるため、この目安が当てはまらないケースもあります。
上記のうち、調剤報酬は売掛債権(調剤報酬債権)の一種ですから、掛け目率は85%程度が目安です。
実際、調剤報酬ファクタリングを取り扱う業者の設定をみてみると、「原則90%未満」「80~95%」「一律80%」などとなっています。
調剤報酬をファクタリングしたい場合には、「大体85%」と考えておけば間違いないでしょう。

掛け目の具体例

 
調剤報酬ファクタリングで掛け目を用いることで、調達金額にはどのような影響が生じるでしょうか。
具体的に計算してみましょう。
シミュレーションの条件は以下の通りです。

  • 調剤報酬の額面金額…1000万円
  • 掛け目…85%
  • 買取手数料…0.5%
  • 諸費用…考慮せず

まず、ファクタリング会社が調剤報酬の審査を実施し、掛け目率を決定します。
ここでは85%ですから、調剤報酬の額面金額1000万円のうち850万円が買取部分、150万円が掛け目部分となります。
調剤報酬ファクタリングの買取手数料は、買取部分に対する手数料です。
このため、買取手数料は4万2500円(850万円×0.5%)。
したがって、調達できる金額(入金額)は845万7500円となります。
後日、調剤報酬の支払日になり、調剤報酬の請求額と売掛先の入金額に差がなければ、掛け目部分の150万円は全て返金されます。
請求額と入金額に差が生じた場合には、掛け目部分から差額を差し引いて返金するため、必ずしも全額返金とは限りません。
以上をまとめると、額面金額1000万円の調剤報酬のうち、調剤報酬ファクタリングによって早期回収できるのは845万7500円、最終的な回収額は995万7500円となります。

長期契約が基本

 
調剤報酬のファクタリング契約は、長期契約が基本です。
長期契約には、メリット・デメリットの両面があります。
長期契約のメリットは、毎月の調剤報酬をファクタリングすることで、資金繰りが安定することです。
また、利用が簡単になることもメリットです。
例えば、調剤報酬ファクタリングの必要書類のうち、登記簿謄本や印鑑証明書などは初回のみ、決算書や納税証明書は期首に1回のみ提出するケースが多く、2回目以降は少ない書類で利用できます。
しかしながら、調剤報酬ファクタリングの長期契約にはデメリットもあります。
分かりやすいデメリットをいくつか挙げてみましょう。

柔軟に利用しにくい

 
通常のファクタリングは、長期契約よりも単発利用が一般的です。
この場合、特定の売掛金を売却し、支払期日に回収することで契約が終了します。
長期契約のように、定期的に売掛金を売却する必要はなく、自社の資金繰りと相談しながら、必要なタイミングで柔軟に資金を調達できます。
調剤報酬ファクタリングの長期契約には、このような柔軟性がありません。
利用会社の資金繰りに余裕があっても、契約に沿って定期的に調剤報酬を売却する必要があります。
調剤報酬ファクタリングを利用しなければ満額回収できるものを、無駄な手数料(買取手数料+諸費用)を支払って売却しなければならないのです。
安易に調剤報酬ファクタリングを利用し、長期契約を結んでしまうと、資金繰りの効率が悪化する恐れがあります。

途中解約に注意

 
調剤報酬ファクタリングが必要なくなったからといって、簡単に解約できるわけではありません。
まず、調剤報酬ファクタリングを解約するためには、数ヶ月前(2~3ヶ月前など)に解約を申し込む必要があります。
これは、調剤報酬ファクタリングを必要としない状況で、少なくとも数ヶ月間は解約できないということです。
もちろん、解約までの数ヶ月間、調剤報酬を売却する度に手数料がかかります。
また、解約時に違約金を請求する業者もあります。
したがって、調剤報酬ファクタリングを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 契約期間は何年か?(業者によって「1~5年」、「原則2年」などさまざま)
  • 契約更新の仕組みは?(業者によって「毎年更新」、「原則2年、2年目以降は1年ごとに更新」など)
  • 途中解約は何ヶ月前に申告?
  • 解約時に違約金はかかる?(事前に申告すれば違約金は不要?事前申告に関係なく違約金がかかる?)
  • 違約金はいくら?

保証人を求められることも

 
調剤報酬ファクタリングのメリットで述べた通り、調剤報酬は原則として無担保・無保証で売却できます。
しかしながら、ここに「原則として」とある点に注意してください。
なにごとも原則があれば例外があります。
通常のファクタリングならば、例外なく無担保・無保証です。
調剤報酬ファクタリングも担保に関しては例外なく不要ですが、保証に限っては例外があります。
一部の業者では、調剤報酬ファクタリングの際に保証人を求めるケースがあるのです。
例えば、ある業者では「原則として代表者(もしくは信用を補完できる人)が保証人になる」などと明記されています。
もちろん、「原則的に無担保・無保証」を公言する業者であれば、無担保・無保証で利用できる可能性が高いため、さほど心配する必要はありません。

調剤報酬ファクタリングのおすすめ会社3選

調剤報酬ファクタリングを提供しているファクタリング会社は色々ありますが、中でもおすすめのファクタリング会社を3社紹介します。

1.カイポケ

カイポケは、介護事業者の経営支援全般を手掛けるエス・エム・エスが提供するサービスです。
調剤報酬ファクタリングだけではなく、診療報酬ファクタリングや介護報酬ファクタリングも手掛けています。
エス・エム・エスは東証一部上場企業であり、約1,800法人がカイポケを利用しているため、安心感をもって利用できます。
カイポケの調剤報酬ファクタリングの条件は以下の通りです。

  • ファクタリング手数料:早期支払い額(請求額の80%)に対して0.8%
  • その他手数料:初回手数料として5,000円、月額利用料として2,000円
  • 入金スピード:5営業日後に請求額の80%を入金(残る20%は従来の支払い日に入金)

カイポケは、必要な時に必要なだけファクタリングするのではなく、毎月の調剤報酬を継続的にファクタリングする契約となります。
契約期間の縛りはなく、更新料も0円ですから、安心して利用できます。
毎月の調剤報酬をファクタリングし、資金繰りを円滑化したい会社におすすめです。

2.スルガ銀行

スルガ銀行も、調剤報酬ファクタリングを提供しています。
銀行系ファクタリングは、民間のファクタリングに比べて手数料が安い傾向があるため、調達コスト削減を重視する会社におすすめです。
スルガ銀行の調剤報酬ファクタリングは、調剤報酬の90%を上限として早期資金化し、残金は従来の支払い日に手数料を差し引いて支払う仕組みです。
入金スピードは5営業日であり、調剤月の翌月10日に請求した調剤報酬を15日には回収できます。
1月の調剤報酬であれば、本来3月末に振り込まれるところを、2月15日には回収できるため、売掛金の回収サイトを60日から15日へと大幅に短縮できます。
ファクタリング手数料やその他手数料などは公開されていないため、利用の際には事前に問い合わせてください。

3.三菱HCキャピタル

三菱HCキャピタルは、三菱グループのリース会社です。
本業はリース・レンタル業ですが、コンサルティングや債権回収、ファクタリングなどのビジネスサポートも手掛けています。
大手グループの安心感があるほか、調剤報酬ファクタリングのサービス内容も充実しています。
三菱HCキャピタルの調剤報酬ファクタリングは、業界最低水準の月0.2%~の手数料で利用可能です。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、メール・電話・郵送などを用いて非対面で手続きできるため、手軽さも魅力的です。
ファクタリングの流れは、調剤報酬の80%を早期資金化し、残金は従来の支払い日に支払われます。
入金日は、国保・社保への請求から最短5営業日ですから、スピードも他社に劣りません。
なお、契約時の事務手数料など、詳細な利用条件については非公開です。
利用の際には直接尋ねてみてください。

No.1も調剤報酬ファクタリングに対応

 
上記の3社は、調剤報酬ファクタリングの有名業者です。
しかし、このほかにも調剤報酬ファクタリングに対応している業者があります。
No.1も、調剤報酬・診療報酬・介護報酬のファクタリングに対応可能です。
No.1では、調剤報酬に限らず、多種多様な売掛金をファクタリングしてきました。
これにより、調剤報酬ファクタリングの専門業者にはない強みがあります。
専門業者よりもスピーディに、安全に、お安く対応いたします。
また、ファクタリングだけではなく、コンサルティングもご相談ください。
No.1は経営支援コンサルティングに力を入れており、医療業界に精通したコンサルタントも在籍しています。
調剤報酬ファクタリングによって資金を調達するだけではなく、資金繰りの改善、キャッシュフローの正常化、融資の正常化、債務超過の解消、黒字化などにより、抜本的な改革を支援いたします。

調剤報酬ファクタリングの活用事例

 
ここまでの内容から、調剤報酬ファクタリングの活用を検討している方もいることでしょう。
調剤報酬ファクタリングの利用のイメージを具体化するには、実際の活用事例を知るのが役立ちます。
No.1の調剤報酬ファクタリングをご利用いただいたお客様の中から、いくつかご紹介します。

調剤報酬ファクタリングで共同購入の加盟金を調達

 
多くの薬局で利益率が低下している中、特に利益率に苦しんでいるのが小規模薬局です。
小規模薬局は医薬品の仕入れが少なく、医薬品卸との交渉が難しいためです。
このような場合に、医薬品の共同購入が役立ちます。
共同購入とは、ボランタリーチェーンなどに加盟することによって、他の薬局と共同で医薬品を購入することです。
この時、薬局と医薬品卸との間に別会社が入り、薬価交渉などを請け負います。
医薬品卸側はまとまった単位で販売でき、薬局側は薬価交渉をアウトソーシングできるのが特徴です。
これにより、医薬品の仕入れコストを下げることができ、実際に5~8%の削減に成功した例もあります。
ただし、ボランタリーチェーンへの加盟金や手数料がかかります。
例えば、「加盟金として50万円、手数料として毎月の医薬品購入費の1%」といったケースです。
仕入れコストの削減効果に比べると、共同購入にかかるコストの方が安いため、利益率の改善につながります。
小規模薬局にとって苦しいのは、加盟金のためにまとまった現金が必要になることです。
数十万円の現金を支払うと、資金繰りが回らなくなる薬局も多いはずです。
場合によっては、医薬品の支払サイトが短くなり、資金繰りが悪化することもあります。
例えば、これまでは医薬品卸への支払いが「2ヶ月後」であったところ、共同購入の場合には「1ヶ月後」となり、手元資金が足りなくなるのです。
調剤薬局のA社でも、「共同購入で利益率を改善したいが、加盟金を支払う余力がない。支払サイトの短縮も苦しい」というジレンマを抱えていました。
そんなときに調剤報酬ファクタリングを知り、No.1にご相談いただきました。
「共同購入を導入するにはいくら必要か」、「運転資金はいくら確保すべきか」をヒアリングした結果、調剤報酬ファクタリングで500万円を調達することに。
必要書類を提出いただき、申込から1週間での対応となりました。
A社は、共同購入により6%のコスト削減に成功。
調剤報酬ファクタリングや共同購入の手数料も難なくカバーでき、利益率を改善することができました。
改善後の利益率を維持するために、現在も調剤報酬ファクタリングを継続中です。

M&A資金をスピーディに調達

 
小規模薬局ほど苦戦を強いられる昨今、経営拡大に積極的な薬局も増えています。
経営規模が拡大すれば、顧客が多くなるため売上も増加します。
薬局にとって、売上の増加は「調剤報酬の増加」にほかなりません。
手元の調剤報酬が多くなるほど、調剤報酬ファクタリングで調達できる資金も増え、資金繰りの安定性が高まります。
しかしながら、実際に経営を拡大するには多くの困難が伴います。
特に苦労するのが、M&A資金の調達です。
他の薬局を買収すれば経営拡大を加速できますが、薬局買収には数千万円単位の資金が必要となります。
数千万円を調達する場合、銀行から融資を受けるのが一般的ですが、銀行融資はM&Aに適さないことがあります。
主な理由は、融資実行までに時間がかかることです。
特にM&Aの現場では、買収先が売却を急いでいることも多いです。
その場合、M&A自体が流れてしまったり、買収の話がまとまった後で融資を受けられなかったり、様々な問題が生じます。
調剤薬局チェーンのB社では、急ぎのM&Aに対応するために、No.1の調剤報酬ファクタリングをご利用いただきました。
B社は、縁あって薬局買収を打診されたものの、相手先が売却を急いでおり、すぐにでも資金を調達する必要がありました。
必要な調達資金は5000万円。
銀行からの調達も検討しましたが、融資を受けられたとしても間に合わない状況です。
そこで、No.1の調剤報酬ファクタリングにお問い合わせをいただきました。
B社の月々の調剤報酬は3000万円。
メリットでも解説したように、調剤報酬ファクタリングは導入月に2ヶ月分を調達できます。
B社の場合、調剤報酬の2ヶ月分にあたる6000万円まで調達可能です。
急ぎの案件のため、No.1もスピード対応を心掛けました。
その結果、B社は買収資金5000万円を調達し、余裕をもって支払うことができました。

近年、M&A資金の調達手段として、ファクタリングが一般的になりつつあります。
B社以外にも、薬局買収のために調剤報酬ファクタリングをご利用いただくケースが増えています。
調剤報酬ファクタリングは、運転資金からM&A資金まで幅広く活用されているのです。

まとめ:調剤報酬のファクタリングはNo.1におまかせください

調剤報酬ファクタリングの仕組み、メリットとデメリット、おすすめのファクタリング会社などを解説しました。
調剤報酬ファクタリングは、一般的なファクタリングに比べて利用しやすいのが特徴です。
売掛先は一般企業ではなく国ですから、回収不能リスクに陥る可能性が極めて低く、好条件でファクタリングできます。
国は資金調達の多様化を推進しており、ファクタリングの普及を後押ししています。
調剤報酬ファクタリングは、国の政策にもマッチする方法であり、ファクタリングの利用を国に知られたところで何ら不都合はありません。
No.1でも調剤報酬ファクタリングに対応しており、買取実績も豊富です。
調剤報酬ファクタリングをご希望の際には、ぜひともNo.1にお任せください。

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名古屋支店直通052-414-4107

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