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ファクタリングの勘定科目と決算処理を徹底解説|仕訳例・実務ポイントまとめ

「仕訳ってどう書けばいい?」「手数料の勘定科目は?」「消費税ってかかるの?」
ファクタリングを導入したものの、会計処理や決算時の対応に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、ファクタリングは通常の取引と扱いが異なる点が多く、仕訳や勘定科目、税務上の取り扱いには注意が必要です。
この記事では、ファクタリングの会計処理における基本的な仕訳例と、決算時に押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。
初めての方でも迷わず対応できるよう、具体例も交えて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

仕分けで迷わない!ファクタリングの勘定項目は6つ

ファクタリングを利用すると、売掛金や手数料などの処理に応じて、決算時の仕訳にもさまざまな勘定項目が関わってきます。
取引の内容によって使用する科目は異なりますが、あらかじめどのような項目が使われるかを知っておくことが重要です。
ここでは、ファクタリングの会計処理でよく使われる6つの勘定項目を紹介します。
決算に向けて、基本を押さえておきましょう。

売掛金

売掛金は、ファクタリングの会計処理において最も基本となる勘定項目です。
例えば、企業が取引先に100万円分の商品を納品し、代金の支払いは翌月末と取り決めた場合、その時点ではまだ現金は受け取っていません。
このような「あとから代金を受け取る権利」を会計上で表すのが「売掛金」です。
売掛金は、売上代金を後日受け取ることが確定している取引に使われるもので、いわゆる売掛債権の一種です。
ファクタリングを利用する場合も、まずこの売掛金があることが前提になります。
買取型ファクタリングでも保証型ファクタリングでも、商品やサービスを提供して発生した売上に対して、一旦「売掛金」として仕訳を行います。
つまり、売掛金はファクタリングにおける会計処理の出発点であり、ここから「未収入金」や「売上債権売却損」など、他の勘定科目への処理が続いていくことになります。

未収入金

未収入金は、本業以外の取引で発生した未回収の代金を処理するときに使う勘定科目です。
売掛金と同様に流動資産に分類され、貸借対照表では資産として計上されます。
ファクタリングでは、売掛金を第三者であるファクタリング会社に譲渡し、資金を受け取る仕組みです。
この取引によって得られる金額は、商品やサービスの対価としての売上ではないため、「売掛金」ではなく「未収入金」に切り替えて処理します。
ファクタリング契約を結んだ時点では、まだ入金されていないため、帳簿上では「売掛金」を減らし、その分を「未収入金」として記録します。
これは、回収待ちの金額を“本業以外の臨時収入の予告票”として、いったん棚に置いておくようなイメージです。
その後、ファクタリング会社から実際に入金があったら、「未収入金」を減らし「普通預金」などの現金勘定に振り替わります。
通常の取引で発生した売上代金は「売掛金」、それ以外の回収待ちは「未収入金」と区別して使うのが、正当な会計処理です。

売上再建売却損

売上債権売却損は、売掛債権をファクタリング会社に譲渡した際に生じた損失を処理するための勘定科目です。
買取型ファクタリングでは、債権の金額から手数料が差し引かれた金額が入金されるため、受け取った金額と売掛金の差額がこの勘定科目に該当します。
売掛金が100万円で、入金が90万円だった場合、残りの10万円が売上債権売却損となります。債権を現金化するために発生した減額であり、通常の手数料や経費とは性質が異なります。
この損失は「支払手数料」や「雑費」ではなく、専用の勘定科目として処理するのが原則です。
入金処理では、受け取った金額を「普通預金」、差し引かれた分を売上債権売却損として記帳します。
損益計算書にも関わるため、決算時には特に注意したい項目です。

支払手数料

支払手数料は、業務上発生する各種手数料のうち、外部のサービス提供者に対して支払う費用を処理するための勘定科目です。
ファクタリングにおいては、保証型ファクタリングを利用し、売掛金を取引先から問題なく回収できた場合に、ファクタリング会社へ支払う手数料がこれに該当します。

この手数料は、債権を売却して生じた損失ではなく、保証サービスに対する対価としての支払いであるため、「売上債権売却損」ではなく「支払手数料」で処理します。

仕訳の際は、支払金額をそのまま「支払手数料」として記録します。保証型ファクタリングでは、債権の回収が正常に行われたときにのみ発生する費用として扱われます。

貸倒損失

貸倒損失は、売掛金が回収できなかったときに使う勘定科目です。取引先の倒産や長期の未払いなど、回収の見込みが立たないと判断された時点で、その金額を損失として処理します。
売掛金は本来、あとから入ってくる“お金の予約席”のようなものですが、その予約が突然キャンセルされたとき、その穴を埋めるのが貸倒損失です。
ファクタリングでも、保証型を利用していて売掛先から支払いがない場合、まずは売掛金の未回収分をこの科目で処理することになります。その後、保証金を受け取った場合には別の勘定科目が登場します。

雑収入

雑収入は、本業とは別の予期しない収益を処理するための勘定科目です。定期的な売上やサービス対価ではなく、分類しづらい“思わぬ入金”がここに当てはまります。
ファクタリングで保証型を利用していると、売掛先からの入金がなかった場合に、ファクタリング会社が保証金を支払ってくれることがあります。この保証金は、あくまで保険のような立ち位置にあるため、売上とは別の扱いになります。
財布に予定外のお金が入ってきたような感覚ですが、経理としてはしっかり分類が必要です。そのため、こうした保証金は「雑収入」として整理します。

ファクタリングを利用する際の仕分け例|タイプ別に解説

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売却し、資金を早期に受け取る方法です。
借入とは異なり、この取引で負債は増えません。
買取型ファクタリングでは、まず売掛金を未収入金に振り替える仕訳を行います。
例えば、200万円の売掛金に対して契約を結んだ場合、以下のような仕訳になります。
• 借方:未収入金 200万円
• 貸方:売掛金 200万円
その後、実際に資金が入金された際には、手数料を差し引いた金額が振り込まれます。
ここでは、手数料が10%だった場合の仕訳を紹介します。
• 借方:現金預金 180万円/売上債権売却損 20万円
• 貸方:未収入金 200万円
売掛金は現金化され、差額の手数料は損失として処理されます。
資産の形を変えて現金を得るという点が、買取型の特徴です。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングでは、売掛金が無事に支払われた場合と、取引先が倒産して回収できなかった場合で、仕訳の内容が異なります。
まず、売掛金が通常どおり支払われた場合は、通常の入金処理に加えて、ファクタリング会社に支払う手数料の処理が必要です。
手数料はファクタリング会社ごとによって異なります。

例えば、手数料が5%で売掛金が100万円だった場合、以下のような仕訳になります。
• 借方:現金預金 100万円/支払手数料 5万円
• 貸方:売掛金 100万円/現金預金 5万円

取引先の倒産などで売掛金が回収できなかった場合、その分は貸倒損失として以下のように計上します。
• 借方:貸倒損失 100万円/売掛金 100万円/現金預金 100万円/雑収入 100万円

このように、保証型では実際の入金状況によって使う勘定科目が大きく変わるため、状況ごとの処理を正確に把握しておく必要があります。

ファクタリングの決算処理で押さえておきたい3つのポイント

ファクタリングは資金繰りを助けてくれる便利な仕組みですが、会計処理では独特のルールもあります。特に決算に向けては、以下の3点を事前に確認しておくと安心です。

契約書に債権譲渡禁止の条項がないか事前に確認する

まず大切なのは、ファクタリングを行う前に、取引先との契約書をきちんと見直すことです。
中には「この債権は他人に譲らないでください」という“債権譲渡禁止条項”が含まれている場合があります。

これは、例えるなら「このチケットは本人のみ有効。他人に譲渡不可」と書かれた入場券のようなもの。
この条項があると、ファクタリングそのものが無効になってしまうこともあります。

特に3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社に支払いをするため、債権譲渡にあたって売掛先の事前同意が必要です。
契約内容や合意の有無について、あらかじめ確認しておきましょう。

手数料は「売上債権売却損」として処理するのが基本

ファクタリングの手数料は、通常の“支払手数料”とは異なり、「売上債権売却損」で処理するのが原則です。
なぜなら、ファクタリングは“売掛金という資産を少し割引いて売る”行為だからです。
中古品を定価より安く手放しているようなイメージ。
その差額=損失が「売却損」となります。
会計ソフトによっては「売上債権売却損」が選べない場合もありますが、その際は「雑損失」や「支払手数料」などの代替科目で対応しましょう。

ファクタリング手数料には消費税がかからない

ファクタリングは「債権の譲渡」として扱われるため、手数料に消費税はかかりません。
請求書にも消費税が記載されないのが一般的です。
モノやサービスを売買するのではなく、支払いを受ける権利そのものをやり取りしているため、税法上は金融取引の一種として位置づけられます。商品を購入したときのように「消費」という行為が発生していないため、課税の対象にならないのです。
ただし、中には手数料に消費税を上乗せして請求してくる業者も見られます。
内容をよく知らないと、そのまま支払ってしまうこともあるため、契約時や請求書の段階で「非課税」であることをしっかり確認しておきましょう。

ファクタリング勘定項目と決算処理のまとめ

ファクタリングは、資金繰りを改善する有効な手段ですが、会計処理や税務上の取り扱いには独自のルールがあります。
とくに決算時は、債権譲渡の可否や手数料の処理方法、消費税の扱いなど、事前に確認すべきポイントがいくつかあります。

仕訳の際は「売上債権売却損」など正しい勘定科目を選び、契約内容も十分にチェックしておくことで、トラブルや誤処理を防げます。
「なんとなく」ではなく、「正しく理解して使う」ことが、ファクタリングを安心して活用するための第一歩です。

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