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ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットとは?

企業の資金調達には、内部資金調達と外部資金調達があります。
外部から資金調達する場合、融資や出資などが代表的です。
出資の中でも、比較的よく知られているのがベンチャーキャピタルの出資。
ベンチャーキャピタルの出資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、ベンチャーキャピタルと出資の基礎知識、ベンチャーキャピタルの出資を受けるメリット、ベンチャーキャピタルの出資を受ける流れなどを詳しく解説します。

出資の基礎知識

 
企業の資金調達方法は様々です。
資金調達方法を大まかに分けると、融資、出資、資産売却、縁故者からの調達の四つです。
資金の出し手やスキームなどによって、資金調達方法の特徴や適性は変化します。
ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットを知るためにも、まずは出資を含む四種の資金調達について簡単にみていきましょう。

融資

 
融資は、資金の融通(貸付)です。
資金の出し手は銀行や公庫、貸金業者など。
企業側からみた場合、これらの出し手から借り入れることで資金を調達します。
資金調達方法の中でも最もポピュラーであり、ベンチャーキャピタルの出資よりもはるかに活用されています。

出資

 
出資は、企業に資金を提供し、経営に参加することです。
株式投資と同じように、ベンチャーキャピタルなどの出資者は、会社の一部を買うものとイメージしてください。
融資が「資金の貸付け」であり、返済義務があるのに対し、出資は「資金の提供」のため返済義務がありません。
これは、出資ならではのメリットといえるでしょう。
後述の通り、ベンチャーキャピタルの出資にも返済義務はありませんが、例外的に出資金の返還(株式の買い戻し)を求められる場合もあります。

資産売却

 
資産売却も、ごく一般的な資金調達方法です。
文字通り資産を売却することで資金を調達します。
不動産や在庫の売却だけではなく、近年では売掛金の資金化も人気の資金調達方法です。
ベンチャーキャピタルの出資に比べて、利用のハードルが低く、資金を調達しやすいのが特徴といえます。

縁故者からの調達

 
資金の調達先として、縁故者も見逃せません。
調達可能額がそれほど大きくなく、大企業ではほとんど利用されていませんが、中小企業ならば縁故者も重要な調達先となります。
出資は、ベンチャーキャピタルなどの投資機関だけではなく、個人が出資者になることも可能です。
したがって、縁故者が融資や出資を担うこともあります。
また、縁故者に社債を発行する少人数私募債も、徐々に広がってきています。

出資者の基礎知識

 
出資といえば、真っ先にベンチャーキャピタルを思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかしながら、出資者はベンチャーキャピタルだけではありません。
出資者を大別すると、まず機関投資家と個人投資家
ベンチャーキャピタルは機関投資家に含まれ、ベンチャーキャピタルのほかに企業再生ファンドや事業会社があります。
このうち、事業会社はベンチャーキャピタルとは異なり、投資を専門としているわけではありません(便宜上、機関投資家として分類しています)。
個人投資家は、個人で出資している人であり、非上場企業に出資する場合は特に「エンジェル投資家」などといいます。
ベンチャーキャピタルのメリットを知るには、出資者ごとの目的や特徴の違いを知ることが欠かせません。

すべての出資者の共通点

 
ベンチャーキャピタルに限らず、全ての出資者には共通点があります。
それは、出資者の目的が投資利益にあることです。
ベンチャーキャピタルを含む出資者は、以下のメリットを期待して出資しています。

  • 非上場企業に出資し、その会社が上場することで株式の値上がり益を得る
  • 出資した企業の再生や成長を助け、価値を高め、株式を転売することで値上がり益を得る(必ずしも上場を目的としない)
  • 出資先が稼いだ利益の中から、配当金をもらう
  • 出資先の事業で相乗効果を狙い、出資者は本業から利益を得る

以上のように、全ての出資者は何らかの形で投資利益を求めます。
銀行も利益(利息収入)を目的に融資していますが、目的はそれだけではありません。
将来的な貸付額の増加、融資以外の手数料収入、預金の獲得など、様々なメリットを踏まえて融資しています。
それに比べて、ベンチャーキャピタルなどの出資者は目的が明確です。
出資のメリットを十分に享受するには、自社の目的にマッチする出資者を選ぶことが重要です。
以下、出資者ごとの特徴を簡単に解説します。

ベンチャーキャピタル

 
ベンチャーキャピタルは、出資者の中で最もポピュラーな出資者です。

ベンチャーキャピタルの出資先

 
「ベンチャーキャピタル」という名前からも分かる通り、主にベンチャー企業に出資しています。
もっとも、ベンチャー企業だけに出資しているわけではありません。
ベンチャーキャピタルは、「株式を上場していない」「大きな成長が見込める」という二つを満たす企業に出資しています。
ベンチャー企業は、他の企業に比べてこの要件を満たす場合が多いために、「ベンチャーキャピタルの出資先はベンチャー企業」というイメージがあるだけです。
業歴が長い企業でも、ベンチャーキャピタルの目的に適えば出資を受けることができます。

ベンチャーキャピタルの目的

 
ベンチャーキャピタルが非上場企業に出資するのは、上場による株式の値上がり益を目的とするためです。
しかし、出資先が成長しない限り上場はあり得ません。
だからこそ、ベンチャーキャピタルは「非上場」「将来性」の二点を重視するのです。
例えば、将来的に大化けする可能性がある技術や販路等、ビジネス上の特徴・強みがあれば、ベンチャーキャピタルは出資を検討します。

ベンチャーキャピタルの出資額

 
ベンチャーキャピタルの出資額は、他の出資者に比べると少額です。
企業再生ファンドや事業会社などは、その特性上、出資先の支配権を求めます。
出資先を支配するには、多額の出資によって持ち株比率を高めなければなりません。
しかし、ベンチャーキャピタルの目的は、あくまでも上場です。
出資先の上場を目指すにあたり、必ずしも支配権は必要ありません。
ベンチャーキャピタルは出資のプロであって、出資先の事業に精通しているわけではないのです。
出資先を支配するよりは、ある程度経営の自由を保証した方が、ベンチャーキャピタルの目的に適うのです。
したがって、ベンチャーキャピタルの持ち株比率は低めになることが多く、それだけ出資額(調達可能額)も小さめになります。
もっとも、これはあくまでも「他の出資者と比べて、ベンチャーキャピタルの出資は少額」というだけです。
そもそも、企業が上場を目指すには多額の資金が必要です。
上場のために成長するのですから、資金需要は活発になります。
また、上場そのもの(上場準備・上場時・上場後)のコストも莫大です。
上場を目指す以上、ベンチャーキャピタルも様々なコストを織り込んだうえで出資します。
多額の資金調達ができないわけではなく、他の資金調達方法よりも多額の資金調達に適しています。

出資後の経営への関与

 
ベンチャーキャピタルの出資を受けるメリットは、出資後も比較的自由に経営できるという点です。
繰り返す通り、ベンチャーキャピタルの目的は上場であって、出資先の支配権を求めません。
そのため、出資先を子会社化したり、出資後体制の整備にあたって経営陣を総入れ替えしたり、株主総会で過剰な要求をしたりすることは基本的にはありません。
とはいえ、一切干渉しないわけではなく、上場を目指す上で必要な口出しはします。
ベンチャーキャピタルも、出資先に役員や人員を派遣することが多いです。
ただし、役員は非常勤であったり、役員を派遣するだけでその他の人員を派遣しないベンチャーキャピタルもあります。
出資で資金を調達しつつ、経営の自由をある程度確保できるのがベンチャーキャピタルのメリットです。
この点については、ベンチャーキャピタルのメリットとして詳しく後述します。

企業再生ファンド

 
機関投資家には、ベンチャーキャピタルのほかに企業再生ファンドがあります。
ベンチャーキャピタルとの違いに注目しながら、企業再生ファンドについても簡単にみていきましょう。

企業再生ファンドの出資先

 
企業再生ファンドが出資するのは、業績不振の企業です。
現在、業績不振に陥っている企業に資金を投下し、再生を支援します。
もちろん、再生の見込みがない企業には出資しません。
あくまでも「業績不振」であり「再生可能」の企業が出資対象です。
ベンチャーキャピタルの場合、上場の見込みがある企業に出資しますが、企業再生ファンドは重視するのは「上場の見込み」ではなく「再生の見込み」です。

企業再生ファンドの目的

 
企業再生ファンドの出資先が分かれば、目的もみえてきます。
企業再生ファンドは慈善事業ではなく、再生そのものを目的とするわけではありません。
やはり投資利益を目的としている以上、ベンチャーキャピタルと同様に「出資による利益」が目的です。
再生は、その手段に過ぎません。
企業再生ファンドは、ベンチャーキャピタルのように上場益にこだわらず、再生を通じて一定以上の利益を確保することを目的としています。
もちろん、再生の結果として出資先が上場し、利益を得ることはあります。
とはいえ、出資の段階で上場見込みを重視しないことから、企業再生ファンドの出資において「再生→上場」というケースは少数です。
それよりも、再生によって出資先の価値が高まり、非上場のまま株式の転売で儲けるのが主流となっています。

企業再生ファンドの出資額

 
企業再生ファンドは多額の出資を行います。
ベンチャーキャピタルはもとより、他の出資者と比べて出資額は大きいです。
企業再生ファンドは出資先の再生によって利益を得ていますが、再生そのものに多額の費用が掛かるケースが少なくありません。
それだけではなく、企業再生ファンドは持ち株比率にこだわります。
出資先企業は、経営に様々な問題を抱えて経営不振に陥っているわけです。
ベンチャーキャピタルのように、出資後もある程度自由(資金だけ出して、再生は出資先に任せる)というわけにはいきません。
ましてや、企業再生ファンドは事業再生のプロです。
再生を主導するためにも、企業再生ファンドは一定以上の株式を保有し、支配権を確保します。
当然、企業再生ファンドの出資額は大きく、出資先が調達できる金額も大きくなるというわけです。
企業再生ファンドも、ベンチャーキャピタルと同じく株式での出資という形をとります。
しかし、再生の進み方に応じて、貸付けによって資金を供給することも珍しくありません。
企業再生ファンドから出資を受ける場合、調達可能額が大きいことはメリットですが、経営の自由を奪われることはデメリットです。

出資後の経営への関与

 
企業再生ファンドは、出資後の経営に大きく関与してきます。
これは、持ち株比率だけではなく、役員・人員の派遣にも表れています。
出資後の体制整備にあたり、役員・人員を必ず派遣し、役員は常勤、スタッフの数もベンチャーキャピタルより多いのが普通です。
ベンチャーキャピタルに比べて、踏み込んだ関与をしてくるものと考えてください。
強いてメリットをいえば、企業再生ファンドが経営に関与する期間が短いことです。
ベンチャーキャピタルの場合、経営への関与は少ないものの、出資先が上場するまで関与し続けます。
企業再生ファンドの関与は、出資先の再生が完了するまでです。
上場までの道のりは長く、再生は短期で完了することもあります。
したがって、経営に関与する期間は、ベンチャーキャピタルよりも企業再生ファンドのほうが短いといえます。

事業会社

 
同じ出資者でも、事業会社とベンチャーキャピタルは性質が大きく異なります。
ベンチャーキャピタルとの違いにも触れつつ、事業会社の出資をみていきます。

事業会社の出資先

 
事業会社が出資するのは、事業会社の事業戦略に役立つ企業です。
ベンチャーキャピタルのように、上場の可能性にはこだわりません。
上場している企業でも、上場していない企業でも、さらには上場の見込みとは関係なく、事業会社自身の戦略に必要かどうかがポイントです。
このことは、株式市場をみても分かるでしょう。
株式市場では、しばしば「子会社化」ということがあります。
上場企業Aが上場企業Bの株式を多数取得し、子会社にしてしまうのです。
この場合、上場企業Aが出資者であり事業会社といえます。
上場企業Aは、事業戦略の遂行上、必要と判断した上で上場企業Bに出資します。
ただし、出資先が子会社になることを認めなければ、上場企業Bも株式を取得して防衛を図るため、出資がうまくいかないことも多いです。
実際、事業会社が出資者として登場するのは、「事業会社の事業に必要」ということに加えて、「出資先の経営が悪化しており、再生の協力者を求めている」というケースが一般的です。
事業会社は、事業戦略の必要性のある企業に対して、再生を支援するという形で出資します。
ベンチャーキャピタルのように上場可能性を考慮しないものの、企業再生ファンドのように再生可能性はそれなりに重視するといえるでしょう。

事業会社の目的

 
出資先からも分かる通り、事業会社は自社の事業戦略に基づき出資します。
したがって、事業会社は、事業会社と出資先の事業で相乗効果を引き出すことや、業界内でシェアを高めるための囲い込みを目的としています。
事業会社の主体は、ライバル会社や取引先、隣接業界などです。
事業会社の目的が分かれば、出資先を子会社化する理由もみえてくるでしょう。
せっかく出資しても、出資先が経営の自由を求め、事業会社の戦略に寄与しないのでは意味がありません。
事業会社が出資のリターンを得るには、出資先を強く支配し、事業会社の事業戦略に協力させる必要があります。
このため、事業会社は、ベンチャーキャピタルよりも強く支配権を求めます。
企業再生ファンドと比べても、事業会社のほうが支配権は強いです。
それも全て、事業会社が「事業戦略の遂行」を大目的としているためです。
もちろん、事業会社の出資が全て子会社化とは限りません。
しかしながら、子会社化には至らないとしても、目的達成のために子会社化に近い形になるのが普通です。

事業会社の出資額

 
事業会社の出資額は、ベンチャーキャピタルよりも大きいです。
一般的に、親会社が子会社の議決権の50%超を保有している状態を「子会社」といいます。
持ち株比率にすれば、50%超または40%超で一定の要件を満たす場合です。
持ち株比率が50%以下であっても、役員の派遣によって実質的に経営方針を決定できる状態にあれば、それも子会社とみなします。
このほかにも子会社化のケースはありますが、「株式の50%超を取得」と考えておけば良いでしょう。
このレベルの出資は、ベンチャーキャピタルはもちろんのこと、企業再生ファンドと比べても大規模といえます。
出資額の違いは、
「支配権を求めないベンチャーキャピタル<再生のためにある程度の支配権を求める企業再生ファンド<事業戦略の遂行のために子会社化を狙う事業会社」
をイメージするとよいでしょう。

出資後の経営への関与

 
事業会社の出資を受けることで、ベンチャーキャピタルよりもはるかに多額の資金を調達できます。
ただし、出資後の関与は最も強力です。
事業会社に出資を受ければ子会社となり、経営の自由はなくなります。
実際の事業運営にあたっては、事業戦略に基づいて経営陣の大幅な入れ替えも珍しくありません。
経営者を含む役員が派遣され、常勤として出資先に入り込むケースが大半です。
もちろん、事業会社から派遣されるスタッフも多く、会社全体が事業会社の色に染まると考えてください。

エンジェル投資家

 
ベンチャーキャピタルは機関投資家ですが、個人投資家も出資を担うことがあります。
エンジェル投資家と呼ばれるのがその代表です。

エンジェル投資家の目的・出資先

 
エンジェル投資家の目的は、機関投資家ほどはっきりしていません。
もちろん、個々のエンジェル投資家は明確な目的をもって出資しています。
しかし、エンジェル投資家はベンチャーキャピタル的な目的(上場益)を以て出資することもあれば、企業再生ファンド的な目的で出資することもあります。
また、会社を経営しているエンジェル投資家であれば、自社の事業戦略の必要性から、ライバル会社や取引先に個人的に出資することもあるでしょう。
このように、エンジェル投資家の目的は多岐にわたります。
それだけに出資先も様々です。
ただし、実際の出資先はエンジェル税制の影響を受けます。
エンジェル税制とは、一定の要件を満たす企業に投資したエンジェル投資家を優遇する税制です。
税的なメリットを得るために、「エンジェル税制の対象かどうか」という視点で出資先を選ぶエンジェル投資家も少なくありません。

エンジェル投資家の出資額

 
出資額も、エンジェル投資家の目的に応じて変化します。
資産家であれば、個人で巨額の出資に応じることもあるでしょう。
しかしながら、一般的には機関投資家よりも個人投資家のほうが資金力は小さいです。
個人の資金力で出資先を子会社化したり、再生のためにある程度の支配権を求めたりするケースは多くありません。
多くの場合、エンジェル投資家は小さな出資でそれなりのリターンを求めており、巨額の資金調達には不向きです。
出資額は、ベンチャーキャピタルよりも小さいと考えてください。

出資後の経営への関与

 
出資額が小さいエンジェル投資家は、経営にそれほど関与してきません。
持ち株比率が低ければ関与できる範囲も限られます。
とはいえ、関与の度合いは出資者の性向によりけりです。
ベンチャーキャピタルなどの機関投資家は、目的に応じて出資するため、経営への関与も持ち株比率相応です。
エンジェル投資家の場合、そうとは限りません。
口を出したがるエンジェル投資家は、持ち株比率からみて適当でない範囲まで口出ししてくることがあります。
そこまでひどくないとしても、持ち株に応じて最大源に関与し、口出しをするエンジェル投資家がいます。
逆に、あまり口出ししないエンジェル投資家は、それなりに持ち株比率が高くてもあまり関与してこないでしょう。
これも、エンジェル投資家の特徴であり、ベンチャーキャピタルとの相違点です。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリット

 
ここまでの内容を踏まえてベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットをみていきましょう。

返済義務がない

 
なんといっても、出資で調達した資金には返済義務がありません。
同じく、ベンチャーキャピタルの出資も返済義務がなく、これが大きなメリットといえます。
返済義務がないことから、ベンチャーキャピタルの出資は、ある意味で銀行融資よりも調達しやすいです。
銀行の融資は借入であり、返済義務があります。
したがって、銀行の融資審査で最も重視されるのは、返済できるかどうかです。
返済力に不安がある場合、銀行は「貸倒れリスクが高い」と判断して融資を拒否します。
連続赤字、債務超過、リスケ中といった大きな悪材料があれば、銀行融資を受けることができません。
銀行融資の調達難易度は、主に返済義務に起因しています。
もっとも、借入先は銀行だけではありません。
日本政策金融公庫やノンバンクも企業に融資しており、赤字や債務超過、あるいはリスケ中でも審査に通ることがあります。
とはいえ、借入先に限らず、融資であれば必ず返済義務があり、返済力が重要な判断基準であることは同じです。
致命的な問題によって、銀行が「融資謝絶」と判断した場合、日本政策金融公庫やノンバンクでもやはり「融資謝絶」となる可能性が高いです。
これに対し、ベンチャーキャピタルの出資は、融資のような難しさがありません。
出資には返済義務がないため、ベンチャーキャピタルが出資を検討する際には、返済力をほとんど度外視しています。
ベンチャーキャピタルの目的が「返済」ではなく「上場」である以上、返済力など何の役にも立たないのです。
将来性があり、上場を見込めるならば、たとえ銀行融資に落ちた企業でも出資します。
経営が悪化しており、融資を受けられない企業にとって、ベンチャーキャピタルの出資が返済不要であること、延いては返済力を度外視していることは、大きなメリットといえます。

ベンチャー企業でも調達しやすい

 
ベンチャーキャピタルの出資の「返済不要」というメリットは、他のメリットにつながります。
ベンチャー企業でも調達しやすいことは、ベンチャーキャピタルの大きなメリットです。
ベンチャーキャピタルという名前からも分かる通り、ベンチャーキャピタルはベンチャー企業に出資しています。
ベンチャー企業は、「未上場である」「将来性がある」「上場の見込みがある」といった要件を満たす場合が多く、ベンチャーキャピタルの出資目的にマッチしやすいのです。
これは、ベンチャー企業にとって大きなメリットになります。
業歴が浅く、事業実績が乏しいベンチャー企業は、銀行からの借入が困難です。
銀行が重視するのは現在と将来(少なくとも借入期間中)の返済力で、いくら将来性があっても、上場の見込みがあっても、ベンチャー企業には融資しません。
日本政策金融公庫などは将来性を考慮するため、ベンチャー企業に融資することも多いです。
しかし、日本政策金融公庫はあくまでも金融機関であり、融資のプロであっても出資のプロではありません。
事業の将来性を見極める能力は、ベンチャーキャピタルよりも日本政策金融公庫の方が低いというのが実情です。
ベンチャー企業の扱う商品やサービスがあまりにも革新的であれば、爆発的な将来性を秘めていると同時に、将来性は未知数といえます。
その革新性に社会が追い付かなければ、事業は頓挫するでしょう。
日本政策金融公庫の場合、貸付原資が税金であるだけに、そのような事業にはしり込みすることが多いです。
革新性に期待するよりも、未知のリスクを懸念し、融資しないケースも珍しくありません。
その点、ベンチャーキャピタルは出資のプロであり、出資の原資はベンチャーキャピタル自身の資金ですから、リスクを冒すこともできます。
日本政策金融公庫ならばしり込みする事業でも、ベンチャーキャピタルならば積極的に検討することがあるのです。
ベンチャー企業は、「将来性をあまり考慮しない銀行」や「将来性を考慮しても保守的な日本政策金融公庫」よりも、「将来性を重視し、リスク許容度が高いベンチャーキャピタル」の方が、スムーズに資金調達できることが多いです。
ベンチャー企業への出資こそ、ベンチャーキャピタルの本領であり、大きなメリットといえるでしょう。

無担保・無保証で調達できる

 
ベンチャーキャピタルの出資は、原則無担保・無保証で資金調達できることもメリットです。

ベンチャーキャピタルは無担保・無保証

 
資金調達方法の中には、担保・保証を重視するものが少なくありません。
最たるものが銀行融資です。
銀行から無担保・無保証で融資を受けられる企業は、全体の1割程度に過ぎず、その他の企業は不動産などの担保資産や、信用保証協会の保証がなければ融資を受けることができません。
追加融資を必要としていながら、担保・保証の不足によって資金を調達できない企業もあります。
一方、ベンチャーキャピタルの出資は原則として無担保・無保証です。
そもそも、担保・保証は返済できなくなった場合に、担保資産の売却や保証機関の弁済によって、貸し手の貸倒れリスクを軽減するものです。
ところが、ベンチャーキャピタルの出資には返済義務がありません。
返済義務がなければ貸し倒れということもなく、担保・保証を求めることもないのです。
ベンチャーキャピタルが担保・保証を求めないのは、当然といえます。

代表者個人の保証リスク

 
もっとも、ベンチャーキャピタルの出資は「“原則”無担保・無保証」であり、原則があれば例外もあります。
ベンチャーキャピタルと出資契約を結ぶ際、例外的に担保・保証が設定されるケースもあるのです。
ベンチャーキャピタルが、出資の際に担保を求めることはほとんどないのですが、保証には注意したいところです。
一般的に、信用保証協会などの機関保証は融資を保証するものであって、ベンチャーキャピタルの出資に利用されることはありません。
問題は、代表者個人の保証リスクです。
ベンチャーキャピタルの出資契約が無担保・無保証であれば、出資に失敗した際の損失は全てベンチャーキャピタルが引き受けます。
しかし、契約に買取請求権が付帯している場合、ベンチャーキャピタルは代表者に株式の買い戻しを求め、出資金を回収できます。
ベンチャーキャピタルの出資における買取請求権は、債権譲渡における償還請求権のようなものです。
融資における担保・保証とは意味合いが異なりますが、株式の買取によって出資金を弁済するのですから、実質的には債務の連帯保証と変わりません。
ベンチャーキャピタルの出資は無担保・無保証とばかり考え、安易に契約を結んだ結果、後々株式の買い戻しを求められる…といった失敗は避けるべきです。
とはいえ、ベンチャーキャピタルの出資が原則無担保・無保証であることは事実。
担保・保証の不足に悩んでいる企業には、大きなメリットといえるでしょう。

資金使途が自由

 
ベンチャーキャピタルの出資は、資金使途が自由です。
これもベンチャーキャピタルならではのメリットといえます。
資金調達方法の中で、資金使途を特に重視するのが銀行融資。
銀行は、融資先に資金使途の説明を求め、納得できなければ融資しません。
納得の上で融資しても、後に資金使途違反が発覚すれば、即座に回収に乗り出します。
銀行は、貸付金の使途が利益を生み出し、返済原資を得られることを期待して融資しているのです。
融資先が資金使途を守らなければ、銀行の融資判断は根底から崩れてしまいます。
それだけに、銀行をはじめとする金融機関は資金使途を重視し、借りる側も資金使途に縛られることに。
ベンチャーキャピタルの出資には、資金使途による制約がありません。
もちろん、ベンチャーキャピタルに事業内容を説明した上で出資を取り付けるのですから、出資金の使い道は説明する必要があります。
しかし、使い道を「運転資金」「再建資金」「研究開発費」「○○資金」といったように限定せず、資金使途違反ということもないため、出資金を柔軟に活用できます。
ベンチャーキャピタルにとって、「出資金の活用」とは「上場に近づくこと」にほかなりません。
上場という目的を見失わなければ、出資金の使い道に口を出されることは少ないでしょう。
逆に、あまりにも無策であり、上場に近づかない無意味な使い方をすれば、ベンチャーキャピタルが必ず口を出してきます。
それでも、銀行などに比べればベンチャーキャピタルは資金使途に寛容であり、成長・上場を目指す企業にはメリットといえます。

出資後の干渉が比較的少ない

 
出資者ごとの解説をみても分かりますが、ベンチャーキャピタルは出資後の干渉を受けることが少ないです。
経営の自由がかなりの範囲で保証されることは、ベンチャーキャピタルのメリットといえるでしょう。

持ち株比率と経営への干渉

 
出資後の干渉は、出資によってどれだけの株式を保有するかによって変化します。
出資者の権利、すなわち経営に口出しできる範囲は、持ち株比率によって変わるのです。
持ち株比率ごとの権利を簡単に示すと、以下の通りです。

  • 持ち株比率1%以上…特定の事柄を株主総会の議題とするよう、取締役に請求する権利(株主提案権)
  • 持ち株比率3%以上…株主総会の招集請求権
  • 持ち株比率1/3超…株主総会で特別決議を拒否する権利
  • 持ち株比率1/2超…株主総会の普通決議の権利(取締役の選任・解任、計算書類承認など)
  • 持ち株比率2/3超…株主総会の特別決議の権利(第三者割当増資の有利発行、株式交換、株式移転、会社分割など)

ベンチャーキャピタルは持ち株比率が低い

 
持ち株比率は、出資者の目的に応じて変わります。
企業再生ファンドは、再生のために経営に深くかかわるため、持ち株比率は高めです。
事業会社は、事業戦略遂行のために子会社化を目指すため、持ち株比率は1/2超になります。
これに対し、ベンチャーキャピタルの持ち株比率は低いです。
ベンチャーキャピタルとしては、デューデリジェンス(出資前の調査段階)で把握し、納得したところの事業計画通りに展開し、上場にたどり着けば利益を得られます。
出資先のやり方に問題があり、事業計画にズレが生じた場合には、ベンチャーキャピタルが口出しをして軌道修正を図るでしょう。
逆にいえば、それが可能であればよく、ベンチャーキャピタルは高い持ち株比率を目指しません。
持ち株比率が1%以上であれば、特定の事柄を株主総会の議題とするよう求め、事業計画の修正を図れます。
緊急度が高い問題であれば、株主総会の招集を請求するわけですが、それも持ち株比率3%以上で可能です。
ベンチャーキャピタルにとって、それ以上の権利が必要になることは少なく、出資後の干渉も軽微です。
ただし、ベンチャーキャピタルが持ち株比率を重視していなくても、結果的に持ち株比率が高くなり、干渉が強まることもあります。
出資後の事業展開によって資金が不足し、第三者割当増資を繰り返すうちに、ベンチャーキャピタルの持ち株比率が高くなることもあるのです。
その点には注意してください。

いずれは出ていく

 
上場後もベンチャーキャピタルが居座れば、経営に干渉を受け続けることになります。
しかし、ベンチャーキャピタルは、出資先が上場すれば株式を売却します。
いずれは出ていくのがベンチャーキャピタルであって、経営に関与するのはあくまでも「出資から上場まで」です。
いずれは出ていくということも、ベンチャーキャピタルのメリットといえます。
事業会社の場合、いつ出ていくとは決まっていません。
事業会社は、事業戦略に必要である限り、出資先を支配し続けます。
事業会社から出資を受けたばかりに、半永久的に子会社となり、自由のないまま経営を続けなければならないのです。
それに比べると、ベンチャーキャピタルは上場すれば出ていきますから、その意味でも経営への干渉は軽微といえるでしょう。

ベンチャーキャピタルが出資するメリットとは?

 
ここまでは、ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットについて解説しました。
ついでながら、出資するベンチャーキャピタル側のメリットもみておきましょう。
ベンチャーキャピタルは、信頼性の薄い新興企業であるとか個人経営に近いような中小企業などにも出資しています。

なぜそのようなリスクのあることをしているのでしょうか?

ベンチャーキャピタルにはベンチャーキャピタル側にもメリットがあるからこそ出資をしているのです。

こちらではベンチャーキャピタルが出資するメリットについてお伝えします。

メリットを把握することで、彼らの目的を知ることもできますよね。

目的が分かれば資金調達もしやすくなることは間違いありません。

審査を受けるに当たり、前もって対策もできるのです。

ベンチャーキャピタルのメリットその1|株式売却によるリターン

 
ベンチャーキャピタルは企業に出資することになるのですが、そのかわりに株式を受け取ることになります。

問題はその株価の動向です。

そもそもベンチャーキャピタルは大企業には出資しません。

創業間もないような小さな企業に対して出資するのです。

出資して株式を得る訳ですが、その時の株価は当然ながら低いです。

もちろん上場企業に対して出資するわけでもありません。

では出資した企業が大成功して大きな企業へと発展し、さらに上場することになったらどうなるでしょうか。

もちろん株価は高騰します。

そこでベンチャーキャピタルは株式を売却して利益を得ます。

会社の規模が小さい時に株式を得ているので、売却時に何倍もの利益を生むこともあります。

実際に出資額の100倍や1,000倍の価格になった、というケースもあるほどです。

株式売却によるリターンというメリットがあるからこそ、彼らは投資をするのです。

ベンチャーキャピタルのメリットその2|出資先企業の相乗効果

 
少し説明がいるかも知れません。

ベンチャーキャピタルは何も1社だけに出資しているのではありません。

ハイリスク・ハイリターンなビジネスなので、複数の企業に対して出資しているのです。

出資先企業を成功させるためには取引先とのマッチングも重要です。

ベンチャーキャピタルは複数の企業に投資するので、投資先企業同士を引き合わせる、といったことも行います。

マッチングが上手くいけば相乗効果を生むことになり、結果としてそれぞれの企業が大きく発展するきっかけになることもあります。

ベンチャーキャピタルは出資した企業に対してはとことん研究します。

様々な分析をしており、どのような取引先があればプラスに働くかも理解しています。

実はこの企業間のマッチングは出資された側にもメリットとなります。

特に創業間もない小さな会社に関しては、人脈もありません。

新たな取引先の開拓も簡単ではありませんよね。

そこでベンチャーキャピタルが役立ってくれるのです。

ベンチャーキャピタルとしても、投資先のビジネスが上手くいけばリターンが増えます。

Win-Winの関係なのです。

ベンチャーキャピタルのメリットその3|自身の能力が活かせる

 
ベンチャーキャピタルには起業家などが参加しています。

事業のノウハウを持った人間が多数いるのです。

彼らを出資先の会社の役員として経営陣に送り込みます。

そして会社の指導などを行うのです。

様々な経営アドバイスや事業に関するアドバイスなどを実施するのですが、これは出資を受ける側だけのメリットではありません。

ベンチャーキャピタル側としても、自身の能力が活かせる機会なのです。

再び会社を興す考えはないものの、自身の能力を若い起業家に受け継いでもらいたい、という方はたくさんいます。

しかし自身の人脈だけでは自身の能力を引き継いでもらいたい人がいない可能性もありますよね。

一方でベンチャーキャピタルであれば、多くの起業家が出資を望んでやってきます。

その中から期待できる人材に対して出資をして、さらに指導まで行うなど深く関わることができるのです。

出資と指導をした企業が大きく発展すれば達成感もあるでしょう。

自身の能力を活かせる、ということもベンチャーキャピタル側のメリットなのです。

ベンチャーキャピタルの出資を受けるには

 
将来性があり、上場を目指せる企業であれば、ベンチャーキャピタルの出資を受けられる可能性があります。
融資にはないメリットも多いため、ぜひ検討してみたいところです。
では、ベンチャーキャピタルの出資を受けるには、どのような流れになるのでしょうか。
大まかな流れは以下の通りです。

    1. ベンチャーキャピタルへのアプローチ
    2. 出資検討先の現状調査
    3. 出資条件の検討・交渉
    4. 出資契約・払い込み
    5. 出資後の体制整備

この流れについて、ベンチャーキャピタルの出資をうけるメリットも踏まえてみていきましょう。

ベンチャーキャピタルにアプローチする

 
ベンチャーキャピタルの出資を受けるには、ベンチャーキャピタルへのアプローチが第一歩となります。
ベンチャーキャピタルの出資は、数ある資金調達方法の中でも特にハードルが高いものです。
その大きな理由の一つは、アプローチの難しさにあります。
ここをクリアできれば、ベンチャーキャピタルのメリットはぐっと近づくでしょう。
ベンチャーキャピタルにアプローチする方法は、大きく分けて以下の3つです。

  • 経営者自らベンチャーキャピタルにアプローチする
  • スタートアップ企業向けの交流会に参加する
  • 第三者の仲介によってアプローチする

最も簡単なのは、ベンチャーキャピタルの公式HPなどを通じてアプローチすることです。
ベンチャーキャピタルの公式HPには、メールアドレスや連絡フォームが設けられています。
ベンチャーキャピタルは日々多くのアプローチを受けており、全てを検討することは現実的に不可能です。
アプローチの中から、ごく一部の目に留まったものだけ検討します。
したがって、このアプローチによって出資を獲得できるケースは稀です。
ベンチャーキャピタルから出資を受けるには、やはり実際に知り合うことが重要です。
ベンチャー企業であれば、スタートアップ企業向けの交流会に参加することで、ベンチャーキャピタルと知り合うことができます。
そのような機会がない経営者は、コンサルタントや他社の社長などに仲介してもらい、アプローチするのが良いでしょう。

出資検討先の現状調査

 
アプローチを受け、ベンチャーキャピタルが出資を検討する段階になると、現状調査が行われます。
これは、「デューデリジェンス」とも呼ばれ、ベンチャーキャピタルから出資を受けるためには避けられません。
この時、ベンチャーキャピタルが特に重視するのは、財務状況、将来性、法的リスク、組織体制です。
まず、ベンチャーキャピタルが出資するにあたって、財務状況を把握しなければなりません。
財務状況を正確に把握し、財務内容の良し悪しに応じて出資額を見積もるためです。
また、ベンチャーキャピタルは上場益を目的に出資するため、将来性の調査も行います。
このほか、将来的な法的リスクの把握も重要です。
財務が良好であり、成長性があっても、違法とみなされて上場できないとなれば、ベンチャーキャピタルの出資は失敗に終わります。
さらに、出資後は上場を目指して体制を整備していくため、経営陣、人事制度、情報システムなどの様々な情報・状況の調査も欠かせません。

出資条件の検討・交渉

 
デューデリジェンスに問題がなければ、ベンチャーキャピタルは出資を前向きに検討し、条件の交渉に移ります。
主な交渉内容は、出資金額、出資スキーム、持ち株比率、前提条件など。
ベンチャーキャピタルへの説明段階で、事業計画は綿密に立てていることでしょう。
自社の成長のために必要な金額も見積もっているはずです。
多額の資金調達にも対応していることは、ベンチャーキャピタルのメリットでもあります。
ベンチャーキャピタルとの交渉時には、必要額以上の出資を目指して交渉しましょう。
ベンチャーキャピタルの場合、出資スキームは株式が基本となります。
株式によって出資を受ければ、持ち株比率の問題も出てきます。
前述の通り、ベンチャーキャピタルは持ち株比率が低くなることが多いですが、全てのベンチャーキャピタルがそうとは限りません。
自社が多額の出資を求めれば、持ち株比率は高くなるでしょう。
ベンチャーキャピタルの中には、支配権を求めて持ち株比率を高く設定することもあります。
経営の自由がある程度保証されることが、ベンチャーキャピタルのメリットのひとつです。
そのメリットを確保するためには、ベンチャーキャピタルの持ち株比率があまり高くならないように交渉する必要があります。
前提条件にも注意してください。
ベンチャーキャピタルは、上場の妨げになる要素を排除するために、出資の前提条件としてリストラや資産の売却、事業の譲渡などを求めるケースも多いです。
ベンチャーキャピタルの前提条件をそのまま受け入れてしまうと、出資前後で事業環境が大きく変化しかねません。
そうなっては、出資後に過度な干渉を受けないというメリットも帳消しになるでしょう。
上場に失敗した場合に備えて、株式の買取請求権を求めるベンチャーキャピタルもあります。
ベンチャーキャピタルから出資を受けた企業のうち、上場にたどり着くのはごく一部です。
多くの出資先が上場に失敗することから、買取請求権付きの出資はかなりリスクが高いと考えるべきです。
ベンチャーキャピタルの出資条件は「無担保・無保証(買取請求権もなし)」が一般的であり、それがメリットともいえます。
このメリットを損なわないためにも、買取請求権は「なし」の方向で交渉しましょう。

出資契約・払い込み

 
ベンチャーキャピタルとの交渉がまとまれば、あとの流れは簡単です。
ベンチャーキャピタルと出資契約を結び、出資額の払い込みを受けます。

出資後の体制整備

 
ベンチャーキャピタルから出資金を受け取れば、上場を見据えて体制を整備します。
出資後の体制については、出資条件の交渉時に決めているはずです。
役員や従業員の処遇、ベンチャーキャピタルからの役員・スタッフの受け入れなど、出資契約に基づき体制を整備していきます。
ベンチャーキャピタルの場合、役員は非常勤、派遣スタッフは少数というケースが多いため、出資によって体制が大きく変わることは少ないです。
ベンチャーキャピタルの役員やスタッフは、企業の成長、延いては上場を見据えて派遣されるものですから、自社にとってもメリットがあります。
体制をしっかり整え、上場を目指していきましょう。

まとめ:ベンチャーキャピタルの出資も資金調達方法のひとつ

ベンチャーキャピタルの出資と、そのメリットについて詳しく解説しました。
ベンチャーキャピタルの出資は、主要な資金調達方法のひとつです。
他の資金調達方法と組み合わせ、必要に応じて利用することで高いメリットが期待できます。
とはいえ、ベンチャーキャピタルの出資も資金調達方法の一つに過ぎません。
企業の資金繰りを安定させるには、資金調達方法の多様化が重要です。
近年、ベンチャーキャピタルの出資よりも注目されているのが、売掛金の活用による資金調達。
No.1でも、売掛金の早期資金化に対応しています。
資金調達でお困りの際には、No.1までお気軽にご相談ください。

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