カテゴリー: 銀行融資

印象の悪化が命取りに…銀行借入ができなくなる行為を詳しく解説

銀行から借入はあるものの、毎月きっちり返済をしているというのに、追加融資を申し込んだら「審査落ち」で借入ができなかったというケースも少なからずあるようです。

借りたお金はきっちり返しているのになぜ?

と思う人も多いでしょうが、銀行も営利企業であり、かつ融資先を信用して資金を貸し付けるわけですから、銀行の利益見込みや融資先の信用を失墜させるような行為があれば、融資されないケースも十分に考えられるのです。

では、一体どのような行為をしてしまうと借入ができなくなるのでしょうか?

それでは、銀行からの借入ができなくなるような、具体的なNG行為について見て行きましょう。

他行から安易に融資を受ける

事業が少し軌道に乗ってくると、メインバンク以外の銀行から現在の融資利率より低いレートで融資を持ちかけられるケースも少なくありません。

確かに借入する側から見れば利息は安いに越したわけではないのですが、これがメインバンクから銀行借入ができなくなる行為となってしまう場合もあるのです。

もちろん複数の金融機関と取引すること自体は問題がないのですが、メインバンクからして見れば、融資するときに立てた利息収入や融資残高の減少により当初の収支計画が狂ってしまうのです。

またメインバンクは創業期から企業と「二人三脚」で歩んできた自負もあるわけですから、その信頼関係を損なうという意味で安易な他行からの融資や借り換えは禁物なのです。

もしメインバンク以外の金融機関からの融資や借り換えを考える場合には、事前にメインバンクの融資担当者に相談するなどの配慮も必要ではないでしょうか。

銀行借入先がひとつだけ

 
上記の通り、メインバンク以外から安易に融資を受けることは、銀行借入ができなくなる行為になりかねません。
ところが、メインバンク以外から全く融資を受けないことも、銀行借入ができなくなる行為といえます。

一行取引の危険性

 
メインバンク以外から全く融資を受けない場合、銀行借入の選択肢はメインバンクのみです。
このような一行取引は極めて危険です。
メインバンクから融資を受けられなければ、銀行借入での調達は不可能となり、資金調達に行き詰まります。
本来、メインバンクは「自社を最も強力に支援してくれる銀行」であるべきです。
銀行借入先が複数ある中から、自社と相性が良い銀行、親身になってくれる銀行を見極め、関係を深めていくことで、初めてメインバンクを作ることができます。
ところが、銀行借入先が一行だけであれば、相性が悪い銀行であっても、そこをメインバンクにするほかありません。
その場合、強力な支援は期待できず、メインバンクでありながらメインバンクとしての働きは期待できなくなります。
規模が小さい会社は、資金需要もさほど活発でなく、「A銀行だけで十分間に合っている」「わざわざ複数の銀行と取引するのは面倒」などと考えることも多いです。
しかし、一行取引を続けることは、銀行借入ができなくなる行為と考えてください。
メインバンクに配慮しつつ、銀行借入先を増やすことを考えましょう。

メガバンクの一行取引は特に危険

 
特に危険なのは、メガバンクの一行取引です。
これは、銀行借入ができなくなる行為の最たるものといってよいでしょう。
銀行にはメガバンク・地方銀行・信用金庫など色々ありますが、この中で最も逃げ足が速いのはメガバンクです。
メガバンクは資金量が大きいため、小さな会社の銀行借入に対応していては、とてもノルマを達成できません。
そこで、融資担当者は大口顧客を中心に考えます。
実際、メガバンクの銀行借入に対する姿勢は、年商によって大きく変化します。
年商が小さい会社ほど消極的と考えてよいでしょう。
基本的に、メガバンクが銀行借入に対応するのは、年商10億円規模の会社だけです。
さらに、メガバンクが本気で付き合う(メインバンクとして十分な働きをする)のは、年商50億円が目安となります。
メガバンクが年商を重視するのは、評価制度の影響です。
どの銀行も評価制度を設けており、融資額・回収額・預金額・投資信託販売額などによって銀行員を評価しています。
景気がよいときは融資額を伸ばすことが評価され、景気が悪いときは回収を進めることが評価されます。
メガバンクは、評価制度のプレッシャーが非常に強いのが特徴です。
したがって、メガバンクの銀行借入は景気に大きく左右されます。
例えば景気が悪化すると、新たな不良債権の発生を防ぐために、メガバンクはすぐに「回収方針」に切り替えます。
支店内で「積極的に回収」とみなされた融資先は、追加の銀行借入が困難となり、一方的に返済するばかりです。
逃げ足が速いメガバンクをメインバンクに据えてしまうと、景気や経営が悪化した際にすぐに見放され、資金調達が困難になる危険があります。
「メガバンクの一行取引」となると、さらに危険であることは言うまでもありません。
一行取引の中でも、メガバンクの一行取引は「銀行借入ができなくなる行為」と考えてください。
現在、銀行借入先がメガバンクだけという会社は、早急に銀行借入先を増やしましょう。
それによってメガバンクの心証が悪化したところで、メガバンクで一行取引を続けるよりもはるかにマシです。

安易に借り換える

 
銀行借入ができなくなる行為のうち、メインバンク以外で融資を受けることは、よほどのことがなければ問題にはなりません。
しかし、借り換えには注意が必要です。
安易な借り換えは、銀行借入ができなくなる行為の代表といえます。

借り換えとは?

 
借り換えとは、既存の銀行借入を、他の銀行借入に換えることです。
複数の銀行借入を一行にまとめたり、条件が悪い銀行借入を好条件の銀行借入に換えたりすることを指します。
借り換えは、経営が不調な会社でも、経営が好調な会社でもあり得ることです。
特に経営が好調な会社は、銀行から借り換えの提案を受けることがあります。
好調な会社は返済能力が高く、将来的に取引の拡大が見込めることから、銀行は積極的に融資したいと考えます。
しかし、増加運転資金や設備資金などのまとまった資金需要が発生していない、あるいは資金需要をメインバンクでカバーしているといった場合、なかなか融資のチャンスがありません。
そんな時、銀行が融資を売り込むパターンはいくつかありますが、借り換えもその一つです。
以下のように、借り換えという形で銀行借入を提案してきます。
「今の借入条件はあまりよくありませんね。うちの銀行でまとめてはどうですか。既存の銀行借入よりも金利は下げます。月々の返済額も減らせますよ」
このようにいわれると、つい借り入れたくなってしまいます。
しかし、安易な借り換えは銀行借入ができなくなる行為ですから、慎重に検討すべきです。

借り換えのメリット

 
借り換えのメリット・デメリットを簡単にみていきましょう。
まず借り換えのメリットですが、金利が下がる、事務効率が上がる、資金効率が上がる、返済負担が軽くなる、担保を活用しやすくなる、といったことが挙げられます。
金利のメリットは単純です。
借り換えの提案では、既存の銀行借入よりも低い金利を提示するのが一般的です。
金利が下がれば支払利息が安くなり、資金繰りの負担は軽くなります。
また、複数の銀行借入を借り換えで一本化すれば、取引銀行を集約できるため事務効率が上がります。
預金を複数行に分散させないことにより、資金効率のアップも期待できるでしょう。
月々の返済額が安くなることも、借り換えの代表的なメリットです。
例えば、1000万円・1年返済の銀行借入を5本よりも、5000万円・5年返済の銀行借入を1本にまとめたほうが月々の返済額が圧縮され、資金繰りに余裕が生まれます。
このほか、複数の銀行で担保設定する場合、それに見合う融資がなされないことも多いため、借り換えによって担保を有効活用できることも多いです。

借り換えのデメリット

 
ただし、借り換えはデメリットも少なくありません。
最大のデメリットは、借り換えが「銀行借入ができなくなる行為である」ということ。
銀行は、自行の融資を借り換えされることを嫌います。
融資シェアを他行に奪われ、予定していた収益も得られなくなるためです。
借り換えを提案してくる銀行は、全くの新規取引かもしれません。
これまでの付き合いを捨てて、新しい銀行に乗り換えるのですから、既存の銀行の心証が悪化するのは当然といえます。
その後、乗り換えられる銀行が融資を出さなくなることも十分にあり得ます。
銀行借入のうち、メインバンクの借入を借り換えるならば、特に注意が必要です。
メインバンクは、取引銀行の中で最も積極的に自社を支援してくれる存在です。
普通の取引銀行からメインバンクになるまでに、様々な取引をこなし、時間をかけて関係を構築してきたことでしょう。
そんなメインバンクだからこそ、関係性を無視するような借り換えに対しては「銀行借入ができなくなる行為」とみなします。
メインバンクとの信頼関係が、たった一回の借り換えで台無しになってしまうのです。
今のメインバンクに不満があるならば、借り換えでメインバンクごと変えてしまうのも一つの手です。
しかし、借り換える銀行が、果たしてどれだけ自社を支援してくれるかは未知数。
現在のメインバンクが自社にとってよいパートナーであれば、メインバンクの借り換えは避けた方が良いでしょう。
借り換えるとしても、あまり関係の深くない(最悪、関係が切れてもよい)サブバンクを選んでおくのが無難です。
さらに、既存の銀行借入を借り換えによって一本化する場合、複数行取引から一行取引になります。
これは、銀行借入の選択肢が減ることを意味します。
もちろん、借り換えた一行に見放されてしまえば、資金繰り難は避けられません。
取引銀行が減ることからも、借り換えは銀行借入ができなくなる行為といえるのです。

安易なリスケジュールはNG

 
経営再建のためにリスケジュールを検討している会社もあるでしょう。
しかし、安易なリスケジュールは避けてください。
リスケジュールは、銀行借入ができなくなる行為のひとつです。

リスケジュールとは

 
リスケジュールとは、返済計画の見直しのことです。
銀行借入の際には、無理のない返済計画を立てていても、その後の経営悪化などにより返済が困難になることがあります。
その場合、借入先の銀行に返済計画の見直しを求め、経営の立て直しを図るのがリスケジュールです。
リスケジュールの形は会社によって様々ですが、一定期間にわたって元金の返済を据え置き、利息のみ支払うのが一般的です。
リスケジュールは、借入先の全ての銀行が横並びで対応します。
一部の銀行借入に限ってリスケジュールすることは不可能です。
そして、リスケジュールの期間中は、全ての銀行が追加融資を出しません。
全ての借入先が「元金の返済据え置き」という新たな返済計画に同意しているのです。
当然ながら、現在の借入総額や借入条件などを考慮した上で、この返済計画を立てています。
そこへ追加の銀行借入が加わり、「元金+利息」の返済負担が発生すれば、リスケは破綻するでしょう。
それを避けるためにも、既存の借入先から追加融資は受けられなくなります。
もちろん、リスケに踏み切るような経営状況では、新たな銀行から新規融資を受けることも不可能です。
したがって、リスケジュールは問答無用に「銀行借入ができなくなる行為」と考えてください。

安易なリスケは避けるべき

 
近年、政策の後押しもあり、銀行はリスケジュールに寛容になっています。
したがって、銀行借入の返済が苦しくなると、安易にリスケを考える経営者が増えているようです。
また、経営再建を謳うコンサルティングの中には、リスケを前提に考えているものが少なくありません。
しかし、リスケジュールは銀行借入ができなくなる行為です。
上記の通り、銀行が横並びで対応することも理由の一つですが、それ以上に銀行としては「リスケ中の会社には貸したくても貸せない」理由があります。
それは債務者区分です。
全ての銀行は、金融庁の金融検査マニュアルに則り、融資先の債務者区分を仕分けしています。
債務者区分は正常先・要注意先・要管理先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先の六つ。
このうち、銀行借入を受けられるのは正常先だけです。
要注意先も銀行借入が可能ですが、正常先に比べてはるかに難しいことは間違いありません。
要管理先になると基本的には銀行借入ができず、破綻懸念先以下では銀行借入は絶望的です。
リスケジュールは、債務者区分を大幅に悪化させます。
現在の債務者区分が良好であっても、リスケジュールに踏み切った時点で「要管理先」以下に転落するのです。
もちろん、その後の銀行借入は実質的に不可能となります。
リスケジュールが銀行借入ができなくなる行為といえる理由は、根本的には「債務者区分の悪化」にあります。
リスケジュールで生み出される余裕資金だけで資金繰りを回せる自信がなければ、リスケジュールは避けてください。

ノンバンクからの借入金が決算書に残っている
ノンバンクが提供する「ビジネスローン」は、融資実行までのスピードが早く、審査基準も銀行と比べると緩やかということもあり、急を要する資金調達には便利な方法です。
ただし、その分金利も高く、決算を跨ぐような長期の資金調達をしてしまうと、銀行借入ができなくなる行為となってしまうのです。
ノンバンクから借りたことは必ず銀行にバレます。
銀行借入の際には決算書を提出しますが、それに付随する勘定科目内訳表(の中の「借入金の内訳」)には、ノンバンクから借りていることが掲載されるのです。
故意に隠そうとすれば粉飾決算になり、粉飾決算も「銀行借入ができなくなる行為」の代表といえます(詳しくは後述)。

ノンバンクは高金利

 
ノンバンクからの借入が、銀行借入ができなくなる行為といえる理由は、高金利と信用悪化にあります。
基本的に、ノンバンクの金利設定は高いです。
借入額にもよりますが、年15%程度の設定もしばしば。
金利が高ければ資金繰りの負担は大きく、返済能力の低下は避けられません。
ノンバンクの利用前の返済力は「融資可」でも、ノンバンクで調達後の返済力では「融資不可」になることもあるでしょう。
金利が高いことから、ノンバンクでの借り入れは銀行借入ができなくなる行為といえるのです。

ノンバンクは信用悪化につながる

 
信用が悪化することからも、ノンバンクは銀行借入ができなくなる行為といえます。
一般的に、銀行借入の金利は年2~3%です。
普通に銀行借入で調達できる会社が、わざわざノンバンクで調達することは基本的にあり得ません。
それでもノンバンクで借りているならば、なにか問題があると疑われるのも無理はないでしょう。
銀行は企業の決算書を見て財務状況を判断するわけですから、高い金利を取るノンバンクからの借入残高が決算書に残っていれば、その企業の資金繰りが厳しいと判断するのです。
つまり、「ノンバンクで借りた」という事実そのものが問題視されます。
このように考えると、ノンバンクでの調達は間違いなく「銀行借入ができなくなる行為」といえるでしょう。

ノンバンクの使いどころ

 
ノンバンクからの安易な調達は、銀行借入ができなくなる行為のため避けるべきです。
逆にいえば、安易でなければノンバンクで調達するのもアリでしょう。
分かりやすいのが、銀行借入の見込みが全くない場合
経営内容が悪く、プロパー融資・担保付融資・保証付融資などのあらゆる銀行借入が不可能、さらには日本政策金融公庫でも調達できないといった会社は、ノンバンクも検討してみる価値があります。
この場合、既に銀行借入が絶望的ですから、「銀行借入ができなくなる行為」を犯したところで、銀行借入ができないことに変わりはありません。
もちろん、将来的に銀行借入ができなくなる行為は避けるべきです。
ノンバンクの影響は限定的ですから、使い方によっては役に立ちます。
ただしこの場合、ノンバンクの利用とリスケジュールはセットで考えてください。
上記の通り、リスケジュールも銀行借入ができなくなる行為の代表です。
一定期間にわたって銀行借入を受けられなくなる代わりに、元金返済を据え置くことができます。
その間はノンバンクで資金を調達し、経営の立て直しを目指すのです。
このほかにも、ノンバンクの使いどころは色々あるでしょう。

ノンバンクの賢い使い方

 
とはいえ、ノンバンクが「銀行借入ができなくなる行為」であることは間違いありません。
リスケ中とはいえ、会社としてノンバンクで調達し、信用悪化を招くのはできるだけ避けたいところ。
そこでおすすめなのが、個人で借り入れることです。
経営者が個人的にノンバンクから借入れ、それを会社に貸し付ける形にすれば、借入金内訳には「経営者からの借入」として掲載されます。
経営者からの借入は、銀行借入ができなくなる行為ではありません。
「ノンバンクからの借入」として掲載されるよりもはるかに印象が良く、信用が悪化しにくいのです。
ただし、結局はバレてしまうこともあります。
銀行が経営者の個人信用情報をみれば、ノンバンクから借り入れていることはすぐに分かるのです。
経営者の個人信用情報に「ノンバンクから100万円借入れ」という情報があり、会社の借入金内訳には「経営者から100万円借入れ」とあれば、銀行はおそらく感づきます。
とはいえ、仮にバレたとしても「ノンバンクから借入」と記載されるよりはマシです。
銀行借入ができなくなる行為を避けるためにも、できることはしておくべきでしょう。

安易に定期預金を解約する
手持ちの現預金に余裕がある時に、ある程度の金額を定期預金として預け入れることも多いのではないでしょうか。

そして資金繰りが苦しくなった時に、その定期預金を解約して運転資金に回すということも、十分考えうることではないでしょうか。

しかし、これを安易に解約することも、銀行借入ができなくなる行為なのです。

実は、銀行は自行に対する預金と融資のバランスで企業を評価しており、かつ銀行自体も預金残高と融資残高のそれぞれで目標数値を持っていることから、このバランスを崩すようなことは、銀行の収益計画から言っても心証を悪くするため、銀行借入ができなくなる行為にほかならないのです。

今日、明日の融資を要求する
銀行からの融資が実行されるためには、申し込みから稟議、審査、決裁などの手続きが必要なことから、実際に融資されるまで少なくとも2〜3週間はかかってしまいます。

ですからいきなり銀行に行って、すぐに融資してほしいと依頼しても「そんな短期間で融資はできないのだから、断らなければならない。」「そんなに緊急に資金が必要ならば、経営状態はかなり悪化しているのではないか」「急いで稟議書を作っても、審査に通らないんだから、対応するだけ無駄。」と考えられてしまい、銀行の心証を悪くするだけなのです。

事業計画や決算書に責任を持たない
銀行から融資を受ける時には、銀行に事業計画書と決算書を提出し、事業の今後の見込みや返済計画を銀行に対して説明することが必要です。

ですから、銀行側としてもその状況を把握していくのは当然のことといえるでしょう。

そのため、新規融資を含めた相談の際に、事業計画や収支見込みを責任持って説明できないことも、銀行借入ができなくなる行為に他ならないのです。

提出書類を整理していない

 
銀行借入の際だけではなく、日常のコミュニケーションの中でも、銀行に様々な書類を提出します。
銀行との取引は、銀行借入の時だけではなく、長期にわたって積み重ねていくものです。
積み重ねる期間が長いほど、提出する書類も多くなります。
ところが、提出書類をきちんと整理していない会社がほとんどです。
提出書類を整理しないことも、銀行借入ができなくなる行為といえます。
なぜならば、銀行は融資先の書類を全て整理しているためです。
「自社は提出書類の管理がずさん、しかし銀行は提出書類をしっかり管理」という場合、銀行借入などの交渉時に困ったことになります。
銀行が正確な情報をもとに交渉に臨むのに対し、自社はうろ覚えで交渉しなければなりません。
自社が説明と、銀行の情報にズレが生じることは避けられないでしょう。
このズレが大きい場合、銀行は「話が違う」と考えるため、心証が悪化します。
特に複数の銀行と取引している会社は、銀行によって交渉を変えなければならないことも多いです。
嘘をつくのはNGですが、銀行によって開示する情報を変えたり、自主的な書類提出の頻度を変えたりすることも、交渉には欠かせません。
銀行ごとに提出書類を整理していなければ、A銀行だけに伝えるべき情報をB銀行に伝えてしまう、といったミスが頻発します。
その結果、交渉に嘘があるという印象を与えてしまうことも。
このように、提出書類をきちんと整理しないことは、銀行借入ができなくなる行為といえるのです。
それを避けるためにも、今日から銀行別の記録を残しましょう。
提出書類のコピーを銀行別にファイリングしておくことに加えて、交渉の日付、銀行員の名前、話した内容、銀行員の反応などを簡単にメモしておくと、今後の銀行借入に役立ちます。

粉飾決算は絶対にNG

 
無責任な決算書の代表といえるのが粉飾決算
緊急時や非常時には、なんとしても銀行借入が必要と考え、粉飾決算に手を出す会社があります。
しかし、粉飾決算は「銀行借入ができなくなる行為」の中でも特に深刻です。
一時的に銀行借入ができなくなるだけでは済まず、半永久的に銀行借入ができなくなる行為になりかねません。
粉飾決算の典型例は、売上の架空計上、利益の過大計上、不良債権の飛ばしなどです。
粉飾決算にも、積極的な粉飾と消極的な粉飾があります。
売上の架空計上や利益の過大計上などは積極的な粉飾にあたり、一発で「銀行借入ができなくなる行為」と考えてください。
不良債権や不良在庫などの含み損を開示しない、有価証券や不動産の含み損を開示しないといったものは、粉飾の中でも消極的な部類です。
粉飾の自覚がなく、これらの粉飾に手を出してしまっている会社もあります。
とはいえ粉飾は粉飾であり、銀行借入ができなくなる行為には変わりありません。
粉飾は、やり方次第で決算書がきれいに見え、銀行にバレないこともあります。
しかし、いつまでも銀行を騙せるわけではなく、いつか必ずバレます。
一度粉飾に手を染めてしまうと、粉飾から抜け出せなくなるのです。
今年粉飾した会社は、来年も粉飾しなければ決算書のつじつまが合わなくなり、銀行にバレてしまいます。
かといって、来年も粉飾、再来年も粉飾という形でだまし続けることも不可能です。
銀行は、粉飾決算の洗い出すために何重にもチェックします。
この厳しいチェックを一時的にすり抜けたところで、何年も繰り返すうちに必ずバレるでしょう。
数年後に粉飾が発覚した時、銀行はその粉飾が意図的かつ継続的に行われていると判断します。
消極的な粉飾であっても、銀行借入ができなくなる行為とみなされ、期限の利益を喪失することは必至です。
安易な粉飾は絶対に避けてください。

税理士・会計士に丸投げしてはいけない

 
税理士や会計士に丸投げすることも無責任な姿勢であり、銀行借入ができなくなる行為といえます。
これらの専門家が作った決算書は、銀行借入にマイナスになることが少なくありません。少なくとも、税理士や会計士、さらには経理担当者だけに任せ切ってしまうことは禁物です。
そもそも、税理士・会計士の論理と、銀行の論理は全く異なります。
税理士・会計士にとっての「良い決算書」と、銀行にとっての「良い決算書」は全く違うのです。
税理士・会計士の多くは節税を重視しています。
会社が納める税金をいかに少なくするかが重要です。
経営者としても、税理士や会計士の働きによって納税額が少なくなれば、悪いようには考えないでしょう。
しかし、法人税は利益に対してかかるものです。
納める税金を減らすということは、利益を減らすことにほかなりません。
必要な出費によって利益を減らし、節税できるならば良いでしょう。
ところが、税理士・会計士の中には、節税のためにあえて利益を減らすケースがあります。
目的と手段が逆になっているのです。
極端な例をいえば、「損失は繰り延べでき、将来儲かったときに税金を納めなくて済む」などと説明し、故意に赤字の決算書を作るケース。
確かに節税にはなるでしょうが、同時に「銀行借入ができなくなる行為」といえます。
銀行は、本業から得られる利益を返済原資とみなします。
赤字の会社には返済原資が認められず、銀行借入が難しくなるのです。
また、赤字決算や繰越損失は債務者区分を悪化させます。
前期が赤字決算であれば、その他に問題がなくても正常先から要注意先に転落。
前期が黒字でも、繰越損失があるだけで正常先から要注意先にダウンします。
赤字に加えて繰越損失があれば、要管理先への転落もあり得るでしょう。
上記の通り、スムーズに銀行借入が出るのは正常先だけです。
税理士や会計士に丸投げし、赤字決算や繰越損失に陥ると、借りられるものも借りられなくなってしまいます。
節税自体は良いことですが、結果的に「銀行借入ができなくなる行為」であれば本末転倒です。

業績が悪化しているのに経営計画書を作っていない

 
銀行からの融資を使って、事業を継続し成長させていくためには銀行の心証にも配慮したコミュニケーションが重要です。
また、事業を成長させていくためには経営計画も欠かせません。
経営計画書を作っていないことも、銀行借入ができなくなる行為といえます。
もっとも、経営計画書が銀行借入に与える影響は、会社の状況によって異なります。
経営が順調であれば、経営計画書を作っていないからといって、銀行借入ができなくなる行為にはなりません。
銀行が重視するのは返済力であり、返済原資は利益ですから、利益がしっかり出ている会社であれば、経営計画書がなくともスムーズに銀行借入ができるでしょう。
もちろん、経営計画書を作っておけば銀行借入の審査にプラスになりますが、その影響は微々たるものです。
一方、銀行借入が難しい会社は、経営計画書を必ず作成してください。
例えば、業績が悪く赤字の会社。
返済原資がないのですから、銀行借入が難しいことは明白です。
このような会社に対しても、銀行は何とか融資したいと考えるものです。
そもそも、「返済原資がない」ということは、「借入金の返済が困難」ということであり、延いては「既存の借入れを返済できず、貸し倒れになる可能性が高い」ことを意味します。
銀行が貸倒損失を避けるためには、難しい中で何とか融資を実行し、「経営立て直し→黒字回復→返済原資が得られる」という流れを作っていく必要があります。
赤字の会社が銀行借入に成功するには、この点をしっかりと押さえなければなりません。
経営計画書を作成しないことが、銀行借入ができなくなる行為といえるのもこのためです。
経営計画書の中で、将来的に利益を上げて返済原資を作ることができることを説明できれば、銀行借入が出る可能性は十分にあります。
経営計画書の作成にあたり、ポイントとなるのは簡潔明瞭を心がけること。
経営計画書の骨子は、年次損益計画・月次損益計画・アクションプランの三つです。
これだけを提出するだけでも、銀行借入は大きく変わってくるでしょう。
なお、経営計画書も専門家に丸投げしてはいけません。
決算書を税理士や会計士に丸投げするのと同様に、経営計画書を専門家に丸投げすることも銀行借入ができなくなる行為です。
経営者が先頭に立ち、深く考え、時間をかけて作った経営計画書であれば、経営者自身が経営計画を十分に理解しています。
しかし、専門家に丸投げして作った経営計画書は、経営者がよく理解していないことが多いです。
したがって、銀行から口頭で説明を求められたとき、うまく説明できません。
そのような経営計画書に説得力があるはずもなく、銀行の納得は得られないでしょう。
経営が悪化している会社は、「経営計画書の未作成」と「経営計画書の丸投げ」の二点が銀行借入ができなくなる行為と考えてください。

資金使途に問題がある

 
銀行借入の際には、必ず資金使途を伝えなければなりません。
資金使途も、内容次第で銀行借入ができなくなる行為となります。

認められる資金使途・認められない資金使途

  
資金使途には、認められるものと認められないものがあります。
認められない資金使途であれば、銀行借入を受けられないだけではなく、銀行の心証を悪化させるでしょう。
例えば、株式投資のための資金、経営者の個人的な資金、関係会社への転貸資金などは資金使途として認められません。
つまるところ、「正当な資金使途」とは、本業に必要なものであり、なおかつ利益につながるものです。
会社が株式投資を行う場合、投資先の会社と自社の事業の相乗効果を目的とするならば、銀行借入の資金使途として認められます。
しかし、単純に値上がり益を目的とする株式投資は、本業とは無関係であり、しかもハイリスクです。
経営者の個人的な資金(住宅購入・教育資金・車の購入など)も、本業とは無関係であり、返済原資にもつながらないため資金使途として認められません。
関係会社への転貸資金は、本業と無関係とはいえないものの、やはり認められない資金使途です。
理由は単純です。
このような場合、銀行は「本体の会社が融資を受ける必要はない(関係会社が融資を申し込むべき)」と考えます。
関係会社が、銀行借入が難しい状況であれば、自社が連帯保証人になることで融資を受けやすくすることもできるはずです。
それをせずに、下手に「銀行→自社→関係会社」という流れを取ろうとすれば、銀行に疑いの目でみられることもあり得ます。
銀行は、非常識な会社を嫌うものです。
認められない資金使途で銀行借入を受けようとすれば、心証の悪化を招き、そのこと自体、銀行借入ができなくなる行為になりかねません。

資金使途は正確に伝える

 
もうひとつ注意したいのが、資金使途は正確に伝えることです。
資金使途の伝え方が正確でなければ、資金使途違反とみなされる恐れがあります。
資金使途違反は、銀行借入ができなくなる行為の代表的なものです。
銀行が融資を実行する場合、その根底には「この資金使途であれば返済原資も期待できるし、積極的に支援してもよい」という判断があります。
銀行借入の後、資金使途以外の目的に流用されると、銀行の計画は根底から崩れてしまうのです。
当然、貸し倒れリスクも上昇するわけですから、銀行は資金使途違反に厳しく対応します。
経営者は、銀行借入の審査に通ればもう安心と考えるかもしれません。
しかし、銀行は融資後、資金使途の通りに使われたかどうかを必ずチェックします。
設備資金として銀行借入を受けた会社は、銀行員の訪問を受けて設備の現物を確認されたり、投資設備の領収書を求めたりします。
資金使途に違反している会社は、「実際に投資しておらず現物がない」、「領収書の金額が異なる」といったことから、容易に発覚するものです。
資金使途違反と判明すれば、その銀行は二度と融資を出さなくなります。
資金使途違反の相手がメインバンクであれば、致命傷になりかねません。
メインバンクは、自社を最も積極的に支援してくれる存在です。
サブバンクも、メインバンクの動向を常に気にします。
メインバンクが手を引くと、サブバンクの融資姿勢も必ず悪化します。
サブバンクが独自に調査した結果、「どうも資金使途違反らしい」と分かれば、サブバンクも一切融資を出さなくなるでしょう。
銀行借入ができなくなる行為の中でも、資金使途違反は特に深刻です。
ところが、軽い気持ちで資金使途違反に陥る会社も少なくありません。
特に多いのが、設備資金を運転資金に流用するケース。
設備資金ならば、多額の融資を受けることも比較的容易です。
本来は運転資金を必要としている会社が、数ヶ月分の運転資金を確保することを目的に、あえて設備資金として銀行借入を受けることがあります。
もちろん、これも資金使途違反であり、銀行借入ができなくなる行為にほかなりません。
銀行借入を受ける際には、資金使途の虚偽・不正確は絶対に避けてください。

銀行とのコミュニケーション不足

 
銀行とやり取りするのは面倒と考えたり、思わぬところで評価が落ちてはいけないと考えたりして、銀行とのコミュニケーションをできるだけ避ける経営者もいます。
しかし、銀行とのコミュニケーション不足も、銀行借入ができなくなる行為のひとつです。

銀行の構造

 
銀行借入ができなくなる行為は、融資担当者とのコミュニケーション不足だけではありません。
一口に銀行といっても、銀行には本部と支店があり、支店内にも預金係・融資係・得意先係の3つがあります。
簡単に説明すると以下の通りです。

  • 預金係…窓口で顧客の預金や振込みに対応するほか、出納や振込事務などを行う係
  • 融資係…支店の融資審査を行う係
  • 得意先係…外回り(営業)を行う係

それぞれの係には係長(預金係長・融資係長・得意先係長)がおり、その上に次長がいます。
次長より上が支店内で一番偉い「支店長」という構造です。
融資担当者とのコミュニケーションを避けるのはもちろんのこと、それ以外の様々な立場の人とコミュニケーションを取らないことは、銀行借入ができなくなる行為と考えるべきでしょう。

融資担当者とのコミュニケーション不足

 
なぜ、コミュニケーション不足は「銀行借入ができなくなる行為」といえるのでしょうか。
それは、銀行借入の審査は稟議制によって行われているためです。
稟議制では、銀行借入の審査書類を支店内で回覧し、複数の銀行員が「融資可」「融資不可」の意見を記載した後、支店長(場合によっては本部の審査部)が決済を下します。
審査書類(いわゆる稟議書)を作成するのは融資担当者ですから、融資担当者とのコミュニケーションが不十分であれば良い稟議書はできず、稟議に携わる銀行員からも良い反応は得られないでしょう。
このことから、融資担当者とのコミュニケーション不足は「銀行借入ができなくなる行為」といえます。
コミュニケーションが不足しているだけならばまだしも、融資担当者を避けるような態度を取ってしまうと、心証の悪化は避けられません。
融資担当者も人間ですから、悪い印象を抱いている会社には「良い稟議書を作ろう」という気にはなりません。
逆に、普段から積極的にコミュニケーションを取っていると、自社の情報が融資担当者によく伝わり、心証も良くなるものです。
これにより、融資担当者が稟議書を作る姿勢も変わってきます。
多少問題がある会社も、なんとか良いところを見つけて「積極的に対応したい」など一言添えてくれることが多いです。

支店長とのコミュニケーション不足

 
もっとも、稟議制は合議制ではありません。
支店内で最も大きな権限を持つのは支店長であり、最終判断を下すのも支店長です。
極端な話、支店長以外の行員が全て「融資不可」と判断しても、支店長がゴーサインを出せば銀行借入を受けられます。
逆に、支店長以外の行員が全て「融資可」と判断しても、支店長が「融資不可」といえば銀行借入はできません。
特殊な融資案件、例えば融資額が大きく支店決済の範疇を超える案件などは、本部が最終判断を下します。
その場合にも、支店長の判断が重視されます。
本部の審査部は、多くの支店から稟議書が回ってくるため、ひとつひとつの案件を精査する余裕はありません。
したがって、現場に近い支店長の意見を尊重し、支店長が「可」と判断していれば、多くは本部でも審査に通ります。
支店長とのコミュニケーション不足は、それ自体が「銀行借入ができなくなる行為」とはならないものの、悪印象は何としても避けるべきです。
普段、支店長と交流する機会はあまりないかもしれません。
それだけに、コミュニケーションの機会はしっかりと押さえたいところです。
支店長としても、「経営者と全く会ったことがない会社」と、「経営者と一度でもあったことがある会社」では印象が異なります。
たった一回でもあったことがあれば、心情的に銀行借入を通しやすくなるものです。
支店長とのコミュニケーションを深めることができれば、銀行借入を有利に進めることができます。
おすすめは決算説明です。
決算説明の際、融資担当者に「支店長も同席してほしい」と頼んでおきます。
年に一回のことですから、よほどの理由がない限り、支店長が拒否することはありません。

コミュニケーションはまんべんなく

 
銀行員とのコミュニケーションは、まんべんなくとることを心がけましょう。
支店長が最終判断を下すからといって、コミュニケーションが支店長に偏るのは考え物です。
本部の審査部と同様、支店長も多忙です。
支店長は支店経営の責任者であり、様々な業務をこなしています。
重要な融資先への訪問、本部行員や本部役員への対応、顧客とのゴルフや会食、地域の開業への出席などなど。
支店長が全ての稟議に深くかかわることはできず、融資係長の意見を重視することが多いです。
その融資係長も、融資担当者の意見を重視するですから、稟議に携わるすべての銀行員(融資担当者、融資係長、次長、支店長)とまんべんなく付き合うことが大切です。
融資係以外とのコミュニケーションも、銀行借入に影響します。
分かりやすいのが得意先係です。
得意先係は、顧客を訪問して営業します。
得意先係から融資の提案を受け、それに乗る形で銀行借入を受けるのが最もスムーズです。
とはいえ、得意先係は多くの顧客を抱えているため、なかなか訪問してくれないことも。
得意先係とのコミュニケーション不足を放置しておくことは、(スムーズな)銀行借入ができなくなる行為といえるでしょう。
自社から働きかけることで、得意先係に定期的に訪問してもらうことができます。
例えば、試算表などはきっかけになりやすいです。
試算表を毎月作成し、それを月に1回取りに来てほしいと頼んでおくのです。
銀行員としても、明確な目的・用事があれば訪問しやすくなります。
コミュニケーションが深まるにつれ、融資提案を持ってきてもらうのが理想です。
融資係だけではなく、他の係ともコミュニケーションを心がけてください。

まとめ:銀行借入でお困りの方はNo.1にご相談ください

この記事では、銀行借入ができなくなる行為について詳しく解説しました。
銀行借入ができなくなる行為を知らなかったばかりに、知らず知らずのうちに印象を悪化させ、融資を受けられなくなる会社は少なくありません。
銀行借入の際だけではなく、日常の取引においても、銀行とは正しく付き合いたいものです。
とはいえ、銀行借入で安定的に資金繰りを回すのは難しく、銀行借入に過度に依存するのは危険です。
銀行借入以外の資金調達方法を確保しておけば、銀行借入ができなくなる行為があっても、すぐに資金繰りが破綻することはありません。
そこでおすすめしたいのが売掛金の早期資金化。
銀行借入ができなくなっても、売掛金で資金を調達すれば資金繰りを維持できます。
No.1では売掛金の早期資金化のほか、コンサルティングを行っています。
銀行借入でお困りの方は、No.1までお気軽にご相談ください。

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