カテゴリー: ファクタリング
フリーランスの強い味方!請求書前払いを可能にするファクタリングとは何?
フリーランスとして事業を行っている方は、特に最初のうちはクライアントの指示に従わざるを得ない場面が多いはずです。
支払いのサイト(支払いまでの期間)もその1つであり、請求書を出してから実際に入金されるまでに2か月以上かかる支払契約もあります。信頼関係があり長期にわたり取引しているクライアントであれば、多少サイトが長くても不安感はありませんが、初めて取引するクライアントは本当に支払ってくれるのか心配です。
また、収入が安定しないフリーランスの場合、数万円の入金が数十日先になっていることで、資金繰りが悪化し、生活資金がなくなってしまうケースもあります。
そうした場合役に立つのが「請求書前払い」というシステムです。今回は、この請求書前払いについてフリーランスの方向けにアレンジし紹介します。
請求書の基礎知識
この記事のテーマである「請求書前払い」とは、請求書の前払いによって売掛金を早期回収するサービスです。
請求書前払いは近年増加傾向にあり、「請求書前払い」だけではなく「請求書買取り」「請求書現金化」「売掛金買取り」などと呼ばれることもあります。
これらのサービスは基本的に同じであり、どれも請求書を前払いするサービスと考えて差し支えありません。
ただし、請求書前払いはサービスとしての歴史が浅く、まだまだ浸透していないため、仕組みがわからない人も多いはずです。
請求書前払いを理解するには、請求書の基本について知る必要があります。
まずは請求書の基礎知識を簡単にみていきましょう。
請求書と売掛金
法人・個人事業主を問わず、多くの事業者は信用取引によって取引しています。
信用取引とは、取引先の信用を担保として、代金の後払いを認める取引です。
商品やサービスを売掛先に提供した後、支払期日を待って代金を回収します。
類似の取引に手形取引がありますが、手形取引と信用取引は異なります。
どちらも取引によって「後日代金を回収する権利(=売掛債権)」が発生する点では同じであるものの、手形取引では受取手形が、信用取引では売掛金が発生する点で異なるのです。
受取手形は有価証券の一種であり、券面としての実態があります。
手形に裏書きをしたり(裏書譲渡)、銀行に売却したり(手形割引)することで資金化することも可能です。
これに対し、売掛金には実体がありません。
自社が請求書を発行、売掛先が請求書を受理することによって、権利としての売掛金が生じるのみです。
つまり、請求書は売掛金の発生要因といえます。
請求書の役割
請求書は売掛金の発生要因であり、信用取引においては極めて重要な役割を担っています。
請求書を発行し、売掛先が受理することで請求内容が確定します。
逆に、請求書を発行しない限り請求内容は確定せず、売掛金(自社が代金を受け取る権利=売掛先が代金を支払う義務)も生じません。
実際に、売掛先の支払いが遅延する原因として、意外に多いのが「請求書の発行漏れ」です。
また、請求内容が確定していれば、請求書によって売掛金の存在を裏付けることもできます。
売掛金のエビデンスは、請求書以外にも発注書や納品書などがあります。
しかし、発注書や納品書は、請求書に比べて証拠力が低いです。
発注書は「売掛先の発注内容を示す書類」であり、これによって「発注通りの取引が行われ、請求書が受理された場合に○○円の売掛金が発生する」と考えられます。
納品書は「自社の納品内容を示す書類」であり、これによって「納品物に問題がなく、請求書が受理された場合に○○円の売掛金が発生する」ことを意味します。
つまり、発注書・納品書だけでは取引の完了、請求内容の確定、売掛金の発生などを確認できません。
当然ながら、売掛先の発注ミスや納品物の瑕疵によって請求内容が変わったり、取引そのものがなくなる可能性もあります。
請求書を発行し、請求内容が確定しているということは、売掛先から発注があったこと、自社が納品を行ったことを含みます。
「請求内容を裏付ける請求書」と、「発注内容を裏付ける発注書」「納品内容を裏付ける納品書」では、証拠力に雲泥の差があるのです
以上のように、請求書は信用取引の仕組みに欠かせない、重要な役割を担っています。
請求書前払いについて解説
ここからは、資金調達方法としての請求書前払いについて解説していきます。
「請求書」の「前払い」は矛盾する?
請求書前払いとは、読んで字のごとく「請求書を前払いするサービス」です。
しかし、請求書と売掛金の関係、請求書の役割から考えると、「請求書を前払いする」というのは矛盾しています。
そもそも請求書は売掛金の発生要因であり、売掛金は「将来的(支払期日)に売掛先から代金を受け取る権利」です。
つまり、請求書は後払いを前提としたものであり、前払いを前提とするものではありません。
このように考えると、請求書の前払いは矛盾しているのです。
しかしながら、請求書前払いサービスは実際に存在し、後述の通り違法性もありません。
この矛盾を解消するためには、請求書が売掛金の裏付けであること、請求書によって売掛金の売買・譲渡を媒介できることがポイントとなります。
手形を割り引く際には、手形の券面を介して債権の譲渡・売却を行います。
手形の券面を裏付けとして手形債権を買い取り、結果的に前払いを受けた形になるのが手形割引です。
請求書の前払いも同じように考えるとよくわかります。
請求書という媒体を通して、売掛金(売掛債権)の譲渡・売却を行うのが「請求書前払い」です。
つまり、「請求書の前払い」は実質的に「売掛金の前払い」であり、請求書そのものを買い取って前払いするというよりは、「請求書を裏付けとして売掛金を買い取り、結果的に前払いを受けた形になる」と考えるのが正確です。
請求書の前払いは、請求書の一般的な解釈と意義から考えると矛盾が存するものの、請求書前払いの根拠とスキームから考えるならば、必ずしも矛盾していません。
請求書前払いの仕組み
請求書を発行すると、請求書の中に「振込期日」「入金日」などを記載します。クライアントからはこの日(までに)入金があるわけですが、その期日が2か月先というケースも少なくありません。
売上として計上しているのは請求書発行日、ないしそれ以前なのに、実際に入金されるのは数十日先、その数十日の間に生活に窮してしまうこともあります。
請求書を発行していると「売掛金」として計上し、資産になっていますが、現金化されていないので、キャッシュフローに含まれず、資金繰りが悪化してしまいます。
もし、請求書の期日までに売掛金の前払いが可能なら、資金繰りもキャッシュフローも改善します。
それを可能にするのが請求書前払いシステムである「ファクタリング」です。
請求書前払い「ファクタリング」の具体例
請求書前払いとファクタリングはほぼ同義で使われます。
請求書前払い(ファクタリング)について事例で見てみましょう。
あるフリーランスの方(Aさん)がクライアントB社から
- 5月31日請求書作成(売上発生日5月31日)
- 売掛金10万円
- 入金日7月31日
の請求書を出しました。10万円の入金日は、本来7月31日ですが、他の仕事がなかなか取れなかったこともあり、7月1日時点でかなり生活資金がひっ迫してしまいました。このままだと7月31日まで持ちそうもありません。
6月下旬に複数の仕事が取れて、その支払い(入金)が7月下旬なので、7月1日から7月末まで生活できれば何とかなりそうです。消費者金融やカードローンに手を出したくないですし、そもそもフリーランスでは審査に通らないかもしれません。
今7月31日支払いのB社の売掛金10万円の前払いが可能なら、月末まで生活でき、月末入金の他の仕事まで資金繰りを維持できます。
そこで役に立つのが請求書前払い(ファクタリング)です。請求書前払いは、「7月31日にB社から10万円受け取る」という請求書を事前に第3者が買い取ってくれるサービスです。
10万円受け取る請求書、つまり、10万円の売掛債権を第3者に有償譲渡することで、「権利を売る」ことになり、それにより入金日前に現金を手にできます。
この請求書を売ることで、売掛金を実質的に前払いしてもらうシステムをファクタリングと言い、近年広く使われています。
請求書前払いの法的根拠
請求書前払いは、後払いされるはずの売掛金を早期資金化できるため、資金繰りの維持に効果的です。
法人でもフリーランスでも、請求書の前払いによる資金調達が広がっています。
とはいえ、請求書前払いの普及率はまだまだ低く、法整備も不十分であることから、法的側面が気になる人も多いことでしょう。
請求書前払いの法的根拠は以下のように考えます。
請求書の前払いは債権譲渡
請求書前払いの法的根拠を理解するには、法的な括りを知ることが重要です。
上記の通り、「請求書の前払い」は実質的に「売掛金の前払い」であり、請求書を裏付けとして売掛金を譲渡し、早期資金化することを指します。
つまり、請求書前払いは売掛金の譲渡取引にほかなりません。
このことは、金融庁の公式HPをみるとよくわかります。
金融庁は、「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」に対し、「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と明示しているのです。
金融庁のいう「売掛債権等を買い取るサービス」は請求書を裏付けとして行うため、請求書前払いも法的には債権譲渡取引といえます。
請求書の前払いは100%合法
請求書の前払いが債権譲渡取引であることを知れば、法的根拠は自ずから明らかです。
債権譲渡取引について、民法第466条には以下のように明記されています。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
この条文を請求書前払いによって解釈するならば、
- 請求書を裏付けとして売掛金を譲り渡し、前払いを受けることができる
- 売掛先が請求書の前払いを禁止・制限した場合でも、請求書の前払いは有効である
ということです。
民法によって合法性を担保されているのですから、請求書の前払いは100%合法といえます。
法的な括りで解釈が変わる
逆に言えば、表面的に請求書前払いを謳っていても、実質的に債権譲渡といえない場合には合法とは限りません。
例えば、「請求書の前払い」「売掛金の前払い」「早期資金化サービス」などのサービス名であっても、契約的には債権譲渡契約ではなく、金銭消費貸借契約とみなされるケースがあるのです。
その場合、法的な括りは金銭消費貸借となり、債権譲渡取引としての法的根拠は適用されなくなり、合法・違法の考え方も変わります。
したがって、「債権譲渡である以上、請求書前払いは完全に合法」と考えると同時に、「請求書前払いを装う悪質業者は避ける」ということも重要です(悪質業者について、詳しくは後述)。
請求書前払い(ファクタリング)の種類
請求書を買い取ってくれる会社をC社としましょう。Aさん(フリーランス)、クライアントB社、そしてファクタリング会社C社、それぞれがどのように関与するかどうかで、大きく分けて2つの請求書前払いの種類があります。
2社間ファクタリング
AさんとC社のみで完結する請求書前払い(ファクタリング)です。クライアントB社は、Aさんから自社に出された請求書がC社に売られたことを知りません。
Aさんにとっては自分の資金繰りが悪化していることをクライアントB社に知られずに請求書をC社に買い取ってもらい、早期に現金化できるメリットがあります。しかし、C社に払う手数料は高くなります。
なお、最近はオンライン方式の請求書前払いも徐々に普及しています。
これは、2社間取引の手続きをオンラインで完結するものです。
利用登録や請求書の提示、前払いのための手続きや契約などをすべてオンラインで行います。
オンラインでの請求書前払いは、業者側の事務負担が軽微なため、従来の2社間方式に比べて安い手数料で利用でき、前払いのスピードにも優れています。
3社間ファクタリング
AさんがC社に請求書を買い取ってもらうことをB社も了解し、3社で契約書を取り交わします。B社はAさんが請求書前払いを行うことを知ります。それで心証が悪くなるのか、Aさんの資金繰りを考え、支払いサイトを短くしようとするかはわかりません。
請求書前払いに関与する3者それぞれその事実を知りますので、リスクが減り、手数料は低めになります。
請求書の前払いは2社間かつオンラインが基本
請求書前払いは、仕組み的には2社間・3社間のどちらも可能です。
しかし、現在日本で主流となっているのは2社間取引であり、特にフリーランスが請求書を前払いする場合は2社間が基本となります。
また、フリーランス特化型の請求書前払いは、オンラインを前提とするサービスが非常に多いです。
フリーランスは事業規模が小さく、前払いする請求書の額面も少額になるケースが大半です。
3社間取引の場合、少額の請求書を前払いするために、クライアントの協力を得る必要があります。
しかし、フリーランスとクライアントのパワーバランスは、クライアントに偏っていることが多く、クライアントを巻き込む3社間取引は現実的ではありません。
さらに、少額の請求書を前払いし、なおかつ業者が採算を確保するためには事務効率が重要となります。
請求書前払いサービスの多くは、効率化のためにもオンライン方式を採用しているのです。
これから請求書前払いを利用するフリーランスの方は、オンライン方式を利用すると考えて差し支えありません。
仮にオフラインの業者があったとしても、あえて選ぶ必要はないでしょう。
請求書前払いの流れとポイント
ここからは、実際に請求書前払いを利用することを前提として、請求書前払いの流れとポイントをみていきましょう。
なお、上記の通り請求書の前払いは2社間取引が基本です。
したがって、ここでは2社間での請求書前払いを前提として解説します。
請求書前払いの大まかな流れ
請求書前払いのためのファクタリングについて、流れをまとめました。
- 請求書前払いサービスに登録する
- フリーランスがクライアントに請求書発行
- フリーランスがファクタリング会社に請求書買取依頼
- 前払いする請求書について審査が実施される
- ファクタリング会社が請求書買い取り、現金【請求書金額-手数料】を支払い
- 請求書の入金日到来(フリーランスがファクタリング会社に売掛金入金額を支払い)
請求書前払いの基本的な流れは以上の通りですが、細かな流れは業者によって異なります。
したがって、実際に請求書を前払いする際には業者の定める流れに従ってください。
請求書前払いのポイント
上記の流れのうち、ポイントは以下の4点です。
1.請求書前払いに申し込むタイミング
請求書前払いの流れのうち、まずは申し込むタイミングを押さえる必要があります。
多くの請求書前払いサービスは事前登録が必要となります。
したがって、まずは請求書前払いサービスに登録を行いましょう。
次に、請求書を前払いするための前提として、クライアントに対して請求書を発行していることが必須となります。
たとえ納品を行っても、クライアントの検収が完了していなければ役務が完了したとはいえません。
また、クライアントの検収が完了し、役務が完了しても、請求書を発行しなければ請求内容が確定することはありません。
請求内容(請求額や支払期日)が確定しなければ、請求書によって売掛金を裏付けることもできず、業者は前払いに対応できないのです。
したがって、請求書前払いに申し込むタイミングは、「サービスへの事前登録」と「請求書の発行」の完了後となります。
2.請求書前払いの審査内容
実際に請求書前払いを利用する際には、業者の指定する必要書類を提出して審査を受けます。
書類の提出を求められる理由は、業者が請求内容を把握し、審査するためのものです。
したがって、請求内容の把握に無関係な書類を求められることは基本的にありません。
実際、フリーランス向けの請求書前払いサービスでは、前払いしたい請求書と、その他いくつかの書類を求められるだけです。
登録時にいくつかの書類を提出し、その後のサービス利用では請求書のみ、といったケースも少なくありません。
主な審査内容は、請求書に怪しい点がないか、請求金額や支払期日がサービスの規定に当てはまっているか、といった点です。
例えば、請求書の金額が小さすぎる(大きすぎる)、支払期日が遠すぎる、といった場合には前払いできません。
3.クライアントへの通知は不要
2社間取引の請求書前払いは、申し込みから実際の前払いまで、クライアントが一切関与しません。
事前にクライアントの内諾を取り付けたり、業者がクライアントに確認(請求書について照会)をとったりすることはありません。
もちろん、クライアントへの債権譲渡通知・承諾手続きも不要です。
普通、債権譲渡取引には債権譲渡通知・承諾がつきものです。
請求書前払いも、実質的に債権譲渡取引である以上、債権譲渡通知・承諾を行うのが基本ですが、2社間取引に限っては通知・承諾は必要ありません。
したがって、クライアントに知られることなく請求書を前払いできます。
4.決済に注意
2社間で請求書を前払いする場合、最終的な決済に注意しましょう。
2社間取引にはクライアントが一切関与せず、フリーランスが請求書を前払いしたことを知りません。
そのため、支払期日になると、クライアントはフリーランスに対して代金(請求金額)を支払います。
しかしながら、請求書の前払いを受けた段階で売掛金の譲渡は完了しており、債権はフリーランスから業者に移っているため、代金を受け取る権利は業者にあります。
したがって、クライアントから代金を受け取った代金を、業者に対して決済しなければなりません。
つまり、売掛金を回収する流れは「クライアント→前払い業者」ではなく、「クライアント→フリーランス→前払い業者」となるのです。
この流れに問題が生じると、業者は様々な不利益を被ります。
特に、支払われた代金をフリーランスが使い込んでしまうと、業者は代金を回収できなくなる恐れがあります。
このようなリスクを避けるためにも、請求書前払いの利用契約においては、代金決済について厳しく定められているのが普通です。
例えば、「請求書の支払期日から1週間後までに決済する」などと期日が定められています。
この期日を超過した場合、遅延損害金を請求される、請求書前払いサービスを利用できなくなる、利用限度額を減額されるなど、様々なペナルティが課せられます。
請求書前払いの流れは、あくまでも「決済を以て完了」と考えてください。
請求書の前払いで資金調達するメリット
請求書前払い(ファクタリング)のメリットは以下の通りです。
借り入れよりも簡単
なんといっても、請求書前払いの最大のメリットは借り入れよりも簡単に資金調達できることです。
フリーランスの借り入れが難しい理由
法人であれば、資金調達の基本は銀行融資であり、請求書の前払いは補完的な位置づけとなります。
しかし、フリーランスが銀行から融資を受けることは困難です。
そもそも、銀行の融資判断で最も重要なのは「返済力があるかどうか」であり、返済力に負担があれば融資を拒否します。
フリーランスは事業規模が小さく、業績・財務が不安定です。
銀行は、本業から得られる利益を返済原資とみなします。
業績が不安定なフリーランスは、返済原資である利益を問題視されやすく、融資審査に落ちやすいのです。
したがって、フリーランスの借入先は、基本的にはノンバンクのビジネスローンとなります。
とはいえ、ビジネスローンでの借り入れも容易ではありません。
ノンバンクのビジネスローンとはいえ、融資である以上は返済力が判断基準になります。
単に、ビジネスローンは銀行融資よりも返済力の判断がやや甘いというだけです。
フリーランスの場合、消費者金融系のビジネスローンでさえ、審査に落ちることは珍しくありません。
また、消費者金融業者のフリーローンを利用する場合も同様です。
少なくとも、収入が安定している会社員に比べて、収入(業績)が不安定なフリーランスは審査に落ちることが多いです。
借り入れと請求書前払いの違い
その点、請求書前払いはフリーランスでも問題なく利用できます。
これは、借り入れと請求書前払いの審査基準が大きく異なるためです。
すでに述べた通り、銀行融資やビジネスローンの審査では「融資先の返済力」が審査基準となります。
これに対し、請求書前払いの審査基準は、「フリーランスの返済力」ではなく「クライアントの支払い能力」です。
請求書前払い業者は、請求書の内容をもとに審査を行い、請求金額から手数料を差し引いて前払いします。
支払期日にクライアントから満額回収することで、業者は手数料分の収益を得る仕組みです。
つまり、前払い業者にとって重要なのは「クライアントから回収できるかどうか」であり、フリーランスの経営状況や支払能力は問題になりません。
だからこそ、前払い業者は請求書の内容と、クライアントの支払い能力を基準に審査するのです。
業務内容にもよりますが、企業から受注するフリーランスも多いです。
大抵の場合、発注側である企業は、受注側であるフリーランスよりも事業規模が大きく、業績・財務も安定しています。
したがって、
「事業規模が小さく、業績・財務が不安定なフリーランスを審査基準とする借り入れ」
よりも、
「事業規模が大きく、業績・財務が安定しているクライアント(企業)を審査基準とする請求書前払い」
のほうが、資金調達のハードルは低いのです。
赤字や税金滞納でも利用可能
フリーランスは業績が不安定であり、特定のクライアントに依存しているケースも多いです。
したがって、大口のクライアントから取引を打ち切られた場合、売上が一気に減ったり、赤字に陥ったりすることが少なくありません。
業績が赤字であれば、返済原資である利益を確保できないのですから、借り入れによる資金調達はほぼ不可能です。
これに対し、請求書前払いは赤字でも利用できます。
フリーランスの業績が赤字でも、クライアントに問題がなければ業者は前払いに応じます。
赤字だけではなく、税金を滞納しているときでさえ、請求書前払いならば利用可能です。
業者によって対応が異なるものの、少なくとも税務署に分納を申請しているならば、請求書を前払いできるケースが大半です。
また、信用情報の照会もないので、過去にクレジットカード支払い滞納などで「金融ブラック」になっている人も利用できます。
請求書前払いは業歴不問
業歴の点でも、請求書前払いは借り入れよりも利用しやすいです。
銀行融資やビジネスローンで借り入れるならば、業歴を理由に断られることも多々あります。
業歴が短ければ、過去の業績の推移によって返済力を判断することができず、そのような相手にあえて貸し付ける理由がないのです。
これに対し、請求書前払いは業歴を問いません。
フリーランスを開業して数年しか経過していない場合や、業歴1年未満の場合でさえ、請求書の前払いであれば資金を調達できます。
請求書前払いの審査基準はクライアントにあるため、業歴が短いことを理由に審査に落ちたり、利用条件が悪くなることはありません。
コロナ禍によって、フリーランスの数が急増しました。
これは、収入が減少した会社員が副業としてフリーランスを始めたり、解雇された会社員がフリーランスに転職するケースが増えたためです。
2024年現在、このようなフリーランスは業歴が極めて短く、業歴を理由に借り入れを断られる可能性が高いです。
業歴によって資金調達が困難なフリーランスは、ぜひ請求書前払いを活用してください。
担保、保証人不要
請求書前払いは無担保・無保証で利用できます。
これもフリーランスにとって大きなメリットとなります。
請求書前払いが無担保・無保証の理由
フリーランスが資金を調達する際、問題になりやすいのが担保・保証の不足です。
銀行融資では担保・保証を重視しますが、フリーランスの多くは十分な担保・保証を持っていません。
フリーランスは個人で業務を行っており、事業のために不動産や機械などの動産を所有することもないため、不動産・動産を担保とした融資を受けられないのです。
単に担保が不足するだけであれば、信用保証による借り入れも可能です。
信用保証協会は、フリーランスを含む小規模企業者も保証の対象としていますが、フリーランスが保証付融資を受けることはあまり現実的ではありません。
信用保証協会の保証限度額は、無担保の場合に8000万円まで融資を受けることができます。
ただし、これはあくまでも保証枠の上限であり、実際の保証限度額は月商によって決まります(一般的には月商3ヶ月分)。
フリーランスは事業規模が小さく、月商も低いため、たとえ保証を受けられても調達できる金額はごくわずかです。
このように、担保・保証が不十分であることも、銀行がフリーランスへの融資に消極的な理由といえます。
だからこそ、フリーランスには請求書の前払いが役立ちます。
請求書前払いは、原則として「無担保・無保証」で利用できるためです。
ここでいう無保証とは、信用保証協会などの保証機関による保証が不要であるほか、第三者や代表者個人による連帯保証が不要であることを意味します。
そもそも、担保・保証は債務不履行に備えるための仕組みです。
借入金を返済できなくなった場合、担保資産の売却や保証機関・保証人の弁済によって貸倒れリスクを回避・軽減することを目的としています。
つまり、担保・保証は返済義務を前提としているわけです。
しかし、請求書前払いは債権譲渡取引であり、融資ではないので担保や保証人は不要です。
強いて言えば、請求書そのものがある意味担保になります。
「〇日に△円振り込みます」という記載があるこれ以上ない保証です。
ノンバンクは保証人が必要
フリーランスが借り入れによって資金調達する場合、ノンバンクを利用するケースも多いです。
基本的に、ノンバンクのビジネスローンでは無担保・無保証で利用できます。
ただし、ノンバンクの「保証人不要」には注意が必要です。
確かに、ノンバンクの融資は、保証機関による保証や、第三者の連帯保証を求められないという意味では「保証人不要」といえます。
しかし、大抵のビジネスローンでは、フリーランス本人が連帯保証人になる必要があるため、請求書前払いの「無担保・無保証」とは意味が異なります。
したがって、純粋な意味での無担保・無保証を求めるならば、ビジネスローンでなく請求書前払いを利用するのが賢明です。
フリーランスに強い
ここまでの解説にもある通り、請求書前払いはフリーランスに強いサービスです。
もっとも、請求書前払いは法人向けのサービスとして発展してきたことは否めません。
法人においても、信用取引の際には請求書を発行することで売掛金が確定します。
請求書前払いサービスを利用すれば、売掛金の早期資金化が可能です。
資金繰りに役立つ方法として注目されており、政府も利用を推奨していることから、特に中小企業の間で請求書前払いが急速に普及しています。
フリーランスを対象とする請求書前払いが増えてきたのは、ごく最近のことです。
政府の働き方改革やコロナ禍の影響によってフリーランスの数が増え、請求書前払いの需要が高まったことにより、フリーランスの請求書前払いに応じる業者が増加しました。
この流れの中で、フリーランスを専門とする請求書前払いサービスも登場し、フリーランスの資金調達環境が一変したのです。
フリーランスが請求書を前払いするならば、フリーランス専門の業者、もしくはフリーランスに強い業者を選ぶのがポイントです。
フリーランス向けの請求書前払いサービスは、フリーランスの利用を前提として利用環境を整備しています。
これにより、以下のようなメリットが期待できます。
- オンライン完結で利便性が高い
- スピーディに資金調達できる
- 少額の請求書にも対応
- 個人間取引の請求書にも対応
No.1でも、フリーランス向けの請求書前払いに力を入れています。
最短即日で前払い
請求書前払いは、資金調達スピードにも優れています。
あらゆる資金調達方法の中で最もスピーディといってよいでしょう。
このことは、借り入れと請求書前払いの資金調達スピードを比較するとよくわかります。
- 銀行融資…数週間~1ヶ月
- ノンバンクのビジネスローン…最短即日~数営業日
- 請求書前払い…最短数時間
ノンバンクのビジネスローンには、即日融資を謳うものがたくさんありますが、実際には数営業日を要するのが一般的です。
特に、銀行系や信販系のビジネスローンの場合、即日融資のハードルは高いといえます。
これに対し、請求書前払いは最短数時間で調達可能です。
もちろん、実際の資金調達スピードは方式によって異なり、通常の2社間取引ならば最短即日~数営業日、3社間取引ならば数日を要します。
通常の2社間取引はオフラインでの手続き(対面や郵送での契約)が必要となるため、申し込みのタイミングが遅かったり、書類に不備があったりすれば、即日で資金調達できないこともあります。
また、3社間取引は売掛先への債権譲渡通知・承諾を行うため、即日対応は不可能です。
しかしながら、上記の通りフリーランスの請求書前払いは2社間かつオンラインが基本となります。
クライアントが関与しないため簡単な手続きで利用でき、書類提出や契約もすべてオンラインで行うことによって、短時間で取引を完了できます。
また、オンライン型の請求書前払いサービスではAI審査もごく一般的です。
AIは、提出書類の情報を用いて機械的に審査するため、人の手で審査するよりも圧倒的にスピーディです。
請求書という「○日に売掛金を受け取ります」という証拠があるので、これを迅速に買い取ることで現金化ができます。
融資のように審査に1週間~10日かかることもなく、必要なタイミングでスピーディに請求書を現金に換えることができます。
No.1の請求書前払いサービスは、最短30での前払いにも対応しているため、緊急の資金調達にもおすすめです。
利便性が高い
資金調達方法を選ぶ際には、利便性の比較が欠かせません。
特に、フリーランスは利便性が重要となります。
というのも、フリーランスは事業規模が小さく、資金繰りもコンパクトなため、少額の資金調達が基本です。
数万円~数十万円の資金調達であれば、手間のかからない方法で調達するべきでしょう。
請求書前払いは利便性にも優れています。
オンラインが基本
すでに解説したように、フリーランス向けの請求書前払いはオンラインでの利用が一般的です。
オンラインの請求書前払いは、すべての手続きをオンラインで行うため、利便性に優れています。
手続きのために業者のスタッフと面会したり、書類を郵送したりする必要がありません。
書類のアップロード、商談、契約などを、すべてパソコンやスマホで完結できます。
例えば、No.1のフリーランス向け請求書前払いでは、商談にはZoomなどのビデオ会議アプリを利用し、契約には弁護士ドットコム株式会社のCLOUDSIGNを利用します。
そのほか、債権譲渡に伴う登記手続きも不要です。
必要書類が少ない
必要書類が少ないことも大きなメリットです。
融資を受ける場合、様々な書類を求められますが、請求書前払いは手元の書類だけで利用できます。
例えば、No.1の請求書前払いサービスでは、以下の4点をご提出いただきます。
- 直近3ヶ月の取引入金が確認できる書類
- 確定申告書直近2期分
- 請求書
- 取引先企業との基本契約書
このように、取得・作成に手間のかかる書類は一切不要です。
継続利用の場合、請求書だけで利用できるサービスもあります。
貸し倒れ防止にも使える
請求書前払いは、貸し倒れの防止にも効果的です。
フリーランスと貸し倒れ
クライアントが怪しい企業、つぶれそうな企業の場合、請求書の期限に入金される保証がありません。
フリーランスの業種や方針によっては、特定少数のクライアントに売上を依存することも多いです。
その場合、クライアントの資金繰り悪化や倒産によって請求書が入金されなければ、資金繰りがショートする危険があります。
フリーランスの多くは、事業上の資金繰りと家計上のやりくりが一体になっているため、「資金ショート→家計の破綻」ということにもなりかねません。
請求書通りに支払われなかった場合、フリーランスはクライアントに支払いを催促したり、場合によっては法的手段に訴える必要があります。
とはいえ、満額回収できることは稀です。
また、フリーランスの売掛金は数万円~数十万円程度が一般的であり、回収コストが請求金額を上回ることもしばしばです。
結果的に、泣き寝入りせざるを得ないケースが多々あります。
貸倒れリスクを軽減するには、クライアントへの与信管理を徹底することが重要です。
しかし、法人でさえ難しい与信管理をフリーランスが行うことは現実的ではなく、できることといえば請求漏れを防ぐことくらいでしょう。
いくら請求書を出したところで、支払うかどうかはクライアント次第なのですから、貸倒れリスクの軽減にはほとんど効果がありません。
請求書前払いは「償還請求権なし」
フリーランスが貸倒れリスクを回避するには、請求書前払いが最も効果的です。
請求書前払いは、「償還請求権なし」で契約します。
償還請求権とは、譲渡した債権が回収できなくなった場合、譲受人から譲渡人に対して債権の買い戻しを求める権利のことです。
「償還請求権なし」の契約であれば、たとえ回収不能になっても買い戻しを求めることはできず、損失はすべて譲受人の負担となります。
請求書前払いは、原則として「償還請求権なし」の契約です。
したがって、請求書前払いサービスを利用して売掛金を譲渡した後、クライアント側の都合で売掛金が回収できなくなった場合、フリーランスが買い戻しを求められることはありません。
フリーランス自身が回収実務に乗り出す必要はなく、貸倒損失も一切発生しないため、業務や資金繰りへの影響を回避できます。
なお、このメリットを享受するには、契約条件に「償還請求権なし」が盛り込まれていることが前提です。
必ず「償還請求権なし」の請求書買取契約にしてください。
調達コストが安い
請求書前払いは、調達コストが安いこともメリットです。
請求書前払いの手数料率の目安
特にフリーランス向けの請求書前払いは、法人向けの請求書前払いよりも手数料率が安い傾向があります。
法人向けの場合、方式別の手数料率の目安は以下の通りです。
- 2社間方式:額面金額の10~30%
- 3社間方式:額面金額の1~10%
- オンライン方式:額面金額の10%以下
フリーランス向けの請求書前払いは、この相場よりも安くなることが多いです。
実際に、No.1のフリーランス向け請求書前払いは、業界最低水準の「手数料率1%~」にてご利用いただけます。
一律設定のサービスも
また、フリーランス向けの請求書前払いサービスでは、手数料率を一律とする業者もあります。
例えば、「一律10%」といった設定です。
この場合、請求書の内容やクライアントの状況に関係なく、審査に通った請求書はすべて10%の手数料で前払いします。
ただし、一律設定の請求書前払いは、メリットになる場合とデメリットになる場合があるので注意が必要です。
請求書の内容によって、手数料率が10%以上になる場合は一律設定のほうが割安であり、調達コストがわかりやすい点もメリットといえます。
逆に、手数料率が10%以下になる場合は一律設定のほうが割高です。
また、フリーランスに強い請求書前払いサービスは明朗会計が基本のため、たとえ一律設定でなくとも問題ありません。
固定型と変動型で迷った際には、複数の請求書前払いサービスに対して相見積もりを取るのがおすすめです。
資金繰りを改善できる
請求書前払いは資金繰りの改善につながります。
資金繰りに悩まされているフリーランスは、請求書を前払いすることによって資金繰りを改善できるかもしれません。
資金繰り悪化の原因
請求書前払いで資金繰りが改善する理由を知るには、資金繰り悪化の原因を理解する必要があります。
資金繰り悪化の要因には様々ですが、売掛金が原因になっているケースが多いです。
売掛金は資金繰りの負担になるため、手元の売掛金が増加すると資金繰りが悪化します。
例えば、信用取引の金額が増加したり、支払いまでの期間が長期化したりすることによって資金繰りが悪化するのです。
そもそも売掛金は、請求書を発行することによって生じ、売掛先から代金が支払われることによって消滅します。
逆にいえば、請求書を発行してから代金を回収するまでの期間、売掛金は売掛金の状態であり、現金のように資金繰りに活用することはできません。
その間にも、フリーランスは事務所の家賃、光熱費、生活費などの様々な支払いがあり、収入がない状況で支出をこなす必要があります。
つまり、売掛金には立替金としての側面があり、請求書は立替金を請求するものでもあるのです。
立替金が増加すれば、資金繰りが苦しくなることは言うまでもありません。
これが、売掛金の増加によって資金繰りが悪化する仕組みです。
請求書前払いで資金繰りを改善
売掛金の増加によって資金繰りが悪化した場合、資金繰りを改善するのは簡単です。
売掛金を減らすことで、資金繰りを改善することができます。
請求書の前払いは実質的に売掛金の譲渡であり、債権者はフリーランスから前払い業者に移ります。
これは、請求書前払いによって売掛金を手放すことにほかなりません。
帳簿の上でも、請求書を前払いした分だけ売掛金の残高が減少し、資金繰りが楽になります。
フリーランスにとって、請求書前払いによる資金繰り改善は非常に効果的です。
まず、フリーランスが資金繰り改善に取り組む場合、売掛金の増減に着目できる人は少ないでしょう。
フリーランスの資金繰りは家計と一体になっているため、売掛金の増減よりも家計に着目し、改善を図る人が圧倒的に多いのです。
確かに、家計を見直すことも資金繰り改善につながります。
しかし、家計に大きな無駄がなければ削減できるコストも小さく、改善効果は限定的です。
請求書前払いで売掛金を減らせば、家計を見直すよりも確実に、大きな効果が期待できます。
また、フリーランスはクライアントよりも立場が弱く、支払期日もクライアントの設定に従う場合が多いです。
これにより、支払いまでの期間が長期化し、資金繰りが悪化することも少なくありません。
請求書を前払いすれば、支払期日の問題は即座に解消できます。
請求書前払いはスピードに優れており、最短数時間で手続きが完了します。
例えば、月末に請求書を発行して翌々月末に代金を回収する場合、売掛金の回収サイトは2ヶ月です。
請求書を発行した後、即座に請求書前払いを利用すれば、実質的な回収サイトは0日になります。
このように、支払いが長期化しやすいフリーランスにとって、請求書前払いは非常に効果的です。
「資金繰りが苦しい、しかし原因がわからず改善できない…」と悩んでいる方は、請求書前払いを利用してみましょう。
請求書の前払いで資金調達するデメリット
一方、請求書前払いのデメリットも知っておきましょう。
利用できるとは限らない
メリットでも解説した通り、請求書前払いは借り入れよりも利用しやすく、利便性にも優れています。
しかし、請求書前払いにも利用できない場合があります。
代表的なケースは以下の3つです。
請求書前払いの審査に落ちる
請求書前払いは、融資とは異なる基準で審査を行い、審査のハードルが低いことも事実です。
このため、「請求書前払いは無審査で利用できる」というイメージを持つ人もいます。
しかし、請求書前払いサービスでは必ず審査を行います。
架空の請求書を見抜いたり、採算を測ったりするためにも、前払い業者にとって審査が欠かせません。
したがって、無審査で請求書を前払いできるサービスは存在せず、仮にあったとしても悪質業者の可能性が高いため利用は避けるべきです。
審査の結果、請求書の内容に問題がある場合には審査に落ち、前払いは利用できません。
請求先によっては利用できない
また、請求先のクライアントによっては利用できない場合があります。
ポイントは、クライアントの事業者区分です。
基本的に、クライアントが法人であれば請求書前払いの対象となります。
一方、クライアントが個人の場合には注意が必要です。
フリーランスは、個人から受注することもよくあります。
事業者ではない個人から受注するケースもあれば、フリーランスから受注するケースもあるでしょう。
業者によっては、このような個人間取引を対象外としています。
もちろん、そのような業者に請求書前払いを依頼しても、利用することはできません。
請求金額によっては利用できない
請求金額が小さすぎる、あるいは大きすぎる場合にも、請求書前払いを利用できない可能性があります。
請求書前払いでは、利用額の下限と上限が設定されています。
設定は業者によって異なり、「1万円~100万円まで」「初回利用は10万円まで(利用実績に応じて最大1000万円まで対応)」「10万円~5000万円まで」など様々です。
請求書の額面金額と、業者の利用額の設定が合わない場合、請求書前払いは利用できません。
フリーランス向けの請求書前払いであれば、少額の前払いにも柔軟に対応しているため、下限額で引っかかることは少ないでしょう。
問題は上限額です。
特に、「10万円まで」「利用実績に応じて」といった業者は、まとまった資金調達には不向きです。
まとまった資金を調達したい場合、高額の前払いに対応している業者を選びましょう。
No.1では、最大5000万円までの前払いに対応しています。
支払期日によっては利用できない
最後に、請求書の支払期日にも注意してください。
クライアントによって、代金の支払期日は異なります。
請求書を発行してから1~2ヶ月で支払われるならば、請求書の前払いを受けられる可能性が高いです。
しかし、支払いまでの期間が長すぎる場合、請求書前払いの対象外となるケースがあります。
というのも、支払期日が遠いほど業者側のリスクが高くなるためです。
例えば、支払期日が1週間後の請求書と、支払期日が1年後の請求書では、回収不能リスクに雲泥の差があります。
実際に、ある請求書前払いサービスでは、利用条件のひとつに「支払期日まで70日以内の請求書であれば利用可能」を挙げています。
また、支払期日をすでに超過している請求書も利用できません。
この場合、クライアントが支払いを遅延していることとなり、その売掛金は不良債権とみなされます。
請求書前払いは「支払期日前の請求書を前払いするサービス」であり、支払期日を過ぎている請求書は前払いの対象外です。
手数料がかかる
業者側からみた場合、請求書前払いは「手数料を受け取って請求書を前払いする」というビジネスです。
請求書を前払いする際には、業者に手数料を支払う必要があります。
支払期日まで待てば、請求書の額面金額を満額受け取れるところを、手数料の分だけ目減りし、利益の減少を招くのです。
利益率が低いフリーランスは、手数料が利益を上回る可能性があります。
その場合、赤字分を手元資金で補填する必要があるため、資金繰りの悪化を招きます。
したがって、手数料がかかることは請求書前払いのデメリットといえるでしょう。
手数料の計算例
請求書前払いの手数料は、どのように計算するのでしょうか。
簡単な計算例をみてみましょう。
フリーランスのAさんは、クライアントのB社に役務を提供し、10万円の請求書を発行しました。
その後、支払期日を待っている間に資金繰りが苦しくなったため、業者に請求書前払いを依頼。
審査の結果、業者が設定した手数料率は10%。
Aさんはこの条件で請求書を前払いし、手数料1万円を差し引いた9万円の調達に成功しました。
このように、請求書前払いの手数料は「額面金額×手数料率」で計算し、「額面金額-手数料」が前払いされます。
借り入れとどっちが安い?
手数料は資金繰りの負担になるため、請求書前払いのデメリットといえます。
もっとも、これは「請求書前払いは手数料が高いから利用すべきではない」という意味ではありません。
請求書前払いの手数料は、必ずしも高くないのです。
借り入れと比較した場合、むしろ安くなることも多いです。
このことは、調達コストを計算するとよくわかります。
フリーランスが50万円の資金を調達する場合の、ビジネスローンと請求書前払いの調達コストを比較してみましょう。
【ビジネスローン】
フリーランスが借り入れによって資金調達する際にはビジネスローンを利用するのが現実的であり、中でも消費者金融系のビジネスローンが最も利用しやすいです。
消費者金融系のビジネスローンは金利が高く、法定金利の上限水準で借り入れることが多くなります。
借入額が10万円~100万円未満の場合、上限金利は年18%。
借り入れによる資金繰りの負担を軽減するには、返済期間をできるだけ長く設定するのが鉄則です。
消費者金融業者では、返済期間を最大5年とすることが多いため、借入額50万円・年利18%・返済期間5年として計算してみましょう。
この場合、ビジネスローンにかかる調達コストの総額(完済までに支払う利息の総額)は26万1781円となります。
【請求書前払い】
次に、請求書前払いの調達コストをみていきます。
フリーランスの請求書前払いはオンラインが基本であり、手数料率の相場は額面金額の10%以下です。
1ケタ台の手数料率でできることもありますが、ここでは10%としておきます。
手数料率10%で請求書を前払いして50万円の資金を調達するには、約55万5555円分の請求書が必要です。
つまり、額面金額55万5555円のうち、10%にあたる5万5555円を手数料として支払うことで、50万円の前払いを受けることができます。
この場合、請求書前払いにかかる調達コストの総額(前払いの際に支払う手数料の総額)は5万5555円です。
両者の調達コストを比較すると、ビジネスローンは請求書前払いよりも約4.7倍も高いことがわかります。
請求書を前払いする際には、手数料率が10%を下回ることも多いため、実際の調達コストはもっと差があると考えてよいでしょう。
請求書前払いは手数料がかかるものの、決して高くはないのです。
その他のメリット・デメリットを考えても、ビジネスローンよりも請求書前払いのほうがはるかに優れていることは間違いありません。
法的保護が十分ではない
請求書前払いは法的保護が十分ではないため、利用の際には悪質業者に要注意です。
請求書前払いと法規制
近年、急速に普及しつつあるとはいえ、請求書前払いはまだまだ新しいサービスです。
このため、法規制が不十分な状況となっています。
表面的には請求書前払いを謳っていても、実質的には違法な貸し付けを行う悪質業者が問題視されているのです。
融資、あるいは手形や小切手取引の場合、銀行法、貸金業法、手形・小切手法など専門の法律によって規制、利用者保護が徹底されていますが、ファクタリングの場合、比較的新しい制度なので「ファクタリング法」のようなものがなく、民法や商法の一般条項でのみの保護になります。
請求書前払いは民法によって合法性が担保されていますが、具体的な規制がないことは大きな問題といってよいでしょう。
例えば貸金業者は、貸金業法によって規制されており、金融庁の貸金業登録を受けた業者でなければ営業できません。
無登録で営業している業者は、貸金業法違反(=規制違反)によって摘発できます。
このほか、法定金利を超えて貸し付けた業者も、利息制限法・出資法違反(=規制違反)で摘発できます。
つまり、貸金業を規制する法律があるからこそ、ヤミ金の活動を抑制できるのです。
悪質業者の典型例
これに対し、請求書前払いには規制がないため、規制違反によって取り締まることができません。
悪質業者を摘発する場合、「請求書前払いに関する規制への違反」ではなく、その他の法律に照らして判断することとなります。
よくあるのは、以下のようなケースです。
- 第三者の連帯保証を求めた
- 小切手を担保として求めた
- 「償還請求権あり」の条件で請求書を前払いした
- 相場よりも高すぎる手数料で請求書を前払いした
このような場合、請求書前払いを謳っていても、実質的には貸付けとみなされる可能性が高いです。
貸金業とみなされた以上、貸金業者としての規制を遵守しなければなりません。
しかし、前払い業者は基本的に貸金業登録を受けておらず、手数料を年利換算すると法定金利を超過しているケースが大半です。
したがって、貸金業に関する規制違反として罪を問うことができます。
とはいえ、請求書前払いを直接規制する法律がなく、法的な解釈が曖昧であることも事実。
だからこそ、請求書前払いを装って違法行為を働く業者が後を絶たないのです。
悪質業者の対処法
請求書を前払いする際には、悪質業者を避けることが大前提となります。
最も確実なのは、No.1をはじめとする優良業者に依頼することです。
これによって、悪質業者のリスクを確実に回避できます。
また、悪質業者を利用してしまった場合には、すぐに専門家に相談してください。
現段階では、請求書前払いに関する規制はありませんが、違法な契約は無効・取消が可能です。
請求書前払いサービスへの登録が不可欠
請求書前払いの利用の流れでもお伝えした通り、請求書前払いの際には事前のサービス登録が不可欠です。
継続的に請求書を前払いするならば、サービス登録はあまり負担にはなりませんが、たとえ単発で請求書買取を依頼する場合でも登録は必須となり、その請求書前払いサービス=ファクタリング会社にご自身の個人情報等を提出します。
法人の場合、法人の登記簿謄本などで正確に確認できますが、フリーランスや個人事業主の場合、その請求書が正しいのか(特に2社間ファクタリングの場合)、確認しきれません。
したがって、自分の氏名や住所、電話番号、振込先の口座番号、フリーランスとしての収支が確認できるデータ等の提出を求められることがあります。なお、マイナンバーは公的機関ではないので不要です。提出を求められた場合悪質会社の可能性が高いです。
フリーランス向けのファクタリングが広がりつつある
通常のファクタリングは法人やある程度の規模の個人事業主を対象としており、買い取り金額も数十万円~1000万円を超えるものが多く、フリーランスの数万円の請求書買取は行っていないファクタリング会社もあります。
しかし、フリーランス向けの請求書買取ニーズに応え、請求書前払いを行うファクタリング会社の中に、フリーランスに特化したところが出てきました。
数千円の請求書買取から行っているところもあり、フリーランスの方にとって気軽に利用できます。クラウドソーシングや会計ソフト、クライアントとの連絡ツールなどが請求書前払いサービスを提供しつつあります。
金額が小さい場合、必要書類も少なく、入金まで迅速に行われるので、一般的なファクタリング会社ではなく、フリーランス特化型サービスを利用するのがおすすめです。
特定の請求書前払いサービスを紹介するものではありませんが、このシステム(ファクタリング)が非常に身近になっていることの証左でもあります。
フリーランス特化型請求書前払いサービスに共通するのは
- 原則2社間ファクタリング(クライアントには知られません)
- 即日現金化可能
- 使用サービスで本人確認済であること
- 金額について少額(10,000円以上など)で現金化可能
- 会員登録と本人確認
このようなことです。通常の2社間ファクタリングの手数料率よりも低い、10%程度に設定されているところもあり、急な資金調達や生活費に困ってしまった時など、機動的な利用が可能です。
みなさんがお使いのフリーランス向けサービスをもう一度ご確認していただければ幸甚です。
請求書前払いを上手に使って無理のないフリーランス営業を行いましょう
請求書前払いを使うことで、当初の入金日以前に現金化できます。一方で、手数料をファクタリング会社に取られるので、本来の売上よりも手取りが減ります。
クレジットカードのリボ払いやカードローンのように慣れてしまうと、ご自身の首を絞めかねません。本当に必要な時に請求書前払いを利用し、本質的には入金サイトが短いクラインと仕事ができるよう営業していくべきです。
フリーランスに特化した請求書前払いを利用することで、少額のファクタリングが可能です。上手に利用し、安定した生活と事業の推進を両立させてください。
このような生活の保険となる制度があることを知るだけでもかなり精神的に楽になるはずです。
ファクタリングなら株式会社No.1 詳細情報
株式会社No.1の各サービスの紹介は下記からご覧ください。
ご不明点やご質問はお気軽にお問い合わせください。
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