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「ファクタリング」という新しい資金調達制度の概要とメリット・デメリットを紹介します!

みなさんが事業を行う際、急な資金需要が発生したらどのように対処しますか?資本金など自己資本、キャッシュフローが潤沢にあればそれを転用できます。

しかし、そうでない場合は融資に頼るはずです。しかし、融資を受けようとすれば審査に時間がかかります。審査を待っていれば、急な資金需要に間に合いません。

それならば消費者金融を使いますか?一度消費者金融を使うと、その高い金利だけではなく、みなさんの会社の信用情報に「消費者金融利用歴あり」という内容が記載されてしまい、以後の金融機関での取引に大幅マイナスになります。

そこで、近年注目されている制度が「ファクタリング」というものです。今回はファクタリングという制度についてその内容やメリット、デメリットを解説します。

ファクタリング制度とは?

 
会社の資金調達方法といえば、最もメジャーなものは銀行融資です。
銀行融資を受けられない場合、ノンバンクのビジネスローンを利用する会社も多いことでしょう。
つまり、多くの会社が「資金調達=融資」と考える傾向があります。
しかし、資金を調達する方法は融資だけではなく、借りない資金調達もあります。
そのひとつが「ファクタリング」です。
ファクタリングは、近年急速に普及している制度であり、「銀行融資に次ぐ資金調達方法」「経営改善の特効薬」などと注目する専門家も少なくありません。
まずは、ファクタリング制度の基本から押さえていきましょう。

ファクタリングは売掛金を早期資金化する制度

 
簡単にいえば、ファクタリングは、会社が所有している売掛金を買い取ってもらい、資金を調達する制度です。
売掛金は信用取引によって金銭債権であり、「支払期日に代金を受け取る権利」を意味します。
支払期日まで待てば、売掛先から代金を受け取れるため、売掛金は額面金額に近い価値を持っています。
その価値をもとに、売掛金を買い取るのがファクタリング制度です。
支払期日前の売掛金を売却するため、ファクタリング制度は「売掛金の早期資金化」にほかなりません。
売掛金には立替金としての側面があり、資金繰りの負担になります。
この負担を避けるには売掛金の早期回収が効果的です。
ファクタリング制度を利用すれば売掛金を早期回収できるため、資金繰りの円滑化・改善にも役立ちます。

ファクタリング制度=債権譲渡

 
一般的に、ファクタリング制度は「売掛金の買い取り」「売掛金の売却」などと表現されます。
しかし、厳密には(法的には)ファクタリング制度は債権譲渡取引です。
これは、ファクタリング制度の法的根拠であり、またファクタリング制度のあらゆるメリットは「ファクタリング制度=債権譲渡」という原則によって生じます。
ファクタリング制度が債権譲渡取引であることは、金融庁の定義からも明らかです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」

ファクタリング制度の方式は3つ

 
ファクタリング制度によって売掛金を早期資金化する際、方式は複数あります。
ファクタリング制度の方式を大別すると、2社間で取引するファクタリング制度、3社間で取引するファクタリング制度の2種類。
さらに、2社間取引の派生形として、オンラインで完結できるファクタリング制度があります。
これら3つのファクタリング制度について、簡単にまとめると以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する制度
  • 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する制度
  • オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う制度

それぞれの制度の特徴、メリット・デメリットを簡単にみていきましょう。

2社間ファクタリング

 
普通、債権譲渡には譲渡人(譲渡前の債権者)、売掛先(債務者)、譲受人(譲渡後の債権者)の三者が関与します。
ファクタリング制度の場合、利用会社(譲渡人)、売掛先(債務者)、ファクタリング会社(譲受人)の三者です。
2社間ファクタリングは、この三者のうち、債務者である売掛先が一切関与しないファクタリング制度です。
利用会社・ファクタリング会社の2社間で取引する目的は、主に「簡便性の追求」「資金調達スピードの追求」「信用リスクの回避」にあります。
売掛先が関与しなければ、その分だけ手続きが簡単になり、スピーディな対応も可能です。
さらに、売掛先に知られることなくファクタリング制度を利用できます。
売掛先によっては、ファクタリング制度に対してネガティブなイメージを抱くこともあるため、ファクタリング制度の利用が信用悪化につながることもあるのです。
この信用リスクを避けるために、利用会社の多くは2社間ファクタリングを選んでいます。
ただし、2社間ファクタリングは手数料が高く、悪質業者のリスクも高いのが難点です。

3社間ファクタリング

 
3社間ファクタリングは、売掛先が関与するファクタリング制度です。
一般的に、当事者の数が多いほど取引の健全性が高まります。
ファクタリング制度においても、2社間取引より3社間取引の方がより健全です。
このことは、銀行系列のファクタリング会社が、3社間ファクタリングだけを提供していることからもよく分かるでしょう。
取引の健全性が高ければ、想定外のリスクも発生しにくくなります。
基本的に、リスクとリターンは連動するため、リスクが低い3社間ファクタリングはリターン(手数料)を低く設定できます。
利用会社にとって、3社間ファクタリングは安全性が高く、調達コストが安いことがメリットです。
ただし、売掛先の関与により手数料が煩雑になり、資金調達にやや時間がかかります。
また、利用会社・売掛先・ファクタリング会社の3社間取引を前提とした制度であるため、売掛先が債権譲渡に承諾しなければ資金調達できません。
使い勝手の悪さから、3社間ファクタリングは不人気の制度です。

オンラインファクタリング

 
オンラインファクタリングは、オンラインを活用したファクタリング制度です。
あくまでも「2社間ファクタリングをオンライン化した制度」であり、2社間取引の一種といえます。
したがって、オンラインファクタリングのメリットは、基本的には2社間ファクタリングと同じです。
ただし、オンラインの活用によって、手続きがより簡単になり、よりスピーディに資金調達でき、売掛先への秘匿性も一層高くなります。
さらに、ファクタリング制度で長らく問題視されてきた「手数料の高さ」や「悪質業者の危険性」なども、オンラインファクタリングによって大幅に改善されています。

ファクタリング制度の色々な形

 
ファクタリング制度の基礎知識としては、売掛金の早期資金化であること、法的には債権譲渡であること、そしてファクタリング制度の方式を知っておけばよいでしょう。
ここからは、ファクタリング制度について徐々に詳しくみていきます。
一口に「ファクタリング」といっても、ファクタリング制度には色々な形があります。
現在、日本で利用できるファクタリング制度は以下の6つです。

  • 1.買取ファクタリング…最も一般的なファクタリング制度。信用取引によって生じた売掛金を買い取る制度。
  • 2.診療報酬ファクタリング…診療報酬債権に特化したファクタリング制度。病院やクリニック、歯科医院、調剤薬局などを対象とする制度。
  • 3.介護報酬ファクタリング…介護報酬債権に特化したファクタリング制度。介護事業者を対象とする制度。
  • 4.将来債権ファクタリング…将来的に請求内容の確定が見込まれる売掛金(ファクタリングの時点では未確定の売掛金)を買い取るファクタリング制度。
  • 5.保証ファクタリング…売掛金の支払いを保証するファクタリング制度。資金調達ではなく、貸し倒れリスクの回避を目的とした制度。
  • 6.国際ファクタリング…国際間取引によって生じた売掛金を対象とするファクタリング制度。売掛金の買い取りと保証を同時に行う制度。

以上、6つのファクタリング制度について少し詳しくみていきましょう。

1.買取ファクタリング

 
買取ファクタリングは、売掛金を買い取るファクタリング制度です。
これは「売掛金の買い取りによって支払期日を待たずに回収する制度」であり、金融庁が定義するファクタリング制度も買取ファクタリングにあたります。
原則として、買取ファクタリングが対象とするのは「確定債権」です。
売掛金は、取引や請求の状況によって細分化されます。
確定債権は、商品やサービスの提供後、請求書を発行し、売掛先が請求書を受理した売掛金です。
つまり、確定債権は「請求内容が確定している売掛債権(売掛金)」を意味します。
一般的に、売掛金といえば確定債権のことであり、買取ファクタリングは確定債権を買い取る制度です。
現在、日本で最も普及しているファクタリング制度は買取ファクタリングです。
特に「買取」「保証」といった言葉を冠することなく、単に「ファクタリング」と表現する場合、基本的にはすべて買取ファクタリングと考えてください。
この記事でも、「ファクタリング制度=買取ファクタリング」として解説しています。

2.診療報酬ファクタリング

 
買取ファクタリングといえば、ごく一般的な売掛金(確定債権)を買い取るファクタリング制度ですが、事業内容によっては特殊な売掛金を取り扱います。
そのひとつが診療報酬債権です。
病院が診療行為を行った場合、診療報酬の一部を患者に請求し、残った部分を国保や社保に請求します。
この売掛金を診療報酬債権といいます。
事業者間の信用取引によって発生する売掛金とは性質が異なるため、一般のファクタリング制度では売却できません。
そこで、診療報酬ファクタリングという制度を利用します。
診療報酬ファクタリングは、売掛金の中でも診療報酬債権に特化したファクタリング制度です。
近年、病院やクリニック、歯科医院、調剤薬局などの間でファクタリング制度が広がっており、今後も診療報酬ファクタリングの需要は伸びると考えられます。

3.介護報酬ファクタリング

 
介護報酬ファクタリングは、介護報酬債権に特化したファクタリング制度です。
介護事業者が、社保や国保に対して有する売掛金を介護報酬債権といいます。
これを早期資金化する制度が「介護報酬ファクタリング」です。
制度のあらましは、診療報酬ファクタリングを参考にしてください。

4.将来債権ファクタリング

 
買取ファクタリングで買い取る確定債権は、請求内容が確定している売掛金のことです。
売掛先と契約したものの、商品・サービスの提供が完了していなければ、当然請求書を発行しておらず、請求内容も確定していません。
しかし、契約を履行すれば将来的に請求内容が確定することから、この売掛金を「将来債権」といいます。
買取ファクタリングは確定債権を買い取る制度ですから、将来債権を早期資金化するには「将来債権ファクタリング」という制度を利用しなければなりません。
将来債権ファクタリングは、買取ファクタリングに比べてまだまだ一般的ではありませんが、近年ではクレジットカード会社が提供するケースも増えており、長期的には利用が広がると考えられます。

5.保証ファクタリング

 
買取ファクタリングの類型を「買取型」とするならば、保証ファクタリングは「保証型」です。
保証ファクタリングは、売掛金の支払保証を目的とするファクタリング制度です。
ファクタリング会社に保証料を支払うことにより、売掛先の倒産した場合に支払い保証を受けることができます。
つまり、保証ファクタリングは「貸倒れリスクの回避」と目的とする制度であり、資金調達を目的とする制度ではありません。
この意味において、保証ファクタリングと買取ファクタリングは根本的に異なる制度です。

6.国際ファクタリング

 
国内企業と信用取引を行っている限り、上記のファクタリング制度のうち買取ファクタリングを利用すれば問題ありません。
しかし、海外企業と信用取引を行っている会社は、買取ファクタリングの対象外です。
日本の企業がファクタリング制度を利用する際、当然ながら国内のファクタリング会社に依頼します。
国内のファクタリング会社が買い取るのは、国内企業同士の信用取引によって発生する確定債権です。
ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)も、売掛先も国内企業のため、文化や言語、商習慣の違いがほとんどなく、スムーズにファクタリングできます。
しかし、国際間取引の場合、債権者(利用会社)は国内の輸出企業、債務者(売掛先)は海外の輸入企業であり、通常のファクタリング制度と同じように買い取ることはできません。
そこで、国際間取引には「国際ファクタリング」というファクタリング制度を用います。
国際ファクタリングは、国際間取引によって発生した売掛金に対し、保証・買取の両方を兼ね備えたファクタリング制度です。
後述の通り、一般的なファクタリング制度では、利用会社とファクタリング会社の2社間、あるいは利用会社・売掛先・ファクタリング会社の3社間で取引します。
これに対し、国際ファクタリングは、国内のファクタリング会社、国内の輸出企業(利用会社)、海外の輸入企業(売掛先)、海外(現地)のファクタリング会社の4社間取引です。
つまり、「海外のファクタリング会社」がキーパーソンとなるため、海外に営業網を持つファクタリング会社でなければ対応できません。
現在、国際ファクタリングを提供しているのは、メガバンク系列のファクタリング会社だけです。

ファクタリング制度の法的根拠

ファクタリング制度(以下、「ファクタリング制度」はすべて「買取ファクタリング」の意)は手数料が高く違法だ、ファクタリングは規制がないザル制度だ、などと批判がありますが、ファクタリング制度自体にはしっかりした法的根拠があります。

ファクタリングは債権の譲渡に関する法律に基づく制度

冒頭でも解説した通り、ファクタリング制度は、売掛金や給与をもらう権利(売掛債権)を第三者(ファクタリング会社)に有料で譲渡する(買取ってもらう)法律行為です。

売掛金や給与を受け取る権利=債権は民法第466条で「財産権」と規定され、原則として自由に譲渡できるとされています。つまり、ファクタリング(=債権の有償での買取)は合法です。

債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

ファクタリング制度と第三者対抗要件

売掛債権は取引の対象となり売買できます。土地や建物など物権や中古のゲーム、本などと同じように債権も当事者間の合意によって基本的に譲渡ができます。

ただし、債務者(売掛先)から、元の債権者(利用会社)に対して勝手に支払いを受ける人を変更したのでは?と疑問を呈されることがあります。面識のない第三者(ファクタリング会社)に債務者が買掛金を支払うリスクというものを払拭する必要があります。

通常、債権譲渡では、債権譲渡後に債務者に対して、債権譲渡通知・承諾手続きを行うことで、第三者対抗要件を具備します。

3社間ファクタリングで債権譲渡通知・承諾手続きを行うのもこのためです。
この場合、ファクタリング会社が債務者から売掛金や給与を回収できなくなるリスクも減ることになり、ファクタリング手数料も低く設定できます。

2社間ファクタリングは売掛先が関与しないため、債権譲渡通知・承諾によって第三者対抗要件を具備できません。
そこで、2社間ファクタリングは債権譲渡登記によって第三者対抗要件を具備します。
債権譲渡登記にはコストがかかるため、手数料も高くなります。
ファクタリング制度と第三者対抗要件の関係について、簡単にまとめると以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング…対抗要件を備えていない(承諾がない)ファクタリング制度。債権譲渡登記が必要であり、手数料が高い
  • 3社間ファクタリング…対抗要件を備えたファクタリング制度。手数料が安い

ファクタリング業の許可制度

ファクタリング制度自体は上述のように、債権の有償譲渡であり、民法上有効な法律行為になります。当事者間で合意すれば、公序良俗や信義則に反する契約や手数料でない限りは有効になります。

ファクタリング業を営む法人は、許認可や登録の義務がなく、お金を貸すものではなく、債権を買取ることなので、手持ち資金があれば誰でも始められます。玉石混交であるため、一部の悪徳ファクタリング業者の行いが批判されています。

ファクタリング制度には法的規制が少ないので、柔軟で迅速な対応ができます。その点が、法律で厳しく規制されている銀行や消費者金融による融資とは異なります。

ファクタリング制度と貸金業法

ファクタリング制度は債権の有償譲渡であり、貸金業法が規定する貸金業(消費者金融)とはまったく別物です。どちらも手数料、利率が高いというイメージはありますが、まったく業務の内容は異なります。

ファクタリング制度は融資ではないので、消費者金融から借入をする際に必要な「信用情報照会」「総量規制」などは適用されないことになります。

信用情報照会がないということは、いわゆる「金融ブラック」(自己破産歴や返済事故歴がある)の人でも利用することが原理的には可能です。「金融ブラック」の人は融資不可なので、至急資金調達をする必要がある場合、ファクタリング制度を利用できます。

しかし、その事情をしって足元を見るような高手数料の業者に騙されないようにしないといけません。もちろん、闇金融業者が行っている「ファクタリング」(実際は闇金融)は絶対に手を出してはいけません。

総量規制についても対象外ですので、年収の3分の1を超えた金額の債権の売却ができます。

ファクタリング制度と利息制限法

「ファクタリング制度の手数料は法外で、サラ金や闇金融以上」という批判がありますが、そもそもファクタリング制度は債権の有償譲渡であり、利息を支払う融資とは根本的に異なることを理解してください。融資における利息制限法では、年利20%が上限となっていて、それ以上の利息は違法です。

1か月先に入金がある100万円の債権を手数料10%でファクタリングすると、年利に直すと10%×12か月=120%となり、利息制限法の上限が20%なので、それと比較すると確かに高利です。

とはいえ、ファクタリング制度は貸付けではなく、利息制限法の規制対象外ですから、手数料率の設定に違法性はありません。

ファクタリング制度による資金調達は「総資産勘定」、消費者金融等からの借入は「負債勘定」であり両者は原理的に異なります。

また、後述の通りファクタリング制度には多くのメリットがあり、手数料が多少割高であっても、利用価値は大きいです。

ファクタリング制度の利用の流れ

 
以上の解説で、ファクタリング制度の基礎知識、法的根拠などはご理解いただけたと思います。
ここからは、実際にファクタリング制度を利用する際の流れをみていきましょう。
2社間ファクタリング、3社間ファクタリング、オンラインファクタリングをそれぞれ解説します。

2社間ファクタリングの流れ

 
既に解説した通り、2社間ファクタリングは売掛先が関与しない制度です。
手続きの最初から最後まで、売掛先が関与することはありません。
その点を意識しつつ、2社間ファクタリングの流れをみていきます。

  • 1.売掛先に商品を提供し、請求書を発行する。売掛先が請求書を受理し、請求内容が確定する。この時点でファクタリング制度が利用可能となる。(債権者:利用会社、債務者:売掛先)
  • 2.ファクタリング会社を選び、ファクタリング制度(2社間)の利用を申し込む。
  • 3.ファクタリング会社から、ファクタリング制度の概要、利用の流れ、必要書類などについて説明を受ける。利用動機や希望についてヒアリングすることも。
  • 4.ファクタリング会社に書類(入金確認書類、決算書、請求書など)を提出する。
  • 5.ファクタリング会社は、提出書類をもとに審査を実施し、ファクタリングの可否と条件を決定する。
  • 6.審査に通り、手数料などの条件に合意すれば、利用会社とファクタリング会社の2社間でファクタリング契約を結ぶ。これにより債権譲渡が成立する。(債権者:ファクタリング会社、債務者:売掛先)
  • 7.契約締結後、ファクタリング会社から買取代金(額面金額から手数料を差し引いた金額)が支払われる。
  • 8.支払期日になると、売掛先は利用会社に代金を支払う。この代金をファクタリング会社に振り込むことで、2社間のファクタリング制度が完了する。

売掛先が一切関与しない制度

 
この流れをみれば、2社間ファクタリングが「売掛先が関与しない制度」という意味がよく分かると思います。
申し込み(2)から入金(7)まで売掛先が関与することはなく、売掛金回収(8)の際にもファクタリング会社と売掛先が接触することはありません。

2社間ファクタリングの契約

 
2社間ファクタリングを知る上でポイントとなるのが、契約の内容です。
ファクタリング制度は債権譲渡ですから、契約の際には「債権譲渡契約」を結びます(6)。
これによって、売掛金の所有権が利用会社からファクタリング会社に移り、早期回収できる理由もわかります。
しかし、2社間ファクタリングの契約はこれだけではありません。
通常、2社間ファクタリングにおける「ファクタリング契約」には、以下の3つの契約が含まれます。

  • 債権譲渡契約:売掛金を譲渡・売却するための契約
  • 債権譲渡登記代行契約:債権譲渡登記を行うための契約
  • 売掛金回収委託契約:売掛金の回収に関する契約

債権譲渡登記制度を利用

 
上記(ファクタリング制度と第三者対抗要件)で軽く触れましたが、2社間ファクタリングでは債権譲渡登記制度を利用します。
ファクタリング制度は債権譲渡取引であり、債権譲渡には第三者対抗要件の具備が欠かせません。
そのための方法は「売掛先への通知」「売掛先からの承諾」「債権譲渡登記制度」の3つです。
売掛先が関与しない2社間ファクタリングでは、債権譲渡登記制度によって第三者対抗要件の具備します。
債権譲渡登記制度は、債権に関する情報を登記所で登記し、公示することによって権利関係を裏付ける制度です。
これにより、債権者が「利用会社→ファクタリング会社」に変わったことが明らかになり、ファクタリング会社は債権を主張できます。
債権譲渡登記は、ファクタリング会社から司法書士に依頼して行うため、債権譲渡登記の代行契約を結ぶというわけです。
No.1など、一部のファクタリング会社では債権譲渡登記の留保に対応しており、その場合には債権譲渡登記代行契約は必要ありません。

2社間ファクタリングの決済の流れ

 
そして、売掛金回収委託契約
これは、利用会社が売掛金の回収委託を請け負うための契約です。
2社間ファクタリングは売掛先が関与しておらず、債権者が変わったことを知りません。
支払期日には、いつもと変わらず利用会社に支払います。
しかし、この時点で利用会社は「元の債権者」に過ぎず、代金を受け取る真の権利者(新たな債権者)はファクタリング会社です。
したがって、売掛先から受け取った代金をファクタリング会社に振り込む必要があります。
つまり、売掛金回収の流れは「売掛先→ファクタリング会社」ではなく、「売掛先→利用会社→ファクタリング会社」となるのです。
この流れをみれば、利用会社が売掛金の回収委託を請け負う(ファクタリング会社の変わりに売掛金を回収する)という意味が分かると思います。

3社間ファクタリングの流れ

 
同じファクタリング制度でも、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの流れは大きく異なります。
売掛先の関与に注目しながら、流れをみていきましょう。

  • 1.売掛先と信用取引を行い、売掛金(確定債権)が発生する。(債権者:利用会社、債務者:売掛先)
  • 2.ファクタリング制度の利用に先立ち、売掛先に3社間ファクタリングの利用を伝え、内諾を受ける。(この時点で売掛先が拒否した場合、3以降の手続きが無意味になるためファクタリングは不可)
  • 3.ファクタリング会社を選び、ファクタリング制度(3社間)の利用を申し込む。
  • 4.ファクタリング会社から、3社間のファクタリング制度について説明を受ける。
  • 5.ファクタリング会社に必要書類を提出し、審査を受ける。審査の際、ファクタリング会社が売掛先に直接連絡し、売掛金の情報を照会することも。
  • 6.審査の結果、問題がなければ利用会社とファクタリング会社の間で契約を結ぶ。(債権者:ファクタリング会社、債務者:売掛先)
  • 7.契約締結後、売掛金を譲渡したこと(債権者が変わったこと)を売掛先に通知する。
  • 8.3社間取引が成立した後、ファクタリング会社から買取代金が支払われる。
  • 9.支払期日になると、売掛先はファクタリング会社に直接決済し、3社間ファクタリングが完了する。

売掛先が必ず関与する制度

 
3社間ファクタリングも、大まかな流れは2社間ファクタリングと似ています。
随所で売掛先が関与する点に注目してください。
上記の流れで、売掛先が関与するのは(2)、(5)、(7)、(9)です。

  • 売掛先の内諾(2)…利用会社から売掛先に交渉
  • 売掛金情報の照会(5)…ファクタリング会社から売掛先に問い合わせ
  • 債権譲渡通知・承諾(7)…債権譲渡通知は「利用会社→売掛先」、債権譲渡承諾は「ファクタリング会社→売掛先→ファクタリング会社」の流れも
  • 売掛金の決済(9)…売掛先からファクタリング会社に支払い

このように、手続きに応じた交渉が必要となります。
利用会社やファクタリング会社が迅速な手続きを心掛けても、売掛先の対応が遅れた場合、なかなか資金調達できないことも珍しくありません。
また、債権譲渡通知書は内容証明郵便で行うため、郵送に数日を要します。
債権譲渡承諾を取り付ける場合、ファクタリング会社から売掛先に債権譲渡承諾依頼書を送付し、売掛先が承諾の旨を記入して返送するため、往復分の日数がかかります。
これをみれば、3社間のファクタリング制度は「手続きが煩雑」、「資金調達に時間がかかる」などと言われる理由がわかるでしょう。

3社間ファクタリングの契約

 
ただし、3社間のファクタリング制度は契約がシンプルです。
2社間ファクタリングのように、債権譲渡登記代行契約や売掛金回収委託契約は必要ありません。
3社間ファクタリングは、手続きの一環として債権譲渡通知・承諾手続きを行うため、債権譲渡登記制度を利用せずに第三者対抗要件を具備できます。
さらに、売掛先が債権譲渡に承諾している(債権者と支払先が変わることを了承している)ため、支払期日には利用会社を介することなく「売掛先→ファクタリング会社」で直接支払います。
したがって、3社間ファクタリングは債権譲渡登記や売掛金回収に関する契約が不要です。

オンラインファクタリングの流れ

 
最後に、オンラインのファクタリング制度についてみていきましょう。
ここでいう「オンライン」は、あくまでも「オンライン完結」です。
手続きの一部分だけではなく、入金から契約まで一貫してオンラインで手続きする制度と考えてください。
オンラインファクタリングは、以下の流れで利用します。

  • 1.売掛先と信用取引を行う。請求内容が確定すれば、ファクタリング制度が利用可能となる(債権者:利用会社、債務者:売掛先)
  • 2.ファクタリング会社の中から、特に「オンライン完結」のファクタリング制度を取り扱っている業者を選び、利用を申し込む。
  • 3.ファクタリング会社から、オンラインのファクタリング制度の概要、流れ、必要なシステムなどの説明を受ける。この時、ZoomやSkypeによるオンラインでの商談も可能。
  • 4.ファクタリング会社に書類を提出する。専用フォームからのアップロード、メールへの添付など、オンラインでの提出が一般的。
  • 5.ファクタリング会社が審査を実施する。AIで機械的に審査するケースも多い。
  • 6.審査結果に問題がなければ、利用会社とファクタリング会社の2社間で契約する。クラウド契約(クラウド上で契約を締結する制度)を利用。(債権者:ファクタリング会社、債務者:売掛先)
  • 7.契約締結後、ファクタリング会社から買取代金が支払われる。
  • 8.支払期日になると、「売掛先→利用会社→ファクタリング会社」の流れで売掛金を回収し、ファクタリング制度がオンラインで完結する。

オンラインで完結するファクタリング制度

 
上記のうち、ファクタリング制度にあたる(2)~(7)までは全てオンラインで行っています。
特に注目すべきは、(6)のクラウド契約です。
従来のファクタリング制度は、契約時の対面取引が一般的でした。
その場合、距離や時間の問題によってなかなか契約できず、資金調達に時間がかかることもあります。
ファクタリング制度をオンラインで完結すれば、クラウド契約を用いるため対面取引は不要です。
「申し込みをオンラインで」「書類の提出をメールで」などの一部分だけではなく、申し込みから契約まで全てオンラインで手続きできます。
これにより、利便性と資金調達スピードが飛躍的に高まり、最短数時間での資金調達も可能です。
No.1のオンラインファクタリングでは、最短60分入金の実績が多数ございます。

オンラインファクタリングの利用環境

 
ファクタリング制度をオンライン完結するにあたり、気になるのが利用環境でしょう。
しかし、オンラインファクタリングの利用環境は単純です。
すなわち、「インターネット環境」「Web会議システム」「クラウド契約システム」の3点だけで利用できます。
No.1のオンラインファクタリングは、Web会議にはZoomを、クラウド契約には弁護士ドットコム株式会社の「CLOUDSIGN」を使っています。

オンラインファクタリングの必要書類

 
オンラインファクタリングは、通常の2社間ファクタリングよりも必要書類が少ないことが多いです。
No.1のファクタリング制度を例にすると、以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング…入金確認書類、直近2期分の決算書、成因資料、売掛先との基本契約書
  • オンラインファクタリング…通帳コピー、直近1期分の決算書、請求書

必要書類の点数は、通常の2社間ファクタリングが4点、オンラインファクタリングが3点となっています。
また、決算書や入金確認書類の提出期間が短くなるケースも多いです。

オンラインファクタリングの審査

 
オンライン型のファクタリング制度では、AIの活用も広がっています。
AIで審査する場合、決算書や請求書の情報から機械的に判断するため、正確かつスピーディです。
オンラインファクタリングが最短数時間で資金調達できるのは、AI審査に負うところも大きいといえます。

オンラインファクタリングの契約

 
オンラインファクタリングも、債権譲渡契約が基本です。
これに加えて、売掛金回収委託契約も必要となります。
ただし、2社間ファクタリングとは異なり、債権譲渡登記代行契約が不要です。
オンライン型のファクタリング制度は、ほとんどが「債権譲渡登記は不要」としています。
債権譲渡登記制度を利用しない以上、債権譲渡登記代行契約も必要ありません。
もちろん、債権譲渡登記制度が不要だからといって、債権譲渡通知・承諾を行うわけでもありません。
これにより、ファクタリング制度の秘匿性は一層高まります。
通常の2社間ファクタリングは債権譲渡登記制度を利用するため、売掛先や関係者が登記情報を照会することも可能です。
つまり、登記情報からファクタリング制度の利用がバレることもあります。
その点、オンラインファクタリングは債権譲渡登記制度を利用しないため、登記情報からバレる危険がありません。

ファクタリング制度のメリット

ファクタリングの概要や法制度の立て付けについてご理解いただけたところで、ファクタリング制度を利用するメリットとデメリットを詳しくまとめました。
まずはメリットからみていきましょう。
ファクタリング制度は、総じてメリットの方が多いことになります。

銀行融資より資金を調達しやすい

 
ファクタリング制度は、銀行融資よりも資金調達のハードルが低いです。
その理由は、銀行融資とファクタリング制度の審査基準の違いにあります。

銀行融資の審査基準

 
銀行融資の審査基準は「融資先」です。
融資先の経営状況、特に業績の推移や財務内容から返済力を判断し、貸倒れリスクに問題がなければ融資します。
長期融資の場合、少なくとも融資期間中にわたって、返済力を維持できることが前提です。
したがって、業績が悪化している会社や、財務内容が悪い会社は融資を受けることができません。
銀行は本業の利益を返済原資とみなすため、業績悪化は「返済力の低下」、赤字は「返済力ゼロ」とみなします。
その状況で融資を受けられるのは、業績回復・黒字転換の見通しが立っており、銀行が納得するだけの計画を立てている会社だけです。
その場合、銀行は「ここで倒産されたら貸し倒れを引き起こす」「担保・保証付きなら融資しても良い」などと判断し、ある程度目をつぶって融資してくれます。
とはいえ、銀行が積極的に融資しているわけではなく、いつ手を引くかわからない危険な状況です。
融資先が判断基準になるからこそ、資金調達が難しいといえます。
この点においては、銀行融資だけではなくビジネスローンや公的融資も同様です。

ファクタリング制度の審査基準

 
ファクタリング制度の審査基準は、融資とは全く異なります。
ファクタリング制度の流れにもあるように、ファクタリング会社は売掛金の額面金額から手数料を差し引いて買い取ります。
しかし、この時点ではファクタリング会社の利益は確定していません。
あくまでも「支払期日に売掛先から回収、手数料分の収益を確保」という見込みの状態です。
後述の通り、ファクタリング制度には償還請求権がないため、買い取った売掛金が回収不能になった場合の損失はすべてファクタリング会社が負担します。
つまり、ファクタリング会社にとって最も重要なのは「売掛先が支払期日通りに、額面金額の現金を支払えるかどうか」です。
これにより、ファクタリング制度では売掛先が審査基準となります。
利用会社が経営に問題を抱えていても、売掛先の支払能力に問題がなければ、ファクタリング制度はビジネスとして成立します。
逆にいえば、利用会社の経営がどれだけ良好であっても、売掛先が倒産寸前であればファクタリング制度はビジネスとして成立しません。

資金調達方法の多様化にファクタリング制度を

 
以上のように、融資先を重視する銀行融資と、売掛先を重視するファクタリング制度では、審査基準がまるで異なります。
銀行融資の審査に落ちた会社でも、ファクタリング制度ならば資金調達できる可能性が高いです。
同様に、銀行融資で資金調達できる会社が、ファクタリング制度を利用できないこともあり得ます。
基本的に、経営良好な売掛先の売掛金を選べば、ファクタリング審査に落ちることはありません。
これが、銀行融資よりもファクタリング制度のほうが審査に通りやすく、資金調達しやすいといわれる理由です。

審査が簡便である

実際に、ファクタリング制度は審査が簡便です。
このことは、銀行融資とファクタリング制度の必要書類を比較するとよくわかります。
銀行融資では融資先を基準とするため、決算書、資金繰り表、試算表、経営計画書、投資計画書など多くの書類を求めます。
単に提出すればよいというものではなく、融資を引き出すための工夫も欠かせません。
当然、書類の準備に時間とコストがかかります。
一方、ファクタリング制度には法律で定められた手続きがないので、身分証明書、請求書、契約書、預金通帳などがあればすぐに審査してもらえます。

手元の書類だけで申し込めるケースが多く、書類の作成・取得に手間がかかりません。
一例として、No.1のファクタリング制度でご提出いただく書類は、以下の4点です。

  • 直近3ヶ月の取引入金が確認できる書類(入金通帳・当座通帳・当座照合表)
  • 決算書直近2期分(勘定科目明細付で税務申告済みの捺印のあるもの)
  • 成因資料(請求書・発注書・納品書など)
  • 取引先企業との基本契約書

これらのうち、利用会社の経営に関する書類は決算書だけです。
その他は全て売掛金・売掛先に関する書類であり、入金確認書類から最近の支払い状況を、成因資料から売掛金の内容(請求金額や支払期日)を把握します。
契約書は補足資料であり、不要とするケースもしばしばです。
必要書類からも、ファクタリング制度の審査基準が売掛先であることがよくわかります。

資金調達方法の多様化にファクタリング制度を

 
審査基準の違いから、銀行融資とファクタリング制度の組み合わせは非常に効果的です。
銀行融資を凹とすればファクタリング制度は凸であり、互いの欠点を補いつつ、資金繰りの安定を目指すことができます。
少なくとも、資金調達方法が「銀行融資だけ」の会社よりも、「銀行融資+ファクタリング制度」の方が、資金ショートの危険ははるかに少ないです。
政府がファクタリング制度を推奨している理由もここにあります。
日本の中小企業は銀行融資への依存度が高く、資金繰りが不安定(銀行の判断に左右される)です。
ファクタリング制度を活用すれば、銀行融資への依存度を下げることができます。
資金調達方法を多様化したい会社は、ファクタリング制度を採り入れましょう。

売掛金さえあれば資金調達できる

 
ファクタリング制度は、どのような会社にとっても利用しやすい制度です。
資金調達方法ごとに「資金を調達するための前提条件」を比較すると、このメリットがよくわかります。

ファクタリング制度の前提は?

 
前提条件を資金調達方法別にまとめると、以下のようになります。

  • 銀行融資…金融機関から資金を借り入れる制度。現在と将来(借入期間中)の経営が安定しており、借入金を返済できることが前提。業績が悪化していないこと、赤字決算ではないこと、債務超過に陥っていないこと、これまで返済トラブルを起こしていないこと、リスケジュール中ではないこと、業歴がある程度長いこと、きちんと納税していること、法令違反を犯していないことなど。
  • ビジネスローン…制度的には融資であり、借入金を返済できることが前提。ただし銀行融資よりは基準が甘い。
  • 出資…ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などから資金を集める制度。出資額に見合うリターンを得られることが前提。長期的に会社が成長し、配当や株式上場によって十分な利益を得られるかどうかが重要。
  • 少人数私募債…小規模に社債を発行できる制度。社債の引受人を集められることが前提。会社を応援してくれる縁故者がどれだけいるか、引受人を納得させるリターン(社債利息)を提示できるか、きちんと償還できるか。
  • リースバック…資産の売却とリース契約を同時に行う制度。リースバックできる資産を所有していることが前提。経営者自身や会社の所有する不動産、事業用の車両など。
  • 手形割引…受取手形を早期資金化する制度。手形取引を行っており、受取手形を所有していることが前提。
  • ファクタリング…売掛金を早期資金化する制度。信用取引を行っており、売掛金(確定債権)を所有していることが前提。

ファクタリング制度に必要なのは売掛金だけ

 
以上のように、資金調達方法によって前提は様々です。
このうち、特に前提が厳しいのは銀行融資と出資でしょう。
ちょっとした悪材料によって資金調達できなくなることも多いです。
ビジネスローンは銀行融資より前提が甘いものの、融資であることには変わりないため、銀行融資と同じ理由で審査に落ちることがよくあります。
少人数私募債は引受人の募集に時間がかかり、リースバックは事業と資産内容に大きく左右されます。
残るは手形割引とファクタリングですが、手形割引は手形で取引していることが前提です。
政府は2026年までに手形取引の廃止を掲げており、手形交換高は急減しています。
近い将来、手形割引という制度そのものがなくなり、資金調達できなくなるのです。
ファクタリング制度は、銀行融資や出資のように前提が厳しくありません。
少人数私募債のような負担もなく、不動産・車両などの事業用資産も不要です。
ファクタリング市場は拡大し続けており、政府も推奨していることから、近い将来廃止される手形割引とは大きく異なります。
ファクタリング制度に求められるのは、「売掛金を所有していること」だけです。
日本の企業のほとんどは、多かれ少なかれ信用取引を行っており、売掛金を所有しています。
「売掛金を常に所有している」ということは、「ファクタリング制度を活用すれば、自社の裁量でいつでも資金調達できる」ということです。
これにより、資金繰りの柔軟性が飛躍的に高まります。

利便性が高い

 
ファクタリング制度は、資金調達方法の中でも特に利便性に優れています。
「売掛金さえあれば資金調達できる制度」というだけでも、利便性の高さはイメージできるでしょう。
資金調達の利便性を左右するのは、手続きの流れと負担です。

ファクタリング制度は手続きが簡単

 
まず、ファクタリング制度は手続きの流れが簡単です。
ファクタリング制度に申し込む際には、電話やFAX、メールなどのほか、公式HPの専用フォームから申し込むこともできます。
また、ファクタリング制度の必要書類は少なく、手元にある書類だけで申し込めるケースが多いです。
申し込みと書類提出が完了後、ファクタリング会社は審査を実施し、問題がなければ契約を締結して買取代金を支払います。
つまり、利用会社がやるべき手続きは「申し込み」「書類提出」「契約」だけです。

オンラインファクタリングで契約の負担を軽減

 
ただし、ファクタリング制度の手続きのうち契約には注意してください。
ファクタリング制度では、契約時に対面取引を求められることがよくあります。
対面契約の場合、ファクタリング会社のスタッフが利用会社を訪問するか、利用会社がファクタリング会社の営業所に出向くことが必要です。
当然ながら、ファクタリング会社が遠方であれば移動に時間がかかり、契約の負担が大きくなります。
手続きの流れが簡単でも、契約の負担が大きければ利便性が高いとはいえません。
そこで、契約の負担が大きい場合には、オンライン型のファクタリング制度をおすすめします。
オンライン型のファクタリング制度は、オンライン上で契約を締結するため、対面取引が一切不要です。
手続きの流れが簡単なだけではなく、負担も軽くなるため、ファクタリング制度の本来の利便性を損ないません。

オンラインファクタリングで書類提出をさらに軽減

 
また、オンライン型のファクタリング制度は、一般的なファクタリング制度に比べて必要書類が少ないというメリットもあります。
例えば、No.1のオンラインファクタリングの必要書類は以下の通りです。

  • 直近の決算書
  • 請求書
  • 通帳のコピー

通常のファクタリング制度では必要書類が4点であるのに対し、オンライン型のファクタリング制度は3点のみにてお申し込みいただけます。

最短即日に資金調達、現金化可能

ファクタリング制度を活用している会社の多くは、「資金調達スピード」を大きなメリットとして挙げます。

資金調達スピードの目安

 
ファクタリング制度は手続きが簡単であり、審査もスピーディです。
ファクタリング制度は融資ではないので、関連法規に定められている審査がありません。売掛金の請求書が確かなものならば、速やかに買い取り、現金化できます。
ファクタリング制度の資金調達スピードは、方式によって異なります。
目安は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:最短即日
  • 3社間ファクタリング: 最短1週間程度
  • オンラインファクタリング:最短数時間

この目安からわかるように、ファクタリング制度は最短即日現金化も可能で、その日の午前中に申請すれば、午後には振り込まれることも可能です。
特に、2社間ファクタリングを提供している業者では、最短即日対応を基本としています。
業者側も、2社間ファクタリングを利用する会社が資金調達スピードを重視していることを知っています。
だからこそ、申し込みや書類提出の負担軽減、手続きの効率化、簡易審査などに力を入れ、即日対応を心掛けているのです。
イレギュラーなケース(複数の申し込みが重なる、買取希望額が高額など)を除けば、必要書類の事前準備、午前中の申し込みなどによって、当日中に資金調達できるでしょう。

融資とファクタリング制度のスピードを比較

 
他の資金調達方法と比較すると、ファクタリング制度の資金調達スピードは圧倒的に優れています。
融資で資金調達する場合、銀行融資は数週間~1ヶ月程度、公的融資は1ヶ月程度(制度融資は1ヶ月以上)、ビジネスローンは数営業日~1週間程度を要します。
融資ならば、資金調達スピードに優れているのはビジネスローンであり、ノンバンクのビジネスローンでは即日融資を謳っているものも多いです。
このため、資金調達を急いでいる際、「銀行融資では間に合わないからビジネスローンで」と考える人もいることでしょう。
しかし、融資は制度的にスピード対応が難しいため、ビジネスローンでも翌営業日以降の融資実行となるケースが多々あります。
その点、ファクタリングは制度的に資金調達スピードに優れています。
2社間ファクタリングならば最短即日が基本、オンラインファクタリングに至っては最短数時間での資金調達も可能です。
ちなみに、No.1のオンラインファクタリングは最短60分入金の実績が多数ございます。

資金調達スピードは「ファクタリング制度≫ビジネスローン」

 
以下のように比較すると、ビジネスローンとファクタリング制度の優劣は明らかです。

  • ビジネスローン…制度的にスピード対応が難しい。しかし、融資先の経営状況が比較的良好(銀行融資の審査には落ちるが、ビジネスローンならば十分に融資できるレベル)であれば、最短即日で融資できる可能性もある。
  • ファクタリング制度…制度的にスピード対応に適している。利用会社の経営状況が悪い場合でも、売掛金・売掛先の内容に問題がなければ、基本的には最短即日(あるいは数時間)で入金可能。

何らかの理由によって資金調達を急いでいるならば、ビジネスローンよりもファクタリング制度を利用しましょう。

必要資金を柔軟に調達できる

 
ファクタリング制度は、幅広い資金調達に対応しています。
少額の資金調達から高額の資金調達まで、自社の状況や資金使途に合わせて柔軟に調達できるのです。
これも、ファクタリング制度の大きなメリットといえます。

業者によって対応額が異なる

 
ファクタリング制度によって調達できる金額は、ファクタリング会社によって異なります。
少額の資金調達に強いファクタリング会社では、数万円~数十万円の買い取りから受け付けており、その場合には高額の売掛金には対応できないことも多いです。
また、大手ファクタリング業者では、申込金額の下限を100万円以上に設定し、上限額は「数億円~上限なし」とするケースもよくみられます。
ただし、現在のファクタリング市場は、少額や高額に特化している業者はあまり多くありません。
ファクタリング会社の大多数は、独立系(銀行やノンバンクの系列に属さない)ファクタリング会社です。
したがって、ファクタリング制度の調達可能額の中央値は「数十万円~数千万円」と考えるとよいでしょう。

調達可能額の例

 
一例として、No.1のファクタリング制度は、メニュー別に以下のように設定しています。

  • 法人向けファクタリング…50万円~5000万円
  • 診療報酬ファクタリング…50万円~5000万円
  • 介護報酬ファクタリング…50万円~5000万円
  • 建設業特化型ファクタリング…50万円~5000万円
  • 個人事業主向けファクタリング…10万円~5000万円
  • 法人向けオンラインファクタリング…300万円~上限なし

なお、これはあくまでも基本設定です。
No.1では、5000万円以上の買取りにも対応可能です。
少額の不足資金をスピーディに調達する、設備投資やM&Aのためにまとまった資金を調達するなど、ファクタリング制度は様々な用途にご利用いただけます。

個人事業主とファクタリング制度

 
もともと、ファクタリング制度は法人向けの制度です。
ファクタリング会社の中には、法人専用(個人事業主非対応)の業者も未だに多いです。
しかし近年、個人事業主向けのファクタリング制度も普及してきました。
この流れは、優良ファクタリング会社の一部と、新興のファクタリング会社の両方でみられます。
No.1をはじめ、一部の優良ファクタリング会社では、個人事業主向けのファクタリング制度を新たに取り扱うケースが増えています。
また、新規開業のファクタリング会社においては、個人事業主特化型のファクタリング制度も多いです。
個人事業主向けのファクタリング制度は、申込額を「1万円~」「10万円~」などに設定しているため、個人事業主の資金調達に役立ちます。
今後、のファクタリング制度は法人・個人事業主を問わず普及していくと考えられます。

取引先にバレない(2社間ファクタリングの場合)

債権者とファクタリング会社で行う「2社間ファクタリング」であれば、取引先(債務者)にバレずに資金調達できます。

債権売却後、売掛金回収日が到来したら、債務者から入金された売掛金を債権者がファクタリング会社に振り込んで終了です。

取引先(債務者)に知られる「3社間ファクタリング」もあります。3社間ファクタリングは取引先も了解の上で進めるので手数料が安くなりますが、バレることで債務者から「この会社資金繰りが悪いのか?」と疑念を持たれてしまいます。

2社間ファクタリングならば手数料は高めですが、隠密に資金調達が可能です。

信用情報とは無関係

ファクタリング制度は、信用情報に関係なく利用できます。
このため、会社の信用を傷つけることなく資金を調達でき、融資環境の維持や融資正常化に効果的です。

ファクタリング制度と信用情報

過去に返済事故などを起こして信用情報に問題があっても、ファクタリング制度の場合、そもそも信用情報照会がないので問題なく制度利用できます。

既に返済トラブルを起こしている場合や、リスケジュール中の会社でも利用できるので、融資が難しい中で恒常的にファクタリング制度を利用するかもしれません。

その場合も「ファクタリング利用歴」が信用情報をはじめ、何かに掲載されることはありません。あくまでそこにある売掛債権の売却なのです。

ビジネスローンは信用悪化につながる

 
ビジネスローンとファクタリング制度を比較する上でも、この点は重要です。
ビジネスローンは、銀行融資の際に大きなマイナスとなります。
ビジネスローンは金利が高く、資金繰り負担が大きいため、銀行は問題視するのです。
そもそも、ビジネスローンは銀行融資を受けられない会社を対象としています。
このため、「ビジネスローンで借りている」という事実は「銀行融資を受けられなかった」ことを意味し、延いては「何らかの問題により銀行が融資を断った」ことを示唆します。
つまり、「ビジネスローンで借りている」というだけで、銀行が積極的に融資すべき理由がなくなってしまうのです。
実際、借入先一覧表にノンバンクが記載されていることによって、融資を断られるケースが少なくありません。

個人的な利用もNG

 
信用悪化を避けるために、消費者金融から個人的に借入れ、事業資金に充てる経営者もいます。
しかし、この方法は必ずしも安全ではありません。
消費者金融などで借入れた場合、申し込み歴や利用状況が信用情報機関に全て記録されます。
金融機関やノンバンクのほとんどは信用情報機関に加盟しているため、いつでも信用情報を照会できます。
経営者が個人的に借りたとしても、信用情報からその事実を把握し、お金の流れを追っていけば、すぐにバレてしまうのです。

ファクタリング制度を優先すべき

 
融資環境を維持するためには、ノンバンクからの借り入れは極力避けるべきです。
リスケ中などの理由により銀行融資を受けられない会社も、まずはファクタリング制度で資金調達、足りない部分をビジネスローンで補完するのがよいでしょう。
これにより、ビジネスローンからの借り入れを最低限に抑えることができ、早期の融資正常化につながります。

取引先が倒産しても請求される義務がない(ノンリコース)

ファクタリング制度は「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則です。

償還請求権とファクタリング制度

 
償還請求権は、譲渡した売掛金が回収不能になった場合、譲受人が譲渡人に買戻しを請求する権利のことです。
償還請求権の有無によって、回収不能時の対応は以下のように異なります。

  • 償還請求権あり(ウィズリコース)…譲受人は、譲渡人に対して債権の買戻しを請求できる
  • 償還請求権なし(ノンリコース)…譲受人は、譲渡人に対して債権の買戻しを請求できない

ファクタリング制度は、「償還請求権なし」の取引です。
つまり、ファクタリング制度によって売掛債権をファクタリング会社に売却後、売掛先(債務者)が倒産などして、売掛先の回収ができない(買掛金の支払いができない)状況になっても、「償還請求権」というものがないので、利用会社が買戻しを求められることはありません。

回収不能リスク、不良債権化してしまった売掛金はすべてファクタリング会社が背負います。

回収不能の影響

 
ファクタリング制度は「償還請求権なし」のため、リスクマネジメントに効果的です。
本来、売掛先の経営悪化や倒産によって売掛金が回収不能になった場合、利用会社が売掛先に対して催促や法的手続きを行います。
この時、他の債権者と競争になることも多く、回収実務の負担は大きいものです。
回収実務に励んだからといって、売掛金を満額回収できるとは限りません。
むしろ、額面金額の一部しか回収できない、ほとんど回収できないといったケースも多々あります。
不良債権の回収は非効率で不毛な業務なのです。
貸倒損失の影響はさらに深刻です。
入ってくるお金が入ってこなくなるため、資金繰りの悪化は避けられません。
これにより資金ショートを引き起こし、連鎖倒産に至る危険もあります。

回収不能リスク、貸し倒れリスクを減らす

「償還請求権なし」ということは、「回収不能リスクをファクタリング会社に移転できる」ということです。

売掛金回収日まで倒産しそうな会社や、今後の経営が危ない会社と取引している場合、期日前にファクタリングによって売掛債権を現金化することで、回収不能リスク、貸し倒れリスクを減らします。

もちろん、回収不能リスクが不明な売掛金にもファクタリング制度が効果的です。
例えば、新規事業に取り組む場合や、既存事業で販路を拡大する場合、売掛先の多くが新規取引となります。
信用取引先は、取引の積み重ねによる信用がなく、回収不能リスクも不明です。
いきなり大きな取引をするのはリスクが高いため、与信限度額を少額に設定し、その後の取引に応じて漸次与信枠を拡大していきます。
この場合、少額とはいえ回収不能リスクが高いこと、取引拡大に時間がかかることが問題です。
新規事業展開や新規取引の問題も、ファクタリング制度で解決できます。

手数料分手取りは減りますが、回収不能になり不良債権化するよりもはるかにマシです。

売掛債権の回収コストを減らせる

ファクタリング制度で回収不能リスクを軽減すれば、回収コストの削減につながります。
回収不能リスクを避けるためには与信管理が欠かせません。
しかし、与信管理にはたくさんのコストがかかります。
与信管理専門の人材を確保するほか、営業部と経理部の連携を強化するための社内制度の構築や、売掛先の不安情報を素早くキャッチするための信用調査など、様々な取り組みが必要となります。
人材不足が社会問題化しており、アフターコロナの対応で忙しい中小企業にとって、与信管理の負担は極めて大きいです。
実際、中小企業の多くは与信管理が不十分であり、回収不能リスクと隣り合わせの状況です。
ファクタリング制度には償還請求権がないため、少なくともファクタリングした売掛金については、自社で管理する必要がなくなります。

特に資金調達に困っていなくても、ファクタリング制度を利用することで、回収サイトが異様に長いクライアントや、独特で面倒な回収方法を指定するクライアントからの売掛金回収が楽になります。

ポイントは、回収サイトが長い、回収方法が特殊、額面金額が大きい、取引が短く信用が不明など、負担が大きい売掛金と積極的にファクタリングすることです。

ファクタリング会社から現金を受け取れば、その後の売掛金回収はファクタリング会社がやってくれます。

結果的に債権管理が楽になることがあります。
実務面でも、コスト面でも、与信管理の負担を軽減できるのです。

担保・保証人なしで利用可能

銀行や消費者金融からの融資と異なり、ファクタリング制度の際には担保や保証人が要りません。

融資の中には無担保無保証人のものもありますが、審査が厳しく、利率も高めです。ファクタリングは制度的に無担保、無保証人なので、誰かに保証人を頼むなど心理的ストレスから解放されます。

なぜファクタリング制度が無担保・無保証かといえば、ファクタリング制度は法的に債権譲渡であるためです。
これは、ファクタリング制度と融資の契約の違いを考えるとよくわかります。
融資によって資金調達する場合、銀行や貸金業者と締結するのは金銭消費貸借契約です。
金銭消費貸借契約では、金利や返済方法、返済期間など、諸々の借入条件を取り決めます。
これは、返済義務の履行について契約を交わすことにほかなりません。
担保・保証は、返済義務を果たせなくなった場合の保全を目的としています。
つまり、融資は返済義務があるからこそ、担保・保証が重視されるのです。
これに対し、ファクタリング制度の契約は、2社間・3社間・オンラインを問わず債権譲渡契約が軸となります。
債権譲渡契約は、ファクタリングする売掛金の特定、手数料、回収などについて定める契約です。
ファクタリング制度は借入れではないため返済義務がなく、借入条件を定める必要もありません。
当然、ファクタリング制度では「担保・保証によって保全を図る」という考え方自体が成り立たないのです。
だからこそ、ファクタリング制度は例外なく無担保・無保証で利用できます。
担保・保証の不足によって資金調達できない会社は、ファクタリング制度での調達がおすすめです。
また、担保・保証に余力がある会社も、ファクタリング制度で資金を調達すれば担保・保証を温存できるため、いざというときの備えになります。

「オフバランス化」やキャッシュフローの増加

ファクタリング制度は、オフバランス化に役立ちます。

オフバランス化とは?

 
簡単にいえば、オフバランス化とは財務諸表に記載される資産を減らし、資産効率を改善する取り組みです。
例えば、会社が所有する資産が「資産A(1000万円)」、「資産B(500万円)」、「現金(500万円)」の場合、財務諸表には3つの資産が計上されている状態です。
資産Aと資産Bを資産価値相応に売却すれば、財務諸表に計上される資産は現金2000万円だけとなります。
さらに、資産A・資産Bが遊休資産であれば、売却によって資産効率は大幅に高まります。
遊休資産とは、資産価値相応の収益を生み出さない資産のことです。
売却によって得た1500万円の現金は、資産価値1500万円の遊休資産よりもはるかに価値があります。
現金は、事業に投入することで収益につながるからです。
これが、オフバランス化で資産効率が高まる仕組みです。

オフバランス化で銀行評価が高まる

 
また、オフバランス化によって銀行評価の改善も期待できます。
オフバランス化に取り組まない会社は、財務諸表に多くの資産が計上されています。
その中には、事業に必要な資産もありますが、必要ない資産も少なくありません。
必要ない資産は資産効率の低下につながり、「所有するリスク」もはらんでいます。
例えば、必要ない不動産を所有している場合、不動産の管理や税金にコストがかかります。
また、不動産の建物部分は経年とともに劣化するため、資産価値の低下は避けられません。
不動産に限らず、すべての資産には多かれ少なかれ「所有するリスク」があります。
事業に必要な資産であれば、ある程度は所有するリスクを受け入れるべきですが、必要ない資産を所有するリスクは避けた方が賢明です。
オフバランス化を推進し、資産効率を高めるとともに所有するリスクを軽減すれば、銀行はその取り組みを必ず評価します。

ファクタリング制度もオフバランス化につながる

 
オフバランス化につながるのは、遊休資産の処分だけではありません。
資産の計上を減らし、「資産効率の改善」や「所有するリスクの軽減」などの成果が得られるならば、全てオフバランス化とです。
したがって、ファクタリング制度で売掛金を売却することも、オフバランス化につながります。
売掛金は、「支払期日に代金を受け取る権利」であり、同時に「支払期日まで代金の受け取りを待つ義務」でもあります。
支払期日を迎えるまでは「売掛金」として計上され、資金繰りに活用することはできません。
しかし、売掛金をファクタリング制度で早期資金化すれば、「資金繰りに活用できない売掛金」が、すぐに「資金繰りに活用できる現金」へと変わります。

ファクタリング制度を利用することで「売掛金」が「現金」に変わります。現金はキャッシュフローであり、流動資産が増え、融資の際にも有利になります。

例えば、財務諸表に「額面金額100万円の売掛金」「100万円の現金」の2つが計上されているとしましょう。
資産のうち、実際に経営に活用できるのは現金100万円だけです。
このとき、ファクタリング制度(手数料率10%)で売掛金を早期資金化すれば、計上される資産は「現金190万円(売掛金の買取代金90万円+現金100万円)」となります。
これは、まぎれもなく資産効率の改善であり、オフバランス化です。

現金勘定を増やすことで、自社の評価を上げられます。

ファクタリング制度のデメリット

一方で、ファクタリング制度が持つデメリットも知っておきましょう。

手数料が高い

ファクタリング制度の手数料は、他の資金調達方法に比べて高いとされます。
ファクタリング制度の手数料率を方式別にみると、

  • 2社間ファクタリング→額面金額の10%~30%
  • 3社間ファクタリング→額面金額の1%~9%

が相場です。

ファクタリング制度の手数料率を年利換算すると?

 
特に2社間ファクタリングの場合、100万円調達しようとすると最低でも110万円以上の売掛債権が必要になります。

10%の手数料でも年利に直すと(30日サイトの場合)

10%×(365÷30)≒120%

となります。利息制限法の年利上限は20%ですので、手数料が安いファクタリングでも、それを超えることがあり得ます。
年利20%を月利に換算すると約1.67%です。
回収サイトが1ヶ月の場合、手数料率が1.67%以上であれば、たちまち利息制限法の上限を超えてしまいます。
ファクタリング制度は、たとえ3社間でも手数料率1.67%未満で売却できることはほとんどありません。
したがって、単純に手数料率だけを比較した場合、ファクタリング制度は銀行融資やビジネスローンよりも高いといえます。

実は低コスト?ビジネスローンと比較

 
ただし、「ファクタリング制度の調達コスト」と「ファクタリング制度の手数料率」は分けて考える必要があります。
「ファクタリング制度は手数料“率”が高い」からといって、「ファクタリング制度は調達コストが高い」とは限りません。
実際、純粋に調達コストを比較した場合、ファクタリング制度の手数料は決して高くないのです。
例えば、500万円の売掛金を手数料率10%でファクタリングする場合、入金時に50万円を支払い、450万円の買取代金を受け取ります。
この場合、ファクタリング制度の調達コスト(総額)は50万円です。
一方、ビジネスローンで450万円を年利15%、5年返済の条件で借り入れた場合、調達コスト(完済までに支払う利息の総額)は192万3225円となります。
もちろん、借入期間が短いほどビジネスローンの調達コストは減少します。
しかし、ビジネスローンの調達コストがファクタリング制度の調達コスト(50万円)を下回るには、450万円を16ヶ月以内に完済しなければなりません。
16ヶ月で完済する場合、毎月の返済額は約31万円となるため、資金繰りの大きな負担になることは間違いないでしょう。
だからこそ、融資はできるだけ長期で借り入れて、資金繰り負担を軽減することが重要といわれます。
以上のように比較すると、ファクタリング制度の手数料率はビジネスローンよりも高い、しかし調達コストはビジネスローンよりも安いことが分かります。
ファクタリング制度と他の資金調達方法を比較する際には、単純な手数料率だけではなく、調達コストの合計で考えることが重要です。

法的保護が薄い

ファクタリング制度は法整備が不十分であり、悪質業者が問題視されています。
大抵の金融サービスは法規制の対象です。
これは、金融サービスの健全性を高め、利用者を法的に保護するためです。
銀行は銀行法、ノンバンク(銀行以外の貸金業者)は貸金業法・利息制限法・出資法などによって規制されています。
特に厳しいのは、ノンバンクに対する規制です。
貸金業法・利息制限法・出資法は「貸金三法」とも呼ばれ、ノンバンクの活動を厳しく制限しています。
まず、貸金業法の規制により、貸金業を営むためには金融庁への登録が義務付けられています。
登録要件は非常に厳しく、簡単に登録できるものではありません。
かといって、未登録で営業すれば「無登録営業」の罪に問われます。
所謂「ヤミ金」というのは、「無登録の(闇営業の)貸金業者」のことです。
また、ヤミ金の常とう手段である「超高金利」も、利息制限法と出資法によって規制対象となります。
このように、違法業者を抑制するために様々な制度・規制を設けています。
しかし、ファクタリングは新しい制度なので法制度が追い付いていません。

法規制が緩いということは参入障壁も低いので、反社会的勢力や闇金融など消費者金融も許可されないグループが獲物を狙っている可能性があります。

そうした悪徳業者も現在の法制度ではなかなか排除できません。

したがって、ファクタリング制度を活用するためには、悪質業者を避けることが前提となります。
悪質業者の見極めについては、以下の記事を参照してください。

【違法?】ファクタリング業に免許は必要ない?悪質業者の見分け方を徹底解説!

債務者にバレるリスク

2社間ファクタリングならば債務者(売上先)にバレませんが、3社間ファクタリングの場合はファクタリングの事実がバレます。
3社間ファクタリングは債権譲渡通知・承諾手続きが必須のため、売掛先の関与なしには成立しないのです。
お互いに信頼関係があればいいのですが、日が浅い関係だと、クライアントから不審がられて切られてしまうかもしれません。

貸し倒れリスク回避ができない可能性

ファクタリングのメリットで回収不能リスク、貸し倒れリスクを回避できると書きましたが、これは当然ながらファクタリング審査に通ることが前提です。
ファクタリングの種類、ファクタリング会社によっては、請求書だけで判断せず、売掛先の信用情報調査を独自に入れることがあります。

そこで売掛先の経営状態に問題があれば、ファクタリングを拒否されるかもしれません。

ファクタリングを拒否された場合、売掛金を譲渡することはできず、「償還請求権なしで売掛金を譲渡→貸倒れリスク回避」というメリットを得ることもできません。

3社間ファクタリングの場合時間がかかることがある

基本的に融資よりも迅速に資金調達できるファクタリングですが、3社間ファクタリングの場合、制度的に債務者側の承諾も必要になるので、予想よりも時間がかかるかもしれません。

少なくとも、3社間ファクタリングで「即日現金化」は難しいと考えてください。

まとめ:ファクタリングの制度を理解し、自社のメリットがあれば申し込んでみましょう

ファクタリングの制度概要と、メリットとデメリットについて解説しました。
ファクタリングは新しい資金調達制度であり、従来の資金調達方法にはなかった様々なメリットがあります。
ただし、普及が始まったのはごく最近のことであり、法整備が不十分なため悪徳業者には注意が必要です。
また、手数料率が高いことにも気を付けましょう。
ファクタリング制度は、使い方次第でビジネスローンよりもコストが安くなります。
しかし、無計画に利用すれば手数料の負担が大きく、恒常的な資金調達手段として使うのは、金利の面で不利です。
ファクタリングを使うタイミングや戦略を持つためにも、制度をしっかり理解してください。
ファクタリング制度を理解し、資金繰りに活用できれば、大きな武器になるはずです。

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