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建設業の支払いサイトが長い問題を解決するには? 取適法の影響と対策を解説
建設業では、受託した工事の代金が支払われるまでの期間「支払いサイト」が長いことが大きな課題となっています。工事を完了しても代金がすぐに入金されないため、次の工事に必要な資材調達が滞ったり、経営状況が悪化したりするケースがあります。
利益が出ていても、資金繰りがうまくいかず倒産する可能性があるため、事前に対策を検討しておくことが重要です。
本記事では、支払いサイトが長いことによるリスクや、その対策としての支払いサイトの短縮交渉、補助金やファクタリングの活用について解説します。資金繰りでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 取適法の施行により、支払いサイトに関するルールが厳格化された
- 支払いサイトが長いと、経営状況の悪化や黒字倒産のリスクが高まる
- 資金繰りを改善するためには、支払いサイトの短縮交渉や補助金の活用が重要
- ファクタリングを利用すれば、売掛金を売却してすぐに現金化できる
建設業の支払いサイトは長い? 取適法により60日以内に変更
2026年1月から下請法が改正され、新たに取適法(中小受託取引適正化法)として施行されました。この改正により、委託取引のルールが大きく変わり、取引の公正化と受託側の中小企業の利益保護が強化されます。
支払いサイトの厳格化は、取適法の重要なポイントの一つです。委託事業者は、発注した物品などを受領日から60日以内に、できるだけ短い支払期日を設定する必要があります。違反した場合は、勧告や指導の他、法令違反の内容によって50万円以下の罰金が科される場合もあります(※1)。
また、手形払いなどによる、支払期日までに代金を支払わない行為も禁止されました。下請法が改正されるまでは「支払日までの期間(60日) + 手形サイト(60日) = 現金受領までの期間(120日)」といった設定も可能でしたが、2026年1月からは「支払日までの期間(60日) = 現金受領までの期間(60日)」とする必要があります(※2)。
※1参考:政府広報オンライン.「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」.(2025-11-18).
※2参考:国土交通省.「1.取適法の概要について」.(参照2026-03-18).
支払いサイトとは?
そもそも支払いサイトとは、商品やサービスの取引において、委託事業者が代金を支払うまでの期間を意味します。例えば、5月31日締めで6月30日に代金を支払う場合、支払いサイトは30日です。
支払いサイトは建設業に限らず、企業の資金繰りに大きな影響を与えます。支払いサイトが長くなると、委託事業者は支払いを先送りできるため、手元の資金を長く確保でき、キャッシュフローを調整しやすくなるでしょう。
建設業は要注意! 支払いサイトの長期化による受託業者にとってのデメリット
一方で、支払いサイトが長くなると、受託業者にとって以下のようなデメリットがあります。
- 資金繰りや経営状況が悪化する
- 黒字倒産のリスクが高まる
それぞれのリスクについて順番に見ていきましょう。
資金繰りや経営状況が悪化する
支払いサイトが長いと、受託業者の資金繰りや経営状況が悪化する可能性があります。建設業では、次の工事に備えて資材を前もって発注したり、人件費を支払ったりする必要があるためです。入金を待つ間にもさまざまな支出が発生し、結果として経営が苦しくなるケースもあります。
さらに、外部からの資金調達も思うように進まず、事業が停滞する可能性もあります。後述する支払いサイトの短縮交渉や補助金の活用など、早期に対策を検討しておくことが重要です。
黒字倒産のリスクが高まる
資金繰りがさらに悪化すると、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず倒産に至る「黒字倒産」のリスクが高まります。たとえ高品質な建設工事を行っていても、資金繰りが滞れば事業の継続は困難になるでしょう。
支払いサイトが長くなることのリスクをしっかりと理解し、ファクタリングの活用なども含めて対策を検討しておくことが重要です。
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建設業において支払いサイトの短縮交渉を行うときのコツ

支払いサイトの短縮交渉は、資金繰りを改善する方法の一つです。建設業に限らず、支払いサイト短縮交渉を行うときは、相手企業の事情にも配慮しながら、丁寧に話し合いを進める必要があります。
具体的には、段階的な支払いサイト短縮の提案、適切なタイミングでの交渉、相手企業にとってのメリットの提示などが重要です。以下で、それぞれのコツを詳しく見ていきましょう。
段階的な支払いサイト短縮を提案する
支払いサイトの短縮を交渉する際は、段階的な提案を心掛けましょう。例えば、まずは5日程度の短縮を目標とし、次回の交渉でさらに短縮を提案する、といった長期的な視点を持つことが大切です。小さなステップを積み重ねることで、お互いに無理なく話が進み、良好な取引関係を継続できるでしょう。
一方で、急に支払いサイトの大幅な短縮を求めると、相手企業の予算や計画に大きな影響を与え、受け入れられない可能性があります。また相手企業の担当者が上司や社内に説明しにくいと感じ、交渉が難航するケースもあります。
さらに、焦って交渉すると「資金計画をしっかりと行っていないのではないか」といった悪い印象を与えるかもしれません。自社の資金繰りが厳しい場合でも、段階的な提案を意識して交渉を進めることが円滑な取引のコツです。
見積もりや契約のタイミングで交渉を行う
支払いサイトの短縮交渉は、タイミングにも注意しましょう。既に進行中のプロジェクトや建設工事の途中で交渉をしても、契約上の制約により変更が難しいケースがあります。また一度締結した契約の内容を変更するには、煩雑な手続きが必要になることもあります。
そのため、可能であれば見積もり提出時や契約を締結する前の段階で、支払いサイトについても協議しておきましょう。双方が合意した内容を、あらかじめ契約に反映させておくことが望ましいです。
相手企業との関係性を確認した上で支払いサイト短縮の目的を共有する
支払いサイトの短縮交渉を行う際は、まず相手企業との関係性を確認しておきましょう。どの程度の取引期間があるのか、自社にとってどのくらい重要な取引先なのか、事前に把握しておくことが大切です。
その上で、具体的な交渉を始める前に、これまでの感謝や今後も良好な関係を継続したい意向などを伝えます。例えば「いつも当社に工事を発注していただき、ありがとうございます。今後も丁寧な施工と良好な関係を維持していくため、ご相談があります」といった形で伝えるとよいでしょう。
いきなり本題に入るのではなく、話し合いの目的は良好な関係維持であることを伝えると、相手企業にも安心して話を聞いてもらいやすくなります。
自社が置かれている環境を丁寧に説明する
支払いサイトの短縮交渉においては、自社が置かれている状況や、交渉が必要となった社会的な背景などを丁寧に説明しましょう。例えば、自社のキャッシュフローを把握し、根拠のあるデータを準備しておけば、相手企業に対して納得感のある提案ができます。
また原材料価格やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇など、社会的な背景を説明するのも重要です。「原材料やエネルギーの価格高騰により、資金繰りが厳しい状況です。支払いサイトが長いため、下請業者への支払いにも苦労しています」と正直に伝えれば、交渉がスムーズに進むでしょう。
相手企業にとってのメリットを提示する
自社だけが得をするような印象を与えないためにも、支払いサイトの短縮による相手企業にとってのメリットの提示も大切です。例えば、次のようなメリットが考えられます。
- 自社の資金繰りが改善され、より大きな工事にも協力できる
- 取引が拡大し、より強固な協力体制を構築できる
- 早期支払割引を適用する
話し合いの場では「支払いサイトを現状よりも5日ほど短縮していただけないでしょうか。早期支払割引や、建設工事における優先的な対応を検討いたします」などと、支払いサイト短縮の提案と一緒に、相手企業のメリットを提示しましょう。
相手企業の不安や疑問にしっかりと回答する
自社からの希望や提案を伝えるだけではなく、相手企業の不安や疑問にしっかりと回答しましょう。
「早期支払割引率はどの程度なのか」「社内での承認が必要となるため、すぐには回答できない」など、相手企業から質問や意見が出るケースもあります。交渉の前に、想定される質問とその回答をある程度準備しておけば、交渉の場でスムーズに回答できます。
相手企業に配慮して他者との比較などは避ける
支払いサイトの短縮交渉においては、自社からの一方的な要求とならないよう、相手企業に配慮しながら話し合いを進めることも重要です。例えば「変更のタイミングについては、御社のご都合に合わせます」など、相手企業の状況にも理解を示しましょう。
逆に「他社は既に対応済みです」と相手企業を追い詰めたり、「御社の支払いサイトが長くて困っている」と相手企業を批判したりすると、関係性が悪化する可能性もあります。良好な関係を維持するためにも、相手企業に配慮しながら交渉を進めましょう。
心理的なハードルを下げておく
支払いサイトの短縮交渉の重要性は理解していても、実際に話を切り出すのにプレッシャーや心理的な抵抗を感じる人もいるかもしれません。「自社の経営状態が悪いと思われそう……」「相手企業が嫌がるのでは……」などと感じ、なかなか交渉を始められないケースもあるでしょう。
このような心理的なハードルを解消するためには、相手企業にとってのメリットを強調したり、交渉のイメージトレーニングをしたりすることが大切です。また、お互いに良い関係を維持するための話し合いだと考えれば、心理的なハードルを下げられます。
支払いサイトが長い建設業において役立つ補助金
ここで、建設業において役立つ補助金を紹介します。支払いサイトが長くても、以下のような補助金をうまく活用すれば、事業への投資や事業拡大に取り組みやすくなります。資金繰りに課題を感じている建設業の方は、補助金の活用を検討しましょう。
デジタル化・AI導入補助金(旧・IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金は、主に中小企業や小規模事業者のDX推進や生産性向上を目的として、ITツールやサービスの導入を支援するための補助金です。
システムを導入して紙ベースの管理から脱却したい、積算や勤怠管理の業務を効率化したい、といった場合に適しています。以下のような枠があるため、自社の目的に応じて申請しましょう。
- 通常枠:事業のデジタル化を目的としたシステムの導入を支援
- インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス制度に対応した会計ソフトやハードウェアなどの導入を支援
- インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応した受発注システムの導入を支援
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃に対するリスク低減策を支援
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠:複数の企業が連携して、地域DXや生産性向上を図る取り組みを支援
ただし、補助金の対象となるITツールは、事前にデジタル化・AI導入補助金事務局の審査を受けたものに限られます。申請の際は、基本的に同事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組む必要があります。
※参考:中小企業庁.「「デジタル化・AI導入補助金」でIT導入・DXによる生産性向上を支援!」.(参照2026-03-21).
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ポストコロナ時代における社会の変化に対応するために、事業転換や事業再編などに取り組む中小企業を支援する補助金です。この補助金を受けるためには、次のような要件を満たす必要があります。
- 事業再構築指針に記載された「事業再構築」の定義に該当する
- 事業計画について金融機関などの確認を受ける
- 補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年平均成長率が定められた基準を超える
建設業においては、例えば建築物の解体を行う業者が、解体作業時に発生する素材を使用した燃料製造を新たにスタートする場合などに活用できます。成長分野進出枠、コロナ回復加速化枠といった枠があるため、自社の目的に応じて選択しましょう。
※参考:事業再構築補助金事務局.「事業の再構築に挑戦する皆様へ」.(参照2026-03-18).
建設市場整備推進事業費補助金
建設市場整備推進事業費補助金は、建設業の災害への対応力を強化するため、中堅・中小建設業者のICT活用を支援する補助金で、2024年度補正予算により新設されました。
被災地の応急復旧を想定した防災訓練において、ICT機器を導入する場合は、その経費の一部が補助されます。対象となるICT機器は、ドローン、ウェアラブルカメラ、四足歩行ロボットなどが挙げられます。
「地域の守り手」である建設業が、将来にわたりその役割を果たしていくためには、デジタル技術の活用による生産性向上や処遇改善が必要です。また、激甚化する災害に対応していくためには、ICT技術の積極的な活用により、復旧作業の安全性と効率性を高めることが求められています。
ICT技術の導入による災害対応力の強化を検討している場合は、建設市場整備推進事業費補助金をうまく活用しましょう。
※参考:国土交通省.「建設市場整備推進事業費補助金 ~「地域の守り手」となる建設業のICT活用促進~」.(参照2026-03-30).
ものづくり補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者の設備投資やシステム導入を支援する補助金です。生産性向上を目的として、革新的な新製品や新サービスの開発を目指す際に活用できます。
ものづくり補助金には次の2つの枠があり、それぞれ対象者や補助上限額などが異なります(※)。
- 製品・サービス高付加価値化枠:革新的な新製品・新サービスの開発を支援
- グローバル枠:海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みを支援
建設業においては、ICT建機の導入による競争力強化や生産性向上を目指す際などに活用できます。
※参考:補助金活用ナビ(中小機構).「ものづくり補助金のご案内」.“ものづくり補助金とは”.(参照2026-03-18).
建設業における黒字倒産対策の一つ「ファクタリング」とは?

ファクタリングとは、未回収の売掛金(売掛債権)を売却して、本来の支払日より早く資金化するサービスです。すぐに資金繰りを改善でき、新しい資材の調達や次の建設工事の準備を進められます。
例えば、2,000万円の売掛金があり、支払いサイトが60日であるケースを考えてみましょう。この場合、2,000万円の仕事を終えているにもかかわらず、入金されるまでは資金として活用できません。ここでファクタリングを利用して売掛金を売却すれば、手数料は差し引かれますが、すぐに資金を確保できます。
建設業でファクタリングを利用するメリット
建設業においてファクタリングを利用する主なメリットは、以下の通りです。
- 最短即日で資金を確保できる
- 負債として計上されない
- 中小企業でも利用しやすい
- 担保や保証人が必要ない
サービスにもよりますが、ファクタリングにおける審査の待ち時間は基本的に短く、最短即日で資金を確保できるケースもあります。銀行融資とは異なり、負債として計上されず、信用情報への影響もありません。
また銀行融資を受けにくい小規模事業者や設立して間もない企業でも、売掛金さえ確認できれば、資金を受け取れます。担保や保証人も不要であるため、銀行融資に比べて利用しやすいです。
建設業でファクタリングを利用するデメリット
多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 手数料が高い場合もある
- ファクタリング会社を選ぶのが難しい
- 売掛先企業に知られる場合もある
手数料はファクタリング会社によって異なりますが、銀行融資と比べると高めに設定されているのが一般的です。適正な手数料で信頼できるファクタリング会社を探すには、時間がかかる場合もあります。
また、ファクタリングは次の2つに大きく分けられます。
- 2社間ファクタリング:利用者・ファクタリング会社の2者間で取引が完結する方式
- 3社間ファクタリング:利用者・ファクタリング会社・売掛先企業の3者で取引を行う方式
2社間ファクタリングの場合は、売掛先企業にサービスの利用を知られることは基本的にありません。一方で、3社間ファクタリングの場合は、売掛先企業も含めた取引となるため、サービスの利用が通知されます。自社の状況や売掛先企業との関係性を考慮しながら、適した方式を選択しましょう。
信頼できるファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶときは、以下のポイントに注目しましょう。
- 実績は十分か
- 資金調達のニーズに合っているか
- 手数料は適正か
まずはインターネットなどで実績に関する情報をチェックしましょう。同時に口コミなども確認します。その他、手数料やサービス内容などが自社の状況に合っているかを確認した上で、利用手続きを進めていきましょう。
まとめ:建設業の支払いサイトが長い問題を解決するにはファクタリングを利用しよう!
建設業で支払いサイトが長くなると、経営状況が悪化し、黒字倒産のリスクが高まります。そのため、支払いサイトの短縮交渉や補助金の活用によって、資金繰りを安定させることが重要です。またすぐに資金を確保したい場合は、売掛金を売却して現金化できるファクタリングを利用しましょう。
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