2025.11.07

カテゴリー：ファクタリング

ファクタリング会社に上場企業はあるの？大手やそれに準じる会社に依頼するメリット・デメリット

ファクタリングは、ここ数年で注目を集めている比較的新しい資金調達の手法です。銀行融資や手形割引と比べて手続きがシンプルでスピード感があり、資金繰りに悩む企業にとって有効な手段として広まりつつあります。その一方で、参入障壁が比較的低いため、大小さまざまな事業者が市場に参入し、現在では非常に多くのファクタリング会社が乱立している状況です。利用者にとっては、どの会社を選べばよいのか判断が難しくなっているともいえます。

こうした中で、初めてファクタリングを利用する方や慎重に資金調達を進めたい方にとって、最も安心して利用できるのが上場企業やそれに準じる大手企業のサービスです。上場している会社は、厳しい審査基準や法令遵守体制のもとで事業を行っているため、対外的・社会的な信頼性が高く、取引の透明性や安全性も確保されています。信頼できる企業に依頼することで、不当な手数料やトラブルなどのリスクを大幅に減らすことができるでしょう。

また、上場企業のファクタリングサービスは、業務フローがしっかり整備されており、契約内容や手数料体系も明確です。安心して利用できるだけでなく、顧客サポート体制が充実している点も大きなメリットです。たとえば、契約前の丁寧な説明や、利用後のフォローアップ体制など、企業規模が大きいからこそ実現できるサポートがあります。

今回は、数あるファクタリング会社の中でも、上場企業やそのグループ企業が運営するサービスに焦点を当て、その特徴や信頼性、そして利用する際のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。これからファクタリングの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

ファクタリング会社は玉石混交でヤミ金や反社会的組織も参入していて大変
上場しているファクタリング会社だけではなく上場企業の子会社も同じくらい信頼できる
上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用するメリットとデメリット
上場会社と同等の安心感が得られるNo.1ファクタリングがおすすめできます

ファクタリング会社は玉石混交でヤミ金や反社会的組織も参入していて大変

銀行や消費者金融などの金融機関から融資を受けた経験がある方も多いでしょう。
しかし、金融機関として開業・運営するには非常に厳しい法的基準を満たさなければなりません。たとえば、銀行であれば銀行法、消費者金融であれば貸金業法などの規定に従い、資本金や経営者の経歴、内部管理体制、コンプライアンス遵守など、細かい条件をすべてクリアする必要があります。さらに、金融庁などの監督官庁による定期的な監査や査察も実施され、少しでも不備や不正があれば行政指導を受けます。場合によっては業務停止命令や営業免許の取り消しといった厳しい処分を科されることもあります。つまり、金融機関は常に「緊張感を持って」運営されているのです。

一方で、ファクタリング会社はその位置づけが大きく異なります。ファクタリングは法律上「融資」ではなく「売掛債権の売買」にあたるため、銀行法や貸金業法の適用を受けません。このため、金融庁の厳格な監査や査察が定期的に行われることもなく、行政からの関与が比較的少ないのが現状です。悪質な取引や通報があった場合などを除けば、監視の目が行き届きにくい仕組みになっているのです。

このような仕組み上の違いから、ファクタリング会社は運営上の裁量が非常に大きいという特徴を持っています。つまり、金融機関と比べて自由度が高く、会社ごとにサービス内容や手数料体系、契約の柔軟性などに個性が出やすい業界だといえます。規制が少ない分、迅速な対応やユニークなサービスが提供できるメリットもありますが、その反面、悪徳業者の温床になりやすいというリスクも孕んでいます。

実際に、過去にはヤミ金融や反社会的勢力の関係者がファクタリング業界に流入し、利用者を不当に搾取する事例も報告されています。表向きは正規のファクタリングを装いながら、実態は超高利の「隠れ融資」を行っていたり、償還請求権付き契約を強要して利用者にリスクを押し付けるケースも少なくありません。さらに、支払いの遅れなどに対して暴言や威圧的な態度を取るような、まるでヤミ金融と同様の手口を使う悪質な業者も存在しています。

このようなリスクを避けるためには、信頼性の高いファクタリング会社を見極めることが最も重要です。その1つの目安となるのが「上場企業」であるかどうかです。上場している企業やそのグループ会社は、常に株主や投資家、金融当局など多方面から監視されており、コンプライアンス違反や不正行為が発覚すれば、即座に株価の下落や信用失墜につながるため、慎重な経営を行っています。

したがって、上場企業が運営するファクタリングサービスであれば、

・契約内容が明確で不当な条件がない

・手数料設定が透明でわかりやすい

・顧客対応が丁寧でトラブル時にも迅速に対応してくれる
といった点で安心して利用できる可能性が高いといえます。

もちろん、上場企業であってもサービス内容は企業ごとに異なりますが、少なくとも法令遵守・内部統制・顧客対応の水準は一定以上に保たれています。銀行法や貸金業法のような法的な「安全網」がないファクタリング業界においては、この上場企業というブランドそのものが信頼性の担保になっているのです。

したがって、ファクタリングを検討する際には、「どの会社が上場企業か」「親会社はどのような企業か」「コンプライアンス体制が整っているか」といった観点で慎重に比較検討することが大切です。こうした視点を持つことで、悪徳業者に巻き込まれるリスクを最小限に抑え、安心・安全な資金調達を実現することができます。

上場しているファクタリング会社だけではなく上場企業の子会社も同じくらい信頼できる

それでは実際に、上場企業としてファクタリング事業を展開している会社がどのくらい存在するのかを見ていきましょう。
結論から言えば、現時点で上場しているファクタリング会社はごくわずかで、数社にとどまります。これは、ファクタリングという事業が比較的新しく、まだ明確な法的枠組みが整っていないことや、事業モデルが多様化していることが背景にあります。

多くの上場企業は、コンプライアンスやガバナンス体制の整備に莫大なコストをかけており、事業内容にも透明性が求められます。そのため、法的グレーゾーンが残る部分もあるファクタリング業界に直接参入している上場企業は、まだ少数派です。

さらに、これらの上場企業が提供しているファクタリングサービスは、BtoB（企業間取引）専用であるケースがほとんどです。ここでいう「B（Business）」は法人を指し、つまり「法人対法人」の取引に限定しているということです。したがって、同じ事業者であっても個人事業主やフリーランスなど、個人で事業を営んでいる方は対象外となる場合が多いのです。

では、「個人事業主の方は上場企業でのファクタリングサービスを一切利用できないのか？」というと、実はそうとも限りません。
たしかに、上場企業そのものが個人向けサービスを提供している例は少ないものの、上場企業の子会社やグループ会社、関連会社がファクタリング事業を担っているケースが多く見られます。これらの子会社・関連会社は、親会社である上場企業の管理のもと、厳格なコンプライアンス基準やガバナンス体制を維持しています。

特に安心感が高いのが、大手銀行系のファクタリング会社です。銀行系企業は、金融庁の監督下にあり、常に厳しい審査・管理体制を求められています。そのため、たとえ子会社や関連会社であっても、内部統制・顧客対応・契約の透明性において上場企業と同等、もしくはそれ以上の水準が確保されています。

また、銀行系ファクタリング会社は資金力も豊富で、手数料（取引コスト）が比較的低い傾向があります。加えて、資金調達までのプロセスも明確で、信頼性の高い契約を結べる点も大きな魅力です。こうした特徴から、初めてファクタリングを利用する企業や個人事業主にとっても、非常に利用しやすい存在だといえるでしょう。

上場企業のファクタリング会社や、その子会社・関連会社を利用する最大のメリットは、やはり「信用と安心感」にあります。上場企業は、株主や投資家、社会的責任を常に意識した経営を行っており、不正や不当な取引が発覚すれば、即座に企業価値や株価に悪影響を及ぼします。したがって、顧客をだますような契約や、法外な手数料設定を行うことはまず考えにくいのです。

また、親会社が大手銀行や総合商社、上場企業グループである場合、その企業ブランドを守るために、コンプライアンス教育や監査体制が極めて厳格に運用されています。結果として、利用者は「安心して取引できる」「契約内容が明確」「トラブル対応が迅速」といった恩恵を受けられるのです。

一方で、こうした大手や上場企業系のファクタリング会社は、審査がやや厳しい傾向があります。取引金額や売掛先の信用状況などを丁寧にチェックするため、柔軟性という面では中小規模の独立系ファクタリング会社に劣る場合もあります。しかし、それを補って余りある「信頼性」と「安全性」があります。特に、初めてファクタリングを利用する方や、悪徳業者を避けたい方にとっては最適な選択肢といえるでしょう。

まとめると、ファクタリング業界における上場企業の存在はまだ少数派ですが、上場企業の子会社・銀行系グループ会社などを含めると、安心して利用できる選択肢は意外に多いというのが実情です。
したがって、ファクタリング初心者の方や安全性を重視したい方は、まずこうした企業を中心に検討することをおすすめします。

上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用するメリットとデメリット

上場企業や銀行系で安全度の高いファクタリングを利用するメリットやデメリットを考えていきましょう。

上場企業や銀行系のファクタリング会社の利用に向いている事業者は?

まず、上場企業や銀行系のファクタリング会社は、非常に慎重な審査基準と明確な顧客選定基準を持っています。
これは、彼らが「大手都銀（都市銀行）」と同様に、社会的信用を維持するために厳格なコンプライアンスと内部統制を徹底しているからです。
つまり、彼らはすべての申込者を平等に扱うのではなく、取引の安全性やリスクを見極めたうえで「どの顧客と取引するか」を判断する権利、いわば“お客を選ぶ権利”を有しているということです。

このため、まだ事業実績が浅い個人事業主や創業間もない小規模企業の場合、上場企業系や銀行系のファクタリング会社から提示される条件が、やや厳しいケースも少なくありません。
たとえば、高めの手数料を提示される、もしくは取引そのものが対象外とされる可能性もあります。
これは決して不当な扱いではなく、ファクタリング会社側がリスクヘッジの観点から慎重に判断している結果なのです。

上場企業や銀行系ファクタリング会社にとって、個人事業主や零細企業は「上客」ではないという現実もあります。
彼らはどちらかといえば、企業規模が小さい取引先に対して「BtoB（法人間取引）」というよりも「BtoC（企業対個人）」の感覚で接することが多く、リスクを細かく管理しながら慎重に対応します。
つまり、「大口の法人顧客」や「安定した業績を持つ企業」を中心に取引を行い、それ以外の顧客はあくまで例外的に対応する、というスタンスです。

一方で、大企業や中堅企業のように、売掛金の金額が多く、継続的な取引が期待できる顧客に対しては、上場企業・銀行系ファクタリング会社は非常に積極的に対応します。
特に、売掛債権の金額が高額である場合や、取引先が安定した上場企業などの場合には、ファクタリング会社側も安心して買い取りに応じる傾向があります。
このような場合、手続きもスムーズに進み、契約までの時間が短縮されるケースもあります。

また、上場企業・銀行系のファクタリング会社は、一般的に手数料（取引コスト）が低い傾向にあります。
これは、資金力に余裕があることや、社内のリスク管理体制が整っていることにより、無理に高い手数料を設定する必要がないからです。
したがって、大口の資金調達を希望する企業にとっては、非常に魅力的な選択肢となります。

特に次のような条件を満たしている場合、上場企業や銀行系ファクタリング会社が積極的に応じる可能性が高まります。

・ファクタリング金額が多い（例：数千万円～数億円規模）

・依頼者が大企業または中堅企業である

・売掛先が信用力の高い上場企業・官公庁・大手法人である

・取引実績や決算内容が安定している

このような条件を満たす顧客は、ファクタリング会社にとって「優良顧客」とみなされ、迅速な対応や特別な金利優遇など、柔軟なサービスが提供されることもあります。

つまり、上場企業や銀行系ファクタリング会社はリスクを厳密に管理しながらも、信用力の高い取引先に対しては非常に好条件で対応するという特徴を持っています。
その意味で、個人事業主や小規模企業にとってはややハードルが高いものの、企業規模が大きくなるほど、これらのファクタリング会社は非常に有利なパートナーになり得るのです。

結果として、

・小規模事業者・個人事業主：柔軟性のある独立系ファクタリング会社を中心に検討

・中堅～大企業：信頼性の高い上場企業系・銀行系ファクタリング会社を優先

という形で、自社の規模や資金ニーズに合わせて取引先を選ぶことが重要だといえるでしょう。

上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用するメリット

上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用するメリットをまとめました。

3社間ファクタリングを実施しているところが多い

中小のファクタリング会社の場合、手数料が高い2社間ファクタリング中心ですが、上場企業や銀行系のファクタリング会社は3社間ファクタリングも積極的に取り扱っています。

3社間ファクタリングは取引先の同意を得るなど、手間がかかりますが、それをこなせるだけのスタッフがそろっていて、かつ、低い手数料での買い取りを可能にしています。

手数料がとても安い

一般的に、3社間ファクタリングの手数料（1桁％）は、他の資金調達手段と比較しても十分に低い水準とされています。
しかし、それよりもさらに低く設定されているケースが多いのが、上場企業や銀行系のファクタリング会社です。

これは、上場企業や銀行系のファクタリング会社が、高い信用力と厳格な審査体制を備えていることに起因します。
彼らは豊富な資金力と、金融庁や株主などからの監視体制のもとで運営されているため、取引のリスク管理が極めて丁寧です。
その結果、不良債権の発生リスクが小さく抑えられるため、リスクヘッジのために上乗せされる手数料部分を引き下げることが可能になるのです。

さらに、上場企業や銀行系ファクタリング会社は、単発的な取引よりも「長期的な取引関係」を重視します。
企業間の信頼を積み重ねることで、継続的な契約を結び、安定した収益を確保する方針を取っています。
そのため、初回利用時こそ慎重な審査が行われるものの、2回目以降の利用では手数料がさらに引き下げられるケースも少なくありません。

また、これらの会社は、金融機関グループ内での資金調達コストが非常に低いことも強みです。
たとえば、銀行系のファクタリング会社であれば、母体銀行から低金利で資金を調達できるため、取引先に還元する形で手数料を低く設定する余地があります。
その結果、同じ3社間ファクタリングでも、独立系の中小事業者が提供するサービスよりも数％単位で安くなることもあります。

このように、上場企業や銀行系ファクタリング会社では、

・取引先の信用力を重視した厳格な審査

・不良債権リスクの低さ

・自社の資金調達コストの低さ

・長期的な取引関係の構築方針

といった複数の要素が相まって、安定的かつ低コストなファクタリングサービスの提供を実現しています。

ただし、注意点としては、こうした低手数料の恩恵を受けるには、ある程度の売上規模や信用実績が求められることです。
そのため、個人事業主や創業間もない企業の場合、申込をしても条件が合わない、もしくは取引対象外とされることもあります。

とはいえ、信用力が高まり、安定した売掛債権を保有するようになれば、上場企業や銀行系ファクタリング会社を利用することで、より低コストで安全な資金調達が可能になります。
資金繰りを改善しながら手数料を抑えたい企業にとって、これらのファクタリング会社は非常に有利な選択肢といえるでしょう。

買い取り可能上限金額が高い

上場企業や銀行系のファクタリング会社は、一般的な独立系ファクタリング会社と比較して、買い取り可能な売掛債権の上限額が非常に高いという特徴があります。中小規模の事業者が扱うファクタリングでは、数百万円から数千万円規模が一般的ですが、上場企業や大手銀行グループのファクタリング会社になると、数千万円から億単位の大口債権にも柔軟に対応できるのです。

たとえば、製造業や建設業、物流業などのように、取引金額が大きく、支払いサイト（入金までの期間）が長い業種では、まとまった運転資金を短期間で確保する必要があります。銀行融資では、審査や担保設定に時間がかかるため、即座に資金が必要な場合には対応が難しいケースも多いです。

その一方で、上場企業や銀行系ファクタリング会社は、豊富な資金力と強固な信用基盤を背景に、高額な売掛債権の買取にもスピーディーに応じられる体制を整えています。これにより、企業は短期間で多額の資金を確保でき、資金繰りの安定化や事業拡大への投資を実現しやすくなります。

一方で、「ビジネスローン」や「事業者向けローン」などの融資型資金調達手段は、上限額が1,000万円前後に設定されている場合が多く、限界があります。しかも、融資では返済義務が発生するため、資金繰りが悪化している状況では、かえって負担を増やすリスクもあります。

その点、ファクタリングは売掛債権を現金化する取引であり、借入とは異なります。資産の流動化によって即座に資金を得るため、返済義務が発生せず、バランスシート上も健全な状態を維持しやすいのが大きなメリットです。

特に、上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用すれば、

・高額な売掛債権の買取が可能

・契約内容が明確で安心感がある

・手数料が比較的低い

・不正やトラブルのリスクが少ない

といった利点があり、大口取引を抱える企業や、スピーディーな資金調達を求める法人にとって最適な選択肢となります。

また、これらのファクタリング会社は、上場企業としてのコンプライアンス意識が高く、契約内容の透明性にも優れています。万が一トラブルが発生しても、法令や会計基準に則った適切な対応が期待できる点も、利用者にとっては大きな安心材料です。

このように、数千万円から億単位の資金をスピーディーに確保したい場合、上場企業や銀行系ファクタリング会社の利用は非常に有効です。資金繰りに余裕を持たせ、成長のチャンスを逃さないためにも、こうした信頼性の高いファクタリング会社を積極的に活用することをおすすめします。

上場企業や銀行系のファクタリング会社を利用するデメリット

一方でデメリットについても押さえておきましょう。

審査が厳しい

大手企業ほど審査が厳しいのは、融資でもファクタリングでも共通しています。これは単なる形式的な手続きの厳しさではなく、取引先の信用力を慎重に見極める姿勢の表れです。大手のファクタリング会社は、買い取った売掛債権に対して確実に入金が見込めるか、取引先企業の支払い能力に問題がないか、さらに依頼者側の財務状況や過去の取引履歴まで、細かくチェックします。

なぜここまで慎重になるかといえば、もし買い取り後に債権が回収できなくなれば、ファクタリング会社自身の信用や経営に直接ダメージを与えるからです。ファクタリングは、融資のように担保を設定していないケースが多く、売掛先が支払不能に陥った場合のリスクは、ファクタリング会社が負うことになります。そのため、買い取り先の選定は非常に重要で、特に大手企業や上場企業ほど、リスク管理体制を厳格に運用しているのです。

また、こうした厳格な審査基準は、ファクタリング会社の信用力の高さを維持するためにも欠かせない要素です。上場企業や銀行系のファクタリング会社は、株主や金融当局への説明責任を負っており、万が一にも不良債権の増加や回収不能案件が発生すれば、経営への影響が大きくなります。そのため、審査過程でのリスク排除を徹底し、「確実に回収できる債権のみを扱う」という姿勢を取るのです。

その分、審査には時間がかかる場合もありますが、その裏には「安全性」と「信頼性」を守るための体制が整っているという強みがあります。特に、数千万円や億単位の取引になる場合には、企業の財務諸表や取引実績、取引先の支払い能力などを細かく確認し、法的にも問題がないことを確認したうえで契約が行われます。

一方で、こうした厳しい審査を通過すれば、低い手数料で安心してファクタリングを利用できるというメリットがあります。これは、ファクタリング会社側が「信用できる企業」と判断した取引に対しては、リスクが低いためコストを抑えられるからです。

つまり、大手ファクタリング会社の審査が厳しいのは、リスク回避と信頼維持のためであり、その厳しさが利用者にとっても安心につながるのです。安定した取引と公正な契約を望むなら、審査の厳しさはむしろ「信頼できる会社の証」といえるでしょう。

審査に時間をかけ、厳しい基準で行います。それでもファクタリングなので融資に比べれば、審査基準は緩やかです。

入金までのスピードが遅い

審査にしっかりと時間をかけるため、現金化や振り込みまでに一定の期間を要するのが、大手ファクタリング会社の特徴です。上場企業や銀行系のファクタリング会社は、契約前に取引内容の正確性を確認し、売掛先の支払い能力や信用情報、依頼企業の財務状況などを慎重にチェックします。そのため、即日や翌日といったスピード対応は難しく、実際の入金までに数日から1週間程度かかるケースも少なくありません。

これは決して「対応が遅い」ということではなく、リスクを最小限に抑えるための安全対策です。万が一、不正な請求書や支払い能力のない売掛先が絡む取引を買い取ってしまえば、ファクタリング会社自身が大きな損害を受けるだけでなく、顧客企業にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、契約前の確認作業や審査を慎重に進めることは、信頼できる取引を実現するための重要なプロセスといえるのです。

ただし、こうした丁寧な審査体制の反面、スピード重視の資金調達には不向きという側面もあります。たとえば、取引先からの入金が遅れた、急な支払いが発生した、といった「今日中に現金が必要」という緊急ケースでは、大手よりも中小のファクタリング会社を利用する方が現実的です。中小の業者は、審査基準を緩やかに設定しており、書類の確認も簡略化されていることが多いため、最短で即日現金化に対応できる場合もあります。

もっとも、中小のファクタリング会社を利用する場合は、手数料が高めに設定されている点に注意が必要です。大手に比べてリスク管理コストを価格に転嫁する傾向があり、取引金額の10〜30％前後の手数料が発生することもあります。しかし、スピードを最優先する局面では、この「高い手数料＝即時対応の代価」と割り切る考え方も重要です。

つまり、時間を優先するのか、コストを優先するのかを明確にしたうえで、利用するファクタリング会社を選ぶのがポイントです。審査が丁寧な大手に依頼すれば、安全で透明性の高い取引が可能になりますし、緊急対応が必要であれば中小の迅速対応型ファクタリング会社が役立ちます。

このように、ファクタリングを利用する際には、スピード・コスト・信頼性のバランスを考慮し、自社の資金状況や目的に最も適したパートナーを見極めることが成功のカギとなります。

申し込みに手間がかかる

上場企業や銀行系のファクタリング会社の中には、債権譲渡登記を必須としているケースが多く見られます。これは、取引の安全性と透明性を確保するための重要な手続きであり、第三者対抗要件を満たすことで、譲渡した売掛債権の所有権が正式に移転したことを法的に証明する仕組みです。特に、大手企業や銀行系ではコンプライアンスの徹底が求められるため、登記を省略することはほとんどありません。

ただし、この債権譲渡登記には一定の費用と時間がかかる点に注意が必要です。登記手数料や司法書士への依頼費用などが発生し、数万円から十数万円程度の追加コストが発生することもあります。また、登記手続き自体にも数日を要するため、資金化までのスピードが求められる状況ではやや不向きといえるでしょう。登記の負担は原則として依頼者側の負担となるため、「確実な安全性を取るか、それともスピードとコストを優先するか」をよく検討する必要があります。

さらに、上場企業や銀行系のファクタリング会社では、登記以外にも各種手続きや書類審査が非常に厳格です。たとえば、売掛債権に関する契約書、請求書、入金履歴、税務申告書、決算書など、複数の書類を提出する必要があり、内容の整合性や正確性を細かく確認されます。場合によっては、取引先企業（売掛先）への確認連絡やヒアリングを行うケースもあり、契約までに時間がかかることもあります。

こうした背景には、上場企業や銀行系ならではの形式主義的な体質があります。金融機関や関連企業として社会的信用が高い一方で、内部統制や法令遵守の観点から手続きを厳格に運用しているため、どうしても柔軟な対応は難しくなりがちです。すべての手順をマニュアル通りに進めるため、担当者の裁量が少なく、少しの不備でも書類の差し戻しや再確認が発生することがあります。

そのため、「スピード重視で資金を確保したい」「登記費用を節約したい」という方にとっては、中小規模のファクタリング会社のほうが適している場合もあります。中小の会社では、登記を省略できる「登記なしプラン」や「簡易審査型ファクタリング」を提供しているところもあり、申込から入金までを最短即日で完了できるケースも多く見られます。

一方で、登記や手続きが煩雑であっても、上場企業や銀行系ファクタリング会社には圧倒的な安心感があります。法令順守体制が整っており、不当な契約条件を提示される心配もほとんどありません。登記を行うことで法的な保護を受けられるという点でも、長期的な信頼関係を築きたい企業や大口取引を検討している企業にとっては非常に有利です。

結局のところ、「スピードと柔軟性」か「安全性と信頼性」かという選択になります。資金調達の目的や規模、緊急性に応じて、どのタイプのファクタリング会社を選ぶかを見極めることが大切です。

少額債権に対応していないことも

10万円、20万円といった少額の売上債権については、上場企業や銀行系のファクタリング会社では取り扱い対象外としているケースが少なくありません。これは、取引金額に対して発生する事務コストや審査コストが見合わないためです。大手ファクタリング会社では、取引の安全性や信頼性を最優先にしており、1件ごとの契約審査や債権の確認、書類処理などに多くの時間と労力を割いています。そのため、少額の取引では利益よりもコストが上回ってしまう傾向にあり、結果として高額債権を中心に取り扱う方針となっているのです。

特に上場企業や銀行系のファクタリング会社は、数百万円から数千万円、あるいは億単位の売掛債権を対象とする大口取引をメインとしています。こうした企業の顧客層は、主に中堅企業や大企業など、一定の信用力と安定した売上を持つ法人です。したがって、10万円や20万円といった小口の債権では、事務的な手間を考慮すると採算が合わないと判断されることが多く、審査の対象外となることもあります。

また、上場企業や銀行系ファクタリング会社は、コンプライアンス遵守とリスク管理の観点からも、取引先を慎重に選定します。個人事業主やフリーランスの場合、売掛先が法人であっても、取引規模が小さい・契約書が不十分・取引履歴が短いなどの理由で、信頼性の評価が難しいケースがあります。そのため、「信用リスクが不明確」と判断されると、少額債権の買い取りが断られることもあるのです。

このように、上場企業や銀行系のファクタリング会社では、小口よりも安定した大口の取引を重視する傾向があります。ファクタリング契約には法務・会計・登記などの専門的な手続きが関わるため、1件あたりの事務コストが発生します。結果として、1件10万円の売掛債権を処理する手間も、1件1000万円の債権を処理する手間もほぼ変わらないという事情もあり、効率的な経営を行うためには高額債権に集中せざるを得ないのです。

一方、少額の売掛債権を現金化したいフリーランスや個人事業主の方にとっては、このような大手企業の基準はややハードルが高いかもしれません。最近では、中小規模のファクタリング会社や、オンライン完結型・個人向け特化型ファクタリングサービスも増えており、こうしたサービスであれば、10万円・20万円程度の少額債権でも柔軟に対応してくれる場合があります。

たとえば、クラウド会計データや請求書の画像をアップロードするだけで審査が完了する仕組みを採用しているところもあり、最短即日で入金可能なケースもあります。これらのサービスは、特にフリーランスのデザイナー、ライター、エンジニア、配送ドライバーなど、小規模な取引で安定したキャッシュフローを確保したい方に向いています。

ただし、こうした少額対応型のファクタリング会社では、上場企業や銀行系と比べて手数料（買取率）が高めに設定されている点には注意が必要です。小口取引の場合、リスク分散が難しく、個別対応に手間がかかるためです。したがって、手数料率や契約条件をしっかり確認し、信頼できる会社を選ぶことが大切です。

まとめると、上場企業や銀行系のファクタリング会社は、主に大口取引・法人向けが中心であり、10万円や20万円といった少額の債権を扱うことは少ないという点を理解しておくことが重要です。小口債権の現金化を希望する場合は、中小ファクタリング会社や個人事業主向けのサービスを検討することで、より現実的で迅速な資金調達が可能となるでしょう。