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社内預金制度の労働者にとってのメリットとは?5つのメリットを解説

企業の資金調達法としてはマイナーですが、社内預金制度に注目している方は少なくありません。

経営者にとって魅力のある資金調達法なのです。

使途も限定されませんし、金融機関の審査を受ける必要もありません。

しかもビジネスローンなどと比較すると低金利ですよね。

ですがなにも企業側にしかメリットが無いわけではありません。

実は社内預金制度は預金する側、いわゆる労働者側にもメリットがあったのです。

こちらでは社内預金制度の労働者にとってのメリットについてお伝えしますね。

社内預金制度とは?

 
社内預金制度は、労働者が会社に給与の一部を預金する制度です。
預金は会社が責任を以て管理します。
社内預金制度のメリットは比較的よく知られており、中でも社内預金制度によって資金調達が容易になること、調達した資金の使途に制限がないこと、労働者の福利厚生につながり人材確保に役立つことなどがメリットです。
これらのメリットを得るために、社内預金制度の導入を検討する会社もあります。
しかしながら、社内預金制度の普及率は低く、また労働者側の関心も低いようです。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の2020年の調査によると、社内預金制度を導入している会社は全体の7.9%に留まります。
社内預金制度を導入するには様々な要件を満たす必要があり、特に労働者の社内預金の管理について厳しい定めがあります。
管理に問題があった場合、労働基準法違反に該当し、罰則が課せられるのです。
社内預金制度のメリットと、管理の負担や違反のリスクを比較した結果、メリットが薄いと感じる会社も少なくありません。
とはいえ、会社側のメリットだけで判断するのは早計です。
社内預金制度は、会社だけではなく労働者にもメリットがあります。
社内預金制度の導入については、会社側のメリットだけではなく、労働者側のメリットも考えてみるべきでしょう。

社内預金制度は労働者にもメリットがある

 
社内預金制度は福利厚生の一つであり、本来の目的は労働者の資産形成を支援することにあります。
これによって、労働者はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
社内預金制度の労働者側のメリットをみていきましょう。

銀行に預金するよりも高金利である

 
社内預金制度が、なぜ労働者の資産形成に役立つかといえば、金利が高いためです。
労働者は、社内預金制度を利用することで、それなりに高い金利で預金できます。
また、社内預金制度を利用した労働者は、預金の引き出しを会社に申請する必要があるため、労働者自身の口座に預けているよりも引き出しのハードルが高くなります。
つまり、社内預金制度は、給与の一部を確実に積み立てること、積み立てた預金に高い金利が付くことで着実に資産を形成できるのがメリットです。
特に注目したいのが、社内預金制度の金利です。
社内預金制度の金利は、銀行預金の金利よりも高く設定されています。
現在の銀行の預金金利はどの程度でしょうか?

あまりの低さに預金する気も失せてしまっているのではありませんか?
日本の銀行の預金金利は低く、資産形成にはあまり役立ちません。
数年前、主な銀行の金利は年0.001%でした。
この金利で預金しても、ほとんど利息が付きません。
最近は徐々に金利が上がってきているものの、未だに低い水準です。
一例として、2025年現在、三菱UFJ銀行の普通預金の金利は年0.25%となっています。
一部には、普通預金に年0.5%前後の金利を出す銀行もありますが、それだけの金利を得るには何らかの条件が設定されているケースが大半です。
仮に年0.25%の条件で預金するとして、
100万円を1年間預金したら金利はどの程度になるのでしょうか?

答えは2500円です。

同条件で1億円預金していたらどの程度の金利を得られるのでしょうか?

答えは25万円です。
これは税引前の利息ですから、税金を差し引くと、実際に得られる利息はもっと少なくなります。
年0.001%に比べればはるかにマシですが、やはり低いといわざるを得ません。

しかし社内預金制度は下限金利が定められており、その下限金利は年0.5%です。
現在の一般的な預金金利と比較して、2倍程度の金利が期待できます。
多くの銀行では、定期預金でも年0.5%になるかどうかという状況ですから、社内預金制度の金利はかなり高いといえるでしょう。

労働者には、これが社内預金制度の第一のメリットといえます。
社内預金制度であれば労働者は金利という利益が得られることになるのです。
「年0.5%」というのはあくまでも下限であり、社内預金制度の導入要件にもなっています。
したがって、下限金利よりも高く金利を設定している企業もあります。

企業によって金利が異なっている、ということは要チェックです。

※下限金利に関しては見直しがされるので、いつでも年0.5%であるとは限りません。

下限金利が下がってしまうと、それだけ社内預金制度の魅力もダウンしてしまうことになります。
もっとも、昨今の政府の方針や経済の流れから考えると、社内預金制度の下限金利が下がる可能性は低いです。
政府は働き方改革に力を入れており、労働者の待遇は年々改善しています。
最低賃金の引き上げが続いていること、雇用系の助成金が「雇用の維持・創出」から「労働環境の整備・改善」や「労働者の待遇改善」などにシフトしていることから、この傾向がよくわかります。
社内預金制度が福利厚生を目的としている以上、国の方針によって社内預金制度の下限金利が下がり、労働者側のメリットを損なうことは考えにくいです。

社内預金制度は強制ではない

 
社内預金制度に関して、労働者にありがちな誤解のひとつに、「社内預金制度への加入は強制」というものがあります。
これは、社内預金制度の歴史によるものでしょう。
日本で社内預金制度が制度化されたのは戦後ですが、実際にはもっと古くから社内預金制度に類するものがありました。
江戸時代の商家が良い例です。
商家に奉公する労働者は、勤めた年数や能力に応じて徐々に位が上がっていきます。
丁稚から手代、手代から番頭という流れが一般的です。
丁稚は下働きですから、衣食住を支給されるだけで給与はありません。
丁稚を終えると給与が支払われるようになり、地位が上がれば昇給します。
それに伴い、給与の一部を商家のほうで積み立てておきます。
その後、労働者の都合で商家を辞めたり、実力を認められて独立(いわゆる暖簾分け)したりする場合に、労働者は積み立てたお金を受け取ったのです。
この制度は、現在の社内預金制度の原型といってよいでしょう。
ただし、当時、商家が給与の一部を預かることについて、労働者側に拒否権はありませんでした。
労働者の意思とは関係なく、給与の一部が天引きされたのです。
預金の引き出しは比較的自由だったようですが、社内預金制度の加入そのものは強制であったといえます。
このような歴史的背景から、社内預金制度を強制と考える労働者が少なくありません。
また、実際には強制でなかったとしても、会社側に社内預金制度を強いる雰囲気があり、加入を余儀なくされる労働者もいることでしょう。
しかしながら、現代の社内預金制度は強制ではありません。
労働基準法では、社内預金制度への加入は、あくまでも「労働者の権利」とされています。
法律で認められている権利ですから、その権利を会社が無視して社内預金制度への加入を強いることは違法です。
社内預金制度に加入することも、加入しないことも、途中で辞めることも全て労働者の自由です。
労働者の裁量で活用でき、資産形成に役立つのですから、これも社内預金制度のメリットといえるでしょう。

あくまで預金なので自由に引き出せる

 
社内預金制度は定期預金ではありません。

一般的な預金と同じような取扱いとなっており、必要になったらいつでも好きな時に引き出せる、といったメリットがあるわけです。

社内預金制度の引き出しに関しては、労働基準法にしっかりと定められています。
また、労働者の引き出しにいつでも応じることは、社内預金制度の導入要件のひとつにもなっています。

労働者が返還を請求した時には会社側は応じなければなりません。

しかも延滞遅滞なく返還しなければならない、と明記しているのです。
退職時、労働者が社内預金の解約を請求した場合、会社は請求から7日以内に、利息を含む全額を労働者に返還するよう義務付けられています。
資金繰りが悪化していても、労働者の引き出しにいつでも応じられるよう、「社内預金の〇%を常に確保しておく」といったルールを設ける会社も多いです。
引き出しに応じなかったり、遅滞したりすれば、会社は労働基準法違反に問われます。
会社としては、違法のリスクを冒すよりも、労働者の引き出しに応じた方が賢明です。
預金を必要な時に自由に引き出せる、というのは労働者としても安心ですよね。

社内預金制度は会社の資金調達にも利用されます。
会社に使い込まれて返還されないのではないか、と心配している方も多いのではありませんか?
しかし、会社の資金繰りを理由に、労働者の請求を拒否することはできません。

心配であれば、引き出してしまえばよいのです。

特に管理をする必要がない

 
社内預金制度を利用するためには、自分で預金したりしなければならない、と思っている方も多いのではありませんか?

たしかに自分から預金することも可能なのですが、実は給与から一定額を天引きされるシステムになっています。

給与から10,000円や20,000円などの一定額が天引きされて口座に入るような制度になっている会社が多いので、自分で預金しなくてもOKなのです。

「社内預金制度を利用したいけど、管理に手間がかかりそう」と思っている方もいますよね。

管理に手間がかかるということは一切ないので安心してください。
労働者から預かったお金は、全て会社の責任で管理します。
これも、社内預金制度の要件として厳しく定められています。
社内預金制度を導入するには、社内預金の管理に関する規程を作成し、労働基準監督署へ届け出が必要です。
もちろん、会社は管理規定を順守し、責任を以て管理しなければなりません。
一部、会社が全て管理するのではなく、信託機関に管理を委託することも多いです。
その場合、会社が社内預金を管理するわけではありませんが、委託する信託機関によって適切に管理され、労働者自身が管理することはありません。

労働者側からみれば、「社内預金制度はすべて自動で対応」と考えてよいでしょう。

預金は安全である

 
「会社が倒産したら預金が返ってこないのでは?」と心配している方もいるかも知れませんね。

しかし社内預金制度に関しては保証が設定されています。

社内預金制度の導入要件のひとつに、社内預金の保全があります。
会社は、金融機関等との保証契約、あるいは信託会社との信託契約などにより、社内預金の保全措置を講じなければなりません。
この保全措置は、賃金支払確保法によって義務付けられています。
社内預金制度の導入・運用にあたり、会社には報告義務が生じます。
年に一度、会社は社内預金の管理状況を労働基準監督署に報告しなければなりません。
当然ながら、報告の際には社内預金の金額も申告する必要があります。
会社が保全措置を講じるのは、毎年3月31日時点の社内預金の全額が対象です。
労働者は、保全措置によって預金が守られ、安全性を確保できることがメリットといえます。

社内預金制度の労働者側の注意点

 
労働者にも色々なメリットがある社内預金制度ですが、注意点もあります。
中でも、社内預金制度の安全性については正しく認識しておくべきです。
社内預金は、100%保証されるとは限りません。
そもそも、労働者が会社に預金できる金額には上限があります。
無制限に預金できるわけではなく、会社ごとに預金額に上限を設けているのです。
社内預金制度の預金上限額は、会社が保証できる金額とイコールになっているケースが大半です。
では、預金上限額までであれば、確実に保証されるのかといえば、そうとも言い切れません。
分かりやすいのが、会社が倒産や民事再生に至った場合です。
この場合、会社は債権の優先順位に応じて清算していきます。
借入先の銀行、買掛先の企業のほか、社内預金制度を利用している労働者も債権者に当たります。
このうち、社内預金は一般債権にあたり、他の債権者よりも優先順位が低くなるケースも。
優先順位の高い債権から支払った結果、労働者に社内預金を全額返済できないこともあり得ます。
銀行や信託機関で保全措置を講じておけば、このようなリスクは減るでしょう。
しかしながら、預金保全委員会を設置するだけで、他の保全措置を講じていない会社は要注意です。
預金保全委員会は、過半数を労働者によって構成し、社内預金の管理について会社から報告を受けます。
管理に不満があれば、労働者側から意見することも可能です。
これにより、社内預金制度が正しく運用され、社内預金の保全も期待できます。
とはいえ、預金の保全委員会が適切に機能しておらず、社内預金の管理・保全にほとんど役だっていないケースも珍しくありません。
その場合、預金保全委員会を設置していても、会社の倒産によって社内預金が支払われなくなる恐れがあります。
預金保全委員会を設置するだけではなく、保全のために支払準備金制度を導入するのが望ましいとされています。
以上のように、社内預金制度の安全性は万全ではないものの、それが労働者側のデメリットになることは少ないです。
多くの会社は、労働者側に損失が発生しないように保全措置を講じており、不安がある労働者はいつでも自由に預金を引き出せます。
実質的なリスクを考えるならば、保全措置が義務付けられていることは、やはり労働者側のメリットといえるでしょう。

まとめ:労働者にもメリットのある社内預金制度を活用しよう

社内預金制度は、労働者側にも多くのメリットがあります。
年金制度が不安視されている昨今、老後のために資産形成を考えている労働者も多く、預金金利が高い社内預金制度に関心を寄せる労働者が増えています。
福利厚生の一環として社内預金制度を導入すれば、労働者の職場定着率を高めることもできるでしょう。
近年、労働者の待遇改善がトレンドとなっており、定着率の向上によって受給できる助成金も増えてきました。
社内預金制度の導入そのものを要件とする助成金はありませんが、定着率アップを支給や加算の要件とするケースが少なくありません。
社内預金制度によって福利厚生を充実させることで、労働者の確保、さらには助成金などの諸制度も積極的に活用していきましょう。
しかし、社内預金制度の導入・運用には様々な負担があります。
一旦は導入してみたものの、返還請求のたびに資金繰りが悪化して困っている会社もあるでしょう。
その際には、No.1までお気軽にご相談ください。
返還資金の調達から資金繰りの改善まで、幅広くサポートいたします。

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