カテゴリー: ファクタリング
将来債権ファクタリングとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説!
ファクタリングには複数の形態がありますが、最も一般的なものは発生済の売掛金をファクタリングするものです。
しかし最近では、未発生の売掛金をファクタリングする「将来債権ファクタリング」が少しずつ知られるようになってきました。資金調達の幅を広げるためにも、知っておいて損はありません。
本稿では、将来債権の基礎知識、将来債権ファクタリングの仕組みやメリットなどを解説します。
ファクタリングとは?
将来債権ファクタリングは、ファクタリングの仕組みをもとにした新しいサービスです。
したがって、将来債権ファクタリングを理解するためには、ファクタリングを理解する必要があります。
まずはファクタリングの基本を確認していきましょう。
ファクタリングは債権譲渡
ファクタリングは、会社が所有している売掛金を買い取るサービスです。
ファクタリングを利用することで、支払期日を待たずに売掛金を現金化できます。
ファクタリングの種類は様々ですが、現在主流となっているのは売掛金を早期資金化するものであり、金融庁もファクタリングを以下のように定義しています。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
ここで注目したいのは、ファクタリングが債権譲渡であることです。
一般的なファクタリングだけではなく、この記事のテーマである将来債権ファクタリングも、法的には債権譲渡に該当します。
詳しくは後述しますが、将来債権ファクタリングは「将来債権の買い取り」と説明していることがほとんどです。
しかし、厳密には「将来債権ファクタリング=将来債権の譲渡」といえます。
ファクタリングの法的根拠
なぜ「ファクタリング(将来債権ファクタリングを含む)=債権譲渡」という点を強調するかと言えば、これがファクタリングの法的根拠になるからです。
ファクタリングは新しいサービスであり、銀行融資などの伝統的な資金調達方法に比べるとまだまだ普及していません。
法整備が不十分であることから、悪質業者が紛れ込んでいることも事実です。
このため、ファクタリングに対して違法なイメージを持っている人もいます。
将来債権ファクタリングはさらに新しいサービスですから、なおさら違法視されることが多いです。
しかし、ファクタリングは100%合法であり、法的根拠も明快です。
すなわち、ファクタリングは債権譲渡であり、債権譲渡は法的に認められています。
民法第466条には、「債権は譲り渡すことができる」と明記されているのです。
債権譲渡が合法であれば、債権譲渡の一種であるファクタリングも間違いなく合法といえます。
将来債権ファクタリングの法的根拠は後述しますが、将来債権ファクタリングも債権譲渡の一種である以上、違法性は皆無です。
ファクタリングの方式
ファクタリングの基礎知識として、ファクタリング方式についても簡単にみていきましょう。
以下の通り、ファクタリングの方式は、売掛先の関与によって2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分かれます。
- 2社間ファクタリング:ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)とファクタリング会社の2社間で取引する方式
- 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式
- オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う方式
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、売掛先が一切関与しない方式です。
すべて利用会社とファクタリング会社だけで取引するため、手軽かつスピーディに調達できるのがメリットです。
また、売掛先に知られず利用できるため、信用悪化リスクも避けられます。
基本的に、2社間ファクタリングを取り扱っているのは、独立系の(銀行やノンバンクの系列に属さない)ファクタリング会社です。
現時点では、将来債権ファクタリングも2社間ファクタリングが主流となっています。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、売掛先が必ず関与する方式です。
手続きの一環として債権譲渡通知・承諾が必要となるため、売掛先の協力がなければファクタリングはできません。
2社間の手続きよりも煩雑であり、資金調達までに時間がかかることも難点です。
一部のファクタリング会社では、3社間での将来債権ファクタリングに対応しています。
オンラインファクタリング
オンラインファクタリングは、2社間ファクタリングの手続きをオンライン化したものです。
2社間ファクタリングの一種ですから、こちらも売掛先は一切関与しません。
すべての手続きをオンラインで完結できるのが特徴です。
これにより、従来の2社間ファクタリングよりもさらに便利に、安全に、安く利用できるようになりました。
一般的な2社間ファクタリングでは、オンライン化が徐々に進んでいます。
しかし、将来債権ファクタリングではオンライン化の動きが鈍く、オンラインファクタリングの浸透にはまだまだ時間がかかりそうです。
売掛金の種類とファクタリング
ファクタリングは売掛金を資金化するサービスです。
ただし、一口に売掛金といっても、取引の状況に応じていくつかの種類に分かれます。
売掛金の種類によって、ファクタリングの利用も変わってくるため注意が必要です。
基本的には確定債権
現在、日本で最も普及しており、一般的にイメージされるファクタリングは、厳密には「確定債権 」をファクタリングしています。
確定債権とは、商品やサービスの納品・提供を完了し、請求書も発行済みの債権です。普通、ファクタリングでは確定債権だけを取り扱っています。
売掛債権は取引の状況によって細分されます。確定債権以外にも、以下のような売掛債権が存在します。
- 想定債権:商品やサービスの納品・提供を完了したが、請求書を発行していない状態の債権
- 将来債権:商品やサービスの納品・提供が完了していないが、商品やサービスの納品・提供を予定している状態の債権
売掛債権といえば、確定債権をイメージする人が多いかもしれませんが、上記のように請求書が未発行の状態や、商品やサービスの納品・提供が完了していない状態の売掛債権もあるのです。
理解を深めるために、想定債権と将来債権の区別をもう少し詳しく見ていきましょう。
想定債権はやや近い将来
想定債権は、商品やサービスの納品・提供を完了しており、あとは請求書を発行することで債権が発生します。想定債権から確定債権に姿を変えるともいえるでしょう。
比較的近い将来に債権が発生し、また債権発生の確実性も高く、いわば「債権の発生が想定されている債権」であるといえます。
将来債権はやや遠い将来
将来債権は、想定債権に比べて取引が進んでいない状態です。商品やサービスの納品・提供が完了しておらず、将来的な債権発生の手掛かりは「将来的に商品やサービスの納品・提供を予定していること」だけです。
将来債権から確定債権に姿を変えるには、商品やサービスの納品・提供を完了し、さらに請求書を発行しなければなりません。これにより、将来債権から想定債権へ、想定債権から確定債権へと姿を変えていきます。
比較的遠い将来に債権が発生するため、債権発生の確実性は想定債権に比べて劣ります。
将来債権ファクタリングとは?
上記の通り、売掛金にはいくつかの種類があり、その種類によって利用できるファクタリングが異なります。
そこで、売掛金の種類別のファクタリングの違い、将来債権ファクタリングの法的根拠・仕組みなどをみていきましょう。
色々なファクタリング
まず、ファクタリングの種類を大別すると、「買取型」と「保証型」に分けることができます。
買取型は売掛金を買い取るファクタリングであり、金融庁が定義するファクタリングも買取型を指しています。
保証型は、売掛金の支払いを保証するもので、資金調達ではなく貸倒れリスクの回避を目的とするファクタリングです。
将来債権を買い取る将来債権ファクタリングは、買取型に含まれます。
現在、日本で利用されている買取型のファクタリングには以下のようなものがあります。
- 買取ファクタリング…確定債権を買い取るファクタリング。
- 診療報酬ファクタリング…病院やクリニックが保有している診療報酬債権、薬局が保有している調剤報酬債権などを買い取るファクタリング
- 介護報酬ファクタリング…介護事業者が保有する介護報酬債権を買い取るファクタリング
- 国際ファクタリング…国内企業が海外企業に対して保有する売掛金の保証・買取を行うファクタリング
- 将来債権ファクタリング…将来債権を買い取るファクタリング
以上のように、売掛金の種類によって利用できるファクタリングが異なります。
最も普及しているのが買取ファクタリングであり、業者HPで「ファクタリング」「売掛金買取」「請求書買取」「期日前現金化」などと表示されているものはすべて買取ファクタリングです。
診療報酬や介護報酬のファクタリングは対応業者が少なく、国際ファクタリングに至ってはメガバンク系列のファクタリング会社だけが取り扱っています。
そして最近では、将来債権を取り扱う「将来債権ファクタリング」というサービスが出てきています。
サービス名は業者によって異なり、例えば「注文書ファクタリング」といったものは基本的に将来債権ファクタリングの一種です。
もっとも、現時点では将来債権ファクタリングに対応している業者が少なく、一般的なファクタリングのように柔軟な利用は難しいでしょう。しかし、今後は徐々に普及すると考えられており、普及が進むにつれてサービスも洗練されていくことが期待できます。
これまで、「売掛債権=確定債権」と認識してきた会社では、資金調達の幅を広げるためには、想定債権や将来債権の活用を考えることが大切です。
将来債権ファクタリングの法的根拠
上記の通り、将来債権ファクタリングとは、想定債権や将来債権をファクタリングするサービスです。
まず、多くの人が疑問を抱くのは債権が発生していない状態で、なぜファクタリングできるのかということです。
「発生していない債権を買い取る」ということに胡散臭さを感じる人もいるでしょうが、未発生の債権を譲渡することは法的に認められています。
平成11年1月29日、最高裁の判決によって将来債権ファクタリングの法的根拠が示されました。
この裁判は、将来的に発生が予定されている債権(想定債権または将来債権)を譲渡した際の、債権譲渡契約の効力について争ったものです。もし、債権譲渡契約に効力がないと判断された場合、想定債権・将来債権の譲渡はできず、将来債権ファクタリングも不可能となります。
裁判の結果、最高裁は特定の条件を満たす想定債権・将来債権については、債権の譲渡が有効であるとしました。条件は以下の通りです。
- 1.売掛債権の始期と終期を特定できること
- 2.一定額以上の売掛債権が安定して発生することが確実に期待されること
- 3.それほど遠い将来のものではないこと
これらの条件を満たす想定債権や将来債権ならば譲渡でき、将来債権ファクタリングも可能です。
分かりやすい例が、建設業などで工事の進捗に合わせて売掛債権が発生する場合です。
例えば、1,000万円の案件を受注し、工事の進捗に合わせて1/4ずつ4分割で支払われる条件であれば、売掛債権の始期と終期の特定が可能であり、売掛債権が1/4ずつ安定して発生することが確実に期待でき、大規模な案件でなければそれほど遠い将来に発生するものでもありません。
このような債権であれば、将来債権ファクタリングを利用できます。
将来債権ファクタリングの仕組み
将来債権ファクタリングの仕組みは、確定債権を用いる一般的なファクタリングと比較すると分かりやすいです。
それぞれ、2社間ファクタリングの流れを比較してみましょう。
確定債権のファクタリング
- 1.自社から売掛先へ商品やサービスの納品・提供を行う
- 2.自社から売掛先に請求書を発行し、確定債権(売掛金)が発生する
- 3.自社からファクタリング会社に対して、確定債権の買い取りを依頼する
- 4.ファクタリング会社は確定債権の審査を行い、ファクタリング手数料をはじめとする契約条件を設定する
- 5.契約内容に合意すれば、自社とファクタリング会社の間でファクタリング契約を結ぶ
- 6.ファクタリング会社から自社に対し、ファクタリング手数料などのコストを差し引いた買取額が支払われる
- 7.支払い期日になると、売掛先から自社に対し、請求書通りの金額が入金される
- 8.自社はファクタリング会社に対し、入金された代金をファクタリング会社に入金する
想定債権のファクタリング
- 1.自社から売掛先へ商品やサービスの納品・提供を行い、想定債権が発生する
- 2.自社からファクタリング会社に対して、想定債権の買い取りを依頼する
- 3.ファクタリング会社は想定債権の審査を行い、ファクタリング手数料をはじめとする契約条件を設定する
- 4.契約内容に合意すれば、自社とファクタリング会社の間でファクタリング契約を結ぶ
- 5.ファクタリング会社から自社に対し、ファクタリング手数料などのコストを差し引いた買取額が支払われる
- 6.自社から売掛先に請求書を発行する
- 7.支払い期日になると、売掛先から自社に対し、請求書通りの金額が入金される
- 8.自社はファクタリング会社に対し、入金された代金をファクタリング会社に入金する
将来債権のファクタリング
- 1.自社からファクタリング会社に対して、将来債権の買い取りを依頼する
- 2.ファクタリング会社は将来債権の審査を行い、ファクタリング手数料をはじめとする契約条件を設定する
- 3.契約内容に合意すれば、自社とファクタリング会社の間でファクタリング契約を結ぶ
- 4.ファクタリング会社から自社に対し、ファクタリング手数料などのコストを差し引いた買取額が支払われる
- 5.自社から売掛先へ商品やサービスの納品・提供を行い、請求書を発行する
- 6.支払い期日になると、売掛先から自社に対し、請求書通りの金額が入金される
- 7.自社はファクタリング会社に対し、入金された代金をファクタリング会社に入金する
大きな違いは2つ
確定債権・想定債権・将来債権をファクタリングするとき、大きく異なるのはファクタリングの時点における売掛債権の状態と、ファクタリング後の流れです。
それぞれの特徴をしっかり理解しておけば、流れがどのように変わるか、なぜそのような流れになるのかが分かるはずです。
クレジットカード債権のファクタリングが柔軟に
クレジットカード債権をファクタリングしやすくなったことは、将来債権ファクタリングの功績といえるでしょう。
クレジットカード決済を取り入れている会社では、加盟店規約に基づいて支払いサイクルが決まっています。
よくあるのが、「月末締め翌月末払い」などのサイクルです。
この場合、月末の締め日に当月のカード売上が確定し、自社を債権者、クレジットカード会社を債務者とするクレジットカード債権が発生します。
カード売上の確定によって発生するため、クレジットカード債権は確定債権の一種です。
クレジットカード債権は譲渡禁止
ただし、確定債権だからといって買取ファクタリングで売却できるとは限りません。
クレジットカード会社の加盟店規約では、クレジットカード債権の譲渡を禁止しています。
つまり、クレジットカード債権はほぼ例外なく「譲渡禁止特約付き」というわけです。
「確定済みのクレジットカード債権(確定債権)」も「未確定のクレジットカード債権(将来債権)」も、どちらも譲渡禁止特約付きとなります。
もちろん、譲渡禁止特約付きの売掛金も、法的には譲渡が認められています。
民法第466条には以下のように明記されているのです。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
しかし、これは譲渡禁止特約付きの売掛金の譲渡を認めているものの、譲渡禁止特約を禁止しているわけではありません。
クレジットカード会社が加盟店に債権譲渡を禁止すること自体は、何ら問題ないのです。
ファクタリングは債権譲渡ですから、クレジットカード会社にファクタリングの利用がバレてしまうと、何らかのペナルティを受ける可能性があります。
また、譲渡禁止特約付きの譲渡が認められたのはごく最近のことです。
このため、対応が遅れているファクタリング会社が多く、未だに「譲渡禁止特約付きの売掛金は対象外」とするケースが少なくありません。
以上のような理由から、クレジットカード債権はファクタリングしにくい状況が続いてきたのです。
将来債権ファクタリングで状況が改善
この状況は、将来債権ファクタリングによって改善しました。
いくつかのクレジットカード会社が、将来債権ファクタリングの提供を開始したためです。
これは、将来的に発生するカード売上(将来的に確定するクレジットカード債権)を買い取るサービスであり、将来債権ファクタリングにほかなりません。
加盟店規約に譲渡禁止特約があったとしても、将来債権ファクタリングの提供元がクレジットカード会社なのですから、加盟店規約違反を問われる心配もありません。
キャッシュレス決済が広がる昨今、クレジットカード決済を導入する会社が加速度的に増加しています。
そのような会社にとって、将来債権ファクタリングは資金繰りの強い味方になることでしょう。
また、この流れによって将来債権ファクタリングが普及していけば、クレジットカード債権の譲渡禁止特約が形骸化し、加盟店の資金繰り・資金調達の自由度が高まることも期待できます。
将来債権ファクタリングの利用イメージ
実際に将来債権ファクタリングを利用する際、どのような形になるのでしょうか。
将来債権ファクタリングの利用イメージをつかむには、将来債権ファクタリングと買取ファクタリングの清算の違いがポイントとなります。
買取ファクタリングのイメージ
まず、買取ファクタリングの清算についてみていきましょう。
買取ファクタリングで売却するのは、現在保有している確定債権です。
回収条件を当月末請求・翌月末回収、月商は100万円ですべて信用取引とした場合、毎月100万円の確定債権が発生します。
当月に発生した確定債権100万円を、手数料率20%の2社間ファクタリングで売却したとしましょう。
この場合、利用会社は額面金額100万円から手数料20万円を差し引いた80万円を受け取ります。
2社間ファクタリングには売掛先が関与しないため、売却した売掛金100万円の決済は「売掛金→利用会社→ファクタリング会社」の流れで清算します。
注意したいのが、この清算は分割できないことです。
分割払いを認めた場合、法的にはファクタリングではなく貸付けとみなされるため、貸金業登録がなければ無登録営業(ヤミ金)として摘発されます。
ほとんどのファクタリング会社は貸金業登録を受けておらず、分割払いには対応できません。
したがって、買取ファクタリングは「売掛金をまとめて早期回収、清算も一括」が原則です。
将来債権ファクタリングのイメージ
これに対し、将来債権ファクタリングは清算を分割できます。
もちろん、将来債権ファクタリングの分割清算は違法ではありません。
将来債権ファクタリングは将来債権の譲渡・売却であり、「長期間の将来債権を分割で譲渡、譲渡の期間に応じて分割で清算」といったことが成り立つのです。
クレジットカード会社の将来債権ファクタリングを例 として、具体的に考えてみましょう。
例えば、カード売上の締め日が当月末、クレジットカード債権の支払日が翌月末の条件であれば、1月末には1月分のカード売上が確定します。
この時点では、2月末払いのクレジットカード債権を保有しているだけです。
当然ながら、2月以降のカード売上は確定しておらず、クレジットカード債権も発生していません。
2月以降のカード売上によって発生するクレジットカード債権は、将来債権にあたります。
これを買い取るのが将来債権ファクタリングです。
具体的には、
「将来、複数月にわたって発生するクレジットカード債権を、将来債権ファクタリングによって売却し、100万円調達する。譲渡比率30%の条件で、複数月にわたって清算していく」
といった形で利用します。
将来債権ファクタリングの手数料が20%であれば、100万円の調達には120万円分の将来債権が必要です。
1月に将来債権ファクタリングを利用した場合、2月~6月に発生するクレジットカード債権を、譲渡比率30%(毎月のカード売上の30%)で清算していきます。
清算の流れは以下の通りです。
- 1.2月のカード売上…100万円、内30万円(30%)を清算に充当
- 2.3月のカード売上…80万円、内24万円(30%)を清算に充当
- 3.4月のカード売上…90万円、内27万円(30%)を清算に充当
- 4.5月のカード売上…100万円、内30万円(30%)を清算に充当
- 5.6月のカード売上…70万円、内14万円(残金)を清算に充当
このように、将来債権ファクタリングの清算は分割で行います。
買取ファクタリングの清算は「一括払い」、将来債権ファクタリングの清算は「将来債権の売却期間に応じて分割払い」という点で大きく異なります。
将来債権ファクタリングのメリット
将来債権ファクタリングには、以下のようなメリットがあります。
手軽に利用できる
ファクタリングといえば、手軽に利用できることが大きなメリットといわれます。
同じように、将来債権ファクタリングも手軽さがメリットです。
例えば、ある将来債権ファクタリング では、以下の4ステップで利用できます。
- 1.PC、スマホから公式HPにアクセスし、必要事項を入力して申し込む
- 2.申し込み画面から必要書類をアップロードする
- 3.審査結果をメールまたは電話で受け取る
- 4.オンラインで契約を結び、指定口座に入金する
このように、将来債権ファクタリングだからといって、手続きが複雑になることはありません。
少ない書類で利用できることもメリットです。
具体的な必要書類はファクタリング会社によって異なりますが、基本的には以下の書類で利用できます。
- 本人確認書類
- 入金確認書類(通帳コピーなど)
- 売上高が確認できる書類(決算書など)
- 対象債権の成因資料(注文書、契約書など)
クレジットカード会社の将来債権ファクタリングであれば、さらに手軽になるでしょう。
この場合、加盟店を対象に将来債権ファクタリングを行うため、クレジットカード会社は加盟店の情報を把握しており、買い取る将来債権の債務者はクレジットカード会社です。
このため、よりスムーズに、少ない書類で利用できます。
スピーディに資金調達できる
スピーディに調達できることも、将来債権ファクタリングの魅力です。
ただし、一般的な買取ファクタリングに比べるとやや劣ります。
買取ファクタリングは確定債権を買い取ります。
すでに請求内容が確定しているため、審査によって回収不能リスクや採算などを測ることも比較的容易です。
これに対し、将来債権ファクタリングは請求内容が確定していません。
利用会社と売掛先のトラブルによって売掛金の金額や支払条件が変わることもあり得ます。
したがって、将来債権ファクタリングは買取ファクタリングよりも審査に時間がかかるのです。
即日入金を謳う業者もありますが、早くて翌営業日入金が現実的でしょう。
実際に、クレジットカード会社の将来債権ファクタリングでは「最短2営業日~ 」としています。
とはいえ、銀行融資ならば数週間~1ヶ月、ノンバンクのビジネスローンでも数営業日を要することを考えると、将来債権ファクタリングの「2営業日で入金」はかなりスピーディです。
「今週中に」「来週までに」といった、緊急度の高い資金調達にも十分対応できます。
無担保・無保証で利用できる
将来債権ファクタリングは、無担保・無保証で利用できます。
これは、将来債権ファクタリングが債権譲渡取引であるためです。
銀行融資では担保・保証を重視するため、担保・保証不足によって融資を受けられないケースが多々あります。
実際に、無担保・無保証で融資を受けられるのは一部の優良企業だけで、数値にして10%未満です。
そもそも、銀行が不動産担保や信用保証協会の保証を求めるのは、貸し倒れに備えるためです。
融資先が返済不能に陥った場合も、担保物件の処分や信用保証協会の弁済によって貸倒損失を回避できます。
つまり、返済義務があるからこそ、返済義務を果たせなかった場合の保全が重視されるのです。
その点、将来債権ファクタリングは借入れではなく、将来債権の譲渡です。
当然ながら返済義務もなく、返済不履行に備えるための担保・保証も必要ありません。
これが、「将来債権ファクタリング=無担保・無保証」の理由です。
売上が悪化したときに役立つ
将来債権ファクタリングは、一時的に売上が減少した場合に役立ちます。
このメリットは、一般的な買取ファクタリングと比較するとわかりやすいです。
買取ファクタリングの買い取り対象は、確定債権だけです。
売上が減少すれば手元の確定債権も減少するため、買取ファクタリングで調達できる金額も減ります。
売上の減少が深刻であれば、買取ファクタリングでは十分な資金を調達できない恐れがあります。
買取ファクタリングも無担保・無保証が原則ですが、
「担保・保証が不足しており銀行融資を受けられない。売上が減少したため手元に十分な確定債権がなく、買取ファクタリングでの調達も不可能。もう資金ショートは避けられない」
といったことがあり得るのです。
これに対し、将来債権ファクタリングは確定債権ではなく、将来債権が対象となります。
したがって、
「担保・保証の不足により銀行融資の審査に落ちた。一時的な売上の減少によって確定債権も乏しい。今は将来債権ファクタリングで切り抜けよう」
といった資金繰りが可能となります。
担保・保証不足と一時的な売上の悪化(=確定債権の減少)に悩んでいる会社には、将来債権ファクタリングがおすすめです。
貸倒れリスクの回避に効果的
ファクタリングは、原則的に「償還請求権なし(ノンリコース)」で契約します。
償還請求権は、譲渡した債権が回収できなくなった場合、譲受人が譲渡人に対して買戻しを請求できる権利のことです。
償還請求権がなければ買戻しを請求できないため、回収不能による損失はすべて譲受人が負担します。
これは、貸倒れリスクをファクタリング会社が肩代わりしてくれることを意味します。
もちろん、将来債権ファクタリングも償還請求権なしで契約するため、貸倒れリスクの回避に効果的です。
例えば、将来債権ファクタリングの一種に「注文書ファクタリング」というものがあります。
これは、発注者から注文書を受け取った時点でファクタリングできるサービスです。
当然ながら、この時点では取引は完了しておらず、請求も行っていないため、あくまでも将来債権にすぎません。
この将来債権をファクタリングした後、売掛先の経営悪化などによって回収できなくなったとしても、利用会社が買戻しを請求されることはありません。
調達可能額が大きい
将来債権ファクタリングでは、現時点では発生していない想定債権や将来債権をファクタリングできるため、数ヶ月先に発生する売掛債権も資金化できます。
1,000万円の工事を受注し、進捗に応じて250万円ずつ4分割で支払われる場合で考えてみましょう。
通常のファクタリングの場合、工事を進めて250万円の売掛債権(確定債権)が発生することで、はじめてファクタリングできます。調達可能額は、あくまでも発生済の250万円に限られます。
工期が伸びて売掛債権の発生が遅れると、ファクタリングをなかなか利用できずに資金繰りが苦しくなることも多いです。
一方、将来債権ファクタリングでは、実際の進捗に関係なく、将来発生予定の将来債権1,000万円をファクタリングできます。工期が長引くなどのトラブルに応じて、将来債権の一部だけをファクタリングすることもでき、資金繰りの維持・安定に役立ちます。
ただし、将来債権ファクタリングでまとまった資金を調達する場合、大きなデメリットを伴うため注意が必要です(詳しくは後述)。
資金繰りの改善に役立つ
将来債権のファクタリングは、資金繰り改善にも役立ちます。
通常のファクタリングでは、確定債権をファクタリングして支払いに充てるなど、目先の資金繰りをカバーすることが多いです。
しかし、ファクタリングによって当月の資金繰りを維持しても、翌月もファクタリングによって資金繰りを回す必要があり、そのまた翌月も・・・というように、資金繰りがいつまでも改善しないケースが少なくありません。経営改善に取り組むための資金がなく、目先の資金繰りで精一杯になってしまうのです。
将来債権ファクタリングを使えば、将来の売掛債権も合わせてまとまった資金を調達できます。これにより、目先の資金繰りを維持しつつ、経営改善にも資金を投入することで、抜本的な改革も可能です。
ただし、経営改善がうまくいかなければ、将来的な売掛債権まで売却しているのですから、資金繰りショートの危険が高まります。そうならないためにも、コンサルタントに依頼した上で将来債権ファクタリングを利用するなど、慎重な取り組みが欠かせません。
キャッシュフローの維持・改善に効果的
将来債権ファクタリングは、キャッシュフローの維持・改善に効果的です。
このメリットは、将来債権ファクタリングと買取ファクタリングを比較するとよくわかります。
買取ファクタリングとキャッシュフロー
買取ファクタリングも、使い方次第でキャッシュフロー改善につながります。
確定債権の早期資金化によってキャッシュインフローを活性化すれば、キャッシュフローは改善するというわけです。
ただし、改善したキャッシュフローを維持するためには、慎重に利用しなければなりません。
買取ファクタリングの場合、ファクタリングによって確定債権を早期資金化した後、本来の支払予定日に一括で清算します。
これは、キャッシュインフローの大幅な減少を意味します。
つまり、買取ファクタリングでは「早期資金化によるキャッシュインフローの一時的な増加」と「清算によるキャッシュインフローの一時的な減少」が短期間で起こるのです。
資金繰りに余裕がない会社であれば、この「キャッシュインフローの一時的な減少」によって資金繰りに困る可能性が高いです。
その結果、定期的にファクタリングを利用し続けることになります。
もちろん、定期的・長期的なファクタリング自体は問題ありません。
しかし、計画的に利用しなければ、手数料負担によってキャッシュフローが悪化する恐れがあります。
将来債権ファクタリングとキャッシュフロー
将来債権ファクタリングは、買取ファクタリングよりもキャッシュフロー改善に効果的です。
将来債権ファクタリングでは将来債権を売却するため、現在の確定債権に依存することなく資金調達できます。
「当月末請求・翌月末回収」の場合、買取ファクタリングでは1ヶ月後の回収によって一括で清算するのに対し、将来債権ファクタリングは2ヶ月後回収の将来債権、3ヶ月後回収の将来債権、4ヶ月後回収の将来債権…というように、複数月にまたがって清算します。
これにより、将来債権ファクタリングによってキャッシュインフローが一時的に増加する一方、清算によるキャッシュインフローの減少は軽微です。
また、業者によっては譲渡比率を自由に設定できることもメリットです。
自社の状況に合わせて譲渡比率を設定し、清算によるキャッシュフローの悪化を緩和できます。
将来債権ファクタリングのデメリット
将来債権ファクタリングはメリットばかりではありません。
注意すべきデメリットを5つ紹介します。
審査が厳しい
ファクタリングといえば、審査に通りやすいことがメリットです。
将来債権ファクタリングも、銀行融資やビジネスローンに比べると審査のハードルが低く、資金調達しやすいことは間違いありません。
しかしながら、一般的な買取ファクタリングと比較した場合、将来債権ファクタリングの方が審査難易度は高くなります。
これは、将来債権は請求内容が未確定であるためです。
将来債権は未確定
確定債権の場合「支払人〇〇、請求額〇〇万円、支払期日〇月〇日、その他支払条件は・・・」といった情報が確定しており、売掛先が資金ショートや倒産に陥らない限り、この情報の通りに回収できます。
しかし、将来債権は取引・請求が完了しておらず、現時点の情報は見込みにすぎません。
つまり、「将来のある時期に~~~(取引)を行い、〇〇(支払人・売掛先)に対して請求額〇〇万円、支払期日〇月〇日の売掛金が発生(確定)する」という見込みです。
もちろん、この見込みが外れる可能性もあります。
例えば、何らかのトラブルによって取引の縮小に至った場合、回収を見込んでいた将来債権の額面金額が減り、回収が長期化する恐れがあります。
したがって、ファクタリング会社は「取引先との関係は?」「取引の内容は?」「将来債権から回収できる見込みは?」など、様々な視点で審査しなければなりません。
当然ながら、確定債権の審査よりも厳しくなるというわけです。
業績に左右される
特に注目したいのが、将来債権ファクタリングでは利用会社の業績を重視するという点です。
これは、買取ファクタリングと将来債権ファクタリングの顕著な違いといえます。
一般的な買取ファクタリングが「審査に通りやすい」といわれるのは、利用会社の業績・財務を重視しないためです。
すでに売掛金は確定しているため、ファクタリング会社は売掛先の支払能力に問題がなければ買い取ることができます。
しかし将来債権は未確定であり、見込み通りに回収できるかどうかは「売掛先の支払能力」だけではなく、「利用会社の業績」によって影響を受けるのです。
例えば、クレジットカード会社の将来債権ファクタリングは、将来の複数月のカード売上から回収します。
この場合、売掛先(債務者)はクレジットカード会社自身ですから、「売掛先の支払能力」は問題になりません。
重要なのは、利用会社の業績はどうか、つまり「将来的なカード売上の見込みはどうか」です。
したがって、審査では業歴や過去の売上実績・推移が重視されます。
長期にわたって売上が安定しており、将来債権ファクタリングの利用額も適正水準であれば、審査に通るでしょう。
売上が減少している場合も、それが一時的なものであり、原因がはっきりしていれば審査に通ります。
しかし、売上が悪化傾向にある、業歴が短いため過去の売上実績を確認できない、といった場合には審査に落ちる可能性が高いです。
業績が悪化しているときは資金繰りも苦しくなるため、将来債権ファクタリングで資金を調達したいところですが、そのような場合に審査に落ちやすくなるのです。
これは、将来債権ファクタリングの大きなデメリットといえます。
長期になるほど審査は厳しくなる
将来債権ファクタリングでは、複数月の将来債権を売却するのが普通です。
これにより、まとまった資金調達ができる、清算を分散できるなどのメリットも生じます。
ただし、将来債権ファクタリングの期間が長期化するほど審査が難しくなります。
「1ヶ月後に回収予定の確定債権」は、売掛先によほど問題がない限り回収できるため、審査に通りやすいです。
「1ヶ月後に発生、2ヶ月後に回収予定の将来債権」も、近い将来に回収できるため、審査への影響は軽微でしょう。
しかし、「1ヶ月後以降に発生予定の将来債権を6ヶ月分売却」とした場合、最終月の将来債権が発生するのは7ヶ月後、回収できるのは8ヶ月後です。
その期間中、利用会社か売掛先のいずれかに問題が生じ、将来債権の発生・回収にズレが生じる可能性があります。
このように、長期の将来債権ファクタリングはリスクが高くなるのです。
このリスクを抑制するために、将来債権ファクタリングの対象を「3ヶ月後の将来債権まで」などと制限しているケースもあります。
利用期間が長期になるほど、将来債権ファクタリングの審査は難しくなると考えてください。
手数料が高い
将来債権ファクタリングの大きなデメリットは、手数料が高いことです。
一般的な買取ファクタリングも手数料が高いとされますが、将来債権ファクタリングはそれ以上に高くなる場合があります。
例えば、あるクレジットカード系の将来債権ファクタリングでは、手数料率を「5%~30%(平均17%) 」としています。
これは一般的な買取ファクタリングに比べてかなり高い水準です。
クレジットカード債権は、クレジットカード会社を債務者(売掛先)とする債権です。
クレジットカード会社の経営が破綻するリスクはほとんどないため、クレジットカード債権は優良債権といえます。
したがって、1ケタ台の手数料率で売却できることも多いです。
同じクレジットカード債権でも、それが将来債権というだけで「5%~30%」になるのですから、かなり割高と言わざるを得ません。
将来債権ファクタリングの手数料が高い理由は、主に以下の3つです。
- 売掛金が未確定であること
- 採算を測るのが難しいこと
- 将来債権ファクタリングの普及率が低いこと
売掛金が未確定
上記の通り、売掛金が未確定であることは、ファクタリング会社にとって大きなリスクです。
このリスクを避けるためには厳しく審査する必要があり、またリスクヘッジのために手数料を高く設定する必要があります。
採算の問題
また、将来債権ファクタリングの場合、採算を測ることも容易ではありません。
一般的な買取ファクタリングは、請求額と支払期日が確定しています。
このため、「額面金額は〇〇万円、事務負担はこれくらい、支払期日までの残存日数は〇日、採算は・・・」といった測定が可能です。
しかし将来債権ファクタリングでは、未確定の情報がもとになるため、見込みが外れた場合の採算の変化も織り込む必要があります。
将来的な採算の低下に備えるには、最初から手数料を多めに取っておくのが確実です。
普及率の低さ
将来債権ファクタリングは新しいサービスであり、需要も少ないため普及率が低いです。
将来債権ファクタリングを提供する業者は少なく、サービスのスタンダードな形が定まっていません。
「将来債権ファクタリングの手数料は大体これくらい」という目安がないため、業者によって大きな差が生じる場合があります。
業者間の競合が起こらず、手数料を引き下げる動きが起こりにくいことも一因といえるでしょう。
多額の資金調達に不向き
メリットでも述べた通り、将来債権ファクタリングによってまとまった資金を調達できます。
資金需要に応じて調達できるという意味では、確かにメリットといえます。
しかしながら、基本的に「将来債権ファクタリング」と「多額の資金調達」は相性が悪いです。
これは、調達可能額が小さいケースがあること、また手数料の負担が大きいことが理由です。
調達可能額が小さい
将来債権ファクタリングの調達可能額は業者によって異なります。
ファクタリング会社によっては「100万円~3億円 」に設定するケースもみられ、多額の資金調達も可能です。
一方、「5万円~500万円 」「10万円~200万円 」など、少額に設定する業者もあります。
特にクレジットカード会社の将来債権ファクタリングは、少額の設定が多いようです。
これは、加盟店の業種によるものでしょう。
経済産業省の平成19年の資料 によれば、加盟店の構成比は小売業が68.3%、飲食店が9.2%、旅館・ホテルが1.3%となっています。
これらの業種では個人消費者を顧客とするため、現金取引の比率が高く、大多数は小規模の事業者です。
したがって資金需要が小さく、将来債権ファクタリングの上限金額も数百万円で十分なのでしょう。
とはいえ、小売店や飲食店でも、設備投資や店舗の移転や新規開店の際には多額の資金が必要です。
その場合、将来債権ファクタリングでは十分な資金を調達できない可能性があります。
手数料負担が大きい
業者によっては、数千万円、数億円の将来債権ファクタリングにも対応していますが、利用はおすすめできません。
上記の通り、将来債権ファクタリングは手数料が高く、資金繰りへの負担が大きいためです。
将来債権ファクタリングで1000万円調達する場合、手数料率が20%ならば1250万円の将来債権が必要です(手数料は250万円)。
調達額の4分の1に相当する手数料を支払うのですから、かなりの負担になります。
基本的に、買取ファクタリングは将来債権ファクタリングよりも安く利用できます。
同じく1000万円調達した場合の手数料は、手数料率15%ならば176万円、手数料率10%ならば111万円です。
手数料を比較すれば、将来債権ファクタリングが多額の資金調達に不向きなことは一目瞭然でしょう。
多額の資金を調達する場合には、最も望ましいのは銀行融資であり、その補完として優良業者の買取ファクタリングを利用するのが王道です。
取り扱っている業者が少ない
2023年11月現在、将来債権ファクタリングを取り扱っている業者はごくわずかです。
これは、将来債権の特殊性や需要の低さによるものです。
確定債権と将来債権では、売掛金としての性質が大きく異なるため、同じように取り扱うことはできません。
例えば、審査の方法がまるで異なるため、将来債権ファクタリングのために審査マニュアルを作成したり、スタッフを教育したりする必要があります。
また、ファクタリングの需要の大部分は確定債権の早期資金化であり、将来債権の早期資金化の需要はさほど大きくありません。
コストを投じて将来債権ファクタリングの仕組みを整えても、売上への貢献はあまり期待できず、費用対効果は低いといえます。
将来債権ファクタリングを導入するくらいならば、オンラインファクタリングを導入したいというのが、多くの業者の本音でしょう。
実際、多くの業者が「ファクタリングは確定債権の買い取り、将来債権は対象外」としており、将来債権ファクタリングを提供している業者はわずか数社のみです。
これも、将来債権ファクタリングのデメリットといえます。
将来債権ファクタリングを提供する業者が少なければ、業者間の競合も起こりにくく、利用環境や利用条件も改善されません。
今後、将来債権ファクタリングの需要が拡大し、状況が変わっていくことを期待しましょう。
まとめ:ファクタリングの活用はNo.1におまかせ
本稿では、将来債権ファクタリングについて解説しました。一般的なファクタリングとは異なり、売掛金に対して慣れない解釈も必要となるため、難しく感じた人もいると思います。
しかし、将来債権ファクタリングは、今後普及していくと予想されています。資金調達の幅を広げるためにも、早いうちから知識を身につけ、活用の道を探っておくことをおすすめします。
とはいえ、現時点では買取ファクタリングが主流です。
したがって、買取ファクタリングを資金繰りに取り入れ、資金繰りの柔軟性を高め、将来的には将来債権ファクタリングも取り入れていくという流れが現実的でしょう。
売掛金の買い取りをご希望の方は、No.1までお気軽にご相談ください。
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