カテゴリー: ファクタリング
併存的債務引受とファクタリングの違いは何?償還請求権の有無や現金化の範囲に注目!
融資によらない資金調達方法が近年さまざまに生まれてきています。
融資は銀行法や貸金業法、利息制限法などさまざまな法規制を受けてしまいます。長い間最も一般的に使われてきた資金調達方法ですが、それにも限界が来ています。
もっと、簡便に利用者が迅速に資金調達する方法が徐々に増えています。
今回紹介する併存的債務引受も比較的新しい資金調達方法です。この併存的債務引受とみなさんがご存知のファクタリングの違いについて解説します。
結局、ファクタリングの方が使いやすいという結論になるのですが、そうなるための理論武装をここでは行っていきます。
併存的債務引受とファクタリング、両者の違いについてぜひ知ってください。
2020年の民法(債権法)改正で併存的債務引受が条文化された
併存的債務引受の内容については次項で触れますが、併存的債務引受が民法の条文として正式に盛り込まれたのは、2020年の改正法からです。
改正法470条では1項から4項で併存的債務引受について要件を定義し、その内容について成立する状況について触れています。
(民法470条 併存的債務引受)
① 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
② 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
③ 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
④ 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
というものです。
併存的債務引受については、大正時代の大法院判例もあり、100年近く前から用いられていた方法で、裁判によって判例法として積み上がっています。
それをようやく正式に民法の条文に載せたのが2020年というわけです。
ちなみに、2020年の民法(債権法)改正では、併存的債務引受以外にも、「注文書ファクタリング」を可能にする「将来債権」などについても初めて記載されました。
債権法改正というだけあり、これまで判例などによってのみ蓄積されていたものが、ようやく条文化し、制度として確立することになりました。
そうした意味では2020年がさまざまな資金調達方法について、多様化する契機になったと考えられます。
併存的債務引受の概要
併存的債務引受は上述のように2020年の民法(債権法)改正によって正式に民法典の中に盛り込まれた規定です。実際には大正時代からあるやり方で、2020年以前から合法です。
併存的債務引受とは、債権者(モノやサービスを売った事業者)が保有している売掛債権を金融機関や信託会社へ譲渡・売却し、債務者(売掛先、代金の支払企業)に代わって金融機関や信託会社から支払いを受けられるサービスです。
売掛債権(売掛金を支払う義務、買掛債務)を売掛先だけではなく、金融機関や信託会社が引き受けることで成立する決済方法です。
売掛金の支払い義務(債務)は債務者(売掛先)から金融機関や信託会社に移転するのではなく、売掛先も金融機関も併存して持ちます。売掛先が支払えない場合、債務を併存して引き受けた金融機関などが支払います。
つまり、併存的債務引受契約をしていると、債務者が売掛金を支払えない場合、金融機関などが「保証人」と同じように返済義務を負うということです。
そして、その「保証人」が債権者の求めに応じて、売掛金支払い日前に売掛金を支払うことができます。それは債権者が「売掛金を期日に受け取る権利(売掛債権)」を金融機関などへ売却することで達成されます。
売掛金期日前に債権者が資金調達した場合は、金融機関は債務者から直接売掛金を回収します。「3社間ファクタリング」と同じ仕組みです。債権者には早期現金化した部分の売掛金は振り込まれず、金融機関が直接債務者から回収するのがポイントです。早期現金化しなくても、全額を銀行が債務者から回収し、期日に振込手数料を引いて債権者に振り込む場合もあります(その場合、手数料分債権者が損する)。
後述のファクタリングとの違いは、併存的債務引受の場合、売掛金の一部のみを早期現金化することが可能です。
100万円の売掛金がある場合、そのうち50万円だけを早期現金化できるのが併存的債務引受になります。
併存的債務引受は、以下の3つの契約のいずれかによって成立します。
①債権者・債務者・引受人(金融機関など)の三者契約
②引受人(金融機関など)と債権者の契約(改正民法470条2項)
③引受人(金融機関など)と債務者との契約(改正民法470条3項前段)
なお、②の場合、債務者の意思に反していても構わない
しかし、資金調達目的で行う併存的債務引受はこのうち①の契約を必要とします。併存的債務引受を実施している金融機関でも①の契約が必須であり、②や③については行っていません。つまり、ファクタリングでいう、債務者(売掛先)にバレない2社間ファクタリングのようなスキームは取れないことになります。
ある銀行が行っている併存的債務引受の手続きを紹介します。他の金融機関についても同じような流れになります。
1.債権者、債務者、銀行の三者間で併存的債務引受の契約を行います。
2.納品・代金請求の手続きについては、従来通り。(請求書を発行するなど)
3.債務者は「併存的債務引受予約申込書」を銀行に連絡する。(FAX送信)
4.支払明細データに基づき、銀行は「併存的債務引受承諾書」を作成し支払企業に送付。
5.銀行が債権者に「対象債権支払予定のお知らせ」を送付。
6.債権者が決済日(売掛金支払日)以前に資金を必要とする場合は、必要に応じて代金債権の割引(期日前の支払い)を銀行に請求する。
A:定期割引方式
あらかじめ債権者が指定した毎月一定の日に、措定した金額を自動的に資金化して現金振込する。
B:随時割引方式
債権者が必要に応じて、必要な金額を請求する。柔軟な資金調達が可能になる。不要な場合は振り込まれない。
7.銀行が割引料(手数料)および振込手数料を差し引いたうえで、債権者の指定する金融機関宛てに現金を振り込む。
8.銀行は期日に債務者から買掛債務引受代金を回収します。
9.銀行は債権期日(売掛金支払日)に、振込手数料を控除し債権者が指定する口座あてに売掛金の振込を実施します。
併存的債務引受契約をしていると、通常の「債務者→債権者」という売掛金支払いではなく「債務者→金融機関→債権者」と複雑な工程が入ります。
売掛金があれば、金融機関を仲介にして、いつでも資金調達できるのが併存的債務引受の強みになります。
ファクタリングの概要
ファクタリングは売掛金の買い取りです。
A社がB社に対してモノを売って、B社からの代金を掛け売りにします。
「6月30日締め7月31日払い」の売掛金契約を結んでいたとします。売掛金が100万円あり、7月31日に100万円B社からA社に振り込まれるのですが、それまでに運転資金が必要になり、「7月31日に100万円受け取る権利」を第三者であるファクタリング会社C社に買い取ってもらいます。
7月15日に「7月31日に100万円を受け取る権利」を「100万円-ファクタリング会社手数料」で買い取ってもらい、80万円~90万円を期日前に入手できます。
この売掛金、売掛債権の有償譲渡をファクタリングと言います。
ファクタリングは融資ではないので、銀行法や貸金業法などの適用を受けません。ファクタリング会社は必ずしも銀行や信金、消費者金融の許可がなくてもできます。
そのため、玉石混交で(ファクタリング会社になるための審査がないので)、優良な会社から、ヤミ金融のフロント企業、反社会的勢力などもあり、しっかり見極めないといけません。
利息制限法の適用を受けないので(融資ではないから)、手数料を年利換算すると、利息制限法上限を大きく超えることもあり、ファクタリング契約時にはしっかりそのあたりを確認する必要があります。
ここまで書くと、ファクタリングは併存的債務引受とあまり変わらないように見えます。併存的債務引受とファクタリング、両者の違いについては後段で解説します。
併存的債務引受もファクタリングも「一括決済方式」
以上、併存的債務引受とファクタリングについて説明しましたが、両者は「一括決済方式」と呼ばれる資金調達方法になります。
一括決済方式とは、債権者(請求書を出す側)と債務者(売掛金期日に支払う側)間で行われる決済(売掛金契約)を、ファクター(金融機関など)を介して行う決済方法です。
通常、売掛金契約、信用取引において売掛債権が発生してから実際に決済されるまでには、1か月~数か月のタイムラグ(サイト)があります。
従来は「〇月〇日に代金を支払う」という約束手形を発行して、このような取引が行われていましたが、手形は紛失すると効果がなく、また手形の発行にはコストがかかります。手形割引による資金調達は結構決まりが多く大変なのです。手形法の膨大な規定も守らなければなりません。
そこで、手形に代わる決済方法として世の中に浸透したのが「一括決済方式」です。一括決済方式は、債務者が金融機関などファクターと契約をします。債権者への支払日(決済日)には原則、債権者ではなくファクターに支払います。
一方、債権者は債務者から売掛金について、直接入金を受けず、金融機関を介して支払いを受けるようになります。
こうすることで、債権者は売掛金入金日を待たず、ファクターから期日前に入金を受けることも可能になります。
売掛金入金日前にファクタリング会社から資金調達できるファクタリングは、まさにこの一括決済方式の典型例になります。
一括決済方式は、
1.ファクタリング
2.併存的債務引受
のほかに、ここでは説明を省きますが
3.債権譲渡担保(動産担保融資)
4.一括信託
という資金調達方法も含まれます。多様化する資金調達のニーズに応えるよう、どんどん新しい方法が広まっています。
併存的債務引受とファクタリングの違い
同じ一括決済方式の併存的債務引受とファクタリングですが、両者にはこのような違いがあります。
・契約方法
・償還請求権の有無
・買取可能範囲
・手数料の発生条件
まず契約方法の違いです。併存的債務引受は、債権者、金融機関、債務者の3者での契約が義務になります。ファクタリングでいう3社間ファクタリングが強制されます。
ファクタリングは非金融業のファクタリング会社が主に行い、玉石混交ですが、併存的債務引受は信用度が高い銀行で行います。しかし、併存的債務引受を提供しない銀行もあるため、取引銀行で利用できない可能性もあり、一長一短です。
ですが、ファクタリングはご存知のように3社間ファクタリングだけでなく、債権者とファクタリング会社のみで契約する2社間ファクタリングもあります。2社間ファクタリングならば債務者(売掛先)にバレずに資金調達できます。
次に償還請求権の有無です。債務者から売掛金の支払いがなされなかった場合、債権者が代わりに金融機関やファクタリング会社に支払いを行わなければならないのが償還請求権です。併存的債務引受の場合、償還請求権ありの契約になります、
ファクタリングは原則、償還請求権なしです。つまり、ファクタリングは売掛金回収不能リスクをファクタリング会社に譲渡できますが、併存的債務引受の場合はそれができません。売掛金回収不能リスクの低減には併存的債務引受は使えないことになります。
最後に売掛債権の買い取り可能な範囲です。併存的債権引受は債権額の一部を買い取ってもらえますが、ファクタリングは全額買い取りが原則になります。
1000万円の売掛金があった場合、併存的債務引受は500万円分の資金調達ができますが、ファクタリングは1000万円全額の売却になります。必要以上の現金を手数料を支払って手にすることになってしまいます。
ファクタリングの場合、資金調達したいとき(売掛金を買い取ってもらいたい場合)に都度ファクタリング契約をしますので、手数料も都度発生します。ファクタリングしない場合、売掛金は期日に売掛先から債権者へ振り込まれます。
併存的債務引受の場合、契約をすると、早期現金化しない場合も満額、まず金融機関が売掛先から回収し、手数料を引いて債権者へ振り込みます。ここで時間的なロスが発生するのと、早期現金化しないのに手数料を取られてしまいます。
任意のタイミングで必要に応じて現金化したい場合、ファクタリングの方がコスパに優れます。
併存的債務引受とファクタリングの違いは以上になります。
併存的債務引受とファクタリング、おすすめできるのはファクタリング
併存的債務引受とファクタリングについて概要を説明し、両者の違いについてご理解いただけたはずです。
併存的債務引受よりもファクタリングの方が明らかに使いやすいはずです。
併存的債務引受を行うのは銀行で、ファクタリングはファクタリング会社(非金融業)という違いはあり、前者の方が社会的な信用度は高いですが、1回の売掛金換金なので、そこまで継続的な取引になりません。
そうなると、2社間ファクタリングで取引先(売掛先)にバレず、償還請求権もないファクタリングの方にメリットがあります。
売掛先にファクタリングの事実がバレてしまうと「この会社は資金繰りが悪化していてヤバいのでは?」と邪推されてしまいます。結果的に以後の取引に悪影響が出てしまう可能性もあります。
また償還請求権付きの契約では、貸し倒れリスクのある売掛金を現金化し、多少なりともリスクヘッジのために利用できません。貸し倒れになった場合、債権者が負担しなければならなくなります。保険の意味で一括決済方式を利用できるのは、併存的債務引受よりもファクタリングです。ファクタリングならば償還請求権なし(ノンリコース)が原則なので、売掛金回収不能、貸し倒れリスク回避のためにも利用できます。
急な資金調達以外のニーズ(貸し倒れ回避)に使えるのは、併存的債務引受ではなくファクタリングになります。
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新しい資金調達方法である一括決済方式ですが、その中でも併存的債務引受とファクタリングを比較して説明しました。
併存的債務引受は銀行が行うので信用度はありますが、あまり使い勝手がよくないことがわかりました。売掛先にバレない、償還請求権がない(ノンリコース)、この2点からして併存的債務引受よりもファクタリングに分があります。
要は銀行くらい信用できるファクタリング会社でファクタリングをすればよいわけです。それなら、リスクを低くして、併存的債務引受よりもメリットが多い資金調達ができます。
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