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キャッシュフロー・マネジメントとは?実際に何を行うのかを徹底解説!
皆さんは、自社のキャッシュフローに対してどのように取り組んでいらっしゃいますか。
「キャッシュフローの改善が大切です」
「キャッシュを増やしましょう」
「経営改善にキャッシュフロー計算書を活かしましょう」
このような言葉を耳にすることは多いですが、具体的な方法はあまり知られていないのが実情です。
キャッシュフローの改善を、専門的には「キャッシュフロー・マネジメント」といいます。
キャッシュフロー・マネジメントについて、基礎知識から具体例まで、この記事を読めば全てわかるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
キャッシュフローとは?
キャッシュフロー・マネジメントについて解説する前に、まずはキャッシュフローを正しく理解することが大切です。
キャッシュフロー(cash flow)とは、その言葉の通り「お金の流れ」を意味するもの。
キャッシュフローは、お金が入ってくる流れであるキャッシュインフロー、お金が出ていく流れであるキャッシュアウトフローに分けられます。
資金繰りもお金の流れに基づく概念ですが、資金繰りとキャッシュフローには決定的な違いが。
資金繰りは、将来のお金の流れを予測するものです。
具体的には、
- お金が入ってくる時期と収入額
- お金が出ていく時期と支出額
- お金が足りなくなる時期と不足額
これらを予測することによって、長期的にお金の流れがスムーズになるように、「やり繰り」に備えることを指します。
これに対し、キャッシュフローは、将来の予測ではなく過去の実績に基づくものです。
キャッシュフローの目的は、既に確定したお金の動きをまとめ、お金の流れの事態を把握すること。
当然、将来の予測である資金繰りと、過去の実績であるキャッシュフローにはズレが生じるでしょう。
実際のお金の流れ(キャッシュフロー)と、予想していたお金の流れ(資金繰り)を比較することで、資金繰りが苦しい原因を特定し、具体的な改善策を考えることができるのです。
キャッシュフロー・マネジメントは、予測ではなく実績としてお金の巡りが良くなるように、キャッシュフローをマネジメント(管理)することを指します。
キャッシュフローの種類
キャッシュフローはキャッシュフローでも、お金の動きをもたらした活動によって3つに分類して考えられます。
3種のキャッシュフローは以下の通り。
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
キャッシュフロー・マネジメントは、お金の流れを管理するということ。
適切な管理のためにも、これらの分類は理解しておきたいポイントです。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、キャッシュフロー計算書では「営業活動によるキャッシュフロー」と記載されます。
営業活動によるお金の流れを指すのが「営業キャッシュフロー」です。
製造業の基本的な流れを例に、具体的に見てみましょう。
- 仕入れ先から原材料を購入し、
- 自社工場で原材料を加工して製品を製造し、
- 販売までの期間、製品を倉庫で管理し、
- 販売先に製品を納入し、
- 売上を回収する
この場合、
- 原材料の仕入れ費用(キャッシュアウトフロー)
- 人件費や光熱費など製造費用(キャッシュアウトフロー)
- 在庫管理費用(キャッシュアウトフロー)
- 販売に伴う費用(キャッシュアウトフロー)
- 売掛金の回収(キャッシュインフロー)
というように、お金が出ていく流れが4つ、お金が入ってくる流れが1つとなります。
この一連の流れの結果、キャッシュインフローからキャッシュアウトフローを差し引いたものが「営業キャッシュフロー」となるのです。
キャッシュフロー・マネジメントにおいて、営業キャッシュフローは非常に重要でしょう。
営業キャッシュフローがマイナスであれば、「本業で稼げていない」ということになります。
本業で稼げていない会社は評価が低く、資金調達にも苦労することが多いのです。
本業だけではなく、財務活動でもお金が入ってくる動きが鈍くなるため、キャッシュフロー・マネジメントが困難になることも。
投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローは、投資活動による資金の増減を表します。
具体的には、経営改善や事業拡大などのために行う投資や余裕資金の運用など、本業以外の投資活動におけるキャッシュフローと、その結果を表す指標です。
営業キャッシュフローがプラスであれば、本業で利益が出ているため好ましい状態といえますが、それだけでは不十分。
キャッシュフロー・マネジメントのためには、営業キャッシュフローの活用を考えなければなりません。
本業で稼いだキャッシュフローの範囲内で投資キャッシュフローを賄うのが理想的。
不動産、製造設備などへの投資のほか、事業拡大局面では企業買収などの投資活動を実施することもあります。
投資活動を適切に行えば、長期的な売上拡大や利益率向上などにつながり、延いては営業キャッシュフローの増加、資金繰りの改善などの期待もできるでしょう。
したがって、投資活動によるキャッシュアウトフローは投資キャッシュフローのマイナスに計上されますが、投資キャッシュフローのマイナスは悪いものではありません。
もちろん、過剰投資によってマイナスが過大であれば経営悪化要因になるため、投資キャッシュフローのマイナスは慎重にコントロールする必要があります。
財務キャッシュフロー
キャッシュフロー・マネジメントのためには営業キャッシュフローが重要であり、営業キャッシュフローの改善・向上には投資キャッシュフローも欠かせません。
投資活動には多額の資金が必要になるため、銀行などから投資資金を借り入れるのが一般的。
銀行から融資を受けると、借入金が入ってくる流れが生じるため、財務キャッシュフローはプラスになります。
その後、借入金返済のためにお金が出ていくと、その分だけ財務キャッシュフローはマイナスに。
基本的には、財務キャッシュフローはマイナスが望ましいとされています。
新規に融資を受けることなく、返済だけを続けていれば財務キャッシュフローは一方的にマイナスになるはずです。
営業キャッシュフローのプラスを返済に充て、お金を借りることなく事業が円滑に進むならば、経営は健全なものとして評価されるでしょう。
しかし、財務キャッシュフローのプラスが必ずしも悪いとは言い切れません。
例えば、5,000万円の投資資金を全て手元資金で賄う場合、投資キャッシュフローは5,000万円のマイナスになります。
単位:万円 | |
営業キャッシュフロー | 300 |
投資キャッシュフロー | -5,000 |
財務キャッシュフロー | 0 |
キャッシュの増減額 | -4,700 |
キャッシュの期首残高 | 5,000 |
キャッシュの期末残高 | 300 |
一切借り入れがない場合、財務キャッシュフローはプラスマイナスゼロであり、投資活動によって5,000万円ものキャッシュが一度に流出し、全体のキャッシュフローは大幅に悪化します。
このとき、5,000万円を銀行から借り入れたらどうなるでしょうか。
単位:万円 | |
営業キャッシュフロー | 300 |
投資キャッシュフロー | -5,000 |
財務キャッシュフロー | 5,000 |
キャッシュの増減額 | 300 |
キャッシュの期首残高 | 5,000 |
キャッシュの期末残高 | 5,300 |
投資キャッシュフローでは5,000万円のマイナス、財務キャッシュフローでは5,000万円のプラスとなり、キャッシュの流出を防ぐことができるのです。
このように考えると、財務キャッシュフローのプラスが悪いとは言い切れません。
もちろん、過剰投資のために借り入れた資金は返済負担だけを生み出すため、財務キャッシュフローのプラスは投資活動と紐づけ、慎重に考えるべきと言えるでしょう。
キャッシュフロー計算書とは?
キャッシュフローと聞いて、キャッシュフロー計算書を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
キャッシュフロー計算書は、貸借対照表、損益計算書とともに決算書を構成する資料のうちのひとつ。
キャッシュフロー・マネジメントを実践するには、キャッシュフロー計算書の理解が欠かせません。
キャッシュフローでは「お金の流れ」をみるのに対し、キャッシュフロー計算書では「(お金の流れの結果としての)資金の過不足」をみます。
たとえお金の流れが分かっても、その結果を正しく捉えることができなければキャッシュフロー・マネジメントはできません。
キャッシュフロー計算書をみれば、営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローの結果、通期でキャッシュがどのくらい増減し、期末残高がどれくらい残るかを把握できるのです。
下記で解説するキャッシュフロー・マネジメントの目的や具体例も、基本的にはキャッシュフロー計算書の分析を軸としたものとなります。
キャッシュフロー・マネジメントとは?
ここからは、キャッシュフロー・マネジメントの具体的な解説に入っていきます。
キャッシュフロー・マネジメントの目的
そもそも、キャッシュフロー・マネジメントの目的は何なのでしょうか。
既に解説した通り、資金繰りは「お金の流れを予測するもの」であるのに対し、キャッシュフローは「実際のお金の流れの結果」を指します。
つまり、資金繰りは事前的な作業であるのに対し、キャッシュフローは事後的な作業となるのです。
実際の経営に照らして考えると、違いが一層はっきりするでしょう。
資金繰りは、明日の支払い、来週の支払い、月末の支払いなど、ごく近い将来のお金の流れ(キャッシュフロー)を円滑にすることが目的です。
資金繰り計画は半年~1年間にわたって立てるのが理想ですが、近い将来のお金の流れを適切に予測するために、1ヶ月単位で管理するのが一般的。
これに対し、キャッシュフローはお金の流れそのものであり、一定期間のまとまった実績をまとめ、分析し、判断材料とするもの。
キャッシュフローの場合、1年単位で管理することがほとんど。
当然ながら、予測と実績がぴったり一致することはほとんどありません。
キャッシュフロー・マネジメントの目的は、予測と実績のズレの原因を調べ、今後の予測の調整をすることです。
キャッシュフロー・マネジメントは、キャッシュフロー計算書だけではなく、損益計算書や貸借対照表を含めた財務三表を全て参考にしながら取り組みます。
損益計算書の分析からわかること
損益計算書とは、1年間の業績をまとめた資料のこと。
売上や原価、営業利益などが記載されており、推移や変動率をみることで営業活動が好調か不調か、その原因はどこにあるかなどが分かります。
損益計算書は、発生主義に基づいており、実際のお金の流れを無視して売上を計上する会計ルールが適用されるという特徴があります。
つまり、売買契約を結び、相手に商品を納入し、請求書を発行し、売掛先が請求書を受理した時点で売上として計上するということ。
実際の資金繰りでは、この時点では売掛金を保有しているだけで、支払期日まではお金が入ってくることはありません。
しかし、損益計算書ではそのように考えず、未回収の時点で売上を計上するのです。
損益計算書を分析する際には、発生主義に基づいていることを意識しなければなりません。
とはいえ、損益計算書の売上や利益が大きければ、営業努力の成果が出ているということになります。
利益率を適切に管理し、売掛金の回収にも問題がなければ、キャッシュフロー的には好ましいことと言えるでしょう。
売上・利益の増加はキャッシュインフローの増加を意味し、それに伴う営業費用の増加はキャッシュアウトフローを意味します。
キャッシュフロー全体のバランスが崩れることなく活発化すれば、企業評価は高まるでしょう。
貸借対照表の分析からわかること
貸借対照表とは、自社の資産状況を表す資料のこと。
資産内容をまとめる「資産の部」と、負債をまとめる「負債の部」から構成されており、貸借対照表をみれば、年度末の資産内容がどうなっているかが分かります。
また、前期と比較し、資産内容の推移を把握することも大切です。
損益計算書と貸借対照表を合わせてみることで、経営内容をより深く理解できるでしょう。
例えば、損益計算書で売上と利益が伸びているにもかかわらず、資金繰りが苦しいと感じていた場合、貸借対照表の売掛金が増加している、あるいは買掛金が減少していることがほとんど。
貸借対照表の売掛金が増加すれば、資金繰りは苦しくなります。
そもそも売掛金とは、商品や原料を仕入れ、製造販売に取り組むことで得られるもの。
つまり、売掛金が発生するまでには多くのコストを負担しているということになります。
売掛金の増加はコスト負担の増加にほかならず、資金繰りが苦しくなるのも無理はありません。
また仕入れ費用などの支払い債務である買掛金の減少も、資金繰りの悪化を招きます。
売上と利益が増加する際には、仕入れ費用も必ず増加するでしょう。
買掛金も増加するのが普通ですが、それが減少しているということは、現金支払いの比率が高まっているか、支払サイト※が短くなっていることを意味します。
貸借対照表で売掛金増加、買掛金減少が生じている場合、キャッシュフロー的には「お金が入ってくる流れが鈍くなり、出て行く流れが活発になっている」ということになるのです。
資金繰りは苦しくなり、結果的にキャッシュフローも悪化するでしょう。
貸借対照表の分析から、このようなことが分かるのです。
※費用を支払うまでの期間
キャッシュフロー計算書からわかること
キャッシュフロー計算書とは、1年間のお金の出入りをまとめたもの。
「収入と支出によってお金が色々に動いた結果、1年間でこのような結果になった」という意味では、損益計算書と似ているかもしれません。
ただし、上記の通り損益計算書は発生主義に基づくのに対し、キャッシュフロー計算書は発生主義にとらわれません。
損益計算書は実際のお金の動きを無視するため、悪く言えば粉飾決算も可能です。
例えば、損益計算書で1億円の売上を計上し、全体のコストが9,000万円であれば、通期の利益は1,000万円になります。
もし、売上高1億円のうち、回収困難な売掛金が2,000万円含まれている場合、実際の売上高は8,000万円、利益は-1,000万円と考えるのが妥当。
しかし、発生主義だけで考えると、通期の利益は1,000万円とみなすことができ、同様の粉飾が可能となります。
粉飾のように悪意がなくとも、希望的観測によって恣意的な損益計算書を作ってしまうこともあるでしょう。
その場合、自社の経営実態を正しくつかめなくなり、経営悪化の引き金になりかねません。
そこで、キャッシュフロー計算書が役立つのです。
キャッシュフロー計算書は、あくまでも実際のお金の流れだけで考えるため、
- 売上高1億円
- 未回収(回収不能な)の売掛金2,000万円
- すでに支払った経費9,000万円
- すでに回収した代金8,000万円
であれば、キャッシュフロー計算書にははっきりと-1,000万円を計上します。
これをみれば、損益計算書の結果だけで楽観視することもありません。
このとき、貸借対照表の分析結果と照らし合わせ、未回収の売掛金が増えていること、未払いの買掛金が減っていることなどが分かれば、より具体的な対策も可能です。
「売掛先の管理を強化しなければならない」
「回収サイト※の短縮に努めよう」
「買掛金の支払い条件を改善しよう」
など、現実的な対策に取り組むこともできるでしょう。
このように、現実的な対策に取り組むことがキャッシュフロー・マネジメントの目的と言えます。
※代金を回収するまでの期間
キャッシュフロー・マネジメントの具体例
キャッシュフロー・マネジメントは、具体的にどのように行うのでしょうか。
架空の中小企業Aに対するキャッシュフロー・マネジメントの例でみていきましょう。
①取組前の状況
A社の財務三表から主要な情報を抜き出してみると、以下のようになります。
単位:万円 | |
① | |
年商 | 12,000 |
回収サイト | 2ヶ月 |
売掛金残高 | 1,500 |
キャッシュインフロー | 10,500 |
キャッシュアウトフロー | 10,000 |
キャッシュフロー | 500 |
月商は毎月1,000万円と仮定した場合、年商は1億2,000万円となります。
月商1,000万円は全て掛け売りであるため、毎月1,000万円の売掛金が発生することに。
売掛金の回収サイトは2ヶ月であり、毎月の売上1,000万円の回収に2ヶ月を要することから、手元の売掛金は常時1,500万円となるでしょう。
通期でみると、期末までに1億2,000万円のうち1億500万円の回収が完了してキャッシュインフローとして計上され、同時期までに買掛金などの支払いによって1億円のキャッシュアウトフローを計上。
その結果、通期のキャッシュフローは500万円の増加となりました。
②回収サイトの短縮
この場合、A社はどのようにキャッシュフロー・マネジメントすべきでしょうか。
真っ先に取り組みたいのは、回収サイトの短縮でしょう。
2018年度、全産業・全規模の売上債権回転期間(≒回収サイト)は1.85月となっています。
規模が小さい会社ほど短くなる傾向があるため、中小企業であるA社の回収サイト(2ヶ月)は平均からみても長い水準にあり、改善の必要があると言えるでしょう。
回収サイトを短縮すれば、年商は横ばいでも常時手元にある売掛金の残高が小さくなり、その分だけキャッシュインフローが増えます。
年商が横ばいであれば仕入れが大幅に上昇することもないため、支払サイトに変化がなければ通期でのキャッシュアウトフローも一定。
キャッシュインフローが増加し、キャッシュアウトフローが変化しなければ、キャッシュインフローの増加分だけ最終的なキャッシュフローが増加します。
ただし、実際に回収サイトを短縮することは容易ではありません。
なぜなら、回収サイトを短縮すれば自社のキャッシュフローは改善しますが、同時に売掛先のキャッシュフローは悪化するから。
当然売掛先は条件変更を渋るため、交渉は難航することでしょう。
売掛先との交渉をせず、手っ取り早く回収サイトの短縮化を図るなら、ファクタリングが効果的。
ファクタリングとは、自社の所有している売掛金をファクタリング会社に売却し、支払期日を待たずに資金化する方法です。
スピーディに資金化できるため、本来2ヶ月後に回収予定の売掛金を1ヶ月後に回収することもできます。
A社の回収サイトを、ファクタリングで短縮した場合のキャッシュフローは以下の通り。
単位:万円 | ||
① | ② | |
年商 | 12,000 | 12,000 |
回収サイト | 2ヶ月 | 1ヶ月 |
売掛金残高 | 1,500 | 1,000 |
キャッシュインフロー | 10,500 | 11,000 |
キャッシュアウトフロー | 10,000 | 10,000 |
キャッシュフロー | 500 | 1,000 |
A社は、回収サイトの長い売掛先を対象にファクタリングを実施。
このキャッシュフロー・マネジメントの結果、全体の回収サイトは平均1ヶ月に短縮、毎月の売掛金を翌月中に全て回収できることに。
そのため、常時手元に残る売掛金は、毎月の月商相当の1,000万円に減少しています。
その結果、通期でのキャッシュフローは500万円から1,000万円に増加しました。
③支払サイトの延長
キャッシュフロー・マネジメントの手段は売掛金回収サイトの短縮のほかにも色々あります。
回収サイトの改善に加えて、支払サイトの改善も効果的。
支払サイトを延長することができれば、支払いによって手元資金が出て行くタイミングを遅くすることができます。
回収サイトの短縮と同時に支払サイトを延長すれば、キャッシュフロー的には「キャッシュインフローが活発になり、キャッシュアウトフローが緩くなる」となるため、キャッシュフローが改善し資金繰りも楽になります。
自社が買い手として交渉するため、回収サイトの短縮よりも簡単でしょう。
特に、新規取引先と契約する段階で、支払サイトを長めに設定することによって、全体の支払サイトを延ばすのがおすすめ。
A社が回収サイトの短縮に加え、支払サイトの延長にも成功した場合のキャッシュフローは、以下の通り。
単位:万円 | |||
① | ② | ③ | |
年商 | 12,000 | 12,000 | 12,000 |
回収サイト | 2ヶ月 | 1ヶ月 | 1ヶ月 |
売掛金残高 | 1,500 | 1,000 | 1,000 |
キャッシュインフロー | 10,500 | 11,000 | 11,000 |
キャッシュアウトフロー | 10,000 | 10,000 | 9,500 |
キャッシュフロー | 500 | 1,000 | 1,500 |
期末時点でキャッシュアウトフローは、500万円減少の9,500万円となりました。
もちろん、減少した500万円は買掛金として手元に残っており、いずれ支払わなければなりません。
しかし、最終的なキャッシュフローは1,500万円に増えているため、キャッシュフロー・マネジメントは順調でと言えるでしょう。
④売上増加
さらにキャッシュフロー・マネジメントを進めてみましょう。
ファクタリングの活用方法は、早期資金化だけではありません。
ファクタリングのメリットをフル活用すれば、さらなるキャッシュフロー・マネジメントが可能でしょう。
なぜなら、ファクタリングはノンリコース※が基本だから。
ファクタリング後に売掛先の経営が悪化し、売掛金が回収できなくなっても、自社は何ら損失を被ることがありません。
つまり、ファクタリングによって回収不能リスクを回避できるのです。
また、銀行系ファクタリングなどでは、保証ファクタリングも提供しています。
保証ファクタリングは、売掛金の早期資金化ではなく、売掛金の支払いを保証するファクタリングであり、いわば保険のようなもの。
保証料を支払うことで、支払期日に売掛金が支払われなかった場合、ファクタリング会社が代金を支払ってくれるため、回収不能リスクを避けられます。
このメリットが、キャッシュフロー・マネジメントに役立つのです。
売掛金が回収不能になれば、予定していたキャッシュインフローがなくなり、キャッシュフローの悪化は避けられません。
ファクタリングを活用すれば、このリスクを回避できるためキャッシュフローの悪化を防げます。
通常、企業間取引は回収不能リスクを避けるため、新規取引先とは小規模な取引から始め、信用が高まるにつれて取引額を増やしていくのが一般的。
しかし、ファクタリングを利用することで、回収不能リスクを恐れずに大胆な営業活動も可能という間接的なメリットも生じるでしょう。
ファクタリングによって回収不能リスクを回避することで、取引先の信用に関係なく積極的に営業し、売上を延ばしていくこともできるのです。
このアプローチで、A社の売上を伸ばしてみましょう。
単位:万円 | ||||
① | ② | ③ | ④ | |
年商 | 12,000 | 12,000 | 12,000 | 15,000 |
回収サイト | 2ヶ月 | 1ヶ月 | 1ヶ月 | 1ヶ月 |
売掛金残高 | 1,500 | 1,000 | 1,000 | 1,250 |
キャッシュインフロー | 10,500 | 11,000 | 11,000 | 13,750 |
キャッシュアウトフロー | 10,000 | 10,000 | 9,500 | 12,000 |
キャッシュフロー | 500 | 1,000 | 1,500 | 1,750 |
回収不能リスクを恐れずに営業に力を入れた結果、年商は1億5,000万円(月商1,250万円)に増加。
ファクタリングで回収サイトをコントロールし、1ヶ月に維持しているのもポイントとなります。
これにより、常時手元にある売掛金残高は250万円の増加にとどまり、通期でのキャッシュインフローを2,750万円も増やすことに成功しています。
売上増加に伴って仕入れ費や販売費も大きくなり、キャッシュアウトフローも2,500万円の増加。
しかし、キャッシュアウトフローの増加分を含めても、全体のキャッシュフローは250万円増の1,750万円となっています。
このように、キャッシュフロー・マネジメントに取り組めば、売上増加に伴うキャッシュフロー悪化を防ぐこともできます。
キャッシュフロー・マネジメントは、単にお金の出入りを管理することでキャッシュフローを改善するに留まらないのです。
※償還請求権がなく、売掛先の経営悪化や倒産によって売掛金が回収不能になっても、買い戻しを求められない契約条件
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具体例でも述べた通り、キャッシュフロー・マネジメントにはファクタリングが非常に役立ちます。
簡単にまとめると、ファクタリングには以下の効果が期待できます。
- 売掛金を早期に資金化できる:売掛金の回収サイトを短縮でき、キャッシュインフローを増やす効果がある
- 売掛金の回収不能リスクを回避できる:回収不能によるキャッシュインフローの減少を防ぐ効果がある
これがキャッシュフロー・マネジメントに役立つことは、具体例で示した通り。
とはいえ、ファクタリング会社の数は非常に多く、特徴や条件、強みなどがそれぞれ異なります。
したがって、自社に適したファクタリング会社を選ぶことが難しく、これが問題となることもしばしば。
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まとめ|まずキャッシュフロー・マネジメントに取り組むことが大切!
キャッシュフロー改善の重要性は、多くの人が知っていることですが、具体的な方法はあまり知られていません。
「キャッシュフロー・マネジメントが必要」と聞けば、手に負えない印象を抱く人もいるでしょう。
この記事で解説した通り、キャッシュフロー・マネジメントは難解なものではありません。
難しいのは、実際にキャッシュフロー・マネジメントに取り組むこと。
知識や経験がなければ、キャッシュフローの改善には苦労することが多いのです。
そんな中、どの会社でもすぐに取り入れることができ、確実な効果が期待できる方法として、ファクタリングが注目されています。
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