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ファクタリングは今後どうなるか?拡大が予想される理由とは

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ここ数年で急速に注目を集めている資金調達手段のひとつが「ファクタリング」です。このサービスは、企業や中小企業が売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、早期に現金化するという仕組みで、特に資金繰りに悩む事業者にとっては大きな支えとなっています。ファクタリングの概要としては、請求書をもとに、一定の書類を提出することで、支払期日前に資金を受け取れるという特徴があり、銀行融資よりも早い対応が可能なケースも少なくありません。

もともとは海外で発展したファクタリングですが、日本国内では2010年代から本格的に広まりはじめ、特に2016年以降は急速な発展を遂げています。こうした中で、残念ながらファクタリングを装った闇金業者の存在が問題視されており、利用者が知らないうちに違法な契約を結ばされるというリスクも無視できません。たとえば、債権の譲渡ではなく貸付とみなされる場合、貸金業法違反となる可能性もあり、これは明確に法律で禁止されています。

こうした現状を踏まえ、ファクタリング業界全体としても信頼性の確保やサービスの改善が求められており、優良業者と悪質業者の見極めが重要です。また、売掛先が代金を払えなくなった、あるいは踏み倒しにあった場合の対応なども課題の一つであり、今後の制度整備や業界全体の透明性向上が期待されています。

本稿では、ファクタリングのこれまでの変遷や現状、そして将来の方向性について詳しく解説していきます。安全かつ効果的に活用するために、正しい知識を身につけていきましょう。

意外に古いファクタリングの歴史

 売掛金を現金化し、資金調達するファクタリングは、日本では最近になって普及してきたものです。このため、ファクタリングに対して「新しい資金調達方法」というイメージを抱いている人も多いことと思います。

 しかし、ファクタリングの歴史は古く、発祥は16世紀のイギリスまで遡るといわれます。もちろん、当時のファクタリングは現在のものとはかなり異なります。
 18~19世紀に確認されるファクター(ファクタリングを請け負う業者)の役割は、製造業者の販売部門にかなり近いものでした。製造業者から委託された商品を管理・販売するにあたり、代金を前払いするために買い手の信用調査を行う役割と、販売代行の役割を担っていたのです。

 19世紀の中ごろになると、現在のファクタリングに大きく近づきます。イギリスからアメリカに製品を輸出する際、ファクターは販売を代行するとともに、売掛債権を担保に商品代金を前払いするようになったためです。
 ファクタリングが現在の形になったのは、20世紀のことです。20世紀、アメリカ経済が躍進したことで、ヨーロッパからアメリカへの輸出が大きく減少しました。これに伴い、ファクターは販売代理店としての機能を求められなくなり、信用調査と前払金融の機能だけが残りました。

このように、20世紀のアメリカでは、現在のファクタリングにかなり近い形でファクタリングが確立されていたことがわかります。
 ファクタリングが世界中に広まったのは、1965年以降のことです。当初、ファクタリングはアメリカ国内、とりわけニューヨークと北米主要都市を中心に普及していましたが、このころからヨーロッパへの進出が始まり、1975年には西ヨーロッパ全域に普及しています。
 その後、東ヨーロッパはもちろんのこと、発展途上国のうち経済規模が大きいブラジルやインドなどの国々でも普及していきました。

日本におけるファクタリングの普及

 日本にファクタリングが輸入されたのは、1970年代のことです。世界におけるファクタリングの歴史は非常に古いのですが、日本においては比較的新しい金融サービスであるといえます。
 ただ、日本のファクタリングの普及は、海外のケースとはかなり異なる流れで進んできました。
 これは、日本と欧米では商習慣が異なること、特に手形取引の普及が顕著であることが大きな原因です。

当初は3社間ファクタリングしかなかった!?

今でこそ、2社間ファクタリングという手法が存在しており、ファクタリングの利用を売掛先に知られることなくファクタリングが可能です。しかし、当時は3社間ファクタリングしか存在せず、取引先に売掛債権譲渡に同意してもらう必要がありました。このため、取引先から資金繰り悪化を疑われ、信用に問題を起こすリスクがありました。

その点、銀行などに手形を買い取ってもらう「手形割引」は、取引先に知られることなく資金調達できます。また、手形割引は古くから存在する資金調達方法であるため、ファクタリングという新しい手法よりも安心感があります。

日本では手形取引が広く普及していたため、売掛債権によって資金調達する場合に、あえてファクタリングを利用する理由がありませんでした。このように、手形割引を利用する企業様が圧倒的に多かったことが、ファクタリングの普及が遅れた最大の原因です。
 中小企業にはファクタリングの利便性が認識されず普及しなかったため、売掛債権譲渡を保護(第三者対抗要件など)する法的整備も遅れました。

市場拡大の背景

そんな日本でも、2000年前後から徐々にファクタリングが普及してきました。例えば、経済産業省のデータから、1997~2001年の5年間におけるファクタリングの普及状況を見てみると

1997~2001年の5年間におけるファクタリングの普及状況
1997 34,968
1998 38,980
1999 55,347
2000 58,473
2001 61,566

※単位:100万ドル

出典:産業金融部会中間報告(P.44)

となっています。5年間で約76%の伸びを見せています。この背景には、長い時間をかけてファクタリングの普及環境が整ってきたことにあります。
ファクタリングの普及を阻害してきた手形取引は1990年にピークを迎え、そこから急激に減少傾向に入りました。

東京商工リサーチのデータによれば、手形交換高と手形交換所の数は以下のように推移しています。

年別手形交換高と手形交換所の推移数
手形交換高(億円) 手形交換所数
1990 47,972,906 182
1991 40,374,646 182
1992 35,634,974 182
1993 32,623,820 182
1994 27,698,568 182
1995 18,451,065 182
1996 17,450,220 181
1997 15,849,914 185
1998 12,961,511 178
1999 11,385,527 177
2000 10,523,389 174
2008 4,329,745 122
2009 3,735,305 121
2010 3,758,952 121
2011 3,796,314 119
2012 3,692,033 118
2013 3,664,449 115
2014 3,326,553 113
2015 2,990,322 113
2016 4,242,244 109
2017 3,741,580 107
2018 2,612,755 107
2019 1,839,808 107

出典:2019年「手形・でんさい」動向調査

 2019年の手形交換高は、ピーク時のわずか4%に縮小しています
 2003年に電子手形が実用化され、2008年には電子記録債権法の施行によって電子債権決済サービスも始まりましたが、普及率の伸びはいまひとつです。

 減少した手形取引はどうなったかといえば、大部分は掛取引になったと考えてよいでしょう。
 また、1998年に債権譲渡登記制度が制定されたほか、2005年には債権譲渡の対抗要件に関する法律も施行され、ファクタリングの普及を後押ししています。

ファクタリングの取扱高は横ばい

 2011年にはファクタリング取扱高が1000億ドルを超えました。しかし、そこから減少傾向に入り、2014年以降、取扱高は横ばいとなっています。
 FCI(国際ファクター連盟)の統計によると、日本におけるファクタリング取扱高の、2010年以降の推移は以下のようになっています。

FCI(国際ファクター連盟)の統計によるファクタリング取扱高(2010年以降)
ファクタリング取扱高
2010 98,500
2011 111,245
2012 97,210
2013 77,255
2014 51,072
2015 54,184
2016 49,466
2017 37,284
2018 49,348
2019 49,446

※単位:100万ドル

このデータを見ると、ファクタリングの普及はいまひとつ進んでいないようにも見えます。しかし、このデータが必ずしも実態を反映しているとは言い切れません。

 データ元であるFCIは、世界の主要銀行や保険会社、国際ファクタリング会社など400社が加盟している団体であり、上記のデータも団体に加盟しているファクターの取扱高です。
 世界中には、FCIに加盟していない中小のファクタリング会社がたくさんあります。日本にも多くの中小ファクタリング会社があり、弊社No.1もそのひとつです。

 FCIのデータでは、日本のファクタリング取扱高が減少傾向にありますが、弊社の実感としても、中小ファクタリング会社での取扱高は確実に増えています。

ファクタリングを利用する経営者の多くは、以下の事を求めています

▼ファクタリングを利用する経営者が求めること

  • 取引先に知られないこと
  • 即日資金調達できること
  • 柔軟に対応してくれること

これは、銀行系のファクターは柔軟性に乏しいため、中小のファクタリング会社に利用者が流れ、大手ファクターの取扱高が減少したと考えられます。
中小ファクタリング会社の取扱高はデータがありませんが、年々増加していると考えて間違いないでしょう。これとFCIのデータの取扱高を合わせて考えると、日本のファクタリング市場は一貫して拡大を続けていると考えるのが妥当です。

ファクタリング業界の今後

 上記のように日本のファクタリング市場は2000年前後から拡大を続けてきました。
 今後も、この傾向は続くと考えられます。その理由は、以下の通りです。

約束手形の廃止

 最も大きな理由は、約束手形の廃止です。
 2021年2月19日、経済産業省は有識者を集めて検討会を開き、2026年を目途に約束手形の廃止を目指す方針を決定しました。

出典:約束手形 2026年めどに利用廃止を求める方針を決定 経済産業省

 もっとも、この方針に強制力はなく、あくまでも産業界や金融業界の自主的な取り組みを求めるものです。
 従って、2026年までに約束手形が完全に廃止されると決まったわけではありませんが、政府主導でそのような働きかけをしていくことで、手形取引が今後ますます減少していくと考えられます。

 経済産業省がこの方針を決定した背景には、「手形が時代遅れである」という認識があります。
 手形は、平均的な支払いサイトが100日間と長く、資金繰りの負担が重いことが問題視されてきました。また、紙が使われているために印刷・郵送・保管などにコストがかかり、紛失リスクもあります。情報化が急速に進んでいる昨今、このような古い習慣を残し続けておくことは、経済界に限らず国全体のデジタル化の妨げになります。

 とはいえ、長い歴史を持つ習慣を変えることは簡単ではなく、急激に変えようとすれば様々な副作用を引き起こす可能性が高いです。手形取引は明治以降続いてきた商習慣であり、廃止に向けた具体的な方針は打ち出されないまま現在に至りました。

この流れが、今後数年で大きく変わる可能性があります。
 具体的には、大企業が先行して手形の利用を廃止すること、現金による振り込みや電子記録債権の活用を進めることなどが挙げられています。

 2019年の時点で、手形の交換高はまだ年間200兆円近くあります。約束手形が完全に廃止された場合、これが電子手形や売掛金に変わります。

 また、手形割引による資金調達もできなくなります。電子手形の割引を利用することは可能ですが、でんさいの登録数は伸び悩んでいるため、約束手形の廃止に伴って電子債権取引が急増するとは考えにくいです。
 以上のように考えると、約束手形の減少に伴って売掛金が増加していく流れが予想できます。約束手形による資金調達(=手形割引)の需要を、売掛金による資金調達が取り込んでいくこととなり、

  • 売掛債権担保融資
  • 大手金融機関のファクタリング
  • 中小ファクタリング会社のファクタリング

などが注目されることでしょう。
 このうち、従来の手形割引のような柔軟性・スピード感で資金調達できるのは、中小ファクタリング会社のファクタリングサービスです。

  • 2026年に向けて約束手形が減少する
  • 約束手形が電子債権や売掛金に代替されていく
  • 売掛金を活用した資金調達に注目が集まる
  • ファクタリングの利用が広がっていく

という流れにより、今後ファクタリングはますます広がっていくと考えられます。

業界の健全化

 約束手形の減少以外では、ファクタリング業界の健全化が挙げられるでしょう。
 近年、ファクタリングが急速に普及してきたことを受けて、中小のファクタリング会社が相次いで開業しています。2017~2018年は新規参入業者が特に多かった印象がありますが、この流れは現在も続いています。

 市場が拡大すれば、そこに商機を見出す事業者も増えるのが普通であり、この流れ自体は何ら問題ありません。
 しかし、まだまだ業界が未熟であり、ファクタリング業者を装った闇金などの取り締まりにも具体策が見られません。現時点では、利用する企業様が注意するほかない状況です。
そんな中、悪質業者に騙され、ファクタリングしたために資金繰りが破綻するといったケースも増えています。金融庁なども注意を喚起し、警戒を強めています。

 また、悪質業者ではないとしても、新規参入業者の中にはファクタリングのノウハウが乏しい業者が少なくありません。そのような業者では、ファクタリングに求められる「安さ・早さ・安全性」などをアピールしつつも、実際には満足のいくサービスがほとんどできない業者も目立ちます。
 悪質業者を利用しないよう注意が喚起されていること、悪質業者でなくともファクタリングによるメリットを十分に享受できない業者がいることなどにより、ファクタリングの利用を躊躇してしまう経営者も多いです。

 2016年に設立したNo.1では、ファクタリング業界が急速に盛り上がってきた最近の数年間を、当事者としてつぶさに見てきました。一時期、悪質業者やまともなサービスを提供できない業者が多かったことは事実ですが、最近ではこの流れが変わりつつあります。

 この数年で、ファクタリング業界は実力のある会社と実力のない会社で二極化が大きく進みました。
ほとんどの経営者が、悪質業者を強く意識しながらファクタリング会社を選ぶようになったため、悪質業者には厳しい環境になっていくことでしょう。
また、実力のないファクタリング会社も、顧客のニーズに応えられず、集客に苦労し、短期間で経営難に追い込まれるケースが相次いでいます。

 その結果、一部の優良ファクタリング会社に顧客・案件が集中する流れが顕著です。当然、それらのファクタリング会社はサービスの質が高いからこそ、顧客からの支持を受けています。この流れが続けば、悪質業者や実力のない業者はさらに淘汰されていき、ファクタリング業界の健全化が進んでいくことでしょう。

 どのような業界でも、黎明期には多くの問題を引き起こし、時間をかけて健全化を進めていくものです。最近では仮想通貨業界などが良い例でしょう。当初、大きな問題も多数引き起こしていましたが、最近では健全化が進み、当初に比べて随分とイメージが向上し、身近なものになりつつあります。
 ファクタリング業界も、年々健全化が進んでいます。利用する企業様が増加していることは、ファクタリングのイメージが向上し、広く受け入れられつつあるひとつの証拠といえるでしょう。

まとめ

本稿では、ファクタリングの概要とともに、業界の変遷や現状を振り返りながら、将来の展望について解説しました。ファクタリングは、売掛債権を第三者へ譲渡することで現金化するというシンプルな仕組みで、企業や中小企業が資金繰りを安定させるための有効な手段として注目を集めています。

日本では、これまで不動産を中心とした担保主義的な金融構造が強く、銀行融資に依存してきた背景があります。しかし、人口減少に伴う資産価値の下落や経済構造の変化により、これまでの体制を維持することは困難になってきました。そうした流れを受けて、政府も電子記録債権制度の導入やファクタリングの活用推進、さらには約束手形の廃止といった政策を打ち出すなど、金融制度の改善と多様化に積極的に取り組んでいます。

一方で、ファクタリング業界では悪質な闇金業者がファクタリング会社を装い、実質的に貸付を行う違法行為も問題になっており、法的な禁止や厳格な監視が求められています。こうした業者は、形式的には請求権の譲渡を装っていても、実際には高利での貸し付けを行い、返済不能となった事業者に対して「払え」と強引な取り立てを行ったり、最悪の場合踏み倒しに発展するなど、多くのリスクを伴います。

そのため、ファクタリングを導入する際は、業歴や対応体制が整った優良業者を選ぶことが不可欠です。必要な書類や支払条件が明確で、法令を順守したサービス提供を行っているかを見極めましょう。

ファクタリングをまだ利用したことのない企業様も、この機会にぜひその可能性を検討してみてください。導入が早いほど、柔軟な資金戦略が立てられ、貴社の事業にとって大きなメリットとなるでしょう。弊社ではファクタリングサービスに加えて、資金繰りに関するコンサルティングサービスも提供しており、貴社の安定した経営を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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