銀行融資はどう変わる? 金融庁が推進する「事業性評価による融資」のメリットや審査の流れ

銀行融資は、これまで財務状況や担保、経営者保証の有無が重視される傾向にありました。これに対し金融庁は、2014年頃から企業の事業内容や将来性を重視する「事業性評価による融資」を推進しています。2026年5月25日には「事業性融資の推進等に関する法律」が施行されたことで、事業の成長性や将来性を評価する融資の流れは、本格化する可能性があるでしょう。
本記事では、事業性評価や新制度の導入によって銀行融資がどのように変わるのか、審査で見られるポイントやメリット・デメリット、融資の一般的な流れを分かりやすく解説します。事業性評価による融資を選べば、これまで融資を受けるのが難しかった企業でも、借入できる可能性があります。自社の新たな資金調達の選択肢として検討してみましょう。
※参考:金融庁.「平成 26 事務年度 金融モニタリング基本方針 (監督・検査基本方針)」.(参照2026-06-19).
※参考:金融庁.「「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方」等(案)に対するパブリック・コメントの結果等の公表について」.(2026-05-18).
<この記事で分かること>
- 企業価値担保権付き融資では、担保の対象が「ヒト」や「モノ」ではなく「事業そのものの価値」となる
- 金融庁が推進する事業性評価による銀行融資により、これまで融資を受けにくかった創業間もない企業や、赤字・業績悪化の企業でも融資を受けられる可能性が出てくる
- 事業性評価による銀行融資では、事業性評価シートの作成や面談、複数回の審査などが行われる
2026年5月25日から「担保ありき」の銀行融資が変化する
2026年5月25日に「事業性融資の推進等に関する法律」が施行されました(※)。これにより、事業の将来性を見据えた融資を進める上での選択肢として、企業価値担保権が導入されました。
企業価値担保権とは、債務者の事業全体から生まれる価値を担保とする制度です。これまでの銀行融資は、返済の確実性を確保するため、不動産や設備などの「モノ」や、経営者保証などの「ヒト」に依存したものが中心でした。しかし、新制度における法的な担保の対象には、ノウハウなどの無形資産や、将来獲得する財産なども含まれます。
企業価値担保権付き融資が選択肢に加わることで、今後の銀行融資は「モノ」や「ヒト」といった資産の有無を重視する形から、事業そのものの価値にも目を向ける形へと変化していくと考えられます。
ただし、企業価値担保権付き融資を実行するには、時間がかかるケースもあるでしょう。急ぎで資金を確保したい場合は、売掛債権を早期に現金化できるファクタリングの活用も検討してみてください。株式会社No.1では、最短即日の資金調達をサポートしています。
※参考:金融庁.「「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方」等(案)に対するパブリック・コメントの結果等の公表について」.(2026-05-18).
※参考:金融庁.「企業価値担保権(旧:事業成長担保権)について」.(参照2026-07-08).
金融庁による「事業性評価」の推進で何が変わる?

企業価値担保権の導入と関連して、今後さらに進んでいくと考えられているのが、事業性評価による融資です。金融庁は、2014年に発表した「金融モニタリング基本方針(監督・検査基本方針)」の中で、事業性評価による融資を重点施策の一つとして掲げました(※)。
事業性評価とは、決算書の数字や担保の有無だけに頼るのではなく、企業がどのような事業を行い、今後どのように成長していく可能性があるのかを評価する考え方のことです。
従来の銀行融資では、財務状況や担保、個人保証などが主な評価材料とされてきました。しかし事業性評価が広がることで、今後の銀行融資の評価材料は変化していくと考えられます。
ここからは、事業性評価の推進によって、銀行融資にどのような変化が起こり得るのかを見ていきましょう。
※参考:金融庁.「平成 26 事務年度 金融モニタリング基本方針 (監督・検査基本方針)」.(参照2026-06-19).
事業内容や成長可能性が評価されるようになる
事業性評価による融資が推進されると、企業の財務状況だけではなく、事業内容や将来性も融資判断に反映されやすくなります。
前述した通り、これまでの銀行融資では、財務情報や担保・個人保証の有無などが重視されていました。そのため、創業したばかりの企業や財務状況が思わしくない企業は、融資を受けるのが難しい傾向にありました。
事業性評価では、企業の事業内容やビジネスモデル、経営戦略、経営者のスキルなどを総合的に見て、企業の成長可能性を判断します。これまでとは異なる観点で、融資の審査が進められるようになるでしょう。
担保や個人保証への依存を抑えられる
事業性評価による融資が推進されることにより、担保や個人保証に過度に依存しない融資が進む見込みです。
これまでは、不動産や設備機器といった有形資産を担保にしたり、経営者をはじめとした個人に返済を保証してもらう「個人保証」を設定したりすることが一般的でした。そのため、十分な担保や保証人を用意できない企業は、融資が難しい傾向にありました。
事業性評価では、担保や保証の有無だけではなく、企業の事業内容や収益力、技術力、ノウハウ、顧客基盤といった無形資産も含めて総合的に評価します。また企業価値担保権の導入によって、事業全体や将来性を加味した融資が行われるようになることも期待されています。
融資実行後にモニタリングが行われるケースが出てくる
これまでの銀行融資は、融資の際に一度だけ審査が行われるのが一般的でした。しかし、事業性評価が推進されることで、今後は融資実行後に継続的なモニタリングが行われるケースが増えると考えられます。
例えば、定期的な事業報告の提出や、金融機関との面談を求められる可能性があるでしょう。これらのモニタリングを通して、審査時に提出した事業計画とのずれがないか、資金繰りを適切に管理しているかなどが見られます。
モニタリングは企業を監視するものではなく、金融機関が事業の状況を正確に把握し、必要に応じた伴走支援を行うためのものです。融資が実行された後も、事業の状況や実績を整理し、説明できるようにしておく必要があります。
融資以外の方法で、できるだけ早く資金調達を行いたい場合は、ファクタリングを活用するのも一つの方法です。ファクタリングは売掛債権を売却して資金化する方法であり、借入には該当しません。「今すぐ資金調達が必要」という方は、完全無料のスピード査定で、調達可能額をご確認ください。
事業性評価による銀行融資で見られるポイント
事業性評価による銀行融資では、主に以下のようなポイントが確認されます。
| 評価項目 | 内容 |
| 市場動向 | 企業が属する業界や市場の成長性、需要の変化、競合状況、規制や社会情勢の影響などを基に、市場の拡大や今後の需要が見込まれるかも評価される。 |
| 商流分析 | 特定の取引先に依存し過ぎていないか、安定した販売先があるか、代金回収や支払の流れに問題がないかなどが評価される。 |
| 強み・弱み・機会・脅威(SWOT分析) | 企業の強みや弱み、外部環境によるチャンスやリスクを整理した上で、今後の成長可能性や課題を確認する。 |
| 経営戦略・ビジネスモデル | 事業計画の実現性や継続性、利益を作り出すための仕組みが評価される。 |
| 競争優位性 | 他社と比較した際の強みや差別化ができる要素などが評価される。 |
| 経営者のスキル・資質 | 経営者のリーダーシップや判断力、業界理解、課題への取り組み方などが確認される。 |
| 経営基盤の安定性 | 社内管理体制や、労働環境などを基に、事業継続性が評価される。 |
| 成長性・独自性 | 商品・サービスの独自性、技術やノウハウの優位性などを基に、事業の成長性が評価される。 |
| 財務の安定性 | 従来の銀行融資でも評価対象となる売上、利益、キャッシュフロー、借入金の状況、自己資本比率、返済能力などが確認される。 |
このように、事業性評価では、決算書などの数字だけでは把握しきれない項目も評価対象です。企業の事業内容や強み、市場環境、経営者の資質、財務状況なども踏まえて総合的に判断し、中長期的に安定して事業を継続・成長できるかを見た上で、融資判断がなされます。
事業性評価による銀行融資のメリット

事業性評価による銀行融資が進むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットを解説します。
融資を受けられる可能性が広がる
事業性評価による銀行融資では、これまで融資が受けにくかった企業でも、資金調達の可能性が広がります。
例えば創業間もない企業は、財務データが十分にそろっておらず担保や保証人の設定が難しいことから、銀行融資のハードルが高い傾向にありました。しかし今後は、事業性評価で将来性や成長可能性が認められれば、融資を受けられる可能性が出てくるでしょう。
同様に、先行投資や研究開発費が膨らみやすい企業、革新的な事業に取り組むスタートアップ企業なども、これまではハードルの高かった銀行融資による資金調達をしやすくなるかもしれません。
赤字・業況悪化でも融資を受けられる可能性が出てくる
赤字・業況悪化の企業でも、融資の可能性が広がることは、事業性評価による銀行融資のメリットです。
これまでの銀行融資では、赤字の企業や業況が悪化している企業は、返済能力に不安があると判断されやすく融資を受けるのが難しい傾向にありました。
しかし事業性評価が進めば、現在の赤字や業況だけではなく、今後の回復見込みや事業計画の実現可能性も見られるようになります。そのため、現在の経営状況が思わしくない企業でも、融資を受けられる可能性が出てくるでしょう。
ただし、事業性評価が推進されるからといって、財務状況が全く見られなくなるわけではありません。収益性や資金繰りの安定性なども、引き続き重要な判断材料です。赤字や業況悪化の場合は、理由を整理し、今後の改善の見通しの説明ができるようにしておくことが重要です。
銀行との関係を強化できる
銀行との関係を強化できることも、事業性評価による融資のメリットです。
事業性評価による融資では、財務データや担保・保証人の有無だけではなく、事業内容や今後の計画について、銀行に説明する機会が増えます。そのプロセスの中で、自社の強みや課題などを共有できれば、金融機関に自社をより理解してもらえるようになり、信頼関係が構築しやすくなるでしょう。
単に融資を受けるという関係性ではなく、事業成長を支えるパートナーとして、関係を築けます。その結果、追加融資や資金繰り悪化の際の支援などにも柔軟に対応してもらいやすくなる可能性があるでしょう。
特に、地域に根ざした地方銀行とは、普段から情報共有をしっかりと行うことで、より密接な関係を築けるようになります。
事業性評価による銀行融資のデメリット
事業性評価による融資には多くのメリットがありますが、その反面、注意しておかなければならないデメリットもあります。
まず、従来の銀行融資と比べて、事業内容や将来性を分かりやすく伝える力が求められます。いくら将来性や成長可能性の高い事業に取り組んでいても、それを明確に説明できなければ、融資を受けることは難しいでしょう。プレゼンテーションの準備や資料作成には、時間も労力もかかるので、負担が大きくなる恐れもあります。
また事業性評価の方向性には、明確なルールが存在しません。金融庁の「金融モニタリング基本方針(監督・検査基本方針)」で示されてはいますが、実施方法や取り組み度合いは、金融機関によって異なります。数値で評価できる定量評価に加え、数値では判断しにくい定性評価も取り入れられるので、同じ金融機関でも評価者によって判断にばらつきが出る可能性もあるでしょう。
できるだけ労力をかけずに資金調達をしたいなら、ファクタリングも有効な手段です。株式会社No.1では、最短即日で資金調達に対応しています。資金繰りにお困りの方は、お気軽にご相談ください。
事業性評価による銀行融資の流れ

ここで、一般的な事業性評価による銀行融資の流れを解説します。なお、実際の審査手順や必要書類、フィードバックの有無などは、金融機関や融資制度によっても異なります。具体的な流れは、あらかじめ金融機関へ確認しておきましょう。
金融機関に相談する
まず、事業性評価による融資を検討していることを金融機関に相談します。
この際、その金融機関で提出が求められる書類や審査の流れなどの説明を受けます。現在の財務状況を確認される場合もあるので、財務諸表などの資料を持参しておくと良いでしょう。
事業性評価シートなどの必要書類を作成・提出する
金融機関から案内された内容に沿って、必要書類を作成します。事業性評価シートや企業概要書などを作成するのが一般的です。これらの書類を用いて、自社の事業内容や事業計画を金融機関に伝えます。
金融機関によっては、ひな形が用意されています。ひな形だけでは自社の強みや将来性を十分に伝えきれない場合は、追加で独自にシートを作っても構いません。自社の将来性・成長可能性が伝わる内容に仕上げ、提出します。
書類提出時には面談を行い、口頭でも説明を求められるケースも多いので、内容を整理しておきましょう。
審査が行われる
必要書類を提出したら、金融機関で審査が行われます。
この審査では、次のプロセスに当たるフィードバックのために、提出した書類や口頭での説明に加え、過去の業績を基に、定量評価・定性評価が行われます。
評価結果のフィードバックを受ける
審査が終わったら、評価結果のフィードバックを受けます。
自社の強みや課題などがまとめられた「事業性評価シート」などの形で、書面で提供されるのが一般的です。書類に記載された内容は、融資を受けるためだけではなく、今後の事業発展にも生かせる内容となっているでしょう。
経営発展プランと借入申込書を作成・提出する
受けたフィードバックを基に、経営発展プランと借入申込書を作成します。
経営発展プランは、融資判断を行う上での重要な資料です。フィードバックで課題に挙がった点をどのように改善するのか、成長実現のために具体的にどのような取り組みを行うのかなどをまとめます。
借入申込書には、従来の融資でも求められる融資希望額や資金の使い道、返済計画などを記載します。
作成できたら、金融機関に提出しましょう。
融資の可否を決める審査が行われる
提出した経営発展プランと借入申込書を基に、融資の可否を判断する審査が行われます。
事業性評価による融資では、通常の融資での借入審査に加え、経営発展プランの内容も確認されます。
契約を結ぶ
審査の結果、承認を受けた場合は、正式な契約に進みます。
正式契約の前に、契約内容の詳細を確認してください。融資金額や条件などに問題がなければ、契約を結びます。
銀行融資が難しい場合はファクタリングの利用も検討しよう
事業性評価の推進により、これまで融資が難しかった企業にも借入の可能性が出てくると考えられます。しかし、数値では判断しにくい定性評価が取り入れられることや、資料作成や複数回の審査により「以前より厳しくなった」「融資を受けるまでに時間がかかり過ぎる」というケースが出てくる可能性もあるでしょう。
そのような際に活用できる資金調達方法の一つとして、ファクタリングが挙げられます。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買取ってもらうことで、売掛金の支払日よりも早く現金化する手法です。融資ではないため、借入を増やさずに資金を確保できます。
利用には審査が行われますが、審査で重視されるのは売掛先の信用力なので、自社の信用力に不安がある場合でも利用できる可能性があります。特に、利用企業とファクタリング会社のみで契約を結ぶ「2社間ファクタリング」であれば、最短即日で資金化できるサービスも多いです。
事業性評価による銀行融資を中心に資金調達したいと考えている場合でも、融資が実行されるまでに資金不足に陥るリスクはあるでしょう。短期間で資金調達ができるファクタリングなら、急な支払や一時的な資金繰り悪化などで、緊急の資金調達が必要な場面に対応できます。
まとめ:金融庁の方針を踏まえ、銀行融資と代替手段を早めに比較しよう
金融庁が推進する事業性評価による融資は、従来のように担保や個人保証、財務状況だけを重視するのではなく、企業の事業内容や将来性、成長可能性なども含めて評価する融資の考え方です。
これにより、創業したばかりの企業や担保が用意できない企業、現時点で財務状況が悪化している企業でも、融資を受けられる可能性が出てきます。また金融機関に自社の強みや課題を理解してもらいやすくなるので、銀行との関係強化にもつながるでしょう。
ただし従来の融資に比べると、資料作成や面談、審査に時間がかかることが予想されます。そのため、すぐに資金を調達する必要がある場合は、ファクタリングなどの代替手段を考えておくことが大切です。
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