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ファクタリングの会計処理の基本|正しい仕訳方法と勘定科目の選び方、よくある間違いを解説

ファクタリングを利用したものの、「どの勘定科目を使うべきか」「仕訳の流れが通常とは違う」と悩む方は少なくありません。会計処理を誤ると、帳簿の整合性が取れなくなり、法務や税務対応にも影響が出る場合があります。

ファクタリングの会計処理を正しく進めるには、取引の種類や資金の流れ、勘定科目の内容を理解することが重要です。

本記事では、ファクタリングの会計処理の基本から、使用する勘定科目の選び方、買取型・保証型それぞれの仕訳方法、よくある間違いを解説します。

【この記事で分かること】

  • ファクタリングの会計処理では、売掛金や未収入金など、複数の勘定科目の内容を正しく理解することが重要
  • 資金調達時の手数料は、契約形態に応じて売上債権売却損・支払手数料の2つを使い分ける必要がある
  • 消費税は非課税となり、課税仕入には該当しない

ファクタリングの会計処理の仕方は種類によって異なる

ファクタリングの会計処理は、ファクタリングの種類が買取型なのか、保証型なのかによって異なります。

買取型ファクタリングとは、自社が保有している売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金を確保する方法です。保証型よりも利用件数が多く、資金調達の手段として広く活用されています。

買取型ファクタリングの会計処理では、取引が進むごとに売掛金、未収入金、売上債権売却損などの勘定科目を用いて帳簿に反映していきます。

保証型ファクタリングは、万が一債権が回収できなかった場合に備えて、ファクタリング会社から保証を受ける方法です。買取型のように売掛債権を売却する方法ではないため、会計処理では保証金や支払手数料を計上します。

ファクタリングの会計を進める際は、まずは自社の契約がどちらに該当するのかを確認し、正しい勘定科目を用いて仕訳する必要があります。

ファクタリングの会計処理で使用する勘定科目と使用シーン

ファクタリングの会計処理では、取引内容に合った科目を選ばなければ、帳簿の内容が実態と合わなくなります。複数の勘定科目を正しく使い分け、計上ミスが起こらないように注意しましょう。

ここでは、ファクタリングの会計処理で使用する勘定科目と、その使用シーンを解説します。

売掛金

売掛金は、商品・サービスを提供した後、その代金を後日受け取る場合に使用する勘定科目です。売上は発生しているものの、取引先からまだ入金されていない状態の金銭を管理します。

例えば4月26日に商品を納品し、支払期日が翌月末だった場合、5月31日の入金タイミングまでは売掛金として計上します。

企業間取引では掛取引が一般的であり、商品・サービスの提供後から一定期間を得て代金が振り込まれます。買取型・保証型問わず用いられ、使用頻度が高い勘定科目の一つです。

未収入金

未収入金は、本業以外の取引によって発生した未回収の金銭を管理するための勘定科目です。売掛金と似た性質を持ちますが、売掛金が商品・サービスの提供による売上に基づくものであるのに対し、未収入金は本業以外の取引に基づく点が大きな違いです。

ファクタリングでは、主に買取型ファクタリングを契約した際に未収入金として計上します。

未収入金は使用頻度が高い勘定科目ではありませんが、ファクタリングのように通常とは異なる取引が発生した場合に用いるのが特徴です。

預り金

預り金とは、一時的に預かっており、後から別の相手に引き渡す必要がある金銭を管理するための勘定科目です。収益にはならないものの、一時的に手元に入金される資金を区別して管理するために用いられます。

ファクタリングでは、主に利用者・ファクタリング会社2社で取引する「2社間ファクタリング」という取引形態の場合に預り金が使用されます。2社間ファクタリングは、売掛先からの入金が一度利用者の口座に入り、その後にファクタリング会社へ送金する仕組みです。入金された金額を売上として処理すると、実際の残高と合わなくなるため、一時的に預り金として計上します。

売上債権売却損

売上債権売却損は、売掛金などの売上債権を本来の金額よりも低い価格で売却した際に使用する勘定科目です。

ファクタリングでは、売掛金を売却する際に手数料が差し引かれるため、受け取る額は本来の売掛金の額面よりも少なくなります。この差額部分(手数料分)を損失として処理する際に使用するのが、売上債権売却損です。

保証型ではなく、買取型ファクタリングの手数料を計上するための勘定科目と覚えておきましょう。

支払手数料

支払手数料とは、外部の事業者に支払う各種手数料を計上するための勘定科目です。取引を進める上で発生した振込手数料や仲介手数料、各種サービスの利用料などを管理するために用いられます。

保証型ファクタリングで発生した手数料は、支払手数料として計上する必要があります。ただし、企業ごとに会計処理の方針が異なるため、中には売上債権売却損として計上するケースもあります。いずれの処理方法を採用する場合でも、同一の基準で継続的に計上しましょう。

なお買取型ファクタリングで生じた手数料は、先述の通り売上債権売却損に計上するため、混同しないように注意しましょう。

貸倒損失

保証型ファクタリングを利用した場合で、万が一売掛金を回収できなかった場合は、貸倒損失を使って会計処理を行います。

貸倒損失とは、取引先の倒産などで売掛金の回収が見込めなかった場合に、その金額を計上するための勘定科目です。

保証型ファクタリングは、自社の売掛金を売却するのではなく、回収不能リスクに備えるためのサービスです。売掛金は自社が保有しているため、万が一回収できなかった場合は貸倒損失として計上する必要があります。

雑収入

雑収入は、本業の売上以外で発生した収益を管理するための勘定科目です。事業に直接関係しない収入を管理する際に使用され、主に受取利息や補助金、損害保険金などが該当します。

保証型ファクタリングで保証金が支払われた場合は、雑収入として計上します。売掛金の回収不能に対する補填として受け取る金銭であり、通常の売上とは性質が異なるためです。

ファクタリングの会計処理で使用する未収入金・売掛金の違い

売掛金と未収入金の違いは、その金銭が本業の取引によって発生したのか、本業以外の取引によって発生したのかにあります。

売掛金は、本業での取引によって発生する未回収の売上代金を管理する勘定科目です。一方で、未収入金は、本業以外の取引で発生した未回収の金銭を管理する際に使用されます。

買取型ファクタリングの会計処理では、商品やサービスを提供して売上が確定した時点で売掛金を計上します。その後、ファクタリング会社と契約を締結した段階で、売掛金を未収入金へ振り替えて処理を行う流れが一般的です。

ファクタリングは資金調達の手段ではあるものの、商品やサービスの提供といった本業の取引には該当しません。そのため、売掛金のまま管理するのではなく、未収入金へ振り替えて処理することで、取引の性質を適切に帳簿へ反映できます。

【仕訳例】ファクタリングの会計処理の正しいやり方

ファクタリングの会計処理を正しく行うには、仕訳の流れを確認し、適切な方法で計上することが重要です。

計上ミスを防止するためにも、以下で具体的な仕訳例を基に会計処理のポイントを整理しましょう。

買取型ファクタリングの会計処理の基本的な手順

買取型ファクタリングの会計処理の手順・仕訳例を3ステップで紹介します。

1. 売上代金を売掛金として計上する

まずは、通常と同じように売上代金を売掛金として計上します。ファクタリングは売掛債権を活用した資金調達の手段であるため、売上が発生した時点では通常の会計処理と変わりません。

例えば、商品を取引先に提供し、100万円の売上が発生した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
売掛金 100万円 売上 100万円

2. ファクタリング契約締結時に未収入金として計上する

売掛金を計上した後、ファクタリング契約を締結した場合、売掛金をそのまま残すのではなく、未収入金へ振り替えて処理を行います。売掛金はファクタリング会社に譲渡され、自社は資金の入金を待っている状態になるため、勘定科目を切り替える必要があります。

例えば、100万円の売掛金を譲渡する場合の仕訳は、以下の通りです。

借方 貸方
未収入金 100万円 売掛金 100万円

3. 入金額を普通預金・手数料を売上債権売却損に計上する

契約締結後は、ファクタリング会社から資金が入金されます。このとき、入金された額だけでなく、ファクタリング会社に支払った手数料を売上債権売却損へ計上する必要があります。

例えば、100万円の売掛金を売却し、手数料が10%だった場合、手数料として10万円が差し引かれ、実際の入金額は90万円です。仕訳例は、以下の通りです。

借方 貸方
普通預金 90万円 未収入金 100万円
売上債権売却損 10万円

その後の仕訳は、2社間・3社間取引かによって異なります。契約形態別の仕訳方法は、記事の後半で解説しているため、そちらも併せて参考にしてください。

保証型ファクタリングの会計処理の基本的な手順

続いて保証型ファクタリングの会計処理の手順・仕訳例を3ステップで紹介します。

1. 売上代金を売掛金として計上する

まずは買取型と同じく、商品・サービスの売上代金を売掛金として計上します。

例えば、100万円の売上が発生した場合の仕訳は、以下の通りです。

借方 貸方
売掛金 100万円 売上 100万円

2. ファクタリング会社に支払った手数料を計上する

保証型ファクタリングで生じた手数料は、借方を支払手数料、貸方を普通預金に設定して計上します。例えば、ファクタリング会社に10万円の手数料を支払った場合、以下のように仕訳します。

借方 貸方
支払手数料 10万円 普通預金 10万円

3. 売掛金が回収不能となった場合は貸倒損失で計上する

売掛金が回収できなくなった場合、保証金を計上する前に貸倒損失の処理を行います。まずは売掛金の回収不能による損失を確定させ、その後の保証金の受け取りを別の取引として処理する流れです。

例えば、100万円の売掛金が回収できなかった場合の仕訳は、以下の通りです。

借方 貸方
貸倒損失 100万円 売掛金 100万円

4. 損失分の保証金を雑収入として計上する

保証型ファクタリングは、売掛金が回収できなくなった際に保証金を受け取る仕組みです。保証金は売上とは異なる性質の収入であるため、雑収入として計上します。

例えば、100万円の売掛金が回収不能となった場合、以下のように仕訳します。

借方 貸方
普通預金 100万円 雑収入 100万円

なお、雑収入の計上は、ステップ3で貸倒損失を計上した後に行います。

買取型ファクタリングの会計処理は2社間・3社間取引で違う? 正しい処理の仕方

買取型ファクタリングの契約形態は、2社間・3社間に分かれています。以下では、2社間・3社間それぞれの会計処理の流れを解説します。

買取型・2社間ファクタリングの会計処理の手順

2社間ファクタリングは、取引先に通知せずに資金調達を行う方法です。

ファクタリングを利用した事実を取引先に知られると、「資金繰りが悪いのではないか」と思われる場合があります。2社間での取引であれば、取引先の関与なしで契約を進められるため、今後の関係性に影響が出にくくなります。

以下で、売上計上から入金・送金までの会計処理の流れを確認しましょう。

1. 売上代金を売掛金として計上する

まずは、提供した商品・サービスの売上代金を売掛金として計上します。売上が立ち、自社の資産が増加したため、貸方は売上に設定しましょう。

例えば、200万円の商品を取引先に納品し、その代金が後日支払われる場合は、以下のように仕訳します。

借方 貸方
売掛金 200万円 売上 200万円

2. 契約締結時に売掛金を未収入金へ振り替える

ファクタリング契約を締結したら、先ほど計上した売掛金は自社のものではなくなるため、未収入金に振り替えます。

例えば、200万円の売掛金を譲渡した場合、借方は未収入金、貸方は売掛金と設定し、以下のように会計処理を行います。

借方 貸方
未収入金 200万円 売掛金 200万円

3. 実際の入金額・手数料を計上する

契約後は、ファクタリング会社から資金が入金されます。入金額と手数料は分けて計上し、別の会計として処理しましょう。

例えば、200万円の売掛金を売却し、手数料がそのうちの10%だった場合は、以下のように処理します。

借方 貸方
普通預金 180万円 未収入金 200万円
売上債権売却損 20万円

4. 取引先から入金があったら預り金として処理する

取引先から売上代金の入金があったら、その金額を預り金として処理します。売上が入った = 自社の資産が増えたという認識になるため、借方は普通預金を選択しましょう。

例えば、取引先から売上代金200万円が入金された場合は、以下のように会計処理をします。

借方 貸方
普通預金 200万円 預り金 200万円

5. ファクタリング会社へ送金したら預り金を消込する

最後に、ステップ4で入金された取引先からの売上代金を、ファクタリング会社へ入金します。このとき、預かっていた資金を支払う形になるため、預り金を消し込む処理を行います。

例えば、取引先から入金された200万円を送金した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
預り金 200万円 普通預金 200万円

以上で、買取型ファクタリングの会計処理は完了です。各ステップで使用する勘定科目や処理の順番を正しく理解し、仕訳ミスや計上漏れを防ぎましょう。

株式会社No.1では、取引先に通知をせずに手続きを進める2社間ファクタリングをメイン取引としています。取引先に知られずに資金調達を進めたい方は、ぜひお問い合わせください。

買取型・3社間ファクタリングの会計処理の正しいやり方

3社間ファクタリングの会計処理は、売上計上から資金入金までの流れは2社間ファクタリングと同様に進みます。具体的な流れは、以下の通りです。

  1. 1. 売掛金を計上する
  2. 2. ファクタリング契約締結時に未収入金として売掛金を振り替える
  3. 3. 入金された額と手数料を分けて計上する(手数料の勘定科目は売上債権売却損)

3社間での取引の場合、売掛金の回収時にファクタリングの利用者は関与しません。3社間ファクタリングでは、取引先の承諾を得た上で契約を締結するため、売掛金は取引先からファクタリング会社へ直接支払われます。

そのため、2社間取引で必要となる預り金の計上や、ファクタリング会社への送金処理は発生しません。利用者を経由した資金の移動がないため、回収時の仕訳作業は不要です。

ファクタリングの会計処理でよくある間違い・トラブル

ファクタリングの会計処理を実施する際は、以下のトラブルに注意しましょう。

  • 借入金として計上をする
  • 手数料の処理を間違える
  • 課税取引として会計処理をする

借入金として計上をする

ファクタリングで確保した資金を借入金として計上をするのは間違いです。

ファクタリングは資金を早期に受け取る手段ですが、融資のような貸付業には該当しません。自社が保有する売掛金を取引対象とするため、借入金として負債計上するのではなく、売掛金や未収入金、売上債権売却損などを用いて処理する必要があります。

誤って借入金に計上すると、負債が増えているように見え、財務状況を正しく把握できなくなります。ファクタリングは債権の売却に該当する取引である点を、社内の共通認識とし、仕訳ルールを統一しましょう。

手数料の処理を間違える

手数料を売上債権売却損、または支払手数料として計上すべきところを、別の勘定科目で処理してしまうケースも問題です。

ファクタリングの手数料は、取引の種類によって扱いが異なります。買取型ファクタリングでは売上債権売却損として処理し、保証型ファクタリングでは支払手数料として計上するのが一般的です。

ただし、会計ソフトによってはこれらの勘定科目が用意されていない場合があります。その際は、新たに補助科目を設定して管理する方法を検討しましょう。

課税取引として会計処理をする

ファクタリングを課税取引として処理するケースは多く見られますが、これもNGです。

ファクタリングは、売掛金を売却して資金を確保する方法のため、金銭債権などの譲渡に該当します。金銭債権の譲渡は、非課税取引の一つに該当するため、基本的には消費税を計上する必要はありません(※)。なお、事務手数料など課税対象となる項目も一部存在します。

※参考:国税庁.「No.6201 非課税となる取引」.(2025-04-01).

まとめ:ファクタリングの会計処理の精度や正確性は自社の経営状態を左右する

ファクタリングの会計処理では、通常の取引と違った勘定科目を使用するため、計上ミスが起こりやすい傾向があります。特に売掛金と未収入金の違い、手数料の計上方法は間違えやすいため、混同しないように注意しましょう。

また、買取型・保証型ファクタリングで仕訳の方法や流れが異なります。それぞれの違いを理解し、会計処理を適切に進めましょう。

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