ファクタリングと取引信用保険はどこが違うの？貸し倒れ防止のためのリスクヘッジでできること

ファクタリングは、主に急な資金調達に対応する手段として活用され、売掛債権を売却することで、融資よりも早く、負担の少ない手続きで実行できます。ただし、目的はそれだけではありません。貸倒リスクの対策として利用されるケースも増えています。

たとえば、「取引先が倒産しそう」「売掛金の回収が不能になるかもしれない」といった不安がある場合、期日前に売却することで、満額ではないものの一定額を確保できるのです。これにより、損失の軽減や財務状況の悪化を防ぐことができます。

このような仕組みは、ファクタリング以外にも存在します。その代表例が損害保険の一種である取引信用保険です。両者は似ているようで異なる種類のサービスであり、条件や対象範囲、コスト構造も異なるため、導入前にしっかりと確認することが重要です。

それぞれの特徴を比較し、事業の状況に応じた柔軟な選択を行うことが、貸し倒れリスクを回避する上でのカギとなります。サポート体制や保証内容の違いも含めて、内容をよく理解し、期待に応える対策を講じていきましょう。

取引信用保険とは一体何?
取引信用保険とファクタリング
取引信用保険と保証ファクタリング
貸し倒れを防ぐにはどうする？
No.1ファクタリングがおすすめ！

取引信用保険とは一体何?

信用取引保険とは、取引先が倒産などによって売掛金を回収できなくなる、貸し倒れになった時に、規定の保険料を支払っていることで、相当額が保険金として支払われる制度です。

取引信用保険の概要

取引信用保険に加入し、毎月の保証料を支払うことで、取引先が履行不能となった場合に保険金が支払われる仕組みです。対象となるのは、売掛金の支払いだけでなく、一定のサービス提供が滞った場合なども含まれます。

たとえば、取引先が以下のような状態になった場合が該当します：

・破産、民事再生、会社更生法などの法的手続きにより営業継続が困難になった
・手形交換所での不渡りや、金融機関との取引停止
・裁判所による差押命令など、強制的な決済不能状態
・相続人による相続放棄が行われた場合

これらの事由に該当すると、保険契約に基づき、請求可能な売掛金等が支払われます。ただし、単に「今月の売上が悪くて支払いが遅れる」といった状態では、保険金の支払い対象にはなりません。

この制度は、損害発生時の責任分散を目的としたものであり、大きな経済的打撃を受けた際の効果的な保全策として活用されています。

取引信用保険の保険料と決め方

A社がB社との取引において貸倒リスクを回避するため、取引信用保険に加入する場合、まず保険会社による評価と信用調査が行われます。この調査では、B社の財務状況や経営の健全性を分析し、倒産や破産のリスクを見極めます。

その結果をもとに、保険金の支払限度額が設定され、補償対象となる取引先ごとに上限が決まります。取引先が多くなる場合や、新規の取引先との契約では、より慎重な審査が行われることもあります。

保険料の相場は、補償対象金額の1〜3％程度で、これはコストとして事業にかかるものの、万が一の損失を軽減するには十分な効果があります。

たとえば、A社がB社と1億円の取引をしていた場合、縮小率90％、支払限度額1億円であれば、得られる保険金は9000万円。保証料が3％なら、費用は300万円です。そのため、保険料を支払ってでも、安心を確保したい企業にとっては、非常に役立ちます。

取引信用保険は、一般的にファクタリングと異なる仕組みを持ちますが、どちらも資金繰りやリスク管理において有効な選択肢です。さまざまな条件を比較し、自社に合った方法を選ぶことが重要です。

取引信用保険と中小企業倒産防止共済の違い

国の制度である「中小企業倒産防止共済」（経営セーフティ共済）に似ています。しかし、中小企業倒産防止共済は、取引先が倒産した時に支払われるのは保険金（返済義務なし）ではなく共済金（貸付金）になります。

では、中小企業倒産防止共済はいざという時のお金も返さなければならないから、取引信用保険よりもデメリットが多いのかというと必ずしもそうではありません。取引信用保険の保険料は「掛け捨て」ですが、中小企業倒産防止共済は何もなく終わり、解約する場合、掛金が戻ってきます。

戻ってきたお金は益金（収入）なので課税対象になりますが、一種の積み立てとして考えられます。掛金を積み立てている際には損金（経費）にできるので節税としても使えます。

また、中小企業倒産防止共済は完全に取引先が倒産しないと受け取れませんが、取引信用保険はその前段階（不渡り、夜逃げ）等でももらえます。

公的制度である中小企業倒産防止共済に加入しつつ、不足分を取引信用保険で補うというのが良いでしょう。

取引信用保険とファクタリング

取引信用保険（中小企業倒産防止共済）は取引先倒産時のリスクヘッジとして使えます。しかし、ファクタリングもそのようなリスクヘッジとして利用できます。

取引先が倒産しそうな場合、売掛金をファクタリング会社に買い取らせ、回収できないリスクもファクタリング会社に移転できるからです。手数料や掛け目（買取率）もあるので売掛金全額のリスクヘッジにはなりません。

また、手数料率を考えると3社間ファクタリングで取引信用保険と同じかやや高い、2社間ファクタリングで取引信用保険の数倍、貸し倒れ防止だけを考えればファクタリングではなく取引信用保険の方に利があります。

しかし、取引信用保険の場合特定の取引先のみを補償の対象にできません。全取引先、取引先10社など包括的に加入しなければならず、保険料が高くなります。

ファクタリングは1社だけ、ある月の取引だけでも早期現金化でき、利便性があります。危ないという噂を聞いたから先月分はファクタリングしたが、大丈夫そうなので以降はファクタリングしないという方法もOKです。

しかし、ファクタリングは実際に取引先が倒産や不渡りを起こしてしまうと利用できません。また、明らかに経営が悪いという話が広まっていれば、ファクタリング会社が売掛債権の買い取りを拒否する可能性もあります。

危なそう、という見極めが大切です。その危惧が杞憂に終わってもそれはそれでよいです。ファクタリング利用歴は信用情報に記載されないのでとりあえず1回だけやってみたということでも良いでしょう。多少本来の売掛金額から減るだけで済みます。

取引信用保険の場合単発での利用ができません。

取引信用保険と保証ファクタリング

ファクタリングの中には資金調達を目指さず、取引信用保険のように貸し倒れや倒産になった時に相当額が支払われる「保証ファクタリング」というものがあります。保証ファクタリングと取引信用保険はどこが違うのでしょうか？

どちらも相手から入金されないときの保険ですが、（保証）ファクタリングは売掛債権限定ですが、取引信用保険は手形の不渡り時も保証されます。

また、取引信用保険は全社、あるいは数社の全部の取引に保険がかかりますが、保証ファクタリングはある取引限定、あるいはある会社の取引限定で行えます。

つまり、自社の貸し倒れリスクを全部総体的にリスクヘッジしたい場合は取引信用保険で良いのですが、経営に気になる会社がありそこだけリスクヘッジしたい場合は保証ファクタリングを使った方がいいです。

取引先との信用関係ですが、取引信用保険の場合、取引先に保険を掛けたことは知らされません。しかし、保証ファクタリングを含めてファクタリングは、手数料が高いが取引先にバレない2社間ファクタリング、手数料は低いが取引先に通知が行きバレる3社間ファクタリングがあります。

以下の違いに注意しながら用途に応じて保証ファクタリングか取引信用保険を使い分けることになります。表にまとめましたのでぜひ参考になさってください。

	取引信用保険	保証ファクタリング
目的	貸し倒れ防止	貸し倒れ防止
対象	売掛債権、手形	売掛債権のみ
費用	取引額の1％～3％	取引額の1％～9％（3社間ファクタリング）取引額の10％～20％（2社間ファクタリング）
保証の範囲	全社取引、数社の取引全部	個別の売掛債権、特定の会社の取引
取引先への通知	なし（バレない）	ない場合（2社間ファクタリング）とある場合（3社間ファクタリング、バレる）
与信管理	あり	原則なしだが保証ファクタリングについては行うことも

貸し倒れを防ぐにはどうする？

取引信用保険は、取引先が倒産した際のリスクヘッジとして非常に有効です。日本国内でも多くの企業が導入しており、万が一の踏み倒しや支払い不能に備える手段として活用されています。

一方で、ファクタリングによるリスク回避は、取引先が倒産する前に動く必要があります。つまり、危険を察知して事前に対応する者にとって有効な手段です。これに対し、取引信用保険は「万が一」に備える受け身の対策である点が大きな違いです。

このファクタリングの弱点を補うのが、倒産後でも補償が可能な保証ファクタリングです。保証ファクタリングは、特定の取引先に対して個別に設定できるため、ピンポイントでのリスクヘッジに適しています。

一方、取引信用保険は、自社全体の取引に対して包括的にかける保険であり、特定の取引だけを対象にすることはできません。特定の会社との取引に不安がある場合は保証ファクタリング、広く全体のリスクをカバーしたい場合は取引信用保険を選ぶとよいでしょう。

また、ファクタリングは単発契約であるため、保険のように継続的な保険料の支払いが不要なのもメリットの一つです。

No.1ファクタリングがおすすめ！

保証ファクタリングと取引信用保険の違いを理解し、まずはファクタリングを活用してリスクヘッジの基礎を学んでみませんか？ファクタリングは、単なる資金調達手段ではなく、債権譲渡を通じて貸し倒れリスクを回避する有効な方法です。特に、取引先の信用状況に不安を感じる事業者にとっては、「返せなくなるリスク」を事前に防ぐ手段として注目されています。

「株式会社No.1」は、豊富な実績と経験を持つファクタリング業者として、債権の二重譲渡を防ぐための体制や契約内容にも配慮しながら、安心して利用できるサービスを提供しています。貴社の経営課題に合わせたファクタリングメニューを提案し、資金繰りとリスク管理の両面からサポートします。

また、ファクタリングは投資や新規事業の立ち上げに向けた資金確保にも活用できるほか、取引信用保険の導入前に「まずは安いコストでできるリスクヘッジ手段」として検討する価値があります。

資金を貸すのではなく、債権を譲渡することでリスクを分散できるファクタリング。「返せるか不安…」という状況に陥る前に、ぜひ一度ご相談ください。