カテゴリー: ファクタリング

建設業の資金繰りの注意点を解説|リスクを避ける資金調達方法とは?

建設業界は、日本経済を支える重要な事業のひとつですが、資金繰りに関しては特に難易度が高い業種とされています。実際、「工事をたくさん受けていたのに支払いができず、倒産してしまった」というケースは多く、経営者にとっては決して他人事ではありません。

では、なぜこのような大きな問題が発生するのでしょうか。

「赤字経営なのに新しい案件を先行して進めてしまった」「資金繰り表を作らずにどんぶり勘定で経営していた」など、よくある原因として挙げられるのは管理の甘さや経理体制の不備です。しかし、それだけではありません。建設業界特有の会計処理や取引慣行にも根本的な原因があります。

たとえば、工事を請け負ってもすぐに全額が売上になるわけではなく、請求して回収した資金も一旦「未成工事受入金」として確認され、工事完了後にようやく「完成工事高」として計上されます。つまり、実際の取引に基づく入金と、会計上の売上計上のタイミングには長いタイムラグがあり、その間に材料費や職人への支払いが先行するため、運転資金が不足しやすくなるのです。

また、現場を支える職人への外注費や労務費の支払いは前倒しで行わなければならず、日払いや週払いを希望されることも多くあります。にもかかわらず、入金は工期期間の後半や完了後になるため、資金は常に先に出ていく構造です。

さらに、中小規模の建設会社では、手形での取引や支払サイトの長期化などが重なり、返済の見通しが立ちにくくなることもあります。こうした背景があるにもかかわらず、資金繰り表の作成や、リスクに備えた相談の機会がないまま日々の経営を行っている企業は少なくありません。

この記事では、建設業における資金繰りの特徴と、それを健全に保つために今できることを詳しく解説していきます。

入金をいったん負債に計上する?(未成工事受入金と完成工事高)

一般的な業種では損益計算書で売上と諸費用が計上され、毎月損益計算書をチェックしていけば、おおむねその企業の収支と必要な資金を把握することができます。

しかし建設業の場合、受注した工事の進捗を毎月算定し、それに従って毎月の売上(完成工事高)と諸費用(完成工事原価)を計上する仕組みになっています。

そのため工事の進捗状況を正しく見極めていかないと、損益計算書で自社の収支を把握することができないのです。

一方で工期中に着手金や中間金など、施主や元請に対しては工事の進捗を適切に算定して出来高請求できているケースも考えられます。

そして多めに請求したとしてもそれは損益計算書上の売上(完成工事高)に適切な形で反映されず「未成工事受入金」として貸借対照表上に計上され、工事が完工した段階で「完成工事高」に振替られます。

つまり実際の請求・入金のタイミングと売上を計上するタイミングが異なるということです。

外注費の支払は先にしなければならない(実質的に労務費の外注費)

建設業は職人さんが現場を回して初めて収益を得られるという「労働集約型産業」です。

つまり職人さんが働いて現場を終わらせない限り自社に入金がないということになるのです。

この人件費も建設業の資金繰りの課題の1つと考えられます。

材料費などの一般的な経費については例えば月末締めで翌月末支払というケースも多いでしょう。

しかしながら職人さんへの労務費は仮に外注であっても早めに支払うことが望ましいと考えます。

20日締め月末払にしたり、日払に対応するなどのことを求められたりするのではないでしょうか。

東京オリンピックを目前にして建設業の需要が高まる中で、優秀な職人さんを継続して確保するために、このような労務費の支払サイトへの工夫も必要になってきます。

しかし、こちらの経費も工事が完工するまでは損益計算書には売上計上されず「未成工事支出金」として貸借対照表に計上されるのです。

建設業ほど資金繰り表をきっちりつくることが重要

建設業において資金繰り表の作成は、他業種以上に重要です。なぜなら、損益計算書だけでは利益や返済能力を正確に把握できないからです。工事の完了前に発生した売上やコストは「未成工事受入金」「未成工事支出金」として期間をまたいで処理されるため、実際にお金が「出る」「入る」タイミングと帳簿の内容は大きく異なります。

このようなタイムラグを放置すると、いわゆる「黒字倒産」という大きなリスクに繋がります。手元には資金がなくても帳簿上は黒字であるため、金融機関からの相談や対策が遅れがちになるのです。

そこで欠かせないのが、運転資金の見える化と早期の対策です。

たとえば、「今月末に2000万円の支払いがある」「来月上旬に着工する案件は着手金がない」といった情報を現場単位で確認しておけば、融資やファクタリングの検討を先行して行えます。また、金融機関と事前に協議し、金利や返済額の調整についても余裕をもって取り組めるでしょう。

加えて、売掛債権を使った資金調達、たとえばファクタリングの活用も有効な手段です。銀行融資が難しい場面でも、売掛金を現金化することで資金を繋ぐことができます。これは特に新規案件を複数抱える中小の建設業者にとって、有効な資金調達手段となります。

また、現場スタッフ・営業担当・経理の三者が連携し、支払い予定・請求スケジュール・工事進捗などをリアルタイムで共有することも、資金繰りの精度を大きく高めます。資金繰り表をもとに、取引先との支払交渉や回収計画を調整するなど、経営に直結する判断が行えるようになります。

実際に建設業の現場では、「利益が出ているはずなのにお金が足りない」「工事は受けているのに新規受注が怖い」といった声がよく聞かれます。これは、請負契約の構造上、請求・入金と支払いのタイミングがズレることが大きな要因です。

たとえば3か月の工期を想定した5000万円の工事で、着手金1000万円・中間金2000万円・竣工後残金2000万円という契約だった場合、最初の2か月間で実際に支払う材料費や外注費・人件費は3000万円近くに達することもあります。ここで中間金が遅れたり、追加工事に対応するための先行投資が発生したりすると、運転資金は一気にひっ迫します。

このような場面で無理に借入を行えば、金利負担の増加や返済計画の狂いを招き、かえって経営を圧迫することになりかねません。そこで注目されているのが、ファクタリングによる柔軟な資金調達です。

売掛金を担保に現金化するファクタリングは、銀行融資に比べて審査期間が短く、手続きも迅速に進められるのが特徴です。特に、新規の借入を増やしたくない企業や、赤字決算・税金滞納がある企業にとっては、有効な選択肢となります。

ただし、ファクタリングにも手数料というコストがかかるため、導入にあたっては「いつ・いくら必要なのか」「他の現場の回収見込みはどうか」など、精度の高い資金繰り表をもとに判断することが不可欠です。

また、金融機関との関係づくりも同時に行うべきです。決算書だけでなく、日々のキャッシュフロー管理ができている企業は、銀行からの信用も高くなり、融資条件の改善にもつながるケースがあります。資金繰りの「見える化」こそが、長期的な信用構築の基盤となるのです。

さらに、近年では自治体や商工会議所などが主催する「資金繰り相談会」や「経営改善計画策定支援」などの公的支援も増えており、こうした場を活用することで金利の優遇や保証料の軽減など、実質的な負担軽減につながる可能性もあります。

資金繰りの問題は、放置すれば経営の根幹を揺るがしかねない大きなリスクです。しかし、早い段階から必要な情報を整理し、支払・回収・借入・ファクタリングといった選択肢を的確に組み合わせていけば、どんなに厳しい局面でも打開策は見出せます。

結局のところ、建設業において資金繰りを「読める」「準備できる」企業こそが、長い期間にわたって安定した事業運営を実現できるのです。小さなトラブルが積み重なって大きな問題になる前に、自社の資金の流れを正確に把握し、柔軟な対策を講じていきましょう。

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