カテゴリー: ファクタリング
調剤薬局におけるファクタリング利用。メリット・デメリットも徹底解説
近年、日本で急速に普及が進むファクタリング。
様々な経営メリットがあり、利便性や資金調達スピードにも優れていることから、業種を問わず人気が高まっています。
医療業界も例外ではありません。
ファクタリングを活用する調剤薬局が増えているのです。
なぜ、調剤薬局でファクタリングが支持されているのでしょうか?
この記事では、調剤薬局のファクタリング利用について、メリット・デメリットを含めて詳しく解説します。
調剤薬局で広がるファクタリングとは?
ファクタリングは、世界的にみれば長い歴史をもつ資金調達方法です。
海外ではごく一般的な資金調達方法であり、調剤薬局に限らず多くの業界で活用されています。
しかし、日本でファクタリングが普及してきたのはごく最近のこと。
調剤薬局のファクタリングとなると、さらに歴史は浅いといえます。
ファクタリングになじみがない調剤薬局も多いはずです。
そこで、まずは調剤薬局のファクタリングについて、まずは基本を解説します。
ファクタリングの定義
そもそも、ファクタリングとは何なのでしょうか。
簡単にいえば、ファクタリングは売掛金による資金調達です。
会社が信用取引を行うと、売掛金が発生します。
売掛金は売掛債権の一種であり、支払期日に売掛先から代金を受け取る権利のことです。
売掛金のままでは支払いに利用できませんが、支払期日には売掛金から現金に変わります。
売掛先の支払い能力に問題がない限り、その売掛金には額面金額に近い価値があるのです。
ファクタリング会社は、その価値に応じて売掛金を割安に買い取り、支払期日に満額回収することで利益を得ています。
ファクタリングに利用できるのは、あくまでも支払期日前の売掛金だけです。
本来、支払期日を待たなければ回収できない売掛金も、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで早期に回収でき、資金繰りが楽になります。
ファクタリングには色々なものがあり、必ずしも「ファクタリング=売掛金の売却」とは限りません。
しかしながら、現在日本で最も普及しているのは売掛金を買い取るファクタリングです。
調剤薬局のファクタリングも、基本的には売掛金の早期資金化と考えてよいでしょう。
このことは、金融庁のファクタリングの定義をみてもよくわかります。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
調剤薬局が所有している売掛金を早期資金化できるサービス、そして法的には債権譲渡。
これが、調剤薬局のファクタリングの定義といえます。
調剤薬局もファクタリングできる
ファクタリングは、企業間の信用取引で発生する売掛金が対象です。
ただし、これはあくまでも「一般企業が、一般企業に対して有する売掛金」を意味します。
売掛先が個人であったり、特殊な事業であったりする場合、通常のファクタリングを利用できないこともしばしばです。
調剤薬局のファクタリングも例外的なファクタリングに含まれます。
調剤薬局が所有しているのは、売掛金の中でも調剤報酬と呼ばれるものです。
調剤薬局が患者に対して調剤行為を行うことで、調剤報酬が発生します。
調剤報酬の支払人は、サービスを受けた患者本人ではなく、国保や社保といった公的機関になります。
当然、企業対企業の信用取引とは、売掛金の性質や請求・回収の仕組みが異なるため、通常のファクタリングは適していません。
つまり、調剤薬局のファクタリングは、調剤報酬に適したファクタリングでなければ資金化できないのです。
もっとも、調剤薬局がファクタリングを利用しにくいわけではなく、単に専用のファクタリング、すなわち診療報酬ファクタリングによって簡単に資金化できます。
診療報酬ファクタリングは、その名の通り診療報酬債権を買い取るファクタリングです。
診療報酬には、医科診療報酬、歯科診療報酬、調剤報酬があり、すべてファクタリングの対象です。
したがって、調剤薬局のファクタリングは、「診療報酬ファクタリングによって調剤報酬を早期資金化するもの」と考えてください。
調剤薬局のファクタリングは安全?
ファクタリングの利用経験がない調剤薬局は、安全性が気になるかもしれません。
調剤薬局のファクタリングは、普及が進んでいるとはいえ、まだまだマイナーな資金調達方法です。
融資その他の伝統的な資金調達方法に比べれば、普及率は圧倒的に低いといえます。
そのため、法整備が遅れているのが現状です。
特に規制の緩さが問題視されています。
新規にファクタリングを開業するにあたり、登録や免許は必要ありません。
ある意味、悪質業者が紛れ込みやすい環境です。
実際に悪質業者が摘発され、ニュースになることもあります。
このため、ファクタリングを違法・危険と考える人が多く、利用に二の足を踏む調剤薬局も少なくないのです。
とはいえ、調剤薬局のファクタリングは完全に合法的な仕組みであり、法的根拠もあります。
調剤薬局のファクタリングの法的根拠となるのは、民法第466条です。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
民法第466条によって、債権譲渡の合法性は明らかでしょう。
金融庁の定義によれば、調剤薬局のファクタリングは法的に債権譲渡です。
債権譲渡が合法である以上、調剤薬局のファクタリングも合法といえます。
危険・違法・悪質などとされるのは、ファクタリングそのものではなく、ファクタリングを装った(実質的には債権譲渡とはいえない)違法サービスです。
そのようなサービスには注意すべきでしょう。
もっとも、調剤薬局のファクタリングに限っては、その心配はほとんどありません。
後述の通り、悪質業者が調剤薬局のファクタリングを取り扱うことは難しく、安全性の高さも魅力の一つです。
調剤薬局のファクタリング方式
ファクタリングにはいくつかの方式があります。
大別すると、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの二つです。
- 2社間ファクタリング:調剤薬局とファクタリング会社の2社間で取引する方式
- 3社間ファクタリング:調剤薬局、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式
それぞれの特徴と、調剤薬局の利用について簡単にみておきましょう。
2社間ファクタリングの特徴
2社間ファクタリングは、売掛先が一切関与しない方式です。
調剤薬局ならば、調剤薬局とファクタリング会社の2社間で全ての手続きを行います。
売掛先が関与しないことから、簡単な手続きでスピーディに資金を調達できるのが特徴です。
また、売掛先にファクタリングの利用を知られず、信用リスクを回避できることもメリットといえます。
その反面、手数料が割高であり、悪質業者にも注意が必要です。
とはいえ、手軽に調達したい、素早く調達したい、売掛先に知られたくないといった理由から、多くの会社が2社間ファクタリングを選んでいます。
調剤薬局は 3社間ファクタリングが基本
3社間ファクタリングは、調剤薬局・ファクタリング会社・売掛先の3社間で取引します。
売掛先は売掛金の支払人ですから、調剤薬局であれば調剤報酬の支払人、すなわち国保・社保が売掛先です。
調剤薬局のファクタリングは3社間ファクタリングが基本となります。
売掛先を含む3社間で取引することから、手続きがやや煩雑になり、資金調達スピードにも劣ります。
また、ファクタリングの利用を売掛先に必ず知られることも、3社間ファクタリングのデメリットです。
もっとも、これらのデメリットは、調剤薬局にとってほとんど問題にはなりません。
手続きが煩雑とはいえ、2社間ファクタリングに比べてやや工程が多いというだけです。
調剤薬局は、ファクタリング会社の案内に従って手続きするだけです。
資金調達スピードについても、他の資金調達方法と比べればはるかにスピーディといえます。
また、売掛先にファクタリングの利用を知られたところで、信用悪化のリスクはありません。
調剤薬局の売掛先は、国保・社保などの公的機関です。
政府は、売掛債権の活用促進に取り組んでおり、中でも売掛債権担保融資とファクタリングを推奨しています。
政府の意向を受け、国保・社保も「ファクタリング推奨」の立場です。
調剤薬局がファクタリングしたからといって、信用が悪化することはあり得ません。
3社間ファクタリングは、調剤薬局にとってデメリットがデメリットにならず、メリットはそのまま享受できます。
となれば、調剤薬局が3社間ファクタリングを避ける理由はありません。
3社間ファクタリングのメリットは、手数料の安さと安全性です(詳しくは後述)。
般的なファクタリングでは「3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングのほうがおすすめ」「3社間ファクタリングはデメリットが大きい」などといわれますが、調剤薬局には無縁と考えてください。
調剤薬局におけるファクタリング利用
医薬分業化により、急速にその件数が増加した調剤薬局ですが、厚生労働省が2年ごとに実施している診療報酬の改定や制度の改正などによって、常に変化の波にさらされてきました。
これによって、調剤薬局は調剤報酬による収益が変化するだけでなく薬局の経営基盤、特に資金繰りが深刻な問題となっているのではないでしょうか。
また、近年厚生労働省が打ち出した「患者のための薬局ビジョン」によって、「薬局再編」の流れが急速に進み、いまや次のように薬局自体の競争力と経営基盤の強化が求められているのです。
患者のための薬局ビジョンとは、わかりやすく説明すると患者さんのためのかかりつけ薬局を実現するためのものです。
今、日本の国民医療費は40兆円を超え、そのなかで調剤薬局医療費は7兆円を超えています。
処方箋受取率は7割近くに達し、医薬分業が確実に進んでいるように見えます。
しかし、一方でそのために発生する医療費、そして患者さんが処方箋を持ってわざわざ薬局に行く手間に見合うだけのサービスがそこで受けられているのか?
という議論が以前からありました。
本来、医薬分業では医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮し、薬剤師は薬物療法のプロとして重複投薬や相互作用をチェックするなど薬物療法の質的向上に寄与することが期待されていました。
そのためには薬局がかかりつけ薬局となって患者さんの服薬情報を一元化する必要がありました。
ところが実際には、患者さんは医療機関の近くにあるいわゆる門前薬局で医療機関に行くごとに調剤を受けているのが現状です。
これでは、服薬情報の一元化など到底不可能なのです。
そこで、厚生労働省としも改めて薬局、薬剤師のあるべき姿を明確にして、かかりつけ薬局すなわち患者さんのための薬局を実現していくためのビジョンを示す必要があると考えたのです。
競争力の強化~魅力ある薬局づくりのために~
近年、大手のドラッグストアチェーンが、積極的に調剤薬局の分野に進出しています。
そしてこれらのドラッグストアチェーンは、医薬品だけでなく化粧品、日用雑貨、食料品まで豊富な品揃えとポイントカードの導入などで患者(顧客)の囲い込みを狙っているのではないでしょうか。
このため競争力の乏しい中小規模の薬局は、いかにして収益を確保するのかが大きな課題となっているといえるでしょう。
このために「ジェネリックなど新しい薬剤知識の継続的な獲得」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携強化」といった取り組みを行っていく必要があり、そのための人件費を中心とした経費の増加は避けられない状況なのです。
情報管理の強化〜ITの積極的な活用~
前述した「患者のための薬局ビジョン」では、「服薬情報の一元的・継続的把握」などを中心に調剤薬局に積極的なIT投資を求めています。
これは「健康・医療・介護の分野を有機的に連結したITインフラ」ともいわれ、患者(顧客)の情報を一元的に管理し、さまざまな角度から分析することを求めているのです。
さらに患者のプライバシーを守るための対策も必要となってきます。
これらを実現するためには、これまでパソコンを導入しレセプトだけを行うのではなく、より高度な機能を持ったシステムを導入する必要があり、そのための設備投資も必要になってくるのです。
利便性の強化〜クレジット決済の利用増加~
これまでの調剤薬局では、調剤報酬のうち患者(顧客)から受け取るものは現金決済が主流でした。
しかし最近、大手ドラッグストアチェーンを中心にクレジットカードで決済できる薬局が増加しています。
そして中小の調剤薬局でも競争力強化に向けて、クレジットカード決済を導入するところも増えているのではないでしょうか。
このことは患者(顧客)の利便性という意味では確かにメリットがあります。
しかしながら、クレジットカードで支払われた報酬が、実際に入金されるのは約1〜2ヶ月後になることもあり、「いくら収益を上げても手元に現金がない」という資金繰りに窮した状態となるのです。
資金繰りを強化するために〜調剤薬局におけるファクタリング活用のメリット~
これまで説明したように、調剤薬局の資金繰りは厳しいものになっています。
さらに今後、自身の薬局の競争力を高めるためにも、収益を増やしていくだけでなく資金繰りの改善が必要になるのではないでしょうか。
そして、調剤薬局の資金調達方法の1つとしてファクタリングの活用も有効です。
これは社会保険や国民健康保険に請求する「調剤報酬債権」をファクタリング業者に売却し、早期に現金化するもので、医療機関などでも一般的になりつつある資金調達方法です。
さらにクレジットカードで支払われた報酬も、ファクタリングを活用して早期に現金化することもできるのです。
中小の調剤薬局では、大手と比較して資金調達の面で苦労が絶えないのではないでしょうか。
ファクタリングも有効に活用して、この苦労から少しでも解放され、その分新しい薬剤知識の習得や患者(顧客)とのコミュニケーションに力を注ぐことが収益力強化と経営改善のポイントだと考えます。
調剤薬局がファクタリングを利用するメリット
ここからは、調剤薬局がファクタリングを利用するメリットについて詳しくみていきましょう。
調剤薬局は審査に通りやすい
基本的に、ファクタリングは審査難易度が低く、調達しやすいのがメリットとされます。
調剤薬局のファクタリングは、一般的なファクタリングよりもさらに審査に通りやすいのがメリットです。
銀行融資との比較、一般的なファクタリングとの比較の二点から、調剤薬局のファクタリングの審査難易度を解説します。
調剤薬局と銀行融資
事業資金の調達は銀行融資が最もポピュラーです。
調剤薬局でも、資金調達の際には銀行融資を真っ先に考えることでしょう。
銀行融資は、多額の資金を調達でき、調達コストも安いため、調剤薬局の資金調達に適しています。
問題は、審査難易度が高いことです。
銀行融資は、融資先の調剤薬局を基準に審査します。
特に重視されるのが、調剤薬局の返済力です。
調剤薬局の業績・財務の推移から返済力を把握し、貸倒れリスクが低いと判断した場合に限って融資します。
返済力に問題がある調剤薬局は、融資を受けることはできません。
近年、銀行融資に苦労する調剤薬局が増えています。
ドラッグストアなどの進出により、調剤薬局を取り巻く環境は大きく変化しています。
売上や利益率の低下に悩む調剤薬局も少なくありません。
売上が悪化している調剤薬局や、利益率が低迷している調剤薬局は、銀行の融資審査に落ちる可能性が高いです。
売上や利益率の悪化は収益力の低下にほかならず、延いては返済力の低下とみなされます。
実際に、これまでは融資を受けられた調剤薬局が、急に融資を受けられなくなるケースも多いです。
赤字決算や債務超過などの問題を抱えている調剤薬局にとって、銀行融資は極めて困難といえます。
融資審査に落ちたらファクタリングを
調剤薬局の経営環境は、さらに悪化することはあっても、改善することは考えにくいです。
銀行融資に依存している調剤薬局は、資金調達方法の多様化が急務となります。
そこで役立つのがファクタリングです。
調剤薬局のファクタリングは、銀行融資よりも圧倒的に審査難易度が低く、簡単に資金を調達できます。
これは、審査基準が異なるためです。
銀行融資は、融資先の調剤薬局を基準に審査します。
これに対し、ファクタリングの審査基準は売掛金です。
調剤薬局ならば、ファクタリングを利用する調剤薬局ではなく、調剤報酬が審査基準となります。
ファクタリング会社は、支払期日前の売掛金を割安に買い取り、支払期日に満額回収することで差額を儲けています。
ファクタリング会社にとって重要なのは、売掛金を回収できるかどうかです。
調剤薬局の経営がいくら順調でも、調剤報酬に問題があれば買い取ることはできません。
逆に、経営に問題を抱えている調剤薬局でも、調剤報酬に問題がなければ審査に通るのです。
したがって、銀行融資を受けられない調剤薬局にはファクタリングがおすすめです。
銀行融資を受けられない理由は様々ですが、以下のように深刻な問題を抱える調剤薬局も、ファクタリングならば調達できます。
- 連続赤字に陥り、黒字化の見通しが立たない調剤薬局
- 債務超過に陥っている調剤薬局
- 返済が滞り、期限の利益を喪失した調剤薬局
- リスケジュール中のため追加融資を受けられない調剤薬局
- 税金や社会保険料を滞納している調剤薬局
調剤薬局とファクタリング
調剤薬局のファクタリングは、一般的なファクタリングと比べても審査に通りやすいです。
上記の通り、調剤薬局のファクタリングは、調剤報酬に問題がなければ審査に通ります。
この「調剤報酬に問題がなければ」という点がポイントです。
調剤報酬は、回収不能リスクがほとんどありません。
売掛先である国保・社保は、保険制度に基づき運営されています。
日本の保険制度が破綻しない限り、調剤報酬が回収不能になることはあり得ないのです。
また、調剤薬局がファクタリングする際には、調剤報酬の支払額決定通知書を提出します。
既に支払いが確定している以上、ファクタリング会社は通知書の通りに回収できるというわけです。
さらに、詐欺のリスク(架空の調剤報酬をファクタリングするなど)も皆無です。
調剤薬局のファクタリングは3社間ファクタリングであり、売掛先(国保・社保)への譲渡通知・承諾手続きが必須となります。
調剤報酬が実在しなければ、売掛先としても承諾のしようがなく、架空債権詐欺は成立しません。
したがって、「調剤報酬が実在している」「調剤報酬の支払額が確定している」という条件を満たせば、ファクタリング会社はほぼノーリスクで買い取ることができます。
これが、調剤薬局のファクタリングが審査に通りやすい理由です。
一般的なファクタリングならば、そうはいきません。
売掛金の回収は、売掛先の支払い能力に左右されるため、常に回収不能リスクがつきまといます。
2社間ファクタリングの場合、売掛金の存在や請求内容について、売掛先に直接確認することも不可能です。
ファクタリング会社は、回収不能リスクや詐欺のリスクを踏まえて審査します。
審査の結果、問題があればファクタリング審査に落ちるのです。
このように考えると、調剤薬局のファクタリングが、一般的なファクタリングよりも審査に通りやすい理由が分かるでしょう。
原則無担保・無保証
調剤薬局のファクタリングに、担保・保証は必要ありません。
無担保・無保証で資金を調達できることも、ファクタリングの大きなメリットです。
調剤薬局の借入れは担保・保証がカギに
調剤薬局が資金を調達する際、担保・保証がカギとなります。
特に銀行融資がそうです。
銀行の判断、担保・保証の有無によって大きく変わります。
銀行から融資を受けている会社のうち、無担保・無保証で銀行融資を受けられるのは全体の1割程度です。
調剤薬局に限定したデータはないものの、おおむね同じと考えてよいでしょう。
なぜ銀行は担保・保証を重視するのでしょうか。
それは、担保・保証が保全になるからです。
銀行融資は、法的には消費貸借に分類されます。
その条文は以下の通りです。
(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
出典:出典:e-Gov法令検索「第五節 消費貸借」
ご存じの通り、銀行融資は返済義務を伴います。
融資を受けた調剤薬局は、計画に沿って返済しなければなりません。
通常、返済は現金(本業で得た利益)によって行いますが、現金以外での返済も可能です。
担保資産の売却や信用保証協会の弁済がそれにあたります。
つまり、担保・保証があれば、融資先の調剤薬局が返済できなくなっても、銀行は損失を軽減できるのです。
したがって、銀行が無担保・無保証で融資するのは、経営が極めて良好な一部の調剤薬局に限られます。
経営基盤がさほど堅固でない中小の調剤薬局は、担保・保証を求められる可能性が高いです。
担保・保証が不足する場合、調剤薬局側の資金需要とは関係なく、融資を拒否されるでしょう。
もちろん、担保・保証だけで決まるわけではありませんが、特に支援すべき理由がない限り、無担保・無保証での借り入れは困難と考えるべきです。
調剤薬局と担保付融資
無担保・無保証では融資を受けられない調剤薬局は、担保・保証を求められます。
ならば担保・保証を提供すればよいかといえば、そう簡単な話ではありません。
特に難しいのが担保付融資です。
日本でも担保資産の対象が広がっており、売掛債権や動産を担保にできるケースが増えています。
調剤薬局には売掛債権(調剤報酬)がありますから、売掛債権担保融資は比較的容易です。
ただし、この記事では、調剤報酬の担保活用ではなくファクタリングを軸に解説するため、売掛債権担保融資は除外して考えます。
動産担保融資、いわゆるABLは調剤薬局に不向きです。
そもそもABL自体さほど普及しておらず、調剤薬局は担保となる動産を所有していません。
ABLの対象となるのは、車両や機械、在庫などです。
調剤薬局は、車両や機械を所有しておらず、在庫も特殊であるため、ABLでの調達は難しいでしょう。
ならば不動産担保はどうでしょうか。
不動産は担保評価がしやすく、銀行は競売のルートやノウハウを持っています。
調剤薬局も、不動産を所有していれば担保付融資を受けられるのですが、実際には困難なケースが少なくありません。
例えば、病院の敷地内で経営している調剤薬局。
近年、このような調剤薬局が増えていますが、この場合、病院から土地を借りる形になります。
当然ながら、土地は調剤薬局の資産ではなく、土地を担保とした借入れは不可能です。
また、建物部分が調剤薬局の所有であっても、やはり通常の担保付融資とは異なります。
借地権付きの建物は、借地契約によって建物部分の担保活用が制限されたり、地主(借地権主)の承諾が必要になったりすることがよくあります。
さらに、担保価値が低くなったり、審査に落ちやすくなったりと、様々な問題があるのです。
以上のように、調剤薬局は他の業種に比べて、担保付融資が難しいといえます。
調剤薬局のファクタリングは無担保・無保証
担保資産を持っておらず、信用保証協会の保証枠にも余裕がない調剤薬局にはファクタリングがおすすめです。
調剤薬局のファクタリングは、原則として無担保・無保証で利用できます。
担保・保証が不足している調剤薬局も、審査に落ちやすくなったり、条件が悪くなったりすることはありません。
そもそも、ファクタリングには担保・保証という概念がありません。
融資には返済義務があるからこそ、貸倒れリスクに備えるためにも、銀行は担保・保証を重視します。
その点、ファクタリングは法的に債権譲渡であり、返済を前提としない取引です。
返済義務がなければ返済不能ということもなく、担保・保証を求める理由がないといえます。
あくまでも、ファクタリング会社にとって重要なのは売掛金です。
また、後述の通り、ファクタリングの契約は「償還請求権なし」が原則です。
回収不能リスクは全てファクタリング会社が負担し、「回収不能になったら担保・保証でカバー」ということもありません。
したがって、調剤薬局の資産状況や保証力とは全く無関係に、売掛金次第で審査に通ります。
ここで思い出したいのは、調剤薬局の売掛金は調剤報酬であるということ。
調剤報酬は回収不能リスクが極めて低い優良債権です。
基本的に、ファクタリング審査に落ちることはなく、スムーズに資金を調達できます。
担保・保証が不足しやすい調剤薬局にとって、調剤報酬で調達できるファクタリングを活用しない手はないでしょう。
開業後まもない調剤薬局でも調達できる
開業したばかりで資金調達に悩んでいる調剤薬局は、ファクタリングがおすすめです。
ファクタリングは業歴を問いません。
開業後間もない調剤薬局でも、無理なく調達できるのがファクタリングのメリットです。
調剤薬局の新規開業率
業歴不問で利用できることは、ファクタリングの代表的なメリットです。
ただし調剤薬局の場合、さほど大きなメリットとはいえません。
というのも、調剤薬局は新規開業率が低いためです。
現在の医療業界は、医薬分業により「診療は病院の業務、調剤は調剤薬局の業務」というように分けられています。
医薬分業が始まったのは1990年代後半のこと。
当初、病院から分離される業務を請け負う形で調剤薬局の新規開業が増え、市場規模も急速に拡大していきました。
その結果、ドラッグストアの調剤薬局への進出、大手調剤薬局チェーンの寡占などにより、個人営業の調剤薬局を取り巻く環境が厳しくなったことも事実です。
医薬分業率の上限は70%とされていますが、2025年現在、医薬分業率は75%に達しています。
調剤薬局が新規に出店する余地は極めて乏しいといえるでしょう。
また、調剤薬局の経営は、地域社会との結びつきも重要です。
その意味でも、調剤薬局が新規開業し、売上を伸ばしていくのは困難といえます。
実際に、調剤薬局が店舗を増やすにあたっては、新規に調剤薬局を出店するよりも、既存の調剤薬局を買収するのが主流となっています。
この傾向は今後も続き、調剤薬局の新規開業は減っていくはずです。
当然ながら、業歴が短い調剤薬局も減少し、「開業したばかりで融資を受けられない」というケースは少なくなるでしょう。
創業期の調剤薬局の苦しさ
とはいえ、調剤薬局の新規開業もゼロではありません。
薬剤師が独立開業することもあれば、中小の調剤薬局が新規に出店することもあります。
開業後間もない時期は資金繰りに苦労します。
売上が安定せず、手元資金も乏しく、さらには資金調達が難しいためです。
とりわけ、調剤薬局の創業期の苦しさは、他の業種とは比較になりません。
他の業種ならば、新商品のメガヒット、流行の先読み、営業活動への注力などによって売上を伸ばすこともできます。
調剤薬局の場合、このような経営努力はほとんど無意味です。
なんといっても、調剤薬局が売るのは薬であり、顧客は患者です。
新しい薬が飛ぶように売れたり、流行に大きく左右されたりすることは基本的にありません。
もちろん、患者の絶対数は大きく変動せず、調剤薬局の販売戦略や宣伝活動などによって急激に患者が増え、売り上げが伸びることもありません。
さらに、多くの患者は特定の調剤薬局を継続利用するため、他の調剤薬局から顧客を奪うことも困難です。
つまり調剤薬局は、売上を伸ばすのに時間がかかり、創業期が長期化する傾向があります。
その期間中、銀行からの融資は期待できません。
銀行は業歴を重視するため、業歴が短い(なおかつ創業期に苦戦しやすい)調剤薬局には容易に融資しないのです。
調剤薬局の新規開業は、開業資金を十分に確保しているかどうか、そして融資以外の方法で資金を調達できるかどうかによって、明暗が分かれます。
ファクタリングは業歴不問
開業後間もない調剤薬局が経営を続けていくには、ファクタリングがカギとなります。
ファクタリングは業歴不問です。
開業から2~3年といった調剤薬局はもちろん、創業1年未満の調剤薬局も利用できます。
これも、ファクタリングの審査基準を考えるとわかるでしょう。
ファクタリング会社は、売掛金の価値に応じて買い取ります。
売掛金の価値を決めるのは請求内容や売掛先であって、調剤薬局の業歴に左右されることはありません。
さらに、調剤薬局の売掛金は調剤報酬です。
業歴が短い調剤薬局でも、業歴が長い調剤薬局でも、調剤報酬は調剤報酬です。
調剤薬局の業歴によって調剤報酬の価値が変わることはなく、優良債権であることは変わりません。
また、調剤薬局が業務を行えば確実に調剤報酬が発生します。
調剤報酬の請求と支払いのサイクルは、「翌月10日に請求、翌々月の末頃に支払い」に固定されています。
1月に開業した調剤薬局であれば、1月分の調剤報酬を2月10日に請求し、支払いは3月末頃です。
したがって、開業の翌月には調剤報酬債権が発生し、ファクタリングで調達できます。
ファクタリング以外の資金調達方法であれば、開業翌月の調達など到底不可能です。
開業したばかりの調剤薬局は、ファクタリングを活用しながら資金繰りを維持し、事業を軌道に乗せることを目指しましょう。
手数料が安い
調剤薬局のファクタリングは、手数料が安いこともメリットです。
一般的なファクタリング手数料
手数料が高いことは、ファクタリングの代表的なデメリットです。
確かに、ファクタリングの手数料は安くはありません。
一般的なファクタリングの場合、手数料率の相場は以下の通りです。
- 2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
- 3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
この手数料率は、他の資金調達方法に比べるとかなり高いといえます。
調剤薬局が銀行から融資を受ける場合、金利は年2~3%程度です。
高金利で有名なビジネスローンでさえ、年15~20%が上限です。
2社間ファクタリングの手数料率を金利に換算すると、1ヶ月後回収予定の売掛金は月利10~30%、年利ならば120~360%になります。
3社間ファクタリングも、年利換算では12~120%と、かなり高い高い水準です。
また現在、ファクタリング手数料に関する上限規制がありません。
審査結果に応じて、ファクタリング会社が自由に設定できます。
当然、上記の相場を超えることもあり得ます。
無計画にファクタリングを利用し、高い手数料をたびたび支払えば、資金繰りの悪化は避けられません。
調剤薬局のファクタリング手数料
もっとも、上記の相場はあくまでも一般的なファクタリングのものです。
調剤薬局のファクタリングには当てはまりません。
調剤薬局が利用する診療報酬ファクタリングは、手数料の安さが特徴です。
具体的な手数料率は業者によって異なりますが、一般的なファクタリングに比べて圧倒的に安いことは間違いありません。
中には1%以下で利用できるケースもあります。
なぜこれほど手数料率が安いのかといえば、調剤報酬が優良債権であるためです。
大抵のビジネスにおいて、リスクとリターンは連動しています。
リスクが低ければリターンも低く、リスクが高ければリターンも大きいのが普通です。
調剤薬局のファクタリングにもこれが当てはまります。
調剤薬局の売掛金は調剤報酬であり、回収不能リスクがほとんどありません。
調剤報酬を買い取りさえすれば、ファクタリング会社の利益は約束されたようなものです。
調剤報酬だからこそ(リスクが低いからこそ)、低い手数料率で買い取ることができる(小さなリターンでも成立する)のが診療報酬ファクタリングです。
また、調剤報酬のリスクは常に一定ですから、手数料率もある程度一定しています。
No.1をはじめ、診療報酬ファクタリングを提供している業者は複数ありますが、業者によって手数料が極端に高くなることはありません。
調達コストを比較
実際に調剤薬局がファクタリングした場合、調達コストはどれくらいかかるのでしょうか。
調剤薬局が1000万円を調達する際の調達コストを、銀行融資・ビジネスローン・ファクタリングでシミュレーションしてみましょう。
【銀行の保証付融資】
まずは銀行融資です。
調剤薬局が銀行から融資を受ける場合、無担保・無保証での調達は難しく、担保・保証の活用が基本となります。
上記の通り、調剤薬局は担保利用に難があるため、ここでは保証付融資を想定します。
調剤薬局の一般的な借入条件を踏まえて、金利は年2.5%、保証料は借入総額に対して1.5%、返済期間を5年間とすると、調達コストの総額(融資実行時に支払う保証料と、返済期間中に支払う利息の合計)は約80万円です。
【ノンバンクのビジネスローン】
次に、ノンバンクのビジネスローン。
銀行融資を受けられない調剤薬局は、次善策としてビジネスローンで調達することも多いです。
ビジネスローンは金利が高く、ノンバンクであれば上限水準に設定することも珍しくありません。
貸付総額が1000万円であれば、金利の上限は年15%。
年利15%・5年返済の条件で調達した場合、調達コストの総額(5年間の支払利息)は約430万円です。
【診療報酬ファクタリング】
最後に診療報酬ファクタリングです。
調剤薬局が診療報酬ファクタリングを利用する際、業者の設定や利用頻度、契約内容(契約期間その他)によっては、額面金額に対して1%以下で利用できることもあります。
ここでは1%と仮定しましょう。
手数料率1%の条件で1000万円の資金を調達するには、約1010万円の売掛金が必要です(1010万円×99%=999.9万円)。
手数料は、買取代金の入金時に額面金額から差し引く形で支払います。
1010万円分の調剤報酬をファクタリング会社に譲渡し、999.9万円の買取代金を受け取る流れです。
手数料は入金時に一括で支払い、その後追加で請求されることはありません。
したがって、調剤薬局が負担する調達コストは10.1万円となります。
以上を比較すると、銀行融資が80万円、ビジネスローンが430万円、ファクタリングが10万円です。
調剤薬局のファクタリングは、銀行融資よりも低コストで調達できることが分かります。
手数料の分だけ調剤報酬が目減りするとはいえ、資金繰りの負担は軽微です。
資金繰りが苦しい調剤薬局にも使いやすいのが、ファクタリングの大きなメリットといえます。
利便性が高い
調剤薬局の資金調達方法は色々ありますが、利便性に最も優れているのはファクタリングです。
手軽に調達できるファクタリングを取り入れることで、調剤薬局の資金繰りが柔軟になります。
調剤薬局のファクタリングに必要な書類
調剤薬局が資金を調達する際、利便性を大きく左右するのが必要書類です。
銀行から融資を受けるには、中長期の決算書、今期の月次試算表、資金繰り表、経営計画書などを基本として、資金使途に応じて追加書類を求められます。
書類の作成に手間がかかり、手間をかけて準備しても審査に通るとは限りません。
家族経営の調剤薬局をはじめ、小規模な調剤薬局ならば経営者自身が書類を作成することも多いでしょう。
その負担に耐えられず、ビジネスローンで妥協する調剤薬局もあるのです。
そこで、調剤薬局にはファクタリングがおすすめです。
調剤薬局のファクタリングは、簡単な書類だけで利用できます。
必要書類はファクタリング会社ごとに異なるものの、基本的な書類は共通しています。
基本書類は以下の通りです。
- 調剤薬局の代表者の本人確認書類
- 調剤薬局の概要がわかるもの
- 調剤報酬等支払額決定通知書
- 決算書
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 納税証明書
各種証明書は、取得に時間がかかることもありますが、提出するのは初回利用時だけです。
同じく、本人確認書類や調剤薬局の概要書類も初回に限って提出します。
毎回提出するのは、調剤報酬等支払額決定通知書です。
とはいえ、すでに手元にある通知書をそのまま提出するだけですから、調剤薬局には何ら負担になりません。
決算書も、手元にあるものをそのまま提出します。
このように考えると、調剤薬局のファクタリングは、書類の作成・取得にほとんど手間がかからず、簡単に申し込めることが分かるでしょう。
これが、調剤薬局のファクタリングが便利といわれる理由です。
継続利用が基本
ファクタリングには、単発利用と継続利用があります。
一般的なファクタリングの場合、資金が必要な時だけ利用することも多く、単発利用が主流となっています。
これに対し、調剤薬局のファクタリングは継続利用が基本です。
初回利用時、調剤薬局とファクタリング会社の間で利用契約を結ぶわけですが、その際に継続期間・契約更新・契約解除などを取り決めます。
あまりにも長い契約、自動更新や更新手数料、契約解除の申請時期や解約手数料などには注意が必要です。
しかし、継続利用は必ずしもデメリットではありません。
常識的な契約であれば、むしろ利便性がメリットになるといえます。
単発利用の場合、毎回契約を結ぶ必要があり、契約時に対面や郵送手続きを求められることも多いです。
単発利用を重ねたからといって、手続きが大幅に簡略化されることはありません。
一方、継続利用の場合、契約期間中は一定の条件が適用されるため、簡単な手続きでスムーズにファクタリングできます。
調剤薬局は、毎月発生する調剤報酬によって安定的に調達するのが望ましく、継続利用は理想的な契約です。
スピーディに調達できる
調剤薬局のファクタリングは、資金調達スピードにも優れています。
調剤薬局の資金繰りでは、スピーディな資金調達を求められることもしばしばです。
その際、融資その他の資金調達方法はあまり頼りになりません。
特に銀行融資は、早くて数週間、大抵は1ヶ月程度を要します。
「今週中に」「月末までに」など、資金調達を急いでいる調剤薬局の場合、融資では間に合わず資金ショートを起こす危険があるのです。
融資のうち、調剤薬局がスピーディに調達できる可能性があるのはビジネスローン。
しかし、最短即日融資を謳うノンバンクでさえ、実際には数営業日を要することがほとんどです。
資金調達を急いでいる調剤薬局は、ファクタリングを活用しましょう。
調剤薬局のファクタリングは、業者によって対応が異なるものの、融資よりも圧倒的にスピーディです。
同じファクタリング会社を継続的に利用することで、資金調達スピードはさらにアップします。
継続利用の調剤薬局は、初回利用よりも提出書類が少なく、審査が簡易的になることも多いため、数日中に調達できるのです。
現時点で資金繰りに余裕がある調剤薬局も、早い段階でファクタリングを取り入れることをおすすめします。
そうすることによって、いざというときにスピーディな調達が可能となり、資金ショートの回避に役立つことでしょう。
多額の資金調達に利用できる
一般的に、ファクタリングは短期的・少額の資金調達に役立つ方法とされています。
しかしながら、長期的・多額の資金調達に使えないわけではありません。
調剤薬局のファクタリングは、数千万円以上の資金調達にも対応しており、うまく取り入れることで調剤薬局の経営に様々な効果をもたらします。
調剤薬局はM&Aが活発
調剤薬局の資金繰り・資金調達の特徴のひとつに、多額の資金調達があまり必要ないということが挙げられます。
製造業ならば製造設備の導入、斜陽産業に属する業種では新規事業展開のために、数千万円単位で調達することも多いです。
これに対し、調剤薬局は設備投資の機会が少なく、経営の多角化も一般的ではありません。
調剤薬局が他の業種と大きく異なるのは、M&Aが活発ということです。
調剤薬局は、事業の性質が特殊であることから、新規店舗を出店するよりも既存の調剤薬局を買収することで業容拡大を目指します。
大手調剤薬局の寡占が進む現在、調剤薬局が競争力を維持していくためには、M&Aによる展開が重要になるでしょう。
とはいえ、調剤薬局にとって、多額の資金調達は容易ではありません。
現在は経営が良好であり、返済力に問題がない調剤薬局は、運転資金などの短期資金はスムーズに調達できるでしょう。
しかし、そのような調剤薬局も長期借入となれば話は別です。
多額の資金を調達する場合、長期借入となり、数年間にわたって返済を続けていきます。
銀行は、現在の返済力だけではなく、将来的な(返済期間中の)返済力も考慮します。
借入額が大きいほど返済期間は長期化し、審査が厳しくなるというわけです。
調剤薬局を取り巻く環境は厳しく、将来的な返済力が問題になることが多々あります。
実際に、銀行から多額の融資を断られ、M&Aの計画が破綻するケースが少なくないのです。
ファクタリングの調達上限
多額の資金調達に悩んでいる調剤薬局は、ファクタリングを活用してください。
一般的なファクタリングの場合、数十万円~数百万円を上限とするサービスもあります。
しかし、調剤薬局のファクタリングは、ほとんどの業者が数千万円以上の調達に対応しています。
中小のファクタリング会社ならば数千万円、銀行系・ノンバンク系のファクタリング会社ならば数億円~上限なしで対応する業者が多いです。
No.1も、売掛金1件につき5000万円を上限に買い取っています。(お客様のご要望に応じて上限なしで対応)
なお、実際の調達上限は、調剤薬局の手元にある調剤報酬で決まります。
ファクタリングは、支払期日前の確定債権を買い取るサービスです。
調剤薬局が毎月の締め日に調剤報酬を請求し、確定した調剤報酬債権だけを買い取ります。
前回の請求から現在までの間にも調剤報酬は発生しているものの、未請求・未確定の部分はファクタリングの対象外です。
したがって、調剤薬局のファクタリングで調達できるのは、「支払決定通知を受け取った調剤報酬-手数料=上限金額」となります。
調剤薬局は、他の業種に比べて回収サイトが長く、手元の売掛金が増える傾向があります。
もちろん、売上が大きい調剤薬局ほど手元の売掛金は多く、ファクタリングで調達できる上限額も大きいというわけです。
調剤薬局の売上にもよりますが、それなりにまとまった資金を調達できるはずです。
業容が小さい調剤薬局がM&Aに取り組む場合、ファクタリングだけでは足りないこともあるでしょう。
その場合、銀行融資とファクタリングを組み合わせるのがおすすめです。
必要資金を全額融資で調達するのは困難であっても、一部をファクタリングで代替することで、融資のハードルが下がります。
調剤薬局の資金繰り改善に役立つ
調剤薬局のファクタリングは、資金繰り改善に効果的です。
資金繰りが苦しいと感じている調剤薬局は、ファクタリングを活用してください。
調剤薬局の資金繰り
調剤薬局の資金繰りが苦しい理由は、調剤報酬の回収サイトが長いためです。
売掛先に請求してから、代金を回収するまでの期間を回収サイトといいます。
回収サイトが長いほど手元の売掛金が増え、資金繰りを圧迫するのです。
令和元年の中小企業白書によれば、全業種平均の回収サイトは1.23ヶ月。
中央値は1ヶ月程度でしょう。
当月の売上を当月末に請求し、翌月末に回収するといったケースが一般的です。
これに対し、調剤薬局は請求・回収のサイクルが特殊となっています。
調剤薬局の場合、当月の調剤報酬を請求するのは翌月10日、調剤報酬債権を回収するのは翌々月の末頃です。
請求から支払いまでという意味では、回収サイトは約1.5ヶ月。
しかしながら、当月末の締め日から請求までの10日間を考えると、実質的な回収サイトは2ヶ月弱と考えるのが妥当でしょう。
つまり、調剤薬局の回収サイトは、他の業種に比べて1ヶ月ほど長いのです。
調剤薬局の資金繰りが苦しい理由はここにあります。
調剤薬局は資金繰り改善が難しい
回収サイトが長いほど資金繰りが悪化するのが資金繰りの原則です。
当然、回収サイトの長期化によって悪化した資金繰りは、回収サイトの短縮によってのみ改善できます。
新規取引の際に有利な支払条件で契約したり、売掛先に交渉することで既存の支払条件を見直してもらったりすることで、回収サイトの短縮を図ります。
しかしながら、調剤薬局にはそれができません。
というのも、調剤薬局の売掛先は国保や社保であり、支払条件は制度によって固定されているからです。
調剤薬局が支払条件の見直しを求めても、支払条件が変わることはありません。
調剤薬局が支払条件の見直しを求めずとも、制度自体が改訂されれば支払条件が変わります。
これが、調剤薬局の資金繰り改善の難しさです。
資金繰り悪化の原因(回収サイトの長期化)が明らかでありながら、「どうしようもない」と考え、苦しい資金繰りに甘んじる調剤薬局も少なくありません。
調剤薬局の資金繰り改善はファクタリング一択
調剤薬局が資金繰りを改善できる唯一の方法はファクタリングです。
ファクタリングには資金繰り改善効果があります。
調剤薬局のファクタリングは法的に債権譲渡であり、調剤報酬債権をファクタリング会社に譲渡するものです。
ファクタリング会社と債権譲渡契約を結んだ時点で、債権者は調剤薬局からファクタリング会社に変わります。
その後、債権譲渡通知が完了次第、買取代金が振り込まれます。
これにより1.5ヶ月~2ヶ月という長い回収サイトを、ファクタリングによって簡単に短縮できるのです。
帳簿の上でも、ファクタリングした分だけ調剤報酬債権が減少、買取代金の分だけ現金預金が増加。
回収サイトが短くなると同時に手元の調剤報酬債権が減少し、調剤薬局の資金繰りは確実に改善されます。
ただし、ファクタリングの資金繰り改善効果は永続するものではありません。
制度が変わらない限り、次回の請求で発生する調剤報酬債権の回収サイトは1.5ヶ月~2ヶ月のままです。
調剤薬局が資金繰りを良好に保つには、ファクタリングの継続利用がポイントとなります。
もっとも、調剤薬局のファクタリングは継続利用が基本ですから、資金繰りの改善だけではなく維持にも効果的です。
安全性が高い
最後に、安全性の高さ。
調剤薬局のファクタリングは、一般的なファクタリングに比べて安全性が高いのがメリットです。
ファクタリングと悪質業者
現在、ファクタリング業界では悪質業者が問題視されています。
もちろん、既に解説した通り、調剤薬局のファクタリングは合法的な仕組みです。
しかし、ファクタリングを装う悪質業者が存在します。
このことについて、金融庁は以下のように注意を喚起しています。
中小企業の経営者などを狙い、貸金業登録を受けていない者が、ファクタリングを装って、業として、貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が確認されています。
出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
貸金業登録を受けていない貸金業者のことをヤミ金といいます。
つまり、金融庁は「ファクタリングを装う悪質業者=ヤミ金」と断定しているわけです。
いくらファクタリングにメリットがあるとはいえ、それはあくまでも正規・合法のファクタリングを活用した場合です。
悪質・違法な業者を利用すれば、メリットが全く得られなくなるばかりか、法外な手数料の請求、違法な取り立てなどによって経営が悪化する恐れがあります。
調剤薬局のファクタリングは安全
ただし、調剤薬局のファクタリングに限っては、悪質業者の心配がありません。
なぜならば、悪質業者にとって全くうま味がないからです。
ファクタリングの手数料には規制がないため、手数料が高くなることがあります。
利用会社の知識や経験が乏しい場合、悪質業者の提示する手数料が法外であっても、違法と見抜けずに騙されることがあるのです。
ところが、調剤薬局のファクタリングは、一般的なファクタリングに比べて手数料が安いのが特徴です。
調剤薬局の方でも、手数料が安いことを十分に知ったうえで利用しています。
悪質業者から高い手数料を提示されても、調剤薬局がすんなり受け入れることはありません。
「調剤薬局を騙して暴利を得る」ということが成り立たないのです。
また、調剤薬局のファクタリングが調剤報酬債権を対象としていることも、悪質業者にとって不都合です。
調剤報酬債権は、診療報酬ファクタリングによって買い取ります。
通常のファクタリングとは仕組みが異なり、必要書類や審査方法も特殊です。
さらに、3社間ファクタリングが基本となれば、悪質業者が取り扱うのは困難です。
実際、調剤薬局のファクタリングに対応しているのは、銀行・ノンバンク系列のファクタリング会社のほか、独立系でもごく一部(診療報酬専門の業者や、No.1をはじめとする優良業者)に限られます。
専門性に長け、ノウハウや実績が豊富な業者でなければ、調剤薬局のファクタリングには対応できません。
以上のように考えると、悪質業者が調剤薬局を相手にしない理由が分かるでしょう。
ファクタリングの経験がない調剤薬局も、安心して利用できます。
調剤薬局がファクタリングを利用するデメリット
調剤薬局のファクタリングには様々なメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
調剤薬局がファクタリングする際には、以下の点に気を付けてください。
調達に時間がかかる
まず、調剤薬局のファクタリングは調達に時間がかかります。
融資などに比べると圧倒的にスピーディですが、一般的なファクタリングに比べると遅いのです。
一般的なファクタリングは2社間ファクタリングに対応しています。
2社間ファクタリングは最短即日が基本であり、オンライン対応ならば最短数時間での調達も可能です。
これに対し、調剤薬局のファクタリングは3社間ファクタリングのため、最短で数日~1週間程度を要します。
特に、初回利用の調剤薬局は注意が必要です。
たとえば、初回に限って利用審査・登録手続きなどを厳しく実施し、申し込みから実際の買い取りまでに1ヶ月程度かかることがあります。
このようなケースは、銀行系のファクタリングなどに多いようです。
契約を結んでしまえば、2回目以降はスピーディに調達できるのが普通ですが、それも業者によりけりです。
資金調達スピードはファクタリングの大きなメリットですから、調達に時間がかかりすぎる業者は避けた方が良いでしょう。
調剤薬局がファクタリングする際には、公式HPの情報をチェックしたり、直接問い合わせたりすることによって、調達の目安を把握してください。
掛け目がある
調剤薬局のファクタリングには掛け目があります。
掛け目は、担保付融資の際に利用される仕組みです。
掛け目を適用することで、融資上限を担保価値よりも低く設定し、リスクを軽減できます。
有価証券ならば、掛け目は90%が目安です。
時価1億円の有価証券に90%の掛け目を適用すると、融資上限は9000万円。
これによって、有価証券の下落に備えることができます。
調剤薬局のファクタリングは融資ではないものの、担保付融資と同様に掛け目を用いるのが一般的です。
調剤薬局のファクタリングに掛け目があるのは、支払額の変更に備えるためです。
基本的に、調剤報酬債権は支払額決定通知書の通りに支払われます。
しかしながら、支払額が変わることもないわけではなく、支払額が減額になることも。
調剤薬局から掛け目なし(額面金額の100%)で買い取り、後に減額になれば、ファクタリング会社は損失を被ります。
これに備えるために、調剤薬局のファクタリングでは掛け目を用いるのです。
掛け目は業者によって異なりますが、額面金額に対して85%が目安となります。
1000万円分の調剤報酬債権を掛け目85%でファクタリングする場合、額面金額のうち850万円が買取対象です。
150万円の掛け目部分はファクタリング会社の預かりとなり、支払期日に調剤報酬債権を回収した後、調剤薬局に返還されます。
掛け目があるからといって、調剤薬局が損をするわけではありません。
とはいえ、売掛金の全額をファクタリングできないため、調達効率が低下することは事実。
調剤薬局がファクタリング会社を選ぶ際には、なるべく掛け目が高い業者を選ぶのがポイントです。
継続利用が基本
すでに解説した通り、調剤薬局のファクタリングは継続利用が基本となります。
これは、調剤薬局にとってメリットになることが多いのですが、いくつかの点に注意が必要です。
まず、継続利用の意味合い。
これは、「契約期間中、必要に応じて自由にファクタリングできる」という場合と、「契約期間中、一定額を毎月ファクタリングしなければならない」という場合があります。
後者の場合、調剤薬局の資金繰りとは無関係にファクタリングを繰り返します。
調剤薬局のファクタリングは手数料が安いのがメリットです。
とはいえ、必要のないタイミングでファクタリングすれば、無駄なコストが発生します。
次に、契約期間にも注意が必要です。
契約期間があまりにも長い場合、調剤薬局の経営にマイナスになるかもしれません。
例えば、長期間にわたって一定額を毎月ファクタリングする契約は、調剤薬局にとって不利になる可能性が高いです。
契約期間が長くても、解約のハードルが低ければさほど問題になりません。
しかし実際には、解約手数料を請求されることが多く、解約したくてもできないケースがあります。
このほか、契約の更新についてもしっかりチェックしてください。
契約更新の時期はもちろんのこと、更新手数料の有無、更新方法は要チェックです。
更新手数料が高額であれば、契約期間の短さはむしろデメリットといえます。
更新方法のうち、自動更新は慎重に検討すべきです。
自動更新の場合、条件次第では以下のような悪循環に陥る危険があります。
- 更新月の数ヶ月前に申請しなければ自動更新となり、更新手数料が発生。
- 新たな契約期間中、一定額を毎月ファクタリングしなければならず、無駄な手数料が発生。
- 更新を取り消すには解約するほかなく、高額の解約手数料が発生。
ただし、自動更新は手間がかからないのがメリットです。
更新手数料や解約手数料がかからない(あるいは安い)、契約期間中の利用が自由であるなど、条件次第では自動更新も良いかもしれません。
調剤薬局ごとに、ファクタリングに求める条件は異なります。
契約期間、解約・更新の条件だけではなく、手数料・資金調達スピード・利便性なども考慮しつつ、総合的に判断してください。
まとめ:調剤薬局のファクタリングはNo.1におまかせください
この記事では、調剤薬局のファクタリングについて詳しく解説しました。
調剤薬局は、診療報酬ファクタリングを利用することで調剤報酬債権を資金化できます。
調剤報酬債権は優良債権ですから、調剤薬局の状況を問わず、簡単に資金を調達できます。
また、手数料の安さも大きな魅力です。
業種によってファクタリングの相性は様々ですが、調剤薬局は特に相性が良い業種といえるでしょう。
No.1では、通常のファクタリングのほか、診療報酬ファクタリングも取り扱っています。
調剤報酬債権の買取実績は業界トップクラスであり、調剤薬局の資金繰り・資金調達に精通した専門家も在籍しています。
調剤薬局でファクタリングをご検討中の方は、No.1までお気軽にお問い合わせください。
ファクタリングなら株式会社No.1 詳細情報
株式会社No.1の各サービスの紹介は下記からご覧ください。
ご不明点やご質問はお気軽にお問い合わせください。
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