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売上債権回転期間をチェックしよう。売掛債権回転期間を短縮するコツも徹底解説

近年、政府は売掛債権の活用を促しています。
これは、売掛債権を担保にしたり、早期資金化したりすることによって、資金調達に活用することです。
売掛債権で資金を調達する際に大きく関わってくるのが売掛金です。

売掛金の入金が安定して行われているのであれば、資金繰りの悪化は起こりにくいでしょう。

しかし売掛金の入金が滞るようなことがあると、資金繰り計画が狂ってしまいます。

取引先の資金繰りが悪化してしまえば、売掛金が計画的に入金されないことも十分に考えられるわけです。

リスクを少しでも回避するために、売掛金を定期的に早期資金化している方も少なくありません。

そこで注目してほしいのが「売上債権回転期間」です。

こちらでは売上債権回転期間の計算方法、および理想的な売上債権回転期間、売掛債権回転期間を短縮するコツについて解説します。

売掛債権(売掛金)についての詳しい説明はこちら

売掛債権回転期間とは?

 
売掛債権回転期間は、売掛債権を管理するうえで重要な指標です。
信用取引や手形取引など、代金後払いの契約で取引した際には売掛債権が発生します。
売上債権とは売掛金や受取手形のことを指しています。
つまり売掛債権は、支払期日に売掛先から代金を受け取る権利です。
逆にいえば、売掛債権があることによって、支払期日まで代金の受け取りを待たなければなりません。
この支払待ちの期間を「売掛債権回転期間」といいます。
いわゆる「回収サイト」というのも、売掛債権回転期間とほぼ同じ概念です。
それらがどの程度の間隔で入金されているのかを把握することで、回収がうまくいっているのか、それともうまくいっていないのかがわかります。

売上債権回転期間の計算方法とは?

 
売掛債権回転期間の計算方法はいたって簡単です。
【売上債権回転期間=(売掛金+受取手形)÷(売上高÷365日)】

以上の計算式に当てはめて計算するだけで、売上債権回転期間がわかります。

計算式を見てるだけでは意味がないので、実際に計算してみましょう。

以下の条件で計算してみます。

売掛金・・・1,000万円
受取手形・・・300万円
売上高・・・4,000万円

計算式は「(1,000万円+300万円)÷(4,000万円÷365日)」となります。

計算結果は「約119日」となりました。

発生した売上債権は約119日で回収できている、ということになるわけです。

ではもう一つの例で計算してみましょう。

売掛金・・・500万円
受取手形・・・300万円
売上高・・・1億2,000万円

前述した例よりも売上債権が少なく、売上高は高くなっています。

計算式は「(500万円+300万円)÷(1億2,000万円÷365日)」となります。

計算結果は「約24日」となりました。

売上債権は約24日で回収できている、ということになるわけです。

もちろん貸し倒れ分などは計算できてはいませんが、大まかな売上債権の回収間隔が計算できる方法です。

とりあえず自社の現状で計算してみてください。

その期間によっては何かしらの対策を考えなければなりませんよ。

売掛債権回転期間が長いとどうなる?

 
売掛債権回転期間を理解することで、売掛債権と資金繰りの関係がわかります。
資金繰り悪化の原因として、よくいわれるのが売掛債権回転期間の長期化です。
これは、売掛債権が資金繰りの負担になるためです。
上記の通り、売掛債権は支払期日に代金を受け取る権利であると同時に、支払期日まで代金の受け取りを待つ義務でもあります。
売掛先が支払うべき代金を、一時的とはいえ自社が立て替えるようなものです。
つまり、売掛債権には立替資金としての側面があり、この立替負担が資金繰りを圧迫します。
支払期日前に入金されることは稀ですから、基本的には支払期日を待たなければ、売掛債権は現金に変化しません。
入金がない中で資金繰りを回さなければならず、支払いを待っている間に資金繰りがショートし、倒産することを「黒字倒産」といいます。
したがって、「手元の売掛債権が増加すれば資金繰りが悪化し、手元の売掛債権が減少すれば資金繰りが改善する」というのが資金繰りの原則です。
このように考えると、手元の売掛債権の増加が、資金繰り悪化につながることがわかるでしょう。
売掛債権回転期間が長期化すれば、手元の売掛債権は確実に増加します。
例えば、年商が1億2000万円、売掛債権回転期間が30日の場合、手元の売掛債権の平残は1000万円。
年商1億2000万円、売掛債権回転期間60日であれば、手元の売掛債権の平残は2000万円となります。
これをみれば、売掛債権回転期間の長期化が売掛債権の増加をもたらし、資金繰りを悪化させることは明らかです。

理想的な売上債権回転期間とは?

 
結論から言えば、売掛債権回転期間は短ければ短いほど良い、ということになります。
では、どの程度であれば理想的な売掛債権回転期間といえるのでしょうか。
令和元年の中小企業実態基本調査によれば、全業種平均の売掛債権回転期間は1.23ヶ月(36.9日)となっています。
これが、売掛債権回転期間のひとつの目安になるでしょう。

しかし、全業種平均の売掛債権回転期間は、あくまでも目安であって理想ではありません。
売掛債権回転期間は業種によって異なり、理想的な売掛債権回転期間も様々です。
例えば、同調査において、売掛債権回転期間が最も短いのは宿泊業・飲食サービス業(0.25ヶ月=7.5日)、売掛債権回転期間が最も長いのは製造業(2.09ヶ月=62.7日)となっています。
宿泊業や飲食サービス業は、現金払いの比率が高い業種です。
会計時に現金で即座に決済すれば、売掛債権回転期間は0日。
クレジットカードで決済すれば売掛債権が発生しますが、それでも売掛債権回転期間は短くなります。
現金即時払いの比率が低いほど、相対的に後払いの比率が高くなり、売掛債権回転期間も長くなるというわけです。
理想的な売掛債権回転期間は、自社の業種によって考えるべきでしょう。
例えば、宿泊業で売掛債権回転期間が30日の場合、全業種平均よりは短いものの、宿泊業の売掛債権回転期間としては問題があります。
製造業で売掛債権回転期間が45日であれば、全業種平均よりは長いものの、製造業の売掛債権回転期間としてはそれなりに良好です。

自社の売掛債権回転期間を計算してみて、業種平均を大幅に超過しているようであれば、売上債権回転期間が長すぎるということになります。
その原因は、売掛債権の回収がうまくいっていない(自社で請求漏れが発生してる、売掛先が支払いを遅延している、支払期日そのものに問題があるなど)、と考えられるわけです。

売掛債権回転期間を短縮する4つの方法

 

売掛債権回転期間の長期化によって資金繰りが悪化している場合、何かしらの対策を考えなければなりません。
主な対策は以下の4つです。

  • 契約時に有利な支払条件を獲得する。
  • 売掛先に交渉し、支払期日を見直してもらう。
  • 売掛先に交渉し、一部を前払いにしてもらう。
  • 売掛債権を早期資金化する。

契約交渉で売掛債権回転期間を短縮

 
「売掛債権回転期間の短縮」といえば、事後的な対策ばかりを考えがちです。
しかし、事前の対策は一層重要といえます。
そもそも、売掛債権回転期間が長期化した最大の理由は、不利な契約にあります。
自社の方が立場的に弱かったり、過度な売上主義に走ったりした場合、支払条件が自社に不利になることが多いです。
時には妥協することも必要ですが、粘り強く交渉し、できるだけ有利な条件を獲得するべきです。
不利な条件を受け入れ、売掛債権回転期間の長期化を招いてきた会社は、方針を一新しましょう。
今後の新規契約では支払期日をシビアに考え、できるだけ有利な条件を目指すのです。
少なくとも、支払期日を現在の売掛債権回転期間と同水準に設定することで、売掛債権回転期間のさらなる長期化を防ぐことができます。
その上で、現在の売掛債権回転期間よりも短く設定すれば、売掛債権回転期間は確実に短くなります。
例えば、年商1億円・手元の売掛債権の平残が1250万円の場合、売掛債権回転期間は45.6日です。
この会社が、新たに年間1200万円の契約を結ぶとしましょう。
このとき、新規契約の支払いサイクルが60日であれば、売掛債権回転期間は47.3日に伸びてしまいます。
従来と変わらない45.6日サイクルで新規契約した場合、契約後の売掛債権回転期間は変わらず45.6日。
もし、30日払いの条件を獲得できれば、契約後の売掛債権回転期間は44.0日に短縮されます。
毎回、目立った成果が得られるとは限らず、うまくいかないことも多いはずです。
しかし、長期にわたって取り組めば、売掛債権回転期間は徐々に適正水準に落ち着くでしょう。

支払期日の見直しで売掛債権回転期間を短縮

 
現在、既に売掛債権回転期間が長期化しているならば、売掛先に契約の見直しを求めることも重要です。
新規契約をシビアに、既存の契約でも積極的に働きかけることで、売掛債権回転期間の短縮が加速します。
契約の見直しによって売掛債権回転期間を短縮するコツは、取引額が特に大きい売掛先、または売掛債権回転期間が特に長い売掛先に注力することです。

取引額が大きい売掛先と交渉する

 
例えば、年商1億円のうち、売掛先Aとの取引が7000万円、売掛先B・C・Dがそれぞれ1000万円、全ての売掛先が売掛債権回転期間45日としましょう。
この場合、売掛先Bに支払条件の見直しを求め、売掛債権回転期間30日の条件を勝ち取ったとしても、全体の売掛債権回転期間は43.5日に短縮するだけで、成果は微々たるものです。
ところが、売掛先Aの売掛債権回転期間を30日に短縮できれば、全体の売掛債権回転期間は34.5日となり、大幅な短縮になります。
したがって、取引額が大きい売掛先を優先的に交渉することが、売掛債権回転期間を短縮するポイントです。

売掛債権回転期間が長い売掛先と交渉する

 
ただし、単純に取引額だけで判断するのは禁物です。
計算式からも分かる通り、売掛債権回転期間は手元の売掛債権によって決まります。
いくら取引額が大きくても、すでに売掛債権回転期間が短ければ、手元の売掛債権が増加することはありません。
その場合、売掛債権回転期間が長い売掛先に注力してください。
年商1億円のうち、売掛先Aとの取引が7000万円・売掛債権回転期間30日、売掛先B・C・Dはそれぞれ取引額1000万円・売掛債権回転期間60日とします。
この場合、売掛債権回転期間の平均は39日です。
業種平均の売掛債権回転期間が30日程度であれば、売掛先Aとの交渉は難航するでしょう。
交渉の結果、売掛先Aの売掛債権回転期間を25日に短縮しても、全体の売掛債権回転期間は35.5日になるだけで、さほど大きな効果は得られません。
一方、売掛先B・C・Dとの交渉を優先し、それぞれ売掛債権回転期間35日の条件を勝ち取れば、全体の売掛債権回転期間は業種平均にかなり近い31.5日まで短縮できます。
その後、売掛先Aと粘り強く交渉し、幾日かでも売掛債権回転期間を短縮できれば、さらなる効果が得られるでしょう。

以上のように、売掛債権回転期間の短縮は「取引額が大きい売掛先」または「売掛債権回転期間が長い売掛先」に交渉するのがポイントです。
もし「取引額が大きく、売掛債権回転期間が長い売掛先」があれば、最優先すべきことは言うまでもありません。

一部前払いで売掛債権回転期間を短縮

 
売掛先と交渉する際、支払期日の見直しだけではなく、支払条件の案分を見直すことでも売掛債権回転期間を短縮できます。
簡単にいえば、売上の一部を前受金や手付金の形で受け取ることです。
これも、簡単な例でみてみましょう。
年商1億円・売掛債権回転期間45日の会社が、支払条件を「前払いゼロ」から「年間1000万円を前払い」に変更した場合、売掛債権回転期間は42日になります。
もちろん、前払いの金額が大きいほど効果的です。
年間2000万円が前払いになれば売掛債権回転期間は38.9日に短縮、年間3000万円が前払いになれば売掛債権回転期間は35.9日に短縮。
たとえ一部でも、前払いは売掛先にとって大きな負担になります。
したがって、前払いできる金額には限界があり、経営が苦しい売掛先から獲得できる前払いは少額になるでしょう。
支払期日の見直しよりも、売掛債権回転期間の短縮効果は少ないです。
とはいえ、前払いも交渉カードのひとつには違いありません。
一部前払いを積極的に求め、売掛先が拒否すれば「では、前払いゼロの代わりに支払期日の見直しを…」といった交渉も考えられます。
このほか、売上の一部を前払いしてもらうだけではなく、取引の進捗に応じて分割払いを受けることも、売掛債権回転期間の短縮に効果的です。

売掛債権の早期資金化で売掛債権回転期間を短縮

 
最後に、売掛債権の早期資金化も売掛債権回転期間の短縮に役立ちます。
売掛債権の早期資金化には、売掛金の譲渡や、手形の割引があります。
売掛債権を早期資金化すれば、仮に2ヶ月先に入金予定の売掛金であったとしても、支払期日を待たずに回収可能です。受取手形は、売掛金よりも支払いが遅く、手形取引の比率が高いほど売掛債権回転期間は長期化する傾向があります。
その場合も、手形割引によって早期資金化することで、売掛債権回転期間を短縮できます。
なお、「早期資金化」という言葉からも分かるように、支払期日前の売掛債権が前提です。
支払期日を過ぎた売掛金や、不渡りになった手形は使えません。
売掛債権の早期資金化のうち、近年、特に発達しているのが売掛金の買い取りサービスです。
買い取りの方式にもよりますが、申し込みの当日中に入金を受けられるサービスも増えてきました。
買取手数料によって多少目減りするものの、売掛債権回転期間の短縮に役立ちます。
例えば、手元の売掛債権が1500万円、年商1億2000万円の場合、売掛債権回転期間は45.6日。
手元の売掛債権を全て早期資金化すれば、その時点で売掛債権回転期間はゼロになります。
ただし、持続性はありません。
現在、手元にある売掛債権を早期資金化しても、次回の取引で売掛債権が発生し、売掛債権回転期間も従来と同じです。
売掛債権回転期間が短い状態を保つには、発生する売掛債権をその都度資金化する必要があります。
したがって、売掛先に交渉しつつ、必要に応じて売掛債権を早期資金化するのがポイントです。
売掛先との交渉は容易ではなく、売掛債権回転期間の短縮には時間がかかります。
大して効果を得られないうちに資金繰りがショートしては元も子もありません。
それを避けるためにも、売掛債権の早期資金化によって売掛債権回転期間を短期的にコントロールし、売掛先との交渉によって抜本的な短縮を図りましょう。

まとめ:売掛債権回転期間でお悩みの方はNo.1にご相談ください

この記事では、売掛債権回転期間の計算方法や短縮のポイントについて解説しました。
売掛債権回転期間を短縮する方法は複数ありますが、基本的には売掛先との交渉が必要であり、長い時間をかけなければなりません。
すでに売掛債権回転期間の長期化が深刻な会社は、黒字倒産の危険があります。
それを避けるには、売掛債権の早期資金化が効果的です。
売掛債権を早期資金化すれば、売掛債権回転期間を短縮しつつ、資金繰りに必要な資金を確保できます。
No.1では、支払期日前の売掛金を好条件で買い取っています。
また、コンサルティングも手掛けており、専門家のサポートによって売掛債権回転期間を短縮することも可能です。
売掛債権回転期間でお悩みの方は、No.1までお気軽にご相談ください。

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