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【2024年版】経営者が知っておくべき法人向け資金調達方法22選
法人が活用できる資金調達方法には、様々な方法があります。多くの法人で活用されている方法だけでも、20以上の方法があるのです。
健全な資金繰りのためには、柔軟な資金調達が不可欠です。多くの資金調達方法を知り、自社の状況に合わせて利用していくことが、資金繰りの維持・改善に役立ちます。
そこで本稿では、2024年、経営者が知っておくべき22の資金調達方法を紹介していきます。
資金調達方法をどれだけ知っている?
会社が事業を続けていくためには、資金繰りがうまく回っていくことが欠かせません。このため、例外なく全ての会社で資金調達が必要となります。
ただし、一口に資金調達といっても、その方法は多岐にわたります。伝統的な調達方法もあれば、時代と共に進化した方法や新たに生み出された方法もあります。
中小企業の経営者が、資金繰りをうまく回していくためには、できるだけ多くの資金調達方法を知っておくこと、または多くの資金調達方法を提案してくれるコンサルタントの協力を得ることが欠かせません。
しかし、中小企業の経営者が実際に活用している資金調達方法はそれほど多くありません。一般的に活用されている方法といえば、
- 銀行融資
- 資産売却
- 手形割引
などが代表的でしょう。そのほかにも様々な方法があるのですが「名前は聞いたことがある」くらいのもので、実際の活用は思い至らないケースがほとんどです。
資金調達方法には、皆さんが思っている以上にたくさんの方法があります。その時々において、自社に最も適した方法を選ぶことができれば、資金繰りは見違えるほどに改善され、「ラクになった」という実感も得られるはずです。
本稿では、調達可能額や安定性に焦点を当てて、経営者が知っておくべき22の資金調達方法を取り上げていきます。
多額の資金調達を安定的に
まずは、法人が資金調達の軸に据えるべき方法をまとめます。
この資金調達方法では、多額の資金を調達でき、業績や財務が極端に悪化しない限り継続的・安定的に利用できます。経常的に発生する運転資金などの小~中規模の資金需要から、設備購入や新規事業展開などの大規模な資金需要までカバーできるため、資金繰りに大変役立ちます。
主に金融機関からの借入れとなりますが、借入先や条件は様々です。
複数の形態に分けて見ていきましょう。
1、銀行のプロパー融資
金融機関からの融資の中でも、最も理想的なのが民間金融機関(以下、銀行)のプロパー融資です。
プロパー融資とは、信用保証協会などの保証をつけずに融資を受けることです。
貸し倒れリスクを全て銀行が引き受けるため、融資のハードルは非常に高く、信用力が高い法人でなければ難しい資金調達方法です。
帝国データバンクの調査によれば、無担保・無保証で融資を受けられる会社は全体の1割程度。
逆にいえば、信用力が高いだけに、好条件で融資を受けられることも多いです。
金利も特に低い傾向があり、融資実行までの期間も2週間程度になることが多いです。
また、融資額も銀行の裁量次第なので、企業規模によっては数億円、数十億円といった多額の借入れも可能となります。
プロパー融資では、必ずしも多額の融資を受けられるとは限りませんが、プロパー融資の実績を作っておくことは大切です。
まずは保証付融資との抱き合わせなども含め、銀行にプロパー融資を打診していくことがポイントです。
2、信用保証協会の保証付融資
多くの中小企業は財務基盤が脆弱であり、信用が不十分であるため、プロパー融資を受けることができません。
そこで、信用保証協会の保証付融資を受けることが多いです。
信用保証協会保証付融資は、信用保証協会が債務を保証する融資商品です。
資金調達の後、経営悪化などによって返済できなくなった場合、信用保証協会が残債の8~10割を弁済します。
この方法であれば、銀行は貸し倒れリスクをほとんど信用保証協会に移転できるため、融資のハードルが大幅に下がります。
多くの経営者にとって、資金調達の要となるでしょう。
ただし、資金調達コストは高めです。
銀行に対する借入金利は低いのですが、信用保証協会に対して保証料を支払う必要があるためです。
保証料率はケースバイケースで異なりますが、目安は借入総額に対して1.5%程度。
プロパー融資よりは確実に調達コストが高くなります。
また、保証枠にも上限があり、無担保では8,000万円、有担保では2億8,000万円までしか借りられません。
このため、企業規模が大きくなるにつれて、資金需要を賄いきれなくなる可能性があります。
なお、保証を行っているのは信用保証協会だけではありません。
近年増加傾向にあるのが、ノンバンク保証付融資です。
ノンバンク保証付融資は、ノンバンクが銀行や自治体と提携し、ノンバンクが債務を保証します。
ただし、ノンバンク保証付融資は、信用保証協会保証付融資に比べて保証料が高いため注意が必要です。
信用保証協会保証付融資とノンバンク保証付融資の使い分けは、以下のように考えてください。
-
- 信用保証協会の保証を受けられる経営者は、信用保証協会保証付融資で資金調達する。
- 信用保証協会の保証を受けられない(融資枠の上限に達しているなど)経営者は、ノンバンク保証付融資で資金調達する。
4、日本政策金融公庫の融資
政府系金融機関は、民間金融機関の補完として位置づけられており、銀行から融資を受けられない法人でも低金利で資金調達が可能です。
特に、創業資金などの借入れで活用されることが多いです。
銀行で融資を受けられない法人経営者でも、日本政策金融公庫であれば融資を受けられる可能性があるため、是非検討してみましょう。
無担保・無保証で融資を受けられる制度も多く、担保・保証不足に悩んでいる経営者にもおすすめです。
このほか、低金利で借りられることや、返済を猶予できる据置期間が設けられていることも魅力といえます。
ただし、融資限度額が低いことが難点です。
融資制度は複数ありますが、例えば運転資金に活用できる「一般貸付」の融資限度額は4,800万円に設定されています。
また、限度額いっぱいに借りられるわけではありません。
日本政策金融公庫の審査では、業績・財務や売上規模などを考慮して融資限度額を決定します。
さらに、日本政策金融公庫が支店決済で融資できる金額は2000万円までです。
2000万円を超える資金調達の場合、本部決済となるため提出書類も増え、審査も厳しくなります。
したがって、日本政策金融公庫での資金調達を考えている経営者は、2000万円までを目安に考えるとよいでしょう。
5、売掛債権担保融資
日本では、バブル期の土地本位制の名残から、担保といえば不動産という雰囲気が長く続いてきました。
政府は、この風潮を問題視しています。
不動産担保に依存した資金調達は、裏を返せば、不動産担保がなければ融資を受けにくいということです。
業種によっては不動産担保をもちにくい場合があり、例えばサービス業などの経営者は銀行融資での資金調達が難しくなります。
そこで、政府が推進しているのが売掛債権の活用です。
売掛債権を資金調達に活用する方法として、主に売掛債権担保融資とファクタリングがあります。
売掛債権担保融資は、未回収の売掛債権を担保に融資を受けるものです。
売掛先への承諾が必要であるため、取引先との関係が悪化する恐れがある場合には利用しにくいのが難点です。
また、売掛債権担保融資は融資制度の一種であり、借入れによる資金調達という点では変わりません。
担保が不動産から売掛債権に変わっただけで、現金取引の比率が高い会社や、売上が小さい会社(手元の売掛債権が少ない会社)は、まとまった資金調達が難しいといえます。
同様に、資金調達の多様化を考えている経営者にも不向きです。
深刻な問題を抱えている場合、プロパー融資はもとより売掛債権担保融資も利用できない可能性があります。
しかし、これらの点をクリアすれば、不動産担保を持たない経営者でも資金調達に活用できるのが魅力といえます。
ほとんどの法人は掛取引を行っているため、売掛債権を常に保有しているものです。
その資産を資金調達に利用できれば、資金繰りの安定にも大きなプラスになるでしょう。
6、不動産担保ローン
不動産を担保に融資を受けるのは、ごく一般的な資金調達方法です。
不動産の評価額によりますが、多額の融資を引き出しやすいのが特徴です。
会社が所有している事業用の不動産を担保にするほか、経営者自身の持ち家を担保にすることもできます。
返済が進むにつれて担保余力が回復し、追加融資を受けやすいのもメリットといえます。
担保に余裕がある経営者にとって、資金調達の有力候補になるでしょう。
また、不動産担保ローン専門会社やノンバンクでも、不動産担保ローンを受けることができるため、借入先が複数あるのも特徴です。
不動産担保ローンの使い分けとしては、基本的には銀行の不動産担保ローンを優先してください。
銀行の不動産担保ローンを利用できる経営者は、あえてノンバンクの不動産担保ローンで資金調達する必要はありません。
ノンバンクの不動産担保ローンは、銀行の不動産担保ローンを利用できない場合に検討します。
というのも、ノンバンクの不動産担保ローンには、以下の特徴があるためです。
- 不動産の担保評価を高くみてくれること。
- 不動産の価値を重視して審査してくれること。
銀行の不動産担保ローンの場合、担保掛目の中間値は上限70%、実行ベースで55%が目安といわれます。
これは、他の担保資産に比べて低い水準です(有価証券は90%、売掛債権は85%が目安)。
70%と考えた場合、1億円の不動産を担保として資金調達できるのは70%が上限となります。
これに対し、不動産担保融資を専門とするノンバンクでは、時価の90~100%を上限に融資を出す業者もあるのです。
担保評価が高いほど、多くの資金を調達できることは言うまでもありません。
例えば、経営者が1億円の不動産を所有しており、なおかつ9000万円の資金調達を必要としている場合、銀行融資では満額を資金調達できない可能性があります。
この場合には、銀行ではなくノンバンクの不動産担保ローンで資金調達し、9000万円の調達を目指すのも一つの手です。
さらに、既に銀行の抵当権がついている不動産を、あらためてノンバンクで活用することも考えられます。
同じく1億円の不動産で考えると、銀行とノンバンクの評価には20~30%程度の開きがあるわけです。
ノンバンクの不動産担保ローンならば、この上澄み部分に後順位で抵当権を付け、融資を受けることもできます。
このほか、審査基準の違いにも注目すべきです。
銀行の不動産担保ローンは、不動産の担保価値よりも決算書を重視します。
優良物件を持っている経営者でも、決算内容が悪ければ融資を受けられないケースが多いです。
決算以外にも、例えばリスケ中であるなどの特別な事情を抱えている経営者は、銀行の不動産担保ローンは利用できません。
一方、ノンバンクの不動産担保ローンは、決算書が悪い会社やリスケ中の会社でも、不動産の評価次第で審査に通ります。
「担保不動産はあるのに、銀行の審査に通らない・・・」という経営者は、不動産担保専門の業者を検討してみましょう。
もっとも、十分な担保価値のある不動産を保有していない中小企業も多いため、全ての経営者におすすめの資金調達方法とはいえません。
7、動産担保融資
動産担保融資とは、会社が保有する在庫や原材料などの動産を担保にした融資制度です。
ABLとも呼ばれ、上記の売掛債権担保融資もABLに含まれます。
動産担保融資と売掛債権担保融資をあえて分けたのは、普及率に大きな差があるためです。
売掛債権担保融資は、政府が推奨していることもあり、比較的普及が進んでいます。
しかし、動産担保融資は普及率が低く、取り扱っている金融機関は少ないです。
動産担保融資の対象となる資産は、有価証券、売掛債権、在庫、機械などです。
もっとも、所有している動産の内容は業種によって異なります。
製造業ならば製造設備、運送業ならばトラック、IT業ならばパソコンなどが動産担保融資の対象です。
対象資産のうち、在庫によって資金調達できる点に、魅力を感じる経営者も多いことでしょう。
たしかに、多くの会社が常に一定以上の在庫を確保しています。
それを担保に融資を受けることで、安定的な資金調達が期待できます。
とはいえ、在庫による資金調達は多くの問題を抱えているのが実情です。
まず、動産在庫の担保評価と管理に手間がかかります。
例えば、アパレル業を営む経営者の場合、衣服が在庫となります。
この在庫の担保価値を適切に評価するのは容易ではありません。
銀行の融資担当者は、あくまでも金融の専門家であって衣服の専門家ではなく、適切な担保評価は困難です。
畜産業などになれば、担保評価は一層困難になるでしょう。
この場合、牛や豚といった家畜が在庫となり、評価が難しいだけではなく、伝染病などによって殺処分となれば担保評価はゼロになってしまいます。
したがって、同じ在庫で担保評価が大きくブレることがしばしばです。
実際に、在庫の担保掛目の中間値は、上限で30~60%、実行ベースで25~50%となっています。
るため以上のような理由により、多くの金融機関が積極的な対応をしていません。
今後の普及によっては、有力な資金調達方法になる可能性がありますが、現時点では活用しにくいのが実情です。
動産によって資金調達したい経営者は、動産担保融資ではなく、後述のリースバックを利用することになるでしょう。
多額の資金調達を一時的に
多額の資金を調達する方法は、金融機関の融資だけではありません。
安定的な資金調達は難しいものの、一時的に多額の資金を調達できる方法が複数あります。
多額の資金調達が必要であるものの、金融機関から融資を受けられない経営者は、以下の方法を検討してみてください。
8、遊休資産の売却
自社の保有する資産の中で、売却可能なものがあれば資金調達に活用できます。
まずは、活用されていない遊休資産の売却を検討しましょう。
投資用不動産、有価証券、ゴルフ会員権などがあれば、まとまった資金を調達できる可能性があります。
遊休資産の売却はオフバランス化にも効果的です。
オフバランス化とは、その名の通り「バランスシート」を「オフ化」する、すなわち資産の整理によって貸借対照表を簡素化・効率化することです。
オフバランス化は、コスト削減や銀行評価の改善につながります。
そもそも、全ての資産には「所有するリスク」が伴います。
売掛債権には「回収不能になるリスク」があり、不動産や在庫には「経年劣化によって価値が減少するリスク」や「維持コストが増大するリスク」などがあるのです。
所有するリスクを避けるには、資産を手放すのが最も確実です。
遊休資産は、事業に活用していないにもかかわらず、このようなリスクをはらんでいます。
遊休資産を処分すれば、少なくとも維持コストは確実に削減できます。
また、遊休資産をたくさん所有している会社は、貸借対照表が複雑です。
基本的に、銀行は複雑な貸借対照表は嫌います。
というのも、複雑な貸借対照表ほど粉飾の余地が大きいためです。
例えば、10の価値しかない遊休資産を20に見積もり、資産を大きく見せかけることもできます。
表面的には問題がなくとも、資産内容を精査・再評価すれば実質債務超過ということも有り得ます。
オフバランス化で貸借対照表が簡素になれば、それだけ透明性が高まり、銀行評価の改善にもつながるというわけです。
遊休資産を売却すれば、資金調達と同時にオフバランス化につながります。
オフバランス化によるコスト削減や銀行評価改善は、間接的な資金調達にほかなりません。
100万円のコストを削減すれば、手元には100万円が残るわけですから、100万円の資金調達と同じ効果が得られます。
銀行評価が改善すれば、それによって融資を受けやすくなり、資金調達が円滑になるというわけです。
ただし、売却する資産によっては買い手が見つかりにくく、資金調達・オフバランス化に時間を要することも少なくありません。
もちろん、遊休資産以外も売却によって資金を調達できますが、事業に必要な資産の売却は慎重に進めるべきです。
手元になくては事業が回らなくなる資産は、売却するのではなく、「9、リースバック」がおすすめです。
9、リースバック
銀行融資で資金調達できない、売却できる遊休資産もないという経営者は、事業用資産のリースバックがおすすめです。
リースバックは、正式には「セール&リースバック」といいます。、
その名の通り、リース会社などに資産を売却し、同時にリース契約を結ぶものです。
これにより、売却代金を調達しながら資産を手元に留めておくことができます。
リースバックの対象となるのは、主に不動産、設備、機械、車両などの固定資産です。
これらの資産は事業に欠かせないものですが、リースバックを使えば資金調達に活用できるため、そのような資産を多数保有している経営者は検討してみる価値があります。
リースバックがよく使われるのは、トラックやタクシーなど、事業の性質上、車両を多く保有している会社です。
この場合、リース会社に車両を売却して資金調達し、その後はリース会社にリース料を支払います。
資金調達のスキームは異なるものの、資金の流れとしては融資を受けて返済していく形に近いといえます。
一点注意したいのが、リースバックに使えるのは「所有権が自社にある資産に限られる」ということです。
銀行から融資を受けて取得した不動産や、ローン会社でローンを組んで購入した車両などは、返済が終わるまで所有権が自社にありません。
自社に所有権がない以上、経営者の意思で売却や譲渡はできないため、リースバックにも利用できないのです。
なお、リースバックに活用できるのは、会社の資産だけではありません。
リースバックには、法人向けのサービスと個人向けのサービスがあります。
個人向けのリースバックは、個人の住宅を対象とするものが一般的です。
つまり、経営者個人の持ち家やセカンドハウスをリースバックし、自社に貸し付ける形での資金調達も可能です。
また、買い手があらかじめリース会社などに決まっているため、買い手とのマッチングの必要がなく、比較的スピーディに資金調達できるのもメリットといえます。
10、事業の譲渡
次に紹介するのは、事業の譲渡による資金調達です。
上場企業でも、資金繰りが苦しい場合に、あるいはスリム化のための事業整理を兼ねて、事業の一部を譲渡して資金を調達することがあります。
近年では、東芝がパソコン事業をシャープに譲渡した事例が挙げられます。
もちろん、大企業だけではなく中小企業でも事業譲渡は可能です。
他の資金調達方法と異なるのは、事業そのものを売却することにより、売却代金の調達と同時に運転資金の削減にもつながり、資金繰りの改善効果が高いことです。
事業の整理を考えている経営者は、優先度の低い事業の譲渡を検討してみると良いでしょう。
ただし、事業の売却先が見つからない、事業譲渡の知識が不十分であれば活用しにくいなどのデメリットもあります。
11、少人数私募債
少人数私募債は、社債の一種です。
大企業などが社債を発行する場合、市場を通して公募が行われ、多額の資金調達が行われます。
一方、少人数私募債は、経営者の縁故者など50人未満を対象に社債の引き受けを募集し、資金を調達するものです。
一人当たりの引受額が大きければ、多額の資金を調達することも可能ですが、親戚や従業員などが少額ずつ引き受けることも少なくありません。
その場合、例えば「一口30万円×49人=1,470万円」といった形になります。
資金需要の大きさによって、活用のしやすさが変わってくるのがポイントです。
とはいえ、金利や償還年数・償還方法などは自社の資金繰りに合わせて設定できるなど、独自のメリットを持つ方法でもあります。
経営者の親族が引き受ける場合、引受人は「会社の資金調達に応じる」というよりも「経営者の事業を応援する」といった形になり、経営者の希望条件が通りやすいです。
例えば、銀行の融資金利より安く(経営者にとって有利)、銀行の預金金利より高い(引受人にとって有利)条件であれば、Win-winの関係を築くことができます。
このほか、従業員が引受人になることでも、副次的な効果が期待できます。
少人数私募債の募集に当たっては、経営計画の説明や経営情報の開示が必須です。
したがって、従業員の会社経営への参画意識を高め、協力を引き出し、経営者と従業員が一丸となって経営に臨むことにつながります。
銀行融資を受けられない経営者はもちろん、多様な方法で資金調達したい経営者、好条件で資金調達したい経営者、企業風土を刷新したい経営者などは、少人数私募債を検討してみてください。
12、出資
事業に将来性があり、将来的に上場などによって会社の価値が大幅に上昇する可能性がある場合、多額の出資を受けられる可能性があります。
もっとも、ほとんど経営者は、そのような事業やアイデアを有しておらず、出資者を見つけるのが困難です。
出資による資金調達では、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金の提供を受けます。
ベンチャーキャピタルは、出資先の株式上場による売却益、もしくは(非上場ながらも)企業価値向上による売却益で利益を得ています。
当然、出資先は厳選しなければなりません。
長い時間をかけて出資を検討するため、資金調達に時間がかかります。
ベンチャーキャピタルと知り合うには、スタートアップ企業向けの交流会などで名刺交換しするのが一般的です。
また、ベンチャーキャピタルの知り合いがいる経営者、すでにベンチャーキャピタルの出資を受けている経営者から紹介してもらうことも考えられます。
出資を受けるまでの道のりは長く、なおかつ多くの経営者には縁のない資金調達方法といえます。
実際、ベンチャーキャピタルから出資を受けられる経営者は、100人中1~3人くらいのものです。
「創業期で赤字続き、銀行融資による資金調達は不可能、しかし将来的には事業が大化けする可能性が高い」といった会社であれば、出資による資金調達も検討してみましょう。
しかし、「業績不振により赤字続き、銀行融資による資金調達は不可能、黒字転換の見通しは立たず将来性も乏しい」という場合、ベンチャーキャピタルから資金調達できる可能性はゼロといってよいでしょう。
このため、資金調達の優先度は低いといえます。
少額(数百万円程度)の資金調達方法
ここからは、比較的少額の資金調達に役立つ方法をまとめます。
ここでいう「少額」とは、主に数百万円程度の資金調達を意味します。
法人の資金調達は、基本的には銀行融資を軸にすべきですが、銀行融資は調達に時間がかかることや、業績・財務などによって借りられないことが問題です。
時には、「銀行融資が実行されるまでの期間、つなぎの運転資金が必要」、「融資を受けられないため、少額の資金調達を繰り返して資金繰りを繋いでいく」
といった場合もあります。
そのようなときに備えて、少額で安定的に利用できる資金調達方法を知っておくことが大切です。
13、ビジネスローン
少額の資金調達で活用される方法の中でも、ビジネスローンは代表的なものです。
ビジネスローンは、銀行から融資を受けられない経営者でも資金調達できる可能性があります。
また、保証協会の保証や不動産などの担保を求められることはなく、審査期間が短いのもメリットです。
ビジネスローンの主要な融資先は「銀行融資で資金調達できない経営者」です。
もちろん、ビジネスローンも融資である以上、融資先の経営状況を基準に審査します。
しかし、ビジネスローンは銀行融資よりも審査に通りやすいです。
これは、融資額が少額であること、融資金利が高いこと、スコアリングシステムを採用していることが主な理由です。
ビジネスローンを提供しているノンバンクでは、1,000万円程度を上限としているケースもみられます。
しかし、上限いっぱいに資金調達できる可能性は低いです。
ノンバンクにとって、融資額を低く設定することは極めて重要です。
そもそも、ビジネスローンは銀行融資を受けられない会社、つまり何らかの問題を抱えている会社に融資します。
貸倒れリスクが高いことが前提ですから、多額の融資は危険です。
そこで、1社に1億円を貸し付けるよりも、100社に100万円ずつ貸し付けることによってリスクを分散しています。
実際に、初めてビジネスローンで資金調達する経営者は、複数社から借り入れてもせいぜい300万円程度が限界でしょう。
また、銀行に比べて金利はかなり高く、融資額に応じて(年15~20%)に設定されるのが普通です。
金利を高く設定すれば、利息による儲けが大きくなり、多少の貸し倒れにも耐えることができます。
つまりビジネスローンは、「審査が緩いから借りやすい」というよりも、「少額融資・高金利設定によるリスクヘッジがしっかりしているから貸しやすい」といえるでしょう。
とはいえ、ビジネスローンは審査にも特徴があります。
多くの場合、スコアリングシステムを採用しているのです。
スコアリングシステムとは、決算書などの数値によってスコアリングし、融資の可否や条件を機械的に判断する仕組みです。
銀行融資の場合、経営者の資質や社内体制など、数値化できない定性的な要素も含めて審査します。
一方、スコアリングシステムは、定性的な要素を一切考慮せず、定量的な要素だけで判断します。
したがって、定性的に問題があって銀行融資を受けられない経営者も、ビジネスローンならば審査に通る可能性があるのです。
ビジネスローンでの資金調達を考えている経営者は、調達可能額が低いこと、金利が高いことに加えて、銀行評価の悪化に注意してください。
基本的に、銀行はビジネスローンからの借入れを嫌います。
ビジネスローンから資金調達したことで、銀行融資を受けられなくなる経営者もいるのです。
ビジネスローンは、短期間の資金需要をつなぎたい経営者ぐ場合や、銀行融資が利用できない経営者場合などに限って利用すべき方法といえます。
14、ファクタリング
ファクタリングは、売掛金を売却することで資金を調達する方法です。
最短即日での資金調達が可能であること、売掛先に知られず利用できること、償還請求権がないことなどから、中小企業の経営者の間で急速に普及しています。
日本での歴史は浅く、銀行融資などに比べるとまだまだ普及率が低いです。
法整備が不十分であることから、悪質業者が紛れ込んでいること、誤ったイメージを抱く経営者が多いことも事実です。
しかし、ファクタリングは政府も推奨する資金調達方法であり、合法的に資金調達できます。
ファクタリングは、売掛金の売却であり借り入れではないため、返済による資金繰りの負担も生じません。
むしろ、支払い前の売掛金を早期資金化できるため、使い方次第で資金繰りの改善にも効果的な方法です。
また、掛取引をしている限り売掛金は発生し続けるため、それをファクタリングに回すことで安定的な資金調達も可能です。
利便性も高く、簡単な書類だけで資金調達できること、オンラインでスムーズに資金調達できることなども、多くの経営者から評価されています。
ファクタリングでは、調達コストとしてファクタリング手数料がかかります。
ファクタリング会社によって手数料の設定がかなり異なるため、業者選びが重要です。
No.1では、三社間ファクタリングでは1%~、二社間ファクタリングでは5%~の手数料を設定しており、売掛先・売掛金の信用力やファクタリング方式によっては、銀行融資より安い調達コストで資金調達できる場合もあります。
弊社のファクタリングにこちらで更に詳しく説明しております。
15、手形割引
手形割引は、支払い期日前の手形を売却し、資金を調達するものです。
他の資金調達方法と比較した場合、ファクタリングに次いでスピーディな資金調達が可能であるため、手形取引が多い経営者に向いています。
手形には券面としての実体があり、実物の授受によって取引します。
手形を受け渡すことで初めて取引が成立するため、手形割引業者に手形を持ち込んだり、郵送したりしなければなりません。
したがって、「最短即日」を謳っていても、手形の受け渡しまで織り込むと数日を要するのが一般的です。
とはいえ、資金調達方法の中ではスピードに優れており、資金調達を急いでいる経営者に役立ちます。
コストが安いのも手形割引の魅力です。
手形割引は融資の一形態であり、割引料が規制されています。
割引料を年利換算した場合、年15~20%以下でなければならないのです。
調達コストを抑えたい経営者には、手形割引をおすすめします。
ただし、手形が不渡りになった場合には、買い戻さなければならないのが大きなデメリットです。
ファクタリングと手形割引はどちらも「売掛債権の売却による資金調達」ですが、償還請求権の有無において、手形割引はファクタリングに大きく劣るといえます。
また、政府は2026年までに約束手形の廃止を目指して取り組んでいます。
これまでも手形取引は減少傾向にありましたが、今後も減少が続くと考えられます。
現在、手形割引への依存度が高い経営者は、他の資金調達方法への切り替えを徐々に進めていくべきです。
16、法人クレジットカードのキャッシング
法人クレジットカードを持っている場合、経費の立て替えに活用することで、実質的に資金調達と同じ効果が得られます。
法人クレジットカードの活用度が高いのは、例えば運送業です。
運送業は燃料費の負担が大きく、資金繰りを圧迫します。
日々のガソリン代を法人カードで支払えば、資金の流出を遅らせることができ、運転資金も減らせるというわけです。
また、現金が必要な場合にはキャッシング機能も使えます。
コンビニATMでも現金を引き出せるため、即日での資金調達が可能です。
法人カードを持っていない、あるいは持っていてもキャッシング機能がついていない経営者は、資金調達に時間がかかります。
ただし、ビジネスローンと比較しても審査に通りやすい傾向があります。
現在、資金調達にそれほど困っていない経営者も、資金繰りが苦しくなった場合に備えて、早いうちにキャッシング機能付きの法人カードを発行しておくと良いでしょう。
17、社内預金制度
社内預金制度とは、従業員が自社に預金する制度です。
預金は給与から天引きで行われるため、毎月一定額の資金調達につながります。
ただし、預金には金利をつけなければならないこと、従業員はいつでも自由に引き出せることなどがデメリットです。
特に、資金繰りに全て使ってしまい、従業員が引き出しを希望したときに対応できなかった場合には労働基準法違反となり、トラブルになる可能性があります。
とはいえ、安定して資金を調達できること、調達コストが安いことなどは魅力です。
社内預金制度を導入していない経営者は、従業員との信頼関係なども考慮しながら、導入を検討してみると良いでしょう。
18、従業員持株制度
従業員持株制度も、社内預金制度と同様に、定期的に安定した資金調達が可能な制度です。
従業員が自社の株式を定期的に購入することで、資金を集めることができます。
懸念すべき点は、中小企業との相性です。
上場企業では9割以上が従業員持株制度を導入していますが、中小企業では導入していない法人の方が圧倒的に多いです。
配当金の支払いが資金繰りを圧迫する可能性があること、従業員の退職時に持ち分を換金して支払う必要があることなど、様々な問題があります。
中小企業経営者が、従業員から安定的に資金調達するならば、まずは従業員持株制度よりも社内預金制度の導入をおすすめします。
19、取引先からの前払い
少額を安定的に資金調達する方法の中でも、特におすすめしたいのが取引先からの前払いです。
これは、代金の一部を現金で支払ってもらう方法です。
支払いの一部だけでも、売掛金や手形から現金に置き換わることで、資金繰りは確実に改善されます。
そもそも、運転資金は収入と支出のズレから生じるのですから、一部だけでも前払いとし、ズレを解消すれば資金繰りはラクにるのです。
ただし、取引先との交渉が必要となるため、経営者の交渉力や取引先との関係に依存する部分が大きく、他の資金調達方法に比べてかなり活用しにくい方法といえます。
したがって、不足資金をカバーするための資金調達には使えません。
時間をかけて交渉し、徐々に資金繰りを改善していくことを目指しましょう。
少額の資金調達を一時的に
少額の資金を調達する方法は様々です。
安定的に調達できるファクタリングや手形取引がおすすめですが、一時的に資金を調達できる方法も多いです。
具体的には、以下のような方法があります。
20、在庫の処分
「在庫の処分」とは、確保している在庫を取引先に単純に売るものではなく、「過剰在庫」や「不良在庫」などを処分することを意味します。
仕入れに失敗し、在庫が過剰になっている場合や、売れ残りが倉庫に眠っている場合には、それを売り払うことで資金調達が可能です。
ただし、大幅にディスカウントして販売する必要があります。
そもそも、過剰在庫はうまく売れる数量以上に仕入れている状態であり、不良在庫は売れ残った結果、商品価値が低下している状態を意味します。
もし、希望価格で売れる商品であれば、過剰在庫や不良在庫として抱えているはずがなく、過剰在庫・不良在庫には何らかの欠点があると考えるのが妥当です。
したがって、過剰在庫ならば需給を、不良在庫ならば商品価値の低下を勘案し、相応にディスカウントして売る必要があります。
とはいえ、資金繰りの悪化要因となる過剰在庫・不良在庫を一掃し、ある程度の資金も調達できるメリットは大きいでしょう。
さらに、在庫管理に要するコストを圧縮でき、間接的な資金調達にもつながります。
大量の過剰在庫・不良在庫を抱えていた経営者は、それらの処分によって倉庫の縮小も可能でしょう。
倉庫を縮小すれば、倉庫の賃料が安くなるため、資金繰りに余裕が生まれます。
在庫の処分によって資金を調達した後、再び過剰在庫・不良在庫が発生しないように仕入れをコントロールすべきです。
この意味において、在庫処分による資金調達は、基本的に一回限りと考えておくのが健全です。
21、クラウドファンディング
クラウドファンディングは、近年普及しつつある資金調達方法です。
自社の製品やプロジェクトをインターネットでアピールし、不特定多数から少額ずつの資金提供を受けるものです。
形態としては出資に近いものがありますが、自社の製品やサービスを資金提供の見返りにできます。
出資者も、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家のように、将来的な会社価値の向上を目的としておらず、社会貢献や会社の応援を目的としている人が大多数です。
このため、通常の出資とは異なり、経営に干渉を受けることもほとんどありません。
資金調達と同時に、自社の認知向上や支援者獲得など、複数のメリットが期待できます。自社の製品やプロジェクトに自信がある経営者におすすめです。
22、ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれる方法です。
ソーシャルレンディング業者が不特定多数から出資を募り、集めた資金を会社に貸し付けます。
その後、借りた会社はソーシャルレンディング業者に利息と元金を返済し、出資者は分配・償還を受ける仕組みです。
ソーシャルレンディングの借入金利は5~10%のケースが多く、銀行融資に比べるとかなり不利な設定となっています。
しかし、銀行融資に比べると審査が緩いことも特徴です。
審査の緩さは、数年前に、SBIソーシャルレンディングが多額の貸し倒れを計上したことからも明らかです。
見方によっては、貸し倒れリスクの高い法人でも資金調達しやすい環境であるといえます。
今後、法的整備によって資金調達が難しくなる可能性がありますが、銀行融資を受けられない経営者にとって有力な資金調達方法といえるでしょう。
緊急の資金調達にはファクタリングを
経営者が活用すべき22の資金調達方法を解説してきました。
それぞれに特徴があり、活用すべきシーンも異なることが分かるでしょう。
既に書いた通り、経営者の資金調達は、基本的には銀行融資を軸にすべきです。
業績や財務に大きな問題がなければ、銀行からまとまった資金を低金利で調達できます。
調達額の大きさや調達コストの安さにおいて、銀行融資が最も優れた資金調達方法です。
しかし、銀行融資は柔軟性に欠けます。
例えば、
全く取引のない銀行に融資を依頼しても断られる可能性が高い
取引のある銀行でも、担保や保証を強く求められ、融資の条件があまりよくない
これまで簡単に借りられた銀行が、業績悪化や財務悪化を理由に融資してくれなくなった
融資実行までに時間がかかり、資金繰りが苦しい
といった問題があるのですります。
現在、銀行融資によって資金繰りを回している経営者も、業績や財務の悪化により融資が受けられなくなる可能性は常に考えられます。
経営立て直しのためにリスケジュールする会社もあるでしょうが、リスケ後は長期間にわたって融資を受けられません。
そのような場合には、融資以外によって資金を調達する必要があります。
融資以外の方法もたくさんあり、どれを利用しても構いません。
自社に最適な方法を選んでください。
ただし、一般的な傾向として、銀行融資に次いで資金繰りの維持・改善に役立つのはファクタリングです。
というのも、ファクタリングは安定的に資金を調達できるからです。
現金取引でない限り、自社が事業を続けていく以上、まず間違いなく売掛金を保有しています。
それを売ることで資金調達できるのですから、資金調達の材料が常に手元にあり、資金調達に困ることはありません。
難点といえば、
調達コストが割高であること
知識不足によって資金繰り悪化の可能性があること
優良業者選びに手間がかかること
などです。
逆にいえば、ファクタリング手数料が安く、丁寧にサポートしてくれる優良業者を利用すれば、ファクタリングは多くの経営者にとって非常に役立つ資金調達方法となります。
まとめ
No.1は、ファクタリング手数料を抑えられるようサービスを構築してきました。また、他社とは異なり、資金繰りコンサルタントが複数在籍しており、法人ごとに最適な資金調達方法やファクタリングの活用方法についてコンサルティングも手掛けています。
ファクタリングをご希望の方はもとより、コンサルティングを通してトータルサポートをご希望の方も、まずはお気軽にご相談ください。
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