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カテゴリー: ファクタリング

ファクタリングと保険の違いとは?徹底比較で使い分けが見えてくる

一般的にファクタリングというと、「売掛金を早期に資金化する仕組み」というイメージを持つ方が多いでしょう。
確かに、ファクタリングの代表的な利用目的は、売掛金の支払期日を待たずに現金化することによって、資金繰りを円滑にすることです。
しかし、実際にはファクタリングにはさまざまな種類があり、その仕組みや目的も一様ではありません。
たとえば、単純に売掛金を買い取ってもらう「買取型ファクタリング」だけでなく、売掛金の支払保証を受けるための「保証ファクタリング」という形態も存在します。
この保証ファクタリングは、万が一売掛先が倒産したり、支払いの遅延が発生したりした場合でも、ファクタリング会社が一定の範囲で債権回収を保証してくれるというものです。
つまり、売掛債権に対する保険的な役割を持つ仕組みといえます。
そのため、ファクタリングの種類や契約内容によっては、「これは保険のようなものでは?」と感じる方も少なくありません。
実際、売掛金のリスクを回避したり、将来の不測の事態に備えたりするという点では、保険の考え方に似ている部分もあります。
このような共通点から、「ファクタリング=保険」あるいは「ファクタリング≒保険」と誤解されることもあるのです。
しかし、両者は法律的な位置づけや契約の仕組み、目的そのものが根本的に異なります。
ファクタリングは、あくまで「売掛債権の譲渡・売却」を通じた資金調達の手段であり、金融取引の一種です。
一方で保険は、特定のリスクが発生したときに損失を補填することを目的とした「リスク移転の仕組み」であり、保険業法に基づいて運営されています。
このように、ファクタリングと保険は似て非なるものであり、表面的なイメージだけで混同してしまうと、正しい活用ができなくなる可能性があります。
そこで本記事では、両者の違いをより明確にするために、ファクタリングと保険の仕組み・特徴を徹底的に比較し、それぞれをどのような場面で使い分けるべきかについて、わかりやすく解説していきます。
「ファクタリングは資金調達の手段」「保険はリスクヘッジの手段」という本質をしっかり理解することで、より安全で効果的な経営判断が可能になるでしょう。

ファクタリングとは?

 
ファクタリングは、日本では比較的新しい資金調達方法です。
世界的にみれば古い歴史がありますが、日本ではここ数年で急速な普及を見せています。
ファクタリングと保険の違いを理解するためにも、まずはファクタリングの基礎知識を解説します。

ファクタリングの仕組み

 

ファクタリングとは、企業が保有している売掛金を売却することで資金を調達する方法です。
通常、企業間取引では現金決済ではなく「信用取引」が行われ、商品やサービスを先に提供し、後日請求書の支払期日に代金を受け取るという形が一般的です。
このときに発生する「売掛金」は、取引先に対して代金を請求する権利、すなわち売掛債権を意味します。
この売掛債権は、企業にとって将来的に現金化される見込みのある資産であり、貸借対照表上では資産の部に計上される『流動資産』の一つに分類されます。
したがって、ファクタリングは「借入れ」ではなく、保有資産の一部を現金化する、いわば資産の売却による資金調達手段といえるのです。
売掛金の売却先となるのは、ファクタリングを専門的に取り扱う専門業者をはじめ、銀行や信用金庫などの金融機関、あるいはノンバンクなどの金融サービス会社です。
こうした企業は、利用会社が持つ売掛債権の内容や売掛先の信用力を審査したうえで、一定の手数料を差し引いて現金化します。
このように、ファクタリングは売掛金という会社内部の資産を活用した資金調達であり、いわば「内部資金調達」の一種と位置づけられます。
内部資金調達の大きな特徴は、資金を調達する際に企業の経営状態そのものが重視されにくい点にあります。
銀行や貸金業者から融資を受ける場合には、企業の信用力、特に財務状況や返済能力が厳しく審査されます。
決算内容が悪化している、債務超過の状態にある、あるいは過去に返済遅延を起こしたといった場合には、融資を拒否されてしまうことも少なくありません。
一方で、ファクタリングはあくまで「売掛金の価値」に基づいて取引が行われます。
つまり、売掛先(取引相手)が信頼でき、支払能力が十分にあると判断されれば、自社の経営状況に問題があっても資金を調達できるのです。
このため、赤字経営や資金繰りの悪化に直面している企業でも、保有する売掛金をもとに柔軟な資金調達が可能になります。
また、ファクタリングを利用すれば、銀行融資に比べて審査期間が短く、資金化までのスピードが早いというメリットもあります。
特に中小企業や個人事業主にとっては、緊急の資金需要に対応できる実践的な手段として注目されています。
資金調達の多様化を推進する観点からも、近年では政府や自治体もファクタリングの普及促進に力を入れており、制度の透明化や業者登録制度の整備など、健全な市場形成が進められています。
このように、ファクタリングは単なる資金調達の代替手段ではなく、企業の財務戦略の一環として有効に機能する手法です。
とくに、「銀行融資に頼らない新しい資金調達法」として、多くの中小企業が注目し、実際に活用するケースが増えています。
適切に活用すれば、資金繰りの安定化や経営改善のサポートにもつながる、有用な金融サービスといえるでしょう。

買取ファクタリングと保証ファクタリング

 

一般的に「ファクタリング」と聞くと、売掛金を早期に資金化する仕組みを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、実際にはファクタリングといってもその形態は一種類ではなく、大きく二つの類型に分けられます。
それが、「買取型ファクタリング」と「保証型ファクタリング」です。
まず、買取型ファクタリングとは、企業が保有している売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、代金の支払期日を待たずに現金化する方法です。
この仕組みでは、売掛金そのものを譲渡するため、利用企業の資産の一部を現金に変える取引といえます。
一方で、保証型ファクタリングは、ファクタリング会社が「取引先(売掛先)が万が一代金を支払えなくなった場合」に、その支払いを保証する仕組みを指します。
つまり、こちらは資金調達というよりも、売掛金の回収リスクをカバーするためのリスクヘッジ手段という性格が強いのです。
このように、同じ「ファクタリング」という言葉であっても、買取型と保証型とでは目的も性質も大きく異なります。
したがって、ファクタリングと保険との違いを正しく理解するためには、単に「ファクタリングと保険の違い」をざっくりと比べるのでは不十分です。
むしろ、「買取型ファクタリングと保険の違い」、そして「保証型ファクタリングと保険の違い」をそれぞれ明確に区別して理解することが大切です。
たとえば、買取型ファクタリングは「資産の売却による資金調達」という点で金融取引に分類されますが、保証型ファクタリングは「売掛金の未回収リスクを軽減する」という意味で、保険に近い性質を持っています。
しかし、いずれの形態も保険契約そのものではなく、法的な位置づけも異なります。
この違いを正しく理解しておくことで、自社の目的に応じて最適な資金調達・リスク管理の手段を選択できるようになります。
次章では、ファクタリングと保険のそれぞれの仕組みをより詳しく比較し、両者をどのように使い分けるべきかをわかりやすく解説していきます。

買取ファクタリングとは?

 

買取型のファクタリング(以下、買取ファクタリング)とは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化して資金を調達する仕組みのことを指します。
つまり、取引先からの入金を待たずに、まだ支払期日が到来していない売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、早期に資金を確保する取引形態です。
ファクタリングには大きく分けて「買取型」と「保証型」の二つの類型がありますが、現在の日本国内において一般的に利用されているのは、圧倒的にこの買取ファクタリングです。
中小企業や個人事業主が資金繰りを改善するために利用するケースのほとんどがこのタイプであり、実務的にも「ファクタリング」と言えば、買取型を指すことがほとんどといえます。
実際に、金融庁も公式の見解として、ファクタリングを以下のように定義しています。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
この金融庁の定義からも分かるように、ファクタリングは法的には「債権の売買(債権譲渡)」という位置づけになっており、融資や貸付のように「お金を借りる取引」ではありません。
そのため、買取ファクタリングは金融機関からの融資を受ける場合とは異なり、信用審査の対象が利用企業ではなく、売掛先(代金の支払いを行う取引先)になります。
これにより、たとえ利用企業が赤字経営であっても、売掛先の信用が高ければ資金調達が可能となるのが大きな特徴です。
また、買取ファクタリングは資金化までのスピードが早く、手続きも比較的シンプルであるため、急な資金需要や一時的なキャッシュフローの悪化にも柔軟に対応できるというメリットがあります。
銀行融資のように担保や保証人を必要としない場合が多く、資金繰り改善の手段として広く活用されています。
このように、単に「ファクタリング」と表記されている場合でも、その多くはこの買取ファクタリングを指しており、資金調達の実務における中心的な手法として確立されています。
特に近年では、インターネットを通じて申し込みから審査・契約・入金まで完結できるオンライン型のファクタリングサービスも登場しており、利用しやすさという面でも年々進化を遂げています。

保証ファクタリングとは?

 

保証型のファクタリング(以下、保証ファクタリング)とは、企業が保有する売掛金に対して、ファクタリング会社に支払保証を依頼し、万が一の貸し倒れリスクに備えるための仕組みです。
買取型のファクタリング(以下、買取ファクタリング)が「売掛金を現金化して資金調達を行う」ことを主な目的としているのに対し、保証ファクタリングは、あくまで売掛金の安全性を高め、万が一取引先が支払い不能に陥った場合のリスクを軽減することを目的としています。
つまり、買取ファクタリングが「資金のスピーディな調達手段」として機能するのに対して、保証ファクタリングは「資産の安全性を確保する手段」としての性質が強いわけです。
買取ファクタリングは、銀行系・ノンバンク系・独立系など、多様な種類のファクタリング会社によって提供されています。一方、保証ファクタリングは主に銀行系やノンバンク系の大手ファクタリング会社が取り扱うことが多く、提供されるサービスの形態や対象企業の規模もやや限定される傾向があります。
一般的には、保証ファクタリングは「保険のような機能を持つファクタリング」とイメージされることが多く、事実として、売掛金の回収リスクを補完するという点では保険的な役割を果たします。
そのため、買取ファクタリングと保証ファクタリングを比較する際には、単純に「保証ファクタリング=保険」と考えても大きく間違えることはありません。実務上の理解としても、保証ファクタリングは、売掛金の未回収リスクを軽減する「リスクヘッジ手段」として位置づけられています。
ただし、厳密に法律や契約の観点から見れば、保証と保険は異なる概念です。保険は保険契約に基づき保険会社が損害を補填する制度であるのに対し、保証ファクタリングはあくまでファクタリング会社が契約に基づいて売掛金の支払いを保証する仕組みにすぎません。
したがって、買取ファクタリングと保証ファクタリングを比較する場合には、「保証ファクタリングは保証ファクタリング、保険は保険」と、それぞれの仕組みや目的を正確に区別して理解することが非常に重要です。

ファクタリングの方式は3つ

 
このほか、ファクタリングの方式は3つです。
大別すると2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2方式があり、さらに2社間ファクタリングの派生形としてオンラインファクタリングが普及しつつあります。
方式別の簡単な違いは以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)とファクタリング会社の2社間で取引する方式
  • 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式
  • オンラインファクタリング:2社間ファクタリングの取引を全てオンラインで行う方式

2社間ファクタリング

 

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの間で最も大きく、決定的な違いとなるポイントは、「売掛先の関与の有無」にあります。
2社間ファクタリングの場合、取引に関わるのはあくまで利用会社(売掛金を売却する会社)とファクタリング会社の二者だけです。つまり、売掛先は一切関与せず、取引の内容や契約の存在を知られることもありません。
この仕組みにより、手続きが非常に簡単でスピーディに契約を完了できること、さらに売掛先にファクタリングの事実を知られることなく資金調達できることが大きなメリットとして挙げられます。売掛先の信用状況が悪化している場合でも、取引先に影響を与える心配が少ない点も安心材料です。
一方で、買取ファクタリングの場合には、利用会社は状況に応じて2社間ファクタリングか3社間ファクタリングのいずれかを選択することが可能です。3社間ファクタリングでは、売掛先も取引に関与するため、手続きには時間がかかることや、売掛先にファクタリングの事実が伝わることなど、メリットとデメリットが生じます。
ただし、実務上は2社間ファクタリングの利用率が圧倒的に高く、多くの中小企業や資金繰りに課題を抱える事業者が選択しています。
なお、保証ファクタリングの場合には、売掛金の支払保証を目的とする仕組みであるため、3社間ファクタリングの形式は存在せず、必然的に2社間ファクタリングの形態での契約が基本となります。これは、保証ファクタリングの性質上、売掛先の同意や承認を得る必要がないためです。

3社間ファクタリング

 

3社間ファクタリングは、取引の大きな特徴として売掛先が必ず関与する方式である点が挙げられます。
具体的には、資金を調達するためには、売掛先に対して債権譲渡通知を送付し、売掛先から承諾を得る手続きが必須となります。そのため、売掛先が協力的でない場合や承諾を得られない場合には、そもそも利用できないという制約があります。
さらに、3社間ファクタリングでは、取引が正式に成立するまでに必要な手続きが多く、書類の確認や承諾のやり取りなど、一定の時間と手間がかかるのもデメリットです。このため、急ぎの資金調達を目的とする場合には不向きな場合があります。
しかし一方で、3社間ファクタリングには大きなメリットも存在します。まず、手数料が比較的安く設定されることが多く、資金調達コストを抑えられる点です。また、売掛先が関与するため、ファクタリング会社としても債権回収の安全性が高く、安心して取引できるという特徴があります。
その結果、取引の安全性や手数料の安さを重視する場合には、3社間ファクタリングが適した方法となります。特に、信用力の高い売掛先が存在する場合には、資金調達コストを抑えつつ、安心して資金を確保できる手段として有効です。

オンラインファクタリング

 

オンラインファクタリングは、従来の2社間ファクタリングの仕組みをさらに進化させた形で、取引の全ての手続きをオンライン上で完結できる2社間取引のファクタリングです。契約手続きや書類の提出、審査などをすべてインターネット上で行えるため、従来のようにファクタリング会社に直接出向いたり、郵送で書類をやり取りしたりする手間が大幅に削減されます。その結果、手続きのスピードが非常に速く、短期間で資金を受け取れることから、特に急ぎの資金調達を求める中小企業やスタートアップ企業での利用が増えています。
さらに、オンライン化により手続きの効率化が図られるため、従来の2社間ファクタリングよりも手数料が低めに設定されることが多く、好条件で資金調達できる点もオンラインファクタリングの大きな魅力です。このような利便性の高さから、オンラインファクタリングの普及率は徐々に高まってきています。
ただし注意点として、オンラインファクタリングはあくまで2社間取引に特化した仕組みであるため、売掛先が関与する3社間での買取ファクタリングや、売掛金の支払保証を目的とした保証ファクタリングには対応していません。そのため、売掛先の信用力を活かして手数料を抑えたい場合や、貸倒リスクを保証したい場合には、従来型の3社間取引や保証型ファクタリングの利用を検討する必要があります。

ファクタリングと保険の違い

 
ここからは、ファクタリングと保険の違いについて解説します。
保険といえば、生命保険、自動車保険、火災保険、地震保険などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、この記事で取り上げるのは取引信用保険です。
したがって、この記事で単に「保険」と表記したものは、すべて取引信用保険を意味するものと考えてください。

取引信用保険とは?

 
取引信用保険を正しくイメージするために、東京海上日動の手掛ける「国内取引信用保険」の説明をみてみましょう。

国内取引信用保険とは、国内に所在するお取引先が商品の販売やサービスの提供にかかわる代金支払債務を履行しないことで、お客様(被保険者)が損害を被った場合に、その損害の一定割合を保険金としてお支払いする保険です。原則として継続的なお取引先を対象とします。

出典:出典:東京海上日動「国内取引信用保険」
この説明にある通り、取引信用保険は売掛金が回収できなくなった場合に保険金を受け取ることができるサービスです。
したがって、買取ファクタリングと保険には明確な違いがあります。
ややこしいのは保証ファクタリングと保険の違いです。
実際、保証ファクタリングと保険は類似性が極めて高く、細かく比較しなければ違いが分かりません。
そこで、買取ファクタリングと保険の違い、保証ファクタリングと保険の違いをそれぞれみていきましょう。

買取ファクタリングと保険の違い

 
では、ファクタリングと保険にはどのような違いがあるのでしょうか。
まずは買取ファクタリングと保険の違いからみていきましょう。

利用の目的

 
買取ファクタリングと保険の最大の違いは「利用の目的」にあります。
買取ファクタリングは「資金調達」が目的であるのに対し、保険は「貸し倒れリスクの回避」が目的です。
もっとも、買取ファクタリングには資金調達以外にも様々なメリットがあり、後述の通り貸し倒れリスクの回避にも役立ちます。
とはいえ、買取ファクタリングの利用動機が「資金調達」であることは間違いありません。
一方、保険はあくまでも保険であり、保険をかけたところで資金を調達することは不可能です。

契約する相手

 
契約する相手、つまりサービスの提供元はどうでしょうか。
買取ファクタリングは多くの業者が提供しています。
特に近年、ファクタリング市場の急速な成長に伴い、新規開業のファクタリング会社が後を絶ちません。
大部分は独立系の中小ファクタリング会社ですが、銀行や大手金融サービスがファクタリング事業に参入するケースも増えています。
したがって、買取ファクタリングは様々なファクタリング業者から選ぶことができます。
方式別の契約先は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング…取引に関与するのは利用会社とファクタリング会社の2社のみ。したがってファクタリング会社が契約先となる。
  • 3社間ファクタリング…利用会社・売掛先・ファクタリング会社の3社間で取引するため、契約先は売掛先・ファクタリング会社の2社となる。

一方、取引信用保険を取り扱っているのは損害保険会社だけです。
ただし、その他の金融サービスが保険の仲介を行うケースもあります。
買取ファクタリングのように、多くの中から契約先を選べるわけではありません。
また、同じ取引信用保険でも、ケースバイケースで契約の仕組みが異なります。
代表的なケースは以下の2つです。

  • 損害保険会社が取り扱う取引信用保険に直接申し込み、契約を結ぶケース
  • その他の金融サービス事業者が仲介する取引信用保険に申し込み、損害保険会社と包括保険契約を結ぶケース

どちらを利用した場合にも、保険としての機能は変わりません。

利用コスト

 
利用にあたって気になるのがコストです。
買取ファクタリングを利用する際には手数料を、取引信用保険を利用する際には保険料を支払います。
他の資金調達方法に比べて、買取ファクタリングの手数料は高めに設定されています。
方式別の手数料率の相場は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
  • オンラインファクタリング:額面金額の10%以下

例えば、1000万円の売掛金を手数料率10%でファクタリングする場合、支払手数料は100万円になります。
これに対し、取引信用保険の保険料は年率にして1~3%程度です。
契約時に取り決めた保険期間中、毎月保険料を支払います。
保険をかける売掛金が1000万円、保険料が年2%とすると、年間の保険料は20万円。
買取ファクタリングと保険はそもそもの目的が異なるため、費用対効果を一概に比較することはできません。
しかしながら、コスト面で大きな違いがあることは事実です。

資金を受け取るタイミング

 
次に、利用した際に資金を受け取るタイミングを比較してみます。
買取ファクタリングで資金(買取代金)を受け取るのは、契約手続きが完了したタイミングです。
申し込みから入金までのスピードは、ファクタリング方式によって以下のように異なります。

  • 2社間ファクタリング:最短即日
  • 3社間ファクタリング:最短1週間程度
  • オンラインファクタリング:最短数時間

このことから、買取ファクタリングはスピーディに資金調達できることが大きなメリットとされています。
これに対し、取引信用保険で資金(保険金)を受け取るのは、保険をかけた売掛金が回収できなくなったタイミングです。
ここでいう「回収不能」とは、売掛先が倒産した場合や、支払いが遅延した場合を意味します。
場合によっては、保険金を受け取るまでに長い時間を要することも珍しくありません。

コストを支払うタイミング

 
買取ファクタリングと保険では、コストを支払うタイミングも異なります。
買取ファクタリングの基本的な流れは「申し込み→審査→契約→入金」です。
審査によって手数料率が決まるわけですが、この手数料は入金と同時に差し引きます。
例えば1000万円の売掛金を手数料率10%でファクタリングする場合、手数料100万円をあらかじめ差し引いた900万円が入金されます。
したがって、買取ファクタリングでコストを支払うタイミングは「入金時」の1回だけです。
これに対し、取引信用保険で保険料を支払うタイミングは毎月です。
審査によって決定した保険料(年率)を月ごとに分割し、毎月支払います。
1000万円の売掛金に対して年率1.2%で保険をかける場合、年間の保険料は12万円、月ごとに支払う保険料は1万円となります。
実際に保険金を受け取るかどうかにかかわらず、保険期間中は支払いを続けなければなりません。

審査の難易度

 
審査難易度も大きな違いです。
基本的に、買取ファクタリングの審査難易度は低く、保険の審査難易度は高いと考えてください。
政府が、銀行融資の補完としてファクタリングを推奨していることからも分かる通り、買取ファクタリングの審査は銀行融資に比べて圧倒的に低いです。
現在、ファクタリングに関する法整備が不十分であり、手数料率の上限規制もありません。
買い取る売掛金によって、ファクタリング会社が自由に手数料を決めることができます。
当然ながら、「リスクが高い売掛金は手数料を高く設定する」「リスクが低い売掛金は手数料を低く設定する」といった調整も可能です。
条件設定次第でかなり幅広く買取可能ということですから、審査難易度の低さがよくわかります。
一方、保険の審査難易度は非常に高いです。
このことは、取引信用保険の保険料を考えると分かりやすいでしょう。
保険会社は、年率1~3%程度の保険料で売掛金の支払いを保証するのです。
1000万円の売掛金に対して保険料2%であれば、年間の売上は20万円。
もしこの売掛金が回収不能になった場合、1000万円の保険金を支払うことによって、保険会社は980万円の損失を被ります。
同じく保険料2%の条件で980万円の損失を回復するには、4億9000万円の売掛金に対して1年間にわたり保証を請け負う必要があります。
このようなリスクを避けるためにも、保険会社は厳しく審査を行い、安全性が極めて高い売掛金でなければ受け付けません。

保証ファクタリングと保険の違い

 
買取ファクタリングと保険は、目的が違うだけに比較も容易です。
ややこしいのは保証ファクタリングと保険の違い。
このふたつは多くの点で類似しているため、細かい点で比較する必要があります。

利用の目的

 
まずは利用の目的を比較してみましょう。
保証ファクタリングも取引信用保険も、売掛金の貸し倒れリスク回避を目的とする点では同じです。
ただし保険の場合、必ずしも貸し倒れに陥らずとも、保険金を受け取れる場合があります。
このイメージをつかむには、取引信用保険と保証ファクタリングの両方を手掛けている会社のサービス概要を知るのが役立ちます。
一例として、三井物産クレジットコンサルティング株式会社 の説明は以下の通りです。

【取引信用保険】

取引信用保険とは、貴社のお取引先において法的整理事由の発生または履行遅滞の発生により売上債権が回収できない場合等に、貴社が被る損害の一定部分について補償する企業向けの保険商品です。

出典:出典:三井物産クレジットコンサルティング株式会社「取引信用保険・保証ファクタリング」

【保証ファクタリング】

貴社の売上債権 (受取手形、売掛金) が一定条件下で未回収の状態になった場合に、取引先ごとに設定された保証限度額を上限として保証金をお支払する債権保全商品です。

出典:出典:三井物産クレジットコンサルティング株式会社「取引信用保険・保証ファクタリング」

両者を比較してみると、取引信用保険では「履行遅延(支払いの遅れ)」を対象としているのに対し、保証ファクタリングでは「一定条件下」を対象としています。
保証ファクタリングにおける「一定条件下」とは、「倒産(実質的な倒産状態を含む)」にほかなりません。
つまり、保証ファクタリングと保険は「どちらも売掛金に対する保険機能を目的としているものの、保証の履行事由は保険のほうがやや柔軟」という点で異なります。

履行事由

 
次に、保証ファクタリングと保険の履行事由を具体的に比較してみましょう。
まず、保証ファクタリングの履行事由は、保険に比べてやや厳しく設定されています。
一般的な履行事由は以下の通りです。

●破産手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始、民事再生手続開始の申立またはその他法的倒産手続の申立
●手形交換所の取引停止処分
●手形または小切手の不渡り
●任意整理着手の公表
●営業の全部の廃止、本店事務所の閉鎖(移転除く)

出典:出典:出光クレジット株式会社「商品概要」
これを見ればわかる通り、保証ファクタリングで保証を履行するのは売掛先が倒産した場合に限られます。
単なる支払い遅延は履行事由に含まれておらず、倒産(または実質的倒産)が確定するまでは保証を受けることはできません。
これに対し、取引信用保険の履行事由は以下のように考えるのが一般的です。

法的整理事由の発生…お取引先に民事再生手続の開始や会社更生手続の開始の申立があった場合等において、債務が履行されないとき。
履行遅滞の発生…お取引先が債務の弁済期日から一定期間を経過しても債務を履行しない場合において、その債務につき履行の見込みがないと判断されたとき。

出典:出典:三井物産クレジットコンサルティング株式会社「取引信用保険・保証ファクタリング」
取引信用保険における「法的整理事由の発生」は、保証ファクタリングの履行事由と同じです。
しかし取引信用保険は、保証ファクタリングでは履行事由にならない「履行(支払い)遅延の発生」も履行事由になります。
ただし、保険金が支払われるのは履行の見込みがないと判断された場合に限られるため、例えば売掛先が「1ヶ月後に支払い可能」「1年間にわたって分割払いならば支払い可能」といった場合には保険金を受け取ることはできません。

契約する相手

 
保証ファクタリングと保険では、契約する相手も異なります。
基本的に、保証ファクタリングを取り扱っているのは金融機関や信販会社だけです。
したがって保証ファクタリングでは、金融機関やその系列企業、あるいは信販会社などが契約先となります。
なお、保証ファクタリングは2社間ファクタリング一択のため、売掛先を含む3社間での契約を結ぶことはありません。
すでに解説した通り、取引信用保険を取り扱っているのは保険会社だけですから、契約先も保険会社となります。

利用コスト

 
保証ファクタリングと取引信用保険は、どちらも保険を目的に利用できる商品です。
同じ目的で利用するのですから、できるだけコストが安い方を選びたいところ。
保証ファクタリングの保証料と、取引信用保険の保険料の相場は以下の通りです。

  • 保証ファクタリングの保証料…保証額に対して年率1~8%程度
  • 取引信用保険の保険料…保証額に対して年率1~3%程度

このように、保証ファクタリングよりも保険のほうが低コストで利用できます。
なお、コストを支払うタイミングは、保証ファクタリングも保険もほぼ同じです。
どちらも、審査の結果に応じて保証限度額や保証期間を取り決め、保証期間中は毎月保証料を支払います。

審査の難易度

 
最後に、審査難易度を比較してみましょう。
保証ファクタリングと保険は、どちらも審査難易度が高いと考えてください。
買取ファクタリングとの比較でも解説した通り、保証を請け負う業者が最も重視するのは「いかに貸し倒れを避けるか」です。
当然、厳しい審査によって売掛金のリスクを精査し、貸し倒れリスクの低い売掛金に限って保証を請け負います。
保険を目的とする以上、審査が厳しくなるのはやむを得ません。
ただし、保証ファクタリングと保険ではコストが異なるため、これによって審査難易度にも差が生じます。
上記の通り、利用コストの関係は「保証ファクタリング>保険」です。
基本的に、リスクとリターンは比例するため、コストが高い(リターンが大きい)ほどリスク許容度は高く、コストが低い(リターンが小さい)ほどリスク許容度は低くなります。
この違いは、審査難易度にも大きく影響してきます。
例えば、売掛金1000万円に対して保証料率5%の場合、ファクタリング会社の売上は年間50万円。
この売掛金が回収不能になり、保証を履行した場合の損失は950万円です。
同じ売掛金1000万円に対して保険料率2%の場合、保険会社の売上は年間20万円。
この売掛金が回収不能になり、保険金を支払った際の損失は980万円です。
売上と損失の差は30万円ですが、この差は極めて大きいといえるでしょう。
なにしろ30万円といえば、保険会社が受け取る年間保険料の2.5倍にあたるのです。
収益性にこれだけの差があるのですから、審査への影響も大きいです。
利用コストだけを比較すれば、コストが低い保険を利用したいところですが、そもそも審査に通らなければ売掛金に保険をかけることもできません。
信用の高い売掛金には取引信用保険、信用にやや問題のある売掛金には保証ファクタリングといった使い分けが肝要です。

買取ファクタリングと保険を使い分けるポイント

 
ファクタリングと保険は様々な点で異なりますが、具体的にはどのように使い分けるべきでしょうか。
上記の比較からも分かる通り、顕著な違いがあるのは買取ファクタリングと保険であり、保証ファクタリングと保険には大きな違いがありません。
したがってほとんどの場合、使い分けに悩むのも買取ファクタリングと保険です。
そこで、買取ファクタリングと保険の使い分けについて詳しくみていきましょう。

買取ファクタリングを選ぶべきケースは?

 
買取ファクタリングの目的は資金を調達することです。
保険は資金調達には役立たないため、悩むまでもなく買取ファクタリング一択となります。
もっとも、買取ファクタリングは資金調達に役立つだけではなく、その他のメリットも様々です。
それらのメリットを考慮しつつ、特に買取ファクタリングが適しているケースを紹介します。

自社の経営に問題がある

 
買取ファクタリングと保険の比較でも述べた通り、買取ファクタリングは審査のハードルが低いのがメリットです。
したがって、経営に問題を抱えており、審査に不安を抱いている場合には買取ファクタリングが非常に役立ちます。
どれくらいハードルが低いか、具体例をいくつか挙げてみましょう。

  • 銀行から融資を断られた会社でも利用できる
  • 銀行に対してリスケジュール中の会社でも利用できる
  • 信用情報に重大な問題がある会社でも利用できる
  • 連続赤字であり、黒字転換の見通しが立っていない会社でも利用できる
  • 債務超過(実質債務超過を含む)の会社でも利用できる
  • 業歴が短い会社でも利用できる(創業1年未満でも利用できる)
  • 税金を滞納している会社でも利用できる(可能性がある)

このような悪材料がある場合、融資による資金調達はほぼ不可能です。
しかし買取ファクタリングならば問題ありません。
これは、買取ファクタリングの審査対象が利用会社ではなく、売掛先だからです。
ファクタリング会社としては、買い取った売掛金が支払期日に満額回収できれば、収益を確保できます。
利用会社がこれらの悪材料を抱えていても、売掛先に支払能力があれば、ファクタリングというビジネスは成り立つのです。
また、ファクタリングは資産の売却であり、借入れではありません。
当然返済義務はなく、債務不履行に備えるための担保や保証も不要です。
これも、審査難易度が低い理由のひとつです。
保険は審査が非常に厳しいため、利用会社自身の問題によって審査に落ちることが珍しくありません。

スピーディに資金調達したい

 

買取ファクタリングは、他の資金調達手段と比べて非常にスピーディに資金化できる点が大きな魅力です。特に2社間ファクタリングの場合、多くの取引で最短即日対応を基本としており、申し込みから入金までの時間が非常に短いことが特徴です。さらに、近年普及が進んでいるオンラインファクタリングでは、従来の対面手続きに比べて手続きが効率化されているため、最短数時間での資金調達も可能となっています。
実際に、No.1のオンラインファクタリングサービスでは、申込みから入金までわずか60分で完了した実績が多数報告されています。このように、資金ショートが迫っている場合や、急な設備投資や支払のために早急に資金を手元に確保したい場合、買取ファクタリングは非常に有効な選択肢となります。短期間で資金を確保できるため、事業運営における緊急時の資金繰りにも役立ちます。
一方、取引信用保険(以下、保険)の場合は、資金が手元に入るタイミングが大きく異なります。保険金の支払いは、売掛金の回収不能が確定した後で初めて行われるため、即時の資金調達には向きません。保険はあくまで将来的なリスクヘッジや損失補填を目的とした手段であり、資金を早く必要とする場面ではスピード面で買取ファクタリングに及びません。
ただし、買取ファクタリングを利用する際には、「最短即日」や「最短数時間」といった表現の意味を正確に理解しておくことが重要です。これはあくまで申し込みから入金までの最短時間を示しており、通常の審査や契約内容の確認によっては、もう少し時間がかかることもあります。対して保険の場合、申し込みから補償が開始されるまでに長期間を要することが一般的です。具体的には、問い合わせから補償開始までに5~6か月、申し込みを起算点としても4~5か月かかるケースが多く見られます。
このように、資金調達のスピードという点では、買取ファクタリングと保険では大きな違いがあります。緊急性の高い資金ニーズには買取ファクタリングが適しており、リスクに備えた長期的な補償や損失回避には保険が向いている、と整理することができます。事業の状況や資金の用途に応じて、どちらの手段を選ぶかをあらかじめ検討しておくことが重要です。

資金調達を多様化したい

 
買取ファクタリングは資金調達の多様化に役立ちます。
政府がファクタリングの活用を推奨しているのも、買取ファクタリングを第二の資金調達方法とすることで、銀行融資への依存度を引き下げるためです。
銀行融資以外にも資金調達方法は色々あるのですから、単に資金調達を多様化するだけならば、買取ファクタリング以外でも良さそうなものです。
しかしそうではありません。
買取ファクタリングと銀行融資は非常に相性が良いのです。
銀行融資の審査では融資先を重視するのに対し、買取ファクタリングの審査では売掛先を重視します。
このように、「資金を調達できるかどうか」の基準が異なる点に注目です。
自社の経営に問題があれば銀行融資を受けられませんが、その場合でも買取ファクタリングならば利用できます。
銀行融資が難しい時期を買取ファクタリングで乗り切ることも可能です。
では「銀行融資+保険」を組み合わせた場合、保険は資金調達を目的とするものではなく、資金調達の多様化にもつながりません。
また、利用会社の抱えている問題によって銀行融資を受けられない場合、同じ理由によって保険も利用できない可能性があります。
したがって、銀行融資と保険を組み合わせたところで、あまり意味はありません。
「銀行融資+買取ファクタリング」だからこそ、資金調達の多様化に効果的なのです。

貸し倒れリスクを回避したい

 
ここまでの解説から、
「資金調達には買取ファクタリングを」
「売掛金の貸し倒れリスク回避には保証ファクタリングか保険を」
とイメージしている人も多いかもしれません。
しかし、買取ファクタリングでも貸し倒れリスクを回避できます。
これは、買取ファクタリングの契約は「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則だからです。
償還請求権とは、ファクタリングした売掛金が回収できなくなった場合に、ファクタリング会社から利用会社に買い戻しを求める権利のことです。
買取ファクタリングには償還請求権なし、つまりファクタリング会社がこの権利を有さないため、売掛金が回収不能になっても利用会社は何ら責任を負いません。
貸倒損失は全額、ファクタリング会社の負担となります。
額面金額1000万円の売掛金を手数料率15%でファクタリングした場合、利用会社が調達できる資金は850万円です。
後日売掛金が回収不能になっても、この850万円の返還を求められることはありません。
本来ならば、利用会社が1000万円の損失を被っていたはずですが、買取ファクタリングを利用したことによって貸し倒れリスクを回避できたのです。
このように、買取ファクタリングも貸し倒れリスクに役立ちます。
ただし後述の通り、債権保全効果だけを比較すると、買取ファクタリングは保険に劣ります。
買取ファクタリングが役に立つのは、あくまでも「資金調達を必要としており、なおかつ貸し倒れリスクにも対処したい場合」と考えてください。

資金繰りを改善したい

 

買取ファクタリングの意外な大きなメリットの一つは、単に資金を早期に手元に確保できるだけでなく、日常の資金繰りを大幅に改善できることです。そもそも、企業の資金繰りが悪化するケースの多くは、少なからず売掛金の状況が影響しています。一般的に、売掛金が増加すれば手元資金が圧迫されて資金繰りが悪化し、反対に売掛金が減少すれば資金繰りは改善するという、資金繰りの原則があります。
具体的には、売上が増加すると売掛金も増えますし、取引先との契約によって回収サイトが長期化する場合もあります。その結果、手元資金が不足してしまい、給与や仕入れ代金の支払いに支障をきたすことも少なくありません。逆に考えると、もし売掛金の増加によって資金繰りが悪化している場合、売掛金を減らすことで比較的簡単に資金繰りを改善することが可能です。
ここで買取ファクタリングの出番です。買取ファクタリングを活用すると、保有している売掛金をファクタリング会社に売却することができ、売却した分だけ帳簿上の売掛金が減少します。その売却代金は現金として手元に入るため、資金繰りに使えるキャッシュが増加し、会社の資金的余裕が広がります。さらに、買取ファクタリングでは本来の支払期日を待つことなく「売掛金→現金」の流れが生まれるため、実質的に売掛金の早期回収が可能となるのです。この仕組みにより、資金繰りのスピード改善が期待でき、突発的な資金不足や短期的な支払リスクへの対応にも役立ちます。
実際、金融庁でも買取ファクタリングを「事業者が保有する売掛債権等を期日前に、一定の手数料を徴収して買い取るサービス」と定義しており、資金の早期回収手段として公式に認められています。買取ファクタリングを利用することで、帳簿上の売掛金は減少し、実質的な回収サイトも短縮されるため、結果として資金繰りの改善につながるのです。
一方で、取引信用保険(一般的な売掛債権保険)の場合は、回収不能が発生した際に保険金を受け取ることができます。しかしこれはあくまでも「資金繰りの悪化防止」に限定されており、手元資金を増やして日々の資金繰りを改善する直接的な効果はありません。したがって、資金繰りを本格的に改善したい、あるいは売掛金の回収サイトを短縮して手元資金を厚くしたい場合には、買取ファクタリングを活用するのが最も有効な方法といえます。

保険を選ぶべきケースは?

 
会社によっては、買取ファクタリングよりも保険が役立つ場合があります。
保険を選ぶべきケースを3つ紹介します。

低コストで貸し倒れリスクを回避したい

保険の主な目的は、売掛金の貸し倒れリスクを回避することにあります。企業としては、取引先が倒産したり、支払不能に陥った場合でも、事前に保険をかけておくことで資金損失を最小限に抑えることが可能です。一方、買取ファクタリングにも同様の効果はありますが、債権保全という観点では、一般的には保険の方が優れた効果を発揮します。この差は、主に両者のコスト構造の違いに起因しています。
具体的に債権保全効果を比較してみましょう。仮に額面金額1000万円の売掛金を、手数料率15%で買取ファクタリングに出した場合、利用会社が実際に受け取れる金額は850万円となります。これは、ファクタリング会社に支払う手数料15%があらかじめ差し引かれるためです。この場合、仮に売掛金の回収が不能になったとしても、最終的に受け取れる金額は850万円で固定されます。
一方で、保証額1000万円、保険料率2%の条件で取引信用保険をかけた場合、回収不能が発生すると保険金として980万円が支払われます。つまり、売掛金が全額回収できない場合でも、ほぼ全額に近い金額を確実に受け取ることが可能です。両者の回収率を比較すると、買取ファクタリングは85%にとどまるのに対し、保険では98%となり、債権保全効果に明確な差が出ることがわかります。
したがって、もし企業の目的が資金調達ではなく、単に売掛金の貸し倒れリスクを避けたいだけの場合には、保険の利用がより適しているといえます。もちろん、買取ファクタリングも資金調達と同時に一定の債権保全効果を得られるため、資金ニーズとリスク管理の両方を同時に考慮する場合には有効ですが、純粋に債権保全の観点だけで比較すると、保険の方が安心感が高いということです。

金融機関の評価を改善したい

 

保険を利用することによって、企業は金融機関からの評価を大幅に改善できる可能性があります。その理由は大きく分けて二つあります。まず第一に、保険を利用するには事前に厳格な審査をクリアする必要があります。審査を通過できる売掛金は、基本的に信用力が高く、支払い能力が確実な取引先に限られます。つまり、保険の審査に通過したという事実自体が、取引先の信用力が高いことの証明でもあるのです。これは、単に売掛先が支払い能力を持っているだけでなく、会社が優良企業と継続的に取引していることの裏付けにもなります。
さらに、多くの優良企業と安定的に取引している会社は、その商品やサービスの品質が高く、業界内での信頼度が高いことも示しています。このような背景を持つ会社は、金融機関から見てもリスクが低く、経営の安定性が高いと判断されます。その結果、融資の際の審査通過率や貸出条件が有利になるなど、金融機関からの評価が向上するのです。
次に、保険を利用している企業は、資金繰りや財務の安定性に関しても高く評価されます。万が一、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、保険をかけていない企業は巨額の損失を被ることになり、場合によっては連鎖倒産に陥るリスクすらあります。しかし、取引信用保険をかけていれば、貸倒損失の大部分を保険金によってカバーすることができるため、資金繰りや財務の急激な悪化を防ぐことが可能です。これにより、金融機関から見ても資金繰りや財務状況が安定している企業として評価され、信用力の向上につながります。
もちろん、買取ファクタリングを利用することでも一定の金融機関評価アップは期待できます。売掛金を早期に現金化することで短期的な資金繰り改善効果があり、財務の安定性もある程度示すことができます。しかし、買取ファクタリングの場合、資金調達が主目的であり、貸倒リスクの完全な回避はできません。そのため、金融機関に対する評価向上の効果は、保険に比べると限定的です。
したがって、金融機関からの信用力向上や評価アップを重視する場合には、資金調達だけでなく債権保全の観点からも、買取ファクタリングより取引信用保険の利用を優先することが有効だといえます。

信用調査をアウトソーシングできる

 
買取ファクタリングも保険も、どちらも与信管理の軽減に役立ちます。
買取ファクタリングの場合、資金調達に伴って売掛金を売却するため、与信管理の対象となる売掛金そのものが減少します。
保険の場合、手元の売掛金は減少しないものの、回収不能時に保険金を受け取れるため、貸し倒れ回避を目的とする与信管理は不要です。
しかしながら、与信管理の目的は貸し倒れの回避だけではありません。
売掛先の信用力に応じて与信限度額を設定したり、契約条件を見直したりすることも重要です。
売掛先の経営に問題がなく、信用力が高ければ与信限度額を引き上げ、自社の売上アップを図ることも可能です。
逆に、売掛先の経営環境が悪化している場合、与信限度額を引き下げたり、取引そのものを停止したり、様々な対処が求められます。
このような判断に欠かせないのが、売掛先に対する信用調査です。
ただし、継続的な信用調査は負担が大きいため、ほとんどの中小企業にとって現実的ではありません。
そこで役立つのが、外部に信用調査をアウトソーシングすることです。
保険の審査では、売掛先に対して十分な信用調査を行います。
またリスクの変動に備えるために、保証期間中は継続的に調査を行い、調査結果は保険会社と利用会社で共有されます。
つまり、保険を依頼することによって、結果的に信用調査をアウトソーシングできるのです。
買取ファクタリングの審査では、売掛先に対して入念な信用調査を行うのではなく、提出書類などの客観的事実からリスクを測定します。
したがって、信用調査のアウトソーシングには繋がりません。
ファクタリングを拒否された場合に、「この売掛先はなにか大きな問題を抱えているらしい、一度こちらで調査してみよう」といった判断ができるだけです。
信用調査に悩んでいる会社では、保険と同時にアウトソーシングしてみてはいかがでしょうか。

まとめ:ニーズによって使い分けを

 
本記事では、ファクタリングと保険の違いについて、できるだけ詳しく解説しました。ファクタリングの中でも特に買取ファクタリングと保険の仕組みは大きく異なっており、それぞれの役割や特徴を正しく理解することが、経営において非常に重要です。単に「どちらも売掛金や資金に関わる手段」と捉えるだけでは、その本質を見誤る可能性があります。両者を比較しながら、自社の状況に応じて適切に使い分けることが経営判断の鍵となります。
しかし、現実の中小企業の経営状況を考えると、多くの場合、保険よりもファクタリングの利用がより実務的で効果的です。なぜなら、中小企業の多くは資金繰りに余裕がなく、日々の運転資金や突発的な支払いの確保に頭を悩ませているからです。このような状況では、将来的な貸し倒れリスクに備える保険をかけるよりも、売掛金を早期に現金化できるファクタリングを活用するほうが、資金繰り改善の面で直接的なメリットを得られます。
買取ファクタリングを利用することで、売掛金を期日前に現金化でき、手元資金を厚くすることが可能です。これにより、突発的な支払いの対応や運転資金の確保が容易になり、結果として資金繰りの改善にも直結します。一方で、保険はあくまで貸倒リスクに備えるものであり、現金を即座に手元に確保できるわけではありません。そのため、資金の流動性や経営の即時安定性を重視する場合は、ファクタリングの方が圧倒的に現実的であり、メリットも大きいといえます。
ファクタリングの利用にあたっては、取引先の信用力や自社の売掛金状況に応じた最適なサービスの選定が重要です。契約手続きや手数料など不安な点があれば、あらかじめ経験豊富な専門スタッフに相談しておくことをおすすめします。No.1のファクタリングサービスでは、利用者の状況を丁寧にヒアリングしたうえで、安心・安全に資金調達できるプランをご案内しています。資金繰りや売掛金の管理に不安を感じている経営者の方は、ぜひ早めに相談し、適切な選択を行うことが重要です。

【監修】株式会社No.1 編集局長
保有資格:貸金業務取扱主任者
20代はノンバンクにて法人融資を中心とした営業に従事。
その後、不動産担保融資の会社でキャリアを重ね金融業界で幅広い経験を積む。
2018年に株式会社No.1へ入社。
これまでの実務経験と専門知識を活かし、中小企業の経営課題解決に向けた支援を行っている。

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