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弁護士に相談すべきケースを徹底解説!ファクタリングでトラブルに巻き込まれたら?
ファクタリングを利用する際に多くの人が不安を抱くポイントの一つが、悪質業者の存在です。中には、実質的に闇金に近い手口で高額な手数料を要求したり、不当な支払いを強要したりする業者も紛れ込んでおり、深刻な被害につながるケースも報告されています。状況が悪化すれば、資金繰りが追いつかず自己破産を検討せざるを得なくなる事例もあります。
ファクタリングでトラブルに巻き込まれた場合の対処法として、弁護士への相談が挙げられます。しかし、ファクタリングは法律の整備がまだ十分とはいえず、弁護士であっても対応が難しいケースが少なくありません。また、悪質な業者側の行為が法的に犯罪に該当する場合には、場合によっては業者が逮捕される事例もあります。
では、どのような状況で弁護士が頼りになるのでしょうか?
本記事では、ファクタリングで実際に起こりやすいトラブル例、弁護士へ相談すべき具体的なケース、さらに相談時の注意点まで、わかりやすく解説します。
ファクタリングとは?
会社の資金調達方法にはさまざまな手段があります。基本的には銀行融資が中心となりますが、銀行融資だけに依存していては、必ずしも資金繰りが強いとは言えません。銀行は融資先の経営状況、特に返済能力を厳格にチェックするため、業績悪化や財務面の不安、あるいは信用力不足がある企業は、十分な融資を受けられない可能性が高くなります。
日本の中小企業は銀行融資への依存度が高い点が以前から問題視されており、この状況を改善するために政府も多様な資金調達手段の普及を進めています。その中でも近年注目され、政策的にも後押しされているのがファクタリングです。
なお、ファクタリングは融資とは異なり、適用される法律も銀行とは性質が異なります。場合によっては弁護士の助言が有効であり、契約内容によっては弁護士法の観点からも確認が必要となるケースがあります。
まずは、ファクタリングの基本的な仕組みや特徴について紹介します。
ファクタリングは売掛金の早期資金化
簡単に言うと、ファクタリングとは「売掛金を素早く資金化するためのサービス」です。企業が保有している売掛金は、本来であれば支払期日が到来して初めて現金として受け取ることができます。しかし、その期日までの期間はあくまで“入金予定”であり、実際の資金として自由に使えるわけではありません。そこで、売掛金を早期に現金化し、資金繰りを安定させる仕組みとしてファクタリングが活用されます。
金融庁も、ファクタリングについて「売掛金の売却による早期回収」と明確に位置づけており、次のように定義しています。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
売掛金は企業にとって重要な資産ですが、あくまでも「将来受け取れる予定のお金」にすぎず、支払期日を迎えるまでキャッシュとして使うことはできません。実際には、売掛金を待っている間にもさまざまな支出があります。例えば、仕入れの支払いや外注費の請求、従業員の給与、買掛金の決済、さらに銀行融資の返済など、日々お金は出ていきます。
このため、思うように入金が進まない状況が続くと、資金繰りが一気に悪化することがあります。たとえ帳簿上は利益が出ている“黒字”の状態でも、手元資金が足りなければ支払いに行き詰まり、いわゆる「黒字倒産」に陥る可能性すらあります。実際、多くの中小企業がこの資金繰りの問題によって経営危機に直面しているのが現状です。
こうしたリスクを回避し、安定した経営を維持するための有効な手段のひとつがファクタリングです。ファクタリング会社に売掛金を売却することで、本来支払期日を待たなければ手に入らない資金を前倒しで受け取ることができます。結果として、急な支払いへの対応や資金ショートの回避が可能になり、経営の安定に大きく貢献します。
また、融資とは異なり負債が増えるわけではないため、財務への影響が少ない点も支持されている理由のひとつです。資金調達の選択肢として、ファクタリングは近年ますます注目を集めています。
ファクタリングの法的根拠
ファクタリングと弁護士の関係を理解するためには、まずファクタリングという取引がどのような法律に基づいて成立しているのか、その“法的根拠”を押さえることが不可欠です。もしファクタリングに法的な裏付けが存在しないとすれば、トラブルが発生した際に弁護士が介入しようにも、そもそも争点を法的に整理することができず、適切な対処が難しくなってしまいます。
結論から言えば、ファクタリングには明確で強固な法的根拠が存在します。金融庁の定義にも示されている通り、ファクタリングは「売掛金を早期に資金化するための仕組み」であり、法律上は“債権譲渡契約”として扱われます。この「ファクタリング=債権譲渡契約」という点こそが、ファクタリングが正当な取引として成立するための法的根拠となっています。
さらに重要なのは、債権譲渡そのものが民法によって正式に認められているということです。民法466条には、債権が譲渡可能である旨が明確に規定されており、これはファクタリングが法律に裏打ちされた正当な取引であることを強く示しています。
(債権の譲渡性) 第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
条文を読むと分かるように、売掛先(債務者)が「譲渡しないでほしい」と申し出たとしても、法的には債権譲渡の効力が妨げられることはありません。つまり、売掛先の承諾がなくても債権譲渡は成立し、そのこと自体に違法性はありません。
このことから、ファクタリングは「債権譲渡に基づく100%合法の取引」と言い切ることができます。
弁護士が法的に介入できるのも、こうした明確な法的基盤が存在しているからこそです。
ファクタリングと悪質業者
ファクタリングは法律に基づいた正当な取引であり、仕組みそのものは100%合法です。しかし、「合法である」という事実と「常に安全に利用できる」という安心は、必ずしも同じ意味ではありません。利用者の知識不足や業界の未成熟さにつけ込んで、思わぬトラブルに巻き込まれるケースは実際に存在します。特に注意すべき大きな問題が、悪質業者によるトラブルです。
そもそも、なぜファクタリング業界には悪質な業者が入り込みやすいのでしょうか。最大の理由は、ファクタリングに関する法整備がまだ十分に進んでいないためです。ファクタリングというサービス自体は世界的には長い歴史がありますが、日本で本格的に普及し始めたのは比較的最近のことです。
日本国内でファクタリングが急速に広がったのは2010年代で、特に2015年以降は利用者数が急増し、市場規模も大きく伸びました。さらに2020年以降はコロナ禍により資金繰りが悪化する企業が増えたことで、ファクタリングの需要は一気に高まりました。このように、普及スピードが非常に速かったため、制度面の整備が全く追いついていないのが現状です。
また、金融庁が示すファクタリングの定義は業界のスタンダードとされていますが、実務の現場ではその認識にズレが生じている場合があります。金融庁の定義に当てはまらない“新しい形式のファクタリング”が次々と登場し、明確な基準やルールが不在のままサービスが広がっていることも、利用者が混乱する要因になっています。
本来、法律の整備には時間がかかります。社会情勢や利用者の実態、そして業界全体が抱える問題点などを踏まえ、専門家が長期間にわたって議論を重ねながら慎重に制度を作り上げていく必要があります。しかし、ファクタリングの利用者が急激に増えたことで、法整備がまったく追いつかず、法令上の空白が生まれてしまっているのです。
その結果として、業者の参入も野放し状態になっています。本来であれば、金融サービスを提供する事業者には何らかの許可や登録制度が必要となるはずですが、現時点の日本では、ファクタリング業を新たに始める際に免許や登録は一切求められていません。つまり、極端に言えば誰でも自由にファクタリング会社を名乗ることができてしまう状況です。
健全な運営を行っている業者も多く存在する一方で、悪質な業者や、ヤミ金のような違法業者がファクタリングを隠れ蓑に参入してしまう危険性も高まっています。免許なしで開業できてしまうため、悪質業者にとってファクタリング業は非常に都合のよい活動の場になっているのです。
こうした背景から、ファクタリング業界には悪質な業者が紛れ込みやすい構造が生まれています。利用者としては「合法=安心」と考えず、仕組みやリスクを理解しながら慎重に業者選びを行うことが求められます。
悪質業者のトラブル事例
悪質業者でファクタリングした場合、どのようなトラブルが生じるのでしょうか。
悪質業者の手口は大体共通しているため、トラブルの内容も似通っています。
代表的なトラブル事例を簡単にみていきましょう。
手数料が高すぎる
金融庁は、ファクタリングにおける悪質業者の存在について明確な姿勢を示しており、その多くを「ヤミ金業者」と断定しています。ヤミ金と聞くと、多くの人が真っ先にイメージするのは「法外な高金利」や「過酷な取り立て」などの違法行為でしょう。ファクタリング業界に紛れ込む悪質業者も、これと同じように利用者を不当に追い込み、過剰な負担を強いるケースが後を絶ちません。
中でも深刻なトラブルとして多いのが、「手数料が異常に高い」という問題です。本来、ファクタリングの手数料は、方式や契約内容によって幅はあるものの、一般的な相場があります。例えば、売掛金の額面金額に対し10%以下で対応する良心的なケースもあれば、高くても20~30%程度に収まるのが通常の範囲といえるでしょう。
しかし、悪質なファクタリング業者はこの相場を大きく逸脱し、明らかに不当といえる手数料を請求してきます。中には30%どころか、それをはるかに超える法外な割合を提示してくる業者も存在します。しかも、最初から高額な手数料を提示すると利用者が離れてしまうため、彼らはあえて「最初は低めに見せる」という手口を用います。
よくある ケースとして、申し込み段階では「手数料15%」などともっともらしい条件を提示して契約を誘導します。しかし、実際に契約段階に進むと、「審査費用」「事務手数料」「調査費」などの名目で次々と追加費用を上乗せし、最終的には50%近い高額手数料を請求されるといった被害が頻発しています。
こうした手口は、外見上はファクタリングの取引形式をとりながら、その実態はヤミ金行為とほとんど変わりません。利用者が内容を理解する前に契約を急かしたり、断ろうとすると脅しに近い言動を行う業者も存在するため、専門家や金融庁が強い警戒を呼びかけているのです。
契約書を渡さない
利用会社に契約書を渡さないという行為は、悪質なファクタリング業者が頻繁に用いる典型的な手口の一つです。本来、契約書というものは、契約当事者が平等に内容を確認し、互いの権利と義務を明確にするための重要な書類であり、通常は当事者の数だけ作成され、それぞれが保管するのが常識です。
ところが、悪質業者の場合は事情が大きく異なります。彼らは、自らの契約内容に法的な問題点が多いことを理解しているため、利用者側に契約書が渡ると、後に弁護士や専門機関に持ち込まれて不正が明るみに出るリスクを嫌います。そのため、契約書を1通だけ作成し、それを自分たちの手元で独占的に管理し、利用会社には一切渡さないという極めて悪質な対応を行うのです。
利用会社にとって、契約書がない状態は致命的です。契約内容を正確に把握できないため、後から思いもよらない費用を請求されたり、聞いていなかった義務を押し付けられたりしても、業者側から「契約書に記載されていましたよ」「あなたも同意したはずですよね」と言われてしまえば反論が難しく、泣き寝入りせざるを得ないケースが発生します。
さらに、トラブルが発生して弁護士に相談しようとしても、契約書がなければ状況把握が困難になります。弁護士としても、契約内容が確認できない状態では対応に制約が生じ、相談者を十分に守りきれない可能性すらあります。つまり、契約書を渡さないという行為自体が、利用者の権利を最初から奪うために仕組まれた罠ともいえるのです。
こうしたリスクを避けるためにも、ファクタリングの契約に臨む際は、契約書を必ず受け取ること、そして内容を事前にしっかり読み込むことが極めて重要です。契約書の提示を拒む業者は、それだけで危険性が高いため、即座に利用を中止するべきでしょう。
担保・保証を要求される
ファクタリングは、売掛金という流動資産を売却して資金を得る仕組みです。売掛金は売掛債権の一種であり、あくまで「資産の売却による資金調達」であって、銀行融資のような借入れとは根本的に異なります。
そのため、ファクタリングには次の特徴があります。
・返済義務がない
・返済不能に備えるための担保や保証も不要
・契約自体が「無担保・無保証」が原則
まともなファクタリング会社であれば、利用者に対して担保や保証を求めることはありません。もしも担保設定や個人保証を要求してくる業者がいれば、それはほぼ間違いなく悪質業者です。こうした業者は、貸金に近い違法スキームで高額な手数料を徴収するケースも多いため、絶対に注意が必要です。
ファクタリングを安全に利用するためにも、「担保・保証を求められた時点で危険信号」と判断することが重要です。
具体的には、以下のような形で担保・保証を要求します。
- 受取手形の担保提供を求める
- 会社の通帳と銀行印を預かる
- 経営者の家族が連帯保証人になることを求める
担保・保証の要求に応じてしまうと、後々トラブルになる可能性が高いため要注意です。
償還請求権有りの契約になっている
ファクタリングを安全に利用するうえで、担保・保証の有無だけでなく、償還請求権(リコース)の有無を確認することも非常に重要です。
償還請求権とは、債権を買い取った側(ファクタリング会社)が、譲渡した側(利用会社)に対して「買い戻し」を求めることができる権利のことです。
売掛金を譲渡した後に、売掛先の倒産や支払い遅延などで売掛金が回収できなくなるケースは珍しくありません。このとき、
・償還請求権あり(ウィズリコース)
→ 利用会社に買い戻しを請求できる
・償還請求権なし(ノンリコース)
→ 買い戻しを請求できない
という違いが生まれます。
本来のファクタリングは、「償還請求権なし」が原則です。つまり、売掛債権が回収不能になっても、(利用会社の重大な契約違反を除き)ファクタリング会社が利用会社へ買い戻しを要求することはできません。
もし「償還請求権あり」であれば、それは実質的に“貸付け”と評価され、金融庁の見解や裁判例でもファクタリングとは認められません。
ところが悪質業者の中には、「ファクタリング」と名乗りながら、契約書にはこっそり償還請求権を盛り込み、後から買い戻しを請求してくるケースが多く見られます。利用会社は「ファクタリング=償還請求権なし」と理解しているため、こうした要求に直面すると大きなトラブルに発展します。
安全に利用するためには、契約書の中で
・償還請求権がないこと
・買い戻し義務がないこと
を必ず確認し、少しでも不自然な文言があれば契約しない判断が重要です。
違法な取り立てや脅迫を受ける
違法な取り立てによるトラブルも、ファクタリング被害で非常に典型的に見られる問題の一つです。とくに悪質業者による脅迫行為は深刻で、利用会社側が支払い時に問題を起こしたと判断されると、強圧的な言動や威圧的な連絡が繰り返されるケースが多数報告されています。
2社間ファクタリングの場合、取引は利用会社とファクタリング会社の二者間で行われ、売掛先はファクタリングの存在を知らないのが一般的です。回収の流れは通常「売掛先→利用会社→ファクタリング会社」となり、利用会社が実質的に回収代行の役割を果たします。このため、利用会社が資金繰りの悪化を理由に入金分を別用途に回してしまうと、法的には問題が生じます。というのも、契約時点で債権がファクタリング会社に移転している場合、利用会社による入金分の使い込みは横領に該当する可能性があるからです。
悪質業者はこの事情を逆手に取り、利用会社を極端に追い込む材料として利用します。よくある手口は次のようなものです。
・「警察に被害届を出す」「刑事事件として立件する」「訴訟を起こす」などと執拗に脅す。
・法外な違約金や損害金を一方的に請求してくる。
・連絡を執拗に繰り返し、精神的圧迫を与える。
実際には、悪質業者自身が違法行為を行っている場合が多く、脅しどおりに正式な捜査や訴訟手続きを進めることは少ないのが現実です。しかし、それを利用して問題を長引かせ、精神的・金銭的に相手を追い詰め、最終的により多くの金銭をむしり取るのが常套手段です。
こうした状況に直面した場合、個人や中小企業が単独で対応するのは非常に危険です。脅迫や違法な取り立てを受けたと感じたら、次のような対処が必要です。
・やみくもに応じず、まずは記録(通話記録、メール・SMS、請求書類)を保存する。
・弁護士や消費生活センター、警察の相談窓口など、専門家や公的機関に速やかに相談する。
・契約書や取引の証拠を整理し、法的立場を明確にする。
悪質業者は被害を受けた側が慌てることを期待しているため、冷静に証拠を残し、専門家を介して対応することが被害拡大を防ぐ鍵となります。
債権譲渡通知を出されてしまう
ファクタリングの利用において、悪質業者との間で発生しやすいトラブルとして、債権譲渡通知にまつわる問題があります。本来、ファクタリングは方式によって債権譲渡通知の扱いが変わる取引です。売掛先を関与させない2社間ファクタリングでは通知を行わず、売掛先に直接通知する3社間ファクタリングでは必ず通知を行います。日本では取引先との関係を重視する企業が多いため、売掛先に知られずに資金調達できる2社間方式を選ぶケースが圧倒的です。利用会社は「通知されない」という前提で契約を選んでいるわけですから、債権譲渡通知が行われることを極めて嫌がります。
しかし、この“売掛先への通知をされると困る”という心理こそ、悪質業者にとっては利用会社を追い込む格好の材料になります。悪質業者が違法な取り立てや心理的圧力を仕掛ける理由は、利用会社を不安にさせ、判断力を鈍らせ、有利に支払いを引き出すことです。債権譲渡通知をちらつかせる行為は、まさにその典型的な手口といえます。
実際のトラブル事例では、「契約違反と判断したため違約金として〇〇万円を支払え。拒否するなら売掛先へ債権譲渡通知を送る」という脅し文句が頻繁に使われています。通知を受けた売掛先が驚き、取引関係に疑念を持ったり、信用を大幅に失う可能性があるため、利用会社にとっては無視できない深刻な脅しになります。悪質業者は、この心理的弱点を巧みに利用するのです。
特に注意が必要なのは、売掛先との契約に譲渡禁止特約が盛り込まれている場合です。譲渡禁止特約がある債権は、本来であれば無断譲渡すべきではありません。法律上は、譲渡禁止特約があっても債権譲渡は成立しますが、契約上の問題として売掛先との信頼関係を大きく損なう危険があります。無断でファクタリングを利用したことが通知によって露見すれば、信用失墜、契約解除、重要な取引の停止など、事業に直接的なダメージを与える事態になりかねません。
こうした背景から、悪質業者に債権譲渡通知を持ち出された場合、利用会社は慌ててしまい、法外な請求や不当な条件を受け入れてしまうことがあります。実際には業者側も契約・法令上の瑕疵を抱えていることが多く、強硬に通知を実行すれば自らの違法行為が露呈する可能性もあります。しかし悪質業者は、通知を盾にした“脅し”を最大限に利用し、できるだけ高額な金銭を引き出そうとするのが常です。
このようなトラブルを避けるためには、契約内容を細かく確認し、譲渡禁止特約の有無や通知に関する取り決めを完全に理解したうえで契約することが欠かせません。また、不当な請求や脅しを受けた際は、早い段階で弁護士に相談し、適切な法的対応を取ることが重要です。ファクタリング自体は正当な取引ですが、悪質業者が介在すると大きなトラブルを引き起こす可能性があるため、利用会社側の慎重な判断と事前の準備が求められます。
トラブルは弁護士に相談すべき?
ヤミ金とのトラブルは、法的に明確な違法行為であるため、弁護士に相談することで適切な対応が進みやすく、解決への道筋も比較的はっきりしています。では、同じく被害が多発しているファクタリングの悪質業者との間でトラブルに発展した場合も、弁護士に相談すべきなのでしょうか。結論として、悪質業者との衝突が深刻化し、一般的な交渉では解決が難しいと感じた段階では、弁護士の関与が非常に有効です。
ただし、ファクタリングの領域は法整備が十分とはいえず、貸付か売買かの線引きが曖昧なケースも多いため、ヤミ金とは異なり、すべての事例で弁護士が即座に強制的な対応を取れるわけではありません。だからこそ、「どのような状況になったら弁護士に相談すべきか」を正しく判断することが重要になります。
例えば、契約内容に重大な問題があると疑われる場合、不当な違約金の請求を受けた場合、脅迫めいた取り立てを受けている場合、あるいは債権譲渡通知を利用した圧力をかけられている場合などは、弁護士の介入が状況を大きく改善する可能性があります。悪質業者が恐れるのは、法的な専門家によるチェックと追及であり、弁護士が代理人として入るだけで態度が急変するケースも少なくありません。
このように、ヤミ金とは性質が異なるものの、ファクタリングに関しても一定の条件下では弁護士の力が極めて有効となります。次の章では、具体的にどのような状況で弁護士への相談が必要になるのかを詳しく見ていきます。
悪質業者は弁護士に弱い
上述の通り、ファクタリングに関するトラブルといってもその種類は多岐にわたり、必ずしも全てが悪質業者によって引き起こされるわけではありません。正規のファクタリング会社と契約内容の認識違いからトラブルになるケースもあれば、利用会社側の手続き不備や契約違反が原因で問題が発生することも珍しくなく、状況は一つひとつ異なります。
特に、業界内でも実績のある大手、たとえばNo.1のような優良ファクタリング会社と揉めてしまった場合、その原因が業者側の違法行為にあるとは考えにくく、専門家である弁護士であっても根本的な解決に介入できる範囲は限られてしまいます。契約内容自体に問題がなければ、弁護士ができるのは契約解釈のサポートや交渉の調整といった範囲にとどまり、利用会社側に契約違反や不正行為がある場合には、示談交渉を手伝うのが精一杯というのが実情です。
一方で、相手が悪質業者である場合は状況が大きく異なります。悪質業者は本質的にヤミ金業者と同質であり、強引な取り立てや不当な請求を行いながら、法的リスクを極端に嫌うという特徴があります。このため、弁護士が代理人として介入した時点で態度を急速に軟化させることも多く、問題の長期化を防ぎながら早期解決へとつなげられる可能性が高まります。
つまり、どのような種類のトラブルであっても、相手が悪質業者だと判断できるのであれば、弁護士への相談は非常に有効な手段です。悪質業者に対抗するためには専門家の力が不可欠であり、早めの段階で相談することで、被害拡大を食い止められるだけでなく、精神的な負担も大きく軽減できます。
手数料のトラブルはケースバイケース
手数料などのトラブルであれば、弁護士への相談は慎重に検討すべきです。
相談することで十分な結果が得られることもあれば、大した結果が得られなかったり、逆効果になったりすることがあります。
弁護士に相談すべきケース
業者側の行為が明らかに違法であり、さらにファクタリングによって動いた金額が大きい場合には、早期に弁護士へ相談する価値があります。悪質業者は、警察への通報や裁判へ発展するリスクを非常に恐れるため、弁護士が介入した瞬間に態度を一変させることが多く、これまで強気だった請求姿勢が急速に弱まるのが一般的です。
ヤミ金対応の場面で過払い金が返還されることがあるように、悪質なファクタリング会社に対しても、法外な手数料の返還を求めることが可能です。実際に、弁護士がファクタリング手数料の返還請求を行ったところ、業者側が争うことなく速やかに応じた例も存在します。違法性が明らかな場合、業者としても裁判になれば不利になることを理解しているため、返金してでも事態の拡大を避けようとするわけです。
ファクタリングの利用金額が大きければ大きいほど、利用会社が負担した手数料も高額になります。つまり、返還請求が成功すれば、取り戻せる金額も相応に大きくなる可能性があります。適切に対応すれば、悪質業者とのトラブルを根本的に解消できるだけでなく、手元に戻る金額によって弁護士費用を差し引いても十分に利益が残るケースも多いのです。
あまり効果的でないケース
逆に、(違法性が高いものの)違法とは断定できない、あるいは違法性が明らかでもファクタリングの金額自体が小さい場合には、弁護士への相談はおすすめできません。
違法と断定できない以上、弁護士が介入したところで業者がまともに対応せず、交渉が難航する可能性があります。
また、ファクタリングの金額が小さければ、返還される金額はわずかであり、弁護士報酬の方がはるかに高くなるでしょう。
この場合、手数料に関するトラブルだけではなく、他のトラブルを解決することも含めて、トータルメリットで判断する必要があります。
債権譲渡通知の危険がある
トラブルの例でも触れたように、悪質な業者が債権譲渡通知を利用して脅すような行為に及ぶことがあります。さらに、業者が悪質でなくても、利用者側の契約違反が原因となって債権譲渡通知が行われるケースも珍しくありません。悪質業者が脅しに使う場合には、法的にも脅迫罪に該当する可能性が高いため、弁護士に相談することで債権譲渡通知の差し止めを求めることができます。
一方で問題となりやすいのが、通常のファクタリング会社との間で起きる債権譲渡通知をめぐるトラブルです。ファクタリング会社は、利用者の契約違反などを理由として売掛先に通知を出すことがあります。特に2社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング契約の存在を知らないため、通常は「売掛先 → 利用会社 → ファクタリング会社」という流れで代金回収が進みます。しかし、利用会社が契約違反を起こした場合、その回収ルートを維持することはできず、会社を介さず直接売掛先から回収せざるを得ません。そのため、譲渡通知を出して債権者がファクタリング会社に変わったことを売掛先へ知らせる必要があるのです。
こうした通常の手続きに基づく債権譲渡通知の場合、問題の原因が利用会社側にあることも多く、弁護士ができる対応にはどうしても限界があります。ただし、弁護士を介してファクタリング会社と話し合い、示談によって通知の実行を回避できる可能性は残されています。どうしても譲渡通知を防ぎたい場合には、弁護士に相談して対応を任せるのが現実的な選択といえるでしょう。
違法な取り立てを受けたらすぐに相談を
すぐに弁護士に相談すべきは、違法な取り立てを受けた場合です。
近年、悪質業者の取立行為に対し、規制強化の流れにあります。
このため、違法な取り立てによるトラブルであれば、弁護士も対応しやすいといえます。
最近では、2022年9月1日にヤミ金融対策法が施行され、取立行為に対する規制もさらに強化されました。
例えば、以下のような取り立てを行った場合、貸金業法違反となります。
- 債務者をおどかしたり困惑させたりすること
- 不当な時間帯(午後9時~午前8時)に取り立てを行うこと
- 勤務先などに電話や訪問を行うこと
- 債務者・保証人以外の第三者に弁済を要求すること
ファクタリングの悪質業者も、利用会社の代表者に脅迫行為や嫌がらせを行う、利用会社を直接訪問して取り立てる、売掛先に債権譲渡通知を行うなどが考えられます。
違法な取り立てを受けると、事業に支障をきたす恐れがあるため、すぐに弁護士に相談し、悪質行為をやめさせるべきでしょう。
弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となって悪質業者に対応するため、利用会社に対する取り立てはなくなります。
上記のような違法性が確認された場合、弁護士から警察に通報することも可能です。
「実質的に貸金業」は相談すべき
表向きはファクタリングと説明していても、実際のサービス内容や契約の中身によっては「実質的に貸金業」と判断されるケースがあります。このような場合も、弁護士への相談が必要です。担保や保証を求められる契約になっている、償還請求権を利用者側に負わせている、取り立て行為が貸金業者のように違法性のある方法で行われているなどの状況があると、契約の実態はファクタリングではなく貸金とみなされます。
実質が貸金業であると判断された場合、業者は金融庁の貸金業登録を受けることが必須になります。登録を受けずに貸金業を行う行為は無登録営業となり、貸金業法に違反します。また、貸金業者である以上は法定の上限金利を守らなければなりませんが、ファクタリングの手数料を年利換算すると上限金利を軽く超えることが多く、出資法や利息制限法にも違反する状態になります。このように貸金業法、出資法、利息制限法という貸金三法すべてに抵触するため、業者の違法性は非常に明確です。
こうした性質を持つ悪質業者とのトラブルは、内容にかかわらず弁護士が対応しやすい類型にあたります。サービス名がファクタリングであっても、契約の中身が貸金そのものだと判断されるような場合には、早い段階で弁護士に相談することが望ましいといえます。
利用会社に非がある場合は?
これまでの解説でも何度か触れましたが、ファクタリングでトラブルになる場合、ファクタリング会社は必ずしも悪質業者とは限りません。
利用会社側の原因により、トラブルになることも多いのです。
代表的な例をいくつかみていきましょう。
- 1.ヒアリングや必要書類の内容に虚偽があった
- 2.同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売却した(二重譲渡)
- 3.2社間ファクタリングの際、回収した売掛金を利用会社が使い込んだ
- 4.売掛先の信用悪化情報を掴んでいたが、ファクタリング会社に報告しなかった
1や2は詐欺罪に、3は横領罪に該当する可能性があり、最悪の場合には刑事事件に発展するため、すぐに弁護士に相談すべきです。
弁護士を通してファクタリング会社と交渉し、示談に持ち込めば事件化や訴訟を避けることができます。
また、事件化して起訴された場合にも、弁護士に依頼することで執行猶予や減刑を目指す必要があります。
4は、ケースバイケースで考えるべきでしょう。
ファクタリング契約には報告義務が盛り込まれており、売掛先の信用に関する重大な情報を掴んだ場合、利用会社はファクタリング会社に報告しなければなりません。
この報告義務を怠ると、契約違反とみなされて違約金を請求されたり、契約解消によって買取代金の返還を求められたりすることがあります。
しかしながら、契約では報告義務の線引きが曖昧なことが多く、解釈次第では利用会社の落ち度とも言い切れません。
報告義務でトラブルになった場合、弁護士に相談することで、利用会社は責任の追及を回避できる可能性があります。
弁護士に相談する際の注意点
ファクタリングのトラブルを弁護士に相談する際には、いくつか注意すべき点があります。
主な注意点は以下の4つです。
頼りになる弁護士が少ない
まず最初に押さえておきたいのは、ファクタリングのトラブルは一般的なヤミ金のトラブルほど単純ではないという点です。弁護士は法律に基づいて依頼者を守る存在であり、相手の行為が明確に違法であれば警察への通報や訴訟など、適切な手段を取ることが可能です。実際に訴訟へ進む場合には、過去の判例が重要な判断材料となり、「事件番号〇〇の判例では、この行為が違法とされている」という形で違法性を判断していきます。
しかし、ファクタリングに関しては法整備が追いついておらず、法的な位置付けも明確ではありません。違法性の線引きが曖昧なだけでなく、悪質ファクタリング業者に対する裁判例自体が非常に少ないため、判断に必要な材料が揃いにくいという問題があります。こうした背景から、法律家であっても見解が分かれるケースが多く、対応が簡単ではないのが実情です。
もちろん、相手が明らかな悪質業者であり、脅迫行為や貸金業法違反に該当するような行動をとっている場合には、ヤミ金対応を得意とする弁護士が介入することで迅速な解決が期待できます。しかし、業者側の行為が法律上グレーな領域にとどまっている場合には、弁護士であっても対応が難しく、強い手段に踏み切れないこともあります。
実際のところ、ファクタリングのトラブルに詳しい弁護士は決して多くありません。ヤミ金問題を専門とする弁護士は数多く存在しますが、ファクタリングを専門領域として扱う弁護士は限られており、依頼先が見つかりにくいという現状があります。
悪質な弁護士に要注意
弁護士に相談したくとも、ファクタリング専門の弁護士が少ない現在、悪質な弁護士に注意する必要があります。
弁護士のバッジをつけているからと言って、その弁護士が善良とは限りません。
弁護士の中には、いわゆる「悪徳弁護士」と呼ばれる弁護士も存在するのです。
悪徳弁護士によくある手口は以下の通りです。
- 「ファクタリング専門」を謳いながら、ファクタリングトラブルを解決した実績がほとんどなく、解決能力もない。初めから相談料で稼ぐことを目的としている
- 「ファクタリングは法整備が不十分で解決が難しい」などとして解決を引き延ばし、弁護士費用の上乗せを図る
このような弁護士に依頼すれば、無駄なコストがかかるだけで何の意味もありません。
適正な弁護士費用が分かりにくい
ファクタリングのトラブルを弁護士に相談するとなれば、当然ながら弁護士費用が発生します。相談料や着手金、成功報酬、日当、郵送費などの実費が一般的な内訳ですが、これらの基準は事案の種類によってある程度の相場が存在します。離婚問題や相続問題、そしてヤミ金対応のように、多くの弁護士が扱い慣れている分野であれば、依頼者側も他の事例と比較しながら費用の妥当性を判断できます。
ところが、ファクタリングのトラブルは特殊な分野にあたり、対応できる弁護士自体が少ないため、依頼者としては「何が適正な料金なのか」を見極めにくいのが実情です。弁護士によって費用体系が大きく異なることも珍しくなく、相場を掴むことが難しいため、提示された金額が高額でも、それが本当に妥当なのか判断できないという問題が生じます。
さらに厄介なのは、悪質業者とのトラブルを解決できたとしても、依頼した弁護士が悪徳弁護士だった場合です。依頼者が法的トラブルからようやく解放されたと思った途端、今度は法外ともいえる高額報酬を請求され、支払いに追われるという最悪のケースも起こり得ます。ファクタリングの被害から抜け出すために弁護士へ頼った結果、新たな負担を抱えてしまっては意味がありません。
そのため、ファクタリングのトラブルを弁護士に相談する際には、費用の透明性や説明の丁寧さ、過去の対応実績などを慎重に確認し、信頼できる弁護士を見極めることが極めて重要になります。
公的機関の窓口に相談を
今後、ファクタリング市場の拡大や関連法規の整備が進めば、法律家の対応範囲も広がり、弁護士に相談しやすい環境が整っていくと考えられます。実際、法改正が進めば過去の判例や解釈も積み上がり、弁護士にとって扱いやすい分野へ成長していく可能性は十分にあります。しかし現時点では、ファクタリングそのものが新しい仕組みであることに加えて、トラブルの類型も複雑なため、弁護士との相性は決して良いとは言えません。依頼者にとっても、何をどこまで弁護士に相談すべきなのか判断しづらく、専門の弁護士が少ないという事情もあって、最適な相談先を探すだけでも苦労するのが実情です。
そのため、ファクタリングでトラブルに遭い、弁護士に依頼すべきかどうか迷うような状況では、いきなり弁護士を頼るのではなく、まず公的機関の相談窓口に連絡するのが最も安全で現実的な選択です。金融庁や警視庁、日本貸金業協会といった公的機関は、ファクタリングを名目とする悪質業者の排除に力を入れており、無料で相談を受け付けています。これらの窓口にトラブルの詳細を伝えることで、業者が法的に問題のある行為を行っていないか、悪質業者に該当する可能性があるか、解決に向けてどう動くべきかなど、客観的な視点から助言を受けることができます。
こうした公的機関のアドバイスは、弁護士への依頼が本当に必要なケースかどうかを判断する材料にもなりますし、場合によっては弁護士を介さずにトラブルを解決できる可能性もあります。特に、ファクタリングと貸金業の線引きが曖昧なケースや、違法性の判断が難しいケースでは、公的機関の見解は非常に有益です。まずは中立の立場から情報提供を行ってくれる窓口に相談し、状況を正しく把握したうえで、その後の対応方針を決めるのが賢明だと言えるでしょう。
まとめ:No.1で安心なファクタリング
この記事では、ファクタリングを巡って起こりやすいトラブルの具体例や、弁護士に依頼すべき状況、その際に注意すべき点などについて詳しく説明してきました。現状では、ファクタリングの仕組み自体がまだ一般的とは言えず、専門的に扱う弁護士も限られているため、依頼先を探すこと自体が簡単ではありません。その意味でも、ファクタリングでスムーズに資金調達を行うには、後からトラブルに対処するのではなく、最初の段階でリスクを避けることが何よりも重要です。
特に、信頼できる優良ファクタリング会社を選ぶことができれば、悪質業者による不当な請求や違法行為に巻き込まれる可能性を大幅に減らせます。契約内容の透明性や実績、利用者からの評価などを確認し、安心して利用できる会社を選ぶだけでも、弁護士に相談しなければならないような深刻なトラブルはほぼ防げます。ファクタリングに興味がある方や、利用を検討しているものの不安を感じている方は、まずNo.1に相談してみてください。初めての方でも状況に応じて適切なサービスを案内し、安心して資金調達を進められるよう経験豊富なスタッフが丁寧にサポートします。
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