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ファクタリングできる債権は?5種類の債権とファクタリングへの活用を徹底解説!
ファクタリングは債権譲渡取引の一種であり、売掛債権を売却することで資金を調達します。
しかし、一口に債権といっても種類は様々です。
取引の進捗状況、契約内容、債権者・債務者の関係などによって債権の内容が異なり、ファクタリング会社の対応も変わります。
はじめてファクタリングを活用する会社では、ファクタリングを検討している債権が対応しているかどうかを知ることが重要です。
この記事では、ファクタリングに関わる5種の債権と、ファクタリングに活用する際の考え方を詳しく解説します。
ファクタリングの基礎知識
中小企業の資金調達方法は様々ですが、多くの場合、真っ先に検討するのは銀行融資でしょう。
銀行融資は調達コスト(金利や保証料など)が安く、多額の資金調達にも対応しています。
色々ある資金調達方法の中でも、銀行融資は最も優れているといっても過言ではありません。
しかし、これは「融資を受けられる状況の会社であれば」という条件付きです。
融資は銀行の基幹業務であり、元金と利息を全て回収することで初めて成り立ちます。
低金利で貸し付けるのですから、元金の一部分が貸し倒れになっただけでも赤字になる恐れがあり、なおかつ貸倒引当金によって収益性の低下を招きます。
つまり銀行は、経営状況と今後の見通しから、「現在と将来(少なくとも融資期間中)の返済能力に問題なし」と判断した場合に限って融資するのです。
だからこそ、業績・財務が芳しくない会社や、それをカバーするための担保・保証を持たない会社は容易に融資を受けられません。
コロナ禍、紛争、円高など、様々な要素によって経済が不安定な今、銀行融資に依存するのは極めて危険です。
銀行融資への依存度が高い会社は、融資を受けられなくなった場合に資金繰りがショートし、倒産に危険があります。
このような情勢の中、注目を集めている資金調達方法が「ファクタリング」です。
ファクタリングとは?
ファクタリングは、会社が所有している売掛債権(以下、債権)をファクタリング会社に売却する資金調達方法です。
詳しくは後述しますが、ファクタリングで買取対象となるのは「支払期日前の債権」に限られます。
つまりファクタリングを利用することによって、支払期日を待たずに債権を回収でき、資金繰りに必要な現金を調達できるのです。
ファクタリング会社に債権を譲渡(売却)するのですから、ファクタリングは資産の売却による資金調達ともいえます。
融資とは根本的に異なるため、銀行融資を受けられない会社でも資金の調達が可能です。
ファクタリングは債権譲渡取引
「債権を売却する」ということからも分かる通り、ファクタリングは債権譲渡取引に含まれます。
このことは、金融庁の公式HPからも明らかです。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
ファクタリングが債権譲渡取引であることは、その合法性を裏付ける上でも重要です。
以下の通り、債権譲渡取引は民法で認められており、債権譲渡取引であるファクタリングにも違法性は一切ありません。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
なお、これは2020年4月1日に施行された改正民法です。
近年、政府は中小企業の銀行融資依存の緩和を目指し、資金調達方法の多様化を推進しています。
その一環としてファクタリングを推奨しており、ファクタリング普及の妨げになっている法律の改正にも積極的です。
後述の通り、法改正によってファクタリングに利用できる債権の種類も広がりつつあります。
ファクタリングの種類・方式
一口にファクタリングといっても、いくつか種類・方式が分かれます。
ファクタリングの種類
ファクタリングの種類を大別すると、債権を買い取る「買取ファクタリング」、債権の支払いを保証する「保証ファクタリング」です。
現在、日本で最も普及しているのは買取ファクタリング。
同じ買取ファクタリングでも、債権の種類によってサービス内容や利便性、普及状況などが異なるため注意が必要です。
多くの中小企業は買取ファクタリングを利用するため、この記事でも買取ファクタリングを中心に解説していきます(単に「ファクタリング」と表記する場合、全て「買取ファクタリング」の意味と考えてください)。
ファクタリングの方式
ファクタリングの方式には、大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。
それぞれの簡単なイメージは以下の通りです。
- 2社間ファクタリング:ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)とファクタリング会社の2社間で債権を取引する方式
- 3社間ファクタリング:利用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で債権を取引する方式
2社間・3社間の大きな違いは、売掛先の関与の有無です。
2社間ファクタリングは売掛先が一切関与しないため、手続きが簡単で資金調達スピードにも優れています。
当然、売掛先が債権の譲渡を知ることはなく、資金繰り難を疑われる心配もありません。
3社間ファクタリングでは売掛先が必ず関与するため、手続きの煩雑さ、資金調達スピード、売掛先の信用リスクなどに難があります。
しかしながら、銀行系ファクタリングが3社間取引を好むことからも察せられる通り、安全性が高く、調達コストが安いのが特徴です。
債権には5種類ある
「売掛金」「売掛債権」などと呼ばれる債権ですが、これにはいくつかの種類があります。
ファクタリングを利用する上でぜひとも知っておきたいのは、以下の5種類の債権です。
1.確定債権
ファクタリングに最も縁が深い債権といえば、確定債権です。
その名の通り、債権内容が確定しているものを確定債権といいます。
請求金額や支払期日といった債権の内容は、自社から売掛先に対して請求書を発行し、売掛先が受理することで確定します。
もちろん、契約に沿った取引が完了していることが前提です。
つまり確定債権とは、
「自社から売掛先に対して商品やサービスの提供が完了し、請求書の授受によって請求内容が確定している債権」
のことです。
2.想定債権
次に、想定債権というものがあります。
想定債権は確定債権とは異なり、債権の内容が未確定の状態です。
債権内容が確定していないケースには、以下のようなものがあります。
- 商品やサービスの提供は完了しているものの、経理の都合によってまだ請求書を発行していない
- 商品やサービスの提供が一部完了しているものの、全て完了しておらず請求に至らない
- 商品やサービスの提供は完了したものの、行き違いが生じたために売掛先が請求書を受理していない
債権内容は確定していませんが、1ならば請求書の発行、2ならば契約の履行、3ならば行き違いの解消によって請求書が受理され、債権が確定する可能性が高いです。
つまり想定債権とは、
「現時点では債権内容が確定していないものの、近い将来に確定することが想定される債権」
といえます。
3.将来債権
将来債権も、その時点では債権の内容が確定しておらず、将来的に発生する債権です。
想定債権との違いが分かりにくいですが、想定債権と将来債権には明確な違いがあります。
- 想定債権…債権内容が確定していないものの、近い将来に確定することが想定される債権
- 将来債権…継続取引によって、今後も将来的に発生する債権
想定債権の場合、「近い将来に確定が想定される債権」は、あくまでも目の前の取引に限られます。
将来債権は、例えば「今後10年間にわたり、毎月100万円の商品を販売する」という契約があれば、将来的に(120ヶ月間にわたって)毎月100万円の債権が発生するわけです。
このように、想定債権と将来債権は似て非なる債権です。
4.不良債権
商品やサービスは既に提供し、請求書の授受も行ったものの、売掛先の経営悪化や倒産によって債権が回収できなくなることがあります。
このように、支払期日を過ぎても回収できない債権を「不良債権」、一部または全額回収できなくなることを「不良債権化」といいます。
5.給与債権
債権は債権でも、給与債権は1~4の債権とは大きく異なります。
1~4は自社と売掛先の商取引によって発生する債権ですが、給与債権は会社と従業員の間で発生する債権です。
会社は、従業員から労働力の提供を受け、労務に応じた給与を支払います。
従業員の立場から見ると、会社に対して労務に応じた給与の支払いを受ける権利を有するわけです。
この権利を給与債権といいます。
ファクタリングできる債権は?
5種類の債権を見てきましたが、ファクタリングに利用できるのはどの債権でしょうか?
種類によって、ファクタリングに利用しやすい債権、利用しにくい債権、利用できない債権、利用してはいけない債権などがあります。
それぞれ見ていきましょう。
原則として確定債権のみ
これからファクタリングを活用する会社は、まずは確定債権のファクタリングを考えてください。
というのも、ファクタリングは原則的に確定債権を対象にしているからです。
確定債権になると、請求先、請求金額、支払期日などの請求内容が明らかです。
したがって、ファクタリング会社が債権を審査する際には、確定している内容に基づいて審査できます。
これは、ファクタリング会社にとって重要なことです。
ファクタリングの契約は、基本的に利用会社に有利な条件になっています。
例えばファクタリング契約では「償還請求権なし」が必須条件です。
償還請求権がなければ、買い取った債権が不良債権化しても、ファクタリング会社は利用会社に対して債権の買い戻しを請求できません。
不良債権化による損失は、ファクタリング会社が全額負担するのです。
このリスクを避けるためには、ファクタリング会社はできるだけ正確に審査を行い、回収不能リスクの高い債権は買い取りを拒否する必要があります。
当然、債権の情報は正確であればあるほど良く、債権の情報が確定している確定債権は好都合です。
逆に想定債権や将来債権は、債権の情報が確定していません。
その後の取引次第で、請求金額や支払期日が変わったりする可能性もあります。
そのような債権の買い取りは難しく、リスクも高くなるため、ファクタリングでは原則的に確定債権のみを買取対象としているのです。
ファクタリングの対象債権が広がる
しかし近年、ファクタリングの対象債権は徐々に広がっています。
政府がファクタリングを推奨しており、法改正に取り組んでいるためです。
例えば、確定債権の中でも特殊な性質を持つクレジットカード債権、また未確定の状態にある想定債権や将来債権もファクタリングできるようになりました。
クレジットカード債権
クレジットカード債権は、クレジットカード会社に対して有する債権です。
クレジットカード会社への請求内容は確定していますから、これは確定債権の一種といえます。
しかしながら、法改正以前はクレジットカード債権のファクタリングは困難でした。
というのも、法律で譲渡禁止特約付きの債権の譲渡を認めていなかったからです。
クレジットカード会社の加盟店規約では、クレジットカード債権の譲渡を禁止しています。
つまり譲渡禁止特約付きの契約ですから、この債権は法的に譲渡できません。
同じように、一般の企業間取引においても、売買基本契約に譲渡禁止特約があればファクタリングは利用できませんでした。
これがファクタリング普及の妨げになっていたことから、政府は法改正に踏み切ったのです。
民法第466条には、以下のように明記されています。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
この通り、譲渡禁止特約がついているクレジットカード債権でもファクタリングできるようになりました。
想定債権・将来債権もファクタリング対象に
想定債権や将来債権は債権の内容が未確定な状態であり、法的な譲渡性も不明確です
しかし法改正によって明文化されたことで、これらの債権を買い取るファクタリング会社も徐々に増えています。
民法第466条の6をみてみましょう。
(将来債権の譲渡性)
第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
出典:出典:e-Gov法令検索「第四節 債権の譲渡」
債権の内容が未確定の状態であっても、つまり想定債権や将来債権でも、法的に譲渡を認めると明記されています。
分かりやすいのが、医療機関や介護施設がファクタリングを利用するケースです。
医療機関が有する診療報酬債権、介護施設が有する介護報酬債権は、審査機関にレセプトを送ることで債権が確定します。
逆に、診療や介護を行ってからレセプトを送るまでの間、その債権は想定債権に過ぎません。
また、将来の長期にわたって発生が見込まれる診療報酬や介護報酬は、将来債権に当たります。
法改正によって想定債権・将来債権の譲渡性が明文化されたことで、診療報酬債権や介護報酬債権もファクタリングしやすくなりました。
もちろん一般の企業においても、想定債権や将来債権のファクタリングが可能です。
ただし、提供しているファクタリング会社が少ないのが難点です。
診療報酬債権や介護報酬債権のファクタリングは、No.1をはじめとする複数の優良ファクタリング会社が取り扱っています。
しかし、一般企業の有する想定債権・将来債権に対応しているファクタリング会社はまだまだ少ない状況です。
提供するファクタリング会社が少なければサービスも洗練されにくく、ファクタリング条件が悪くなる恐れもあります。
不良債権はサービサーへ
上記で取り上げた5種類の債権のうち、不良債権はファクタリングできません。
そもそも、ファクタリングは支払期日前の債権を対象とするサービスです。
確定債権・想定債権・将来債権、この3種類は全て支払期日前の債権です。
支払期日が到来していないからこそ、ファクタリング会社はその債権を額面金額より安く買い取り、支払期日に満額回収することで利益を得られます。
「すでに支払期日を過ぎている」ということは、「売掛先が支払期日に支払えなかった」ということです。
大抵の場合、売掛先の経営難や倒産が原因ですから、満額回収できる見込みはほぼゼロです。
したがって不良債権を買い取ることは、「債権を割安に買い取り、満額回収することで利益を得る」というファクタリングのビジネスに適いません。
支払期日を過ぎて不良債権化したものは、ファクタリング会社ではなくサービサー(債権回収会社)に買い取ってもらいます。
回収が難しい債権を買い取ってもらうため、買取価格は額面金額の1~5%程度になるケースが一般的です。
確定債権をファクタリングする場合、額面金額の90%以上で売却できることも多いため、ファクタリングと不良債権の売却は全くの別物といえます。
給与債権のファクタリングはNG
初めてファクタリングを利用する人がぜひ注意すべきは、給与債権のファクタリングです。
まず、給与債権の買い取りはファクタリングではありません。
業者が「給与ファクタリング」などと称していても、実質的には「ファクタリングを装った違法な貸付け」です。
給与債権のファクタリングについては、金融庁も以下のように注意を喚起しています。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
貸金業登録を受けていないヤミ金融業者により、年率換算すると数百~千数百%になる手数料を支払わされたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するような悪質な取立ての被害を受けたりする危険性があります。
出典:出典:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
簡単に言えば、給与債権を買い取る業者はヤミ金業者ということです。
ファクタリング業界の健全化のために、金融庁や警視庁が給与ファクタリング業者を厳しく取り締まった結果、表立って給与債権を買い取る業者はほとんど見かけなくなりました。
また、給与債権は個人が勤務先に対して有する債権ですから、企業間の信用取引によって生じた債権とは性質が異なります。
しかしながら、違法業者の中には「法人向けの確定債権のファクタリング」と「個人向けの給与債権のファクタリング」を同時に提供している可能性もあるため、企業の資金調達と給与ファクタリングが全くの無縁とは言い切れません。
違法業者を避けるためにも、「給与債権のファクタリングはNG」と考えておきましょう。
まとめ:資金繰りにファクタリングの活用を
債権にも色々な種類がありますが、従来のファクタリングでは確定債権のみを対象としていました。
現在でも、多くのファクタリング会社が「確定債権の買い取り=ファクタリング」としています。
しかしながら、法改正によって将来債権のファクタリングも徐々に広がっており、ファクタリングの形は多様化しつつあります。
今後もこの流れは続くことでしょう。
柔軟な資金調達のためにも、ぜひファクタリングをおすすめします。
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