【2026年最新版】ファクタリングに消費税はかかる?手数料・課税売上割合・仕入税額控除を解説

ファクタリングを利用するとき、「ファクタリング手数料に消費税はかかるのか」「課税売上割合に影響するのか」と疑問に思う経営者の方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、一般的なファクタリングで行われる売掛債権などの金銭債権の譲渡は、消費税の非課税取引です。
また、通常の事業活動によって取得した売掛債権をファクタリング会社へ譲渡する場合、その譲渡対価は、原則として課税売上割合の計算における分母にも含まれません。
したがって、一般的な事業会社が自社の売掛金をファクタリングするだけであれば、ファクタリングによって課税売上割合が下がることを過度に心配する必要はありません。
ただし、ファクタリング契約に付随して別個の役務提供を受ける場合や、ファクタリング会社などが取得した金銭債権をさらに譲渡する場合には、消費税や課税売上割合について別の取扱いが問題になることがあります。
この記事では、2026年現在の消費税制度を前提に、ファクタリングと消費税、課税売上割合、仕入税額控除、インボイス制度との関係についてわかりやすく解説します。
ファクタリングとは売掛債権を売却して資金化する方法
ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権をファクタリング会社へ売却し、支払期日前に資金化する方法です。
たとえば、取引先に対して500万円の売掛金があり、入金予定日が1か月後だったとします。
通常であれば1か月後まで資金を受け取れませんが、ファクタリング会社へ売掛債権を譲渡すれば、所定の手数料等を差し引いた金額を早期に受け取ることができます。
金融庁も、一般的なファクタリングについて、事業者が保有する売掛債権等を期日前に買い取るサービスであり、法的には債権の売買、つまり債権譲渡契約であると説明しています。
ファクタリングは融資ではなく、基本的には売掛債権という資産を売却する取引です。
この「金銭債権の譲渡」であることが、消費税の取扱いを理解する重要なポイントになります。
ファクタリングに消費税はかかる?
通常のファクタリングによる金銭債権の譲渡には、消費税はかかりません。
国税庁は、消費税が非課税となる取引の一つとして、国債や株式などの有価証券に加えて、金銭債権の譲渡を挙げています。
売掛債権も金銭債権の一種です。
そのため、事業者が売掛債権をファクタリング会社へ譲渡する取引そのものは、消費税の非課税取引となります。
たとえば、500万円の売掛債権を450万円でファクタリング会社へ譲渡した場合、450万円に対して消費税10%を加算して495万円になる、といった計算は行いません。
金銭債権の売買価格そのものに消費税を上乗せするものではありません。
ファクタリング手数料にも消費税はかからない?
一般的なファクタリングでは、売掛債権の額面金額と実際の買取金額との差額などが、実質的なファクタリングコストとなります。
このような金銭債権の買取りそのものに伴う対価については、金銭債権の譲受けに関する非課税取引として取り扱われるのが基本です。
したがって、純粋な債権買取りの対価として設定されているファクタリング手数料について、通常の商品やサービスと同じように消費税10%を上乗せするという考え方は適切ではありません。
ただし、ここで注意しなければならないのが、「ファクタリング契約で請求されるすべての費用が必ず非課税になる」というわけではないことです。
ファクタリングに付随する費用は課税される場合がある
ファクタリング会社から請求される費用のうち、金銭債権の買取対価とは別に、独立した役務提供の対価として請求されるものについては、消費税の課税対象となる場合があります。
重要なのは、請求書上の名称だけではなく、「その費用が実質的に何の対価なのか」です。
買取手数料
売掛債権を買い取ること自体の対価として一体的に設定されている手数料については、原則として金銭債権の譲受けに関連する非課税取引として考えます。
単純な債権買取手数料に消費税10%を上乗せして請求されている場合には、その根拠を確認するとよいでしょう。
事務手数料・審査手数料
「事務手数料」「審査手数料」という名称だけで、課税・非課税を一律に判断することはできません。
債権買取りの対価の一部として一体的に請求されているのか、それとも債権買取りとは独立した事務サービス・コンサルティング等の役務提供の対価なのかによって、税務上の取扱いが異なる可能性があります。
したがって、手数料の名称ではなく、契約内容とサービスの実態を確認することが重要です。
司法書士報酬
2社間ファクタリングなどでは、債権譲渡登記を利用する場合があります。
司法書士へ登記手続きを依頼した場合の司法書士報酬は、原則として消費税の課税対象です。
ファクタリングそのものが非課税であっても、司法書士が提供する登記手続きという役務まで非課税になるわけではありません。
登録免許税
債権譲渡登記に伴う登録免許税は、消費税の課税対象ではありません。
司法書士報酬と登録免許税は分けて確認しましょう。
交通費・出張費
交通費や出張費についても、単純に「実費だから消費税がかからない」と判断することはできません。
ファクタリング会社が自社の役務提供の対価として出張費・交通費を顧客から受け取る場合には、契約関係や請求方法によって課税関係が変わります。
たとえば、他社へ支払う費用を明確に預り金等として処理しているケースと、自社の出張サービス料金として請求するケースでは取扱いが異なる可能性があります。
個別の請求について疑問がある場合には、契約書や請求書をもとに税理士等へ確認することをおすすめします。
課税売上割合とは?
ファクタリングと消費税を理解するためには、課税売上割合について知っておくことも大切です。
課税売上割合とは、簡単にいえば、消費税の課税対象となる売上が、事業者の総売上高に占める割合です。
課税売上割合は、消費税の仕入税額控除を計算する際に使われます。
原則的な計算イメージは次のとおりです。
課税売上割合=課税売上高等 ÷ 総売上高
実際の計算には、輸出免税売上や非課税売上なども関係するため、詳細は消費税法上のルールに従って計算します。
ここで特に重要なのが、課税売上割合は法人税の「経費にできる・できない」を判定する割合ではないという点です。
課税売上割合は、消費税の仕入税額控除の計算に用いる制度です。
課税売上割合95%と課税売上高5億円のルール
消費税の一般課税では、仕入税額控除の計算方法について、課税売上高と課税売上割合が重要になります。
2026年現在、原則として、
- 課税期間中の課税売上高が5億円以下
- 課税売上割合が95%以上
の両方を満たす場合には、その課税期間における課税仕入れ等に係る消費税額を原則として全額控除できます。
一方、
- 課税売上高が5億円を超える
- 課税売上割合が95%未満
のいずれかに該当する場合には、すべてを単純に全額控除するのではなく、個別対応方式または一括比例配分方式などによって仕入控除税額を計算します。
したがって、「課税売上高が5億円以上なら全額控除できる」というわけではありません。
通常のファクタリングで課税売上割合は下がる?
ここが今回のテーマで最も重要なポイントです。
通常の営業取引によって取得した売掛債権をファクタリングする場合、その債権譲渡対価は原則として課税売上割合の分母に含めません。
たとえば、A社が商品を販売して500万円の売掛金を取得したとします。
この売掛金は、商品を販売したという「資産の譲渡等の対価」として取得した金銭債権です。
A社がこの500万円の売掛債権をファクタリング会社へ450万円で売却したとしても、450万円を新たな非課税売上として課税売上割合の分母へ加算するわけではありません。
国税庁は、課税売上割合の計算について、「資産の譲渡等の対価として取得した売掛金等の金銭債権」の譲渡対価は、原則として分母に含めないという取扱いを示しています。
つまり、通常の事業会社が日々の営業によって発生した売掛金をファクタリングしても、
- 売掛債権の譲渡自体は非課税
- 通常の売掛債権の譲渡対価は課税売上割合の分母に原則算入しない
という取扱いになります。
「ファクタリングは非課税取引だから課税売上割合が必ず下がる」ということではありません。
ファクタリングの具体例で課税売上割合を考える
たとえば、課税売上が1億円ある会社が、その売上から発生した1,000万円の売掛金を900万円でファクタリングしたとします。
この場合、元となった商品・サービスの売上については、その取引内容に応じて消費税を計算します。
一方、1,000万円の売掛債権を900万円でファクタリングしたことについて、900万円を新たに非課税売上として加算し、課税売上割合を低下させるわけではありません。
ファクタリングは、すでに発生している売掛債権を入金日前に資金化しているためです。
再ファクタリングなどでは「5%ルール」が関係する場合がある
通常の事業会社が営業取引によって取得した売掛金をファクタリングする場合と、他者から取得した金銭債権をさらに譲渡する場合では取扱いが異なることがあります。
国税庁は、貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権について、資産の譲渡等の対価として取得したものを除き、その金銭債権を譲渡した場合には、譲渡対価の5%相当額を課税売上割合の分母へ算入するルールを設けています。
たとえば、ファクタリング会社B社が100万円の金銭債権を90万円で取得し、別の会社へ93万円で譲渡したとします。
一定の場合には、この93万円全額ではなく、
93万円 × 5% = 46,500円
を課税売上割合の計算上、分母へ算入することになります。
ここで注意したいのは、この5%は消費税率ではないということです。
46,500円の消費税を支払うという意味でもありません。
あくまでも、課税売上割合を計算するときに分母へ算入する金額を求めるための割合です。
また、金銭債権の譲渡自体が非課税取引であることに変わりはありません。
一般的な事業会社が自社の通常の売掛金をファクタリングするケースでは、この5%ルールが直接問題になることは通常ありません。
インボイス制度とファクタリングの関係
2023年10月1日からインボイス制度が開始されています。
ただし、ファクタリングによる金銭債権の譲渡は非課税取引です。
そのため、純粋な債権譲渡の対価について、通常の課税仕入れと同じように「インボイスを受け取らなければ仕入税額控除ができない」と考える必要はありません。
そもそも非課税取引については、課税仕入れに係る消費税そのものが発生していないためです。
一方で、ファクタリングに付随して司法書士報酬などの課税対象となるサービスを購入した場合には、通常のインボイス制度のルールが関係します。
2026年10月から経過措置は50%控除へ
インボイス発行事業者ではない事業者から課税仕入れを行った場合については、経過措置があります。
2026年10月1日から2029年9月30日までの期間は、一定の要件を満たすことで、仕入税額相当額の50%を仕入税額として控除できる経過措置があります。
2026年9月30日まで適用されていた80%控除から、2026年10月1日以降は50%控除へ移行しています。
ただし、このルールが関係するのは課税仕入れです。
金銭債権の譲渡そのものは非課税取引であるため、通常のファクタリング手数料についてこの経過措置をそのまま当てはめるものではありません。
ファクタリングを利用すると消費税の納税額は減る?
ファクタリングを利用したからといって、元となった商品やサービスの売上にかかる消費税がなくなるわけではありません。
たとえば、商品を税込550万円で販売し、550万円の売掛金が発生した場合、その商品販売について発生した消費税は、ファクタリングの利用有無とは別に考えます。
その後、この売掛金をファクタリングしたからといって、元の商品販売にかかる消費税が消えるわけではありません。
ファクタリングは、発生済みの売掛債権を現金化する取引だからです。
したがって、
「ファクタリングが非課税=元の売上に対する消費税も非課税」
ではありません。
この2つは明確に分けて考えましょう。
ファクタリングと消費税について注意したい業者
金銭債権の譲渡そのものは非課税です。
そのため、純粋な売掛債権の買取手数料について、明確な根拠なく「別途消費税10%」などと請求された場合には、契約内容を確認した方がよいでしょう。
ただし、消費税が請求されているという理由だけで、直ちに違法業者・悪質業者と断定することも適切ではありません。
司法書士報酬や独立した役務提供など、実際に消費税が課税される費用が含まれている可能性があるためです。
「何に対して消費税が請求されているのか」を確認することが重要です。
また、金融庁は、ファクタリングを装って実質的な貸付けを行う無登録業者について注意を呼びかけています。
契約上は債権売買となっていても、利用者に強い買戻し義務を課すなど、実態として貸付けに該当する場合には貸金業法等の問題が生じる可能性があります。
消費税だけでなく、契約全体の内容を確認したうえでファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリングと消費税についてよくある質問
ファクタリングの買取手数料には消費税がかかりますか?
一般的な金銭債権の買取りそのものに伴う対価であれば、原則として非課税取引です。
ただし、独立した役務提供について別途費用が設定されている場合には、その部分が課税対象になることがあります。
ファクタリングすると課税売上割合が下がりますか?
通常の営業取引によって取得した売掛債権を譲渡する場合、その譲渡対価は原則として課税売上割合の分母に含めません。
したがって、通常のファクタリングによって課税売上割合が低下するとは限らず、一般的な事業会社の売掛金ファクタリングでは通常影響しません。
ファクタリング会社から消費税を請求されたら違法ですか?
消費税を請求されたという理由だけで直ちに違法とはいえません。
買取手数料に対する消費税なのか、司法書士報酬や別個の役務提供に対する消費税なのかを確認してください。
インボイス登録していないファクタリング会社でも利用できますか?
ファクタリングによる金銭債権の譲渡そのものは非課税取引であるため、債権売買そのものについては、通常の課税仕入れと同じ意味でインボイスの有無を判断するものではありません。
ただし、課税対象となる付随サービスを利用する場合には、インボイス制度の取扱いを確認する必要があります。
ファクタリングの手数料は経費になりますか?
ファクタリングに伴うコストについては、会計上、売掛債権の売却に伴う費用等として処理することがあります。
ただし、具体的な勘定科目や法人税・所得税上の処理は、契約内容や会計方針によって異なる場合があります。
高額な取引や継続的な利用については、顧問税理士等へ確認することをおすすめします。
まとめ|通常のファクタリングは消費税非課税で課税売上割合への影響も原則なし
ファクタリングと消費税について重要なポイントをまとめます。
- 売掛債権など金銭債権の譲渡は消費税の非課税取引
- 通常の債権買取りに伴う対価については原則として消費税は課税されない
- 通常の営業によって取得した売掛債権の譲渡対価は、課税売上割合の分母に原則含めない
- 課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上なら、原則として仕入税額を全額控除できる
- 金銭債権の再譲渡等では、一定の場合に譲渡対価の5%を課税売上割合の分母へ算入する
- 5%は消費税率ではない
- 司法書士報酬など、ファクタリングとは独立した役務には消費税が課税されることがある
- 2026年10月1日以降、免税事業者等からの課税仕入れに係るインボイス経過措置は原則50%控除の期間に入っている
通常の事業会社が、自社の商品・サービスの販売によって発生した売掛金をファクタリングする場合、「ファクタリングをしたことで課税売上割合が下がるのではないか」と過度に心配する必要はありません。
一方で、個別に課税されるサービスが含まれている場合や、特殊な金銭債権取引を行う場合には取扱いが異なる可能性があります。
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