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クラウドファンディングとは?メリット・デメリット、活用事例を詳しく解説

近年、資金調達方法のひとつとして、クラウドファンディングが注目されています。
企業だけではなく個人での活用も増えています。
例えば、有名人が写真集を出したり、ファンとの交流の場を設けたりするための資金を、クラウドファンディングで募るケースが増えているのです。
法人・個人を問わず、新たな商品・サービスを開発したり、アイデアを実現したりする上でも、クラウドファンディングが役立ちます。
プロジェクトに賛同を得られれば、多額の資金をスムーズに調達することも夢ではありません。
しかしながら、クラウドファンディングは特殊な資金調達方法であり、活用には正しい知識が重要です。
この記事では、クラウドファンディングの基本的な仕組み、メリット・デメリット、活用事例を詳しく解説します。

クラウドファンディングとは?

 
会社・個人を問わず利用できる資金調達方法として、活用が広がっているクラウドファンディング。
まずはクラウドファンディングの基本について解説します。

クラウドファンディングとは

 
クラウドファンディングは、資金調達方法のひとつです。
他の資金調達方法とは異なり、インターネット上で、不特定多数から資金を集める点に特徴があります。
そもそもクラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を合わせた造語です。
不特定多数の個人や法人に向けて、自身のプロジェクトを公開し、賛同を求め、資金の提供を募ります。
単にお金を出してもらうだけではなく、資金の出し手には何らかのリターンを提供する形が一般的です。
また、法人・個人を問わず活用しやすいことも、クラウドファンディングの特徴の一つでしょう。

クラウドファンディング≠寄付

 
クラウドファンディングは、資金を出すことで将来的に大きなリターンを求めるというよりも、支援する意味合いが強いです。
このため、クラウドファンディングと寄付を混同する人も少なくありません。
しかし、クラウドファンディングと寄付には多くの違いがあります。
分かりやすい違いは、支援者の属性、資金調達のスキーム、リターンの有無です。
まず支援者の属性ですが、クラウドファンディングは法人・個人を問わず支援者になるのに対し、寄付は法人による支援が主流となります。
これは、資金調達のスキームを考えると分かりやすいでしょう。
クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを利用して資金を調達します。
インターネットならば、多くの人に情報を発信できるため、様々な属性の人に支援を仰ぐことができるのです。
寄付の場合、支援の中心は法人となります。
問題は、寄付にはクラウドファンディングのようなプラットフォームがないことです。
そのため、企業を訪問したり、縁故者に相談したりして、地道に賛同を集めなければなりません。
必要調達額が大きくなれば、個人に寄付を募るだけでは難しく、どうしても法人頼みになります。
このようなスキームの違いにより、支援者にも大きな違いが表れるのです。
そして、リターンの有無。
寄付の場合、支援者は純粋に支援を目的としており、リターンを求めません。
支援を受ける側も、寄付者にリターンを提供する義務はなく、全く(あるいはほとんど)無償というケースが大多数です。
一方、クラウドファンディングはリターンがあります。
後述の通り、クラウドファンディングにはいくつかの種類があります。
このうち、寄付型を除くすべてのクラウドファンディングにはリターンが設定されているのです。
クラウドファンディングの形式によりリターンの内容は異なりますが、資金を調達する側はプロジェクトの内容だけではなく、リターンにも気を遣わなければなりません。
プロジェクトそのものに問題がなくとも、リターンの魅力が乏しいために資金を調達できなかった…という失敗もあるのです。
以上のように、クラウドファンディングと寄付は似て非なるものです。
この点を理解しておくと、クラウドファンディングの本質がみえてくるでしょう。

4種のクラウドファンディング

 
一口にクラウドファンディングといっても、いくつかの形式があります。
支援者がどのような形で資金を提供するかによって、形式が分かれるのです。
現在、クラウドファンディングの主な形式は4つあります。
購入型、寄付型、融資型、株式型の4つです。
それぞれのクラウドファンディングについて簡単にみていきましょう。

購入型クラウドファンディング

 
購入型クラウドファンディングは、クラウドファンディングの中で最も一般的なものです。
支援者は、起案者(資金を調達する人)から商品やサービスを購入する形で資金を提供します。
もっともこの時、起案者はまだ資金調達段階であり、プロジェクトに着手していません。
したがって商品・サービスもない状態です。
起案者はクラウドファンディングで資金を集め、目標額に達したらプロジェクトに着手します。
その後、プロジェクトを達成したら、支援者は返礼品として商品・サービスを受け取ります。
支援者としても、返礼品からプロジェクトのイメージを掴みやすく、賛同しやすいのがメリットです。
それだけに、購入型クラウドファンディングは、返礼品の設定により資金調達の成否が大きく変わってきます。
返礼品が魅力的であれば資金を調達しやすくなり、逆に返礼品で手を抜くと賛同を得にくくなるでしょう。
かといって、返礼品を過大に設定すれば、それが負担になるため本末転倒です。
現在、クラウドファンディングの大部分は購入型ですから、どの形式を選べばよいか分からない場合には、購入型クラウドファンディングを選ぶのが無難でしょう。
返礼品の負担に注意しながら、利用を進めてください。

寄付型クラウドファンディング

 
上記において、クラウドファンディングと寄付の違いを解説しました。
しかし、クラウドファンディングの中には、寄付にかなり近いものがあります。
寄付型クラウドファンディングと呼ばれるものです。
このクラウドファンディングは、その名の通り寄付を前提としています。
購入型とは異なり、寄付型クラウドファンディングにはリターンがありません。
強いてリターンを挙げるならば、お礼のメッセージや活動報告くらいのものです。
支援者にほとんどメリットがないようにも思えますが、それが寄付型クラウドファンディングというもの。
支援者は、初めからリターンを求めておらず、支援を通して社会貢献したいと考えています。
例えば、自然災害などが発生した際、その地域の事業者が寄付型クラウドファンディングを利用するケースがあります。
支援者は、被災地の復興支援の一環として支援するのです。
当然ながら、寄付型クラウドファンディングは、他のクラウドファンディングに比べて利用できるケースが限られています。
支援者が「無償でいい」と思える内容でなければ、資金調達はかなり困難でしょう。
逆に、プロジェクトと社会貢献をうまく結びつけることで、寄付型クラウドファンディングで調達できるかもしれません。

融資型クラウドファンディング

 
購入型や寄付型のクラウドファンディングは、融資ではなく出資に近い形で資金を提供するものであり、返済を求めません。
しかし、クラウドファンディングの中には融資型もあります。
融資型クラウドファンディングであり、ソーシャルレンディングとも呼ばれるものです。
起案者は、支援者から融資を受ける形で資金を調達します。
ただし、支援者から直接借り入れるのではなく、サービス業者が支援者から小口の資金を集め、それを貸し付ける形をとります。
当然ながら返済義務があり、サービス業者に元金と利息を返済しなければなりません。
その後、サービス業者から支援者に対して元利金を分配する流れです。
利息がリターンになるわけですから、返済原資を確保できることが大前提となります。
きちんと利益が出て、返済原資を確保できるプロジェクトでなければ、賛同を得るのは難しいでしょう。
したがって、融資型クラウドファンディングは、他のクラウドファンディングよりも事業性を重視されるのが特徴です。
資金を集め、しっかりと利益を出せる自信があるならば、融資型クラウドファンディングを検討してみると良いでしょう。

株式型クラウドファンディング

 
最後に紹介するのが、株式型クラウドファンディング。
その名の通り、株式によって資金を集めるクラウドファンディングです。
株式型クラウドファンディングは、非上場企業での活用が大半となっています。
上場企業が株式を発行する場合、オープン市場から広く出資を募ることができますが、非上場企業にはそれができません。
出資者を見つけるのが非常に難しく、株式発行での資金調達が困難というケースが多いです。
株式型クラウドファンディングによって、株式発行による資金調達がいくらか容易になります。
クラウドファンディングを通じて未公開株の引き受けを募ることで、プロジェクトに興味を抱いた人が支援してくれるのです。
いずれ上場すれば大きなリターンも期待できます。
クラウドファンディングのうち、支援者にとって最も夢があるのは株式型クラウドファンディングといえます。
ただし、支援者側のリスクが高いのも株式型クラウドファンディングの特徴です。
未公開株から得られるリターンが不透明であれば、賛同を得るのは難しいでしょう。
株式型クラウドファンディングで資金を集めるには、ロードマップをしっかりと示すことが重要となります。

クラウドファンディングの流れ

 
実際にクラウドファンディングで資金を集める場合、どのような流れになるのでしょうか。
クラウドファンディングの流れを大まかに示すと、以下の通りです。

    1. プロジェクトの立案
    2. プロジェクトの公開
    3. クラウドファンディングの終了
    4. リターンの提供

クラウドファンディングの形式によって差はあるものの、基本的に上記の流れとなります。
クラウドファンディングを成功に導くためにも、流れをみていきましょう。

プロジェクトの立案

 
全てのクラウドファンディングは、プロジェクトに対してお金を出します。
したがって、まずはプロジェクトを立案しなければなりません。
プロジェクトの目的と目標、目標達成のための計画、必要調達額・資金使途・リターンの設定などが中心となります。
支援者は、プロジェクトの内容をみてお金を出します。
プロジェクトそのものに問題があれば、支援者は納得せず、資金調達も失敗に終わるでしょう。
例えば、計画が分かりにくい、目的が曖昧、目標が高すぎる、資金使途が不明瞭、リターンの魅力が乏しいといったケースが考えられます。
一旦内容を決めてしまうと、後で変更することはできません。
念入りに計画することを心がけてください。

プロジェクトを公開する

 
プロジェクトを立案したら、いよいよ公開です。
クラウドファンディングは、プラットフォームごとに特徴・傾向があります。
プラットフォームごとに出資者の属性も変わってくるため、自身のプロジェクトとプラットフォームの相性をよく考えなければなりません。
ここでミスマッチを起こすと、プロジェクトを公開しても出資者の反応は鈍く、成功が難しくなります。
また、プロジェクトを公開する際に、クラウドファンディングの期間を設定します。
必要額を確実に調達するためにも、適切な期間の設定が重要です。
プロジェクトが公開されると、支援者はその内容を閲覧し、出資に応じるかどうかを決めます。
賛同の人数、目標額の達成率などが分かりやすく表示されるクラウドファンディングも多いです。

クラウドファンディングの終了

 
公開時に設定したクラウドファンディングの期間が終了すると、集まった金額によって判断が変わります。
終了時に目標額を達成していれば、計画通りにプロジェクトに着手できます。
問題は、目標額に達しなかった場合です。
この場合、目標額に届かない中でもプロジェクトに着手するか、あるいはプロジェクトを断念するかのいずれかを決めなければなりません。
もっとも、目標額を達成できなかった場合の方針については、プロジェクトの公開段階で決めるケースが一般的です。

リターンの提供

 
クラウドファンディングで調達した資金を活用して、プロジェクトに着手し、リターンを提供します。
リターンの内容によって、プロジェクトの進め方も変わってくるでしょう。
購入型クラウドファンディングであれば「プロジェクトの完了→返礼品の提供」という流れが多く、腰を据えてプロジェクトに取り組むことも可能です。
その場合、支援者を長期間待たせることもあり得るため、不満を解消する意味でも、活動報告などをしっかり行うことが重要となります。
返済義務がある融資型クラウドファンディングや、配当を出す株式型クラウドファンディングなどの場合、プロジェクトの進行状況とは関係なく、事前の計画に基づいてリターンを提供しなければなりません。
リターンを資金繰りに織り込みながら、計画的にプロジェクトを進めていきましょう。

クラウドファンディングのメリット

 
クラウドファンディングの基本について解説しました。
実際のところ、クラウドファンディングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、クラウドファンディングのメリットを解説します。

資金調達の多様化につながる

 
新たな資金調達方法を模索している会社には、クラウドファンディングがおすすめです。
会社の資金繰りを安定させるには、資金調達方法を多様化する必要があります。
特定の資金調達方法だけに依存していると、資金繰りが行き詰まる恐れがあるのです。
中でも危険なのが融資への依存。
銀行融資は、資金調達方法の中でも特に優れたものですが、実際に調達するのは容易ではありません。
銀行は返済能力を重視します。
本業で利益がしっかりとあがり、返済原資を確保できるという信用がなければ、銀行は決して融資しません。
これまでは銀行からスムーズに融資を受けられていた会社が、あるときを境に(例えば赤字決算を理由に)融資を受けられなくなることもしばしばです。
この時、銀行融資に過度に依存している会社は、資金繰りが行き詰まってしまいます。
そこで重要となるのが、資金調達方法の多様化です。
資金調達方法ごとに審査基準は異なります。
様々な方法で資金を調達できる状況を作っておけば、融資審査に落ちたとしても、別の方法では審査に通ることがあり得るのです。
これによって資金繰り・資金調達が安定します。
資金調達方法を多様化する上で、クラウドファンディングも役立つでしょう。
クラウドファンディングは、プロジェクトの内容次第で資金を調達できます。
銀行が決して貸さない会社でも、支援者が納得さえすれば資金調達できるのです。
また、個人事業主や起業後間もない会社は、銀行から融資を受けることができません。
その場合も、クラウドファンディングならば調達できる可能性があります。
資金調達方法を多様化したいと考えている会社は、ぜひクラウドファンディングを取り入れてください。

個人でも調達しやすい

 
資金調達方法の選び方は、事業者区分によって変化します。
法人の資金調達方法は選択肢が多く、個人事業主の資金調達方法は選択肢が限られるものです。
例えば銀行融資。
個人事業主を対象に融資する銀行もありますが、条件は良いとはいえません。
法人に対する融資に比べて金利が高いことが多く、ビジネスローンとあまり変わらないものが多いのです。
個人事業主は事業規模が小さく、返済力が不安定です。
また、個人としての要素が強く、社会的な信用も低くみられます。
そのため、資金調達に悩む個人事業主は少なくありません。
クラウドファンディングは、法人・個人を問わず活用しやすい資金調達方法です。
実際にクラウドファンディングのプラットフォームをみればわかりますが、個人でプロジェクトを立ち上げ、支援を募っているものがたくさんあります。
個人で資金調達に困っているならば、クラウドファンディングに挑戦してみていかがでしょうか。
プロジェクトの内容とリターンが魅力的であれば、個人で多額の資金を集めることも十分に可能です。

返済リスクが低い

 
返済リスクが低いことも、クラウドファンディングのメリットのひとつです。
クラウドファンディングは出資の一種であり、支援者からお金を出してもらいます。
融資型クラウドファンディングは返済義務がありますが、その他のクラウドファンディングで調達した資金には返済義務がありません。
返済義務がないことにより、資金繰りの負担は軽く、また返済不能によるリスクもありません。
融資で資金を調達する場合、返済義務を伴います。
返済義務を履行できなければ、銀行の信用を大きく損ない、再び融資を受けるのが困難になります。
もちろん、担保資産を処分される、信用保証協会から弁済後に取り立てを受ける、倒産後も経営者が個人的に返済を迫られるなど、返済リスクは色々です。
返済リスクを恐れ、まとまった資金調達に踏み切れず、プロジェクトの着手を先延ばしするうちにアイデアが陳腐化し、企業の競争力は徐々に低下し…といった悪循環に陥る会社も少なくありません。
返済リスクを避けながら資金調達するには、返済義務がない資金調達方法を選ぶのが一番です。
外部資金調達のうち、融資には返済義務があり、クラウドファンディングを含む出資には返済義務がありません。
出資の中でも、クラウドファンディングは特に返済リスクが低いのが特徴です。
出資は原則的に返済義務がありませんが、実際には契約次第で変化します。
出資契約の際、特約として買取請求権が設定されることがあります。
その場合、出資が失敗に終われば、出資者から株式の買い戻しを求められ、出資金を返還しなければなりません。
このような形の出資は、返済義務があるのと同じです。
クラウドファンディングは、融資型を除けば返済義務がなく、イレギュラーな場合を除いて出資金の返還請求を求められることもありません。
返済義務がない方法で調達したい会社は、クラウドファンディングの活用をおすすめします。

在庫リスクを軽減できる

 
資金繰りの悪化要因は様々ですが、その一つが在庫の問題です。
仕入れの管理がずさんであったり、しっかり管理していても環境の変化によって計画が狂ったりして、過剰在庫を抱えることがあります。
これが運転資金の増加や利益の低下を招きます。
運転資金の計算式は、「売掛債権+棚卸資産(在庫)-買掛債務」です。
過剰在庫を抱えると、この計算式の棚卸資産の数値が膨らみ、運転資金そのものが増大します。
経常運転資金に加えて、この増加分だけ手元資金が流するため、資金繰りの悪化は避けられません。
さらに、過剰在庫の期間が長期化すると、商品によっては陳腐化・品質低下を引き起こし、価値が大幅に低下することでしょう。
販売予定で抱えた在庫が売上に変わらなければ、利益率の低下に直結します。
業績・財務の両面で悪化を引き起こし、延いては銀行評価の悪化、資金調達環境の悪化という負のループに陥ることも。
このように、在庫を抱えることによって生じるあらゆるリスクをまとめて「在庫リスク」といいます。
在庫リスクの軽減に、クラウドファンディングが役立つかもしれません。
クラウドファンディングは、プロジェクトを立ち上げ、支援を募り、資金を確保した上でプロジェクトに着手します。
新たな商品を開発する場合、事前に開発資金を十分に集めた状態で取り掛かることができ、また支援の状況(支援者の数、リターンの内容)をもとに製造販売を計画できるため、過剰在庫を抱えるリスクが低いです。
多くの場合、過剰在庫は見切り発車やどんぶり勘定、つまり無計画によって発生します。
クラウドファンディングで支援を募るには、十分に計画を練る必要があるため、無計画による在庫リスクを大幅に低減できるのです。
新商品の開発を予定しており、在庫の見通しが立たずに困っているならば、クラウドファンディングの活用をおすすめします。

テストマーケティングに使える

 
新商品を販売する際、カギとなるのがテストマーケティングです。
本格的・大々的に販売するのに先立ち、一部の地域や顧客層に向けて、あるいは短期間に限って試験的に販売し、消費者の反応や需要の程度を調査することを、テストマーケティングといいます。
テストマーケティングを実施することで、過剰な投資や仕入れのリスクを抑えることができます。
また、改善点がみつかったり、宣伝効果が得られたりと、メリットは様々です。
ところが、全ての事業者が、必要かつ十分なテストマーケティングを実施できるとは限りません。
むしろ小規模な会社や個人は、テストマーケティングをしたくても現実的に困難・不可能というケースがあります。
テストマーケティングを実施する場がない、全くの新規事業のため体験してもらう顧客がいない、資金繰りが苦しく短期間のテストマーケティングも大きな負担になるなど、問題は多いのです。
クラウドファンディングを活用すれば、これらの問題は簡単に解消できます。
クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを用いて支援を募り、支援者には返礼品として商品やサービスを提供します。
プラットフォームが「試験的な販売エリア」になり、支援者が「試験的な販売先」になるのです。
クラウドファンディングを通して、プロジェクトに対する反応、返礼品の感想など、多くのフィードバックが寄せられることでしょう。
目標額を達成できなかった場合も、フィードバックをもとに改善することで、次回は十分な額を調達できるかもしれません。
クラウドファンディングでテストマーケティングを実施することで、自社の商品やサービスが徐々に良いものになっていくのです。
テストマーケティングの結果、製造販売の規模を拡大すれば、過剰投資・過剰在庫のリスクも避けられることでしょう。

プロモーション効果が期待できる

 
クラウドファンディングのメリットとして、プロモーション効果も見逃せません。
新たな商品・サービスを売るには、宣伝活動がカギとなります。
商品・サービスを販売するには、何を措いてもまずは知られることが肝心です。
世間に全く知られていなければ、販売したところで誰も興味を示さず、買ってくれません。
商品・サービスの宣伝をしっかりと行い、ある程度認知されたタイミングで販売する必要があります。
当然ながら、宣伝広告費がかかります。
宣伝の規模にもよりますが、ある程度認知されようと思えば、多額のコストがかかると考えるべきです。
もちろん、宣伝にお金をかけたからといって、必ずしも売れるとは限りません。
競合他社の類似製品、大手企業による潰し、流行とのミスマッチなど、問題は様々です。
理想的なのは、お金をかけずに効果的な宣伝活動を行うこと。
クラウドファンディングならばそれが可能です。
クラウドファンディングで資金を集めるには、支援者の注目を集めなければなりません。
支援を募る中で、商品やサービスの魅力を伝えることが重要です。
募集はインターネット上で行われ、多くの人の目に触れます。
これが、商品やサービスの宣伝につながるのです。
クラウドファンディングで宣伝すれば、宣伝コストは一切かかりません。
宣伝がうまくいき、支援者を集めることができれば、むしろお金は入ってくる一方です。
以上のように、クラウドファンディングは資金を調達しながら宣伝できます。
クラウドファンディングを利用する際には、単に資金調達だけではなく、宣伝効果の最大化を狙うと良いでしょう。

顧客・ファンの獲得につながる

 
クラウドファンディングを通して、顧客・ファンを獲得できます。
普通、顧客を獲得するには、自社の商品を購入してもらうことが第一歩です。
商品が気に入られ、継続して購入してくれるようになればリピーター。
更に進んでファンになれば、顧客が知人に勧めたり、SNSで紹介したり、宣伝を担ってくれるようになります。
新規顧客を獲得するだけでも大変ですが、獲得した顧客をリピーター、ファンに育てていくのは容易ではありません。
ここでもクラウドファンディングが役立ちます。
クラウドファンディングの支援者は、プロジェクトに賛同してお金を出すわけで、この時点で自社の味方といえます。
普通の販売は、敵でも味方でもない中立の人をターゲットとしますが、クラウドファンディングを通すことで、初めから味方(支援者)に対して販売できるのです。
クラウドファンディングは資金を集めるだけではなく、新規顧客の獲得にもつながります。
さらに、支援者はプロジェクトに賛同し、ともに立ち上げ、返礼品の受け取りまで一貫してみています。
「自分もプロジェクトの担い手である」、「自分もプロジェクトを育てたのだ」といった親近感、愛着を抱く人も少なくありません。
このような思い入れから、支援者は新規顧客からリピーターになりやすく、さらにファンになってくれる人も多いです。
資金調達から顧客獲得、さらにはファンコミュニティ形成につながることは、クラウドファンディングならではのメリットといえます。

クラウドファンディングのデメリット

 
クラウドファンディングには、他の資金調達方法にない多くのメリットがあります。
ぜひ活用したいところですが、クラウドファンディングにはデメリットもあるため注意が必要です。
クラウドファンディングの代表的なデメリットを紹介します。

資金を調達できるとは限らない

 
メリットでも述べた通り、クラウドファンディングは資金調達の多様化に役立ちます。
支援者の賛同があれば調達できるため、銀行融資を受けられない会社でも調達可能です。
また、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などに出資を仰ぐよりも、調達難易度が低いことも事実。
しかしながら、クラウドファンディングも必ず調達できるとは限りません。
クラウドファンディングの流れでも解説したように、目標額と期間を設定した上でプロジェクトを公開します。
期間中に目標額を達成できるかどうかは、支援者の反応次第です。
支援者に注目されれば、短期間で目標額を調達できるでしょう。
逆の場合、目標額に到達せず、プロジェクトを断念することに。
プロジェクトを続行する場合、足りないお金は自社が負担します。
これでは、何のためにクラウドファンディングを使ったのか分かりません。
クラウドファンディングの利用が広がっている昨今、目標額を調達できないケースはいくらでもみつかります。
例えば、学生が留学費用をクラウドファンディングで募ったケース。
プロジェクトの概要をみると、「留学し、学問に励んで立派な人間になり、社会に貢献します。ぜひご賛同ください」といったごく簡単なもの。
支援者への返戻はお礼の手紙だけです。
プロジェクトに何の魅力もなく、リターンもないのですから、支援が集まるわけがありません。
結局、1件の賛同も得られず失敗に終わりました。
これは極端な例ですが、クラウドファンディングの失敗にはこのような傾向があります。
起案者の独り善がりになっているのです。
これでは、いくら情熱があっても支援は得られず、資金も調達できません。
クラウドファンディングにかけた手間は全て水の泡になります。

資金調達に時間がかかる

 
クラウドファンディングは、資金調達に時間がかかります。
スピーディな調達には使えません。
純粋にクラウドファンディングの期間(プロジェクトの公開→目標額の達成)だけを考えると、スピーディに調達できることもあります。
プロジェクトが魅力的であれば、口コミによって支援が加速することもしばしばです。
ただし、クラウドファンディングで資金を調達するには、事前の準備が重要となります。
プロジェクトの立案は、一朝一夕では不可能です。
プラットフォームによっては、プロジェクトの審査に時間がかかることもあります。
そして資金調達後、実際にお金が手元に入ってくるまでの時間も考えなければなりません。
クラウドファンディングにかかる時間をトータルで考えると、とてもスピーディとは言えないのです。
日常的な資金調達には融資を使い、緊急の資金調達は売掛金の早期資金化などで対応するのが基本で、クラウドファンディングは不向きです。
そもそも、「経常運転資金が不足しています、ご支援をお願いします」「収支のズレにより緊急で資金調達が必要になりました」といったプロジェクトを立ち上げても、誰も賛同してくれないでしょう。
クラウドファンディングは、時間をかけてじっくりと取り組むものです。
基本的に、時間はかかるものと考えてください。

アイデアを盗まれる恐れ

 
クラウドファンディングは、インターネットで広く支援を募ります。
支援者の納得を得るためには、プロジェクトについて詳しく説明しなければなりません。
それを誰でも閲覧できるのですから、アイデアを盗まれることもあり得ます。
独自技術を用いた開発プロジェクトであれば、その技術を公開しない限り、他社が真似するのは困難です。
しかし単なるアイデアの場合、それを参考にしたり、盗んだりすることもできます。
盗用リスクは、クラウドファンディングの大きなデメリットのため、軽視してはいけません。
「誰も盗まないだろう」と思う人もいるかもしれませんが、世界的に有名な企業でさえ、アイデアや技術の盗用は日常茶飯事です。
実際に、大企業が零細企業の開発したシステムを盗み、訴訟問題に発展したことがあります。
秘匿していたはずの技術情報が洩れ、盗用されてしまうのですから、インターネットで公開するクラウドファンディングは、盗用リスクが非常に高いと考えるべきです。
資金力や開発力が潤沢な大企業が、個人の優れたアイデアを目にすれば、盗用を図るかもしれません。
その場合、「クラウドファンディングで資金を集める個人」と「資金量が豊富な大企業」が開発を争えば、個人側の負けは火を見るよりも明らかです。
クラウドファンディングで資金を調達し、えっちらおっちらプロジェクトに取り組んでいたところ、大企業が類似商品を安価で大々的に販売し、プロジェクトがつぶされてしまう…
そのようなこともあり得るのです。

信用悪化のリスク

 
クラウドファンディングが顧客獲得や、ファンの形成につながるのは、支援者との関係が良好に保たれた場合のみです。
全てのクラウドファンディングがそうとは限りません。
むしろ、支援者とトラブルを引き起こし、信用悪化につながるケースもあります。
分かりやすいのが、お金を集めるだけ集めて、その後どうなっているか分からない場合。
起案者は、活動報告などによってプロジェクトの進捗状況を伝え、支援者を安心させる必要があります。
それをせず、支援したプロジェクトがどうなっているか、自分が支援したお金がどのように活用されているかが分からなければ、支援者は納得しません。
あらぬ誤解を招き、悪評が広まることもあり得ます。
また、リターンの提供が滞るのも、よくあるトラブルのひとつです。
プロジェクトが計画通りに進まず、リターンの提供が当初の予定よりも遅れてしまうと、支援者は不満を抱きます。
純粋に支援したい気持ちの人もいますが、リターンを求めて支援する人も多いのです。
リターンの提供が遅れる場合、活動報告と合わせて、その旨を丁寧に説明すべきでしょう。
もちろん、延期が度重なればトラブルは避けられません。
とりわけ、融資型クラウドファンディングで計画のズレは深刻です。
プロジェクトがうまくいかず、予定通りに返済できないとなれば、それは返済の遅延にほかなりません。
クラウドファンディングを通してファンコミュニティの形成など、夢のまた夢です。

調達コストが高い

 
最後に、調達コストの問題です。
クラウドファンディングは、他の資金調達方法よりも調達コストが高くなることがあります。

プラットフォーム手数料

 
クラウドファンディングのうち、購入型や寄付型であれば、調達コストはあまり心配ありません。
プラットフォームにもよりますが、クラウドファンディングの多くは初期費用が掛からず、募集するだけならば無料です。
また、目標額に到達せず、プロジェクトが不成立になれば手数料もかかりません。
ただし、プロジェクトが成立した場合には、プラットフォーム利用料を支払います。
利用料の内訳は、システム手数料と決済手数料です。
調達額の9~20%が相場となっています。
例えば、クラウドファンディングで1000万円の資金を調達したとしましょう。
手数料率20%の場合、調達した資金から200万円を差し引き、800万円を受け取る流れです。
調達資金から差し引かれるため、キャッシュアウトが生じるわけではありません。
その意味では負担になりませんが、9~20%という手数料は決して安いとはいえないでしょう。
必要資金を確実に調達するには、800万円を調達するために1000万円の目標を設定するなど、手数料を織り込む必要があります。
手数料率が高ければ、手数料分の上乗せにより目標額に到達せず、プロジェクトが不成立になってしまうこともあるのです。
これが、クラウドファンディングの調達コストが高いといえる理由のひとつです。

融資型クラウドファンディングの金利

  
融資による資金調達は、支払利息が調達コストの大部分を占めます。
融資型クラウドファンディングで調達する場合も、借入金利に注意が必要です。
融資型クラウドファンディングの借入金利は、年利4~10%が目安とされます。
銀行融資の金利は年利2~3%程度ですから、融資型クラウドファンディングの借入金利はかなり高めです。
これは、融資型クラウドファンディングの仕組みを考えると分かりやすいです。
融資型クラウドファンディングの支援者は、支援先が返済する元利金の中から分配(リターン)を受けます。
「利回り」と表現することが多く、利回りは年3~8%程度が相場です。
あるプラットフォームでは、利回り5%のリターンを設定したとしましょう。
この場合、融資型クラウドファンディングの借入金利は、どれほど安くても年利5%を下回ることはありません。
年利5%を下回ると、支援先の元利返済からリターンを捻出できなくなります。
基本的には、プラットフォームの設定する利回りに対し、年率2~5%を上乗せするイメージです。
リターンを年利5%、貸付金利を+3%の年利8%に設定すれば、8%のうち5%の部分を支援者に分配し、残る3%の部分がプラットフォームの収益になります。
融資型クラウドファンディングのリターンが年利3~8%であることを考えると、借入金利が高くなる理由がよくわかるでしょう。
一方、銀行の貸付金利は、日銀のプライムレートが基準となります。
2025年9月現在、短期プライムレートは年1.875%です。
これが、優良企業に対して適用される最優遇金利となります。
年1.875%を基準として、融資先の状況に応じて2%、2.5%といったように引き上げるわけですが、プライムレートを大幅に乖離することはありません。
高くてもせいぜい年3%程度でしょう。
融資型クラウドファンディングは基準となる金利(リターンの利回り)が高く、銀行融資は基準となる金利(プライムレート)が低いことから、借入金利は融資型クラウドファンディングの方が圧倒的に高くなるのです。
当然、調達額が大きいほど支払利息は膨らみ、調達コストがかさみます。
融資型クラウドファンディングの調達コストは、銀行融資よりもかなり高いものと考えてください。

クラウドファンディング活用事例

 
クラウドファンディングを申し込んで資金調達を行うこと自体は、一定の要件さえ満たせば誰でもできます。

しかしながらただ融資お金を出してほしいというだけでは、誰もお金を出してくれません。

クラウドファンディングで資金を調達するためには、資金の出し手に自身のビジネスプランや夢を熱く語るとともに、その実現性をきっちりと説明する必要があるのです。

では実際にどのようなビジネスプランや夢がクラウドファンディングで資金調達出来たのでしょうか。

地域の再生、活性化に貢献する

 
地域の自然保護や過疎化が進む地域の活性化に、クラウドファンディングを利用するケースが多くあります。

地域の活性化については「ふるさと納税」を利用することが頭に浮かびますが、こちらは自治体が主導する関係で、すべてのアイデアやプロジェクトに資金が行き渡るわけではありません。

例えば

・観光客が訪れるための宿泊施設やゲストハウスを作りたい
・UターンやIターンで移住する人に向けた就労プログラムを作りたい
・地域を舞台にした映画を製作し、その魅力を全国に伝えたい

といったアイデアに対して、自治体の補助だけでは不足する、もしくは全く補助を受けられないこともあるのです。

近年これをクラウドファンディングで実現するケースが増えており、都会から移住した若者が自身の夢を叶えた事例もあるのです。

まだ世にない商品・サービスを作り出し、発表する

 
新しい商品やサービスを開発し、世の中に発表する際にもまとまった資金が必要です。

これまでは、銀行などの金融機関から設備投資に向けた融資を受けるなどして資金調達をすることが一般的でした。

しかし、まだ製品化や事業化の目処が立っていない場合、金融機関が簡単に必要な資金を融資してくれるとは限らず、担保や保証人などを求められることもしばしばです。

クラウドファンディングは、そうしたまだ世の中に出ていない新しい商品やサービスに対してインターネットを使って資金調達ができるという点でもメリットがあります。

例えば、大学などの研究室での研究成果をもとにした製品化や、陶器や工芸品、日本酒といった地域の特産品や逸品を海外に紹介することなど新しい販路やマーケットづくりにも、クラウドファンディングは一役買っています。

またこのような場合のクラウドファンディングのメリットは資金調達にとどまりません。

インターネットで自身の製品、サービスを世の中に紹介することによって、それらが世の中でどれほど魅力があるかそして反響があるかを、集めた金額がどのぐらいになるかによって客観的に測ることもできるのです。

自分のアイデアの実現性を世に問う

 
クラウドファンディングの活用は、現実に施設や製品、サービスなど形に残るものだけではありません。

これからマーケットを創り、新たなノウハウや人材を集めることにも有効です。

例えば、地域の活性化をこれから進めていく上でのイベントの実施や、人材を育成するためのセミナーの開催などに関わる費用をクラウドファンディングで調達した事例も多数あるのです。

もちろん、このようなイベントやセミナーはそれだけで収益や利益には直結しません。

これらを開催することで自らのアイデアを世の中に問いかけ、アイデアをブラッシュアップしたり、事業化を進める新たな仲間を獲得するなど、資金調達だけではない、さまざまなシナジー効果が期待できるのもクラウドファンディングの特徴といえるでしょう。

まとめ:クラウドファンディングで資金調達の多様化を

クラウドファンディングは、インターネットの普及により国内はもとより世界的に活用され始めています。

単なる運転資金の調達だけでなく、自らのアイデアや夢を世に問い、資金を集めて事業化を考えるには有効な資金調達方法といえるでしょう。

また、資金調達の根拠が「支援者の賛同」であるだけに、他の資金調達方法とは審査基準が異なります。
銀行融資では調達できない場合も、クラウドファンディングならば調達できるかもしれません。
資金調達方法の多様化を目指す上で、クラウドファンディングも有力候補です。
とはいえ、クラウドファンディングのほかにも資金調達方法は色々あります。
最近では、売掛金の早期資金化が人気を集めています。
売掛金の活用による資金調達は、政府も推奨する資金調達方法です。
資金調達方法の多様化には、クラウドファンディングよりも売掛金の早期資金化のほうが効果的といえます。
資金調達でお悩みの方は、No.1までお気軽にご相談ください。
資金調達・資金繰りに精通したスタッフがヒアリングを行い、お客様に最適なサポートを行います。

【監修】株式会社No.1 編集局長
保有資格:貸金業務取扱主任者
20代はノンバンクにて法人融資を中心とした営業に従事。
その後、不動産担保融資の会社でキャリアを重ね金融業界で幅広い経験を積む。
2018年に株式会社No.1へ入社。
これまでの実務経験と専門知識を活かし、中小企業の経営課題解決に向けた支援を行っている。

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