カテゴリー: 資金調達情報
2025年中小企業が活用すべき4種の助成金をご紹介
資金調達には銀行融資やファクタリング、手形割引などさまざまな方法がありますが、近年特に中小企業や小規模事業者の間で注目されているのが、国や自治体による補助金や助成金の活用です。2024年にはコロナ禍からの回復支援や休業に関する制度が多く展開されましたが、2025年はより前向きな経営支援、たとえば創業や新事業の導入、設備やITへの投資、省力化の推進、さらに賃上げや雇用の安定などを支援する制度が中心となっていく見通しです。
また、経営者の高齢化が進むなかで、事業継承や持続可能な経営を支える制度にも注目が集まっています。さらに、東京都をはじめとする自治体でも独自の支援策が用意されており、地域に応じた制度の活用も重要です。
とはいえ、補助・助成制度は非常に種類が多く、制度の一覧を見ただけでは内容を把握しづらく、ものづくり補助金などの代表的な制度でさえ、内容の把握や申請準備に時間がかかるのが実情です。これが理由で、活用を敬遠している中小企業も少なくありません。
そこで本稿では、「2025年に中小企業が活用すべき助成金」にテーマを絞り、特に注目すべき4種類の制度についてわかりやすく解説していきます。補助・助成制度を上手に活用し、2025年の資金繰りと事業拡大にぜひお役立てください。
資金繰りにおける助成金のメリット
会社の資金調達方法には色々あります。一般的には銀行融資による調達を軸とし、必要に応じてファクタリングなどをうまく使い分けていくのが基本です。これらの方法に共通するのは「不足している資金を調達する」ことです。
しかし、資金調達の中には不足資金を供給するものではなく、コスト負担を軽減するためのものがあります。例えば、助成金や補助金などがよく知られています。
国や地方公共団体が支給する助成金は、会社の環境整備や処遇改善によって受給できるものです。コスト負担を軽減しながら経営改善に取り組むことができるため、全ての会社で積極的に活用していきたい制度です。
助成金は、会社の取り組みが評価されて支給される資金であり、「もらえるお金」であることが大きな特徴といえます。銀行融資とは異なり、返済義務がありません。
さらに、助成金のほとんどが中小企業に有利な設計になっていることも魅力です。助成内容は大企業より中小企業のほうが手厚くなっており、中には中小企業のみを対象とした助成金もあります。
日本の全企業の99%以上を占める中小企業は、日本経済を根本的に支える存在です。また、日本の労働者の約70%は中小企業で働いています。中小企業の支援なくして日本経済の安定や成長はない、といっても過言ではありません。これが、中小企業が優遇される理由です。
中小企業としては、これを利用しない手はないでしょう。
助成金の取り組みと効果の例
実際にどのような取り組みに対して助成金が支給されるのか、またその取り組みによって会社にはどのような効果が期待できるのかを知ると、助成金の全体像を掴みやすくなります。
助成金の対象と期待できる効果には、以下のようなものが挙げられます。
- 人材雇用:新規雇用や雇用条件改善によって人材の確保につなげる
- 賃金増額:従業員の満足度やモチベーションを高め、職場定着率を上げ、生産性向上や人材確保につなげる
- 教育訓練:従業員のスキルアップを目指し、生産性向上を促す
- 両立支援:育児や介護と仕事を両立できるように環境を整備し、離職率を下げ、人材確保につなげる
- 時間外労働の是正:社会の動向に合わせて処遇を改善し、新規雇用の円滑化や定着率アップ、延いては人材確保につなげる
ここに書いたのはあくまでも一部ですが、このような取り組みに関心を抱く会社は多いはずです。
経営の三大資源はヒト・モノ・カネであり、このうち最も重要な資源はヒトです。ヒトは経営のコアともいえるものですが、近年では人材不足に悩む会社が増えており、特に中小企業では深刻なケースが少なくありません。
助成金には、人材確保に役立つものがたくさんあります。これからの時代は、助成金を活用してヒトの充実を目指すことが、ますます重要になっていくでしょう。
2025年、中小企業が活用すべき助成金は?
助成金の種類は非常に多く、この記事で全てを紹介することはできません。それぞれの助成金は、利用しやすさ、コスト負担軽減の程度など、様々な点で異なります。
2025年、中小企業が特に活用すべき助成金は、以下がおすすめです。
- 1、雇用調整助成金
- 2、トライアル雇用助成金
- 3、キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- 4、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
2025年も、新型コロナウイルスの影響はまだまだ続くでしょう。これらの助成金は、新型コロナウイルスの影響からいち早く立ち直っていくために、積極的に活用すべきものです。
2025年、資金調達のひとつとして助成金の受給を狙っていきたい経営者は、まず上記の助成金の概要を知り、活用を模索していくことをおすすめします。
雇用調整助成金の概要
ここでは、平常時の雇用調整助成金と、特例措置下での雇用調整助成金の両方をまとめます。
今後、新型コロナウイルスが収束に向かうにつれて、特例措置は段階的に廃止されると考えられます。しかし、これまでも特例措置に期限を設けたものの、感染拡大に歯止めがかからず期限を延長する、という流れが続いてきました。今後も特例措置の適用が続く可能性が考えられるため、しばらくは特例措置を活用するという視点で取り組んで良いでしょう。
また、特例措置廃止後も、苦しい時期には雇用調整助成金を積極的に利用していくべきです。平常時の制度概要についても学んでおくことをおすすめします。
平常時 | 特例措置 | |
助成率と 支給上限 |
助成率:休業手当の2/3 | 助成率:休業手当の4/5
※※解雇等を行わず雇用を維持した場合には助成率を10/10に引き上げる |
支給限度日数 | 1年間で100日、3年間で150日 | 緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和3年4月30日)に実施した休業は、支給限度日数とは別枠で利用可能 |
対象労働者 | 雇用期間が6ヶ月以上の雇用保険被保険者のみ | 雇用保険被保険者以外の従業員も対象とする(緊急雇用安定助成金として) |
利用できる会社 | 直近3ヶ月間の売上高または生産量が、前年同期比で10%以上減少していること | 直近1ヶ月間の売上高または生産量が、前年同月比で5%以上減少していること |
上記の通り、経済の正常化に合わせて、特例措置は段階的に廃止されていくものと考えられます。現時点でも、5~6月中に日額支給上限を13,500円に引き下げる予定が公表されています。
これから雇用調整助成金を利用していく会社でも、すでに利用している会社でも、変更に関する情報をよく確認しながら利用することが欠かせません。
現行の特例措置や、今後の予定についてはこちらを確認してください。
厚生労働省:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
トライアル雇用助成金の概要
トライアル雇用助成金も、2025年、ぜひ利用したい助成金の一つです。
2025年中に新型コロナウイルスがある程度落ち着き、会社の立て直しに向けて再出発するとき、人材不足に悩む会社は多いはずです。
今年4月の報道では、新型コロナウイルスによる解雇が10万人以上出ているとのことです。上記のように雇用調整助成金が充実しているとはいえ、解雇者を一人も出さずに休業できる会社ばかりではなく、一部を解雇した上で休業した会社も多いことが分かります。
解雇を出している会社では、事業活動を再開する際、休業前の状態に近づくにつれて人材不足が深刻になっていくでしょう。
そこで、トライアル雇用助成金が役立ちます。
トライアル雇用助成金は、職業経験や技能、知識などの不足を理由として就職が困難な求職者に対して、原則3ヶ月間のトライアル雇用を実施した場合に、助成金を受給できる制度です。
「職業経験、技能、知識が不足している求職者」という点が気になるかもしれませんが、大きな問題ではありません。というのも、トライアル雇用後の常用雇用(無期雇用や正規雇用)は義務ではないからです。
もちろん、制度的には、常用雇用を前提としてトライアル雇用することを建前としています。しかし、トライアル雇用の求職者に適性がないケースも多いため、国としてもトライアル雇用後の常用雇用を義務付けることはできません。
トライアル雇用助成金の本当の目的は、早期就職の実現と雇用機会の創出です
適性がなく、トライアル雇用後に常用雇用されずとも、求職者は確かに働く機会と職業経験が得られます。トライアル雇用助成金は、そのような機会の創出も大きな目的としているため、これに貢献した会社に助成金を支給し、より多くの会社がトライアル雇用に取り組む流れを作る、奨励金的な意味合いもあるのです。
したがって、新型コロナウイルス収束後の人材確保の際にトライアル雇用助成金を利用し、
- 3ヶ月間のトライアル雇用期間中、適性を見極める。問題なく働ける、または教育訓練によって問題なく働けるようになる人材ならば、トライアル雇用後に常用雇用する
- トライアル雇用により適性がないと判断した場合には常用雇用せず、新たな求職者をトライアル雇用する。短いスパンで多くの人材の適性を見極めてゆく
といった流れで人材確保を図るのがおすすめです。
トライアル雇用助成金では、トライアル雇用した労働者一人当たり、月額最大4万円を受給できます。トライアル期間は最長3ヶ月であるため、最大12万円の受給が可能です。
※母子家庭の母または父子家庭の父の場合は月額最大5万円(最大3ヶ月間15万円)
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、働き方改革に伴って、特に注目されている助成金のひとつです。すでに活用している中小企業も多いことと思います。
もし、まだ活用していないのであれば、人材確保の取り組みで他社に遅れをとっている可能性が高いため、積極的に活用したいところです。
ここでは、キャリアアップ助成金の全7コースのうち、2025年、特に活用したい2つのコース(正社員化コース、賃金規定等改定コース)を取り上げます。
キャリアアップ助成金の仕組みは、令和3年4月1日に様々な変更が加えられているため、必要に応じて変更点も取り上げていきます。
全ての変更点についてここで触れることはできないので、活用にあたっては以下のリーフレットをよくチェックしてください。
正社員化コース
キャリアアップ助成金の中でも特に利用しやすく、実際に活用している会社が多いのは正社員化コースです。正社員化コースでは、従業員の雇用条件を改善したり、直接雇用したりした場合に助成金を受給できる制度であり、受給額も大きいため魅力的です。
正社員化コースでは、有期契約から無期雇用または正規雇用へ転換、あるいは無期雇用から正規雇用へ転換した場合に、助成金を受給できます。
また、正社員化コースは、
- 派遣労働者を直接雇用した場合に大幅な増額となる
- 正規雇用に転換する場合、多様な正社員(勤務地限定正社員/職務限定正社員/短時間正社員)への転換も認められ、増額も適用される
など、会社の事情に応じて柔軟に活用できるのも魅力です。
正社員化コースのメリット
新型コロナウイルスによる休業に伴って解雇者を出しており、トライアル雇用などの新規雇用がなかなかうまくいかない場合には、正社員化コースが役立ちます。
既に雇用している有期契約または無期雇用の従業員を転換すれば、労働時間や労働日数が正社員並みとなり、労働力の確保に繋がります。
また、転換すれば離職率は下がり、長期間にわたって継続雇用しやすくなります。勤務年数が長くなるにつれて経験や知識、スキルなども身に付き、貢献度は高まります。任せられる業務の範囲も広がり、人材不足の緩和に役立つでしょう。
有期契約や無期雇用、あるいは派遣契約の従業員は、これまでの就労の様子から適性がよくわかっているはずです。適性に問題がない人材を転換すれば、ミスマッチが起こる可能性は低く、多額の助成金も受給できます。
このため、転換してもよい人材がいる会社では、正社員化コースを活用しながら転換するほうが、トライアル雇用を利用するよりも手っ取り早く人材を確保でき、助成金額も大きくなります。
したがって、
- あくまでも新規雇用によって人材確保を図る場合にはトライアル雇用助成金
- 転換などで人材確保を図る場合にはキャリアアップ助成金の正社員化コース
という使い分けがポイントとなります。
一般的な正社員化コースの支給額
ここからは、正社員化コースの支給額を取り組み別に見ていきましょう。
一般的な転換を実施する場合の支給額は以下の通りです。
基本的な支給額 | 生産性が6%以上向上している場合 | |
有期契約から正規雇用へ転換 | 1人当たり57万円 | 1人当たり72万円 |
有期契約から無期雇用へ転換 | 1人当たり28.5万円 | 1人当たり36万円 |
無期雇用から正規雇用へ転換 |
(※すべての転換を合わせて、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は20人まで)
助成金が増額されるものを「生産性要件」といい、キャリアアップ助成金では直近の会計年度の生産性が、3年度前に比べて6%以上伸びている場合を指します。これにより、受給額が約25%も高まるのですから、積極的にクリアしていきたい要件です。
派遣労働者の直接雇用の場合
派遣労働者を直接雇用する場合、一般的な場合の支給額に28.5万円が加算されます。これにより、以下のようにかなり充実した内容となります。
基本的な支給額 | 生産性が6%以上向上している場合 | |
有期契約から正規雇用へ転換 | 1人当たり85.5万円 | 1人当たり108万円 |
無期雇用から正規雇用へ転換 | 1人当たり57万円 | 1人当たり72万円 |
多様な正社員に転換する場合
多様な正社員とは、以下の事を言います
- 勤務地限定正社員(限定された勤務地以外への転勤がない正社員)
- 職務限定正社員(限定された職務だけをこなす正社員)
- 短時間正社員(一般的な正社員よりも勤務時間が短い正社員)
多様な正社員のための社内制度を新たに規定することで、転勤が難しい、短時間でなければ勤務が難しいなどの事情を抱えた従業員でも、正規雇用転換しやすくなります。
多様な正社員のための制度を新たに規定し、多様な正社員に転換した場合、1事業所につき1回に限り9.5万円の増額を受けられます。
この場合の支給額は以下の通りです。
基本的な支給額 | 生産性が6%以上向上している場合 | |
有期契約から多様な正社員へ転換 | 1人当たり66.5万円 | 1人当たり84万円 |
無期雇用から多様な正社員へ転換 | 1人当たり38万円 | 1人当たり48万円 |
令和3年の変更点
正社員化コースは、令和3年の変更により、賃金に関する支給要件が変わりました。
従来の要件では、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金(諸手当を含む総額であり、賞与は除く)を比較して「5%以上の増額」が条件となっていました。
これが、令和3年4月以降は「3%以上の増額」に変更されています。賃金の増額要件が緩和されたため、負担が軽くなったといえるでしょう。
賃金規定等改定コース
正社員化コースのほかにも、利用すべきコースがあります。賃金規定等改定コースです。
賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者の基本給の賃金規定を増額改定した会社に助成金を支給するものです。
最低賃金引き上げの流れ
2025年現在、賃金規定等改定コースを活用すべき理由として、最低賃金の引き上げが引き続き進行しているという現状があります。政府は長年にわたり「全国加重平均1,000円」の実現を掲げており、その方針は今も変わっていません。
この政府方針に基づき、最低賃金はこれまで一貫して引き上げられてきました。過去20年間で据え置きとなったのは、ITバブルが崩壊した2002年のみで、リーマンショックのあった2008年でも+2%、東日本大震災が起こった2011年も+1%の上昇を維持しています。特に2016年以降は、年率3%以上という高水準の引き上げが続きました。
2020年には新型コロナウイルス(COVID-19)による経済的な打撃があったものの、全国加重平均で最低賃金は1円引き上げられ、引き下げも据え置きも行われませんでした。この事実からも、最低賃金の引き上げが一時的な流れではなく、長期的かつ確実に推進されている政策であることがわかります。
そして2025年の現状でも、最低賃金の引き上げは依然として大きな課題であり、労務コストの上昇は中小企業や小規模事業者にとって無視できない経営課題となっています。こうした中で、賃上げに取り組む事業者を支援する制度である「賃金規定等改定コース」は、経営の負担軽減を図る有効な手段です。
賃金規定等改定コースのメリット
2025年はどの程度の引き上げになるか、現時点では分かりません。引き上げ率は経済の回復に連動するため、大幅に引き上げられる可能性は低いでしょう。
しかし、2020年でさえ1円増額になったのですから、2025年はより大きな増額が決定されることも十分に考えられ、引き上げペースが徐々に加速していく可能性も高いです。
このような最低賃金引き上げの流れに対応するために、賃金規定等改定コースの活用が欠かせません。
最低賃金は、最低賃金法という法律に基づいて、地域ごとに定められるものです。会社は必ず最低賃金を支払う必要があります。地域最低賃金以上の賃金を支払わなかった場合、50万円以下の罰金が科せられます。
したがって、資金繰りを初めとする会社ごとの事情に関係なく、全ての会社は地域最低賃金を守らなければなりません。
現在、最低賃金ギリギリの水準に設定している会社は、どうあがいても最低賃金引き上げを避けられません。ならば、最低賃金を率先して引き上げ、助成金を受給したほうが賢明というものです。
賃金規定等改定コースの支給額
賃金規定等改定コースでは、最低賃金額発効日の前日までに賃金規定の改定を行い、賃金を2%以上増額した場合に、以下の助成金を受給できます。
対象労働者数 | 有期契約労働者全員に2%以上増額の場合(①) | 有期契約労働者の一部に2%以上増額の場合(②) |
1~3人 | 1 事業所あたり9万5000円 | 1 事業所あたり4万7500円 |
4~6人 | 1 事業所あたり19万円 | 1 事業所あたり9万5000円 |
7~10人 | 1 事業所あたり28万5000円 | 1 事業所あたり14万2500円 |
11~100人 | 1人当たり2万8500円 | 1人当たり1万4250円 |
賃金規定等改定コースは、2%以上の増額だけではなく、3%以上5%未満の増額や5%以上増額など、複数のパターンが設けられています。したがって、今後数年のうちに最低賃金の引き上げが再び加速し、3%以上の引き上げが続く局面になれば、3%以上5%未満の枠組みの活用も検討していくべきです。
活用のポイント
ポイントは、賃金増額の対象者は一部でも全員でもいいということです。
この仕組みをうまく活用すると、
多くの有期契約労働者、または全ての有期契約労働者が最低賃金ギリギリの水準である
→全ての有期契約労働者を2%以上増額の対象とし、①の助成金を受給する
一部の有期契約労働者が、最低賃金ギリギリの水準である
→一部の有期契約労働者だけを2%以上増額の対象とし、②の助成金を受給する
といった使い分けが可能となります。
賃金規定等改定コースをうまく活用して、2025年の最低賃金引き上げに対応していきましょう。
助成金とファクタリングを併用しよう
ここまで、2025年に活用すべき助成金を解説してきました。実際に活用していきたいと思った人も多いことと思います。
ただし、助成金には大きな欠点があります。それは、受給に時間がかかるということです。
助成金とは、会社の取り組みを評価して支給されるものです。一定期間の取り組みを行い、審査を受け、その後に支給されるため、どうしても時間がかかってしまいます。
助成金を受給するためには、雇用の維持・処遇改善・職場環境改善などが必要であり、取り組みには一定のコスト負担が伴います。このコストは会社が全額負担し、その後の受給で一部の負担を取り戻す流れです。
これが、助成金を活用したい会社にとって、大きな障害になることがあります。様々な取り組みをしていく意欲があり、助成金の受給を目指したいと思いながら、受給に必要な取り組みを実施する期間中のコスト負担に耐えられないケースが少なくないのです。
受給までの期間は?
受給までにかかる期間は、それぞれの助成金によって異なります。
政府が特に力を入れており、緊急性の高い助成金であれば、ごく短期間で支給される場合もあります。
現在政府が力を入れている雇用調整助成金は、
- 1、休業計画を立て、労使協定を結ぶ
- 2、休業を実施し、休業手当を支給する
- 3、休業の実績に基づいて支給申請を行う
- 4、労働局から審査を受ける
- 5、支給が決定されれば、指定口座に助成金が振り込まれる
という流れで進めます。平常時には、会社ごとの給与締日のタイミングで、1ヶ月ごとに支給申請します。書類に不備がなく、スムーズに審査が進んだ場合には1ヶ月程度で支給・不支給が決定されます。
つまり、会社が滞りなく手続きを進めた場合には1ヶ月程度で助成金を受給できるため、資金繰り負担もそれほど深刻ではありません。
ただし、雇用調整助成金のように短期間で支給される助成金は少なく、多くの助成金では長い期間を要します。
本稿で取り上げているキャリアアップ助成金の正社員化コースが良い例です。正社員化コースは、
- 1、キャリアアップ計画を作成・提出する
- 2、転換に関する規定がない場合、就業規則等を改定する
- 3、就業規則等に基づき、転換を実施する
- 4、転換後6ヶ月間にわたって賃金を支払う
- 5、転換から6ヶ月経過後、2ヶ月以内に支給申請を行う
- 6、労働局で審査を行う
- 7、支給が決定されれば、指定口座に助成金が振り込まれる
という流れで進めます。キャリアアップ計画の作成・提出、就業規則の整備などを社労士に任せてスムーズに進めたとしても、転換後6ヶ月間にわたって雇用継続していることが要件となるため、受給までには必ず6ヶ月以上を要します。
転換した従業員は給与が上がるため、少なくとも6ヶ月間は負担増加に耐えなければなりません。資金繰りが厳しい会社で、短期間に多くの転換を実施してしまうと、受給までの取り組み期間中に資金繰りがショートする恐れがあります。
ファクタリングを活用しよう
この問題を解決するには、ファクタリングの活用がおすすめです。
ファクタリングは資金調達方法のひとつです。自社の保有する売掛金をファクタリング会社に売却することで、売掛金を即座に現金化できます。
「助成金を活用したい、しかし取り組み期間中の資金繰りが不安」という会社は、ファクタリングによって必要資金をこまめに調達することで、資金繰りを安全に保ちながら受給を目指すことをおすすめします。
2025年中に新型コロナウイルスが収束するとしても、事業の立て直しにはしばらく時間を要するでしょう。多くの会社が、資金繰りに苦労するはずです。そのような状況の中、助成金をしっかり活用していくためには、ファクタリングの活用を心がけてください。
まとめ
本稿では、2025年に中小企業や小規模事業者が活用すべき助成金や補助金について詳しく解説しました。2024年までのコロナ対応型の支援から一転、2025年は雇用の安定や賃上げ、省力化設備の導入、DX化の推進、さらには新事業や創業の支援、事業継承支援など、より前向きな経営支援制度が多く展開される見込みです。ものづくり補助金など、代表的な制度も引き続き注目されており、情報の一覧を把握して、適切な制度にアクセスすることが成功のカギとなります。
また、助成金の採択が決まっても、実際の入金までに時間がかかることが一般的です。そのため、資金繰りの持続性を確保するには、「助成金+ファクタリング」という組み合わせが非常に有効です。たとえば、東京都の地域特化型助成金などを活用する際にも、こうした柔軟な資金調達の選択肢が役立ちます。
その際には、ぜひNo.1のファクタリングサービスをご利用ください。No.1では、最短即日対応という早い資金調達スピードに加え、補助対象事業との整合性も考慮したコンサルティングを実施しております。手数料の安さ、審査の通過率の高さにも定評があり、これまで多くの中小企業や小規模事業者の支援を行ってまいりました。
さらに、当社には資金繰りコンサルタントが在籍しており、休業補償や投資計画との連動、補助金活用におけるベストな資金計画についてもアドバイスが可能です。持続可能な経営のために、助成金制度の理解とともに、ファクタリングという資金調達手段も合わせてご検討ください。
助成金やファクタリングの活用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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