カテゴリー: ファクタリング

債権流動化をわかりやすく説明! メリットやデメリットを理解してうまく利用しよう

事業資金が足りなくなった場合、銀行融資を考えますが、銀行融資の場合、審査に時間がかかります。最低2週間という審査期間を待っていては間に合わない資金もあります。このままだと不渡りを起こしてしまう、しかし消費者金融やビジネスローンは信用情報に大きなマイナスとなるので利用できない・・・、この場合万事休すになってしまうのでしょうか?

ここで役立つのが債権流動化という資金調達方法です。債権流動化をわかりやすく説明します。債権流動化を上手に使うことで、融資によらない資金調達が可能になります。

債権流動化について知ることで、いざというときの資金調達方法に複数の選択肢ができます。債権流動化によって融資ではない資金調達が可能になります。

今回は4つの債権流動化をわかりやすく解説していきますのでぜひ経営の参考にしてください。

債権流動化とは何かわかりやすく解説

まず「債権流動化」という資金調達方法についてわかりやすく説明いたします。

債権流動化という資金調達方法は、事業者(法人、個人事業主問わず)が保有する債権を金融商品として市場で売却し、資金を調達する手法を指します。売却する先は銀行や民間会社などさまざまです。

債権流動化は、資金調達の迅速化、効率化や回収不能リスクの分散を図るために利用されることが多く、近年では多くの企業が積極的に導入している資金調達方法になります。

特に、不動産業界や金融業界では、債権流動化が重要で主要な資金調達方法の一つとなっています。もちろん、それら以外の業種でも債権流動化はわかりやすく迅速な資金調達を可能にする方法として急速に浸透しつつあります。

債権流動化では、まず事業者が保有する売掛債権(売掛金)や貸付債権、不動産関連債権などを金融機関や特別目的会社(Special Purpose Company、以下SPC)、ファクタリング会社などに譲渡します。

売却する際に、債権の額面から手数料が引かれます。100万円の債権を債権流動化では、例えば90万円で買い取るため、差額10万円が債権流動化によって買い取った機関の利益になります。これで債権流動化ビジネスが成り立っています。

債権流動化は現在政府が従来の銀行融資に代わる資金調達方法として後押ししています。

例えば、金融庁が中小企業向けの資金繰り改善のため、従来の不動産担保融資だけではなく動産担保融資を活用するように各金融機関を促しています。

ABL(動産・売掛金担保融資)の積極的活用について(金融庁通達)

経済産業省、その下部組織である中小企業庁でも「売掛債権(売掛金)の利用促進」という方針を明確にしています。

売掛債権(売掛金)の利用促進について – 中小企業庁

債権流動化は政府の方針です。さらに従来の紙の手形取引も2026年をめどに廃止する方向で進んでいます。手形取引、手形割引を廃止するのではなく、紙の手形を発行して、譲渡するときにはそこの(物理的に)「裏書きして」というやり方を廃止して電子取引に一本化していく流れになっています。

電子取引になれば迅速性が増します。従来の債権の使い方をより広い資金調達方法に広げていくことが昨今のトレンドになっていることを知ってください。

債権流動化に該当する4つの資金調達方法をわかりやすく解説

では債権流動化はどのようなものなのでしょうか?資金調達方法にはさまざまなものがあります。資金調達方法についてまとめた以下の表を見てください。

     内容 資金調達方法の選択肢
アセットファイナンス 自社の資産を現金化する ①不動産売却
②知的財産権(特許、商標、著作権等)売却
③独占販売権、営業権などの無形資産の売却
④ファクタリング
⑤でんさい(電子記録債権)譲渡
⑥売掛債権証券化
⑦セール&リースバック
デットファイナンス 「借入金融」お金を借りる、返済義務あり ⑧銀行融資(無担保、無保証人)
⑨自治体等の公的融資(無担保、無保証人)
⑩不動産担保融資
⑪消費者金融、ビジネスローン
⑫手形割引
⑬社債、私募債発行
⑭ABL(動産・売掛金担保融資)
エクイティファイナンス 他社、第3者から出資を受ける、返済義務なし ⑮新株発行公募
⑯IPO(新規公開株)による資金調達
⑰株主配当増資
⑱第三者配当増資
⑲クラウドファンディング
⑳ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家

債権流動化はこの表の中で黒字の太字で示した「ファクタリング」「売掛債権証券化」「手形割引」「動産担保融資(ABL)」の4つになります。まず、その4つについてわかりやすく説明します。

債権流動化その1「ファクタリング」

まず紹介したいのがファクタリングです。ファクタリングをわかりやすく説明すると、売掛債権(売掛金)の買い取りです。

A社がB社に対して100万円の「9月末日締め11月末日払い」の売掛債権(売掛金)を持っていたと仮定します。9月30日に100万円を「売上」として計上しますが、実際にB社からA社へ入金されるのは2か月後の11月30日です。

それまでに100万円急な支払いなどで必要になっても、契約上は早期の振り込みは期待できません。B社にお願いすれば11月15日くらいに振り込みしてくれるかもしれませんが、あくまで「お願いベース」です。

ファクタリングは「B社から11月30日に100万円支払ってもらう権利」をそれより前にファクタリング会社へ買い取ってもらう資金調達方法です。

これなら、10月下旬に急な資金調達が必要でも、早期に現金化できます。まさに(売掛)債権が流動化して、契約より前にお金を得られるというものです。

その際に、ファクタリング会社へ売掛債権(売掛金)の額面の数%~20%を手数料として支払います。つまり、100万円満額の早期現金化はできず、80万円~90万円の現金化にとどまります。

ファクタリングは融資ではないので、利息制限法の対象外です。つまり年利換算20%を超える手数料も合法であり、実際に年利換算して100%を超える契約もあります。

融資ではないので、信用情報照会も不要で、過去に返済事故などを起こした「信用情報ブラック」の人も問題なく利用できます。

ファクタリングは債権者とファクタリングで完結する「2社間ファクタリング」と、それに加えて売掛先の同意も得る「3社間ファクタリング」があります。

どちらも融資よりも格段に資金調達までの期間が短く、2社間ファクタリングの場合最短即日、申し込みから1時間程度で資金化できるケースもあります。

まさに債権流動化であり、水のようにあっという間にお金に変換できます。非常にわかりやすく売掛債権(売掛金)がキャッシュに代わる資金調達方法になります。

債権流動化その2「売掛債権証券化」

売掛債権証券化は、事業者が保有する売掛債権(売掛金)を特定の目的のために設立された法人(SPV:特別目的事業体)へ譲渡します。SPVは、その債権を基に証券を発行して投資家に販売することで資金を得る手法です。事業者は債権を買い取られる際に資金を得られます。買い取ったSPVはそれを証券化し投資家に売却することで利益を得ます。

このように書くと複雑でわかりやすいのとは正反対という印象を受けます。事実、売掛債権証券化はほとんど使われていない債権証券化手法です。ファクタリングのほうがよほどわかりやすいものになっています。

また、証券化された売掛債権(売掛金)がすべて購入される保証はなく、発行された証券が完売しない可能性があります。特別目的事業体(SPV)の設立を含め、多岐にわたる手続きが必要で、特に中小企業や個人事業主にとってはコスパが悪すぎます。

売掛債権(売掛金)を証券化して資金調達を完了するまでには、短くても1か月、場合によっては半年以上かかることがあります。ファクタリングのような「即日入金」「即日資金化」には程遠く、通常の融資の方が良いかもしれません。

売掛債権証券化は、債権流動化の一つの手法として確立されているものの、運用には高いハードルがあり、実際に利用しているのは大企業のごく一部です。

「そういうものもあるのか」と知っていただければOKです。

債権流動化その3「手形割引」

手形割引とは、満期を迎える前の約束手形を第三者に売却して資金を確保する方法の一つです。古く明治期から行われている資金調達方法になります。

手形を保有する企業が資金を必要とする場合、取引先が発行した約束手形を銀行や一部の手形割引業者に引き取ってもらいます。銀行や割引業者は、まず手形の発行者(手形振出人)の信用状況を審査し、問題がなければ手形を買い取ります。買い取り額は、手形の額面金額から利息や手数料を差し引いた金額が支払われる仕組みとなっています。

手形振出人=債務者=請求書を受け取る人になります。

手形が銀行や手形割引業者に渡った場合、手形振出人は期日が来た際に、もともとの取引相手ではなく、手形を所有する金融機関や割引業者に対して支払いを行います(3社間ファクタリングに似ています)。このため、約束手形の譲渡が行われた段階で、支払いの相手先が変更されるのがポイントです。

手形割引は、手形を取引の決済手段として利用している事業者でなければ利用できない点が大きなデメリットになります。

一般的に手形割引は手続きが難しく請求書などをもとに審査が行われるファクタリングと比較すると、利用できる範囲が限定的です。

しかし、約束手形は手形法によって定められた、法的裏付けのある取引であり、支払いが履行されなかった場合、手形振出人には社会的信用の喪失や金融取引の制限など厳しい制裁が科されます。「不渡り2回で事実上倒産」という市場ルールもそのためです。

結果、手形割引はファクタリングよりも信用がある事業者しかできず、支払い不能リスクが低いとされています。

また、手形割引では通常、償還請求権付きの取引が行われるため、手形振出人が支払いを怠った場合、そのリスクは最終的に手形を譲渡した事業者が負うことになります。償還請求権なしのファクタリングとここが大きく異なります。

手形割引は比較的安全性が高い資金調達手段とされており、手数料率も1.5%から5.5%と低めに抑えられていることが一般的です。その結果、企業はファクタリングに比べて請求額の額面に近い金額を現金化することが可能です。

ただし、近年では手形取引を行う企業自体が減少しているため、手形割引を利用した資金調達の件数も縮小傾向にあります。上述の2026年紙の手形廃止の流れもそれに沿っています。

手形を利用した取引が減っているのは時代の流れであり、わかりやすく資金調達できる方法が好まれるようになっています。

債権流動化その4「動産担保融資(ABL)」(売掛債権担保融資)

手形割引に代わり政府が進めたいのが動産担保融資です。ABL(Asset-Based Lending、資産担保融資)という英語略称もあります。

動産担保融資(売掛債権担保融資とも呼ばれる)は、事業者が持つ売掛債権(売掛金)を担保として提供し、金融機関から資金を借り入れる資金調達方法です。融資なので、お金を「借りる」ことになります。債権を売るわけではないのでご注意ください。

事業者が銀行から融資を受ける際、通常は不動産などの資産を担保として提供するケースが一般的ですが、動産担保融資はこれを売掛債権(売掛金)に置き換えた形になります。

このため、資産を担保とする従来の融資と基本的な構造は似ていますが、現金化可能な売掛債権(売掛金)を利用する点で異なります。売掛債権(売掛金)なら土地や建物を持たない事業者でも手軽に利用できます。

動産担保融資は、ファクタリングと比較されることが多いものの、両者には明確な違いがあります。ファクタリングが売掛債権(売掛金)をファクタリング会社になどに売って資金を調達する方法であるのに対し、動産担保融資は、債権を手放さずに担保として利用する点が異なります。ファクタリングでは売掛債権(売掛金)の所有権はファクタリング会社に移りますが、動産担保融資では売掛債権(売掛金)の所有権は債権者(みなさま)にあります。

このため、融資に対する手数料が発生するものの、ファクタリングに比べて費用は低めに抑えられる傾向があります。

一般的に、動産担保融資の手数料率は売掛債権(売掛金)額面の3%〜15%程度で、ファクタリングよりも低く、一部ではさらに低い料率で利用できるケースもあります。

例えば、信用保証協会が提供する動産担保融資では、手数料が1%以下という条件で利用可能なプランも存在します。これを年利換算しても10%を超えません。

動産担保融資は「融資」なので、銀行法や貸金業法で許可された事業者のみが実施でき、手数料を年利換算した場合は利息制限法の範囲内にしなければなりません。

これにより、資金調達による手数料はファクタリングよりも少なくなります。

動産担保融資はファクタリングに比べて審査が厳しく、資金を受け取るまでに時間がかかる傾向があるため、緊急性が高い資金調達には適していない場合があります。もちろん、動産担保融資ができるのは「金融機関」(行政の許可をしている)のみであり、現在、動産担保融資を実施している金融機関はそれほど多くありません。

事業者にとって、動産担保融資は今後比較的利用しやすい資金調達手法として注目されていくでしょう。不動産がなくても売掛債権(売掛金)を担保にすることで、無担保・無保証人融資よりも借りやすくなります。

債権流動化のメリットやデメリットをわかりやすく解説

債権流動化はこのように4種類あり、それぞれ特徴がありますが、債権流動化全体を通してのメリットとデメリットを考えてみましょう。メリットが大きければ債権流動化による資金調達をする価値がありそうです。

債権流動化のメリットをわかりやすく解説

まず債権流動化のメリットを解説します。融資にはないメリットなので、ぜひ資金調達方法として債権流動化を加点評価してみてください。

債権流動化のメリット1~資金調達の難易度が低い

債権流動化は全般的に通常の銀行融資と比べて審査の難易度が下がり、資金調達しやすくなります。

アセットファイナンスであるファクタリングや売掛債権証券化は、お金を借りるわけではないので、売掛債権(売掛金)そのものの価値内で資金化します。中古ソフトの売却時にそこまで厳格な審査を行わないのと同様です。売却する売掛債権(売掛金)には少なくとも額面の価値があり、その範囲内で買い取りできれば、買い取り事業者も損をしません。

手形割引は明治期より続く商慣習であり、社会に根付いています。手形法による厳格な規定や「不渡り2回で事実上倒産」ルールが取引を安全にしています。また、もともと手形取引は銀行が認めた業者しかできないので、その時点で「上澄み」であることで、通常の銀行融資より審査の難易度が下がります。

債権流動化のメリット2~迅速な資金調達が可能になる

債権流動化の2つ目のメリットとして迅速な資金調達が可能になることが挙げられます。

通常の銀行融資の場合、申し込みから入金まで最短でも2週間で、1か月程度かかることもあります。政府系金融機関の日本政策金融公庫の融資はそれよりも長くなります。

債権流動化の場合、特にファクタリングや手形割引では、長くても数日、早ければ即日の資金調達もできます。

ファクタリングならば当事者で合意できれば即買取り、資金化まで進みます。

急な資金需要が発生した場合は、債権流動化(特にファクタリングや手形割引)は有効な手立てとなるでしょう。

債権流動化のメリット3~経営の「オフバランス化」

債権流動化には、決算書(貸借対照表)の内容を改善し、会社の信用度をあげるオフバランス化もメリットとして挙げられます。

オフバランスとは、貸借対照表から「売掛金」勘定を貸して、スリム化させることです。バランスシート(貸借対照表)から「売掛金」がオフになるのでオフバランス化です。

債権流動化、特に手形割引やファクタリングによって掛売して未回収の資産が現金化されます。未回収の売掛金は不良債権化するかもしれず、額面通り資産として評価できません。

オフバランスによって資産を現金化し、その現金で負債の返済に充てることもできます。そうなると資産の「売掛金」と負債の「借入金」を両方消せます。

このようにして、項目の少ないスリム化した貸借対照表を作れます。スリム化した貸借対照表によって

・自己資本比率の改善(会社の信頼性が高まる)
・総資産利益率(ROA)の改善(少ない資産で多くの利益を稼いだと認知される)

という金融機関が融資審査の際に評価する項目の数字が高くなります。

金融機関の評価が高くなれば、補助金や助成金の申請も通りやすくなりますし、取引先の評価も上がります。新規顧客開拓にもプラスに作用します。

債権流動化のメリット4~キャッシュフローの改善

債権流動化による現金の調達はキャッシュフローの改善に役立ちます。

キャッシュフローは事業活動における現金の流れです。回収できない売掛債権(売掛金)はそこで「目詰まり」を起こしています。資金の流れが動脈硬化を起こしているので、債権流動化によってキャッシュを流動化させて、会社という体の血の巡りを良くしてあげましょう。

名目上「売上」として利益が上がっていても、その売上が「売掛金」のままで、現金で入ってこなければ買掛金などの支払いができなくなり「黒字倒産」してしまいます。黒字倒産を防ぐためにも、キャッシュの巡りを良くしてあげなければならず、債権流動化によってそれを促すことが期待されます。

債権流動化によるキャッシュフロー改善の効果は大きいのです。

債権流動化のメリット5~資金調達方法の多様化

債権流動化による資金調達は、融資以外の資金調達方法を確保するという意味でも重要です。

冒頭に挙げたように、資金調達方法は大きく分けて「アセットファイナンス」「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」の3種類があり、別々の特徴を持っています。

場面によって3種類の資金調達方法を使い分けられるのが優秀な経営者になります。実際に使うかどうかは別にして債権流動化を知ることで、融資以外の資金調達方法も知れます。

ファクタリング→アセットファイナンス
売掛債権証券化→アセットファイナンス
手形割引→デットファイナンス
動産担保融資→デットファイナンス

異なる種類の資金調達方法を債権流動化という手法で確保できます。いざというときのリスクヘッジとして多様な資金調達方法を持つことは極めて重要です。

債権流動化のデメリットをわかりやすく解説

債権流動化は上に挙げたメリットばかりではなく、デメリットもあります。デメリットについてもわかりやすく説明していきます。

債権流動化のデメリット1~手数料や利息などの手数料が高いものもある

動産担保融資や手形割引の場合、手数料、利息はそれほど高いものではなく、融資と変わらないかそれよりも低くなります。担保として売掛債権(売掛金)を提供するので、金融機関側のリスクが下がるので、当然といえば当然です。

特に「売掛債権(売掛金)担保融資」の場合、公的機関を利用した融資であれば金利1%以下という破格の条件で融資を受けられることもあります。

一方、ファクタリングは手数料が高く、20%を超えるものもあります。これを年利換算すると100%超えになるため、利息制限法の上限を大きく超えてしまいます。

しかし、ファクタリングは融資ではないので利息制限法の適用対象外であり、当事者で納得して契約できれば合法になります。

債権流動化のデメリット2~償還請求権付きで弁済義務が生じる可能性がある

債権流動化は、その種類によっては償還請求権付きで弁済義務が生じる可能性があります。

償還請求権とは担保や売却した売掛債権(売掛金)や手形が回収不能になった際に、債権者に対して債権の額面価格を支払う義務を負わせる契約です。

100万円の売掛債権(売掛金)を持ったA社が売掛債権(売掛金)を債権流動化によって換金したとします。相手先企業(売掛先、手形振出人)が倒産して、債権回収ができなくなった場合でも、100万円の売掛債権(売掛金)をもとに調達したお金(90万円くらいが多い)についてはA社が弁済、返済しなければならなくなります。

手数料を支払って満額返済する義務を負うという、とんでもない状態に陥ってしまいます。債権流動化の中でも手形割引には償還請求権があります。ただし、手形取引の場合銀行が認めた事業者であり、そうなる可能性は低いと考えられます。もしそうなれば、2回不渡りで倒産になってしまいます。

売掛債権(売掛金)を売却することで資金調達を行う「ファクタリング」の場合、償還請求権付きファクタリングを契約させられる可能性があります。ファクタリングは当事者間の自由な意思表示による契約ですが、償還請求権付きファクタリングについては「融資」(動産担保融資)という判決が出ています。

当然融資を行う場合、ファクタリング会社は金融業許可が必要であり、手数料も年利換算して利息制限法の範囲内でなければ違法になります。

4つの債権流動化の中ではファクタリングがおすすめ!その理由を紹介

このように債権流動化はさまざまなメリットやデメリットがあります。4種類の債権流動化の中でも、本記事ではファクタリングをおすすめします。

なぜなのか、4つの債権流動化について表にまとめました。

ファクタリング 売掛債権証券化 手形割引 動産担保融資(ABL)
実施主体 ファクタリング会社 特定目的会社(SPV) 銀行、手形割引業者 銀行
実施主体の数 多い(全国数百社) とても少ない 多い 全部の銀行が行うわけではない
実施主体 ファクタリング会社 特定目的会社(SPV) 銀行、手形割引業者 銀行
入金までのスピード 最短即日 1か月~数か月 銀行:数日 手形割引業者:最短即日 半月~1か月
金利 高い(100%超えも) 低い 融資と同程度 低い
手続き 簡単 非常に難しい 手形法の規定が厳格に適用 通常の融資と同じ
審査 やさしい 厳しい やややさしい やや厳しい
償還請求権の有無 なし あり あり なし(ただし担保を実行される)
根拠法 民法 SPC法、特債法 手形法 銀行法、貸金業法
信用情報照会 ない ない(が別の審査が厳格) ない(が手形取引に審査あり) あり
信用情報ブラック 利用可能 利用可能だが審査で落とされる 大幅減点になる 大幅減点になる
法的保護 薄い ある 厚い 厚い

同じ債権流動化でも内容がかなり違います。しかし、融資を使えない場合の代替手段とすればとにかく早いファクタリングがおすすめです。

手数料がやや高額になりますが、最短即日資金調達可能で、信用情報照会もなく、過去に返済事故や債務整理を経験した「信用情報ブラック」の人でも問題なく利用できるファクタリングが、融資にはないものを得られます。

迅速な資金調達が必要な場合や信用情報に問題がある人はファクタリング、そうではなく時間をかけて審査してもよい場合は、通常の銀行融資や動産担保融資と使い分けてください。

手形割引は今後減っていくことが予想されます。なお、政府としては手形割引の後継として「電子記録債権(でんさい)」というシステムを考えています。すでに実用化されているので合わせて参考にしてください。

ファクタリングをはじめとした債権流動化をわかりやすく理解し、いざというときの資金調達につなげよう!

今回債権流動化という資金調達方法についてわかりやすく説明しました。債権流動化という資金調達方法は、売掛債権(売掛金)など債権を持っていれば、その期日到来前に資金化できる手法です。

通常の融資よりも審査の難易度が低く、国も後押ししているので、この先を見ても前途明るい分野になります。

債権流動化という資金調達方法は4つありますが、その中でもファクタリングはとてもわかりやすく、利用しやすいものになっています。

売掛債権(売掛金)の請求書と通帳コピーがあればだれでも利用でき、信用情報照会がないので、「信用情報ブラック」の人も問題なく利用できます。手形割引や動産担保融資のように銀行を相手にしないので、当事者間の合意によってサクサク進みます。

ファクタリングをまず考えて、それ以外の残り3つの債権流動化手法も知っておきましょう。いざというときに通常の銀行融資に代わる選択肢を持っていると、経営上のリスクヘッジにつながります。

ぜひわかりやすく説明した債権流動化をみなさまの資金調達方法に加えてください。さまざまな選択肢を持つことは貴社の経営上の資源を増やし、豊かにしていきます。

よろしくお願いいたします。

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