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ファクタリングと融資の使い分けは?使い分けに必要な10の違い

多くの経営者は、資金繰りの中心は銀行融資と考えています。
実際、日本の中小企業は銀行融資の依存度が高く、政府も問題視しているほどです。
銀行融資は決して悪い方法ではなく、資金調達の中心に据えるのも良いでしょう。
ただ、銀行融資に依存しすぎるのが問題なのです。
そこで活用したいのが、最近急速に普及してきたファクタリングです。
これからの時代、資金繰りは「融資+ファクタリング」が主流になっていくと考えられます。
そのためには、ファクタリングと融資の違いを知り、正しく使い分けることが重要です。
この記事で、10の違いについて学んでいきましょう。

ファクタリングと融資は全く別物

会社の資金繰りを回し続けるためには、不足資金を調達することが必要です。
不足資金を調達する方法は色々あります。
資金繰りに苦しんでいる経営者ならば、とりあえず融資を選択するのか、色々な資金調達方法の中から何を利用すべきか、と常々関心を持っていることと思います。
特に最近、新しい資金調達の手法としてファクタリングが普及してきました。
このため、伝統的な資金調達方法である「融資」と、新しい資金調達方法である「ファクタリング」の違いや使い分けに関心を持つ人が増えています。
まず知っておきたいのは、同じ資金調達方法でも、ファクタリングと融資は全くの別物ということです。
融資とは?ファクタリングとは?ここから見ていきましょう。

融資とは?

融資は、会社にとって最も身近な資金調達方法です。
銀行や貸金業者などに融資を依頼することで、資金を調達できます。
当然ながら、融資を受けたお金は返済しなければなりません。
このため、銀行や貸金業者などでは、決算書やその他の情報から融資先を厳しく審査し、返済力に問題がない場合に限って融資を実行します。
返済力に問題がある場合、貸し倒れリスクが高いと判断して融資しません。
このように、融資は資金調達のハードルが高いのが特徴です。
しかしながら、経営に問題がなければ、まとまった資金を、安いコストで調達できるため、資金調達の軸に最も適している方法といえます。

ファクタリングとは?

ファクタリングは、王道の融資に比べてここ数年で急速に普及してきた資金調達方法です。
会社が所有している売掛金を売却することで資金を調達します。
売掛金は、代金の後払いを前提に取引する「信用取引」によって発生する売掛債権です。
つまり、売掛金は支払期日に代金を受け取る“権利”ですから、ファクタリングは権利の売買であり、法的には債権譲渡取引に分類されます。
また、売掛金は貸借対照表の流動資産に含まれる資産ですから、ファクタリングは資産売却による資金調達の一種ともいえます。
お金を借りて資金を調達するのではなく、資産を売却することで資金を調達する点に注目すれば、融資との違いが分かりやすいでしょう。

政府がファクタリングを推奨

現在、政府はファクタリングの普及促進に力を入れています。
これにより、中小企業の間では着実に普及率が高まっており、債権譲渡に関する法律も徐々に整ってきました。
政府がファクタリングを推奨しているのは、資金調達の多様化を促すためです。
長年、日本の中小企業は融資への依存度が高く、資金繰りの脆弱性が問題視されてきました。
資金調達方法が「融資だけ」の場合、銀行から融資を拒否されてしまうと資金繰りが行き詰まる可能性が高いです。
ファクタリングの活用によって、資金調達方法が「融資+ファクタリング」になれば、融資への過度な依存を解消でき、資金繰りの安全性も高まります。
ファクタリングは、政府が推奨している方法ですから、今後も利用環境が良くなっていくことでしょう。

1.資金の調達先が違う

基本的な違いを見ただけでも、ファクタリングと融資が全くの別物であることが分かります。
ここからは、ファクタリングと融資の違いを細かく整理しながら見ていきます。
資金繰りの安定性を高めるためにも、ファクタリングと融資の違いをよく理解し、正しく使い分けることが大切です。
まずは、資金の調達先の違いから整理していきましょう。

融資の調達先は多種多様

融資で資金を調達するとき、調達先は多種多様です。

  • 銀行から融資を受ける
  • 消費者金融から融資を受ける
  • 信販会社から融資を受ける
  • 日本政策金融公庫から融資を受ける
  • 自治体の制度融資を利用する

色々な調達先の中から、自社の経営状況や信用力に適した調達先を選び、融資を受けるのがポイントです。

ファクタリングはファクタリング会社

ファクタリングを利用する際には、ファクタリング会社に依頼します。
依頼先は「ファクタリング会社一択」ですが、だからと言ってシンプルというわけではありません。
ファクタリング市場が急成長している昨今、多くの事業者がファクタリング業に参入しており、ファクタリング会社の数が非常に多くなっているからです。
ファクタリング会社の中には、銀行やノンバンク系列のファクタリング会社もあります。
もちろん、それらに属さない独立系のファクタリング会社も非常に多く、No.1もそのうちの1社です。
ファクタリング会社選びに失敗し、好条件でファクタリングできなくなるケースも少なくありません。

2.安全性が違う

調達先の違いは、安全性にも大きく影響します。
融資とファクタリングの安全性の違いをみていきましょう。

融資は安全性が高い

基本的に、融資による資金調達は安全性が高いです。
銀行は銀行法、信用金庫は信用金庫法、信販会社や消費者金融業者は貸金業法というように、あらゆる金融事業者は法律に基づいて融資しています。
このため、違法業者に遭遇することはありません。
日本政策金融公庫などの公的金融機関から融資を受けるならば、危険性はほぼゼロといって良いでしょう。

ファクタリングは危険な場合もある

融資に比べて、ファクタリングは安全性に欠けます。
これは、ファクタリングの歴史が浅いからです。
世界的に見れば、ファクタリングの歴史は非常に古く、欧米などでは特に長い歴史を持っています。
しかし、日本でファクタリングが普及し始めたのはごく最近のことで、ファクタリングに関する法的整備が不十分です。
現時点において、ファクタリング業者に対する規制はほとんど存在せず、開業にあたって登録や免許は一切不要です。
貸金業を開業する場合には、貸金業登録という高いハードルがあるため、違法業者の参入が非常に困難ですが、ファクタリングは誰でも開業できるため、違法業者が紛れ込みやすい環境にあります。
実際、ファクタリングを装ったヤミ金融業者が摘発された例も少なくありません。
ファクタリングを利用する際には、違法業者を避けることが大切です。

3.取引するものが違う

ファクタリングと融資の根本的な違いは、「何を取引するか」ということです。
融資では「現金」を取引し、ファクタリングでは「売掛金(権利)」を取引します。
当たり前のことですが、この記事で取り上げている10個の違いも、結局のところ「取引するものの違い」によるものです。
したがって、ファクタリングと融資の取引するものの違いをよく理解しておく必要があります。

融資は現金を取引する

融資では、銀行や貸金業者などが貸し手となり、会社が借り手となって取引します。
このとき、取引する資産は「現金」です。
貸し手は借り手の返済能力などを審査し、問題ないと判断すれば現金を貸し付けます。
借り手は、融資を受けることによって資金を調達できるという仕組みです。
銀行や貸金業者は融資が基幹業務ですから、常に多額の貸出金をプールしており、貸付額が多ければ多いほど収益も大きくなります。
つまり、銀行や貸金業者にとっては、現金(貸出金)が商品であり、現金を取引することによって収益を得ているのです。
このように考えると、「融資では現金を取引する」というイメージが分かりやすいと思います。

ファクタリングは売掛金(権利)を取引する

ファクタリングも、資金調達である以上は現金をやり取りします。
自社が売掛金を売却し、ファクタリング会社から買取代金を受け取るのですから、「ファクタリング会社→自社」の流れで現金をやり取りしています。
しかし、このような現金のやり取りは、売掛金を取引した結果に過ぎません。
ファクタリング会社は、色々な会社からファクタリングの依頼を受け、売掛金を額面金額よりも安く買い取り、支払期日に満額を回収することで利益を得ています。
つまり、ファクタリング会社にとって売掛金の買い取りは「仕入れ」に相当し、取引の対象はあくまでも売掛金なのです。
もっといえば、売掛金は「支払期日に売掛先から代金を受け取る権利」ですから、ファクタリングは権利を取引しているともいえます。

4.契約が違う

融資では現金を取引するのに対し、ファクタリングは権利を取引します。
取引するものが違えば、契約の形も変わってきます。
どのように違うのか、それぞれの契約を比べてみましょう。

融資は金銭消費貸借契約

融資は現金の貸し借りですから、現金の貸し借りに関する契約を結ぶのがポイントです。
お金を貸し借りする取引を「金銭消費貸借」といい、そのための契約を「金銭消費貸借契約」といいます。
金銭消費貸借について、民法第587条は以下のように定義しています。

(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

出典:出典:e-GOV法令検索
この法律を融資に当てはめると、金銭消費貸借契約は以下のような契約です。

  • 当事者の一方(自社)が、
  • 種類、品質及び数量の同じ物(融資を受けた額と同額の現金)をもって返還(返済)をすることを約して、
  • 相手方(銀行や貸金業者)から金銭その他の物(貸付金)を受け取ることによって、その効力を生ずる契約。

ファクタリングは債権譲渡契約

ファクタリングも、資金調達に利用する以上は現金をやり取りしますが、あくまでも「売掛金の売却」であって「融資」ではありません。
売掛金の売却は債権譲渡取引ですから、債権譲渡法に基づく契約です。
債権譲渡に関する法律は、民法第466条に記載されています。

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

出典:出典:e-GOV法令検索
この法律に基づいて、具体的な内容(譲渡対象債権の明記、譲渡に伴う様々な条件など)を取り決めるのが債権譲渡契約です。
融資は金銭消費貸借契約、ファクタリングは債権譲渡契約と区別すれば、まるで違う取引であることがよく分かるでしょう。

5.審査基準が違う

融資とファクタリングでは、審査基準も全く違います。

融資の審査基準は「融資先の返済力」

融資では、「融資したお金が、貸し倒れることなく回収できるか」を審査基準とします。
融資先の会社が倒産すれば、残債の回収が困難になるからです。
このような融資の返済リスクに備えて、担保や保証を取り付けることも多いのですが、それでも決して安心できません。
不動産担保を取っているからといって、残債を満額回収できるとは限らず、また不動産の売却には手間がかかります。
信用保証協会の保証付き融資の場合、信用保証協会が弁済するのは残債の8割ですから、残債の2割はどうしても損失になります。
このほか、融資先の経営が悪化し、貸し倒れリスクが上昇した場合には、貸し倒れに備えて貸倒引当金を積み立てなければなりません。
銀行の商品である現金の一部が、貸倒引当金として拘束されるのですから、融資業務にも支障を来します。
このような問題を防ぐためにも、銀行は融資先に対して厳しく審査を実施し、返済力に問題がないと判断した場合に限って融資を実行します。

ファクタリングの審査基準は「売掛先の支払能力」

ファクタリングの審査基準は、「買い取った売掛金が、支払期日に問題なく回収できるか」ということです。
そのためには、ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)ではなく、売掛先(買い取る売掛金の支払人、債務者)を審査する必要があります。
極端に言えば、売掛先の支払能力さえ問題なければ、ファクタリング会社は支払期日に売掛金を回収できますから、利用会社の経営状況が悪くとも問題になりません。

  • 融資…融資先(資金を調達する会社)に対して審査する
  • ファクタリング…売掛先(資金を調達する会社の取引先)に対して審査する

このように、ファクタリングと融資では審査の基準・対象が全く異なるため、

  • 融資を断られたが、ファクタリングは利用できた
  • ファクタリングを断られたが、融資は利用できた

といったことが珍しくありません。
審査基準が違うからこそ、資金調達の多様化には「融資+ファクタリング」の組み合わせが効果的なのです。

6.担保・保証の重要性が違う

資金を調達するとき、担保・保証について真っ先に考える人も多いはずです。
担保資産を持っているかどうか、保証を受けられるかどうかによって、資金調達の幅が大きく変わることは間違いありません。
融資とファクタリングでも、担保・保証の重要性が異なります。

融資は担保・保証が重要

融資を受ける際、担保・保証が重要です。
担保・保証は、銀行が貸し倒れリスクに備えるためのものであり、不動産を担保として利用したり、信用保証協会から保証を受けたりすることによって、融資を受けられる可能性が大幅に高まります。
中小企業は業績・財務が脆弱ですから、大企業に比べて担保・保証を求められやすいことも事実です。
業績や財務が急激に悪化した場合も、担保や保証によって貸し倒れリスクを回避できるならば、銀行は融資に踏み切ることが多いです。
融資の際、融資担当者は融資先の現況や担保・保証の状況などをまとめた稟議書を作成し、複数の行員で回覧した後、支店長あるいは本部での決済に至ります。
この稟議書をみると、
「担保・保証がどのようになっているか」
「債権の保全がどの程度可能か」「保全不足や無担保の場合、それでも融資するだけの根拠があるか」
といったことが非常に詳しく書かれています。
このことからも、融資における担保・保証の重要性は明らかです。

ファクタリングは担保・保証が不要

一方、ファクタリングには担保・保証が一切不要です。
繰り返す通り、ファクタリングは債権譲渡取引であって、融資を受けるわけではありません。
融資でなければ返済義務もありませんから、そもそもファクタリング会社は「貸し倒れリスクはどれくらいか」「リスクに備えて担保を取れるか」といった考え方をしません。
もちろん、売掛金を回収できなければ損失を被るため、回収不能リスクには備える必要があります。
しかし融資でない以上、担保・保証でリスクヘッジを図ることはあり得ないのです。
もし、ファクタリングであるにもかかわらず担保・保証を求めるならば、それはファクタリングではなく「ファクタリングを装った融資」とみなされます。
金融庁も注意を喚起している通り、これは違法業者の常套手段ですから注意が必要です。

7.調達コストが違う

どのような方法で資金を調達するにせよ、いくらかの調達コストが生じます。
調達コストが安ければ資金繰りへの負担も小さいため有利です。
逆に、調達コストが高い資金調達方法を利用するならば、負担を軽減する工夫や計画性が欠かせません。
融資とファクタリングの調達コストはどのように違うのでしょうか。

融資は利息や保証料

融資の調達コストは、利息と保証料が基本です。
利息と保証料がどの程度の負担になるか、具体的に見てみましょう。

  • 融資総額:5000万円
  • 金利:年利2%
  • 保証料率:融資総額の2%
  • 融資期間:5年
  • 返済方式:元金均等返済(銀行融資は元金均等返済が一般的)

この条件で融資を受けたとき、融資実行時に信用保証協会に100万円の保証料を一括で支払います(銀行から4900万円が振り込まれるのが一般的)。
返済期間中に支払う利息の総額は約250万円です。
したがって、この融資の調達コストは約350万円となります。
銀行が単独で融資を実施する「プロパー融資」であれば、信用保証協会の保証を利用しないため保証料も不要です(調達コストは利息のみ)。
このほか、借入先や利用する融資制度によって、その他の手数料が発生することがあります。
その場合にも、利息と保証料が調達コストの大部分を占めると考えて差し支えありません。
保証料がかかることを考慮しても、融資の調達コストはかなり安いです。

ファクタリングは手数料

ファクタリングは融資と違い借入れではありませんから、利息の支払いは不要です。
無保証で利用するため保証料もかかりません。
その代わり、手数料がかかります。
注意したいのが、ファクタリング方式によって手数料が異なる点です。
ファクタリング方式別の相場は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の10~30%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
  • オンラインファクタリング:額面金額の10%以下

このように、ファクタリング方式によって調達コストが大きく異なり、使い方を誤ると資金繰り悪化の危険もあります。
ファクタリング方式を適切に選ぶのはもちろんのこと、基本的に手数料設定が安いファクタリング会社を選ぶことが重要です。
優良ファクタリング会社の多くは、相場よりも安めの手数料を設定しています。
参考までに、No.1の手数料は以下の通りです。

  • 2社間ファクタリング:額面金額の5~15%
  • 3社間ファクタリング:額面金額の1~5%
  • オンラインファクタリング:額面金額の2~8%

例えば、額面金額1000万円の売掛金を、オンラインファクタリングによって手数料率2%で売却する場合、調達コストは20万円となります。
手数料を抑えることで、さほど気にならないコストで調達できるのが魅力です。
ただし、この売掛金の回収サイトが1ヶ月とすれば、「借入額1000万円、借入期間1ヶ月、支払利息20万円」の融資に相当します。
これを金利に換算すると、年利24%相当の利息を支払っていることになりますから、融資よりも割高です。

8.調達可能額が違う

調達可能額も、融資とファクタリングの分かりやすい違いです。
調達可能額の根拠も踏まえて考えると良く分かります。

融資は多額の資金調達も可能

基本的に、融資は多額の資金を調達できます。
会社の規模によって調達可能額は変わりますが、その会社の事業規模や資金使途からみて十分な資金を調達できるのが融資というものです。
大規模な設備投資、新規店舗の出店など、多額の資金が必要となる場合にも融資でカバーでき、なおかつ調達コストも安く抑えることができます。
融資可能額の判断は銀行によって異なりますが、

  • 担保・保証を根拠に融資額を判断する
  • 現状と将来性を根拠に融資額を判断する

この2点は、どの銀行でもほとんど変わりません。
担保や保証があれば、担保価値や保証枠を基準とするのが一般的です。
例えば、以下のように判断します。

  • 5000万円の不動産を担保とし、担保価値に対して掛け目80%相当の4000万円を上限に融資する
  • 信用保証協会の保証枠が3000万円あるため、3000万円を上限に融資する

無担保・無保証で融資する場合、このような判断ができないため、融資先の現状と将来性から融資可能額を判断します。
業績・財務が良好な融資先に対しては、銀行は積極的に融資したいと考えます。
担保や保証はなくとも、手元資金が潤沢な会社に対しては、現金を実質的な保全とみなすことも多いです。
さらに、業績が順調に伸びている会社であれば、将来的に資金需要が高まり、さらなる収益機会につながることが期待できます。
その場合、あえて融資可能額を決めず、融資先の規模通りに融資することも珍しくありません。

ファクタリングは多額の調達が困難

融資に比べると、ファクタリングは調達可能額が低いです。
特に、多額の資金調達は困難と考えてください。
というのも、ファクタリングは手元にある売掛金を売却するものであり、売掛金の額面金額以上の資金調達はできないからです。
ファクタリングに利用する売掛金は、請求内容が確定している「確定債権」に限られます。
ファクタリング会社は、請求内容(売掛金の額面金額、支払期日までの残り日数など)によって採算を測るため、確定債権でなければ買い取れないのです。
このため、ファクタリングの調達可能額は、利用会社の売上によって決まります。
例えば、月商1000万円、売掛金の平均的な回収サイトが1ヶ月の場合、この会社の手元には常に1000万円分の売掛金があります。
したがって、この会社の調達可能額は1000万円です。
1000万円までであれば、会社の裁量で柔軟に資金調達できますが、それ以上の資金調達は不可能です。
多額の資金需要には融資を利用し、少額の資金需要にはファクタリングを利用するのがスタンダードな使い分けとなります。

9.資金調達スピードが違う

実際に資金を調達するにあたり、資金調達スピードも気になるところでしょう。
資金調達が間に合わなければ資金ショートを起こし、最悪の場合には倒産に至ります。
場合によっては、資金調達スピードは条件の良し悪し以上に重要なポイントです。
融資とファクタリングの資金調達スピードはどのように違うのでしょうか。

融資は調達に時間がかかる

融資は資金調達に時間がかかります。
色々な資金調達方法がある中でも、特に時間のかかる方法です。
もちろん、消費者金融系のビジネスローンで数十万円を借り入れる程度であれば、即日で融資を受けられる可能性もあります。
しかし、銀行から融資を受ける場合には長い時間がかかります。
かなり早く融資実行に至ったとしても、2週間程度を要するのが普通です。
これは、融資先の業績・財務が良好で、銀行が積極的に取引したいと思っており、担保や保証もつけることなくプロパー融資を実行する場合です。
このような融資は、ほとんどの中小企業にとってあまり現実的ではないでしょう。
それ以外の場合、例えば、

  • 業績・財務に重大な問題がない会社が、
  • 既に融資取引をしている銀行に融資を依頼し、
  • 必要に応じて担保や保証も検討しながら融資を目指す

といったケースであれば、融資実行までに1ヶ月程度はかかります。
信用保証協会の保証を受けるならば、銀行の審査だけではなく信用保証協会の審査も受ける必要があるため、さらに時間を要するでしょう。
このほか、日本政策金融公庫から融資を受けることも考えられますが、公的金融機関は民間金融機関よりも時間がかかります。
日本政策金融公庫は普通の銀行に比べて支店が少なく、スタッフも限られているためです。
コロナ禍の初期がそうであったように、融資の申し込みが集中した場合には数ヶ月を要するケースも珍しくありません。

ファクタリングはスピーディに調達できる

ファクタリングは、融資に比べて断然スピーディです。
融資だけではなく、他のあらゆる資金調達方法と比較しても、最もスピーディな資金調達方法として知られています。
もっとも、資金調達方法はファクタリング方式によって異なります。

  • 2社間ファクタリング…最短即日
  • 3社間ファクタリング…1週間以上
  • オンラインファクタリング…最短数時間

2社間ファクタリングに対応しているファクタリング会社のほとんどが、最短即日でファクタリング可能です。
ただし、利用環境によっては、2社間ファクタリングでも資金調達に時間がかかるため注意してください。
通常、ファクタリング契約は対面で行うため、利用会社の代表者がファクタリング会社に出向く、あるいはファクタリング会社のスタッフが利用会社を訪問する必要があります。
このため、距離的に近いファクタリング会社でなければ、即日での資金調達は困難です。
近所にファクタリング会社がなければ、オンラインファクタリングの利用がおすすめです。
オンラインファクタリングは、申し込みから契約まで全てオンラインで完結するため、対面取引の必要がありません。
手続きがスムーズですから、最短数時間でファクタリングできるサービスも増えています。
実際、No.1のオンラインファクタリングサービスも、最短60分入金の実績が多数あります。
現時点ではオンラインファクタリングがあまり普及しておらず、優良ファクタリング会社でも一部しか取り扱っていないのが唯一の難点です。

10.長期的なメリットが違う

経営は長期間にわたって継続するものですから、資金調達の際には長期的な影響を意識すべきです。
その資金調達方法を利用することによって、将来的な資金繰りや資金調達に与える影響も見据えて、メリットの大きい方法を優先しましょう。
長期的なメリットを比較すると、融資とファクタリングにも色々な違いがあります。
どちらが良い・悪いと考えるのではなく、「それぞれのメリットを最大限に活かして使い分ける」という視点が大切です。

融資のメリット

融資で資金調達する長期的なメリットは、銀行との関係を構築できることです。
銀行が融資する際には、信用力を重視します。
「返済力=信用力」であることはもちろんですが、これまでの取引歴と返済実績も重要です。
銀行から融資を受けるということは、銀行にとっては「融資実績」につながり、自社にとっては「返済実績」につながります。
銀行は、取引したことのない相手、つまり信用その他において未知の相手に融資することを非常に嫌うものです。
逆に、1回でも融資実績があれば、2回目の融資のハードルが大きく下がり、融資実績が増えるほど資金を調達しやすくなります。
また、融資実績を積み重ねるということは、返済実績を積み重ねることとイコールです。
返済でトラブルを起こせば、銀行は融資してくれなくなりますから、融資実績と返済実績は比例します。
さらに、このように実績を積み重ねていくと、他の銀行からも融資を受けやすくなります。
A銀行で融資実績を積み重ねたことにより、B銀行やC信金などでも「A銀行が積極的に支援しているから、うちも融資して大丈夫だろう」といった判断につながりやすいのです。
複数の銀行と取引すれば、資金の調達先が増えた分だけ資金繰りの安定性が高まります。
このように、融資を正しく活用していくと、長期的に資金調達環境が良くなっていくのです。
もちろん、融資を受けると借入金が増え、元利の返済が資金繰りを圧迫したり、自己資本比率などの財務指標が悪化することも多いため、計画的な利用が欠かせません。

ファクタリングのメリット

ファクタリングの長期的なメリットは、融資と似ている部分もあれば、全く異なる部分もあります。
まず、継続利用によって利用環境が良くなるという点では、銀行融資に似ています。
優良ファクタリング会社の多くは継続利用を歓迎していますし、継続利用によって手数料が安くなり、よりスピーディに資金調達できることも事実です。
このため、ファクタリングの活用にあたっては、自社に適したファクタリング会社をできるだけ早い段階で見つけ、同じファクタリング会社を長期的に継続利用することが大切です。
また、ファクタリングは財務的にも良い影響が期待できます。
融資であれば、借入金が増えて財務が悪化することも多いのですが、ファクタリングは財務の維持・改善にも役立つのです。
ファクタリングは債権譲渡であり、借入れではありませんから、ファクタリングによって財務指標が悪化することはありません。
もちろん、返済義務がないため、長期返済に伴う資金繰り負担も回避できます。
さらに魅力的なのが、オフバランス化効果です。
オフバランス化とは、バランスシート(貸借対照表)をオフ化(資産項目を減らす)する取り組みです。
資産には価値がある一方で、所有するリスクもあります。
所有していた売掛金が回収不能になり、損失を被るのが良い例です。
オフバランス化によって所有するリスクを軽減すれば、財務改善につながります。
以前ならば、「資産は多いほど良い」と考えるのが普通で、貸借対照表がごちゃごちゃしていてもあまり問題視されませんでした。
しかし最近、オフバランス化を評価する流れがあり、この傾向は特に銀行で顕著です。
ファクタリングによって資金を調達し、なおかつオフバランス化を進めることによって、銀行からの融資環境が改善するケースも珍しくありません。
融資とファクタリングの長期的メリットをそれぞれ踏まえて、うまく併用していくことが大切です。

まとめ:違いを知って賢く使い分けを

融資とファクタリングの違いについて、ごく基本的な違いから、比較的細かな違いまで詳しく解説しました。
この記事によって、融資とファクタリングの違いがよく理解できたはずです。
また、それぞれの違いを理解すればするほど、使い分けのポイントも見えてきます。

  • 資金調達のハードルは高いものの、資金調達の軸として優秀な融資
  • 資金調達の軸になるほどのインパクトはないものの、優れた柔軟性を持つファクタリング

このように、融資とファクタリングはそれぞれ異なる領域で活躍する資金調達方法です。
だからこそ、うまく併用できれば資金繰りが大きく改善します。
ファクタリングを活用する際には、ぜひNo.1にご相談ください。

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