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カテゴリー: 経営情報

生命保険を利用した資金繰り対策 契約者貸付の利用について

緊急時の資金調達で負債を増やさないための方法として、ファクタリングを利用することも有効ですが、企業が契約する生命保険を利用した資金調達方法あります。

生命保険には、「契約者貸付」という保険会社独自の借付制度があり、保険会社から貸付を受けることができます。

早急に資金が欲しいのに銀行の融資のように審査に時間がかかることや、期日までに返済しなければいけない義務もありません。

この記事では、資金繰り対策に役立つ「契約者貸付」について、メリットとデメリットもあわせてご紹介します。

生命保険の契約者貸付を知る

 
資金繰り対策のひとつとして、生命保険の契約者貸付を検討している人もいることでしょう。
生命保険の契約者貸付を資金繰り対策に活用するには、正しい知識が必要です。
まずは生命保険の契約者貸付について、基本的なことをおさえていきましょう。

契約者貸付とは

 
そもそも「契約者貸付」とは保険会社独自の貸付制度で、保険の契約者が生命保険の解約返戻金の70%~90%の範囲内で保険会社から貸付を受けるというもので、契約者貸付を受けている間でも、保障内容が変わらず継続し、配当金も受ける権利も継続するのです。

企業が契約者となっている事業保険でもこの「契約者貸付」を利用できる保険商品もあるので、このような保険商品に加入している場合、緊急時の資金調達にも有効となるのです。
普通、会社が資金繰り対策として借り入れる場合、金融機関や貸金業者が借入先となります。
民間または公的な金融機関から融資を受けたり、貸金業者のビジネスローンを利用したりすることで資金繰り対策を図ります。
銀行は銀行法、貸金業者は貸金業法に基づいて融資を行い、それ以外の事業者が業として貸し付けることは基本的に認められていません。
ところが、生命保険の契約者貸付は保険会社による貸付けです。
保険業法では、契約者貸付に限り、保険会社が貸し付けることを認めています。
生命保険の契約者貸付は、健全な保険会社から、合法的に、資金繰り対策に活用できる制度です。

解約返戻金が担保になる

 
上記の通り、生命保険の契約者貸付は、解約返戻金の範囲内で資金繰り対策を行うものです。
つまり、生命保険の契約者貸付は解約返戻金を担保とした融資にほかなりません。
例えば、これまで積み立てた生命保険が1000万円、返戻率が70%であれば、自社は700万円の解約返戻金を受け取る権利があります。
この時、解約返戻金の担保掛目が80%の場合、生命保険の契約者貸付によって560万円まで調達可能です。
もちろん、その後も生命保険を継続する限り、積立金と解約返戻金は大きくなっていくため、契約者貸付の調達可能額も徐々に増えていきます。
生命保険の契約者貸付は、解約返戻金が担保として機能しているからこそ、後述のメリットが生じるわけです。
例えば、生命保険の契約者貸付は審査が極めて簡単であり、簡単に資金繰り対策に使えます。
これは、解約返戻金という担保があり、その範囲内で貸し付けている限り、保険会社は貸倒れリスクを負わずに済むためです。

生命保険の種類によって活用度が異なる

 
なお、生命保険の契約者貸付で資金繰り対策を図る場合、種類によって活用度が変わってきます。
まず、契約者貸付に対応している生命保険と、対応していない生命保険があります。
契約者貸付に対応していない限り、いくら生命保険に加入し続けても、資金繰り対策に役立つことはありません。
資金繰り対策を見据えて生命保険に加入するならば、貯蓄性の生命保険を選びましょう。
貯蓄性の生命保険は、保険金の支払い条件とは無関係に、解約時に必ず解約返戻金を受け取ることができます。
保険会社からすれば、担保となる解約返戻金があれば、契約者貸付の提供も容易というわけです。
したがって、貯蓄性の生命保険は、契約者貸付を利用できるものが多くなっています。
生命保険の契約によくあるのが、「契約者の死亡」を条件として保険金を支払うものです。
この場合、契約者が生きている間は保険金を受け取ることができません。
契約者が長生きして、契約期間が長期化するにつれて解約返戻金は大きくなっていきます。
それだけに、資金繰り対策にも活用しやすいでしょう。
生命保険の契約者貸付にも色々ですが、資金繰り対策によく利用されているのが低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、満期を基準に返戻率が大きく変化するものです。
満期を迎えずに解約すれば解約返戻金は少なく、満期を迎えてから解約すれば解約返戻金が多くなります。
当然ながら、満期前に契約者貸付を利用すれば、資金繰り対策にはあまり役立ちません。
反対に、満期後であれば資金繰り対策に活用しやすいです。
生命保険を選ぶ際には、資金繰り対策への活用を想定して、契約者貸付の有無、返戻率の変動などを比較することが大切です。

生命保険の契約者貸付で資金繰り対策するメリット

 
契約している保険を解約せずに資金調達ができる「契約者貸付」には、次のようなメリットがあります。

審査が緩く資金繰り対策に使いやすい

 
生命保険の契約者貸付が資金繰り対策に役立つ最大の理由は、調達難易度の低さにあります。
あらゆる資金繰り対策の中でも、生命保険の契約者貸付は特にハードルが低い方法です。
生命保険の契約者貸付も融資の一種ですから、審査が厳しいと思う人もいることでしょう。
しかし、銀行や貸金業者の貸付と、生命保険の契約者貸付はまるで違います。
というのも、貸倒れリスクに雲泥の差があるためです。
融資の中でも特に審査が厳しいのが銀行融資です。
銀行は低金利で多額の資金を貸し付けるため、回収不能になれば多額の損失を被ります。
そのリスクを避けるためにも、返済力を厳しく審査するのです。
もちろん、返済力に不安がある会社には融資しません。
連続赤字や債務超過といった問題を抱えている場合、銀行融資で資金繰り対策するのは非常に難しいです。
銀行は、本業から得られる利益を返済原資とみなします。
赤字の場合、返済原資となる利益が得られないのですから、返済力を問題視されて審査に落ちてしまいます。
貸金業者の審査は銀行より緩いものの、返済力を重視する点は同じです。
実際に、銀行融資では資金繰り対策ができず、貸金業者のビジネスローンでも資金繰り対策ができず・・・といったケースもしばしばです。
その点、生命保険の契約者貸付は返済力を重視しません。
既に解説した通り、生命保険の契約者貸付は、解約返戻金を担保としています。
融資先が返済できなければ、解約返戻金で回収すればよいだけです。
銀行や貸金業者のように厳しく審査することはなく、むしろ審査は緩いといってよいでしょう。
したがって、返済力に問題がある会社でも、問題がない会社でも、生命保険の契約者貸付ならば容易に資金繰り対策に使えます。
大きな問題を抱えており、通常の融資では資金繰り対策が不可能な会社は、生命保険の契約者貸付で資金繰り対策を図りましょう。

担保・保証が不足している会社の資金繰り対策に役立つ

 
資金繰り対策のひとつに、担保・保証の活用があります。
担保・保証をうまく使うことで、資金繰り対策が容易になります。
特に顕著なのが銀行融資です。
銀行は、担保・保証を重視します。
不動産担保の範囲内で融資したり、信用保証協会の保証付きで融資したりすれば、銀行は貸倒れリスクを大幅に回避できます。
実際に、銀行から無担保・無保証で融資を受けられる会社は1割程度です。
逆にいえば、9割の会社は融資の際に担保・保証を活用し、資金繰り対策を図っています。
経営内容がよほど良くない限り、融資での資金繰り対策は担保・保証ありきになるわけです。
そこで困るのが、担保・保証が不足している会社。
資金繰り対策のために融資を受けたくとも、担保・保証が不足しているために融資を受けられず、資金繰りが行き詰まってしまう会社が少なくありません。
担保・保証が不足している会社の資金繰り対策には、生命保険の契約者貸付が役立ちます。
生命保険の契約者貸付は、無担保・無保証融資ではありません。
解約返戻金が担保となります。
とはいえ、解約返戻金は生命保険に加入し、保険料を支払うことで徐々に形成されていくものです。
それを担保として資金繰り対策ができるのですから、実質的には無担保に近い感覚で資金繰り対策に使えます。
「不動産担保融資を受けたいが、手元に不動産がないため利用できない」
「不動産市況の悪化により、手元の不動産の価値が大幅に下落し、担保余力がほとんどなくなってしまった」
「信用保証協会の保証付融資を受けたいが、業績悪化により保証枠が縮小し、追加調達ができなくなっている」
通常の担保・保証付き融資では、以上のような問題がよく起こります。
生命保険の契約者貸付は、解約返戻金という担保の性質から、このような問題が起こりにくいです。
積み立てた金額と、契約に基づく返戻率などによって、受け取れる解約返戻金(=契約者貸付の調達可能額)は一定し、経済環境や市況、業績悪化によって変動することはありません。
担保・保証の不足によって資金繰り対策に困っているならば、生命保険の契約者貸付を活用しましょう。
もちろん、担保・保証を温存するために、あえて生命保険の契約者貸付で資金繰り対策することも可能です。

生命保険の契約者貸付は業歴不問

 
資金繰り対策にあたり、業歴がネックになる会社も多いです。
ここでも生命保険の契約者貸付が役立ちます。
特に、融資で資金繰り対策を図る場合、業歴が短いほど不利になります。
業歴は、返済力の裏付けとして有力です。
業歴が長い会社は経営基盤が堅固であり、収益力も安定しています。
銀行からみて、これは間違いなく好材料です。
少なくとも、業歴が短い会社よりも、業歴が長い会社に好意的であることは間違いないでしょう。
起業後間もない会社であればなおさらです。
起業後数年は経営がうまくいっても、来年大きな経済変動があれば、たちまち倒産してしまうかもしれません。
そのような会社には危なくて融資できないというのが、銀行の正直な気持ちです。
創業1年未満ともなれば、銀行融資による資金繰り対策はほぼ不可能と考えてください。
頼れるのは、日本政策金融公庫の創業融資や、業歴にあまり厳しくないネット銀行系のビジネスローン、消費者金融系のビジネスローンなどです。
業歴が短い会社の資金繰り対策には、生命保険の契約者貸付が役立ちます。
生命保険の契約者貸付は、業歴を問いません。
担保となる解約返戻金さえあれば、業歴が短い会社にも貸し付けます。
もちろん、会社として生命保険に加入する場合、業歴が短い会社は加入期間も短く、契約者貸付で資金繰り対策できる範囲は限られてくるでしょう。
しかし、経営者個人の生命保険は別です。
経営者が個人的に生命保険に加入し、それなりの解約返戻金が発生しているならば、経営者個人として契約者貸付を利用し、それを経営者から会社に貸し付ける形で資金繰り対策に活用できます。
このように考えると、生命保険の契約者貸付は実質的に業歴不問であり、資金繰り対策に使いやすいです。

生命保険が節税になることも

 
資金繰り対策は、様々な観点から行うものです。
お金が入ってくる方面から資金繰り対策を図ることもあれば、お金が出ていく方面から資金繰り対策を図ることもあります。
生命保険の契約者貸付は、お金が出ていく方面でも資金繰り対策に役立ちます。
というのも、生命保険は損金算入が認められており、節税になるためです。
生命保険に加入し、支払った保険料を損金算入することで、利益を減らすことができます。
その結果、法人税が安くなるというわけです。
損金算入できる金額は生命保険によって異なります。
例えば、逓増定期保険や長期平準定期保険は、保険料の半分を損金算入できることから、節税と資金繰り対策に効果的とされています。
中でも逓増定期保険は、解約返戻金が短期間で形成されることから、節税と契約者貸付の両面から資金繰り対策が可能です。
「生命保険による資金繰り対策の効果(節税と契約者貸付)」に比べて、「生命保険の支払い負担」の方が小さければ、資金繰り対策にはプラスといえます。

保険を解約しなくてもよい

 
生命保険の契約者貸付は、借り入れたからといって契約や保障に差しさわりがあるわけではありません。
生命保険を解約することなく、そのままの状態を維持しながら資金繰り対策に使えるのが、契約者貸付のメリットです。

保険は、いったん解約してしまうと、それ以後の保障がなくなります。

そして、再度加入しようと思った場合、審査などにより加入できない場合もあります。

また、最初から契約がスタートとなるため、再加入した保険は、解約前の保険に比べて返戻率が低くなる可能性があるので、解約しないにこしたことはないのです。

貸付が実行されるまでに時間がかからない

 
色々ある資金繰り対策の中から、自社に最適なものを選ぶにあたり、資金調達スピードを意識する人も多いことでしょう。
基本的に、調達に時間がかかる方法は資金繰り対策に使いにくく、スピーディに調達できる方法は資金繰り対策に有効です。
そもそも資金繰り対策とは、資金繰りを回し続けるための対策です。
資金繰りを回し続けるには、不足する資金を的確に供給しなければなりません。
資金調達に時間がかかってしまうと、必要なタイミングで資金を調達できず、資金ショートを引き起こします。
それでは資金繰り対策にはなりません。
的確に資金調達する上で重要となるのは、審査に確実に通ること、そしてスピーディに調達できることの二点です。
既に解説した通り、生命保険の契約者貸付は審査難易度が低く、解約返戻金があれば問題なく調達できます。
これに加えて、資金調達スピードにも優れています。
生命保険の契約者貸付は、資金繰り対策の中でも特にスピーディといってよいでしょう。

保険会社へ所定の書類を提出すれば、銀行のように審査に時間がかかることもなく1週間程で貸付が実行されます。
銀行融資で資金繰り対策を図る場合、資金調達スピードが問題になることが多いです。
銀行に融資を申し込んでから、実際に融資が実行されるまでには、数週間~1ヶ月程度を要します。
取引のない銀行から新規融資を受ける場合や、経営に問題を抱えている場合、あるいは自治体の制度融資で調達するといった場合には、1ヶ月以上を要することもしばしばです。
銀行融資を比較すると、生命保険の契約者貸付が資金繰り対策に役立つことが分かるでしょう。

また保険会社によっては、自社や提携先のATMから保険会社が発行するカードで貸付を受けることもできます。
資金繰り対策のためには、事前にカードの発行を受けておくのが理想的です。
これにより、いつでも必要な時にATMから借り入れることができます。

カードローンよりも低金利である

 
資金繰り対策を比較するポイントとして、調達コストも見逃せません。
いくら審査に通りやすく、スピーディに調達できても、調達コストが高すぎる方法は資金繰り対策に適さないのです。
一時的には資金繰りをつなぐことができても、調達コストが負担となって資金繰りが悪化します。
そのような資金繰り対策を繰り返せば、徐々に対策の余地がなくなっていくでしょう。
生命保険の契約者貸付は、達コストの点でもメリットがあります。
もっとも、他の資金繰り対策に比べて、調達コストが圧倒的に安いというものではありません。
生命保険の契約者貸付の金利は、保険会社や保険商品、そして保険の契約日によって異なりますが、年率2%~7%程度が相場です。
で、銀行融資の金利は年2~3%ですから、生命保険の契約者貸付の金利は高めに設定されています。
とはいえ、ノンバンクなどと比べて低い利率で貸付を受けることができます。
この「ノンバンクと比較して」というのがポイントです。
資金調達スピードを比較した場合、生命保険の契約者貸付とノンバンクのビジネスローンは大差ありません。
どちらも1週間程度で調達できます。
しかし、資金繰り対策の効果は大きく異なります。
上記の通り、生命保険の契約者貸付の調達金利は年2~7%。
これに対し、ノンバンクのビジネスローンの調達金利は、年15%程度になることも多いです。
このように、調達コストには雲泥の差があります。
安易にビジネスローンを利用してしまうと、支払利息によって資金繰り悪化を招く恐れがあります。
それよりも、生命保険の契約者貸付で調達した方が、資金繰り対策にはよほど効果的です。
銀行融資を受けられない会社の資金繰り対策には、ビジネスローンよりも生命保険の契約者貸付をおすすめします。

返済条件が厳格に決まっていない

 

契約者貸付は、いつでも返済ができることもメリットです。
資金繰り対策として融資を選ぶ場合、留意したいのが資金繰りの負担です。
資金繰りの負担になるのは、調達コストだけではありません。
返済計画そのものが資金繰りの負担になります。
せっかく融資を受けても、返済計画があまりにもタイトであれば、資金繰り対策には逆効果です。
返済が資金繰りを圧迫するのはもちろん、ちょっとした経営の悪化で返済が困難になるかもしれません。
銀行は信用を重んじるため、返済の遅延には厳しく対処します。
銀行は、全ての融資先を「債務者区分」というものでランク付けしています。
銀行からスムーズに融資を受けられる区分は「正常先」だけです。
それ以下(要注意先以下)の区分になると、たちまち借入れが困難になります。
債務者区分が変動する要因は様々ですが、返済の遅延は致命傷になりかねません。
実際に、ごく短期間の(一般的には3ヶ月未満の)遅延で、銀行の評価は大幅に悪化するのです。
これまで正常先に区分されていた会社も、返済が少しでも遅れた時点で要注意先以下に転落します。
さらにリスケジュールに踏み切ったとなれば、リスケ期間中は追加融資が受けられなくなります。
銀行融資が資金繰り対策に使えなくなるのですから、大問題といってよいでしょう。
したがって、融資で資金繰り対策を図る場合、返済計画には特に気を付ける必要があります。
その点、生命保険の契約者貸付には返済計画というものがありません。
自社の資金繰りに合わせて自由に返済できます。

銀行融資のように、毎月一定額で返済しなければならない等の取り決めはなく、全額でも一部でも可能で返したい時に返済できるのも大きなメリットです。
元金は返済せず利息だけを支払ったり、元金も利息も支払わずに返済を先延ばしすることも認められています。
ただし、金利は元金と利息の両方に係るため、元利ともに返済を先延ばしを続けると、返済額は複利で増えていくのが問題です。
とはいえ、契約者貸付で借り入れた後も、生命保険には加入し続けるわけですから、保険料の払い込むことで解約返戻金は増え、融資枠は増えていきます。
返済額と融資枠が並行して増えていけば、理論的には永久に返済しないことも可能です。
とはいえ、一定期間返済がない場合に保険契約が失効または解除となる場合もありますので計画的にご利用ください。

また、返済することなく解約や死亡などで保険金請求となった場合には、解約返戻金や死亡保険金から貸付金が相殺されるので返済する必要は無くなります。

このように契約者貸付には企業の資金調達として、さまざまなメリットがあるのです。

生命保険の契約者貸付で資金繰り対策するデメリット

 
一方、契約者貸付にもデメリットはあります。
生命保険の契約者貸付を資金繰り対策に活用するならば、デメリットをよく理解しておくことが大切です。
では、どのようなデメリットがあるのでしょう。

無計画な生命保険が資金繰りの負担になる

 
資金繰り対策を見据えて生命保険に加入すること自体は、何ら問題ありません。
いずれ資金繰り対策が必要になった際、契約者貸付が役に立つでしょう。
しかし、どのような方法にせよ、資金繰り対策は計画的に行うべきです。
生命保険の契約者貸付も、無計画であれば資金繰り対策には逆効果となります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 保険会社の営業マンに、資金繰り対策も含めて相談した。勧められるまま複数の生命保険に加入したことで、保険料の支払いが過大となり利益率が低下した。これにより融資環境の悪化し、資金繰り対策に銀行融資を使えなくなった。
  • 資金繰り対策のために節税を心がけ、生命保険にも加入した。営業マンの「赤字にすれば法人税の支払いはなくなる」という言葉を鵜呑みにし、複数の生命保険に加入。実際に赤字になり節税はできたものの、銀行融資も受けられなくなった。
  • 資金繰り対策を見据えて、契約者貸付を利用できる生命保険に加入。ほどなくして経営が悪化し、資金繰りが苦しい中で保険料を支払い続けることになった。資金繰り対策のために資金繰りが悪化するという、本末転倒の結果に。
  • 契約者貸付を資金繰り対策に活用するべく、低解約返戻金型終身保険に加入した。保険料の支払いは苦しいが、満期前の解約は返戻率が低いため、やめるにやめられない。資金繰り対策のために、無理な資金繰りを続けている。

資金繰り対策に計画性があれば、このような失敗は避けられたはずです。
「生命保険によって得られる資金繰り対策の効果」よりも「生命保険によって生じる資金繰りの負担」が大きければ、資金繰り対策には役立ちません。
保険会社の営業トークに乗ったり、税理士に丸投げしたりするのではなく、経営者自身が主体となって資金繰り対策に取り組むことが重要です。

節税ありきの生命保険は本末転倒に

 
メリットでも述べた通り、生命保険の契約者貸付は、節税の観点から資金繰り対策に役立ちます。
ただし、使い方次第で資金繰り対策に逆効果となるため注意が必要です。
よくある失敗が、「節税ありき」で生命保険に加入するパターン。
契約者貸付で資金調達することをあまり考えず、節税を重視しすぎた結果、この失敗に陥る会社が少なくありません。
分かりやすいのが、全額損金算入できる生命保険に加入するケースです。
全額損金算入できれば、一部を損金算入できる生命保険よりも節税効果は高くなります。
しかしながら、全額損金タイプの生命保険は、返戻率が低く設定される傾向があります。
いくら節税効果が高いとはいえ、返戻率が低ければ契約者貸付で満足な調達は難しいでしょう。
節税では資金繰り対策にプラスでも、契約者貸付では資金繰り対策にマイナスとなり、結果的にプラマイゼロになったり、マイナスの効果の方が大きくなったりするのです。
節税ありきの生命保険では、資金繰り対策に失敗する恐れがあります。
あくまでも節税は二の次、三の次と考えてください。
生命保険そのものの保険効果に加えて、契約者貸付で資金繰り対策に役立ち、さらに節税になれば資金繰り対策はさらに高まる。
このように考えるのが健全でしょう。

解約返戻金が多くないと希望金額の資金調達ができない

 
資金繰り対策のために多額の調達を必要とする場合、生命保険の契約者貸付は不向きです。
調達可能額があまり大きくないことも、生命保険の契約者貸付のデメリットといえるでしょう。
繰り返す通り、生命保険の契約者貸付は解約返戻金を担保として貸し付けます。
多額の資金を調達するには、多額の解約返戻金が積みあがっていることが前提です。

契約してから早い段階ではまだ解約返戻金が積みあがっていないため、契約者貸付可能な金額がない場合や、希望金額に満たない可能性があります。
例えば、資金繰り対策として低解約返戻金型終身保険に加入する場合、満期の前後で返戻率が大きく変わります。
満期を迎えなければ十分な解約返戻金は確保できず、契約者貸付で調達できる金額は小さいです。
とはいえ、会社の資金繰り対策は刻々と変化します。
必要なタイミングで的確に調達するのが資金繰り対策であって、満期前でも資金調達が必要になることはあります。
満期前で契約者貸付を利用できなければ、他の方法で調達しなければなりません。
解約返戻金が積みあがるまでは資金繰り対策に使いにくいのが、生命保険の契約者貸付のデメリットです。
また、多額の資金を必要とする場合、資金繰り対策への活用は大幅に制限されます。
加入する生命保険にもよりますが、契約者貸付で数千万円、数億円という資金を調達するのは困難です。
そのような解約返戻金を形成することも不可能ではありませんが、それまでに支払う保険料の負担を考えると、あまりにも非効率です。
さらに、仮に数千万円、数億円の解約返戻金が積みあがっていても、やはり資金繰り対策に利用すべきではありません。
年利にして2~7%の調達コストは、少額の調達ならばいざ知らず、多額の調達には高すぎます。
この場合の資金繰り対策は、やはり銀行から設備資金として融資を受けるのがベストでしょう。

銀行融資よりも調達コストが高い

 
生命保険の契約者貸付のメリットとして、調達コストの安さを挙げました。
もっとも、これはノンバンクと比較した場合です。
銀行融資と比較すれば、生命保険の契約者貸付は金利が高く、資金繰り対策ではデメリットとなります。
既に述べた通り、生命保険の契約者貸付の金利は年2~7%です。
これに対し、銀行融資の貸付金利は年2~3%程度。
つまり、生命保険の契約者貸付の調達コストは、安い場合でも銀行融資と同程度であり、大抵は銀行融資よりも高くなるのです。
信用保証協会の保証付きで銀行融資を受ける場合、信用保証協会に対して保証料を支払う必要がありますが、それを加味しても生命保険の契約者貸付の方が高くつくでしょう。
資金繰り対策のために銀行融資を利用できるならば、強いて生命保険の契約者貸付を利用する必要はありません。
返済計画の柔軟性は別として、銀行融資の方が調達コストは安く、資金繰り対策に効果的です。

返済しないと元金が膨らむ

 
生命保険の契約者貸付は返済の自由度が高く、その点では資金繰り対策に効果的です。
しかし、このメリットも使い方次第でデメリットになります。
特に注意すべきは、元金が複利で増えていくことです。
金利が変わらず、なおかつ元金が増減しない場合、発生する利息は常に一定です。
これを「単利」といいます。
これに対し、金利が変わらずとも、元金が増加すれば支払利息は増えていきます。
これが「複利」というものです。
契約者貸付でも、もちろん元金に利息はつきます。

さらに生命保険の契約者貸付の場合、利息は毎年元金に繰り入れられ、元金は年々膨らんでいくのです。
例えば、資金繰り対策のために契約者貸付を利用し、年利5%の条件で100万円を調達したとしましょう。
元金を返済しなければ、1年間で5万円の利息が発生します。
生命保険の契約者貸付は、利息の支払いも先延ばしできます。
1年目に発生した5万円の利息を放置すると、2年目は105万円の元金に対して5%の利息(5.25万円)が発生。
これを繰り返すと、3年目は110.25万円の元金に対して約5.5万円の利息、4年目は約115.75万円の元金に対して約5.9万円の利息…というように、支払利息が増えていくのです。
放置する期間が長くなるにつれて、元金が雪だるま式に増えていきます。
いくら返済が自由だからといって、放置すれば手に負えなくなり、資金繰り対策どころではなくなります。
自由だからこそ、計画的な返済が重要なのです。

未返済で解約した場合の解約返戻金は全額課税対象となる

 

契約者貸付を利用して、返済していない状態で解約する場合、解約返戻金から契約者貸付分の元金と利息を相殺され、手取り額が少なくなります。

しかし解約返戻金全額が決算時に雑収入として計上されてしまい、所得税の課税対象となってしまうのです。

契約者貸付の上限額を超えると生命保険契約が失効する

 
契約者貸付は返済の自由度が高いだけに、複利に注意しなければなりません。
元金・利息の返済を先延ばしするうちに、返済額は加速度的に増えていきます。
生命保険の契約者貸付は、解約返戻金を担保に貸し付けるものですから、解約返戻金を超えて貸し付けることはありません。
返済額が雪だるま式に増えていけば、やがて解約返戻金を超えることもあり得るのです。

貸付金の元利金が解約返戻金を超えた場合、少なくとも超過部分の返済を求められます。
保険会社から通知された金額を期日までに払い込まなかった場合には、保険契約そのものが失効してしまいます。
これは、資金繰り対策には大きなマイナスです。
超過部分を返済すれば、一時的には保険契約を維持できます。
しかし、それ以降も保険契約を維持し続けるには、超過部分を支払い続けなければなりません。
この時点で返済額がかなり膨らんでおり、毎回の超過額も大きくなっているはずです。
深刻な資金繰り負担になることは間違いないでしょう。
資金繰り対策のために生命保険に加入し、契約者貸付を利用した結果、資金繰りが悪化すれば本末転倒です。
契約者貸付で調達後、返済が難しいと判断したならば、できるだけ早い段階で解約を検討してください。
解約返戻金を超過していなければ、借入金を相殺でき、いくらかでも解約返戻金を受け取ることができます。
その方が、資金繰り対策としては正解でしょう。

まとめ:自社に最適な資金繰り対策を

この記事では、生命保険を利用した資金繰り対策として、契約者貸付の利用を詳しく解説しました。
生命保険の契約者貸付は審査に通りやすく、スピーディに調達でき、金利もそれなりに安いです。
うまく活用すれば、資金繰り対策に役立つことでしょう。
一方でデメリットも抱えており、資金繰り対策に逆効果になってしまうケースも珍しくありません。
生命保険で資金繰り対策を図るには、契約者貸付のメリット・デメリットをよく理解し、計画的な利用を心がけてください。
大切なのは、広い視野で資金繰り対策を考えることです。
資金繰り対策の方法は様々であり、生命保険の契約者貸付にこだわるべきではありません。
自社にとってベストな資金繰り対策を模索し、複数の方法を組み合わせていく中で、契約者貸付の活用を検討すべきです。
資金繰り対策にお悩みの方は、No.1までお気軽にご相談ください。
資金繰り・資金調達に精通したスタッフが、お客様に最適な資金繰り対策をご提案します。

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