カテゴリー: 資金調達情報
初めての起業と資金調達
サラリーマンとは明らかに違う請求と入金・支払サイトを理解する
独立開業して売上は順調に上がっているのに、なぜか「お金が足りない」と感じる人は多いのではないでしょうか。
これは会社の業績がどうかという問題ではありません。
売上は順調に上がっていて利益も出ているのです。
これがサラリーマン時代では意識しなかった「入金サイト」と「支払サイト」によるものなのです。
それではサラリーマン時代は意識しなかったこの「入金サイト」と「支払サイト」の説明から独立後の資金調達にまつわる話をはじめていきましょう。
「入金サイト」と「支払サイト」
入金サイトとは請求書を出してから実際に入金されるまでの期間(日数)。
また支払サイトとは請求書を受け取ってから相手先に支払うまでの期間(日数)をいいます。
日本の商慣習では掛(かけ)で取引することが一般的で、請求書を発行してから実際に現金になるまで、最低でも1ヶ月程度かかるのが一般的で、飲食店などの現金商売でもない限りいくら売り上げが上がっても実際に現金化できるまでには比較的長い時間がかかってしまうのです。
一方で、ある程度事業が軌道に乗っていない状態では、掛けで仕入れやさまざまなものを購入することができないのも現実で、多くの場合現金や手持ちのクレジットカードで支払わなければならないのが現実なのです。
このため「お金が入ってこないのに、支払いだけはどんどん先にやってくる」という状況に陥るのです。
サラリーマン時代は仕事をしようが有給休暇を取ろうが決まった日に決まった金額や賞与などのお金が振り込まれますし、経費精算書に領収証を添えて経理に提出すれば、そのような経費も支払ってもらえます。
しかし独立後は商品の仕入れやボールペン1本、ノート1冊にいたるまで極端にいえば自分のお金ということなのです。
そして売上が実際に入金されるまでに経費を使いすぎると、売上があるにもかかわらずお金がない、つまり資金ショートの状態となってしまうのです。
しかもこれは売上と経費が書かれている損益計算書にはあらわれてこないのです。
資金繰り表を作成してお金の流れを把握しよう
事業を進めていく上で、売り上げや経費を把握する人は多いように思います。
一方で資金繰り表はいざ資金調達が必要になってから作成を始める人が多いのではないでしょうか。
しかしながら事業を始めた直後こそ資金繰り表をきっちりとつけておくことが重要だと考えます。
事業を始めた直後は、何かと意識していなかったお金が必要なものです。
だからこそ何日にいくら入金があって、何日にいくら支払う必要があるのか、そして現金で何にいくら払ったのかを資金繰り表できっちりと把握しておく必要があるといえるでしょう。
資金調達はまず資金繰り表から
資金繰り表は日々のお金の流れを管理するだけでなく、実際の資金調達でも必要不可欠です。
おおまかな数字だけで資金調達を行なって、蓋を開けてみれば必要な資金が足りなかったということになれば目も当てられません。
一方でもし仮に資金不足がわかっても、いつ頃にいくら入金があるかわかっていれば、必要な資金の金額を正確に把握できるのです。
そして必要な金額、次回の入金のめどがわかれば、銀行などにつなぎ融資の交渉をしてみたり、ファクタリングなども活用がしやすいのです。
事業を始めたばかりの頃は、事業を伸ばすことだけに手一杯かもしれませんが、いざ開業してみれば会社員時代では予想もしなかったようなお金が必要になります。
お金のことを正しく把握することも経営者の重要な役割といえるのではないでしょうか。
法人と個人事業主 資金調達はどちらが楽か
「個人事業主よりも法人の方は融資が受けやすいのでは」と思われる人は少なからずいるのではないでしょうか。
しかし結論からいって法人であろうが個人であろうが変わりはないというのが正直なところです。
事実、スタートアップの中小企業が融資で利用する日本政策金融公庫の融資要件や信用保証協会の利用要件では法人格であることは求めておらず、個人であっても利用可能なのです。
つまり金融機関の融資審査では、個人か法人かという法人格そのものは特に重要としておらず、中身を重要視するのです。
つまり、審査基準はどちらも同じということになるのです。
ではなぜ法人の方が有利と思われているのでしょうか。
それは恐らく、個人事業よりも株式会社など法人の方が、一般的に社会的信用が高いと思われているからでしょう。
確かに営業や人材募集などでは確かに個人事業よりも株式会社などの法人の方が有利に働くケースもありますが、こと融資に限っては特に有利というわけではありません。
さらに以前は会社設立には、有限会社の場合は300万円以上、さらに株式会社だと1,000万円以上の資本金が必要でした。
さらに株式会社の場合に限ると、取締役として3名以上、監査役として1名以上が必要なので設立に資金面でも人的側面でも経営資源が必要だったので法人のほうが有利な面もありましたが、今では資本金は1円以上、取締役も1名以上で株式会社を設立でき、合同会社だとさらにハードルが低く、実際に1ヶ月以下の期間、登記費用を入れても数万円あれば会社設立ができてしまうのです。
それでも融資を受ける準備としては法人をお勧めしたい理由
先に述べたように融資を受けるという意味では、「個人か法人か」は関係ありません。
しかし融資を受けるために必要な「事業計画書」や「決算書」、さらには「試算表」や「資金繰り表」などの資料を準備する意味では、税理士などの協力を仰ぎながら決算を行うなど企業としての事業計画や財務体質を整えておくべきです。
無論これは個人事業主でも不可能ではないのですが、これらを自身できっちり準備するクセをつけるという意味でも、ハードルの低い合同会社であっても法人とすることをおススメめします。
融資を考えるならきっちりとした事業計画が重要
事業計画書には、やろうとする事業が、なぜ自分にできるのかという根拠や、事業を継続して、きっちりと利益を上げた上で、将来的なキャッシュフローで借入金を返済できることを、客観的、合理的に計画書として取りまとめ、数字も用いて説明しなければならないのです。
自分の情熱や商品・サービスの素晴らしさだけでは融資担当者は納得しないのです。
法人化した以上、廃業届を出せばいつでも事業をやめられる個人事業主とは異なり、会社を設立したという責任感が生まれ、事業に対するモチベーションが高まるという意味合いもあります。
客観的な事実としては融資という意味で個人も法人も変わりません。
しかし融資を受けるために必要な事業の客観性、将来性では法人化するメリットはあると考えます。
メインバンクと資金調達の関係性
メインバンクとは何か
「メインバンク」といっても、企業側がそう勝手に名乗っているだけで特に届出やなんらかの契約を行なっているものではありません。
古い考え方の経営者の中には「他の銀行から融資を受けてしまうとメインバンクの心証が悪くなる。」「メインバンクの心証が悪くなれば融資を打ち切られるかもしれない。」と思ってメインバンクとしている銀行だけで資金調達をする会社も少なくないのではないでしょうか。
確かにテレビドラマの中ではそのようなシーンもあることからそう思ってしまっても仕方がないように思います。
しかし、銀行からみればその銀行をメインバンクと思い込んでいる企業であっても「数ある預金先、融資先の1つに過ぎない」ということを忘れてはいけないのです。
ですから、いくら担当の銀行員が「御社は当行がメインバンクです」と言っても、それはあくまで営業上のリップサービスで、仮に経営状況が悪化すれば速やかに手を引くということもありうるというものなのです。
銀行自体の経営体質も変化している
いまや従来からあったメインバンクという考え方がこれまでより希薄になっているのも事実です。
確かに以前は企業と銀行の関係においても、古き良き時代ともいえる「義理人情で融資をしていた時代があったのかもしれませんが、いまや銀行の店舗も数値で経営管理され、審査フローも本店主導でマニュアル化され、格付けや信用調査のフローもマニュアル化され、さらにスコアリングシステムなどのシステム化やコンプライアンス体制の整備などで古くから付き合っている「企業だから業績が悪くても融資をする」「銀行に接待をしていれば業績が悪くても融資する」といったことは起こりえないようになってきたのです。
つまりメインバンクを義理立てする必要がなくなったともいえるのです。
どこの銀行から融資を受けるべきか
例えば「メインバンクはこの銀行だけ」と固執して、一行からしか資金調達をしていない場合その銀行が「これ以上の融資はできない」といってきた場合にはどうするのでしょうか。
他の銀行に融資を依頼すると思いますが、銀行というのは普段付き合いのない一見客に対しては厳しい対応をするのが現実です。
つまり取引銀行が1社だけの場合は、いざというときに身動きが取れなくなってしまう可能性があるということなのです。
ここで重要なのは「少額でも良いからつきあいのある銀行をある程度増やしておく」「口座だけでも作ってお金を動かしておく」「担当者に決算状況の報告などをしておく機会を作っておく」などメインバンク以外の複数の銀行とパイプを持っておくことが重要なのです。
複数の銀行とのコネクションがある状態にしておけば、
・メインバンクから融資を断られたときに融資を受けられる可能性が高まる
・有利な融資条件を提示してくれる可能性がある
といった可能性もあるのです。
つまり複数の銀行やノンバンクとの付き合いというのも、非常に重要なポイントになってくるということなのです。
ただし、事業を始めた当初は、一つの銀行からの融資からはじめ、事業歴や売上規模が大きくなるにつれ、付き合いをする銀行やノンバンクなどを増やして行くことが重要です。
また他の銀行から融資を受けるような場合は、他の取引銀行に一声かけておいた方が、銀行との関係も円滑です。
日銀のマイナス金利など、銀行の経営環境も厳しくなってきています。
そのような中で企業と銀行の付き合い方も変わってきているのも事実です。
普段から銀行との良好な関係を維持しつつ、いくつかの銀行やノンバンクなどから資金調達できるような工夫も必要なのではないでしょうか。
融資を申し込むにはどのようにすれば良いのか
銀行融資を申し込むにはどのようにすればいいのでしょうか。
これには2つの方法があります。
まずは、取引銀行の担当者が訪問してきたときに依頼することです。
これは地方銀行や信用金庫、信用組合などの地域密着型の金融機関でよくおこなわれています。
銀行の担当者は日頃から会社経営者とよくコミュニケーションをとっており、財務状況やその会社の動向をよく知っています。
ですからそのような銀行の担当者に相談や依頼を行うことで、自社に応じた適切なアドバイスも期待できるのです。
そしてもう一つの方法が、銀行の融資窓口を訪問して相談や融資申し込みを行う方法です。
この場合、相手はあなたの会社や事業のことを知らないわけですから、初めての取引であれば、3期分の決算書、定款、登記簿謄本、建設業などの許認可事業であれば許認可証を準備しましょう。
また、すでに取引がある場合でも直近の決算書を用意しておく必要があります。
その上で経営者自身が窓口を訪れることが重要なのです。
中には経理担当者や、ともすれば税理士が代わりに銀行を訪れるような場合があるようですが、事業のターニングポイントとなるのですから、経営者自身がその姿勢をきっちり銀行に示すことが重要なのです。
また用意する資料や自社の事業、業績に関する説明を工夫することもポイントです。
できればパワーポイントで3期分の推移を示すなどビジュアルデータを準備して、また端的に業績推移の理由などを説明できるようにしておくと、銀行の理解も深まります。
また個人での借入れ状況や仮払金、役員貸付金など聞かれそうな内容についても、きっちり説明できるようにしましょう。
相手が聞いてくる内容は融資の審査で重要なことなのです。
例えば後で色々な資料を追加で出すよう求められたら、それだけ銀行から警戒されていると思ってもいいかもしれません。
さらに細かいポイントかもしれませんが身だしなみや表情、話し方も注意が必要です。
銀行員も人間ですから、見た目で信頼感を相手に与えることも重要なのです。
申し込みから融資まで
融資担当者の面談が終わると、融資の申し込み、そして審査に進みます。
そして審査の過程においても、いろいろ追加で質問を受けたり、資料を請求されることもあります。
大体のやりとりは電話かメールで行われますが、即答する必要はありませんが的確に回答したりタイムリーに資料を提出することが重要です。
審査が終わると無事「契約」となります。
この時点では印紙と印鑑証明書が必要になります。
特に印鑑証明書は有効期限があるので、期限内のものを提出するようにしましょう。
そして全ての準備が完了したら融資実行日の調整をして、融資が実行されるという流れになるのです。
またこの間に担保や保証人が必要なことや、さらには信用保証協会の保証を求められることもあります。
これらの手続きが全て完了しないと融資が実行されないので、実際に融資されるまでに最低でも2〜3週間程度の日数の余裕を見ておいた方が良いでしょう。
銀行も融資をするのも仕事ですが、倒産や貸し倒れなどリスクの高い相手先には融資はしないのが原則です。
ですから銀行から融資を受ける場合は、銀行にリスクの低い相手先だと客観的な材料で安心感を与えることが重要だといえるでしょう。
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