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【未回収を防ぐ手順とは?】売掛債権の買い取りについて弁護士が解説!未払金対応に必要な法律事務所の選び方もご紹介
みなさんが掛売している仕事上の取引ですが、何らかの事情により売掛金が回収不能になる可能性があります。たとえば、取引先の経営状況が急変したり、支払の遅延が続いたりすることで、最終的に債務不履行に陥るケースも少なくありません。
資産として計上している売掛金も、回収できなければ不良債権となり、企業の財務に深刻な影響を及ぼします。これは単なる会計上の問題にとどまらず、資金繰りの悪化や信用の低下といった副次的なリスクも発生させるため、早期の対策が重要です。特に、契約書や請求書などの書類を適切に作成・保管し、必要に応じて証拠として活用できる体制を整えておくことが求められます。
売掛金を貸し倒れにしないためには、事前にリスクを把握し、適切な管理体制を構築することが不可欠です。取引先の信用調査を行い、支払能力や財産状況を確認するなど、基本的な対策を講じることで、未然にトラブルを防ぐことができます。
今回は、不良債権化させないための売掛金の回収方法について、実務的な視点から考えていきます。万が一の際にも慌てず対応できるよう、今のうちから準備を進めておきましょう。
回収不能な売掛金が生じてしまった場合の対応
売掛先の倒産や経営上のトラブルなどによって、回収不能となった売掛金が発生した場合には、「貸倒損失」という勘定科目で仕訳処理を行う必要があります。この処理は、企業の決算書にも影響を与える重要な会計手続きのひとつです。貸倒損失として仕訳を行うことで、その費目は損金として扱われ、法人税の計算上、経費として認められる可能性があります。
ただし、貸倒損失として計上できるかどうかは、法律や税務上のルールに基づいた明確な条件があり、すべての未回収債権が対象になるわけではありません。たとえば、契約書や請求書に記載された支払期限を過ぎたからといって、すぐに損金処理できるわけではない点に注意が必要です。
貸倒損失として認められるケースは、大きく分けて以下の3つに分類されます。
・金銭債権が法的に消滅している場合(売掛先が破産手続きや民事再生法の申請を行い、強制執行や仮差押えなどの措置が取られた場合など)
・債権の全額回収が不可能と判断される状況(たとえば、相手方の財産が差し押さえられたものの、回収見込みがないとき)
・売掛先との取引が停止し、1年以上の期間が経過している場合(この場合、連絡が取れず、債務者が応じないなどの状況が前提となります)
これらの条件を満たしていない場合、貸倒損失としての処理は認められず、税務上の否認リスクが生じることもあります。したがって、仕訳処理を進める際には、証拠となる文書や通知の送付記録などをしっかりと保管しておくことが重要です。
なお、詳しい仕訳の手順についてはここでは省略しますが、勘定科目としては「貸倒損失」または「貸倒金」を使用し、売掛金の帳簿上の残高を適切に消し込む処理を行います。
売掛金の回収方法
売掛金が回収できない、あるいは何らかの事情で支払期日までに入金が確認できない場合、企業としては速やかに回収のための対応を進める必要があります。こうした未払金の発生は、資金繰りに大きな影響を与えるだけでなく、事業全体の利益にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の対処が求められます。
売掛金の回収に向けた一般的な流れは、以下のような段階を踏んで進められます。
・まずは電話による督促を行い、相手方に支払いの意思があるかどうかを確認します。ここでの対応次第では、交渉によってスムーズに解決できるケースもあります。
・次に、内容証明付き郵便を送付し、正式な文書として支払いを促します。この段階では、催告書や請求書などの書類を明記し、支払うべき金額や期限を正確に記載することが重要です。
・それでも応じない場合には、時効の進行を防ぐために、時効停止の手続きを検討します。これは、将来的に法的措置を取る際の準備としても有効です。
・さらに、売掛金の額が60万円未満であれば、少額訴訟という比較的簡易な手段を選択できます。一方、60万円以上の場合や複雑な事情がある場合には、民事訴訟や民事調停といった正式な法的措置を進めることになります。この際には、弁護士や法律事務所のサポートを受けることが一般的です。
売掛金が回収できない場合、最終的な手段として訴訟を起こし、相手に対して支払いを求めることになります。ただし、いきなり訴訟に踏み切ると、取引先との関係が悪化し、今後のビジネスに支障をきたす可能性もあるため、慎重な判断が必要です。法的手段はあくまで最終手段とし、それまでにできる限り穏便な方法で解決を図ることが望ましいでしょう。
それぞれの回収手段について、次に詳しく解説していきます。
電話で催促する
最初のステップとしては、電話でやさしく督促を行うのが基本です。もしかすると、単なる経理処理の遅れや、請求書の見落としといった単純なミスが原因で、支払が遅れているだけかもしれません。こうしたケースでは、連絡を入れることで先方も状況に気付き、すぐに対応してくれることもあります。
この段階では、相手を責めるような言い方は避け、あくまで穏便かつ丁寧に、未入金の事実について確認する姿勢が大切です。たとえば、「先日お送りした請求書の件ですが、ご確認いただけましたでしょうか?」といった形で、相手に心理的な負担をかけずに話を進めるとよいでしょう。
また、電話でのやり取りの内容は、後々のやり取りに備えて簡単に記録を残しておくと安心です。やり取りの有無や、相手の反応を把握しておくことで、今後の対応方針を決める際にも役立ちます。
内容証明郵便を送る
次のステップとして、内容証明付き郵便を送付します。これは、単なる督促ではなく、法的効力を持つ正式な文書として、相手に対して支払義務があることを明確に伝える手段です。いわば「最後通告」のような位置づけであり、これを受け取った相手方が誠意を持っていれば、何らかの対応や連絡をしてくる可能性が高まります。
内容証明郵便には、支払期限や金額、契約内容などを正確に記載し、こちらの要求が正当であることを明示する必要があります。書き方や文面の具体的な例についてはここでは省略しますが、誤解を招かないよう、条項や条件を明確に記載することが重要です。また、送付の際には郵便局での手続きが必要となり、多少の費用と手間がかかる点も把握しておきましょう。
この段階に至ると、売掛先との今後の取引継続は極めて難しくなると考えるべきです。たとえ入金があったとしても、信頼関係が損なわれている以上、再び取引を始めることは現実的ではありません。つまり、関係を維持することは断念しつつも、売掛金の回収だけは確実に進めるという、強い意思表示となります。
このような対応は、感情的な対立を避けつつ、法的措置に進む前の重要なステップでもあります。適切な文書を通じて、こちらの立場を明確にし、相手にプレッシャーを与えることで、支払を促す効果が期待できます。
時効中断の手続きをする
電話での督促では埒が明かない、内容証明にも返事がない、このままでは回収できないという判断に至った場合、訴訟が視野に入りますが、その前に時効中断の手続きをしておきましょう。回収方法として法的対応を取る前の1ステップです。
売掛金にはその内容によって1年~5年の時効がありましたが、民法(債権法)改正によって売掛金の時効は統一されました。
2020年4月1日以降(改正民法施行後)の売掛金契約の時効は以下になります。
(民法改正後の時効:2020年4月1日以降に行われた契約)
・債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(新民法166条1項1号)
又は
・債権者が権利を行使することができる時から10年(新民法166条1項2号)
5年なのか10年なのかわからないと思われるかもしれませんが、基本的に5年になるとご理解ください。
なお、2020年3月31日までに行われた売掛契約は当然有効ですが、その場合改正前の時効となります。契約日次第では、時効が迫っているかもしれません。回収できない売掛金の契約日を確認してください。
(民法改正前の時効:2020年3月31日までに行われた契約)
時効までの期間 売掛金の内容
1年 飲食代、宿泊費、運送費
2年 製造業・卸売業・小売業の販売代金、サムライ資格への報酬
3年 医療費、工事の設計、施行などの工事代金、自動車修理費
5年 上記以外の売掛金
時効1年~3年のものはすでに時効になっていますので、売掛金の回収はできません。
「売掛金回収が厳しいな」と思った場合、時間を引き延ばされてしまうと回収できなくなってしまいます。そうならないように、時効中断の手続きを進めてください。
時効中断の方法は
1.買主に対して訴訟を起こす
2.買主に対する裁判所による支払督促(本人による電話や内容証明の督促ではない)
3.買主に対する民事調停申し立て
4.債務残高確認書による買主の債務承認
5.買主の売掛金「一部弁済」
のいずれかになります。ここでは詳述しませんが、4、5は買主からの時効停止の意思表示でありあまり期待できません。結局裁判所を通す1~3のいずれかになるはずです。
少額訴訟をする
いよいよ他の手段では解決が難しくなった場合、最終的な対応として訴訟に踏み切ることになります。ただし、いきなり弁護士を立てて本格的な民事訴訟を起こすのではなく、まずは本人のみで対応できる「少額訴訟」という制度の活用を検討するのが現実的です。これは、比較的簡易な手続きで進められるため、個人事業主や中小企業の方にとっても利用しやすい制度といえるでしょう。
少額訴訟は、60万円以下の売掛金や未払金の支払い請求を目的とする場合に利用でき、簡易裁判所に訴えを提起することで手続きが開始されます。訴状の作成や証拠書類の提出といった準備は必要ですが、通常の訴訟に比べて費用が安く、審理にかかる期間も非常に短いのが特徴です。原則として1回の期日で審理が完了し、その場で即日判決が言い渡されることもあります。
この判決には、正式な法的拘束力があり、相手方が判決に従わない場合には、強制執行などの手段を講じることも可能です。つまり、少額訴訟はコストを抑えつつ、迅速かつ効果的に債権回収を進めるための有効な選択肢のひとつといえるでしょう。
民事訴訟、民事調停
60万円を超える売掛金の支払い請求を行う場合には、弁護士費用やその他の関連コストを覚悟したうえで、通常の民事訴訟を提起するか、あるいは裁判所を通じて民事調停を申し立てるという選択肢があります。
訴訟は、法的に争う姿勢を明確にするものであり、相手方との関係は完全に対立構造になります。一方で、民事調停は裁判所が間に入り、当事者双方の主張を聞きながら妥協点を探る手続きです。売掛金の未払いには、取引先の経営悪化や資金繰りの遅れなど、やむを得ない事情が背景にあることも考えられます。調停では、そうした事情を斟酌しながら、現実的な解決策を模索することが可能です。
ただし、訴訟に進んだ場合、弁護士費用は原則として自己負担となり、たとえ勝訴してもその費用を相手に請求することはできません。たとえば、数千万円規模の売掛金であれば、訴訟を通じた回収は妥当な判断といえますが、数万円から数十万円程度の請求であれば、費用対効果の面で不利になることが多く、不適切な手段となる可能性があります。
そのような場合には、弁護士を立てずに自分で対応できる少額訴訟に頼ることになりますが、これも完全に無料で行えるわけではありません。裁判所に提出する訴状には印紙を貼付する必要があり、その他にも郵送費や書類作成の手間など、一定の法定費用がかかります。つまり、すべてを自分で進めたとしても、売掛金の回収にかかるコストが回収額を上回る可能性もあるのです。
では、こうした費用対効果の悪い売掛金については、泣き寝入りするしかないのでしょうか? 実は、そうしたケースでも活用できる、別の回収手段が存在します。
売掛金の買い取りをしてくれる方法があり、それを回収方法にできる
「〇月○日締め翌月△日払い」といった条件で発生する売掛金については、期日が到来した後に回収を試みても、すでに状況が悪化しており、従来の回収手段では対応が難しいケースがあります。特に、相手方がすでに資金難に陥っていたり、倒産の兆候が見られる場合には、訴訟や強制執行といった法的措置を講じても、実際に回収できる財産が存在しないことも少なくありません。
また、裁判を起こすには、訴状の作成や証拠の準備、印紙代や郵送費などの費用がかかるうえ、時間も労力も必要です。こうした背景から、訴訟に踏み切る前に、より現実的で効率的な回収手段を検討することが重要です。
そこで注目されているのが、「〇月○日締め翌月△日払い●●●万円」を受け取る権利、すなわち売掛債権を第三者に売却するという方法です。この手段を活用すれば、貸倒れのリスクがある売掛先に対しても、支払期日前に債権を現金化することが可能になります。もちろん、手数料が発生するため、満額の回収とはなりませんが、1円も回収できないという最悪の事態を避けることができます。
さらに、この売掛債権の売却は、売掛先に通知せずに行うことも可能です。つまり、相手に知られることなく、今まで築いてきた取引関係を維持したまま、リスクを回避できるという大きなメリットがあります。危ないと感じたタイミングで任意に実行できる点も、非常に柔軟で実用的です。
このように、売掛債権の買い取りは、訴訟や調停といった法的手段に頼る前に検討すべき、優れた回収方法のひとつです。特に、内容証明郵便を送付する前の段階であれば、相手との関係性を壊すことなく、スムーズに対応できる可能性が高まります。
相手と険悪な関係になることなく、不渡りや破産といった深刻な事態が発生する前に、売掛金を現金化できるこの方法は、現代の取引において非常に有効な選択肢です。ぜひ、売掛債権買い取りという回収手段を覚えておき、いざというときに活用できるよう備えておきましょう。
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貸し倒れにならないよう売掛債権を買い取ってくれる会社は全国にあります。銀行などと異なり開業は自由にできるので、玉石混交です。
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危ない、貸し倒れになりそうだと思った売掛先の債権回収方法としてぜひご検討ください。
面談のため実際に店舗にお越しいただかなくても、すべてオンラインで対応できます。売掛先への請求書などをご用意し、メール等でお送りいただければすぐに査定いたします。
売掛金が回収できなくなってから回収方法に慌てるよりも、回収できなくなる前に現金化できる回収方法を知っておくほうが有益です。そのための売掛債権買い取りなので、ぜひリスクヘッジの1つとして採用をご検討ください。
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